タゴ運輸ローリー首都高横転炎上事故の損害賠償情報不開示異議申立で内閣府の情報公開審査会が答申書  首都高炎上とタゴ運輸

■平成20年(2008年)8月3日の日曜日午前5時52分に首都高5号池袋線下りを走行中の多胡運輸所有のタンクローリーが、熊野町ジャンクション内の急な右カーブを曲がり切れずに横転し、左側側壁に衝突しました。タンクローリーには東京都江東区にある出光興産の油槽所から埼玉県さいたま市のガソリンスタンド向けのガソリン16キロリットルと軽油4キロリットルが積まれていました。この事故で運転手は腰を強く打ち重傷を負い、積み荷は5時間半あまりにわたって炎上し、11時34分に鎮火しましたが、火災の熱により上下2階建て構造で上を走る上り線の路面が歪み、鋼製の橋桁が長さ40mに渡って変形し、最大60cm沈み込むという、単独車両による事故としては国内史上最大規模の損壊事故となりました。
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11月15日に郵送で当会に届いた内閣府の情報公開・個人情報保護審査会からの答申書の写しの入った封筒。


 ところが、この事故のその後の経過について、マスコミは全く報じようとせず、首都高も黙ったままのため、当会は首都高に対して、事故の復旧に要した費用をきちんと原因者であるタゴ運輸に請求しているのかどうかを確認すべく、情報公開請求を行ってきました。

 しかし、全く埒が明かないため、首都高の上級機関である(独法)日本高速道路保有・債務返済機構に対して、情報公開請求をしましたが、平成24年12月25日付で不開示決定が出されました。そこで、更に上級官庁である内閣府に対して、平成25年1月4日付で異議申立てをしていたところ、平成25年1月28日、内閣府から、本件を情報公開・個人情報保護審査会に諮問した旨の通知が届きました。

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内閣府のある建物入口の検問ゲート。11月14日撮影。

■その後、約1年10カ月を経過して、このほど、ついに答申書の写しが内閣府の情報公開・個人情報保護審査会から当会に郵送されてきました。内容は次のとおりです。

**********【送り状】
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coveringletterfromsecretariatofinformationdisclosurepersonalinformationprotectionreviewboard.pdf
                    府情個第3456号
                    平成26年11月14日
 小 川  賢  様
           情報公開・個人情報保護審査会

          答申書の写しの送付について
 下記の事件については,平成26年11月14日に答申したので,情報公開・個人情報保護審査会設置法第16条の規定に基づき,答申書の写しを送付します。
          記
 諮問番号:平成25年(独情)諮問第3号
 事件名:特定会社のタンクローリーに係る特定事故で首都高速道路株式会社が被った損害に関する文書の不開示決定に関する件

**********【答申書】
reportcopyfromsecretariatofinformationdisclosurepersonalinformationprotectionreviewboard.pdf
                    府情個第3455号
                    平成26年11月14日
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構 御中
                    情報公開・個人情報保護審査会
          答申書の交付について
 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第18条第2項の規定に基づく下記の諮問について,別紙答申書を交付します(平成26年度(独情)答申第41号)。
          記
 諮問番号:平成25年(独情)諮問第3号
 事件名:特定会社のタンクローリーに係る特定事故で首都高速道路株式会社が被った損害に関する文書の不開示決定に関する件

