8月29日NHK特報「首都高“炎上”衝撃対策」を見て感じたこと  首都高炎上とタゴ運輸

■8月3日(日)早朝、首都高5号線で発生した衝撃的なタンクローリー横転炎上事故から4週間ほど経過した8月29日(金)の夜のゴールデンタイムの19:30〜19:58にかけて、NHKが「特報首都圏:首都高“炎上”の衝撃〜都市型道路の弱点〜」「徹底検証首都高“炎上”の衝撃対策は」と題して、特集番組を放送しました。


この首都高炎上事故については、事故発生当日、炎を上げて燃え盛る事故現場のシーンが当日及び翌日のテレビや新聞で報じられました。国交省幹部も8月4日(月)午前に、いち早くマスコミに、事故を起こしたのは多胡運輸であることを伝えました。ところが、8月5日(火)に国交省関東運輸局が多胡運輸を立入監査したことを一部のマスコミが報じた後は、首都高速道路会社が提供する復旧工事の進捗情報の記事がときどき掲載される程度で、不思議なことにこの首都高炎上事故に正面から取り組もうという姿勢はマスコミには見られず、炎上事故のことは北京五輪などの話題の影に追いやられた格好でした。

このまま事故の真相はうやむやになるのか・・・と思われた、そのような時に、天下のNHKが特番を報じたため、内容に関心を持ってご覧になった人も多かったと思われます。

■番組の解説によれば「8月上旬、首都高速で起こったタンクローリーの横転・炎上事故は復旧まで数ヶ月かかる、首都高速始まって以来の事故となった。現在、交互1車線が仮復旧したものの、周辺の一般道に車があふれ慢性的な渋滞が続いている。事故によって去年開通した中央環状線も通行止めになり、医薬品などの物流にも遅れがでるなど影響が出ている。今回の事故は、上下に重なって走る道路の下で事故・火災が発生し、その熱で上部の道路が大きく損傷したもので、これまで想定されていなかった事故だ。都市の基幹道路をどう守っていけばよいか、都市型道路ならではの弱点などを徹底検証すると共に、事故と検証しながら対策を探る」と銘打って、出演が西東大、ゲストに横浜国立大学大学院の中村文彦教授を起用してこの事故について報じました。

しかし、天下のNHKが、総力を挙げて(?)取材したこの番組を見たあと、どうも腑に落ちない気持ちがしたのは当会だけなのでしょうか。

■この番組の内容から判明したこととして、視聴した人それぞれで異なるかもしれませんが、当会では次の点を挙げたいと思います。

1.事故の影響が予想をはるかに超えて大きいことをあらためて痛感した。
2.環7、環8、山手通りなど、事故発生箇所が通行できなくなったため、渋滞が発生し、それを避けるために近道や裏道を抜けようとして、周辺部がどんどん混雑し、その影響は埼玉県まで及んでいる。
3.このため、運送会社はジャスト・イン・タイムでの配送サービスが間に合わなくなり、新たに人を雇う必要が生じた。
4.その結果、一人当たり月30万円もの余計な人件費の出費を余儀なくされ、事故による迷惑や損失は莫大な金額に上っている。
5.事故対策がテーマの番組だが、結局、「方策はまだ見つからない」という現状を指摘しただけで、あとは「運転手のマナー、教育に注力するしかない」というのが番組の結論だった。
6.一方、事故の原因や責任の所在、事故に絡んだ企業などの名前などには全く触れられなかった。

■これほどの大事故が発生すれば、死亡者が出なくても、重傷を負った運転手や、その所属先の企業名について、マスコミは必ず報じると思われます。テレビや新聞で詳しく報じなくても、週刊誌が報じるはずです。ところが、今回は、テレビも新聞も週刊誌も、異常なほどこの炎上事故を起こした関係者について、関心を示そうとしません。

この状況は、平成7年6月3日に公に知られることになった安中市土地開発公社を舞台にした、地方自治体では史上最大級の巨額横領事件の時と似ています。

安中市土地開発公社の51億円横領事件の場合、発覚直後は、容疑者の身辺や、警察の捜査状況を熱心にマスコミが取材して報じていましたが、容疑者が起訴され、最初の刑事裁判がひらかれた8月下旬になるころには、急に潮が引くように事件の報道が為されなくなりました。一方で、当会に寄せられた事件に関連したさまざまな情報は、全て警察に通報しましたが、それをもとに警察がどのような捜査をしたのか、あるいはしなかったのか、警察からの捜査状況や結果についての当会への連絡は、全くありませんでした。

■前述のように、平成7年6月から7月にかけて、当時、当会には大勢の市民からいろいろな情報がもたらされました。それらの中でも「政治家が関与している」という情報は終始付き纏いました。しかし、不思議なことに、公社職員を兼務していた安中市役所の職員一人だけが起訴されただけで、平成7年の10月には事件が事実上幕引きされてしまったのでした。

その後、長い年月をかけて、苦労して、ようやく刑事記録を入手しました。ところが、開示された刑事記録は全体の4分の3程度でした。最も注目される残りの4分の1の情報については、その後、当会が提起した4件の損害賠償請求や無効確認訴訟で、事件の全貌を明らかにする必要があるとして裁判所を通じて、検察から取り寄せるよう何度もお願いしましたが、2件の税務情報以外は全て、裁判官に拒絶ないし無視され続けました。

それでも、51億円事件で提起した4件の住民訴訟のうち、最後の訴訟の東京高裁控訴審で、それまで、黒塗りのままだった横領金の使途先の情報について、黒塗り解除されたものを原告住民に唯一示されました。しかし安中公社51億円事件の核心に関係しているのではなかと期待される情報は、いまだに前橋地検に保管されたままとなっています。

■巨額横領により、住民は、損害賠償請求訴訟を提起しました。ところが安中市は、「土地開発公社を舞台にして起きた事件だから、別法人なので、安中市には被害がない。したがって、安中市の住民に被害がないから、住民訴訟による損害賠償請求は成り立たない」として裁判所は全て住民敗訴の判決を出しました。

安中市土地開発公社51億円巨額横領事件で、マスコミや司法当局がみせた、消極的な対応や、常識では考えられない異常な判断姿勢を目の当たりにした当会では、13年後に奇しくも発生した横領犯の親族が経営する会社が起こした大事故でも、同じような得体の知れない巨大な力が働くのではないかと心配しています。
この懸念は、8月5日のニュースで運輸会社名が多胡運輸であることを知ってから、ずっと継続しています。そして、その懸念はおとといのNHKの報道振りを見て、確信に一歩近づきました。

13年という時の流れを隔てて起きた2つの事件・事故を慎重に分析しつつ、背後にある巨大なものがいったい何かを、探り当てて行くのが当会の当面の活動目標です。

【ひらく会・多胡運輸首都高炎上事故特別調査班】

写真は上から順に、8月24日現在の多胡運輸の様子(事務所、ローリー、トラック群)
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