2015/5/22  22:09

安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・今度も不起訴処分で一件落着?  政治とカネ

■安中市の保守系大物市会議員で元議長も務めたことのある御仁が、今年2月、地元地区5カ所で開かれた集会で、1升ビン2本の清酒セットを熨斗紙付きて配布した、という記事が本日の東京新聞にデカデカと報じられました。この記事を読んだ安中市民は「優子ちゃんもお咎めなしだから、告発されても不起訴だろうね」と思うかもしれません。しかし、再発防止の為には、きちんと誰かが司直の判断を求める必要が有るのではないでしょうか。まずは報道記事の内容を検証しましょう。
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安中市元議長の公選法違反疑惑について報じた2015年5月22日付記事。

*********東京新聞2015年5月22日群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150522/CK2015052202000171.html

安中市元議長 地元集会に日本酒 十数年配る 公選法抵触の可能性
 安中市議会の元議長が十数年間にわたって毎年二月、地元住民の集会に日本酒を贈り続けていたことが、関係者への取材で分かった。公職選挙法(寄付行為の禁止)に抵触する可能性もある。四月に自らが当選した市議選の前にも自身で配っていた。元議長は取材に「投票の依頼はしていないが、法律違反は分かっている。まずいことをしてきた」と認めている。 (菅原洋)
★「悪意ない…慣例になっていた」★
 関係者と元議長によると、元議長の地元では毎年二月、各自治会の役員などを決める集会を地区ごとに数十人ずつが参加して開いている。
 元議長は今年二月、五カ所ほどで開かれた集会に、一升瓶の二本セット(計二千数百円相当)をそれぞれ配布。箱に付けたのし紙には、「粗品」という文字とともに自らの氏名を印字していた。
 総務省によると、選挙区内の人に対する寄付行為は、選挙前か否かにかかわらずに禁じられており、寄付行為の具体例として「町内会の集会などへの飲食物の差し入れ」などが挙げられている。
 本紙が入手した日本酒の箱の写真を見せると、元議長は「自分が配った物だ。配るのが慣例になっていた。これまで指摘がなかったため、深刻に考えなかった。悪意もない。このため、任期は全うさせてほしい」と話した。
 一方、関係者によると、今年一月、「よろしくお願いします」とスタンプが押され、元議長の顔写真が入った名刺付きで、「年賀」と印字したのし紙とともに、乾燥した状態の切り干し大根とみられる物が配られていたとの情報もあるという。本紙はこの写真も入手した。
 この写真について、元議長は「名刺は自分の物と思うが、切り干し大根のような物は自分は配っていない。何者かが名刺を悪用したのではないか。ただ、自分の運動員に関与していないことを確認したわけではない」と話している。
 関係者は日本酒などの情報を県警に提供したという。安中市議会事務局も一部情報を把握しているが、取材に応じていない。
 県内では昨年、小渕優子・元経済産業相が選挙区の有権者に慶事の祝い品として、自らの顔写真が写ったラベル付きのワインを配ったとして、公選法違反容疑で告発されたが、今年四月に嫌疑不十分で不起訴となった。
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■それでは、この記事の内容から読み取れる情報を吟味してみましょう。

 記事の中で、「元議長」とあります。では、元議長とはいったい誰なのでしょうか。安中市役所のHPにある市議会の会議録を検索した結果、平成18年度以降の市議会議長は次の方々であることが分かります。

2006年5月〜2007年5月  白石正巳
2007年5月〜2008年5月  土屋 弘
2008年5月〜2009年5月  土屋 弘
2009年5月〜2010年5月  田中伸一
2010年5月〜2011年5月  田中伸一
2011年5月〜2012年5月  奥原賢一
2012年5月〜2013年5月  奥原賢一
2013年5月〜2014年5月  伊藤 清
2014年5月〜2015年2月  伊藤 清
2015年2月〜2015年5月  柳沢吉保
2015年5月〜         吉岡完司

 このうち岩井地区出身だった白石正巳・元議長は、既に鬼籍に入られており、対象とはなり得ません。

 下後閑地区出身の土屋弘・元議長は、今年4月の市長選には出馬しませんでした。また、票田は信越労組だったため、地元地区にこうした“配慮”をする必要性は低いと思われるため、対象としての可能性は極めて低いようです。

■上記記事によれば、「4月に自らが当選した市議選」とあることから、現職の元議長を見てみましょう。同じく下後閑地区出身の田中伸一・元議長はどうでしょうか。「10数年間にわたって」とあることから、少なくとも、現職議員としては4期以上が対象となります。田中伸一・元議長は2003年の安中市議選で既に現職として出馬し、当選していますから、「10数年間にわたって」という条件は、完全にクリアしています。
http://www.jomo-news.co.jp/senkyo2003/1116/1116.htm

 中秋間出身の奥原賢一・元議長は、2003年11月投開票の市議選で初当選を果たしており、今回の統一地方選でも当選しています。したがって、現在、市議として12年半が経過しており、「10数年間にわたって」という条件は、少し不足気味ながら一応クリアしていることになります。
http://www.jomo-news.co.jp/senkyo/p/p_detail.html?sc=20150426_annaka_shigi