**********【答申書別紙】
(別紙)
諮問番号:平成25年(独情)諮問第3号
答申番号:平成26年度(独情)答申第41号
           答 申 書
第1 審査会の結論
 別紙に掲げる文書(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部について存否を明らかにしないで開示請求を拒否し,その余の部分を保有していないとして不開示とした決定は,取り消すべきである。
第2 異議申立人の主張の要旨
1 本件異議申立ての趣旨
 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく本件対象文書の開示請求に対し,平成24年12月25日付け総総第119号により独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った不開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消し求める。
2 異議申立ての理由
 異議申立人が主張する異議申立ての理由は,異議申立書及び意見書の記載によると,おおむね次のとおりである。
(1)異議申立書
ア 異議申立人は,日本国民として機構の法人文書の開示を求める権利を有している。
イ 機構は,「I 原因者負担督促状(控)等」の存否を明らかにせず,首都高速道路株式会社(以下「首都高会社」という。)が,特定年月日Aに発生した首都高速道路特定路線におけるタンクローリー火災事故(以下「本件事故」という。)の原因者らを相手取り特定年月Bに東京地裁に提起した損害賠償請求事件関連情報を含む「その他卜贋報について不存在としたが,実際に機構が作成又は受理した書類であるので,次の理由により,本件対象文書に記録された情報(以下「本件情報」という。)は公にすることが必要と考える。
(ア)法5条2号イに非該当
 機構は「公にすることにより,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある不開示情報である」と判断しているが,同号ただし書きに定めるとおり,本件情報は,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要である」との比較考量の上,判断されなければならない。
 この場合の「当該法人」とは,首都高会社を指すのか,それとも本件事故の原因者らである特定会社X,特定会社Y及び特定会社Z(以下,併せて「本件特定会社」という。)を指すのか判然としないが,いずれの場合でも,異議申立人としては,本件情報を公にすることにより保護される一般利用者の生活又は財産の利益のほうが,これを公にしないことにより保護される当該法人の権利利益よりも,利益を保護する必要性が上回ると考えている。なぜなら,本件情報を公にしないと,一般利用者(本件事故により影響を受けた不特定多数の一般個人及び一般法人)に本件事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなるからである。
 また,多大な直接損害を首都高会社に与え,さらに多大な間接損害を一般利用者に与えた本件事故の原因者に関する情報を公にした場合でも,本件事故の原因者の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれは皆無,又はあったとしても僅少であると考えられる。
 本件情報を公にすることにより首都高会社は,一般利用者が懸念している本件事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性の懸念を相当な範囲で払拭することが可能となると異議申立人は考えている。また,本件特定会社は,首都高会社に与えた損害を負担したかどうかを知らしめることで,一般利用者に対する責任の一端が果たせることになると考えている。
 また,本件情報を公にすることにより当該法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるかどうかに関して,それぞれのキーワードの観点から考察してみる。
 まず,「権利」については,当該法人の財産権を指すと考えられるが,本件情報を公にしても,首都高会社はもとより本件特定会社の財産権を侵害することはない。
 次に,「競争上の地位」については,該当法人の公正な競争関係における地位を指すと考えられるが,本件情報を公にしても,首都高会社はもとより本件特定会社の公正な競争関係における地位が侵害されることはなく,むしろ,今後同様な事故をその他一般利用者が起こした場合の対処の指針が公にされることから,公正な競争に資することになる。
 次の「その他正当な利益」についても,本件情報を公にすることが,今後,類似事故が発生した場合,関係者の対処方針におけるノウハウ,信用等,関係者の運営上の地位の保護や保全に資することになる。
 最後に,「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては,本件特定会社が本件事故後,これまで一度も正式な記者会見をしたことがなく,ホームページでの本件事故の経緯や謝罪の公表もないことから,本件特定会社への世間の批判には厳しいものがある。むしろ,機構が本件情報を積極的に公にすることで,そうした本件特定会社への批判等が軽減できるようになると考えられる。また,本件特定会社にとって,憲法上,守られるべき権利の保護の必要性は特に見当たらず,本件特定会社と機構との関係等で十分考慮しなければならない必要性も見当たらない。
 以上のことから,本件情報が公開されることで,損害を原因者負担としたかどうかの経緯が判然とすることになり,一般利用者の生活と財産の保護に資する結果がもたらされる。
(イ)法8条に非該当
 本件情報に係る文書の存否を明らかにするためにも,請求拒否はできない。
ウ よって,原処分を取消し,全面開示を求める。
(2)意見書
ア 機構による不開示決定の不当性
 機構は,異議申立人による開示請求を受け,以下の理由を付して,平成24年12月25日付け総総第119号の法人文書不開示決定通知書により,不開示決定(原処分)を行った。この決定理由について,機構は,「異議申立人が開示請求を行った@ないしH及びJないしLの法人文書は,作成・取得しておらず不存在であるため」と理由説明書で主張するが,一般市民にとっては,それをそのままうのみにすることは困難である。
