2015/6/26  22:05

大同有毒スラグを斬る!…渋川市で先週発生の擁壁崩壊災害!有害スラグ原因か?オンブズマンが緊急調査  スラグ不法投棄問題

■異常気象のためでしょうか。天候不順の毎日が続いています。その最中、渋川市北橘町でブロック壁が崩れ落ちる事件が起きてしまいました。
 渋川市では、ブラック企業の佐藤建設工業と組んだ建設会社Kが、工事打合せの際に、本当は有害スラグ入りの危険な資材なのに、全く別会社が作成した「再生砕石RC100」に関するデータを綴った承認願い・試験結果報告書を、役所との工事打合せの際に、シレっと提出していました。こうした偽装工作により、有害スラグを不法投棄していた実態が業界OBの方の告発により、次第に解き明かされてきました。
 スラグの特性として、水分を吸収すると膨張することが知られています。今回の擁壁崩落事件も不法投棄されたスラグが原因となって、とうとうブロック壁の崩壊につながったのでしょうか?朝日新聞の報道を見ていきましょう。

**********朝日新聞2015年6月17日群馬版
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大雨 擁壁ずれ落ちる
渋川の運動場 防止策とられず
 不安定な大気の影響で、県内では伊勢崎市を中心に荒れた天気となった15日、渋川市では強い雨に見舞われ、同市北橘町で建設している運動場の高さ約3メートルの斜面を覆う擁壁が幅30メートルにわたってずれ落ちた。市は雨水の排水施設が未整備で水分を含んだ土の重みに耐えられず擁壁が「円弧すべり」という現象を起こしたとみている。擁壁下部の基礎部分を土などで覆う、ずれ防止策もしていなかったといい、施工手順に疑問が残る格好だ。
 市は16日、排水用の堀を造る応急処置を施した。市は今後、ずれ落ちた擁壁を取り換えるなどして、「設計見直しなど、県の土木事務所などと相談していく」としている。
 市によると、擁壁は、運動場西側の斜面に2015年2月に設置した高さ約3メートル、長さ10メートル、厚さ50センチのコンクリート製で計3枚。今後、グランド整備と同時に排水設備の工事をする予定という。擁壁下部の基礎部分は、今年度に擁壁に沿う道路を工事する予定だったことからむき出しにしていたという。・・・
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 ちなみに「円弧すべり」とは土木用語で、斜面や基礎が円弧上のすべり面によって破壊する現象を指します。
※参考:分割法による斜面の安定計算↓

※円弧すべり計算表↓
https://www.kentsu.co.jp/seminar/file/245円弧すべり計算表.xls

■新聞報道では、大雨による災害だということ、しかも擁壁下部の基礎部分がむき出しになっていたこと、施工手順に疑問が残ること、などが読み取れます。どうやら有害スラグが原因とはとらえていないようですが、市民オンブズマン群馬にも現場から写真が送られてきましたので見ていきましょう。現場の位置はこちらです↓


写真1:ずれ落ちた擁壁現場を下から見たところ
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 まずは新聞報道と同様の写真。上武上細井のブロック壁に斜めの亀裂がはいっていたのと異なり、擁壁がスパンごとに一体となって滑り台を滑るように前へズレています。これは施工の際、一定の距離ごとに緩衝材を挟むようになっており、緩衝材ごとにずれて滑っていると見受けられ、スラグによる膨張に起因する崩壊とは違うようです。

写真2:ずれ落ちた擁壁現場を上から見たところ
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 別の写真。擁壁がズレていますが、一定方向ではありません。滑っています、どうやらスラグの膨張が原因ではないようです。でもなんだか、よく見ると、コンクリートの塊が見えます??不法投棄か?
 奥のマンホールをご覧下さい。浮いて見えます。

写真3:ずれ落ちた擁壁現場を裏から見たところ
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 擁壁の裏側を撮った写真。この写真からは、有害スラグかどうか、わかりませんね。

写真4:ずれ落ちた擁壁擁壁を裏から接近して見たところ
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 おやっ、石にサビが浮いて見えませんか?

