高崎市の知的障害者通所施設清涼園の虐待疑惑に関するオンブズマン公開質問に対して高崎市長が回答(2)  高崎市の行政問題

■障害者授産施設(あるいは授産所)とは、心身に障害があり一般企業に就職することが難しい人に対し、就労の場や技能取得を手助けする福祉施設です。施設の設置は、主として社会福祉法人などの団体によって行なわれています。


 授産施設は、2006年までは主に障害者関連の法律(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法)に基づいて作られている「法定授産施設」と、それ以外の、各自治体が定めた要綱に基づく「心身障害者小規模授産施設」の2種類に大きく分けられていました。2006年の障害者自立支援法施行後は、障害者福祉サービスを提供する目的で、各授産施設が利用者の働き方などにより、「就労継続支援施設」(A型、B型)や「就労移行支援施設」に順次移行されました。この結果、法定授産施設は障害福祉サービスを提供する施設・事業所に移行しました。

■「就労継続支援施設」はA型とB型に分類されており、A型は65歳未満で雇用契約に基づく就労が可能な方を対象とする施設で、以前「福祉工場」と呼ばれていた施設が該当します。一方のB型は非雇用型の施設で就労可能な方を対象とする施設になります。

 A型では一般企業との間で正規の雇用契約を結んだ事業所で行われ、そこで働く人は「従業員」になります。通常の会社となんら変わらないので、賃金体系や労働法規については厳格な適用が求められます。また都道府県の最低賃金を上回る賃金を確実に受け取る事が出来ます。

 一方のB型は、就労というより訓練やリハビリを目的としています。B型では賃金体系や労働法規については法令の適用外となり、作業工賃(賃金に相当する物)を分配すればいい事になっています。そのため非常に安い賃金(1ヶ月就労しても1万円弱も珍しくない)となっています。

■授産施設の課題として指摘されるのが、収益性の極端な低さであり、その結果としての工賃の金額の極端な安さです。一方で、授産施設の売上げには税制上の優遇措置があり、指導員の給与は別途公費でまかなわれています。したがって、本来であれば通常より高い収益率となるはずだと見る向きもありますが、実際にはどうなのでしょうか。

 工賃の安さが収益率の低さと考える理由としては、収益事業を経営する能力が乏しい授産施設の施設長が多く、結果として「生産される財の品質が低く、市場での競争力が無い」「障害の特性に見合った生産事業ではない為に生産性が低く、労働コストが過剰となって市場での競争力を持ち得ない」「商品の流通ルートの開発が立ち後れている」といった状況が発生しているとの見方がされています。

■平成27年6月初めに、下関市にある授産施設のことがニュースで報じられ話題になりました。
○社会福祉法人開成会「大藤園」↓
http://kaisei-kai.jp/ofujien/

 この事件が明るみに出た背景には、元支援員らによる施設利用者への暴行の様子を撮影した映像の存在があったことと、6月5日に同園の関係者から告発が県警に為されていたことが挙げられます。

 6月4日には下関市が障害者総合支援法に基づき、施設を立ち入り調査し、行政処分が検討されています。また、施設を運営する社会福祉法人開成会は6月4日付で暴力を振るった元支援員を懲戒解雇し、利用者に暴言を浴びせた2人の支援員の処分を検討中とのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=Bxfyoq3JOo4
https://www.youtube.com/watch?v=6EfJsjRQgo4

■当会の調査によれば、群馬県内でもA型事業所とB型事業所があって、一般的にはB型事業所が圧倒的に多くなっています。両方とも作業指導があり、A型の場合県内に2、3箇所しかなく、利用者は準社員扱いで、月額5、6万円とか7、8万円が支給されます。一方、事業所の殆どを占めるB型の場合、少ないところで月額3000円、多いところで月額1万円程度、平均的には5、6千円程度の報酬です。

 就労継続支援A型事業は、通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して行う雇用契約の締結等による就労の機会の提供および生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援事業のことです。

 一方、就労継続支援B型事業は、通常の事業所に雇用されることが困難であって,雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行う就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援事業のことです。