 なぜなら,首都高会社史上最大と言われる物損事故である本件事故で首都高会社が被った損害は,首都高会社にとっても,施設を保有する機構にとっても,さらにそこを通行する利用者にとっても,規模的に甚大であり,本件事故について,組織内で協議をした経緯があるはずであり,その結果,@ないしBなどの情報が存在こそすれ,不存在であるはずがないからである。
 さらに,マスコミ報道によれば,特定年月Bに本件特定会社を相手取って首都高会社が損害賠償を求め,東京地裁に提訴した事件が存在することは明らかであるから,一般市民の通常の考えによれば,少なくともEないしHの情報が存在することが想定される。
 しかし,@ないしH及びJないしLの法人文書は,いずれも機構の内部文書であるため,機構が不存在と主張すれば,それを覆せる根拠を外部にいる異議申立人として入手できる立場にはない。
 機構は,Iの法人文書に限り,「その存否情報が,法5条2号イに該当する法人に関する情報であるとして,公にすることにより,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある不開示情報であるため,法8条の規定に基づき,当該法人文書の存否を明らかにしないで,開示請求を拒否する」と判断した。
 特定年月日C付けの特定報道の記事によれば,機構は,加害者(原因者)である特定会社Zが加入する保険会社である特定協同組合に特定年Dの早い時期に損害賠償の請求書を発出したことがうかがえる。ということは,Iが存在することを意味している。
 以上のように本件開示請求に係る@ないしH及びJないしLの法人文書については,機構が存在を否定しているが,少なくともその一部は存在している可能性がある。
 また,機構が不存在とした「特定年月Bに首都高会社が本件事故の本件特定会社を相手取り東京地裁に提訴した損害賠償請求事件関連情報を含む「I その他」情報」については,上記の報道記事によれば,機構は,本件事故をめぐる首都高会社が原告として,被告の本件特定会社を相手取って提起している訴訟には参加していないことがうかがえるが,これだけの規模の大きな重要事件であることから,首都高会社の上級機関である機構に,その裁判情報が不存在であるということは到底考えられない。
 よって,異議申立人は,@ないしH及びJないしLの法人文書について,「実際に機構が作成又は受理した書類である」ので,公にすることが必要だと判断する。そしてIの法人文書も異議申立人の主張どおり,公にされなければならない。
イ 機構の主張への反論
(ア)@ないしH及びJないしLの法人文書の一部には,前述のとおり,機構が作成若しくは受理していなければならない文書,又はその可能性が高い文書が含まれていなければならないはずであることから,異議申立人の主張には正当な理由がある。
 ただし,どの法人文書が存在するのかは,異議申立人には調査できる権能がないことから,情報公開・個人情報保護審査会の手で,きちんと機構を調査してもらうしか方法がないのも事実である。
(イ)Iの法人文書について,機構は,「道路法58条に定める原因者負担金について機構が行った原因者への督促に係るものである。機構が行う原因者負担金の督促は,道路整備特別措置法(以下「道路特措法」という。)40条1項並びに45条3項及び4項の規定に基づき,首都高会社等の高速道路会社が督促した原因者負担金が指定した期限までに納付されない場合に,高速道路会社からの申請により行うものであり,納付すべき金額が納付されないときは,機構は国税滞納処分の例により強制徴収することができるものである。したがって,本件特定会社に係るIの法人文書の存否を答えることは,本件特定会社が原因者負担金を滞納しているという事実の有無を明らかにする結果を生じさせるものである」と理由説明書で主張している。
 前述のように報道では,機構は加害者(原因者)の特定会社Zが加入する保険会社(特定協同組合)に,特定年Dの早い時期に損害賠償の請求書を発出したとされており,Iの類の法人文書が存在していることは明らかである。
 また,機構は,不開示の理由として,機構にとって「その他正当な利益」が害されるおそれがあると主張し,情報公開・個人情報保護審査会の答申(平成21年度(行情)答申第535号)を挙げて,「これには国税を滞納しているか否かに係る事実が含まれるとされており,原因者負担金を滞納しているか否かに係る事実についても同様にこれに含まれるものと考える」と主張している。
 しかし,道路特措法40条1項並びに45条3項及び4項の規定では,首都高会社等が督促した原因者負担金が原因者により支払われない場合,首都高会社等が機構に申請して,機構が督促し,それでも支払われない場合には,「国税財滞納処分の例」により強制徴収できると定めているだけである。
 すなわちここでは,法律により国税滞納者に対する強制徴収にならって,問答無用で財産の差押えが可能であるという法的な類似性を示しているだけであって,それを直ちに「原因者負担金を滞納しているか否かに係る事実についても同様にこれに含まれるものと考える」と主張するのは失当である。
 日本国民の義務である国税支払いの滞納者と,公益的な事業とはいえ,民営化された首都高の施設に損害を与えた原因者の義務である原因者負担金支払いの滞
納者とでは,その性格は全く異なるからである。
 機構はまた,法5条2号ただし書について,異議申立人の主張である「Iの法人文書に係る情報を『公にすることにより保護される一般利用者の生活又は財産の利益のほうが,これを公にしないことにより保護される当該法人の権利利益よりも』上回る理由として,当該情報を公にしないと『事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなる』こと」に対して,「『当該情報の不開示』と『事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなる』こととは無関係なので,ただし書に規定する情報には該当しない」と主張している。
