大同有毒スラグ問題を斬る!…鐵鋼スラグ協会1月14日発表の改正ガイドラインから見えてくる業界風土  スラグ不法投棄問題

■平成27年1月14日付の毎日新聞朝刊で、日本鉄鋼連盟傘下の鉄鋼スラグ協会が、鉄鋼スラグの取扱いに関するガイドラインを見直した、と大きく報道されました。さっそく当該記事を見てみましょう。


**********毎日新聞2015年01月14日20時28分(最終更新01月14日22時42分)
鉄鋼スラグ:製品管理のガイドライン改正
 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の移転代替地などで有害物質を含む建設資材「鉄鋼スラグ」が使われていた問題で、大手鉄鋼メーカーなどでつくる「鉄鋼スラグ協会」は14日、再発防止のため製品管理に関するガイドラインを改正し公表した。同協会は「会員会社が製造した鉄鋼スラグ製品の品質・販売管理に重大な不備があり、環境基準を上回る化学物質が検出され、鉄鋼スラグへの信頼をゆるがしかねない事案が発生した」と改正理由を説明している。
今回の問題では大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)が渋川市の建設会社に有害スラグとみられる資材を販売した際、販売額より多い費用を販売管理費などの名目で支払う「逆有償取引」と呼ばれる手法を取っていたことが明らかになっている。このため改正ガイドラインでは「販売代金を上回る金品の支払いは逆有償状態であると判断されるおそれがある。販売先に対し、名目を問わず販売代金以上の金品を支払ってはならない」と明記した。
 また「特殊鋼電炉の会員会社については、フッ素と六価クロムの発生源(の化学物質)を多量、頻繁に使用することから、積み付け山(製品を山積みした塊)ごとの検査を義務づけ、検査未了の山からは出荷しないこと」も記載。検査自体も年1回から月1回に改め、有害物質の拡散を防ぐとした。
 さらに、大同製のスラグは取引先の建設会社により天然砕石に混合され出荷されていたことから、改正では「混合前のスラグ単体での検査を義務づけ、この段階で基準値を超えたスラグの混合は認めない」とした。
 同協会は「大幅な改正で鉄鋼スラグへの信頼を積み上げたい」としている。
 スラグは鉄精製時に出る副産物でそのままでは産業廃棄物だが、リサイクル製品としての利用が認められている。廃棄物として処分するには多額の費用が掛かるが、逆有償取引ならより安価で引き取ってもらえることから、「リサイクル偽装」の温床とされてきた。【杉本修作】
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 今回、鐵鋼スラグ協会がどの様にガイドラインを改定したというのでしょうか?改定内容を精査してみました。どうやら鐵鋼スラグ協会は、大幅な改定と銘打って、業界への信頼を回復したいらしいですが…。

 鐵鋼スラグ協会のホームページを見ると次のとおり、3つほど文章が公開されています。

鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン  http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114.pdf
ガイドライン新旧対照表              http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114_02.pdf
ガイドライン見直しのポイントと今後の対応  http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114_03point.pdf

■これらの文章の中で、「ガイドライン見直しのポイント」について、その内容の一部を見ていきましょう

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<ガイドライン見直しのポイントと今後の対応>
 当協会の一会員会社が過去に製造した鉄鋼スラグ製品の品質管理及び販売管理等に重大な不備がある事案が発生したことから、かかる事案の再発を防止すべく、鉄鋼スラグ製品の一層の管理強化に向けて、「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を以下のように改正する。
(1)使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準の遵守徹底
@環境安全品質基準のより一層の周知徹底のための記載追加
平成26年8月に業界内で実施した緊急点検では、今回事案の当該会員会社以外の会員各社にあっては、使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基 準値を超過した鉄鋼スラグ製品の出荷は確認されていないが、環境安全品質基準のより一層の周知徹底を図るため、確認的に以下の記載をガイドラインに追加する。
(ア)鉄鋼スラグ製品は、その使用場所・用途により、当該使用現場において備えるべき環境安全品質基準があり、これらに適合させるための細心の注意が必要であることから、用途ごとにそれぞれ適用する環境安全品質基準の詳細。
(イ)使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準値を満たさない鉄鋼スラグは、鉄鋼スラグ製品として出荷せず、廃棄物処理法に従って適正に処理しなければならないこと。
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 上記の記載を見ると、まず(ア)において「環境安全品質基準に細心の注意を払え」と、基本中の基本、当然しなければならない義務についての記述から始まっています。“有害スラグ混合砕石”などと称して、見かけ上“毒”を薄めることで、科学知識に疎い住民の目をくらましてしまおう、などという悪(ワル)の所業をたしなめています。

 しかし(イ)では、「環境安全品質基準値を満たさない鉄鋼スラグは、鉄鋼スラグ製品として出荷せず、廃棄物処理法に従って適正に処理しなければならないこと」などと、今回の不法投棄の発端である、「スラグは有価物である」との認識を主張することを、完全にやめているわけでありません。まだまだ鉄鋼スラグ協会=業界では、スラグの不法投棄の余地を模索することを諦め切れていないことがうかがえます。

 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では、廃棄物を定義し、施行令で分類を示していますが、そこには「鉱さい」という区分が設けられ、スラグが分類されています。廃棄物処理法で「鉱さい」が区分されている以上、スラグは“毒”があろうとなかろうと、産業廃棄物です。法律で規定されているのですから、鐵鋼スラグ協会がどんな理屈をつけようとも産業廃棄物なのです。

