2015/3/20  23:37

免震材料で大臣認定偽装の東洋ゴムとスラグ砕石で再生砕石を偽装した大同特殊鋼・佐藤建設工業の比較  スラグ不法投棄問題


■平成27年3月13日、国土交通省は、東洋ゴム工業が製造した免震材料である「東洋ゴム工業製高減衰ゴム系積層ゴム支承」について、@大臣認定の内容に適合しない製品を販売していたこと(大臣認定不適合)、A不正な申請書を提出し建築基準法に基づく性能評価・大臣認定を受けていたこと(大臣認定不正取得)を発表しました。


 @の大臣認定の性能評価基準に適合しない製品の出荷先は、製品名称「SHRB-E4」(せん断弾性係数G:0.39N/mm2)では、認定番号MVBR-0162が19件、MVBR-0317が6件、MVBR-0343が10件、MVBR-0438が20件、「SHRB-E6」(せん断弾性係数 G:0.62N/mm2)では認定番号MVBR-0439が1件ありましたが、SHRB-E4との併用物件のため、物件のカウントはせず、評価不適合は55棟に上ります(調査中)。

 Aの技術的根拠のない申請により取得した認定は、認定番号MVBR-0317(認定年月日2006年10月25日、せん断弾性係数G:0.39N/mm2)、認定番号MVBR-0343(認定年月日2007年4月26日、せん断弾性係数G:0.39N/mm2)、認定番号MVBR-0438(認定年月日2011年10月25日、せん断弾性係数G:0.39N/mm2)の3件でした。いずれも東洋ゴム工業製高減衰ゴム系積層ゴム支承で、指定性能評価機関は日本免震構造協会でした。国交省は3月13日付で、これら3件の大臣認定を取り消しました。

 販売された免震材料は2052基でした。該当建物の所在地は、高知県9棟、神奈川県6棟、愛知県6棟、東京都5棟、宮城県5棟などで、用途は、マンション25棟、庁舎12棟、病院6棟など。規模は、15階建て以上のものが10棟程度(最大で30階建て)でした。

■大臣認定を受けたはずのこれら不適切な免震材料は、具体的には、等価粘性減衰定数・等価剛性の平均的な製造ばらつきが大臣認定で許容されていた基準値±10%を超えていました。

 東洋ゴム工業によると、3月13日時点で、対象建物の損害や事故などは生じておらず、また、東日本大震災時に仙台市宮城野区・青葉区(震度6強〜6弱の地域)に建設されていた3棟について、震災後に現地調査を実施した管理会社などから構造体に損傷は生じなかったとの報告を受けているとのことです。

■東洋ゴム工業は、2006年(平成18年)以降に免震材料の性能評価・大臣認定を申請する際、大臣認定不適合製品が大臣認定に適合する製品であるものとして製造実績を提出し、新たな性能評価・大臣認定を受けていました。

 この時の性能評価基準項目は次のとおりです。

@寸法・形状(直径・ゴム長さ・積層数・ほか)
A限界性能(水平破断変位)
B鉛直方向特性(鉛直バネ・圧縮限界強度・ほか)
C基本特性(水平バネ・減衰定数・ほか)
D製造ばらつきの基準値(許容差) ←外れていた基準項目
   ・水平バネ定数  個々値±20%、物件平均±10%
   ・減衰定数    個々値±20%、物件平均±10%
E各種依存性の基準値(経年変化、温度変化、ひずみ依存、クリープ量)
F構成材料(ゴム、金属)
G品質管理体制(ISO9001取得で代用)

 上記の性能評価基準項目のうち、D「製造ばらつきの基準値」で、等価粘性減衰定数・等価剛性の平均的な製造ばらつきが大臣認定で許容されていた基準値±10%を超えていたというのです。
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■東洋ゴム工業が3月13日に発表した資料によれば、本件の偽装が判明するに至った経緯は以下のとおりです。

●2014年2月、東洋ゴムの子会社の東洋ゴム化工品株式会社において、担当者の変更を契機として、高減衰ゴムが大臣認定の性能評価基準に適合していないとの疑い(以下「本件疑い」という)が認識された。

●その後、東洋ゴム化工品株式会社から報告を受けた東洋ゴムは、本件疑いの内容、可能性の程度、当該製品の免震性能評価等の検証を開始した。

●その結果、本件疑いの可能性が高いと判断し、2015年2月9日、この事実を国土交通省に対し自主的に一報を行った。

●その後、2015年3月12日に本件疑いの可能性が極めて高いと認識したため、その旨を直ちに国土交通省に対し自主的に報告した。

●現在、事態を招いた背景に関して、詳細な調査を継続しており、東洋ゴム従業員が高減衰ゴムの性能評価を技術的根拠なく変更していたことに起因する可能性が高いと考えている。

 このように、東洋ゴム工業において、高減衰ゴムが大臣認定の性能評価基準に適合していないとの「疑い」が認識されたのが2014年2月で、国交省に「疑い」の可能性が高いことを初めて報告したのが2015年2月9日、そして「疑い」の可能性が極めて高くなったことを報告したのが同3月12日、国交省および東洋ゴム工業の発表は同3月13日となっており、発覚から公表まで、実に1年以上掛かっています。

 東洋ゴム工業は2月12日に2014年度通期決算発表を行いました。2014年12月期(2014年度)通期の決算説明資料を見ると、「売上高・営業利益・ 経常利益・当期純利益において『過去最高』を達成。営業利益率12.1%、自己資本比率37%台に到達」との文字が踊っているだけです。大臣認定の不適合および不正取得に関する事項は、「疑い」の状況とはいえ国交省に報告済みで既知だったはずなのに、一言も触れられていません。3月27日には、東洋ゴム工業第99回定時株主総会が開かれます。今回の事件の影響で、紛糾するのは不可避と思われます。