 本件事故は,特定年月日Aに発生したが,本件事故の影響の甚大さにもかかわらず,本件事故による被害と復旧については首都高会社のホームページやマスコミによる報道が逐次なされた。しかし,本件事故の原因者である特定会社Zや,その元請である特定会社Y,そして荷主である特定会社Xは,本件事故に関する責任や謝罪を含め,記者会見を開くことも無く,一貫して沈黙を守っている。マスコミも,本件特定会社に対しては,なぜか取材には消極的な姿勢をとっていた。実質的に荷主から配送業務を請け負っていた特定会社Yは,事故発生の3日後から,ホームページを閉鎖しており(その後再開),本件事故を契機に情報発信を警戒している姿勢が,国民の批判を浴びている。
 また,ネット上でも,本件事故に関する情報操作について原因者やマスコミ対応への不信感を綴った書き込みがなされており,異議申立人が管理するブログにおいても,本件事故に関するキーワードでのアクセスが今でも頻繁に行われている。
 こうした背景には,この本件特定会社による本件事故に関する情報不足が厳然として存在している。首都高速道路の事故発生から復旧までに,生活面,産業面で多大な負の影響を被った首都高速道路の利用者やその関係者にとって,本件事故を起こした原因者からの責任の自覚や謝罪,そして損害賠償に向けた姿勢が全く示されていない上にそれらについてマスコミも取材しようとせず,時間の経過とともに事件の風化だけが進んでいく状況の中で,こうした社会・経済面に多大な影響を及ぼした事故については,真相の究明,責任の所在,再発防止策,他の一般利用者の安心・安全といった要件がきちんと明らかにされない限り,いろいろなコンフリクトや不具合が発生しかねないのである。
 こうした状況を打開するには,首都高会社そして機構がきちんと原因者に対してその権限を最大限行使して,本件事故の真相と責任の所在,再発防止,そして,本件事故によって被った損害をきちんと原因者に負担させることにより,本件事故とは無関係の一般利用者に対して料金に転嫁していない証を示すことで,一般利用者の安心・安全を担保するしか方法はないと考える。
ウ 特記事項
 機構の理由説明書によれば,特定会社Zが損害賠償金を支払わない場合には,首都高会社の申請に基づき,「機構は国税滞納処分の例により強制徴収することができる」とある。国税の滞納者に対して,差押えができるということと同じ権限を法律で付与されていることになる。
 となれば,本件特定会社である特定会社X,特定会社Y及び特定会社Zが原因者負担金を滞納していれば,機構は,問答無用で財産を差し押さえればよいことになる。
 しかし,機構からの理由説明書をよく読むと,「Iの法人文書の存否を答えることは,本件特定会社が原因者負担金を滞納しているという事実の有無(以下「本件存否情報」という。)を明らかにする結果を生じさせる」ものであり,「公にすることにより,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」として「ここにいう『その他正当な利益』とは,ノウハウ,信用などの法人の運営上の地位と解されているが,情報公開・個人情報保護審査会の答申(平成21年度(行情)答申第535号)では,これには国税を滞納しているか否かに係る事実が含まれるとされており,原因者負担金を滞納しているか否かに係る事実についても同様にこれに含まれるものと考える」とある。
 そして,「本件存否情報は,当該法人に関する情報であり,これを公にした場合,信用などの法人の運営上の地位を害するおそれがあることから,本件特定会社の権利,競争上の地位その他正当な和」益を害するおそれがある。したがって,本件存否情報は,法5条2号イの不開示情報に該当するものである」と結論付けている。
 ここでいう「当該法人」というのが,首都高会社なのか,それとも特定会社X,特定会社Y及び特定会社Zなのかは,今ひとつよく分からないが,本件特定会社という文言が示されていることから,特定会社Z側のことを意味していると思われる。
 となると,事は重大である。なぜなら,巨額の損失を首都高会社(及び機構)に与えた特定会社Z側に対して,機構側が,「権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と認識しているからである。
 今回の事件では,依然として首都高会社と特定会社Zら原因者との間で係争中とはいえ,財産差押えという伝家の宝刀を抜く権限を持つ機構としては,Iの存在を公表することにより,「その他正当な利益」が害されるという問題が発生するおそれがあると主張している。
 しかし,どのような問題なのか,具体的な事例が示されていない。
 異議申立人は,本件対象文書の開示により,機構にとっての「その他正当な利益」が害されることはないと考えるが,さらに本件特定会社の「法人の運営上の地位を害するおそれ」などは,全く考慮される必然性は無いと考えている。
 むしろ,本件対象文書をきちんと開示することにより,機構がきちんと督促状等を特定会社Z側に出していることが公に認識されることになり,そのことにより,本件事故により生活や仕事の面で様々な悪影響を被った首都高速道路利用者らはもとより,異議申立人を始め,不特定多数の首都高速道路の利用者や国民に対して説明責任を果たすことにもつながり,ひいては,首都高会社や機構の信用を高めることになるからである。
 かかる状況を,あらゆる観点から検討,分析,熟慮しても,機構による不開示決定の処分には根拠が無く,処分の取消しを求める。
第3 諮問庁の説明の要旨
1 原処分について
 機構は,本件開示請求を受け,以下の理由を付して,平成24年12月25日付け総総第119号の法人文書不開示決定通知書により,不開示決定(原処分)を行った。
 異議申立人が開示請求を行った@ないしH及びJないしLの法人文書は,作成・取得しておらず不存在であるため。
 また,Iの法人文書に係る存否情報は,法5条2号イに該当する法人に関する情報であって,公にすることにより,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある不開示情報であるため,法8条の規定に基づき,当該法人文書の存否を明らかにしないで,開示請求を拒否する。
2 原処分の妥当性について
 以下のとおり,原処分を維持することが妥当である。
(1)開示請求に係る@ないしH及びJないしLの法人文書について
 @ないしH及びJないしLの法人文書を,機構が「作成又は受理」した事実はない。異議申立人の主張には根拠がなく,失当である。
(2)開示請求に係るIの法人文書について
ア Iの法人文書の性格
