2015/11/2  21:13

八ッ場ダム建設工事に係る土地収用法に基づく6.26公聴会の模様(その1)  八ッ場ダム問題

■八ッ場ダムは現在、ダムの本体工事と、同ダム事業用地の7%にあたる未買収地の土地収用が進められています。今から4カ月ほど前の6月26日と27日の両日に亘り、この未買収地に土地収用法を適用するか否かを判断する公聴会が、判断者となる国土交通省土地収用管理室の主催で群馬県東吾妻町で開催されました。2日間で、公募参加した22名の公述が意見を述べましたが、このうち、地権者の土地を強制的に奪うほどの公益性はないとの立場で14名が公述しました。当会の代表も2日目の午後、公述しましたが、最近、国交省のホームページに公聴会における公述人全員の発言記録がアップされたので、記録として掲載します。分量が大きいため、7回に分けて掲載します。
http://www.mlit.go.jp/common/001101938.pdf

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     一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会(1日目)
                    平成27年6月26日
【議長】 ただいまから、一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に関する事業認定申請に係る公聴会を開催します。
 私は本日、議長を務めます、国土交通省総合政策局総務課土地収用管理室長の藤田と申します。議長として本公聴会を主催いたします。よろしくお願いいたします。
 本公聴会は、土地収用法第23条第1項の規定に基づき、起業者である国土交通大臣(代理人 関東地方整備局長)から、平成27年4月10日付けで事業認定の申請があった事業について開催するもので、事業認定庁として、当該申請に係る事業の認定の可否を判断するに当たり、勘案すべき情報を収集することを目的としております。長時間の会となりますが、円滑な議事進行にご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは最初に、本件事業の起業者に公述をしていただきます。国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所副所長、小宮秀樹さん、同じく調査設計課長、藤原康宏さん、同じく調査設計課専門官、小池利章さんは、壇上に上がり、公述人席に着いてください。
          (公述人登壇)
【議長】 準備はよろしいでしょうか。
【公述人(小宮)】 よろしいです。
【議長】 現在の時刻は1時33分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安としてください。
 なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。
 プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。
 それでは公述を開始してください。
【公述人(小宮)】 公述人、関東地方整備局、関東地方整備局長、越智繁雄の代理人であります、国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所の小宮と申します。よろしくお願いいたします。本日の公聴会では、対象事業であります一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事につきまして、事業の目的などについて公述させていただきます。失礼ながら着座で説明させていただきます。
 本日、公述する項目は、全部で4項目あります。一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事の事業認定の申請を行った土地の所在、事業の目的、事業の内容、事業用地の取得状況、以上の4項目となります。順に説明いたします。
 初めに、事業認定の申請を行った土地の所在について説明いたします。今回、事業認定の申請を行った土地の所在は、上流を背にしまして右側を右岸、左側を左岸と言いますが、 右岸は、群馬県吾妻郡長野原町大字川原湯字金花山地内から、同町大字与喜屋字荻之平地 内までです。左岸は、群馬県吾妻郡長野原町大字川原畑字八ッ場地内から同町大字長野原 字遠西地内までとなります。スクリーン上で黄色で示した範囲内が、事業認定の申請を行った起業地となります。
 次にこちらの流域図で説明いたします。吾妻川はその源を群馬県・長野県境の鳥居峠に発し、浅間山、草津白根山の中間を東に流れ、万座川、熊川、白砂川、四万川等の支川を合わせ、群馬県渋川市地先で利根川に合流する一級河川です。流域面積は1,356平方キロメートルであり、利根川上流部の一大支川です。また、吾妻川の合流する利根川は、源流を群馬県利根郡みなかみ町の大水上山に発し、赤城、榛名両山の中間を南流しながら赤谷川、片品川、吾妻川等を合わせ、前橋市付近から流向を南東に変えます。その後、碓氷川、鏑川、神流川等を支川に持つ烏川を合わせ、広瀬川、小山川等を合流し、埼玉県久喜市栗橋付近で、思川、巴波川等を支川に持つ渡良瀬川を合わせ、千葉県野田市関宿付近にて江戸川を分派し、さらに東流して茨城県守谷市付近で、鬼怒川、取手市付近で小貝川を合わせ、神栖市において霞ヶ浦に連なる常陸利根川を合流して千葉県銚子市において太平洋に注ぐ、幹川流路延長322キロメートル、流域面積16,840平方キロメートルの一級河川です。利根川は、戦後の急激な人口の増加、産業・資産の集中を受け、高密度に発展した首都圏を氾濫区域として抱えているとともに、その社会・経済活動に必要な多くの都市用水や農業用水を供給しており、日本の政治・経済・文化の中枢である首都圏を支える重要な河川です。
 続きまして、事業の目的について説明いたします。八ッ場ダム建設の目的は4つあります。洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水及び工業用水の供給、発電の4つです。初めに洪水調節から説明いたします。 利根川はこれまでに台風等による被害が発生しており、特に昭和22年のカスリーン台風では甚大な被害が発生いたしました。また、近年においても、台風等により浸水被害等が発生しています。平成10年9月洪水は台風第5号によるものですが、前線の影響も加わり関東地方で大雨をもたらしました。利根川の栗橋地点では昭和22年9月のカスリーン台風以来、戦後3番目の流量を記録し、利根川の群馬県邑楽郡板倉町及び埼玉県北埼玉郡北川辺町、現在の加須市ですが、そこでは漏水等の堤防の被害が発生しました。また、この出水により約1,600ヘクタール、約800棟の浸水被害が発生しました。平成19年9月洪水は台風第9号によるものですが、鏑川で氾濫危険水位を超え、鏑川下流左岸の群馬県高崎市において浸水被害が発生するとともに、利根川本川においては、群馬県邑楽郡明和町や千葉県香取市で堤防の漏水被害、また銚子市忍町地先で溢水による家屋の浸水被害が発生しました。また、この出水により、約60ヘクタール、約100棟の浸水被害が発生しました。
