2014/6/16  12:58

大同スラグ入り砕石をサンパイではなく正規の路盤材と見なす群馬県行政  スラグ不法投棄問題

■大同特殊鋼渋川工場から排出される鉄鋼スラグに環境基準値を超えるフッ素や六価クロムが含まれていた問題で、大同スラグが混入された砕石を土木資材として使用した公共事業の環境への影響が、行政で心配のタネになっています。


 そのため群馬県では、大同スラグ混入砕石を使用した27件の事業のうち、6件を選んで、有害物質の含有量と溶出量を実際に測定したところ、すべて、溶出量、含有量とも環境基準以下だったとして、安全宣言を出しました。

 この結果は、分析試験方法で、採取したスラグ混入砕石を全量粉砕して、その溶出量と含有量を計測したものであり、当該スラグ混入砕石が、基準量の数倍のフッ素や六価クロムを含む鉄鋼スラグに数倍のバージン砕石を加えることにより製造されたわけですから、当然の結果と言えます。

 しかし、この方式が世間でまかり通ることになれば、有害物質でもそれを薄めてやれば、見かけ上環境基準値に適合し、逆有償取引をつかって、見かけ上、有償取引を装えば、なんでもあり、ということになります。つまり、危ないサンパイも、土砂に練り込んで、残土として扱えば、自由に工事現場で使えるわけです。事実、こうした手口で、サンパイ業者は危ないサンパイを、さいたま市周辺でこっそり土砂に混ぜて、残土を装って、北関東などの県外に大量に移動させてきました。

 群馬県では、関東地方で一番最後に、平成26年10月1日からようやく残土条例を施行しましたが、これも大同スラグと同様の手口で業者がサンパイ練込み残土を作れば、サンパイの拡散に歯止めはかけられません。
http://www.pref.gunma.jp/contents/000252779.pdf

■さて、群馬県が大同スラグを使用した27件(この数字についても市民オンブズマン群馬としては疑問を抱いています)のうち、農村整備課が施工したのは4件ですが、このうち、市民オンブズマン群馬が実際に平成26年6月1日、現地調査をして報告した東吾妻町における県農村整備課のほ場整備事業について(http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1309.html参照)、農道工事の路盤材に使用されたスラグ混入砕石で、基準値をやや下回る0.76mg/Lの溶出量と2,800mg/kgの含有量が計測されました。

 当然、サンパイである有害スラグが練り込まれた砕石路盤材は、全量撤去して、サンパイを含まない安全な路盤材をあらためて投入するはずですが、6月1日に現地調査をした際にも、県はスラグ混入砕石路盤材を施工した農道の上を舗装する動きを見せていました。そして、その懸念は実際に現実のものとなりました。

■平成26年6月16日午前9時33分に、当会から吾妻農業事務所の農村整備係の松井次長に電話(0279-75-7006)をしたところ、次のことを確認しました。

(1) 大同スラグを使用した農道に舗装工事をする件は、6月11日に入札を執行し、490万円で池原工業が落札した。
(2) 工期は平成26年7月末日までとなっている。
(3) 施工対象の農道整備部分の距離は630メートル。
(4) 先ほどから大同スラグのことを「サンパイ」と言っているが、我々吾妻農業事務所としては、県庁の県土整備部、農政部農村整備課、環境関連部署などと協議の上、大同スラグ混入砕石路盤材は分析の結果環境基準値以下であることを確認しており、通常の路盤材だと考えている。
(5) したがって、当該現場では舗装工事を進めるが、今回頂いた次のコメントについては、県庁の農村整備課に伝えておく。
(6) なお、群馬県で分析調査した6か所のうち、この東吾妻町の現場で、舗装箇所しか測らないのはなぜか、という質問について「既に交通開放しており、車両の通行により外部から土砂も持ち込まれていて、また、風雨に晒されていることから、本来の路盤材の物性とは異なる状況にあるので、正確性を期すために、舗装されている箇所をサンプリングすることで、県庁の農村整備課や県土整備部とも連絡を取って決めた」ものである。