 Iの法人文書は,道路法58条に定める原因者負担金について機構が行った原因者への督促に係るものである。機構が行う原因者負担金の督促は,道路特措法40条1項並びに45条3項及び4項の規定に基づき,首都高会社等の高速道路株式会社が督促した原因者負担金が指定した期限までに納付されない場合に,高速道路会社からの申請により行うものであり,納付すべき金額が納付されないときは,機構は国税滞納処分の例により強制徴収することができるものである。
 したがって,本件特定会社に係るIの法人文書の存否を答えることは,本件特定会社が原因者負担金を滞納しているという事実の有無(本件存否情報)を明らかにする結果を生じさせるものである。
イ 法5条2号イの該当性
 法5条2号イは,法人に関する情報であって,公にすることにより,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを不開示情報と規定している。
 そして,ここにいう「その他正当な利益」とは,ノウハウ,信用などの法人の運営上の地位と解されているが,情報公開・個人情報保護審査会の答申(平成21年度(行情)答申第535号)では,これには国税を滞納しているか否かに係る事実が含まれるとされており,原因者負担金を滞納しているか否かに係る事実についても同様にこれに含まれるものと考える。
 本件存否情報は,当該法人に関する情報であり,これを公にした場合,信用などの法人の運営上の地位を害するおそれがあることから,本件特定会社の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。
 したがって,本件存否情報は,法5条2号イの不開示情報に該当するものである。
ウ 法5条2号ただし書の該当性
 異議申立人は,法5条2号ただし書の適用を主張し,Iの法人文書に係る情報を「公にすることにより保護される一般利用者の生活又は財産の利益のほうが,これを公にしないことにより保護される当該法人の権利利益よりも」上回る理由として,当該情報を公にしないと「事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなる」ことを挙げている。
 しかしながら,当該情報を公にしないことと「事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなる」こととは無関係であることから,当該情報は法5条2号ただし書に規定する情報には該当せず,異議申立人の主張は失当である。
エ 法8条の該当性
 本件存否情報について答えることは,前述のとおり法5条2号イの不開示情報を開示することとなるため,法8条の規定により開示請求を拒否すべきである。
第4 調査審議の経過
 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
 @ 平成25年1月25日 諮問の受理
 A 同日         諮問庁から理由説明書を収受
 B 同年3月7日     異議申立人から意見書を収受
 C 平成26年6月24日 審議
 D 同年9月2日     審議
 E 同年10月20日   審議
 F 同年11月12日   審議
第5 審査会の判断の理由
1 本件対象文書について
(1)本件開示請求は,別紙に掲げる文書(本件対象文書)の開示を求めるものである。
 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,原処分は本件開示請求の趣旨をどのように解して行ったのかについて確認させたところ,諮問庁は以下のとおり説明する。
ア 本件開示請求は,本件事故に関して,「機構が作成又は取得した」次の2種類の文書のうち,平成20年度以降の法人文書ファイル管理簿に掲げられている「@ないしLの情報」が記載されているそれぞれの法人文書の開示を求めているものと捉えたものである。
(文書1)法令により道路管理者の権限を代行する機構が,本件特定会社の過失で損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を本件特定会社に命じた経緯を示す文書
(文書2)本件特定会社の過失により道路管理者の首都高会社が被った損害の賠償に関して機構が作成もしくは入手した情報(が記録されている文書)
イ 本件事故においては,首都高会社が自ら復旧工事を行っており,文書1のような原因者に工事等を命じるようなことは行われておらず,そもそも機構はそのような文書を保有していないことから,専ら文書2に係るものを対象とし,(i)@ないしH及びJないしLの情報が記載された法人文書については,不存在により不開示,(ii)Iの情報が記載された法人文書については,法8条の規定に基づき,存否応答拒否により不開示とする処分(原処分)を行ったものである。
(2)当審査会において,機構の法人文書ファイル管理簿の提示を受けて確認したところ,異議申立人が開示請求書において列挙した@ないしKについては,同管理簿に掲載された文書ファイル名とほぼ一致することが認められ,異議申立人が「本件対象文書に記載された情報(本件情報)を公にすることが必要」などとしていることも踏まえれば,本件開示請求は,機構が本件事故に関する情報としてどのような情報をどのように保有しているかが分からないことから,法人文書ファイル管理簿に記載された法人文書ファイルのうち該当する可能性のある@ないしKを例示しつつ,「L その他,もしあれば」として,機構が保有する本件事故に関する全ての情報が記載された法人文書の開示を求めていると解することが相当と認められる。
 すなわち,本件開示請求は,開示請求者の意図に鑑みれば,本件事故に関して機構が保有する法人文書について,その事故対応の状況に応じて「文書1」又は「文書2」の開示を求めているものと解すべきである。
 これに対し,原処分は,上記(1)イで諮問庁が説明するように,本件事故については首都高会社が自ら復旧工事を行っていることから文書2を対象としつつ,本件工事に関する法人文書は,@ないしH及びJないしLに該当するものはなく,「I原因者負担督促状(控)等」の法人文書ファイルに含まれる文書については,その存否を明らかにしないで不開示としたものと解される。
(3)以上の状況を踏まえて,異議申立人は,本件事故に関する法人文書は存在しているはずであるとして原処分の取消しを求めているが,諮問庁は,原処分を妥当としていることから,以下,本件対象文書の保有の有無及び存否応答拒否の妥当性について検討する。
2 本件対象文書の保有の有無及び存否応答拒否の妥当性について