“毒”が含まれていないスラグを従来のように有価物としてリサイクル偽装する余地を残そうとしています。鐵鋼スラグ協会は、産業廃棄物であるかどうかを決める立場にはありません。法律が決めているのです。鐵鋼スラグ協会は、これだけイメージダウンの手痛い目にあったのですから、そろそろこの辺で、きちんと法律に従うようにしてほしいものです。

■続いて次のポイントを見てみます。

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A混合調製前の鉄鋼スラグに対する分析検査の実施
改正前のガイドラインでは、鉄鋼スラグと鉄鋼スラグ以外の他の材料とを混合調製した状態でそのまま使用される場合に、混合調製前の鉄鋼スラグが備えるべき環境安全品質が明確に規定されていない。
これを踏まえ、以下の改正を行う。
(ア)鉄鋼スラグと鉄鋼スラグ以外の他の材料とを混合調製した後、そのままの状態で使用される製品を販売する場合は、まずは、混合調製前の鉄鋼スラグ単体で分析検査を行うことを義務付け、この段階で使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準値を超過した鉄鋼スラグの混合調製を認めない。
(イ)加えて、鉄鋼スラグと混合調製する他の材料に、基準値を超過する化学物質 が含まれる可能性もあることから、混合調製後の状態においても、再度、出荷前の分析検査を義務付ける。
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 当会は、「有害スラグ混合砕石のスラグそのものに有害物質が含まれている。だから、有害スラグそのものを調査しなければならない」とこれまで一貫して主張してきました。

 製品としての分析検査についても、「混合前に行う8項目の形式検査および混合後の5項目の受渡検査を実施しなければならない」ということを当会はずっと主張してきました。

 ところが大同特殊鋼は、群馬県に働きかけて、都合の悪い形式検査を省略し、受渡検査5項目のみを行えるようにルールを捻じ曲げていました。もしかしたら、こうした高等テクニックは、業界の要望を背景にした鐵鋼スラグ協会の入れ知恵だったのかもしれません。

 鐵鋼スラグ協会が1月14日に発表した今回のガイドラインの改正では、当会が主張してきた通りの分析検査のやり方が盛り込まれました。これは元々、土壌汚染対策法やそれを反映したJISを学習していれば当然のことなのです。

 何故今まで、鐵鋼スラグ協会=業界では、こうした当然のことが実行できなかったのでしょうか?

 鐵鋼スラグ協会は一般社団法人日本鉄鋼連盟に加盟する大手鉄鋼メーカーの集まりだから、逆らう人はいないとの安易な考えからなのでしょうか?

 しかしその結果、鐵鋼スラグ協会の信用は失墜してしまったのです。とりわけ、道路用鉄鋼スラグについては、故意に有害物質を不法投棄したわけですから、その責任は重いと考えられます。

 鉄鋼スラグ製品の多くは、環境面での優位性や長年の使用実績が高く評価され、2001年に施行された「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)の公共工事における特定調達品目(環境負荷低減に資する製品等)に指定されています。

 「環境負荷低減に資する」としながら、今回の事件では有害物質を不法投棄してしまったのですから、このままグリーン購入法の特定調達品目であり続けることは虫が良すぎる話です。

 まずは鉄鋼スラグ協会自ら襟を正し、指定を辞退することが肝要です。それから改めて改訂したガイドラインに則ってグリーン購入法の申請をしていただきたいものです。

■ひるがえって、今回の大同特殊鋼の多年に亘る、他に例を見ない大規模な有害スラグの不法投棄事件の舞台となった群馬県について、考えてみましょう。

 群馬県では平成26年5月9日に有害スラグ混合砕石を環境上安全だと宣言しています。
この分析方法は有害スラグそのものではなく、天然石と混合した状態でなされました。その状態でも、基準値スレスレの有り様です。

 鐵鋼スラグ協会が今回発表したスラグ取扱いのガイドラインの見直しを読むと、群馬県の安全宣言は大いに間違っています。しかも、群馬県は、この間違った安全宣言をホームページやマスコミを通じて、県民に広く宣言してしまいました。

 当会はここであらためて群馬県の行政関係者に対して強く指摘します。

誰が見たってあなたたちは間違っているではないか!
いつまで間違いを認めず放置するつもりか!
どのようにして県民を欺いた責任をとるんだ!
恥ずかしくはないのか!
県民が誇れる安全で安心できれいなグンマちゃんを返せ!


 ちなみに、群馬県の破廉恥な安全宣言についてはこちらの記事を参照ください。↓
http://www.pref.gunma.jp/houdou/h8100035.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1465.html