 原市出身の伊藤清・元議長は、先月4月12日投開票の県議選で安中市区から当選を果たし、現在は、一人会派の「清風会」に所属し、「環境農林委員会」と「観光・世界遺産に関する特別委員会」のメンバーです。それまでは1991年に初当選後市議会議員として6期24年にわたり、活動してきました。したがって、「10数年間にわたって」という条件は、多すぎるくらいですが一応クリアしていることになります。しかし、昨年2014年12月22日に県議選への出馬を記者会見で表明し、今年4月の市議選には出馬しませんでしたから、対象には当てはまりません。

 柳沢吉保・前議長は、伊藤清議長が県議選に鞍替えしたので、今年2月議会に議長として選出され、伊藤議長の残りの任期を受け継いだものです。したがって、今回の対象には当てはまりません。

 吉岡完司・現議長は5月19日の臨時議会で議長に選出されたばかりなので、今回の対象には当てはまりません。

 というわけで、元議長の特定には至りませんが、10年以上市議に関わっている現職の元議長は複数名いらっしゃるのも事実です。

■記事の中で、元議長は「投票の依頼はしていないが・・・」と取材に答えていますが、一方で、「よろしくお願いします」という名刺を「切り干し大根」と一緒に配布したとあります。公選法の趣旨をきちんと分かっていないのは確かなようです。

 記事では「元議長の地元では毎年二月、各自治会の役員などを決める集会を地区ごとに数十人ずつが参加して開いている」とあります。これは、「春契約」といって、安中市内ではどの地区では1月末から2月前半にかけて開催しており、筆者の地元の北野殿地区でも、峯組、中組、西組でそれぞれ日をずらして開催されています。かつては、地元議員が清酒2本を寄付していましたが、筆者が指摘したため、最近数年間は政治家からの金品の提供はありません。

 「いまどき、まだこんなことをしている地区があるのか?」と思われる向きも多いと思いますが、安中市では、いまだに慣習化している地区があるようです。今回、元議長が「配るのが慣例になっていた。これまで指摘がなかったため、深刻に考えなかった」と取材に答えていますが、誰もその場で注意をしない住民側の実態も垣間見ることができます。

 事実、筆者の地元の北野殿地区では、筆者が1996年ごろ指摘した後、一時、集会での政治家による金品の寄付行為は鳴りを潜めていましたが、筆者が海外から帰国して2005年1月3日に地元北野殿地区の新年会に出席してみると、地元議員らがこぞって金品の提供を競って行っていたので、警察に告発したことがあります。詳しい経緯は当会のブログを参照ください↓
○2007年2月16日:岡田市長の公選法違反に検察のおとがめナシ
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/7.html
○2007年10月7日:公職者が金品を配っても起訴されない世にも不思議(1)〜(5)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/41.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/42.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/43.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/44.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/45.html

■安中市内でこうした寄付行為が恒常的に行われる素地を断つことが難しい背景としては、こうした実態を、安中市選挙管理委員会に通報しても、警察にたまに連絡をすることはあっても、告発というかたちで警察に届け出ないからです。

 筆者も、前述のように、安中市選挙管理委員会に必要な情報を提供した上で、告発を要請しましたが、委員会側では必ず「うちは捜査権限が無いので、警察に連絡するだけ」というのです。きちんと「被告発人の行為が何罪に当たると考え、被告発人を厳重に処罰してほしい」という意思表示を告発状にしたためて、警察に提出しなければ、警察も本気で捜査をしないからです。

 しかし、そのことを安中市選挙管理委員会に申し入れると「そんなに告発したければ自分で告発したらどうか?」と言われます。そこで、筆者の場合も、自分で告発状を作成して、安中署の2階の刑事課に持ち込むのですが、受理されることは極めて希です。前述のブログにも示した通り、岡田義弘・前市長ら地元選出の公職者の公選法違反で告発したときも、1年間受理してもらえずに放っておかれたので、なんども粘り強く告発状の受理を警察に働きかけ、ようやく捜査に着手してもらえました。この間、公安委員長にも直訴状を書いたりしました。

 ところが、告発してから2年後に、検察から届いた処分理由通知書には、嫌疑不十分が3名、起訴猶予が2名とする回答内容が書いてあったのでした。

■このほか、安中市では、公選法で告発しても、嫌疑不十分となるケースが珍しくありません。さらには、絶対に嫌疑が十二分である事件でも、今度は警察が告発状を正式に受理しようとしないのです。なぜなら、告発状を受理すると、捜査結果を告発者に説明する義務が生ずるため、こうした政治がらみの事件は、捜査の結果わかった事件の真相を、警察は、とくに当会のような市民団体には教えたがらないのです。昨年の安中市長選のなりすまし投票事件もそうでした。当会の次のブログを参照ください。
○2014年4月15日:安中市長選挙・・・戦い終わって夜が明けて(その1)・・・なりすまし投票事件↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1268.html
○4月24日:
なりすまし投票が発覚したのに告訴しようとしない安中市選管に代わり当会が告発状を安中署に提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1278.html
○2015年2月25日:2014年4月の安中市長選のなりすまし投票事件の被疑者らが不起訴処分となった経緯と背景に関する一考察↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1542.html

