2008/11/29  13:15

不要な配水管工事への公金支出の住民監査請求を市監査委員が棄却  安中市の配水管布設工事中止事件

■今年初め、地元安中市で話題となった前代未聞の入札済み配水管工事の着工直前の中止問題で、当会は、昨年の入札執行日から1年経過を目前に控えた平成20年9月26日に、岡田義弘市長に関する措置請求(住民監査請求)を安中市監査委員に提出しました。地方自治法により、監査委員は60日以内に監査をして結果を通知しなければなりません。
当会の住民監査請求の監査結果は、11月18日に配達記録付郵便で当会宛に通知されました。


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 監発第17233号
 平成20年11月18日
請求人 小 川  賢 様
   安中市監査委員 猿 谷 祐 康(公印)
   安中市監査委員 田 中 伸 一(公印)
安中市職員措置請求書に関する監査結果について(通知)
 平成20年9月26日付けをもって提出された、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1頂の規定による請求について、同条第4頂の規定により監査を行ったので、その結果を次のとおり通知します。
   記
第1 請求の受理
 本件請求は、所用の要件を具備しているものと認め、平成20年9月26日付けで受理した。
第2 請求の要旨(原文のとおり)
 この事業に関して、執行後から5ヶ月以上経過した平成20年2月5日の上毛新聞朝刊で、
次のように報じられた。
 安中市が発注し入札を終えた公共工事が着工直前に市の意向で取りやめになったことが2月4日分かった。発注者側の都合で公共工事を取りやめるのは「前例のない異例の措置」 (県)。市は「財政事清々住民負担の軽減など総合的に勘案した」と説明している。野殿地区で行われる予定だった配水管布設工事で、現在実施している市道改良工事に合わせて、地中の水道管を移設する計画だった。昨年9月に指名競争入札が行われ、市内業者が約7百万円で落札、1月7日に着工予定だった。だが、市は厳しい財政事情や交通規制に対する住民の苦情を考慮し、12月下句、工事の必要性を確認するための現地調査を実施。「敷設工事をしなくても支障は出ない」と結論付け、1月4日に取りやめを急遽決めた。この結果、路面整備の工期が約1ケ月短縮され、片側交互通行の交通規制が3月下旬で終わる見通しという。
 この事業の中止により、安中市長は業者に約300万円を支払ったが、同事業に公金を支出した事は、次の理由で、無駄な事業に対する公金支出(地方自治法2条14項違反)にあたり、違法・不当である。
1) 水道課は、配水管布設替工事を計画するに当たり、平成19年6月ごろに図面を描いたが、その際に、東京ガスの高圧ガスの布設ルートにそって、敷設する計画をたて、平成19年9月27日に入札した。
2) ところが、先行する東京ガスの高圧ガス管布設作業が済んだ後に、なんらかの理由で、既設配管をそのまま使用することで問題ないと理屈を付けて、平成20年1月4日に工事の中止を決めた。
3) 東京ガスの図面は平成19年7月23日に描かれたが、そこには配水管布設替工事のルートでなく、既設ルートが明記されていた。なお、この図面は安中市に提出されており、当然安中市長はその内容を知っていた。にもかかわらず、入札を執行した。
4) 東京ガスは、高圧ガス管の布設に伴い、配水管など他の布設物の付替え等を必要とする場合には、東京ガスの負担で事業を実施する旨、安中市長に確約していると明言している。したがって、どのような理由があったとしても、東京ガスの高圧ガス管布設に件う配水管の布設替え事業はすべて東京ガスが負担すべきものであり、本件事業の入札そのものの必要性はそもそも成立し得ない。
5) ところが安中市長は、当初から東京ガスヘの負担についてまったく考慮することなく、挙句の果てに事業の必要性そのものがなかった、などとして、無駄な支出、を正当化するため、「財政事情や住民負担の軽減など総合的に勘案した」などと、本当の理由を隠した。
6) 本件事業中止決定により、落札業者に対して、安中市長は、仕掛かり費用弁済と称して、管材の買上げとして約300万円を支払った。この事業そのものが不必要であるため、無駄な事業に対する公金支出にあたる.
7) 安中市長は、買い上げた管材は、あとで別の配水管工事に充当するから、これは無駄な支出ではないと主張しているが、事業そのものが不必要であり、この言い訳は失当である。
 以上のように、安中市長は事業の必要性についてろくに検討もせず、無駄な工事を執行したため、このような無駄な公金の出費に至ったものである_その背景には、事業による地元住民への通行等に与える迷惑などを軽視する姿勢が垣間見られる。不必要な入札を行ない、大切な公金が無駄に使われたので、再発防止のためにも、監査委員はきちんと監査しなければならない。
第3 回復不可能な損害発生
 すでに同事業に閲する公金支出が計上されており、無駄な支出が確定している,
第4 監査委員に求める措置
 安中市監査委員は、安中市長に対し、違法に支出した約300万円の全額返還を命じること。
第5 監査の実施
1 本件請求について法第242条第4頂の規定により、次のとおり監査を実施した。
 請求書に記載されている事項、請求人が証拠として提出した事実証明書、請求人の陳述を勘案して、法第242条第1項に規定する財務会計上の行為に該当するか監査をした。
2 事情を聴取した職員
 上下水道部長ほか2名
3 請求人の証拠の提出及び陳述
 法第242条第6項の規定により平成20年10月21目請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設け陳述を受けた。
第6 監査の結果
 本件請求については、合議により次のとおり決定した。
 本件請求は、これを棄却する。
 以下、雅実関係の確認、関係職員の説明及び棄却の理由について述べる。
1 事実関係の確認、
 監査の結果、請求書に記載されている事項、請求人が提出した事実証明書、請求人の陳述に関して次の事項を確認した。
(1)平成19年9月27日執行の野殿(ビヤ)地区配水管φ150布設替工事について
(2)違法・不当の理由について
(3)回復不可能な損害発生について
2 請求人の主張と上下水道部の説明
(1)野殿(ヒヤ)地区配水管φ150布設替工事の執行及び中止について