 利根川の治水事業は、明治29年の大水害に鑑み、直轄事業として、利根川改修計画に基づき改修が行われました。現在は、平成18年に利根川水系河川整備基本方針が策定され、基本高水は、既往洪水について検証した結果、そのピーク流量を基準地点八斗島において毎秒2万2,000立方メートルとし、このうち流域内の洪水調節施設において、毎秒5,500立方メートルを調節して、河道への流量配分は毎秒1万6,500立方メートル としています。また、平成25年に策定された利根川水系利根川・江戸川河川整備計画では、年超過確率70分の1から80分の1とし、その水準に相当する目標流量を基準地点 八斗島において毎秒1万7,000立方メートルとし、このうち、流域内の洪水調節施設に より毎秒3,000立方メートル程度を調節して、河道では計画高水位以下の水位で毎秒1 万4,000立方メートル程度を安全に流下させ、洪水による災害の発生の防止または軽減 を図ります。
 八ッ場ダムは、利根川水系河川整備基本方針に沿って策定された利根川水系利根川・江戸川河川整備計画に位置づけられている洪水調節施設の一つとなっています。利根川上流部では、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、矢木沢ダム、奈良俣ダム及び下久保ダムが完成しており、八ッ場ダムがそれらの洪水調節施設と相まって、洪水時のピーク流量を低減させるとともに、河道改修を実施し河道の流下能力を向上させ、目標流量を計画高水位以下で安全に流下させるものです。八ッ場ダムは、洪水調節容量6,500万立方メートルをもって、八ッ場ダム地点における計画高水流量、毎秒3,000立方メートルのうち、毎秒2,800立方メートルの洪水調節を行います。
 次に、流水の正常な機能の維持について説明いたします。吾妻川中流部には名勝吾妻峡があり、長野原町及び東吾妻町の観光資源となっていますが、渇水時に吾妻川の流量が減少することで、名勝吾妻峡では河床が露出してしまうなど、水量感と切り立った岩肌、周囲を覆う木々の組み合わせに代表される景観美が損なわれる状態となることがあります。また、利根川水系利根川・江戸川河川整備計画では、利水の状況、動植物の保護・漁業、水質、景観、塩害等の防止等を考慮し、吾妻川の八ッ場ダム下流地点の流水の正常な機能を維持するため、必要な流量は毎秒2.4立方メートルと定められています。このため、八ッ場ダムの建設によって、流水の正常な機能の維持に必要な流量を確保し、吾妻川の流況の改善を図ります。
 次は、水道用水及び工業用水の供給について説明いたします。首都圏を抱える利根川水系では、増大する水需要に対して水資源開発施設の整備が追いつかないことなどから、過去においてたびたび渇水を経験しています。渇水には、利根川水系渇水対策連絡協議会における連絡調整等を踏まえて取水制限が実施され、各利水者において対応が行われてきました。ここにあります表は、利根川・江戸川における近年の渇水の状況をお示ししたものですが、昭和47年から平成25年の間に、おおむね3年に1回の割合に当たる15回の渇水が発生しています。渇水時の取水制限は1カ月以上の長期にわたることもあり、社会生活、経済活動等に大きな影響を与えています。
 スクリーン上の写真は平成6年渇水の利根川の状況を示したものですが、平成6年は、夏期に猛暑と小雨の影響により、利根川では最大30%の取水制限が実施され、取水制限日数は60日間となり、水道用水では高台での水の出が悪くなることや赤水が出るなどの被害が起き、給水活動が行われました。
 スクリーン上の写真は、平成8年渇水時の矢木沢ダム、草木ダムの状況を示したものです。平成8年は、冬期、夏期の2度の渇水に見舞われ、冬期渇水では10%の取水制限が76日間、夏期の渇水では最大30%の取水制限が実施され、取水制限期間は41日となりました。
 八ッ場ダムは、特定多目的ダム法に基づく基本計画において、新たに群馬県、藤岡市、埼玉県、東京都、千葉県、北千葉広域水道企業団、印旛郡市広域市町村圏事務組合、茨城県の水道用水の取水を可能にすることを目的の一つとしております。また、新たに群馬県、千葉県への工業用水の取水を可能とすることを目的の一つとしております。また、群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、茨城県の各利水参画者は、八ッ場ダムにおいて新たに水道用水及び工業用水の確保をすることとしていますが、八ッ場ダムにより水源が安定的に確保されるまでの間、河川の流量が一定量の流量を超える場合に限り暫定的に取水することができる暫定豊水水利権として使用しています。平成26年3月現在、暫定豊水水利権として使用している水量は、八ッ場ダム完成による開発水量、毎秒約22立方メートルのうち、 既に毎秒約11立方メートルとなります。
 次は、発電について説明いたします。八ッ場ダムは新たに、最大出力11,700キロワットの電力供給を可能とすることを目的としています。八ッ場ダム建設に伴い、ダムから の放流水を有効に利用し、再生可能エネルギーの導入促進を図るため、群馬県が八ッ場ダム堤体直下に八ッ場発電所を建設し、最大出力11,700キロワットの発電を行うため、毎秒13.6立方メートル以内の取水を可能とするものです。 続きまして、事業の内容について説明いたします。
 まず、八ッ場ダムの諸元について説明いたします。八ッ場ダムの形式は、重力式コンクリートダムです。ダムの高さは116.0メートル、天端の長さの堤頂長は290.8メートル、ダム堤体積は91万1,000立方メートル、ダム天端標高は586.0メートルです。取水・放流設備は、コンジットゲートが3門、クレストゲートが4門、選択取水設備が設置されます。
 次に、八ッ場ダムの容量配分について説明します。10月6日から6月30日までの非 洪水期は、最低水位である標高536.3メートルから常時満水位標高583.0メートルまでの容量9,000万立方メートルを使用し、流水の正常な機能の維持、水道用水、工業用水など、都市用水の供給を行います。7月1日から10月5日までの洪水期には、ダムの水位を、標高583.0メートルの常時満水位から標高555.2メートルの洪水期制限水位までの容量6,500万立方メートルを使って洪水調節を行います。残りの2,500万立方メートルは、流水の正常な機能の維持、水道用水、工業用水など、都市用水の供給を行うものです。また、ダムサイトの基礎地盤標高470.0メートルから標高536.3メートルの堆砂容量1,750万立方メートルは、100年間にダム貯水池に土砂が堆積すると予想される容量です。
 次に、八ッ場ダムの事業経緯を説明いたします。主な経緯を申し上げますと、昭和42年11月、実施計画調査に着手、昭和61年7月、特定多目的ダム法の基本計画の告示を行いました。昭和62年12月、長野原町長と関東地方建設局長が、「八ッ場ダム建設に係る現地調査に係る協定書」を締結し、平成4年7月、長野原町長と群馬県知事及び関東地方建設局長が「八ッ場ダム建設事業に係る基本協定書」を、八ッ場ダム工事事務所長と水没5地区各代表が「補償調査に関する協定書」をそれぞれ締結しております。その後、平成13年6月、「利根川水系八ッ場ダム建設事業に伴う補償基準」が調印され、その年の9月、第1回基本計画変更告示を行いました。平成16年9月に第2回基本計画変更告示を行い、平成17年9月、「利根川水系八ッ場ダム建設事業に係る代替地分譲基準」が調印されました。平成20年9月、第3回基本計画変更告示、平成22年12月、国道145号つけかえ区間の一部供用を開始、平成25年11月、第4回基本計画変更告示、平成26年8月、八ッ場ダム本体建設工事の契約を締結し、同年の10月、JR吾妻線つけかえ線の運用が開始されています。また、平成27年1月、土地収用法第15条の14に基づく事業説明会の開催、同年4月10日に事業認定の申請を行ったところであります。