 また、就労継続支援A型とB型の主な違いは雇用契約の有無、つまり事業者と利用者の雇用関係が成立しているかいないかという点です。ただし、工賃はA型にもB型にも支払われます。整理すると、A型事業の対象は「通常の事業所で雇用されることは困難だが、雇用契約に基づく就労が可能な方」であり、B型事業の対象は「通常の事業所で雇用されることは困難で、雇用契約に基づく就労も困難な方」ということになります。

 就労支援施設は2年前から社会福祉法人の資格もいらなくなり、株式会社でも、NPO法人でも参入できるようになっているそうです。

■清涼園はいわゆるB型に属する授産施設で、ここでの主な作業は、県内に主力工場の殆どを持つホチキスのトップメーカーであるマックス梶i本社:東京都中央区日本橋)のホチキス用針の箱詰めの下請作業です。

 1グループ4、5名の利用者につき、1人の職業指導員が付き添って、目標に向かって仕事をしていく中で、利用者の足りないところを支援してやり、何とかそれなりの仕事ができるようにします。

 というふうに言葉で言うと簡単そうですが、実際に指導員の立場で利用者に接すると、我々健常者が、一般常識の中では考えられないような、ちゃんと口がきけない、自分の意思をちゃんと伝えられない、そういう利用者の仕事の支援をするのは、並大抵のことではありません。

 利用者は、何をされても抵抗できないような、また、意味を理解できないような状況なので、そうした人たちに対して、指導者として接して支援をしても、思うようにいかなければ、前述の下関市の「大藤園」をめぐる虐待と同じ事件が起きる素地が、どの事業所でも有り得るのです。

■当会に寄せられた情報によれば、清涼園では3年半前から利用者に対する暴力が振るわれていたということです。

 その様子は逐次高崎市にも報告されました。なぜなら虐待法が2013年から施工されてからは、暴力があれば高崎市に報告する義務が、施設側にあるからです。

 最終的に利用者に暴力を振るった職員は、別の理由で自主退職することになりましたが、それまでずっと継続的に、通所してくる利用者に対して暴力を振るっていたことが分かっていました。

 例えば、居眠りをして俯いている利用者を起こすために、脇から、或いは後ろからつついたり、机を蹴飛ばしたりする行為が日常的に行われていました。

 そこで、こうした実態について、現場の指導員がベテランのサービス管理者を通じて施設長に「これはおかしいのではないか?」と報告が上げられましたが、結果的に無視されてしまいました。

 その後も、現場の指導員からは、施設長と話をする機会があるたびに「これでは(利用者が)かわいそうだ」と口頭で状況が伝えられましたが、全く対応がとられませんでした。

 一方で、当該職員が同じ職場の女性職員に対してセクハラ行為をはたらいたことが発覚しました。そのため、女性職員の家族から「私の娘がそんなところで働かせるのはできない」と言われたため、清涼園は、当該職員を「家事都合」という理由で辞めさせました。

■その頃、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(いわゆる障害者虐待防止法。平成23年6月24日公布)が成立し、平成24年10月1日から施行されました。この法律では、国や地方公共団体、障害者福祉施設従事者等、使用者などに障害者虐待の防止等のための責務を課すとともに、障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者に対する通報義務を課すなどしています。

 この法律に触発されたためか、清涼園では2013年と2014年に、それぞれ1回ずつ職員やパートの指導員ら11〜12名を対象にアンケートをとりました。

 2013年のアンケートでは、清涼園で利用者に対する暴力行為が存在することをうかがわせる回答がありました。暴力行為が行われている現場を目撃したことがあると回答した人数が7〜8名あったからです。

 2014年のアンケートでは、直接的な暴力は無くなったものの、精神的な虐待行為が継続していることをうかがわせる回答がありました。

■清涼園は、高崎市役所の南側にある高崎公園の一角にあるシルバー人材センターの公園掃除を担当する事務所の向かい側にあります。国道17号線の聖石橋交差点を高崎市街に向かって入ると左側にある竜広寺の住職が経営する障害者授産施設で、利用者は40名です。