■さらに次のポイントを見てましょう。

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(2)不適切な販売取引の防止
鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、販売代金を上回る金品の支払いが行われることは、逆有償状態であると判断されるおそれがある。
この状態を回避するために、既に改正前のガイドラインにおいても、「販売価格が、運送費を下回るおそれがある場合は、運送業者と販売先は別法人とし、 両者の間に名目の如何にかかわらず処理料金に相当する金品の授受が無いよう 担保すること。」と規定されている。
しかしながら、改正前のガイドラインでは、販売先に対して、運送費であるかどうかを問わず、販売代金以上の金品を支払ってはならないことまでは明記されていない。運送費のみならず、業務委託費等も販売価格を上回るおそれがある。また、改正前のガイドラインでは、運送業者と販売先の間の処理料金に相当する金品の授受を禁じているが、間接的に、運送業者等から販売先に還流するおそれも否定できない。
これを踏まえ、以下の改正を行う。
(ア)「鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、名目の如何を問わず販売 代金以上の金品を支払ってはならない」ことを明記する。
(イ)「仮に、各会員が支払う運送費や業務委託費等が販売代金以上となるおそれがある場合は、各会員は、販売先以外の第三者を運送業者や業務委託先等として選定しなければならない」ことを明記する。
(ウ)「販売先に販売代金以外の金品が還流することを認識・把握しながら、販売先以外の業者(運送業者も含む。)に対し、販売代金以上の金品を支払ってはならない」ことを明記する。
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 鐵鋼スラグ協会は、(ア)で「鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、販売代金を上回る金品の支払いが行われることは、逆有償取引で産業廃棄物処理法の適用を受ける」となぜ明記しないのでしょうか?「国が定めたルールを明示して、それを遵守すること」となぜハッキリ記述できないのでしょうか?ほとぼりが冷めたら、まだまだ逆有償取引を続ける用意をして、チャンスを虎視眈々と狙っているのではないか、と懸念するのは当会ばかりではないと思います。

 この後も、そうした本音を疑われないように、縷々記述が続きますが、大同スラグ問題をこの1年近くつぶさに見てきた当会としては、鐵鋼スラグ協会=業界が、「なんとか、うまくやってくれ」という思惑を捨て切れていないのではないか、という懸念が見え隠れして仕方がないのです。

 確かに(ア)で「『鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、名目の如何を問わず販売 代金以上の金品を支払ってはならない』ことを明記する」と書かれていますが、続く(イ)で、「仮に、各会員が支払う運送費や業務委託費等が販売代金以上となるおそれがある場合」と、舌の根も乾かないうちに、すぐに“仮に”と続けているのです。

 そして「販売先以外の第三者を運送業者や業務委託先等として選定しなければならない」と続けていることから、“販売者以外なら良い”と逃げ道を作っているように思われます。

■実際に、大同有害スラグ不法投棄事件では、大同特殊鋼は、実際には佐藤建設工業が有害スラグを運搬・処理していたにもかかわらず、書類上は大同の子会社の「群馬丸太運輸」が“運搬”、「大同エコメット」が“処理”というふうに、書類上は詐称していました。この騙しのテクニックが、今回、鐵鋼スラグ協会=業界によって、公に継承されたことを示す格好になっているのが非常に気がかりです。

 鐵鋼スラグ協会は、「名義貸しによる詐称」という悪しき企業風土を持っているようです。これは、即ち、鉄鋼業界の企業体質と言うことができます。

 鉄鋼スラグは「鉱さい」という産業廃棄物です。これをなんとか有価物として取り扱いたいと考えるから、(ウ)のように面倒な記述を追加しなければならなくなっています。産業廃棄物は処分料を払って処分すればいいのです。

■鐵鋼スラグ協会は当会の問い合わせに対して、10月20日に次の回答をよこしました。↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1428.html

-----元のメッセージ-----
差出人: 内田靖人 y-uchida@slg.jp
宛先: ogawakenpg ogawakenpg@aol.com
送信日時: 2014/10/20, 月, 17:32
件名: Re: スラグの安全評価見直しの動きについて
市民オンブズマン群馬
   小川 様

お世話になります。
メールで頂いた件について、ご連絡いたします。

お問い合わせの内容については、弊協会としてご説明する立場にございません。
弊協会として申し上げられる内容は、以前のメールでもご連絡いたしましたように、
このような事態を今後は起こさないように業界として管理強化を図っていくことです。
なお、今後も本件に関するご質問には、お答えしかね、
協会事務所を訪問されてもご回答することができませんことを、どうぞご承知置きください。
今後とも、弊協会の活動にご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

鐵鋼スラグ協会
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 従って、今回のスラグガイドラインの改定についての当会のコメントも、直接同協会に伝えることができません。鐵鋼スラグ協会には、ぜひこのブログの文章を読んでほしいものです。

■繰り返しになりますが、最後に付け加えたいことがあります。

鉄鋼スラグ協会は、速やかにグリーン購入法の指定を辞退せよ!

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄調査チーム・この項続く】

※関連情報
鐵鋼スラグ協会のホームページより
http://www.slg.jp/news/150114.html
「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」の改正について
 当協会では、鉄鋼スラグ製品の利用促進ならびに鉄鋼スラグ製品の安全性および信頼性を確保するため、「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を策定するとともに、会員各社に「自社管理マニュアル」の整備を義務付け、鉄鋼スラグ製品の適切な製造、販売および利用に取り組んでまいりました。
 しかしながら、当協会の一会員会社が過去に製造した鉄鋼スラグ製品の品質管理及び販売管理等に重大な不備があり、当該製品を用いて整備された道路等において、土壌環境基準値を上回る化学物質が検出されるという、鉄鋼スラグ製品への社会的信頼を揺るがしかねない事案が発生いたしました。
 当協会といたしましては、かかる事案の再発を防止すべく、鉄鋼スラグ製品の一層の管理強化に向けてガイドラインを改正することとし、有識者による「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン改正検討委員会」を設置し、5回の委員会での検討を進めてまいりましたが、今般、改正ガイドラインを取り纏めましたのでお知らせいたします。
 今後は、会員各社に改正ガイドラインを周知するとともに、自社管理マニュアルを見直すよう指導し、改正ガイドラインに基づく運用を徹底いたします。また、第三者機関による会員各社におけるガイドラインの遵守状況の審査、ガイドラインの定期的な点検等も実施し、鉄鋼スラグ製品の製造、販売、利用が適切に行われるよう継続して取り組んでまいります。

<鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン>
http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114.pdf
<ガイドライン新旧対照表>
http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114_02.pdf
<ガイドライン見直しのポイントと今後の対応>
http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114_03point.pdf
<「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン改正検討委員会」委員名簿>
http://www.slg.jp/pdf/guideline20150114_04meibo.pdf

【鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン】 2015年1月14日改正
                    鐵鋼スラグ協会
鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン
1.目的
鐵鋼スラグ協会各会員(以下「各会員」という。)が鉄鋼スラグ製品を販売するにあたり、取引を円滑に行うとともに、需要家(ここで需要家とは、各会員が行う鉄鋼スラグ製品の販売先のみではなく、鉄鋼スラグ製品の使用方法や施工方法を実質的に決定する者(例えば施主、施工業者、設計コンサルタントなど)を含むものとする。また、ここで各会員の販売先とは、売買契約によって鉄鋼スラグ製品を購入する者をいう。)での利用に際しその特性を活かし適切な使用がなされるために、製造・販売者として遵守すべき事項を本ガイドラインで定める。
2.適用範囲
2−1.鉄鋼スラグ製品
本ガイドラインは、各会員が販売する全ての鉄鋼スラグ製品に適用する。
(1)各会員が自ら鉄鋼スラグのみで製品を製造する場合
各会員が自ら鉄鋼スラグのみで鉄鋼スラグ製品を製造する場合には、その製品を本ガイドラインにおける鉄鋼スラグ製品とする。
(2)各会員自ら他の材料と混合調製(鉄鋼スラグを破砕・整粒し、他材と混合し、鉄鋼スラグ製品を加工・製造すること)する場合
各会員が自ら鉄鋼スラグ(他の会員から購入したものを含む)と他の材料を混合調製した後、そのままの状態で使用される場合には、混合調製後の製品を本ガイドラインにおける鉄鋼スラグ製品とする。
(3)会員が販売した後、会員以外の第三者が他の材料と混合調製する場合
各会員が鉄鋼スラグ(他の会員から購入したものを含む)を会員以外の第三者に販売した後で、会員以外の第三者が鉄鋼スラグと他の材料を混合調製した後、そのままの状態で使用される場合には、各会員から会員以外の第三者へ原料として販売する鉄鋼スラグを本ガイドラインにおける鉄鋼スラグ製品とする。他方、会員以外の第三者が会員から購入した鉄鋼スラグを原料として他の材料と混合調製したものの品質管理は、本ガイドラインの適用範囲に含まれないものとする。
2−2.廃棄物として処理される鉄鋼スラグの扱い
使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質を満たさない鉄鋼スラグは、鉄鋼スラグ製品として販売せず、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って、適正に処理しなければならない。
産業廃棄物処理業者に処理を委託し鉄鋼スラグ製品として再生される場合、及び鉄鋼スラグ製品として再生できずに処分場で埋め立て処分される鉄鋼スラグは、本ガイドラインは適用されず、平成27年1月14日付日本鉄鋼連盟「産業廃棄物処理業者に処理を委託する鉄鋼スラグ等の管理指針」(別添1参照)を適用するものとする。但し、当該産業廃棄物処理業者がセメント会社の場合は、平成24年4月1日付日本鉄鋼連盟「セメント会社に産業廃棄物処理を委託する鉄鋼スラグの管理指針」(別添2参照)を適用するものとする。
また、ある会員が、他社から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って処理することを委託された「鉱さい」(ここで「鉱さい」とは、処理委託された鉄鋼スラグ及び鋳物砂をいう。)を自ら処理した後、鉄鋼スラグ製品として再生する場合は、再生後の製品を本ガイドラインにおける鉄鋼スラグ製品とする。
3.各会員の責務
各会員は、本ガイドラインに定める事項に従い、自社の鉄鋼スラグ製品に関わる管理マニュアルを整備するものとし、鉄鋼スラグ製品の製造・販売にあたっては、本ガイドライン並びに当該自社のマニュアルを遵守しなければならない。
各会員は、本ガイドライン等を遵守することを通じて、法令遵守はもとより、鉄鋼スラグ製品の品質に対する懸念(膨張に対する懸念等)、鉄鋼スラグ製品に起因する生活環境の保全上の支障が発生するおそれ(高pH水流出等)等を未然に防止するとともに、鉄鋼スラグ製品への信頼の維持・向上に努めなければならない。
4.鉄鋼スラグ製品の品質管理
(1)備えるべき環境安全品質
@鉄鋼スラグ製品が備えるべき環境安全品質として、法律、法律に基づく命令、条例、規則及びこれらに基づく通知(以下「法令等」という。)、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針で定められているものがある場合は、各会員はこれを遵守しなければならない。
A各会員は、鉄鋼スラグ製品の使用場所を管轄する自治体が定めるリサイクル認定等の独自の認定制度に適合する製品として、鉄鋼スラグ製品を販売するときは、当該認定に関して自治体が定める環境安全品質基準に従わなければならない。
B法令等、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針などに明確な環境安全品質の定めがない場合は、各会員は、鉄鋼スラグ製品の環境安全品質の適合性については、使用される場所等や用途に応じて適用される基準(別紙1−使用場所・用途に応じた鉄鋼スラグ製品に適用する環境安全品質基準参照)を遵守しなければならない。
なお、別紙1に挙げた鉄鋼スラグ製品のうち、他の材料と混合調製した状態でそのまま使用される製品(会員が他の材料と混合する場合および会員以外の第三者が他の材料と混合する場合の双方を含む)については、混合調製に関する公的規格等がない間の予防的措置として、混合調製後の鉄鋼スラグ製品に加えて、混合調製前の鉄鋼スラグにおいても、別紙2に定める環境安全品質(別紙2−他の材料と混合調製した状態でそのまま使用される鉄鋼スラグ製品に適用する環境安全品質基準参照)を適用する。