 次に、環境保全の取り組みについて説明いたします。八ッ場ダム建設事業を進めるに当たり、自然環境に関しては昭和60年以来、水質、地形・地質、植物、動物、自然環境についての現地調査及び文献調査等を実施し、昭和60年12月に、建設省所管事業に係る環境影響評価に係る当面の措置方針、これは事務次官通達になりますが、これに基づき環境影響評価の手続を完了しています。起業者としては、これまで環境保全への配慮が必要な事項については、専門家の意見を聞きながら、調査及び環境保全対策を実施してきました。さらに、平成11年に施行された環境影響評価法に基づく評価項目についても、専門家の指導・助言を得ながら調査及び環境保全対策の検討を進めているところです。
 次に、八ッ場ダム建設事業において実施している環境保全の取り組みについて説明いたします。初めに、大気環境に関する事項について説明いたします。工事の実施においては、建設機械の稼働により、粉じんの飛散や、工事現場からの泥のついた工事車両の運行により道路に土ぼこりが発生するなど、生活環境への影響について配慮する必要があります。このため、必要に応じて定期的な散水や、工事用車両のタイヤの洗浄、低騒音・低振動型建設機械や工法の採用及び防じん壁の設置を行い、騒音等による影響の低減に取り組んでいます。
 水環境に関する事項について説明いたします。工事の実施においては、工事中の工事現場の裸地などから、降雨により河川へ濁水が直接流入することによる影響が考えられます。そこで、工事区域から発生する可能性がある濁水に対し沈殿池を設置し、濁水の流出防止または低減を図るほか、工事により出現する裸地の緑化などを行っております。一方、ダム完成後の供用時は、水温、土砂による水の濁りについて、出水期に向けて水位を制限水位まで低下させる際に冷水放流が発生する可能性があり、また比較的規模の大きな出水には水の濁りが高くなるということが考えられます。このため、水温と、土砂による水の濁りに対し、選択取水設備の設置、弾力的な運用の実施などにより、冷水放流の低減及び濁水の低減がされるという予測結果を得ていることから、環境保全対策を行うこととしています。ダム完成後も引き続き、専門家の指導・助言を得ながら、水質の監視と堆砂状況の監視を行っていきます。
 次に、地形に関する事項について説明いたします。八ッ場ダムのダムサイト建設予定地は、当初計画においては、当時の知見から地形・地質上、最も有利な場所として、名勝吾妻峡のほぼ中央部としていましたが、文化庁との協議の結果、文化財保護の観点より、約600メートル上流地点の現ダムサイト予定地に変更しています。これにより、ダムサイト建設予定地を上流にしたことで、小蓬莱や鹿飛橋を含む八丁暗がり等はダム堤体より下流に位置するため、名勝吾妻峡の約4分の3の区間は現状のまま保全されます。さらに、文化財保護法に基づく文化庁との現状変更の協議の結果を受け、文化庁、群馬県教育委員会及び地元自治体等の関係機関と協力し、影響を軽減するため必要な措置を実施していくこととしています。
 次に、地質に関する事項について説明いたします。文化財保護法における天然記念物に指定されている川原湯岩脈及び専門家が重要視している枕状溶岩が、ダム貯水池が出現することにより水没もしくは一部が水没します。天然記念物川原湯岩脈の取り扱いについては、文化財保護法に基づき文化庁との現状変更の協議を行った結果、水没する一部の岩脈は、観光資源としての価値を重視した記録保存等を行い、水没しない岩脈及び同岩脈の延長については、ダム完成後に可能な限りアクセスの確保と、経緯等を記した説明看板の設置などを群馬県教育委員会等の関係機関との協力を図りながら努めることで、文化庁から同意を得ています。また、枕状溶岩についても、同様に記録保存の対応をとることとしています。
 次に、動植物に関する事項について説明いたします。動植物に関しては、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく国内希少野生生物種に指定されているクマタカなどの希少猛禽類が事業地周辺において確認されております。このうち、クマタカについては本事業地周辺での営巣が確認され、主な生息環境の一部が直接改変により消失または縮小しますが、周辺には同様の環境が広く残るため、ダム完成後は本種の生息は維持されると考えています。しかし、工事期間中の建設機械の稼働などにより繁殖活動に影響を与える可能性があるということが考えられるため、工事期間中の配慮として、希少猛禽類の生息地周辺の工事では、必要に応じて繁殖期の施工を回避する対策をとったり、大きな音の出る工事などは防音対策を行っています。
 次に、工事による発生木材等を利用して、小動物の隠れ場所を創出しています。植物に関しては、事業区域で確認された重要な植物を新しい生息環境が整うまでの間、保護する対策や、新たな生育環境への移植などの対策に取り組んでいます。動植物に関しては、今後も専門家等の指導・助言を得ながら継続的な監視を行い、環境保全対策に取り組んでいきます。
 次に、埋蔵文化財について説明いたします。八ッ場ダム予定地付近の埋蔵文化財については、文化財保護法に基づき、群馬県教育委員会との協議を経た上で、ダム事業の実施に伴う措置として平成6年から発掘調査や記録保存の措置をとることとしており、今後も法令に沿って適切に対処いたします。
 次に、事業の進捗について説明いたします。つけかえ国道・つけかえ県道については全22.8キロメートルの区間のうち約22.5キロ、99%の区間で工事着手済みです。約21.8キロの区間で供用を開始しております。また、つけかえ鉄道は昨年10月1日に開業し、つけかえ線にて運行を開始しております。
 スクリーン上の左上の写真は、国道145号の丸岩大橋です。橋長422メートルで、平成22年から国道として供用しております。左下の写真は、つけかえ県道川原畑大戸線の八ッ場大橋です。昨年の10月から供用を開始しております。右上の写真は、つけかえ県道林岩下線の不動大橋です。橋長590メートルで、平成23年から供用を開始しております。右下の写真は、昨年10月から運行を開始している、JR吾妻線のつけかえ線の川原湯温泉駅です。
 次に、代替地造成の状況について説明いたします。平成27年3月末までに、長野原町5地区で一般世帯86世帯が移転されています。このほかに、各地区で公共施設や墓地の分譲が進められています。
 次に、ダム本体及び本体関連工事の状況について説明いたします。左上の写真は、仮排水トンネルです。平成21年7月に完成しております。左下の写真は、上流仮締め切りを下流から見た状況です。本年1月に完了しております。右上の写真は、左岸の本体掘削の状況、右下の写真は、工事に使用する骨材の製造設備基礎の造成状況です。
 今後、ダム本体コンクリートを打設し、あわせて取水・放流のための設備を設置します。また、ダム本体工事と並行して、管理所や放流警報設備といったダム管理設備を設置します。ダム本体及び管理設備の整備完了後、貯水するための安全を確認し、仮排水トンネルを閉塞します。その後、試験湛水を実施し、堤体や貯水池等の安全性を確認して完成となります。