 当会への報告によれば、利用者に対する虐待行為としては、下関市の指定障害福祉サービス事業所「大藤園」(利用者数55人、支援員数11人)で起きたような直接的な暴行こそないものの、ネグレクトと呼ばれる利用者への無視や否定、指導放棄等の行為、つまり精神的な虐待行為が常態化していたということです。

 そうした行為例としては、次の事例が指摘されています。

(1)利用者がマックス針の箱詰め作業を終わり、作業の成果をチェックしてもらうために「検査をお願いします」とすぐ近くにいる支援員に声を掛けることになっている。ところが、利用者が何度も声を掛けても支援員が知らん顔で無視をしたりすること。

(2)作業時間があと1、2分で終わる場合、そのまま利用者には机に座って待ってもらえばよいのに、無理やり他の場所に連れて行って、あらたな指示を出したりすること。

(3)利用者が作業をするために座る椅子は、それぞれ定位置が決まっているが、事前に利用者に説明をせずに、座る椅子の場所を変えること。このため、利用者が座る椅子の場所が決まっているのに、椅子を勝手に動かされるので、利用者が困惑してしまうこと。健常者であれば「椅子がなければ探せばよいではないか」と思うかもしれない。確かに、自分の椅子の場所を探せる人はよいが、利用者は違う。定位置の椅子には名前が書いてあり、自分の椅子を認識しているので、もし椅子の場所を変えるときは、事前に説明をすれば、利用者は理解できる。

(4)これらはささいなことかもしれないが、利用者がちょっとでも言うことを聞かなかったりすると、威圧感を与えるために、こうした嫌がらせを利用者にすること。しかも、支援員にも説明せずに、特定の職員の独断でこうした嫌がらせ行為が行われること。

(5)基本的には午後4時30分が終業時間だが、なかには4時に作業を終わる利用者もいる。ところが場合によっては4時20分を過ぎても居残り作業を4、5人にさせて、「やりきってから帰れ」と言って、終業時間の2、3分前までやらせること。これは、利用者全員のなかでやらせるべきであり、もし4時30分以降に作業時間が延びたら残業手当を出すべきであること。通常であれば、終業時間の5分前に全員の作業が終わるようにして、皆一緒に帰れるようにするが、特定の職員は、居残り作業をいつもさせている。

(6)終業時間を知らせるベルの鳴らし方について、職員が時計を見ながらチャイムを鳴らしていること。自動的に定刻を知らせるシステムになっていないこと、タイムカードもないこと。こうしたやりかたが「伝統だ」として、全く改善されていないこと。

(7)給料を配るのも現金で渡していること。月給と言っても、5000円〜1万円程度だが、その給料を渡すにあたって、施設長自らが手渡ししていること。その際、使用者の名前を呼んで、「じゃあお疲れ様でした」と声を掛ければ、利用者は「はい」と答えて、ニコニコしている。ところがその嬉しい気持ちに水を差すように、「Fさん、うん、足元、靴が反対。あとまわし。次、Nさん、ズボンからシャツがはみ出している。あとまわし」と施設長に言われる利用者が、いつも3人くらいいる。1か月の作業の対価である給料をもらうときに、施設長からなんだかんだ言われたら、利用者はどのような気持ちになるだろうか。利用者は障害を持っているが、その気持ちは一般の人が抱くのと同じ気持ちで有ること。なぜ、事前に靴の履き方や、身だしなみについて、給料を渡す前に注意してあげないのか、施設長のやり方に疑問があること。

(8)利用者の中には、作業中に居眠りをしたり、作業に飽きて針を隠したりする者もいる。たまたま利用者が、ホチキス針を積み上げて遊んで針を欠いたり、居眠りをして涎を垂らし商品をビショビショにしたりするのを見つけて、特定の職員が「なにやっているんだ、居眠りして、仕事もしないで遊んでいて」といっても、利用者によっては、いうことを聞けない者もいる、その場合、特定の職員が施設長に言いつける。すると施設長が翌朝の朝礼で、「仕事中に仕事もしないで遊んで針を遊んでいる人がいる」と言って、「Fさん、大丈夫かい。またやって。そんなことなら仕事しなくていいよ」というように、「商品をダメにするならもう仕事をしなくていい」などということ。