 上下水道部の説明は、この配水管布設替工事は建設部土木課の発注する市道幹131号線道路改良工事に伴う配水管布設替依頼を受けて双方で慎重に協議を行い、歩道のできる道路については、管理上歩道に配水管を埋設するのが最良であるということで、平成19年9月27日に入札執行をした。
 しかし、本工事場所に置いては、道路改良工事、水道工事、ガス工事と三種の工事が重なることとなり、工事施工中の長期にわたる交通制限により地域住民の皆様へ多大な迷惑と負担をおかけしている状況から、道路の早期完成を要望する地域からの声が多く聞かれ、道路管理者(建設部土木課)との度重なる協議と検討を行い、地域住民皆様の負担軽減を勘案し、水道施設としては支障がありますが、その解消を図る工事実施の重要度と、交通制限による住民の皆様の負担を比較し工事を中止した。
 なお、既設水道管の埋設位置が道路改良工事により道路のセンター付近となるが通常の維持管理には問題がないことを確認したと説明している.
(2)違法・不当の理由について
 請求人は、違法・不当の理由を無駄な事業に対する公金支出(地方自治法2条14頂違反)であると次の理由で述べている_
 1) 上下水道課は、配水管布設特工事を計画するに当たり、平成19年6月ごろに図面を描いたが、その際に、東京ガスの高圧ガスの布設ルートにそって、敷設する計画をたて、平成19年9月27日に入札した。
 2) ところが、先行する東京ガスの高圧ガス管布設作業が済んだ後に、なんらかの理由で、既設配管をそのまま使用することで問題ないと理屈を付けて、平成20年1月4日に工事の中止を決めた。
 3)東京ガスの図面は、平成19年7月23日に描かれたが、そこには配水管布設替工事のルートでなく、既設ルートが明記されていた。なお、この図面は安中市に提出されており、当然安中市長はその内容を知っていた。にもかかわらず入札を執行した。
 4)東京ガスは、高圧ガス管の布設に件い、配水管など他の布設物の付替え等を必要とする場合には、東京ガスの負担で事業を実施する旨、安中市長に破約していると明言している。したがって、どのような理由があったとしても、東京ガスの高圧ガス管布設に伴う配水管の布設替え事業はすべて東京ガスが負担すべきものであり、本件事業の入札そのものの必要性はそもそも成立し得ない.
 5)ところが安中市長は、当初から東京ガスヘの負担についてまったく考慮することなく、挙句の果てに事業の必要性そのものがなかった、などとして、無駄な支出を正当化するため、「財政事情や住民負担の軽減など総介的に勘案した」などと本当の理由を隠した。
 上下水道部の説明は、本配水管布設替工事は建設部土木課の道路改良工事の配水管布設替依頼によるもので管理上最良な歩道に布設計画を立て入札を執行した。
 既設配水管をそのまま使用する管理上の支障と、交通制限による住民皆様の加重とも感じられる負担の部分との比較検討して工事を中止した。
 なお、既設配水管は、ガス管布設工事の支障に伴う布設替を必要としないので、東京ガスの負担ということにはならない。
 また、配水管布設替工事とガス管布設工事の進行は施工上同時にはできない。
 本工事の予定価格は、入札前に公表されており、入札談合に関する情報はないと説明している。
 6)本事業中止決定により、落社業者に対して、安中市長は、仕掛かり費用弁済と称して、管財の買上げとして約300万円を支払った。この事業そのものが不必要であるため、無駄な事業に対する公金支出にあたる。
 7)安中市長は、買い上げた管財は、あとで別の配水管工事に充当するから、これは無駄な支出ではないと主張しているが、事業そのものが不必要であり、この言い訳は失当である。
 上下水道部は、平成19年9月27日に入札した公示を平成20年1月に協議により中止したことに伴い、この間の工事施工分としての管材等買い上げの約300万円を支出した。買い上げた管材は別の工事に充当すると説明している。
(3)回復不可能な損害発生について
 すでに同事業に関する公金支出が計上されており、無駄な支出が確定している。
 上下水道部は、同工事の前払い金を平成19年10月11日に2,800,000円、平成20年1月30日に工事中止に伴う精算金276,500円、合計3,076,500円支出したと説明している。
3 監査委員の判断
 以上、事実関係の確認、上下水道部の説明を総合して、以下判断について述べる。
 請求人は、安中市監査委員は、安中市長に対し、違法に支出した約300万円の全額返還を命じることと主張しているので、これについて判断する.
 配水管布設替工事とガス管布設工事はそれぞれ別の工事であり、東京ガスに布設替工事の費用を負担させるものではないと判断する。
 工事中止の判断は、長期にわたる交通制限に伴う地域住民の負担解消を最優先に考えた結果、やむをえないものと判断をする。
 落札業者に支払われた3,076,500円は、契約締結の日から平成20年1月8日の契約解除合意日までの工事施工分(管材等購入費用)として支払われたもので、違法・不当な公金支出に当たらないと判断する。
 なお、骨材等は、上下水道部が他の工事に充当している。
 以上のことから、本件請求について住民監査請求の対象となる安中市の財務会計上の行為に該当するものと認められず、損害賠償の措置勧告をすることは妥当でないと判断する。
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■このように、当会が証拠として提出した、東京ガスの高圧ガス敷設工事図と、ほぼ東京ガスが作成したのと同時期に安中市の上下水道部が描いた水道管布設工事図では、あきらかにパイプのルートが干渉しています。当然、東京ガスの工事と一緒に、東京ガスと協議して東京ガスにも費用負担を求めた上で実施すべきでした。一緒に工事を実施しない場合には、東京ガスの工事後に、再び道路を掘り返すことが事前に分かりきっていたはずでした。にもかかわらず、安中市は無用な入札を行い、不要な資材を業者に買わせたうえに、それを全部、安中市の公費から支出したのです。