 続きまして、現在の事業用地の取得状況について説明いたします。起業地範囲の用地の取得については、面積ベースで、平成27年3月末現在で約93パーセントとなっております。以上、一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事の目的についてご説明させていただきました。当事業は、土地収用法第3条第2号に該当する事業であること、起業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有していること、当該事業が土地の適正かつ合理的な利用に寄与すること、土地を収用しまたは使用する公益上の必要性があることから、土地収用法第20条の各号の要件の全てに該当すると考えております。一方、事業はこれまでも地域の皆様から多大なご理解、ご協力を得ながら進めさせていただいております。起業者といたしましては、これまで同様、今後とも任意交渉によりご協力いただくことが最良と考えていることに変わりはなく、引き続き丁寧にご説明させていただきたいと考えておりますので、今後とも皆様のご協力とご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 以上で公述を終わります。どうもありがとうございました。
【議長】 ありがとうございました。速やかに降壇してください。
           (公述人降壇)
【議長】 それでは、次は神原禮二さんから公述をしていただきます。神原さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。また、公述人からは起業者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり起業者席に着いてください。
           (公述人・起業者登壇)
【公述人(神原)】 時間はどこからですか。上がったところからですか。
【議長】 私が公述を開始してくださいと言ってからです。
【公述人(神原)】 はい。
【議長】 準備はよろしいですか。
【公述人(神原)】 はい。
【議長】 現在の時刻は2時4分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。それでは公述を開始してください。
【公述人(神原)】 こんにちは。茨城県の取手市から参りました神原と申します。下流都県民の立場から問題を話させていただきます。それから、私の質問については端的に答えてください。時間稼ぎはしないようにしてください。お願いします。
 本来、これまでのこういう公述は、私が国土交通省に提出したこうした資料は皆様のお手元にあるはずのものです。しかし、今回はこれが配られておりません。したがいまして、私は、この資料がお手元にないということから、これを読みながら進めてまいります。よろしくお願いします。
 まず、今回の土地収用法の問題でございますが、これは国土交通省が国土交通省にそれを依頼し、そしてそれが許可されたという、実に内輪の茶番のような取引でございます。 そして、この事業認定がされたことによって土地収用がされる。これが施行できるということは、どれだけその人たちの犠牲が公共の利益に寄与するか。このことにかかってくると思います。私はその土地を、あるいは人生を犠牲にする。それに値するほどの公共の利益は全くないと思っています。つまり、公共の利益は八ッ場ダムではゼロです。これを今、国土交通省が資料を基に話されましたが、私の話すことも全て、国土交通省の資料に基づいているものです。地元の皆様にはそうしたことが話されません。そして、私たちがこういう資料を持ってきても皆様に配りません。その上でこの話を聞いてください。
 まず、公共の利益ということにおいて、地元の方々は八ッ場ダムで利益を得るのでしょうか。八ッ場ダムは全く地元の要請によってつくられるものではございません。何よりも、1952年の調査工事以来、地元は反対一色で参りました。全ての方々が、とんでもないことだと。こういうことで反対運動を進めてまいりました。しかし、それも50年近くの時間がたてば世代も変わり、それによる何の確証もない反対運動は疲労してまいります。そのときに出てきたのが補償条件による妥協でございます。これは私はやむを得なかったと思います。普通の人たちが徒手空拳で国家権力に対して反対運動を続けるということは大変な苦労です。その疲労を待って、補償条件あるいはずり上がり方式など、そうしたもので地元の人たちを納得させてきたのが実態ではありませんか。したがって、八ッ場ダムは地元の人が望んだものではない。このことは明らかです。ですから、ここで土地を収用させられる。人生を放棄する。それほどの価値が地元にとってこの八ッ場ダムにあるのかということを、まず地元の皆様は考えていただきたいと思います。
 そして、ならば下流の都県がそれによって公共の利益を受けるのか。私は何人もの地元の皆様にお聞きしておりますが、「地元の都県の水道用水、これの確保のために、あるいは洪水被害を軽減するために、そのためにみんなが我慢してほしいのだ。」このように説得されてきたと言われます。そして、皆様の犠牲があって、このダムがつくられようとしています。しかし、その犠牲がほんとうに犠牲でいいのか。下流都県の人たちがそれによって救われるならば、その犠牲には意味があります。しかし、下流都県では全くその意味がないのです。それをこれから申し上げます。
 まず、八ッ場ダムによって洪水低減効果があるのかということでございます。先ほど延々と資料を並べ説明されましたが、あの中に堤防を超えた洪水は一つもありません。そして何よりも、あの利根川の基本高水のもとになっておりますカスリーン台風の洪水のときに、八ッ場ダムが存在したら効果があったのか。こうしたことは国会で2回論議されています。そして、その全てで、ゼロだ。つまり、八ッ場ダムがあってもなくても、あのカスリーン台風の洪水は起きているということが結論です。それでもなおつくるために、国土交通省は戦後12の大きな洪水を引っ張り出してきました。そして、その基本高水の2万2,000トンに相当する、つまり200年に1度の大雨、大洪水になるための引き伸ばし計算というものをしました。その12洪水のうちただ1つ、34年の洪水が、八ッ場ダムの影響が、八ッ場ダムがそこでは効果を出すだろうということを出しました。しかし、そのときの八ッ場ダムの効果というのは、あの八斗島、洪水基準点でわずか十数センチです。2メートルの余裕高を持った堤防の中で十数センチの効果がある。苦労して、戦後の12洪水を引っ張り出してきて、そして200分の1の洪水まで引き伸ばして、そして出してきた机上の計算上のものですら十数センチの効果しかないのだということです。そして、さらに費用対効果を出してくるに当たって、八ッ場ダムができること、あるいは利根川の治水効果ということで、年間、平均で4,800億円強の効果があるとしているのです。しかしながら、戦後、今日に至る65年間、利根川ではこの堤防を超える洪水は一回もないのです。よろしいですか。先ほど幾つか挙げたあれは、全て堤防を超えていないのです。堤防を超えるかどうかが洪水の重大な問題です。それを一切超えていないものを、浸水していると危機感を煽っていました。あれはほとんどが周辺の小さな川からあふれたものではないですか。利根川の問題ではないのです。利根川が直接関係している問題ではない。このことをしっかりと私たちは胸に受けとめなければならないと思います。