(1)本件対象文書の保有の有無について
ア 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,本件事故に関して,機構がどのように関与し,それに係るどのような法人文書の作成又は取得をしているのか確認させたところ,諮問庁は以下のとおり説明する。
(ア)本件事故については,首都高会社が自ら復旧工事を行い,首都高会社が原因者に対して原因者負担金の請求を行ったが,原因者からは当該負担金が納付されず,納付の督促を行っても納付されなかった。
 そのため,首都高会社から機構に対し,道路特措法の規定に基づく徴収申請が行われた。
(イ)機構は,この徴収申請に基づき,原因者に対する納付の督促を行った。
(ウ)機構からの納付の督促に対し,指定期限までに原因者から原因者負担金の納付はされなかった。その後,機構は,道路特措法の規定に基づき,原因者に対する強制徴収手続を行った。
 本件開示請求は,この頃にされたものである。
(エ)機構は,本件事故に関しては,上記のとおり,首都高会社からの徴収申請に基づく原因者負担金の督促・徴収関係の業務を行っており,当該業務に関する法人文書は保有しているが,当該業務に関連するもの以外の首都高会社が被った損害の賠償に関する文書については,本件開示請求があった時点では,首都高会社が起こした損害賠償訴訟に関するものも含め,保有していない。
イ 当審査会事務局職員をして,機構のホームページを確認させたところ,本件開示請求時点では,機構の業務実績報告書において,本件事故に関する上記ア(ア)及び(イ)に係る経緯等が公にされていることが認められる。
 そうであれば,文書1については,上記ア(ア)及び(イ)のとおり,本件事故に関して,原因者等に工事等を命じるようなことは行われておらず,文書1については保有していないとする諮問庁の説明に,不自然,不合理な点はなく,よって,機構において文書1を保有しているとは認められない。
 しかし,本件事故に関して,機構が首都高会社からの徴収申請に基づく原因者負担金の督促・徴収関係の業務を行っていることは公知の事実であって,当該業務に係る法人文書を作成・取得していることは当然であって,文書2に該当する何らかの法人文書を保有していることは明らかである。
(2)存否応答拒否の妥当性について
 諮問庁は,本件開示請求が,本件事故の原因者として本件特定会社を名指しして,その原因者が原因者負担金を滞納しているということを前提に関係文書の開示を求めるものであり,Iの情報が記載された文書の存否を答えることは,本件特定会社が原因者負担金を滞納しているという事実の有無(本件存否情報)を明らかにすることとなり,これを明らかにした場合,本件特定会社の信用が損なわれるなど,法人の運営上の地位を害するおそれがあることから,本件特定会社の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断し,Iの情報が記載された文書について存否応答拒否とした旨説明する。
 しかし,上記(1)イで述べたとおり,機構の業務実績報告書等によって,本件事故に関して,機構が首都高会社からの徴収申請に基づく原因者負担金の督促・徴収関係の業務を行っていることは公にされており,本件特定会社が当該事故の原因者である二とも報道等によって広く知られていることからすれば,本件特定会社が原因者負担金を滞納しているという事実の有無(本件存否情報)は,そのため機構から督促されているという事実を含め,既に周知であると認められる。
 また,機構においては原因者に対する督促を行っていることは明らかにしているとして乱 当該原因者として本件特定会社のうち特定会社X,特定会社Y及び特定会社Zのいずれの者に対して原因者負担金の督促を行っているかまでは明らかにしていないことから,本件存否情報は,当該原因者を明らかにする情報であるとの趣旨とも考えられるが,Iの情報が記載された文書の存否を明らかにしたとしても,そのこと自体によって本件特定会社のうち誰が原因者であるかまでは明らかになるとは認められない。
 原処分においては,本件対象文書につき,「あるとすれば文書2のうちIの情報が記載された文書」であるとして,当該Iの情報が記載された文書について存否応答拒否しているが,上記のとおり,Iの情報が記載された文書の存否を明らかにしたとしても,諮問庁の説明するような本件特定会社の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められず,本件存否情報は法5条2号イに該当するとは認められないので,Iの情報が記載された文書について法8条を適用したことは妥当とはいえない。
(3)小括
 原処分においては,文書2に該当する文書について,開示請求書において例示された@ないしH及びJないしLの情報が記載された文書は保有しておらず,「その存否は答えられないものの,あるとすれば」Iの情報が記載された文書であるとして,Iの情報が記載された文書のみ存否応答拒否とする決定を行ったものと解されるが,上記(1)のとおり,文書2に該当する何らかの文書を保有していると認められ,上記(2)のとおり,Iの情報が記載された文書について存否応答拒否したことは妥当ではない二とから,Iの情報が記載された文書の存否を明らかにしつつ,当該保有している文書2に該当する何らかの文書(Iの情報が記載された文書に限らず,少なくとも「L その他,もしあれば」に該当する文書の保有の有無も含め,改めて探索すべきである。)を対象として,改めて開示決定等をすることが相当である。
3 本件不開示決定の妥当性について
 以上のことから,本件対象文書につき,文書1を保有していないとしたことは妥当であるが,文書2のうち@ないしH及びJないしLの情報が記載された文書について,これを保有していないとし,文書2のうちIの情報が記載された文書について,その存否を答えるだけで開示することとなる情報は法5条2号イに該当するとして,その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定については,当該情報は同号イに該当せず,文書2のうちIの情報が記載された文書の存否を明らかにするとともに,当該Iの情報が記載された文書に限らず文書2を対象として,改めて開示決定等をすべきであることから,取り消すべきであると判断した。
(第5部会)
 委員 南野 聡,委員 椿 價美,委員 山田 洋

