2015/2/8  23:42

HDドリル事件の「姫」も鍬をふるって参加した八ッ場ダム起工式の会場前で工事中止を呼びかけ  八ッ場ダム問題

■国交省や群馬県の役人の天下り先確保のため、官業癒着で進められてきた八ッ場ダム計画ですが、既に平成27年1月21日に本体工事が着工されてしまいました。さらに、セレモニーとして起工式が2月7日(土)午前11時から、長野原町総合運動場「若人の館」で開催されました。市民オンブズマン群馬も、同ダム建設に反対する市民団体とともに、現地に約20名が集って工事中止を呼びかけました。
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挨拶をする「姫」。相変わらず中身のないスピーチ。


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鍬入れをする「姫」(左から二人目)。 ↑

 八ッ場ダムの抱える問題については、すでにこのブログでも指摘しているように、政官業+一部地元住民らの間の癒着が挙げられます。

 その一例として、2007年に長妻議員が国交省から入手した資料として、国交省の役人による八ッ場ダム関連企業団体に176人も天下りしていることが明らかになりました。内訳をみると、(財)国土技術センター、(財)ダム水源地環境整備センター、(財)ダム技術センターなど八ッ場ダムに関わる公益法人7団体に04年現在で25人、同ダムの建設工事を落札した土建会社やコンサルタント会社など企業37社に03〜05年の間に52人、さらに随意契約業者57社には99人、合計176人の国交省OBが天下っています。

 これらは、2004年前後の数年間だけの話ですから、発端からこれまで63年間も経過した長い歴史の中で一体何人の天下り官僚が、この無駄なダム計画の恩恵を受けてきたのか、想像を絶します。恐らく1000人は下らないでしょう。国交省発表を鵜呑みにしたマスコミ報道では、総事業費は4600億円とされていますが、これまでに血税を、いったいいくらつぎ込んできたのでしょうか?このうち、役人の給与、退職金やハイヤー代、遊興費に充てられてきた金額は、いったいどのくらいの金額になるのでしょうか?

 こうした素朴な疑問も明らかにされることなく、起工式が行われてしまいました。しかも、政治資金としてベビー用品など多額の不透明な支出を計上していたほか、後援会メンバーの観劇費用を一部負担した疑惑が持たれている地元選出の小渕優子・代議士が、禊は済んだとばかりに、公約の説明責任も果たすことなく、起工式に列席したのです。これでは、今後も八ッ場ダム関連の費用がいったいいくら積み上げられるのか、誰にも分らないでしょう。

 現在のところ総事業費は4600億円(その8割が執行済み?)とされていますが、ある試算によれば建設事業費だけでなく基金事業費、起債の利息も含めると総額8800億円になるともいわれています。もしそれが事実だとすると、今後支出される約4500億円のうち、いったいいくらが天下り役人を遊ばせるために費やされるのでしょうか?

 さらに、昨年来、八ッ場ダム建設予定地及びその周辺に大量の有害スラグが不法投棄されていた実態が明らかになりつつあります。しかし、この問題についても、国交省は不法投棄されたスラグの実態調査を本気で行う姿勢を見せておりません。このまま、うやむやにする作戦のようです。

■そこで、当会を含む八ッ場ダム建設反対の立場をとる市民団体は、2月7日の午前10時半から、会場前で八ッ場ダムの本体工事の即時中止を呼びかけたのでした。

 当日は、幸い天候も回復しましたが、道路脇には除雪した雪が残り、空気はひんやりと冷たく、屋外での抗議活動は寒さとの戦いでもありました。

 起工式の会場の若人の館は総合運動場の一角にあり、公共スペースの筈ですが、国交省の八ッ場ダム工事事務所の職員らは、市民団体に対して「道路から一歩も中に入るな」として、工事を請け負った「清水・鉄建・IHI JV」の作業員らとともに、横一線に並んで、市民団体に立ちはだかりました。

 市民団体はそれにもめげず、起工式が終わる午後0時半過ぎまで、絶え間なく「工事中止」を呼びかけました。また、抗議文の内容を会場前で読み上げた後、抗議文を国交省の職員らに手渡しました。
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抗議文を国交省職員らの前で読み上げた後、八ッ場ダム工事事務所職員代表に手交。