 そして、この八ッ場ダムの計画ができた1986年、このときはどういうときだったで しょう。今、利根川の上流のダムが幾つか出ました。8つのダムがありました。1986年現在、8つのうち7つができ上がっています。そして、もう一つの奈良俣ダムは1990年にでき上がっています。その後、1992年以降、20年間で利根川の水はどれだけ余っているでしょうか。利根川ではありません。下流都県の水道用水は280万トン余っ ているのです。20年経過した段階、2012年の段階でです。つまり、八ッ場ダムから供給するのは143万トンです。しかし、その倍に相当する280万トンが、既に下流都県では水が余っているのです。先ほど取水制限のことを言いました。皆さん、給水制限と取水制限を我々は混乱します。取水制限をするのは当たり前でしょう。八ッ場ダムができようが、どこの国であろうが、川の流量というのは自然現象です。ですから、これは取水を少し抑えたほうがいいなということは、いかなる条件のもとであってもあるはずなのです。その取水制限を危機のように言うのは全くのナンセンスです。皆さん、給水制限、水道の蛇口から水が出てこなくなる、この状態と、都県が川から取水するときに制限するのとは全く次元が違うのです。そのことを、あたかも渇水の危機のように言って危機感をあおるということは、全く国の権力がやってはならないことだろうと、私はこう思います。
 そして、先ほども申し上げましたように、利根川と江戸川、この利根川水系河川整備計画の本流にある利根川と江戸川においては、この60年以上にわたって、一度として堤防をオーバーしたり決壊したりするような水害事故は起きていない。それにもかかわらず、4,820億円という、年間平均ですよ。毎年毎年4,820億円ぐらいの被害が出ているのだと。この65年間でそんな被害など出ていないのです。一度も溢水、オーバーしていないのです。そういう計算をもとにして、八ッ場ダムが必要なのだということがすり込まれているのです。皆さん、私たち有権者は、普通にニュースや国が発表するものだけを聞いていたならば、今言われた話だけしか聞かないことになります。しかし私たちは、これはおかしいということで調べました。調べる資料は全て国土交通省の資料です。その国土交通省は、いかに欺瞞に満ちたことをやっているかということを申し上げなくてはならないのです。そのために、国土交通省は、こういう資料を配ることを禁じました。断じて許されないことではありませんか。
 私は、茨城県民です。茨城県も八ッ場ダムから日量で約10万トン受け取ることになっています。しかし、今、茨城県では、1日最大給水量が100万トンを割りました。しかし、八ッ場ダムもない状態において、約80万トンの余分な水をもう抱えているのです。八ッ場ダムから受取る水量の8倍、もう水が余っているのです。そして、人口減少は甚だしく加速しています。今、茨城県の人口は295万人ぐらいです。八ッ場ダムが完成するころには285万人ぐらいになっています。つまり、人口と水使用量というのは並行するのです。1986年のこの基本計画が立ったとき、茨城県は参加しました。そのとき、茨城県の2000年度における想定人口は420万人でした。つまり、420万人の人間が水道を使うことによって八ッ場ダムを必要とするという数字を出してきたのです。しかし、2000年度における茨城県の人口は300万人に達していません。たかだかこれだけの範囲の数字の中で120万人も狂っているのです。これは狂っているのではないのです。わかっていてやっているのです。皆さん、国の政策を立てるときにおいて、これから将来にわたっていく計画を立てるときにおいて、人口予測が立てられないということがありましょうか。今起きている人口減少というのは、突然降って湧いたように起きているわけではないのです。人間が生まれてから子供を産むまでには、それだけの時間があるのです。今、私たちの人口減少を表す数字に合計特殊出生率という数字がございます。これが1. 3を割ったとか1.4を割ったとか騒がれています。合計特殊出生率は2.07で人口が保たれます。それよりも増えれば人口が増えます。それより減れば人口が減っていくのです。今、2.07で平準なものが、1.5とか1.4だから大問題になっているのです。では、この2.07を割ったのはいつなのか。それは1959年です。昭和34年です。このときに既に将来の人口減少は始まったのです。それを官僚たちが知らないわけがない。政治家が知らないわけがないではないですか。全てこの状況を続けていくということで、2000年度における人口は何人ぐらいにするか決めているのです。少々の誤差があっても、例えば420万人が300万人になってしまうというような、そんな誤差は出すはずがないのです。それほどのばかではないですよ。官僚の方々は優秀ですよ。明らかに確信犯的なことではないですか。全ての人口予測を知りながら、過大に予測数値を出し、それを受け取る国民はわかりませんよ。それでこれだけ必要なのだ。そういうふうに言われて、このダム事業計画が続けられてきたのです。そして茨城県は、今、膨大な水余りに苦しんでいます。
 私は、こういう状態を、「八ッ場ダムは戦艦大和だな」と思います。戦艦大和が計画された昭和10年ごろには、あの山本五十六が海軍次官で、もうこれからの海軍の戦争は航空機だ。航空機に切りかえているのです。それでも武蔵と大和はつくられました。みんな知っていたのです。あんな大艦巨砲は必要ないのだ。使えないのだ。そのことを知りながら、現実に戦争でも、真珠湾攻撃でもどこでも全部、航空機でやっているではないですか。あの大和も武蔵も一発も撃つこともなく沈められていきました。今、ここでつくられている八ッ場ダムも全く同じです。もう、水は明らかに余っている。茨城県で言えば、もう今度、八ッ場ダムができれば、日常の使う水量以上の水が余るのです。人口減少が進んでいますから、もうこれは加速していきます。
 よろしいですか。2004年に事業費が2,110億円から4,600億円に膨らんだとき、その前年に工期が2000年から2010年に延びていました。そのとき、1都5県の知事たちは何と言ったでしょう。4,600億円は認めるが、工期は2010年を守ってくれ。2010年になってしまえば、水がもう八ッ場ダムが必要でなくなることは、みんながわかってしまうのだから、だから工期は絶対守ってくれという申し入れ書を出しています。2010年というのは象徴的ではありませんか。政権交代が起きました。八ッ場ダムは要らないという政権が誕生しました。あの民主党政権がしっかりしてさえいれば、これは明らかな状態としてなっているのです。なぜあのときにああいう政権が出てくるかといえば、象徴的に、コンクリートから人へという言葉がありました。あれはうそではないのです。つまり、現実に対応した政権があのときできたのです。首長たちが、知事たちが心配していた、2010年になれば、八ッ場ダムが必要でないということは国民の知るところになってしまうのだ。だから、それまでには絶対つくってくれと。つまり、水が足りるか足りないか、水が欲しいかどうかということよりも、国民が知ってしまうよと。もう、そんなことになったらどうするんだ。それがあの知事たちの要望でした。そして、その後の工期延長でもまた同じことを言っています。つまり、八ッ場ダムは誰のためにつくっているのか。地元でこれから土地を収用される人たちが犠牲になる必要があるものなのか。既に犠牲になってしまった人たちが、その犠牲が全く意味のないダムをつくることになるのではないですか。