別紙 本件対象文書
 特定年月日A早朝,首都高速道路特定路線で,荷主である特定会社Xのマークをつけ,元請業者である特定会社Yの下請業者である特定会社Zのタンクローリーが横転して炎上した事故で,道路管理者の首都高会社が被った損害について,(1)法令により道路管理者の権限を代行する機構が,当該原因会社の過失で損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を本件特定会社に命じた経緯を示す文書,及び,(2)本件特定会社の過失により道路管理者の首都高会社が被った損害の賠償に関して機構が作成もしくは入手した情報のうち,平成20年度以降の法人文書ファイル管理簿に掲げられている次の情報。ただし,いずれも関係情報記載部分のみ。
 なお,特定年月Bに本件特定会社を相手取って首都高会社が計約34億5千万円の損害賠償を求め,東京地裁に提訴した事件にかかる情報も含む。
   @ 役員会の議事録
   A 監事監査関係
   B 記者発表
   C 特殊車輛通行受理・許可‐覧
   D 特殊車輛通行許可番号
   D 争議関係
   F 警告書等
   G 措置命令書管理簿
   H 措置命令書(控)等
   I 原因者負担督促状(控)等
   J 債務引受契約書
   K 道路資産の現地確認関係
   L その他,もしあれば
**********

■たいへん長文に亘る答申書ですが、結論としては、冒頭にあるように、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して、総理府の情報公開・個人情報保護審査会が「別紙に掲げる文書の一部について存否を明らかにしないで開示請求を拒否し,その余の部分を保有していないとして不開示とした決定は,取り消すべきだ」と判断したことです。