しかし、監査委員は、「建設部土木課の発注する市道幹131号線道路改良工事に伴う配水管布設替依頼を受けて上下水道部と協議し、歩道のできる道路については、管理上歩道に配水管を埋設するのが最良であるということで、平成19年9月27日に入札執行をした。 しかし、本工事場所においては、道路改良工事、水道工事、ガス工事と三種の工事が重なることとなり、工事施工中の長期にわたる交通制限により地域住民の皆様へ多大な迷惑と負担をおかけしている状況から、道路の早期完成を要望する地域からの声が多く聞かれ、道路管理者(建設部土木課)との度重なる協議と検討を行い、地域住民皆様の負担軽減を勘案し、水道施設としては支障がありますが、その解消を図る工事実施の重要度と、交通制限による住民の皆様の負担を比較し工事を中止した」という上水道課の説明を100%受け入れました。ヒヤ坂の三種の同時期の工事で、地元住民に多大な迷惑が及ぶことを承知で、しかし、東京ガスとは協議の必要はなかったとして、問題点を真剣に分析し、調査しないまま、当会の住民監査請求を蹴飛ばしたのです。

こうなると、安中市役所の関係部署と事前に充分に協議をして、高圧ガス導管埋設工事を計画し、実施したと地元住民に説明していた東京ガスの言い分にも疑問符が付きます。

■現在の監査委員である猿谷祐康氏は特別養護老人ホーム「うすいの里」理事長なので職員OBと思われ、もうひとりの監査委員である田中伸一氏は市議です。2名とも、平成18年4月の合併選挙後に選任されており、これまでに行なった住民監査は今回が2回目だそうです。

前回も、告発情報に基づき、当会が提起した松井田町における市道工事の公金無駄遣いに関する住民監査請求でしたが、あっさり棄却されました。

監査委員は行政が選任した人物と議会から選出された人物の2名で構成されており、住民からの監査請求はほぼ100%門前払いとなります。行政ベッタリの人物しか選任されないため、こういう結果しか出せないのですが、これでは何のための監査委員なのか分かりません。実効ある監査委員制度にするには、欧米のオンブズマン制度のように、第三者の公平な立場で判断できる監査委員を任命する必要がありますが、現状では不可能です。

市民オンブズマンの役割を果たすべく、当会では情報公開制度を駆使して、市役所の問題点を洗い出しておりますが、それにも限度があります。したがって、市民の皆様からの告発情報が非常に大切になります。

今回の監査委員の監査結果を不服として、住民訴訟に持ち込むかどうかは、まだ期限までに時間の余裕があるため、じっくり検討してゆきたいと思います。なお、当会では、現在もう1件の住民監査請求を行っており、こちらの件も年末には結果通知があるはずです。

【ひらく会事務局】
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