 私は質問したい。茨城県が治水に参加するためには124億円の治水負担金を出しています。今、八斗島で、わずか十数センチの治水効果がある八ッ場ダム。国土交通省は、利根川の下流域では10分の1以下になっていくだろう。そのように発表しています。ただし、それぞれの地点での具体的な数字は何度要望しても出してくれません。私は茨城県民として、県知事に、治水負担金を払うのであるなら、茨城県の上流である古河市、そして中流である取手市、そして下流の神栖市、それでそれぞれ何センチの効果があるんだ。そのことについてどうなのだと問いましたら、茨城県は、それは承知していないと。それは国が教えてくれていないと。皆さん、茨城県が参加するに当たっては、その128億円を払うに値する治水効果が、茨城県にとって著しい利益があるかどうかなのです。茨城県は、八ッ場ダムをつくってくれ、治水も必要だと言って参加しました。しかしながら、自分の県内を流れる利根川の治水効果が何ミリなのかということを全く知らないのです。知らされていないのです。あるいは知ろうとしないのです。教えないのです。それの上で治水効果があると言って、128億円を茨城県は払っているのです。こういうことが現実なのです。何ミリなのですか。古河で何ミリ、取手で何ミリ、神栖で何ミリ、教えてください。
【議長】 今のは質問でよろしいですね。
【公述人(神原)】 はい。
【議長】 では起業者側、今の質問についてご回答ください。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム工事事務所の藤原と申します。ただいまのご質問についてお答えいたします。ご質問のことについては、治水上の基準点以外は基本的に算出していないことから定量的にはお答えできませんが、茨城県域を含めダム下流には、流量を低減したり水位を低下したりする洪水調節効果があると考えております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(神原)】 はい。皆さん、今のことで、128億円払うに値する著しい利益があるかどうかが判断できますか。下流域で10%減衰するというと、私は取手市に住んでいますが、せいぜい二、三センチですよ。川幅は1キロぐらいあります。それで、土手の高さは2メートル以上の余裕がある。ここで二、三センチあるかないかというようなことです。こんなこと国は言えないでしょう。そういうことをお互いに言わない。国も言わない。県も聞かない。そして、著しい利益があるんだ。こういうことで、私たちは賛成ですというふうに県は手を挙げるのです。つまり、国と県というのはそういう関係。あるいは長野原町も、そういう関係の中でこの事業が進められているというこの事実を、実にうさん臭いと思いませんか。むしろ、これは確信犯的犯罪と言えるでしょう。
 さらに利水の問題で言います。八ッ場ダムは、2010年ぐらいかな、国は八ッ場ダムは必要かという検証検討の場を設けました。そこでそれぞれの県が、長期水需給計画を提出することになっていました。それによって利水上、必要かどうかということがありました。茨城県が提出したのは、2007年につくった「いばらき水のマスタープラン」という水需給計画です。このカビの生えた数字を出しました。そのとき、そのマスタープランの達成年度2020年度では、人口が297万人、もう今、それを下回っています。しかし、その4年後の2011年に出された茨城県の基本計画、上位の計画です。その茨城県の出した基本計画では、2020年人口を285万人としているのです。マスタープランを国に提出したときには、もう既にその計画がありました。2020年人口が285万人になるという数字を県自身が自分でつくっていながら、古い297万人という、12万人も多い予想人口の水需給計画を提出しているのです。それで国はそれを、多分、ほかの都県も似たような数字を出したのでしょう。それで、ほら、ごらんなさい。八ッ場ダムは必要ですよという数字を出しましたが、お聞きしますよ。茨城県の長期基本計画が、その完成年度が2020年で285万人になるという数字は、皆さん、手に入れようと思えば、県の公式資料ですからありました。そして、皆さんに提出したマスタープランというのは、297万人という全く別の数字を出して、そして水需給は圧倒的に多い最大給水量の数字を出して、そのときには実績値とは30万トンぐらいのずれがあります。そういう数字を受け取っておいて、皆さんは利水上必要であると判断したのですか。そんなものをデータにしたら国策を誤るでしょう。国はきちんとした数字を出させる責任があり、県はその義務があります。そして、それは誰が見ても明らかな、もうその数字は古い、過去のものになっているということがわかり切っているものを提出し、それを受け取って、そして即座に利水も必要だ。そういう回答をしていますよね。答えてください。そのデータを受け取ったときにどのように考えたのですか。
【議長】 ただいまの質問は要するに、2つの人口予測みたいなものがあることについてどう考えているのかという質問だと思いますけれど、起業者側、ご回答を願います。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム工事事務所の藤原と申します。ただいまのご質問についてお答えいたします。「いばらき水のマスタープラン」、2007年3月に策定しており、前提とした人口推計は、2006年、平成18年3月に策定された総合計画の推計値が用いられています。八ッ場ダム検証に当たっては、2010年、平成22年10月27日に茨城県から提出されており、茨城県の長期水需給計画としては、八ッ場ダム検証時点で最新のものであったと認識しております。各地域の安定的な水供給を考え……。
【公述人(神原)】 もう結構です。ありがとうございます。
【議長】 では公述を続けてください。
【公述人(神原)】 よろしいですか。最新のものと言いましたが、2006年の基本計画、長期計画をもとにしたマスタープランです。その2011年には次の基本計画が出され2020年の予測人口は285万人になったのです。そのときに、マスタープランは通常、つくり直しているのです。茨城県はつくり直していません。今日に至るまでつくり直していません。それは、人口が減少し、水利用が要らないという水需給計画を立てざるを得ないからです。そのためにつくっていないのです。そういう数字を最新のものと言いました。今、最新のものと言いましたよ。最新ではないということは明らかにわかっているではないですか。このことは、皆さん、しっかり胸にしまってください。
 そして、私の後から地元の方々が、私たちはどれだけの犠牲を払ったのか。だから、このダムをつくってほしい。多分、そういう公述をされるでしょう。ほんとうに私は悲しいことだと思います。明らかに下流都県では水が余っている。洪水被害は全くその気配すらない。でも国の話を頭から信じて、そして大きな犠牲を払う。だから、これだけの犠牲を払ったのだから、つくってください。それでは論理的にはめちゃくちゃではないですか。涙は誘いますよ。涙は誘いますけれども、これは公共の利益になるのか。つまり、払う犠牲が多くの人の利益になるのか。それであるならば、それは意味のある犠牲でしょう。しかし、これから土地収用にかけられる人も、これまで墓地を移転させられたり引っ越しさせられたり、補償金は出ているでしょうけれど、そういう苦労をされた方々のその犠牲が公共の利益に全くならない。むしろ負荷をかける。これから、例えば八ッ場ダムの上流には品木ダムがあるではないですか。あれを維持していかなければ、八ッ場ダムはもたないですよ。強酸性の水で。そのために年間10億円が、果てしなく未来永劫かかるのです。そのほかに、八ッ場ダムができてしまえば補修費、減価償却費、これはどうなるのですか。それから、それを受け取る下流の都市は、その受け取る水の分だけ、使わないのに浄水場を増設する。取水場を増設する。そうした無駄な投資をどんどん今、続けているのです。それの補修費もかかるのです。未来永劫かかるのです。こういうことは、日本を敗戦に導いていったときの国のあり方、国民のあり方と一緒ではないですか。