■施設にとって、利用者はまさに打ち出の小槌のような存在です。ちなみに当会の調査では、B型の就労継続支援施設の場合、利用者一人あたり行政から施設に1日1万4800円が支払われています。利用者が10人いれば14万8000円。40人いれば毎日約60万円が施設の収入となります。一方、スタッフの給料は安く、パートの場合時給880円程度です。利用者40人規模の施設の場合、月22日の作業日数として、収入が1300万円+商品売上、支出がせいぜい数百万円程度で、ビジネスとしても非常に利益性が高いと見られます。

 そのような利用者に対して、長年施設の指導員や職員として接しているうちに、利用者に対する認識が次第にぞんざいになってくる傾向があると言われています。下関市の虐待事件もそうした経緯で発生したものと見られます。

 そもそも、B型の就労継続支援施設の場合、利用者の社会参加を促す意味で、「おはようございます。ありがとうございます」というふうに挨拶がちゃんとできるようにするのがその福祉事業の基本的な目的だといわれています。完全な社会復帰はできないにしても、社会的なそういう雰囲気を利用者に味わってもらえるように指導することに意義があるという考えによるものです。

 他方、施設側としてもボランティアではないため、この事業を持続できるように収支を維持しなければなりません。例えば、マックスのホチキス針詰め作業は、清涼園のみならず、群馬県内のあちこちの施設でもやっています。

 長くマックスの下請をやっているうちに、当初は1箱あたり30銭程度だったものが、次第に50銭、60銭という工賃単価に反映されてきます。そうなると、利用者に作業をやらせればやらせるほど売上増に結び付くことになります。

 一方、支出の抑制のために、利用者が施設で昼食をとる場合は、弁当代として例えば500円を差し引かれることになります。

 ただし、通常の会社とは異なる為、利用者の作業時間は朝9時から午後3時半あるいはそれ以降であればよく、午後4時でも4時半でもOKなので、施設によって終業時間は若干異なるようです。終業時間の早い施設では3時半のところもある一方で、清涼園では4時30分となっています。作業終了後は、施設側で利用者を各自の家に送り届けています。

■今回、当会に寄せられた情報によって、実際に施設で働いた関係者でないと分からない詳細な実態が分かりました。

 情報提供者によれば、施設の運営実態があまりにも常識からかけ張られている為、思い悩んだ挙句、障害者虐待防止法施行の後押しもあって、高崎市役所の福祉関係の部署を訪れて、実態について報告をしたのだそうです。

 最初に報告してから1年間待ったが、市役所は殆ど何も対応をしてくれないため、今年の2月に施設を辞める覚悟をした上で、3月19日に証拠書類を持参して、高崎市の福祉関係部署の課長、課長補佐、係長クラスの職員らに直接訴えたのだそうです。さらに、高崎市長に対して直訴すべく秘書課にも相談したそうです。

 そうした行動は、すぐに施設長の知るところとなり、次第に情報提供者にとって、清涼園に居づらくなる環境作りをされてしまい、ついにやめる決心に至ってから2か月後の4月15日に辞めたそうです。

 情報提供者は高崎市に「自分が辞めた後、ちゃんと清涼園に調査に入ってもらいたい」と伝えましたが、その結果についてどうすれば確認できるのか、市側の現地をとれないまま時間が経過していくので、高崎市長の秘書課の係長に電話で「その後この件はどうなっていますか?」と質したところ、秘書係長は「福祉関係の課長に聞いたら、実際に施設に行って調べたが問題はなかったとして、通報者にも連絡済みだという」と答えたそうです。さらに福祉課長に電話したところ「まだ調査中」だという返事があったそうです。

 情報提供者は、虐待の通報に対してその後高崎市から何も連絡を受けていなかったこと、担当部署の対応がチグハグであることから、高崎市に弄ばれていると気付き、不信感を募らせていたところ、たまたま6月10日の下関市の障害者虐待事件のニュースを目にして、「これと同じ実態だ」と思い、6月20日に当会に相談が寄せられたのでした。