(2)前項の環境安全品質以外の品質規格等
@鉄鋼スラグ製品が備えるべき品質規格等として、法令等、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針等で定められているものがある場合は、各会員はこれを遵守しなければならない。
A各会員は、鉄鋼スラグ製品の使用場所を管轄する自治体が定めるリサイクル認定等の独自の認定制度に適合する製品として、鉄鋼スラグ製品を販売するときは、当該認定に関して自治体が定める品質規格等に従わなければならない。
B法令等、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針等で明確な品質規格等の定めがない場合は、各会員は、需要家との間で品質規格等を取り決め、これを遵守しなければならない。
但し、各会員が販売する製鋼スラグを使用した鉄鋼スラグ混合路盤材は、道路用鉄鋼スラグ(JIS A5015:2013)で規定する水浸膨張比の出荷検査に合格したものでなければならない。
(3)出荷検査
鉄鋼スラグ製品の出荷検査は、原則として、製造・販売者により、JISまたは需要家との間の取り決めに従い行われることとする。
但し、鉄鋼スラグ製品の環境安全品質に係る分析検査は、製造・販売者とは別法人のJIS Q 17025若しくはJIS Q 17050-1及びJIS Q 17050-2に適合している試験事業者、または環境計量証明事業者として登録されている分析機関により、製造ロット毎に、最低でも1ヵ月に1回以上行わなければならない。ここで製造ロットとは、工場ごとの製造実態、品質管理実態に応じて、製造事業者が規定するものとするが、特殊鋼電炉会社会員においては、鋼種製造において、蛍石やクロム合金を多量または頻繁に使用するため、製品ヤードの鉄鋼スラグ製品の積み付け山を一つの製造ロットとして管理しなければならない。但し、その積み付け山は、1ヵ月の製造量を最大とする。
また、その結果に係る記録については、少なくとも10年以上の保管期限を定めて保管されなければならない。なお、本ガイドラインにおいての環境計量証明事業者とは、計量法に基づく計量証明の事業区分が「水又は土壌中の物質の濃度に係わる事業」の登録を受けた者とする。
また、需要家から要求があった場合には、各会員は、環境安全品質に係る記録を提出することとする。
5.鉄鋼スラグ製品の販売管理
5−1.受注前
(1)需要家への品質特性の説明
各会員は、需要家から鉄鋼スラグ製品の引き合いがあった場合は、需要家が、法令を遵守するとともに、不適切な使用により生じ得る環境負荷に関する理解を深めるために、用途に応じてパンフレットや技術資料を提供する等して、需要家に対して書面で鉄鋼スラグ製品の品質特性と使用上の注意事項(pH特性、膨張特性等)を説明しなければならない(別紙3参照)。
(2)受注前現地調査要否の判断、受注可否の判断、施工中及び施工後の調査要否の判断
各会員は、需要家から鉄鋼スラグ製品の引き合いがあった場合は、需要家から使用場所(運送、施工中の一時保管場所を含む。以下同じ)、使用状態、施工内容、施工方法などの説明(別紙4−面談、現地調査項目例参照)を受けた上で、使用場所の現地調査の要否を判断し、必要と判断される場合には現地調査を行わなければならない。当該現地調査を踏まえ、事前に関係者間で協議した結果、施工中(一時保管場所を含む)、施工後を通じて必要な対策を講じてもなお、法令違反を惹起する疑い、または生活環境の保全上の支障が発生するおそれがある場合は、各会員は、販売を見合わせなければならない。また、販売可能と判断したものについて、各会員は、施工中・施工後の調査の要否を判断し、必要と判断される場合には施工中・施工後の調査をしなければならない。
使用場所の現地調査項目は、別紙調査項目例を基準に、各会員にて予め定めるものとする。
受注前現地調査により販売可能と判断した場合においても、各会員は、施工中及び施工後の留意点について、需要家に説明するとともに、必要に応じて行政・近隣住民との事前協議を行うこととする。
(3)受注前現地調査の実施基準、受注可否の判断基準、施工中及び施工後の調査の実施基準
@使用場所の受注前現地調査の実施基準、A受注前現地調査の結果に基づいた受注可否判断基準(別紙5−受注可否判断基準例参照)、B施工中・施工後の現地調査の実施基準は、各会員にて予め定めるものとする。但し、少なくとも3,000t以上の案件については、各会員は、受注前現地調査を実施しなければならない。
(4)販売上の留意点
1) 各会員は、鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、名目の如何を問わず販売代金以上の金品を支払ってはならない。
仮に、各会員が支払う運送費や業務委託費等が販売代金以上となるおそれがある場合は、各会員は、販売先以外の第三者を運送業者や業務委託先等として選定しなければならない。
なお、各会員は、販売先に販売代金以上の金品が還流することを認識・把握しながら、販売先以外の業者(運送業者を含む)に対し、販売代金以上の金品を支払ってはならない。
2) 出荷場所と使用場所の関係から、運送費が販売代金以上となるおそれがある場合は、各会員は、複数の運送業者から見積もりを取るなど運送費の妥当性を検証しなければならない。
3) 各会員は、販売した鉄鋼スラグ製品は原則転売・転用を禁止とし、転売・転用をする場合は販売者の了解を得ることを購入者に書面にて周知徹底しなければならない。
(5)受注前現地調査、需要家との面談等の記録
受注前現地調査、需要家との面談、需要家に鉄鋼スラグ製品の品質特性と使用上の注意事項の説明を行った事実等については、各会員は、予め各会員にて定める様式(別紙4−面談、現地調査項目例参照)により記録に留め、少なくとも納入完了から10年以上の保管期限を定めて保管しなければならない。また、需要家との間で取り決めた品質規格等については、各会員は、書面で需要家に提出しなければならない。
5−2.受注・納入
(1)受注を決定し、鉄鋼スラグ製品を納入する場合には、各会員は、需要家との契約条件に従って試験成績表を提出しなければならない。
(2)鉄鋼スラグ製品が使用される場所に応じて適用される環境安全品質とそれへの適合性については、各会員は、契約書あるいはその他の方法で需要家に提示しなければならない。
