タゴに騙された挙句、市民を担保にとったメーンバンク群銀の思惑  土地開発公社51億円横領事件

■1998年12月9日に安中市が群馬銀行と和解した結果、タゴの豪遊の尻拭いのために103年もの間、毎年2000万円ずつ支払うという途方もない負担が市民の方にのしかかりました。前代未聞のタゴ51億円事件にふさわしく、その和解という名のもとに「103年ローン」という前代未聞の決着方法が市民に押し付けられ、タゴ事件関係者の平穏な生活が保証されることになりました。


この結末に憤りを覚えた安中市民の声を背景に、当会は、タゴ事件を巡り民事事件を係争してきた当事者である安中市長と群馬銀行頭取に対し1998年12月11日付で公開質問状を提出しました。このうち群馬銀行の頭取宛に提出した公開質問状は次のとおりです。

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【群馬銀行への公開質問状】(1998年12月11日)
群馬銀行頭取 吉田恭三殿
市政をひらく安中市民の会事務局長 小川賢
安中市土地開発公社巨額詐欺横領事件の民事正式和解について
12月2日に安中市議会が和解案を可決したのを受けて、貴殿は同日午後3時から貴行本店で記者会見した際、債務と和解金との差額9億3600万円、利息、遅延損害金全額の免除や、いわゆる100年ローンでの長期無利子返済での合意は「市民への混乱や悪影響を避けるため」と述べ、同月9日午後4時30分に前橋地裁で行われた標記事件に開する民事和解交渉において、貴殿は安中市・公社との問で和解を成立させ「今後は、公社・市との健全な金融取引を通じて、よりよい地域社会づくりの実現を図っていきたいと考えます」というコメントを出しました。
このことに関して市民は、公社事件による混乱や悪影響を避け、よりよい地域社会づくりをしてゆくため、次の事項について質問があるので、貴殿に回答を要求します。

質問1・貴殿は会見で「事務手続上など群銀側に落ち度はなく、注意義務を怠った経緯がなかった」と述べているが、本当にそう考えているのか
質問2・市民への混乱は今回の和解案における群銀側としての譲歩で解消されると考えているのか
質問3・遅延損害金の免除について言及しているが、民事訴訟では群銀は当初から14%の遅延損害金は、請求放棄しているはず。なぜ、訴訟内容と食い違う発表をしたのか
質問4・「公社の存続に協力する」と発表したが、公社の財務内容及び体質、ディスクロージヤなど、どのような検討、分析の結果と根拠に基づいて、百年以上にわたる公社との取引を続けていけると判断したのか
質問5・今回の和解にともなう群銀の逸失利益をいくらと算定しているか(期限の利益の放棄、被告市側の供託金の取り戻し是認など、各種別にいくらか。またトータルではいくらになるか)。またその算定根拠は何か
質問6・再発防止についての、群銀側としての対策はどのような内容のものを考えて実施しているのか
質問7・今後、安中市に対して地域経済や住民福祉の振興を、どのような方針で具体的に推進して行くのか
質問8・今後、株主をはじめ一般預金者や貸出先などの顧客に対して、今回の和解内容や逸失利益などについて、どのような説明を行うのか
質問9・群銀の逸失利益に関係して、事件関係者への責任問題はどのように調査し、公表するのか
質問10・民事裁判で、多胡邦夫が水増しして群銀から胴し取った金額について、安中市側は要物性の事実否認をしていた。今回、群銀は多胡邦夫が水増しした分のみならず正規の借入金額分についても債権放棄をしているようだが、この点について問題はないのか
質間11・通常の金融取引では考えられない条件での和解に合意したが、その背景にはどのような政治的圧力と判断があったのか
質問12・貴殿は、原告も被告も双方が被害者であることを強調しているが、加害者の立場としてはどう考えるか。また真の被害者は、安中市民であると思うか
質問13・普通銀行の場合、100年を超える長期金融取引は銀行法その他で許されているのか。もし法律に抵触する場合、こうした行為は背任とはならないのか
質問14・103年にわたり返済される和解金の債権は、簿外債権として内部処理済みか
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■期限の12月19日までに安中市長からは回答は有りませんでしたが、群馬銀行からは12月18日午後1時半から口頭で説明をしたい、との回答がありました。