■ここで改めて、障害者虐待防止法について見てみましょう。この法律の正式名は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」です。厚労省のHPに解説が載っています。↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutaiboushi/index.html

 それによると、この法律は、平成23年6月14日に衆議院厚生労働委員長から提出され、同日衆議院で可決、同月17日に参議院で可決成立し、同月24日に公布されました。

 この法律では、平成24年10月1日から、国や地方公共団体、障害者福祉施設従事者等、使用者などに障害者虐待の防止等のための責務を課すとともに、障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者に対する通報義務を課すなどしています。
○障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の概要↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutaiboushi/dl/hou_gaiyo.pdf
○条文↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO079.html

 第2条(定義)第7項では、「障害者虐待」に該当する行為として次のように示しています。
一 障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。
二 障害者にわいせつな行為をすること又は障害者をしてわいせつな行為をさせること。
三 障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
四 障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、当該障害者福祉施設に入所し、その他当該障害者福祉施設を利用する他の障害者又は当該障害福祉サービス事業等に係るサービスの提供を受ける他の障害者による前三号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の障害者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
五 障害者の財産を不当に処分することその他障害者から不当に財産上の利益を得ること。

 上記のとおり、この条項では「おそれのある」「正当な理由なく」「著しい」「著しく」「不当な」「不当に」などというように、アナログ的な表現が多用されています。今回、高崎市が虐待と判断しなかったという回答の根拠は、もしかしたらこのあたりにあるのかもしれません。判断の基準があいまいだからです。

■第三章では「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の防止等」について定めています。

 このうち第16条(障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に係る通報等)第1項では、「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」として、施設従事者らに通報義務を課しています。第2項では、虐待を受けた障害者も市町村に届け出ることができるとありますが、これは物理的にもかなり困難だと思われます。

 また、同第4項では、「障害者福祉施設従事者等は、第一項の規定による通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない」と定めていますが、今回の場合、高崎市への通報者は、1年毎の契約更新に際して施設長から「後進に道を譲るように」などと難色を示され、退職を余儀なくされています。

 さらに、第17条では「市町村は、(虐待の)通報や届出を受けたときは、障害者虐待に関する事項を、事業所の所在地の都道府県に報告しなければならない」と定めています。高崎市が群馬県に報告したのかどうかについては、公開質問状では確認できておりません。もし、群馬県が報告を受けていないとすれば、高崎市の怠慢ということも想定されます。

 第20条は、「都道府県知事は、毎年度、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の状況、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待があった場合に採った措置その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとする」としています。群馬県が高崎市から報告を受けていれば、公表しているはずですが、これも平成26年度に今回の報告事案が公表されたのかどうか、群馬県に確認しないと分かりません。

 ちなみに、平成26年11月に厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 地域生活支援推進室が発表した「平成25年度 『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等 に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」によれば、平成25年度に全国の1742市区町村及び47都道府県で受け付けた障害者具櫛施設従事者等による障害者虐待に関する相談・通報件数は、1860件で、そのうち市区町村の受付件数が1625件、都道府県の受付件数が235件でした。群馬県内では14件でした。↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12203000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Shougaifukushika/0000065135.pdf

 そして、虐待の事実が認められた事例は、市区町村から都道府県へ報告があった事例が 224件、都道府県と共同して事実確認を行った事例が18件、都道府県が直接把握した事例が21件であり、これらを合わせた総数は、263件でした。群馬県内では6件でした。