(3)各会員は、鉄鋼スラグ製品を納入する場合は、法に基づき、需要家に化学物質等安全データシート(英: Material Safety Data Sheet、略称MSDS)あるいは安全性データシート(英: Safety Data Sheet、略称SDS)を発行しなければならない。
5−3.鉄鋼スラグ製品の運送
鉄鋼スラグ製品の運送に際しては、各会員は、代金受領、運搬伝票等で鉄鋼スラグ製品が確実に需要家に届けられたこと確認しなければならない。また、需要家が製造元及び販売元を確認できるように、納入伝票等には、製造元及び販売元の各会員名称を記載しなければならない。
5−4.施工中の調査
(1)施工中の調査では、各会員は、施工場所(運送、一時保管を含む)の調査を行い状況の確認をしなければならない。特に、高pH水流出対策(高pHとはpHが8.6(海域9.0)を超える場合をいい、鉄鋼スラグ製品の含有物質の溶出により高pH水が発生し、公共用水域に影響を及ぼすおそれのある場合には、対策を実施しなければならない)、粉塵対策の実施状況を調査・点検しなければならない。但し、少なくとも3,000t以上の案件については、各会員は、施工中の調査を少なくとも3ヵ月に1回以上実施しなければならない。なお、各会員は、施工中の調査結果を記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
(2)状況確認の結果、運送、保管、施工に際して、鉄鋼スラグ製品の取扱い等に不具合が認められる場合は、各会員は、必ず需要家に正しい取扱い方法について注意喚起し、それを記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定めて保管しなければならない。また、必要に応じて行政庁と協議し、それを記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定めて保管しなければならない。
特に、施工中の鉄鋼スラグ製品の各会員および需要家による製造事業所外での一時保管については、各会員は、定期的に見回り調査を実施し、高pH水溶出対策、粉塵対策の実施状況を調査・点検し、記録するとともに、各会員および需要家による一時保管において在庫過多による野積みが生じないよう、各会員および需要家での在庫は使用量の3ヵ月分を上限の目処とする。3ヵ月以上の長期間にわたり利用されずに放置されている場合には、各会員は、速やかにその解消を指導し、指導に従わない場合は、行政と相談の上、撤去を含め、速やかな対策を講じなければならない。
(3)5−1.(2)で受注前に施工中及び施工後の調査を不要と判断したものについても、問題発生のおそれのあるものについては、各会員は、調査を実施しなければならない。
6.施工後の調査
(1)各会員は、施工場所や利用用途等の特徴に応じて、施工後の調査の期間、頻度についての判断基準を各会員にて定めなければならない。また、各会員は、施工後の施工場所の状況に応じて、調査期間の延長や頻度の見直しを実施しなければならない。
但し、少なくとも3,000t以上の案件については、各会員は、施工後の調査を実施しなければならない。
(2)事前の現地調査で施工後の調査が必要と判断された場合は、各会員は、需要家と相談の上、施工後の調査を、必要な期間、必要な頻度で行い、調査結果を記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
(3)施工後の調査の結果、施工後使用場所に高pH水溶出が認められる等、環境への影響が懸念される場合は、各会員は、速やかに需要家と協議し、それが鉄鋼スラグ製品の品質に起因する場合、必要な措置を講じなければならない。需要家における使用が原因の場合、各会員は、需要家に対して、必要な注意喚起を行わなければならない。これらにあたり、各会員は、必要に応じ行政庁と協議することとする。各会員は、これらについて記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
(4)施工後の調査を必要なしと判断した案件においても、使用場所に異常が認められた場合は、前項に準じる。
7.行政・住民等からの指摘・苦情等が発せられたとき及びその懸念が生じたときの対応
鉄鋼スラグ製品の運送・一時保管・施工中・施工後の一連のプロセスにおいて、行政・住民等からの指摘・苦情等が発せられたとき、またはその懸念が生じたときは、その原因が鉄鋼スラグ製品に起因するか否かを問わず、各会員は、需要家と協力して速やかに原因究明にあたるとともに、鉄鋼スラグ製品に起因する場合は、需要家と、必要に応じて行政・住民等と協議の上適切な対策をとることとし、需要家その他の関係者の行為に起因する場合には、必要に応じ当該関係者に注意喚起を行い、必要に応じて行政庁と協議することとする。
また、鉄鋼スラグ製品に起因するか否かを問わず、各会員は、鉄鋼スラグ製品に対する信頼・評価が毀損されることがないよう適切かつ迅速な対応を図ることとする。これらの対応は鉄鋼会社各会員が主導し、販売会社と相互協力して行うこととする。本項の措置については記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
8.マニュアルの整備と運用遵守状況の点検及び是正措置
各会員は、本ガイドラインに定める事項を、自社の鉄鋼スラグ製品に関わる管理マニュアルとして整備しなければならない。
各会員は、ガイドライン及びマニュアルの社内教育を定期的に実施し、自社のマニュアルの規定に従い運用しているかどうか、保管すべき記録を保管しているかどうか等マニュアルの運用遵守状況について、定期的に点検を行い、不適正な運用がなされている場合には是正措置を講じなければならない。なお、教育・点検及びその是正措置については記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
また、各会員は必要に応じて、販売会社や販売代理店に対しても、ガイドライン及びマニュアルの教育を実施し、鉄鋼スラグ製品の製造・販売に関わる遵守事項を周知徹底することとする。
9.鐵鋼スラグ協会への報告
各会員は、ガイドラインに基づく自社のマニュアルの整備状況を半期毎に鐵鋼スラグ協会に報告しなければならない。
10.ガイドラインの定期的な点検・整備
本ガイドラインは、少なくとも1回/年の点検を行い、必要に応じて改正を行う。
(本ガイドライン制定・改正)
2005年7月14日制定
2006年2月17日改正
2006年7月28日改正
2007年10月1日改正
2008年6月3日改正
2012年6月15日改正
2013年6月1日改正
2015年1月14日改正