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■ところで、なぜ擁壁はずり落ちて、滑ってしまったのでしょうか?次の説明書をご覧ください。
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 ここでいう「根入れ深さ」とは、建築構造物、土木構造物などにおける、基礎の土への埋め込み深さのことを指します。より正確には、地盤面の高さ(GL)から、基礎下端までの距離(h)のことを示しています。基礎の下に敷かれている割栗石や捨てコンクリートの厚さは含めません。根入れ深さは、できるだけ深い方が望ましいとされています。

 宅地造成等規制法施行令第8条第4号では、関東ローム層のような第二種の土質の場合、根入れ深さ(h)は35cm以上で、かつ擁壁の高さ(H)の15/100以上を確保されること。つまり、それだけ深く、土砂で基礎部分を埋めることが要求されています。基礎部分の根入れの深さが十分確保されていない場合には、構造的に“災害に大変弱い擁壁になっている”ということが言えます。

■今回、災害前の写真も偶然入手できました。

写真5:ずれ落ちる前の擁壁の様子
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 この写真では、次の工事に備え、掘削が役所から指示されているようにも見えます。下水工事も施工されている様子から、計画的に事業が遂行されているように見えます。しかし次の工事まで何ヶ月も根入れの高さが不十分なまま放置することは宅地造成等規制法施行令で定めた設定に反し、大変危険です。技術・知識が不十分なお役人様の指導は、なまじ権限を持っているだけに注意しても耳を貸そうとしないので、今回のように、ルール違反の状態のまま現場を放置しがちなので、迷惑千万です。

 他方、施工側も根入れの深さに対する技術・知識があったのか大変疑問です。「必要な根入れの深さを確保できていません」と、知識不足なのに耳を貸したがらないお役人様に粘り強く主張し、砕石等で仮に埋めておくことも可能だったはずです。

 日本には梅雨という時期があり、6月に雨が降るのは子ども達でも知っている当たり前なことです。梅雨時期の豪雨に備えたモノづくりができず、「災害だから」と簡単に市民に負担を押し付けてしまうのは、真っ当なお役人様のすることではありません。

 今回の災害は、根入れ掘削の指示が出されていれば、お役所側に責任があることになるかもしれません。その場合、根入れ部分の掘削指示を出した職員の負担で、災害復旧が行われることになります。今回の災害の原因究明と、それに伴う責任の明確化について、納税者である渋川市民としては、注意深く見ていく必要があります。

■さらに興味深い写真が続きます。

写真6:下ネギ畑の様子
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 この写真も、災害発生前に偶然撮られていました。
 擁壁下部を見ると、次の工事に備え、基礎の下方が見えるまで掘削されています。奥には下水のマンホールも見え、蓋の部分が同じ高さだけ浮いて見えます。手前のネギ畑は、この工事を請け負った業者が砂埃対策を怠ったため、せっかく丹精込めて育てたネギが売り物にならなくなってしまいました。

 そこで、この耕作者が渋川市に思い余って相談したところ、取り上げてもらえなかったのだそうです。本来なら、渋川市が業者との間に入って、話し合いの場を設定する義務があるのに、「業者と話し合え」と耳を疑う言葉を市のお役人様から言い放たれ、現在裁判を検討中とのことです。

 副市長が逮捕された渋川市ですから、このお役人様の無責任な対応は容易に想像できます。(副市長を巡る汚職事件のその後は記事末尾の参考情報を参照ください)

写真7:ずれ落ちた擁壁の裏に、土砂に混じってコンクリートの塊がゴロゴロ
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 さて、写真2では、コンクリートの塊が擁壁の裏に見えていましたが、この写真7では、崩れた擁壁の裏にコンクリートの大きな破片が見えています。

写真8:ずれ落ちた擁壁の裏に、土砂に混じって割れたブロックがザックザク
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 この写真8から、割れたブロックが土砂に混入していたことが分かります。また、割れたスコップの柄なども見えていたようです。当会に寄せられた報告では、現場を通りかかった人から「近くの山田川河川工事の産廃入り土砂をダンプで運んできて埋めたようだ」とお話ししていただいたとのことでした。