群銀高崎支店(問屋町)での面談には、群銀側から高橋勇雄顧問弁護士と広報室長、当会から2名が出席しました。

最初に群銀から、「公開質問状には個別には答えられない。全体の中で質問してほしい」と注文が付きました。群銀が示した見解は概ね次の通りでした。

<群銀の見解>
●和解を中心に考えた時、金額的に譲歩はしたが、譲歩させられたとは思っていない。
●重要なのは和解条項の内容。市側の返済方法について、支払能力及び支払方について明確な文章作成を詰めの作業で行った。
●市側が提出した今後10年間の公社事業計画書を見て、充分返済可能な額として初回4億円と以降年2千万円を算出した。事業は公社、安中市、市議会で承認された上で実施されると確認している(ので不安はない)。
●公社での支払が滞った時は、連帯保証人の市側から払って頂くことになっており、全く心配がない。担保は安中市そして安中市民(住民税)だからだ。
●民事裁判を通じて最大限の主張をし、勝訴したと考えている。但し100%主張を通せば、自治体に対して財産差押えをするということにもなりかねず、異常な事態を避けるためにも和解を選んだ。
●政治的な圧力などとんでもない。そのような側面は一切なく、銀行トップの判断ですべてを主張した。経営トップが社会的、利益的、政策的な観点と、顧客としての安中市、そして当行の立場など総合的な見地から妥当以上の判断をして和解に至った。[その後、株主訴訟を意識してか「役員会での合議の上で」をしきりに強調していた]
●これからの安中市との取引関係を考えたとき、一刻も早く健全な友好関係を回復することが当行の利益と考えた。公社の事業計画には、団地などの開発も合まれており充分返済可能だと判断している。[開発計画の採算性や実現性も吟味したか、と訊ねると「詳細は知らないので」との返事]
●市側の支払能力はこの和解条件でギリギリだ。これ以上のことをすると安中市が漬れてしまう。企業的な判断というより市民のことを考えてのことだ。基本的に市民負担(住民税)となり、これらを中心に配慮した。お客様にはそのように説明する。
●群銀には、公社事件の先も後も安中市のメーンバンクだという自覚がある。利貸しをしたのも安中市の指定金融機関だからこそだ。公社への貸出を拒めば公社が存続できない。
●基本的にはこの事件は公社内の問題で、当行としては何ら関係のないことと思う。
●公社資料は帳簿の不完備など、いい加減な内容であり、民事裁判ではこの点を突いた。最後にもう少し主張しておきたいこともあったが、ほぼ群銀側の主張は出し尽くした。
●[10年後の見直し以降の支払について群銀が棒引きしてくれる、という声が議会関係者が上がっているが、との問に]そんなことは考えていない。
●民事裁判では、基本的に群銀は「過失なし」で争い、訴訟額の全額の支払義務を市側に認めさせた。
●供託金を市側が積んだというが、群銀側としては何のための供託金なのか判らない,供託金を認めることは、公社のデタラメの帳簿を認めることになる。だから供託金を市側が取り戻すことについて群銀は関知しない。
●供託部分は公社の帳簿と群銀の帳簿との相違によるものだろうが、これらは24億5千万円の和解金の中に含まれて支払われるものと判断している。なお係争中であっても、公社と群銀の帳簿で一致した返済部分は、きちんと受領した。
●[不幸にして安中支店を舞台に事件が起きたが貴行関係者の責任問題は、の問に対し]懲戒免職処分はない……確かに有ったが懲罰ではなく別の自然の懲罰はあったようだ。銀行内部のことなので。責任問題については、今まで話した以上のことは言えない。
●[当会から「全額免除は今からでも可能か」と打診したところ]24億5千万の支払全額免除はできない。14パーセントの延滞金利は、提訴の時点から訴訟額に含めなかったが、これは政策的な配慮と考えたからだ。
●銀行トップの背任については、常識的に考えても、そのような考え方は出てこない。
●[政治的圧力について、再度質問したところ]和解勧告が出た後、一回だけ中島市長が当行頭取に会いに来た。その際、市長は「金額をまけてくれ」と言った。群銀としては(和解で)安中市に恩を売り実を取った、と判断している。裁判でいつまでも主張し合い、敵対することは得策ではないと考えた結果だ。
●[事件で群銀が舞台となった背景に、他行が拒否していた利貸しを貴行だけが応じていたことがあげられるが、との問いに]当行は安中市のメーンバンクだ。どの企業でもメーンバンクが支えなければその組織は成り立たない。組織の要請が有れば、メーンバンクが貸し出す。他行とは市・公社への貸出額が全然違う。当行は安中市の指定金融機関だからだ。
●[安中市のプロジェクトチームが出した調査結果について]知らない。群銀としては、昭和60年頃まで遡って調査を行った。預金取引履歴などは殆ど残っているが、古いものは倉庫の奥にしまったので、所在特定が極めて困難。第三者に金が渡ったという証拠は当行の資料では掴めない。もし、そのような証拠が有れば、民事でももっと有利に進められた。市民の皆さんがそういう情報を持っていたなら裁判中に聞かせて欲しかった。[これに対し当会は「そのような情報の裏付けを取るために、何度も預金取引履歴を見せてほしいと要請したのに、預金者保護だといって全て拒否したのは群銀だった」と抗議した]
●[民事の係争も終わったのだから、公社との預金取引履歴などの事件関係資料を見せられるか、との問いに]市・公社から要請が有れば勿論見せる。市民からの要請には応えられない。民事が和解しただけになおさら市民に見せるわけには行かない。
●基本的に民事事件は終了したと思う。あとは安中市が損害金をタゴらからどう取り戻すかだが当行の関知する所ではない。
●和解金の債権は、貸金に対する未収利益として処理し、簿外処理とはしない。
●再発防止については、和解成立を踏まえて、あらためて文書をもって全行に注意喚起を行い、万全を期している。[具体的な対策を間いたが答はなかった]