 このように、安中市内では、公選法はあってなきに等しい事が分かります。かといって、誰でも自由に買収、寄付行為、酒食饗応をしてもよいのか、というと、そうではありません。筆者はこれまで市長選に4度挑戦しましたが、ささいなことでも、公選法違反の疑いがあれば、直ぐに選管や警察に候補者本人が出頭を命じられ、説明を求められます。

 今回、東京新聞の記事の末尾にもあるように、群馬第5選挙区では「昨年、小渕優子・元経済産業相が選挙区の有権者に慶事の祝い品として、自らの顔写真が写ったラベル付きのワインを配ったとして、公選法違反容疑で告発されたが、今年四月に嫌疑不十分で不起訴となった」わけですから、安中市のみならず、群馬県の西部地域は同じような公選法の無法地帯の観があります。

■当会では、今回の事件の新聞報道に接して、安中市役所の選管や、市議会事務局がどのような対応をしているのか、さっそく電話取材を試みました。関係者からのヒヤリング結果は次のとおりでした。

<議会事務局>
 正午前に電話をした際に、担当のハラ氏いわく「本件は新聞報道を見て、承知している。新聞報道では、あたかも一部情報を把握しているのに取材に応じていない、かのように書かれているが、本当に情報を把握していない。そのため、現在、議会事務局で本件について調査中であり、事実確認を終えた後、対処方法を協議する予定。すでに、各会派には連絡をとっており、事実確認調査結果を踏まえて、各会派と協議することになる。しかし、その後の予定はまったく分からない」とのことでした。

<選挙管理委員会>
 午前中電話をしたところ、担当の金田氏いわく「あいにく、上司の須藤係長も、吉田課長も出払っている。係長はあと40−50分したら戻ると思うので、多分午後1番には在席しているとおもう。この件についてヒヤリングを希望したい旨、伝えておくので午後また電話をしてほしい」とのことでした。そこで、午後1時過ぎにさっそく電話をかけ直したところ、田中氏が電話口に出て、同氏いわく「午前中の申し入れについては、既に上司に連絡がとれているので、今から電話を回す」として、まもなく電話には真下・総務部長が出ました。同部長いわく「自分は選挙管理委員会の書記長であり、委員長は恩田さんで、委員会としてのコメントは出せない。しかも、公選法に詳しい吉田課長があいにく終日出かけている」とのことでした。到底、今回の事件でも、選管から告発状を出すような動きは全く期待できない為、当会から「きちんと容疑者を厳罰に処してほしいという意思表明をして、警察の捜査を促すためにも、いつものように当会から告発状を提出することも考えているので、予めご了承ください」と伝えました。

■以上のように、この事件では、選管や議会事務局など市役所側が警察に告訴状や告発状を提出する事は毛頭期待できません。そこで、もし当会を含め誰かが告発状を警察に提出しようとした場合を考えてみましょう。これまでの当会の経験からみても、警察が、告発状をすんなり受理することは到底ありえません。粘り強く交渉して、1年後くらいに告発状を受理してもらい、捜査に着手して、有罪性があるとして、被疑者を検察に送検しても、結局、検察は「不起訴処分」にする可能性が極めて高いと言わざるを得ません。

 最後に、この記事の中に「関係者への取材」の結果として、「関係者は日本酒などの情報を県警に提供したという」とか「関係者によると、今年1月、『よろしくお願いします』とスタンプが押され、元議長の顔写真が入った名刺付きで・・・が配られたとの情報もある」などとして、「関係者」の情報が、今回の事件報道のカギになっているようです。

 この関係者というのは、元議長にとっては、利害関係者に当たると思われます。この場合、県警にも情報提供をしたことから、既にかなりの情報を集めたうえで、マスコミにこの事件の情報をタレ込んだ可能性があります。

 その観点からすると、元議長が、本事件による公選法違反で起訴され、有罪となった場合(執行猶予や罰金以下の場合も含む)には、被選挙権をはく奪されることにより公職選挙法第99条の規定により、失職することも、ごくごく僅かですが有りえます。

 一般に地方議会の議員の場合、選挙直後に選挙違反等で辞職となった場合、選挙日から3か月以内に辞職した場合は次点者が繰り上げ当選となり、また、選挙日より3か月を超えて辞職した場合は欠員のまま(場合により補欠選挙が行われる)となることから、結果として、辞職議員に次点者を繰り上げ当選させるか否かの選択権を与えていることになります。したがって、今回は、次点者の繰り上げ当選は期待薄だと考えられるため、ここでいう「関係者」は、繰り上げ当選を期待して、こうした行動をとっている可能性は殆ど無いと見られます。

【ひらく会情報部】
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