 ここで犠牲が尊いのならいいですよ。どんなにそれが涙ぐましい犠牲であったとしても、お気の毒だとしか思いません。お気の毒です。しかし、国の言っている政策と抱き合い心中をして、私たちまで巻き込むということはやっぱりおかしい。私は、どうか現地の人、今日は会場がガラガラで残念です。ほんとうは、この真実は現地の人が知るべきです。しかし、これは、裁判など国の資料提出を求めない限り、普通の人には手に入らないことです。皆さんにはそういう資料が全く届いていません。今日も配りません。そういう形の中で八ッ場ダムがつくられ、そして、今、抵抗している良心のある地元の人の土地が収用されてしまう。こういう無謀なことを、土地の人が、同じ仲間が、現地の人が、やはりこれを許してはならないと思います。
 私は下流都県に住んでいますが、同じ日本人です。この税金は、そして負荷もかかっていく、これから払い続ける費用。こうしたものは私たちの子供や孫たちが受け継いでいくのです。こういうものを、権力者がそう言っているから考えるのをやめよう。権力者の言っているとおりでやっていれば楽だ。そういったことで判断していくのはもうやめませんか。私たちは、私たちの権利があるのです。私たちが無駄だと思うものは無駄なのです。そして、それは国土交通省の数字が実証しているのです。私はその部分を……。
【議長】 時間を過ぎましたのでまとめてください。
【公述人(神原)】 しっかりとご理解いただきたいと思います。陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)
【議長】 ありがとうございました。速やかに降壇してください。
          (公述人・起業者降壇)
【議長】 次は、星河由紀子さんから公述をしていただきます。星河さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。
          (公述人登壇)
【議長】 準備はよろしいでしょうか。
【公述人(星河)】 はい。
【議長】 現在の時刻は2時37分です。ただいまから公述を開始し、10分で終了するようお願いいたします。また、終了の5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。それでは公述を開始してください。
【公述人(星河)】 ご紹介いただきました、八ッ場ダム水没住民の一人であります星河でございます。ただいま、茨城県の先生から大変、八ッ場ダムにつきましては、勉強になるお言葉、ありがとうございました。
 私たちは決して犠牲になっているとは思っておりません。私は5歳のときにカスリーン台風で家を流され、父を流され、祖母を流され、全てを失ってしまいました。生まれは勢多郡富士見村です。赤城白川が決壊し、大きな水の音を聞きつけた父が竹やぶの裏へ出たときは、もう既に濁流が家へ押し寄せてきました。私たちは速やかに兄の先導によって小高いところへ逃げましたが、逃げおくれた祖母を助けるために父は家の中に入り、父、祖母、家、そして田畑の全てが濁流に飲まれてしまいました。まだ5歳とはいえ、とても印象に残っている。一生に一度のほんとうの怖さを身にしみたわけですが、今、そして今日このごろ、集中豪雨によって日本全国で濁流に飲まれるあの景色を見ますと、まざまざと、あの五十数年前の景色がよみがえってまいります。父は幸い、前橋市の龍蔵寺町まで流されましたが、数日たって、変わり果てた姿で家へ帰ってきました。私たちは残った物置小屋で生活を始めましたが、もう二度とこんな水害は遭いたくない。そういう思いでいっぱいでした。そして、その数年後、今度は家が火事で焼け、ほんとうに水と火の被害に遭ってしまいましたが、母親は、火事は家だけ持っていくからいいけど、水は全てを持っていってしまう。水はほんとうに怖いものだということを常々語っていました。
 私が長野原へ嫁いできましたとき、ダムはまだ反対闘争の最中でしたが、だんだんと、 下流都県に嫁いでいった妹、そして下流都県へ就職していった兄弟たちが、利根川のほと り、または荒川のほうのほとりで生活しておりまして、雨が降ると川の水がすごいんだよ ねという言葉をするようになりました。私は、祖父母、そして父、そして夫、この三代が、 ダム反対から条件つき賛成、そしてダム賛成へと変わっていった姿を見てまいりましたが、 決して犠牲になったとは思っておりません。人間は共存して生きていかなければ、平和な、 安心した暮らしができないと思っております。下流都県の皆さんが、八ッ場ダムができる ことによって水の供給を受け、そしてまた洪水からの恐怖を逃れ、安心した生活ができる ならば、私はダムは決して無駄とは思っておりません。
 ここ、長野原に嫁いで五十数年、八ッ場ダムのニュースを見るたびに心を痛め、そしてまた政権交代でダムが中止を発表されたときには、ほんとうに身の縮まる思いでございました。なぜ? なぜ私たちがこんなに責められなくてはならないのか。長野原町は、犠牲になったとか、そういう問題ではなく、お互いに平和に、そして安心して生活ができるように、ダムに賛成に変わっていったと思います。お墓の問題、家の移転の問題、今、お涙頂戴のようなことを言われましたけれども、これは、そのことによって、1日2,000通というブログの誹謗中傷によって、どれだけ心を痛めたことでしょうか。私たちは決してダムによって、涙は流しませんと思いましたけれども、何か、むなしさを感じるだけでございます。一生懸命、国の安全、国の安心を求める、今日のご意見される皆様のお言葉の中にも、共感、共通することはありますけれども、もうここまできたら、ダムは私は中止していただきたくはありません。移転していった皆様方、そしてまたこのダムの完成を待って、早くダムができれば、早くダムをつくって、完成したダムを見てから死んでいきたいと言った多くの人々。先日もお友達が急死されましたけれども、そういった人々のためにも、ここまできたらもう一日も早く八ッ場ダムは完成して、そして私たち住民に安心した暮らしを与えてほしいと思います。
 ぜひ、八ッ場ダム、ここまできましたら後ずさりすることなく前へ前へ進めて、そして予定よりも早く完成させていただきたい。そんな気持ちでいっぱいでございます。長野原町がいい八ッ場ダムの的になって、いろいろと責められてまいりましたが、長野原町が必要としているダムではないという言葉も多く聞かれますが、このダムによって生活再建が 築かれ、そして安心した生活が送れるよう、住民のたくさんの皆さんが職につかれるよう な、そんな生活の場をつくっていって、生活再建を成功させてこそ八ッ場ダムの成功と思 います。私たちは、明日を夢見る乙女ではありません。今日、この足元を見て、そして、きのう、おとといを振り返り、ダムをどうしたら早く進めていただけるか。ここまできても、まだまだ反対の声が多く聞かれる中、胸を痛める町民たちの代表として、今日はこの言葉を述べさせていただきました。どうもご清聴ありがとうございました。
【議長】 ありがとうございました。速やかに降壇してください。
          (公述人降壇)
【議長】 それでは、15時5分まで休憩といたします。
          (休憩)
          (公述人登壇)
【議長】 それでは、公聴会を再開します。次は、豊田銀五郎さんから公述をしていただきます。豊田さんは、お体の関係でのご要望により、あらかじめ登壇していただいております。また、公述人からは起業者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり、起業者席に着いてください。
          (起業者登壇)
【公述人(豊田)】 質問がある?