■1時間半に渡る面談の中で、群銀は当会の活動に触れ「市民運動をしている皆さんが負担を軽減してほしいと言って来られたので、そのように対処したのに、なぜ群銀ばかりを責めるのか。皆さんはいったい(解決法として)何を求めているのか」との質問がありました。

これに対して、当会からは、「私たちは貴行が全額負担をしてくれれば、民事から派生するさまざまな問題は起こり得ないと、負担ゼロを何度も要請してきたが、結果的には和解で負担が確定した。大幅な減額についてはそれなりに評価するが、私たちが期待していた市民負担ゼロは結局実現できなかった。和解で確定した結果を尊重して、今後は市民負担回避の立場から対応して行きたい」と感想を述べました。

■群銀側には、民事和解により一件落着で「あとは安中市の問題だ」といった雰囲気が強く感じられました。反面、責任問題となると、しきりに落ち度はなかったことを強調する発言が目立ちました,群銀の膨大な逸失利益や103年という異常な返済方法も、すべて安中市を漬さないための政策的配慮であることを大義名分に「ともにやむを得ない決断だったことを理解してほしい」と繰り返していました。あとは安中市の問題だとばかりに、本件についてもうこれ以上関わりたくない様子がうかがえました。なお、この他にも当会では、公社の監督責任を有する群馬県知事と自治大臣に、12月13日付けで公開質問状を出していましたが、結局今に至るまで、返事はもらえておりません。

当会が群馬銀行と直接交渉したときは、安中市との和解直後だったため、群馬銀行は、かなりホンネの部分を吐露したかのようです。群銀の安中支店の支店長ら職員をはじめ、本店審査部など、群馬銀行でタゴ事件に関与した面々は、当時、かなり左遷人事を受けたという噂です。

■本来は、巨額の横領金が流出した先の、タゴ本人やその一族、そして横領金の臭いに引き寄せられて、甘い汁を吸ったタゴ事件関係者が、この103年ローンを支払うべきです。それを、とりやすいところからとるべく、安中市民を担保として考えた群銀と、市民の支払う税金から103年ローンの原資をまかなおうと安易に考えた安中市は、同じ穴のムジナと言えるでしょう。

しかし、どうにもなりません。タゴの最もよき理解者のひとりが、安中市の首長をやっているのですから、今後も引続き、同じムジナの2つの穴に、市民の公金が吸い込まれ続けることになりそうです。

【ひらく会情報部】
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写真上:市民を群銀の担保に差し出した安中市役所

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写真上:市役所と目と鼻の距離にあるタゴ自宅跡(左手前)

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写真上:まだ換価されていないタゴ一族の自宅跡(後方は市役所)
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