■市民オンブズマン群馬からは、次の申し入れを行いました。

(1) 当初は農道を舗装する計画ではなかったはず。それを舗装するというのは、有害スラグが砕石に含まれていたため、それが営農環境や生活環境に悪影響を与える恐れがあるので、上にカバーするという目的だと思われる。しかし、水と土の安全が命である農地整備事業に、サンパイを含む資材を使用したら、事業の目的そのものが否定されてしまう。だから、まだ舗装工事に着手する前に、有害スラグ入り路盤材を撤去し、安全な路盤材に置き換えたうえで、舗装工事をすべきだ。
(2) 管轄は異なるが、現在、群馬県安中市では東邦亜鉛安中製錬所周辺の重金属汚染土壌対策のため、区画整理方式による土地改良事業の事前手続きが、地元関係者による推進委員会が主体となって群馬県農政部技術支援課や安中市産業部農林課の支援を得て進められている。先日、6月3日に地元住民説明会が開催された際に、西部農業事務所の岩倉次長らが来られて、大同スラグのような有害物質入りの土木資材を、土地改良に使用するのは問題なので、群馬県行政と地元営農者との信頼関係の観点から、絶対にサンパイ入りの資材は使わないでほしい、と申し入れた。今回、東吾妻町のほ場整備事業では地元営農者に対して大同スラグ入り路盤材の使用に関して、どのような説明をして、地元の確認を求めた経緯があるのかわからないが、常識的に考えて、サンパイ入りの路盤材をそのまま据え置いて、上を舗装してしまうのは、絶対避けるべきだ。
(3) 幸い、まだ舗装していない為、有害スラグ入り路盤材の撤去は容易にできる。だから、落札業者に対しては、追加工事として、有害スラグ入り路盤材を撤去して、新たに安全な路盤材を施工してから舗装工事をやらせ、追加でかかった費用は原因者に後日請求するようにしてほしい。

■しかし、残念ながら、いくら有害スラグの撤去を懇願しても、吾妻農業事務所農村整備係の松井次長は、「今回の貴重なご意見が寄せられたことは県庁の農村整備課にも伝えておくが、あくまでも我々はスラグ入り路盤材はサンパイと言う認識ではなく、通常の路盤材として考えている」と答えるにとどまりました。

 490万円規模の工事の発注の裁量は、現場の農業事務所にあるのか、それとも県庁の農村整備課にあるのかわかりませんが、群馬県では、サンパイも薄めればまっとうな土木資材として認めるという極めて業者寄りの対応を平然ととることが明らかになりました。これでは、官業癒着のそしりを免れることは難しいでしょう。

【市民オンブズマン群馬事務局からの連絡】

※参考資料
[吾妻農業事務所HPから]
農村整備の実施状況
○農業生産基盤整備
 吾妻東部地域においては、面的にまとまった水田地帯の整備が進められ、 また中山間地域としての高付加価値農業の展開を支援するため、 きめ細やかな整備が推進されています。
・・・環境に配慮した農地保全や農産物の流通の合理化を図る農道整備等の事業を進めていく予定です。
○農地・農業用施設の保全管理
○鳥獣害対策
■吾妻地域の水土里保全整備の基本方向
豊かな観光資源と多様な担い手を活かして目指す吾妻の郷づくり
■「水」の保全、整備
1 農業用用排水路等の保全、整備
 地域のブランド米を育んできた「きれいな水」は用水路により供給され、農業生産を維持するうえで不可欠なものです。これら施設の老朽化診断を、管理者と行政が一体となって行い、維持保全方法の検討や保全整備を計画的に進めます。
  また、農業農村整備事業の実施にあたっては、生活用水や景観・生態系保全等の農業水利施設が有する多面的機能の維持、増進に配慮した取り組みを推進します。
2 農業用水の保全と有効活用
 ・・・この様に農業用水利施設が有する多面的機能について、広く社会に理解を求める地域活動を積極的に支援していきます。
■「土」の保全、整備
1 担い手の育成と支援
2 農地の保全対策
(1) 農地保全対策
 農地が有する多面的機能の維持、増進を図るため、広く社会に理解を求める活動を積極的に支援します。
 ・・・自然環境や生態系に配慮した持続性の高い農業への取り組みを支援し「環境に優しい高原野菜のイメージアップ」を目指します。
(2) 耕作放棄地の縮減と鳥獣害防止対策3 地域にあった整備手法の確立(中山間地域における低コスト整備)
■「里」の保全、整備
1 自然環境への配慮と農村景観活用
(1) 自然環境への配慮
 農業農村整備事業の推進にあたっては、自然環境や生態系など、潤いや安らぎのある農村環境の保全に、配慮した整備を推進します。
(2) 農村景観の維持、保全と観光
2 安全で住みやすい農村地域づくり
(1) 災害時の迅速な対応と体制強化
(2) 農村生活環境の整備
 山間地域の自然環境を生かして定着している中之条町六合地区の山野草など特産物へのかん水や、防除用水と生活用水を一体的に確保、整備し定住環境の改善を図ります。
3



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