 この答申により、同機構が首都高の損害賠償に関して情報を隠そうとしている姿勢を改める可能性が高くなりました。

 おそらく、さほど遠からず、当会の異議申し立てに対する同機構からの決定通知が到来するものと見られます。

■最近、当会に寄せられた情報によれば、群馬県高崎市箕郷町上芝にある「多胡運輸株式会社」は、現在、「株式会社美生」に社名が変更されていますが、これは単に多胡運輸という社名が、安中市土地開発公社を舞台にしたタゴ51億円事件との絡みで、首都高横転炎上事故を契機に、あまりにも有名になってしまったため、そのイメージから脱却するべく、「多胡運輸」から「美正」に改名しただけであり、昨年はトラックの新車を10台以上購入しており、従業員も多胡運輸時代と変わっていないようです。

 首都高に対して巨額の損害を負わせ、係争中であるにもかかわらず、全く無風状態で営業を継続できるのは、やはり、タゴ51億円事件の使途不明金14億円以上の存在と、スポンサーであるホクブトランスポートと、そのバックにある出光興産のおかげだと見られます。

 やはり、19年前のタゴ51億円事件で焼け太りしたタゴ一族に、支援の手を差し伸べる勢力は、6年前の首都高での単独車両による事故としては国内史上最大規模の損壊事故を経てもなお、衰えていないことが証明されたわけです。

 最後に、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会の第5部会が下した情報不開示取消の答申をここであらためて評価したいと思います。

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内閣府のある建物。11月14日撮影。

【ひらく会事務局】
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