 残念ながら、小渕優子・代議士をはじめ主だった政治家らは、会場の裏手から出入りしたため、目撃することはできませんでした。

■起工式を報じたマスコミの報道内容は次のとおりです。

*********東京新聞2015年2月8日
計画63年 八ッ場起工式 節目の日、一部住民招かず
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起工式の会場前で八ッ場ダム反対を訴える人たち
 一月末に本体工事が着工した八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の起工式が七日、町内で開かれた。計画の浮上から六十三年。出席した地元選出の国会議員や首長、住民らが節目を祝う一方、反対派の市民団体は会場前で「工事をやめろ」と訴えた。招待されなかった住民もおり、地元の人々の胸には複雑な思いが去来した。 (伊藤弘喜)
 本体工事は民主党政権が二〇〇九年に中止を表明し、その後に中止を撤回。自公政権で昨年八月、入札が行われた。起工式は、紆余(うよ)曲折を経た事業の「ひとつの区切り」(県担当者)として県などが要望していた。
 式典には約二百人が出席。群馬県の大沢正明知事は「八ッ場ダムは下流都県の治水、利水になくてはならない施設。国には工事を着実に進め、ダムを完成させるようお願いする」とあらためて求めた。
 長野原町の萩原睦男町長は「大きな節目。犠牲を強いられた水没地域の住民や、もがき苦しんだ先人がいることを忘れてはならない」とくぎを刺した。
 一方、会場前では市民団体の十数人が横断幕を掲げ「工事をやめろ」と連呼。そのメンバーに対し、式典に招待された地元住民の豊田治明さん(79)は「反対するのが遅い。俺たちは六十年前から反対してるんだよ」と怒鳴り声を上げた。豊田さんは移転を受け入れたが、経営していた旅館の休業を余儀なくされた。
 本体工事こそ始まったが、ダム事業で移転を迫られた四百七十世帯のうち十四世帯は今も残っている。その一人で水没予定地に住む高山彰さん(61)も会場に駆けつけたが、招待されていないため国土交通省職員から「関係者以外は入れない」と退場を求められ、「住民が関係者ではないなんて」と憤った。
 高山さんら住民が所有する土地の収用問題もある。国交省は一月二十四日、土地収用法に基づく説明会を開き、強制収用に向けた手続きに入ったが、高山さんは「ふるさとから追い出されようとしている」と困惑した顔で話した。
 また、昨年十二月には、水没予定地の住民のために国が建設した移転代替地などの工事現場で、環境基準を超える有害物質が検出された問題が判明している。

**********毎日新聞2015年02月07日12時46分(最終更新02月07日15時14分)
八ッ場ダム:本体工事起工式…群馬・長野原
 群馬県長野原町に国が建設する八ッ場(やんば)ダムの本体工事起工式が7日、同町内で開かれた。ダムは1月21日に本体工事に着手しているが、地元から「大きな節目だから」と式典開催を求める声が上がっていた。
 起工式には、地権者や自治体関係者らが出席し、くす玉を割って本体着工を祝福した。建設予定地では、爆薬で岩盤を掘る基礎掘削の作業が進んでいる。【角田直哉】

*********読売新聞2015年02月08日
八ッ場ダム「先人の決断忘れぬ」…起工式
 一日も早い完成と地域の発展を――。7日に長野原町総合運動場「若人の館」で行われた八ッ場ダムの本体工事起工式には、地元関係者のほか、埼玉県など下流都県の代表者も参加。計画から63年でこぎ着けた式典に感慨深げだった。
 大沢知事は起工式で「県としても、上信自動車道の整備などを進めてこの地域が一層発展できるよう、町や国と連携して生活再建に取り組んでいく」とあいさつ。上田清司・埼玉県知事は、「下流都県は、上流の地権者の方々の犠牲の上に生活の安全が築かれている。その苦労をしっかりと支えていかなければならない」と話した。
 萩原睦男町長は、「先人たちがダム建設について苦渋の決断をして今日に至ったことは決して忘れてはならない」と述べ、地域振興について「国、県、町が一致団結して明るく将来が見通せるまちづくりを進めていきたい」と力を込めた。
 出席者らはその後、工事の安全を祈願して鍬入れ式を行い、くす玉を割って本体の起工を祝った。会場の外では、ダム建設に反対の声を上げる市民団体の姿もあった。
 本体工事は先月21日に開始し、同22日には岩盤を掘り進める発破作業が始まった。同省によると、試験湛水などを経て、2019年度中の完成を目指す。