【ガイドライン見直しのポイントと今後の対応】
                   平成27年1月14日
                    鐵鋼スラグ協会
ガイドライン見直しのポイントと今後の対応
当協会の一会員会社が過去に製造した鉄鋼スラグ製品の品質管理及び販売管理等に重大な不備がある事案が発生したことから、かかる事案の再発を防止すべく、鉄鋼スラグ製品の一層の管理強化に向けて、「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を以下のように改正する。
(1)使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準の遵守徹底
@環境安全品質基準のより一層の周知徹底のための記載追加
平成26年8月に業界内で実施した緊急点検では、今回事案の当該会員会社以外の会員各社にあっては、使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準値を超過した鉄鋼スラグ製品の出荷は確認されていないが、環境安全品質基準のより一層の周知徹底を図るため、確認的に以下の記載をガイドラインに追加する。
(ア)鉄鋼スラグ製品は、その使用場所・用途により、当該使用現場において備えるべき環境安全品質基準があり、これらに適合させるための細心の注意が必要であることから、用途ごとにそれぞれ適用する環境安全品質基準の詳細。
(イ)使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準値を満たさない鉄鋼スラグは、鉄鋼スラグ製品として出荷せず、廃棄物処理法に従って適正に処理しなければならないこと。
(ウ)会員各社が、他社から廃棄物として鉄鋼スラグを受け取り、中間処理して鉄鋼スラグ製品として再生する場合があるが、再生後の鉄鋼スラグ製品も本ガイドラインの適用対象であること。
A混合調製前の鉄鋼スラグに対する分析検査の実施
改正前のガイドラインでは、鉄鋼スラグと鉄鋼スラグ以外の他の材料とを混合調製した状態でそのまま使用される場合に、混合調製前の鉄鋼スラグが備えるべき環境安全品質が明確に規定されていない。
これを踏まえ、以下の改正を行う。
(ア)鉄鋼スラグと鉄鋼スラグ以外の他の材料とを混合調製した後、そのままの状態で使用される製品を販売する場合は、まずは、混合調製前の鉄鋼スラグ単体で分析検査を行うことを義務付け、この段階で使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準値を超過した鉄鋼スラグの混合調製を認めない。
(イ)加えて、鉄鋼スラグと混合調製する他の材料に、基準値を超過する化学物質が含まれる可能性もあることから、混合調製後の状態においても、再度、出荷前の分析検査を義務付ける。
B出荷検査のより一層の強化
改正前のガイドラインでは、会員各社は鉄鋼スラグ製品の出荷にあたり、会員各社とは別法人の分析機関による分析検査を受ける必要があり、その頻度については、年1回以上としているが、以下のとおり出荷検査をより一層強化する。
(ア)今回事案を受け、より厳格な管理とすることが適当と判断し、最低限の検査頻度を、改正前の年1回以上から月1回以上とするとともに、会員各社は、事業所ごとの製造実態や品質管理実態に応じ、検査頻度を具体的に決めることとする。
(イ)ただし、特殊鋼電炉の会員各社については、製造段階において、フッ素及び六価クロムの発生源である蛍石及びクロム合金を多量又は頻繁に使用することから、製品ヤードの積み付け山ごとの検査を受けることを義務付け、検査未了の積み付け山からは出荷しないこととする。また、製品ヤードの積み付け山は、1ヶ月の製造量を最大とする。
(ウ)上記の検査頻度の妥当性については、毎年、第三者審査機関により、会員各社の事業所ごとに検証する。そのままでは基準値を超過するリスクが高いと判断した事業所に対しては、未然防止の観点から、当協会が有識者の助言も得つつ是正指導を行う。
(2)不適切な販売取引の防止
鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、販売代金を上回る金品の支払いが行われることは、逆有償状態であると判断されるおそれがある。
この状態を回避するために、既に改正前のガイドラインにおいても、「販売価格が、運送費を下回るおそれがある場合は、運送業者と販売先は別法人とし、両者の間に名目の如何にかかわらず処理料金に相当する金品の授受が無いよう担保すること。」と規定されている。