 こうしてみると、虐待の事実が確認調査の結果認められるかどうかにかかわらず、通報や届出があれば、市町村はそれらを都道府県知事に報告する義務があることがわかります。

 高崎市がちゃんと群馬県に報告し、それを群馬県が把握して国にも伝えてあるのかどうか、当会では念のため機会を見て調べたいと思います。

■当会への情報提供者によれば、平成27年3月19日に高崎市役所に提出した報告書は、概ね次の趣旨だったということです。

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高崎市の知的障害者通所施設『清涼園』では利用者への虐待が継続的にある職員を中心に行われている疑い!!
 障害者虐待防止法施行前から12年10月に施行後においても、ある女性職員を中心に数々の不適切支援(ネグレクト、精神的虐待、差別)が日常的に、自らのストレスを解消するが如く、巧妙に、また一部職員へのいやがらせも露骨に行われています。
 適機をとらえ、本人に、虐待防止責任者である園長(管理者)に、またサービス管理責任者に、報告、説明、意見具申して来ましたが、「大した問題ではない、直接その場で始動すれば済むこと」だとして、話題をすり替え転化され、さらに恫喝もありました。
 大変に心が痛みます。罪をおかしている者を適切に指導、裁けず、真っ当な支援をしている職員を守れない現実。長きに渡って利用者、保護者の弱身を、外部から見えないことにつけこんで、偽善の施設運営を黙って見過ごすわけにはいきません。
 ここに勇気をもって真実を証拠と共に明らかにし、適切な処置と改善、園関係者の猛省を促したい。
 利用者の利益の代弁者として、『明殊地僧』『明殊理念』に誓って、ここに届出、申し上げます。
2015年3月19日 ■■市■■町■■XXXX-X  ■■ ■■■ 印


【報告までの経緯】
2014年3月31日
 前橋市の「障害者虐待防止センター」へ行き相談。
 *職員セルフチェックシートの内容を見せて相談
2014年6月6日
 高崎市障害福祉課係長高井さん、課長代理中西さん他1名
 *職員チェックシートを提出した。虐待の事実を示すため。
 *施設監査の時、指導をお願いした。また自身の安全保証を特にお願いした。
 ○チェックシートの件:無記名で実施。
  2013年2月に実施、3月に総括したものがパート職員へ渡された。説明あり。
  設問No.16「他の職員が利用者に対して、あなたが虐待と見られる行為を行っている場面に出くわしたことがあるか」に対して、12名中7名が「何度かある」と回答している。
  設問No.17「他の職員が利用者に対して、あなたが虐待と思われる行為を行っている場面を確認したことがある」に対して、12名中、1名が「良くある」、7名が「何度かある」と回答している。
20150620iu27n6sapg2013.pdf
20150620iu27n6sapg2014.pdf
**********

 こうしてみると、情報提供者が最初に高崎市役所に相談したのは平成26年6月6日であり、高崎市役所でも相談に対応したことが今回の回答FAXでも確認できます。

■情報提供者は、幼い頃から近親者に障害者を持ち、一緒に生活することで、障害者の心情や境遇、社会との接点などをずっと目の当たりにしてきたことから、障害者福祉には多大な関心を持っていたそうです。定年退職を機会に、退職後は障害者福祉分野の仕事に従事することを希望し、たまたま清涼園が支援員の募集をしていたことから、応募したところ、幸いにも採用されて、晴れて夢が叶いました。

 その後、3年前から清涼園で1年ごとに契約従事者として福祉サービスに従事していたところ、あまりにもイメージに描いていた職場と、実際の職場がかけ離れているばかりか、子どもの頃から馴染んできた障害を持つ人への接し方が否定されている現状に驚かされ、精一杯、現状を変えるべく提言したり、実践したりして改善に努めていました。

 しかし、最終的に、その考えは受け入れられず、逆に施設長からは存在そのものを疎まれてしまい、契約延長に同意してもらうことは叶いませんでした。そのため、情報提供者は、権限を持つ行政に通報したのですが、行政の対応もまた、意に沿うものではありませんでした。