**********TBS 2015年2月7日16:33
八ッ場ダムで起工式
 建設計画が浮上してから63年。群馬県・長野原町にある八ッ場ダムの起工式が行われました。
 7日の起工式には、地元・群馬県選出の国会議員や、建設費の一部を負担する群馬県や埼玉県の知事らが出席しました。八ッ場ダムは、完成すれば、291メートル、高さ116メートルで、洪水調節機能のほか、最大出力1万1700キロワットの発電も可能になるということです。
 総事業費はおよそ4600億円で、民主党政権では一時中止されるなど、公共事業のあり方の象徴として取り上げられてきましたが、計画浮上から63年を経て、ようやく先月、本体の建設工事に着手しました。全体の完成は、2019年度の予定です。

**********テレ朝News 2015/02/07 11:54
計画63年、4600億円投じ…八ッ場ダムで起工式
 群馬県の八ッ場ダムは、建設計画の浮上から63年を経て、7日に起工式を迎えました。
 八ッ場ダムの起工式には、建設費の一部を負担する群馬県や埼玉県の知事らが出席しました。八ッ場ダムは、利根川の支流の氾濫防止や首都圏への生活用水の供給などを目的として、1952年に建設の計画が浮上しました。総事業費は、国内のダム建設としては最大規模となる約4600億円が見込まれています。民主党政権時代には、ダム建設の在り方について全面的な見直しが進められ、八ッ場ダムも一時、計画が事実上の白紙になりました。先月22日にはすでに本体工事に着工していて、国土交通省などは2019年度までの完成を目指しています。

*********時事ドットコム2015.2.8 07:10
八ツ場ダムで起工式=本体建設本格化へ−国交省
 国土交通省は7日、八ツ場ダム建設地の群馬県長野原町で、本体工事起工式を開催した。同省の越智繁雄関東地方整備局長や大沢正明同県知事、萩原睦男同町長、地元選出の小渕優子衆院議員らが出席。越智局長は「地元住民にできてよかったと思っていただけるよう、早期完成に向けて着実に工事を進める」と述べ、大沢知事は「地域の発展に向け、地元住民の生活再建に全力で取り組む」と強調した。
 国交省はこの1月、ダム本体を造るために岩盤を露出させる基礎掘削工事を開始。2018年5月までに本体を建設する予定で、貯水状況を確認する試験湛水を経て、19年度の完成を目指す。
 八ツ場ダムは、利根川支流の吾妻川の氾濫防止や首都圏の水源確保などを目的に計画され、1952年に国が調査に着手した。総事業費は国内のダム建設で最大の約4600億円。
計画判明後、地元住民の反対運動が起き、水没予定地住民の生活再建案に長野原町が合意するまで33年間を要した。09年には民主党政権が建設中止を表明したが、その後継続へ方針転換するなど、紆余(うよ)曲折をたどった。
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大沢正明群馬県知事(前列中央)、小渕優子衆院議員(同左から2人目)らが出席し、開催された八ツ場ダム本体建設工事起工式=7日正午すぎ、群馬県長野原町 ↑
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八ツ場ダム本体建設工事起工式であいさつする国土交通省の越智繁雄関東地方整備局長=7日午前、群馬県長野原町
 八ツ場ダム(長野原町)の本体工事が始まったことを記念し、国土交通省関東地方整備局が7日、同町総合運動場内の「若人の館」で開催した起工式。出席した大沢正明知事や国会議員らは、ダム建設に翻弄された地元住民の生活再建に、引き続き全力を尽くすことを約束していた。
 あいさつで地元選出の小渕優子衆院議員は、「ダム事業中断を余儀なくされた数年間、地元の住民の皆さんには大変つらい思いをさせてしまった。生活再建とダム湖周辺の環境づくりに引き続き力を入れたい」と強調。同町の萩原睦男町長も「この日を迎えるまでには先人たちが苦しみ、苦渋の決断をしてきたことを忘れてはいけない」と語った。
 式典の最後には、「くわ入れ式」を行い、くす玉を割って、本体工事の開始を祝った。八ツ場ダムをめぐっては、国交省は昨年11月に旧JR吾妻線の線路(廃線)撤去に着手。先月21日からは基礎掘削工事がスタートしている。
**********

■今回の起工式では国交省は、政府自民党関係者をはじめ、群馬県の幹部職員や、地元自治体の首長ら幹部、そして議員のほか、ごく一部の計画賛成住民が招待されただけであり、多くの地元地権者らには、お呼びがかかりませんでした。