■佐藤建設工業と組んだ建設会社Kは、試験成績表と異なるスラグを不法投棄していましたが、今回の擁壁ずれ落ち事件で、渋川市が北橘町で建設中の運動場の造成工事を隠れ蓑にして、他の場所の産廃入り土砂を不法投棄していたことが奇しくも明らかになりました。

 梅雨の大雨が、不法行為の現場を洗い出してくれたことになります。ことほどさように、渋川市では逮捕された副市長が中心となって、故郷工事を餌に、汚職まみれなブラック行為が日常茶飯事だったことがうかがえます。

 副市長に賄賂を贈れば、やりたい放題できるとあって、“悪事をはたらき儲けなきゃ損”という醜い図式が、渋川市では当たり前になっていたようです。これは、渋川市に留まらず、群馬県内の国や県の公共工事にもあてはまるケースが否定できないことは、当会のこれまでのブログ記事からもお分かりいただけると思います。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】


※参考資料
【宅地造成等規制法施工例第8条第4号関連】
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37SE016.html
(練積み造の擁壁の構造)
第八条 第六条の規定による間知石練積み造その他の練積み造の擁壁の構造は、次に定めるところによらなければならない。
一 擁壁の勾配、高さ及び下端部分の厚さ(第一条第五項に規定する擁壁の前面の下端以下の擁壁の部分の厚さをいう。別表第四において同じ。)が、崖の土質に応じ別表第四に定める基準に適合し、かつ、擁壁の上端の厚さが、擁壁の設置される地盤の土質が、同表上欄の第一種又は第二種に該当するものであるときは四十センチメートル以上、その他のものであるときは七十センチメートル以上であること。
二 石材その他の組積材は、控え長さを三十センチメートル以上とし、コンクリートを用いて一体の擁壁とし、かつ、その背面に栗石、砂利又は砂利混じり砂で有効に裏込めすること。
三 前二号に定めるところによっても、崖の状況等によりはらみ出しその他の破壊のおそれがあるときは、適当な間隔に鉄筋コンクリート造の控え壁を設ける等必要な措置を講ずること。
四 擁壁を岩盤に接着して設置する場合を除き、擁壁の前面の根入れの深さは、擁壁の設置される地盤の土質が、別表第四上欄の第一種又は第二種に該当するものであるときは擁壁の高さの百分の十五(その値が三十五センチメートルに満たないときは、三十五センチメートル)以上、その他のものであるときは擁壁の高さの百分の二十(その値が四十五センチメートルに満たないときは、四十五センチメートル)以上とし、かつ、擁壁には、一体の鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造で、擁壁の滑り及び沈下に対して安全である基礎を設けること。

※参考情報
**********産経2015年6月9日19:21
群馬県渋川市の元副市長に懲役2年6月求刑 汚職事件で 「迷惑かけ申し訳ない」
 群馬県渋川市発注の電気設備工事をめぐる汚職事件で、加重収賄などの罪に問われた元副市長、飯塚寛巳被告(62)は9日、前橋地裁(高山光明裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を認めた。検察側は懲役2年6月と追徴金15万円を求刑し、即日結審した。
 贈賄などの罪に問われた電気設備工事会社元社長、菅谷玄被告(71)も起訴内容を認め、検察側は懲役1年6月を求刑した。判決は7月7日。
 検察側は冒頭陳述で平成23年5月にも別の工事の最低制限価格を漏らしていたことを明らかにし、論告で「公務員に対する国民の信頼を大きく損なった」と指摘。飯塚被告は「多くの人に迷惑をかけて申し訳ない」と述べた。
 起訴状によると、飯塚被告は25年1月、公民館の工事の予定価格を電話で菅谷被告に伝え、同2月に7600万円で落札させ、現金と商品券計約15万円を収受するなどした。
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