 当会では、追って高崎市に対して、清涼園に対する調査結果やそれに伴う対応について、必要な情報を公開請求することにしています。

【市民オンブズマン群馬事務局・福祉ビジネス調査班・この項終わり】

※参考情報1
■授産施設の利用者に対する心構えについて、分かりやすく書かれた本があります。亀井勝著「逃げたらアカン」株式会社かもがわ出版、2004年3月31日、P175〜P176から以下参考までに引用します。
*****<顧客に対する心構え>*****
 施設には指導員という職種がある。作業指導員、生活支援員、職業指導員等がそうだが、この職種は決して「先生」や「教育者」であってはいけないと思う。「指導」とは字のごとく「指し」「導く」ことであって「教育」とは別の意味をもっている。上下の関係でいうと「教育」ということは、「教えられる」「育てられる」ことで上の位置にあり、そこには強要、押し付け、服従ということが伴う。しかし、指導には指導される人の自主性が存在しなければいけない。この自主性が存在しないのが「教育」だと思う。したがって施設の職員は「指導員」であっても「先生」ではなく「教育者」でもないのである。もし「先生」や「教育者」であるならば施設利用者は一生「被教育者」ということになるだろう。
 指導員が障害の重い人に接する場合、決して性急になってはならない。きわめて理解力が乏しいこと、それが障害なのだからよく理解して接していかなければならない。言っていることを理解しないといって大声を出してはいけない。かえって怖い存在となって関係を悪くしてしまう。暴力、体罰などはもってのほかで、まずきちっと接するとことから始め、本人がもっている要求を探り出す。多動性がきつく常に動き回ることしかできない人をじっとさせようとしても無理なことである。一緒に動き回りながら何を求めているかを探り出す。一緒に動き回りながら問いかけていく。決して指導員の思いを優先させてはならない。本人のお思いや願いを見つけ出しながら一緒になって実現させることが大切である。多動がなくてもなかなか指導員の言うことを理解できない人でも同じことが言える。これには相当の時間が要すると考えられる。しかしそれが仕事である。障害者施設の指導員とは出口を見つけることが非常に困難な仕事である。根気よくがんばるしかない。根気よくがんばれる指導員。競争する一般社会の中では存在できない仕事である。
 施設の指導員に大切な三つの要素がある。一つは「待つ」、二つは「抱え込む」、三つは「突き放す」ことで三位一体と言える。しかし実際にどこの場面でどれをということは非常に難しく間違った対応は許されない。そこで必要なのが指導員の集団論議である。しかし集団論議をおこなうには指導員が力量において対等でなければならない。ともすれば古参指導員の考えに流されたり経験主義に陥ったりする。ここで必要なことは、新しい指導員も古い指導員も対等に議論できる民主的な職場関係である。
********************

※参考情報2
■清涼園では職員向けに次のスローガンを作っています。いずれも虐待を排除するために必要な事項ですが、実際には、施設長自らスローガンに反する行為をしているとすれば、まさに反面教師になりかねません。
*****<清涼園の職員向けスローガン>*****
20150620iu27n6sxk.pdf
障害者を支援する職員の方に
以下のような行為は、障害者への虐待です。
 不適切な支援から、傷害罪などに当たる犯罪行為まで様々ですが、いずれも障害者の人権の重大な侵害であり、絶対に許されるものではありません。
◇身体的虐待
・殴る、蹴る、たばこを押しつける。
・熱湯を飲ませる。食べられないものを食べさせる、食事を与えない。
・戸外に締め出す、部屋に閉じ込める、縄などで縛る。
◇性的虐待
・性交、性的暴力、性的行為の強要。
・性器や性交、性的雑誌やビデオを見るよう強いる。
・裸の写真やビデオを撮る。
◇ネグレクト
・自己決定といって、放置する。
・話しかけられても無視する。拒否的態度を示す。
・失禁をしていても衣服を取り替えない。
・職員の不注意により怪我をさせる。
◇心理的虐待
・「そんなことすると外出させない」など言葉による脅迫。
・「何度言ったらわかるの」など心を傷つけることを繰り返す。
・成人の障害者を子ども扱いするなど自尊心を傷つける。
・他の障害者と差別的な取扱いをする。
◇その他
・障害者の同意を得ない年金等の流用など財産の不当な処分。
・職員のやるべき仕事を指導の一環として行わせる。
・躾や指導と称して行われる上記の行為も虐待です。
自分がされたら嫌なことを障害者にしていませんか。
常に相手の立場で、適切な支援を心がけましょう。
          社会福祉法人 明珠会
                 清 涼 園
********************
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