八ッ場ダムには、これまでの大規模公共工事につきものの怪しさが沢山あります。自然破壊への不安や大規模公共工事への不信、そして巨額の税金投入の根拠不在などです。

 更に胡散臭いのは、特定の怪しすぎる「地元住民」の存在です。地元住民代表ということで、今回の起工式にも招待されたのは、八ッ場ダムの代替地分譲基準連合交渉委員会の委員長を務め、八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会委員長であり、かみつけ信用組合の理事長という要職にあった人物です。民主党政権時代、2009年9月8日に設立された住民協議会には、顧問として小渕優子ら地元選出の自民党国会議員や県議、関係町村の首長が名前を連ねていました。こうして「地元住民代表」というのは、八ッ場ダムの利権の恩恵にあずかれる輩ということになるようです。

 これでは、なんのためにダムが必要なのかという観点から議論はなされません。いかに利権の配分に関与できるか、という観点のみ重視されてしまいます。これでは、大規模公共工事のモデルケースとして、好ましくない前例を残すことになります。

■起工式は強行されてしまいましたが、今後とも、八ッ場ダムの問題点、とりわけ有害スラグの不法投棄について、引き続き対応策を国や県に迫ってゆく所存です。
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会場内の様子。
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起工式に参加した「姫」。心に去来するものは?
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会場内の様子。得意満面のダム推進関係者。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※抗議文の全文
protestnoteforconstructionofyambadam.pdf
                    2015年2月7日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
国土交通大臣 太田 昭宏 殿
茨城県知事  橋本 昌  殿
栃木県知事  福田 富一 殿
群馬県知事  大澤 正明 殿
埼玉県知事  上田 清司 殿
千葉県知事  森田 健作 殿
東京都知事  舛添 要一 殿
            八ッ場あしたの会(代表世話人 大熊 孝 他)
            八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会(代表 嶋津暉之) 
  八ッ場ダム本体建設工事起工式に抗議し、本体工事の中止を求めます
 国土交通省関東地方整備局は本日、八ッ場ダム本体建設工事起工式を開催し、八ッ場ダムの本体工事を本格的に進めようとしています。
 しかし、八ッ場ダムは治水・利水の両面ですでに必要性を喪失しており、かけがえのない自然を壊して災害誘発の危険性をつくり出すだけの有害無益な事業に堕しています。このまま本体工事に突入して、ダムを完成させれば、将来世代の大きな負の遺産となることは必至ですので、私たちは本体工事の起工式に抗議し、本体工事の中止を求めます。
 以下、詳述します。
1 コンコルドの誤謬を踏襲してはなりません
 コンコルドとは、イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機です。開発当初からコンコルドを実用化しても採算が取れない見通しが明白であったにもかかわらず、開発計画を中止することができず、2000年の墜落事故で113人が死亡して2003年に全機が退役し、巨額の損失をもたらしました。これ以上の投資をしても損失が拡大するだけであることをわかっていながら、これまでに投資した費用等を惜しんだり、責任を問われることを恐れたりして、投資の継続をやめられないことを「コンコルドの誤謬」といいますが、八ッ場ダムはまさしく将来世代に大きな損失を残す「コンコルド」であり、その誤謬を踏襲してはなりません。
2 水需要が縮小し、水余りがますます顕著になる時代に八ッ場ダムが必要ですか
 6都県の都市用水の需要は減少の一途を辿っています。6都県上水道の一日最大給水量は節水型機器の普及等により、最近20年間に約230万㎥/日も減りました。この減少量は八ッ場ダムの開発水量の1.6倍にもなります。これからは人口が減少していくので、水需要の減少に拍車がかかり、水余りがますます顕著になっていくことが確実に予想されます。このように水余りが一層進行する時代において八ッ場ダムによる新規水源開発が必要であるはずがありません。
3 治水効果が希薄な八ッ場ダムの河川予算を利根川流域住民の安全を真に守る治水対策に回すべきです