しかしながら、改正前のガイドラインでは、販売先に対して、運送費であるかどうかを問わず、販売代金以上の金品を支払ってはならないことまでは明記されていない。運送費のみならず、業務委託費等も販売価格を上回るおそれがある。また、改正前のガイドラインでは、運送業者と販売先の間の処理料金に相当する金品の授受を禁じているが、間接的に、運送業者等から販売先に還流するおそれも否定できない。
 これを踏まえ、以下の改正を行う。
(ア)「鉄鋼スラグ製品の販売において、販売先に対し、名目の如何を問わず販売代金以上の金品を支払ってはならない」ことを明記する。
(イ)「仮に、各会員が支払う運送費や業務委託費等が販売代金以上となるおそれがある場合は、各会員は、販売先以外の第三者を運送業者や業務委託先等として選定しなければならない」ことを明記する。
(ウ)「販売先に販売代金以外の金品が還流することを認識・把握しながら、販売先以外の業者(運送業者も含む。)に対し、販売代金以上の金品を支払ってはならない」ことを明記する。
(3)出荷時に確認した用途以外での鉄鋼スラグ製品の利用防止
施工中及び施工後の鉄鋼スラグ製品の適切な利用状況を調査することができるよう、改正前のガイドラインにおいても、「販売した鉄鋼スラグ製品は原則転売禁止とし、転売する場合は販売者の了解を得ること購入者に徹底する」ことを求めている。しかしながら、改正前のガイドラインには、販売者が出荷時に確認した用途以外の用途に購入者が転用することに関しては、明記されていない。
これを踏まえ、「転売」のみならず「転用」も原則禁止であることを明確化する。また、販売者の了解を得るべきことは、口頭ではなく、書面にて周知徹底しなければならない旨をガイドラインに明記する。
(4)記録保管義務と需要家への説明事項の明確化
(ア)出荷検査や施工等に係る記録の保管期間を、少なくとも10年以上とする。
(イ)需要家との面談の際に記録すべき事項の例示として、面談に関する基礎的事項(面談年月日、説明者、面談者、説明内容(スラグの特性、使用上の注意点、説明に用いた資料等))を追加する。
※改正前では、工事に係る情報のみ(工事名、施工場所、施主、施工事業者等)。
(5)社内教育等の実施
新たに、会員各社が本ガイドライン及び社内マニュアルに基づき社内教育を定期的に実施すべきこと、必要に応じて販売会社や販売代理店に対しても教育を行うこと、それらの記録を少なくとも10年以上保管することを義務付ける。
(6)ガイドライン遵守状況の開示強化と定期的なガイドラインの見直し
ガイドラインの実効性を担保するため、当協会は毎年、第三者審査機関に委託し、会員各社の事業所ごとにガイドラインの遵守状況を順次調査している。
今後は、上記調査においてガイドラインに対する不備事項が認められた場合は、当協会から有識者の助言も得つつ是正指導を行い、その結果を踏まえ適切に公表することができることとする(なお、従来実施していた当協会の会員各社への証明書の発行については廃止する)。また、仮に上記調査において環境安全品質基準値を満たさない鉄鋼スラグ製品の出荷が確認された場合は、当協会はその状況を確認するのみならず、その会員会社に関係省庁及び関係自治体(以下「関係省庁等」という。)に対し説明をするよう指導する。当該会員会社は、関係省庁等へ説明のうえ、その公表を含め、必要な対策を講じるものとする。
ガイドラインの見直しについては、これまでは、不定期に行われていたが、今後は、有識者の助言も得つつ年1回の頻度で点検を行い、その結果を公表するとともに、必要に応じて改正を行うこととする。
               以上

【 鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン改正検討委員会】
〇開催日時
第1回 10月 3日(金)15:00〜17:00
第2回 10月31日(金)10:00〜12:00
第3回 11月26日(水)17:30〜19:30
第4回 12月12日(金)15:00〜17:00
第5回 12月25日(木)15:00〜17:00
〇委員名簿
(順不同、敬称略)
座長 浅野直人 福岡大学 法科大学院 教授
委員 細田衛士 慶應義塾大学 経済学部 教授
〃  姫野賢治 中央大学 理工学部都市環境学科 教授
〃  大迫政浩 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター センター長
〃  久保和幸 (独)土木研究所 道路技術研究グループ舗装チーム上席研究員
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