■これまでも、建築基準法に違反する大臣認定偽装はいくつも発生しました。防火サッシ、防火シャッター雨戸、耐火スクリーン、耐火間仕切り壁、軒天井材、不燃木材、などなど。

 実は、東洋ゴム工業は“初犯”ではないそうです。2007年11月5日、同社が製造した硬質ウレタン製断熱パネルの一部製品について、大臣認定を不正に取得したと発表していました。同10月30日に、住宅用軒裏天井と耐火間仕切り壁の大臣認定偽装を発表したニチアスと共に、大臣認定制度の見直しにつながる大事件となったのでした。

 免震材料は建築基準法における指定建築材料で、建築主は、地震国ニッポンで安全・安心を得るために免震建物を発注します。受注する設計者や施工者は、国のお墨付きを得られた免震材料を信頼して設計・施工します。今回の事案は、こうした仕組みを根底から覆す事態です。またもや大臣認定制度のほころびが露呈し、社会を揺るがす大事件が起きてしまいました。

■一方、現在、主に群馬県内各地で発生した有毒な鉄鋼スラグを再生砕石として偽装した事件も、2014年1月27日に群馬県が発生元の大同特殊鋼渋川工場に立入検査をしてから、本日で実に14カ月が経過しますが、未だに群馬県は廃棄物処理法違反(不法投棄、逆有償取引など)による告発に踏み来っておりません。

 この事件で不可思議なのは、大同特殊鋼は、同社の渋川工場で製造した鉄鋼スラグ等を使った路盤材から国の基準を超える有害物質のフッ素や六価クロムが検出された問題で、事実関係を認め、使用した路盤材の撤去などの対策を取ることを既に覚悟していて、2014年8月4日には平成25年度分の全役員23人の賞与を全額カットすることを決めており、さらに「その後、行政処分が出たら、経営責任について改めて判断する」としているにもかかわらず、肝心の行政側からの処分の動きが全く見えないことです。
※大同特殊鋼プレスリリース(2014年8月4日)↓
http://www.daido.co.jp/about/release/2014/0804_slag.html

 大同特殊鋼の発表によれば、これまでに同工場から製造出荷した鉄鋼スラグ製品は、製造を中止した2014年1月までに計76万トンにのぼります。同工場では、「2009年6月以前の製品については、粒度や膨張率等の物性値の管理はしていたが、重金属の管理基準を定めていなかった。このため、今回、同県渋川市発覚した鉄鋼スラグによる重金属汚染が野放しの形で起きていた」と言っていますが、実際には、地元の県議を使ったりして、有毒スラグ混合砕石を、リサイクル品である「再生砕石(RC)」に偽装できるよう、県からのお墨付きを得るために画策していたのでした。

 また前述のように、大同特殊鋼は、「鉄鋼スラグを業者に再生資材として販売する際、運搬費などの名目で販売価格を上回る代金を払っていた」として群馬県から廃棄物処理法違反の疑いで2014年1月27日に立入検査を受けました。大同特殊鋼によると、2009年7月以降、子会社の大同エコメットを通じて、渋川市内の砕石会社・佐藤建設工業に鉄鋼スラグを1トン100円で販売した際、加工処理費などとして販売管理費を1トン250円前後支払っていました。

 この点について大同特殊鋼は、「当社に代わって清算・販売業務を行ってもらうことの対価として支払った。2012年7月以降は、当社で生産・出荷する体制に切り替えている」と説明し、「汚染隠しではない」と主張していますが、実際には違法行為を認識していて、そのことをカモフラージュするために、大同エコメットと佐藤建設工業との3者で定期的に協議をしていたのでした。

■東京ゴム工業の場合は、大臣認定の必要な免震材料の不適合品販売と、不正な申請書提出による不正認定取得が取りざたされ、性能評価基準に不適合の「疑い」を認識したのが2014年2月で、国交省と東洋ゴム工業の発表が同3月13日でした。

 ところが、大同特殊鋼の場合は、2013年6月頃から、渋川市内の遊園地駐車場で有毒物質が見つかったのを契機に、有毒スラグの存在が浮上し、同年12月には新聞沙汰になったため、2014年1月27日に群馬県環境森林部による渋川工場への立入検査が行われましたが、既に1年2か月が経過しようとしているにも関わらず、群馬県からはその後、この事件で行政処分や刑事告発をする気配が全く消え上せているかのようです。

 この背景には、4月1日から県土整備部長に就任する人物が、2010年10月15日に県庁内外に発信した「砕石骨材(クラッシャラン:C−40及びC−100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS−40)をブレンドした骨材の取扱いについて」と題する通知があり、群馬県の県土整備部が、この再生砕石を偽装したサンパイ資材に、県として「再生砕石同等品」のお墨付きを出してしまい、未だに取り消さないでいることがあると見られます。

 新・県土整備部長には、就任後直ちにこのトンデモ通知を撤回し、大同特殊鋼と佐藤建設工業が結託してこれまでに大量使用してきた有毒スラグの不法投棄現場を漏れなく確認し、県民に公表した上で、原因者の費用で全量撤去させて原状回復をはかり、県境森林部に対して、直ちに廃棄物処理法に基づき、原因者らを群馬県警捜査2課に刑事告発するよう、要請しなければなりません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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