 利根川は昭和22年のカスリーン台風の後、河川改修が進められ、利根川の本川では過去65年間、洪水時の越流がありません。流下能力が大きく増大したことにより、現在は大きな洪水が来ても堤防天端からかなり下を流れていて十分な余裕があり、八ッ場ダムによるわずかな水位低下は意味を失っています。治水対策として無意味な八ッ場ダムを中止して、その河川予算を、利根川流域住民の安全を確保するために必要な喫緊の治水対策、すなわち、内水氾濫対策と脆弱な堤防の強化対策に使うべきです。
4 名勝・吾妻渓谷と水没予定地のかけがえのない自然を壊してよいのでしょうか
 八ッ場ダムの建設工事によってダム予定地・水没予定地のかけがえのない自然が失われつつあります。「関東の耶馬溪」と言われ、大勢の観光客が訪れている名勝・吾妻渓谷は、八ッ場ダムによって上流部の1/4が壊されるだけではありません。ダム完成後は下久保ダム直下の三波石峡のように、岩の表面をコケが覆い、草が生い茂って、最大の魅力である美しい岩肌が失われ、無残な姿になることが必至です。国の天然記念物・川原湯岩脈も失われてしまいます。また、90数年前に若山牧水が讃え、その保全を強く願った群馬県有数の素晴らしい自然林がダム本体工事の進行とともに壊されつつあります。
5 地質がきわめて脆弱な場所にダムを建設することによる災害の誘発についてだれが責任を負うのでしょうか
 八ッ場ダムの貯水池予定地は、熱水変質帯、応桑岩屑流堆積物、崖錐堆積物などの脆弱な地層が広く分布しており、ダム完成後に貯水して水位を上下させると、地すべりを誘発する危険性が十分にあります。国交省の10年以上前の調査でもダム貯水池予定地で地すべりの可能性があるところが22か所に及んでいます。しかし、八ッ場ダムの地すべり対策費は現在はたったの6億円しかなく、国交省は安全性を犠牲にしてダム建設にまい進しています。八ッ場ダムによって将来、地すべりが引き起こされた場合、その災害の誘発についてだれが責任を負うのでしょうか。
6 堆砂速度が計画よりはるかに早く、八ッ場ダムは機能が次第に失われていきます
 八ッ場ダムは底部に100年分の堆砂容量が設計されていますが、国交省は堆砂速度の見込みを著しく過小評価しています。近傍の既設ダムの堆砂実績から見ると、八ッ場ダムは計画の数倍以上の速度で堆砂が進み、治水・利水機能が次第に失われていくことが予想されます。このように早期に機能を喪失していくダムをつくって意味があるのでしょうか。
7 白砂川の酸性水中和事業は永遠に続けられるのでしょうか
 吾妻川支川・白砂川の水質は強酸性水で、コンクリート構造物を溶かしてしまいます。そのため、酸性水の中和事業が行われていますが、中和生成物等を溜める品木ダムはすでにほぼ満杯になっており、ヒ素を含む堆積物の捨て場所に困窮しています。この白砂川の酸性水中和事業は永遠に続けられるのでしょうか。品木ダムが満杯になれば、ヒ素を含む中和生成物が八ッ場ダムに流入し、新たな問題が発生することになります。
8 八ッ場ダムは今後、事業費の大幅増額が避けられず、流域住民、国民の負担が増大していきます
 八ッ場ダムは事業費が日本一大きいダムですが、現在の4600億円(そのほかに水源地域整備事業997億円、水源地域対策基金事業約200億円)に収まることはありません。2011年の検証で国交省自身が地すべり対策などで183億円の増額が必要であることを示しました。さらに、東京電力の水力発電所への減電補償や、代替地の整備費用の大半の負担、地すべり対策費の更なる増額も考慮すると、500億円以上の増額になることも十分に予想されます。事業費増額への関係都県の反発を恐れて国交省はひた隠ししていますが、八ッ場ダムは事業を続ければ、事業費の大幅増額は避けられず、流域住民、国民の負担が増えていくばかりです。
9 将来性がない「ダム湖観光」ではなく、豊かな自然と歴史遺産を活かした地域振興を進めるべきです
 「ダム湖観光」による地域振興が盛んに宣伝されていますが、八ッ場ダムは他の利根川上流のダムと違い、吾妻川の中流域に位置し、ダム予定地の上流域では観光業、酪農業、畑作も盛んであるため、八ッ場ダム湖は多量の栄養塩類が流入し、植物プランクトンの異常増殖が予想されます。そして、八ッ場ダム湖は夏場は洪水調節のため、28メートルも水位を下げます。水量が少なく、水質の悪化が進む八ッ場ダム湖はとても観光資源にはなりません。
 八ッ場ダム予定地にはきわめて貴重な、縄文時代各期(草創期〜晩期)の遺跡と江戸時代の天明浅間災害遺跡があります。豊かな自然と歴史遺産を活かした地域振興はダム湖観光よりはるかに将来性があります。
 以上述べたとおり、八ッ場ダムは治水・利水の両面で必要性が失われ、様々な災いをもたらすダムでありますので、本体工事を中止することを強く求めます。
 今も水没予定地には住民が生活しています。それにもかかわらず、国交省は拙速に本体工事に着工し、土地収用手続きで住民を追い出そうとしています。このことについても抗議の意思を表明します。
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