【議長】 一応、そういうふうに伺ってはおりましたので。もし質問がなければ、そのままおりるだけで対応しますけれど。
【公述人(豊田)】 いいよ。悪いからいいよ。
【議長】 一応、乗せてしまいましたので。
【公述人(豊田)】 そんなこと言ってないと思う。いいですか。
【議長】 準備はよろしいでしょうか。いいですかね。現在の時刻は3時6分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。それでは公述を開始してください。どうぞ。
【公述人(豊田)】 今ご紹介がありました豊田銀五郎と申します。私は今日は、この八ッ場を、ご存じのとおり大変長い時間がかかっております。そんな中で、今日、公聴会が開かれるわけですけれども、その過程等々、いろいろ難しい状況の中で、またここで何を言うべきか、そういうことも、大変、ここにおられる方々もいろいろな方がおりますが、何が適切かということで、私もいろいろ迷いました。いろんな人の意見を聞いて今日に至りました。したがって、認定庁の担当の方にもいろいろお話し申し上げ、当日になって、いろんな形の中で考えていることを言いたいということで、白紙で了解をいただいて、時間も10分でもいいと言ったら30分とっていただきました。そんなことで、私は話が下手なのであれですけれども、そんなに長い時間、申し上げることはありません。しかし、中身においては、これから八ッ場ダム事業がスムーズに、今まで時間がかかり過ぎております。スムーズにいくためにはどうしたらいいかという観点からここに立ちました。そういうことで、意のあるところを酌んでいただいて、お聞きをお願いしたいと思います。
 申しわけありませんが、足がちょっと調子が悪いものですから、座らせていただいて話 させていただきます。失礼します。
 八ッ場ダム事業は下流1都5県の方々の取水・利水のために必要であるということで協力してきました。そして、3事業、すなわち補償事業、水特事業、基金事業等により、私たちの生活再建事業、地域振興事業を、国、県、下流の方々の協力により進めてきました。いろいろありましたが、ようやくダム本体が着工になり、不測の事態がない限り予定どおり進むものと期待しております。
 しかし、未着工のものを含めて、生活再建事業、地域振興事業は、私たちが納得する状況には至ってはおりません。まだまだ難しい問題があると思っております。そんな中で、全ての事業を進めていくためにも事業認定が必要だという判断のもとに、そのことにも協力してまいりました。したがいまして、私たちが協力した事業認定が、生活再建事業、地域振興事業の妨げになるような運用はしないよう、特にこれをここでお願いしたいと思っております。いずれにしましても、全てのダム事業が無事完了するまで、私たちも努力を惜しまないつもりでございますので、生活再建事業、地域振興事業等々が完了するまで、今日、認定庁の皆さん、あるいは国土交通省の皆様に、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 とりあえず要約すると、今日、私が申し上げたいことはそういうことで、この話の中で国土交通省の皆様に聞きたいことはいっぱいありますけれど、正直言って、この場において私は正式にここで話したいということを申し込んだ覚えはありません。ただ、時間が十分ありますので、今、私が考えていることに対して、国土交通省あるいは認定庁の方が答えてくれるとしたら、話を、特に地域振興事業あるいは生活再建事業に対して、私たちの望んでいることに対してどう思っているか、せっかく議長さんが機会を与えてくれたというか、そうおっしゃったので、できれば認定庁、特に国土交通省はいつでも近くにおりますので、認定庁の立場の人にできればお聞きしたいです。
【議長】 すみません。この場は、事前にお知らせのとおり、起業者側への質問はすることになっていますけれど、認定庁に対する質問をする場ではないという整理をさせていただいています。生活再建事業については、むしろ起業者側の答えが妥当かなと思うところもありますので、もともとの質問の要旨にはありませんけれども、生活関連事業について何か回答があればお願いします。
【起業者(土屋)】 八ッ場ダム工事事務所の副所長の土屋です。よろしくお願いします。ただいまの豊田様がおっしゃいました生活再建事業につきましては、ダム事業の進捗に合わせるというよりも、ダム事業は完成と同時に皆様の生活再建が成り立つように、地元の皆様と協議させていただきながら、最後まで事業を進めてまいりたいと思っております。以上です。
【議長】 よろしいですか。
【公述人(豊田)】 認定庁の方は答えられない。
【議長】 すみません。事前にも、公述で遵守すべき事項にも書いていますけれども、そういうことにさせていただいておりますので、よろしくお願いします。
【公述人(豊田)】 遵守といいますけれど、同じ日本人だから、考えていることが社会常識にのっとったようなことで、私は参画したいと。だから、そのとき良識ある話をしたいからということで言ったら。
【議長】 マイクをお使いください。
【公述人(豊田)】 時間をそれだけとってもらったわけです。だから、せっかくの時間だから。第一、私たちは認定庁というのがどういうものか、そういうことすらよく理解できないのですよ。
【議長】 すみません。ただいまのご質問ですけれども、先ほど申し上げたとおりですけれども、あえて言わせていただきますと、認定庁というのは、土地収用法の適用が妥当かどうかというような判断をするところでして、実際に、要は水源地域対策とか、そういうものについては、我々のほうで事業としてやっているものではありませんので、私ども、そもそもお答えする立場にないということでございます。ご了解ください。
【公述人(豊田)】 わかりました。であれば、今まで私が申し上げたことをご理解いただいて、適正な運用をお願いしたいと思います。
【議長】 よろしいですか。ありがとうございました。では降壇してください。
【公述人(豊田)】 降壇してくださいって、せっかく時間があるんだから。いいですか。
【議長】 いえ、時間が経過しているためもう次に移りますので。
【公述人(豊田)】 では重ねて申し上げますけれど、国土交通省の方は、今、副所長が言われましたように、私たちの話を、希望をよくご理解いただきまして、スムーズに全ての事業が進むよう、ご協力をお願いします。それでは私は以上で結構です。
【議長】 ありがとうございました。では降壇願います。
          (公述人・起業者降壇)

【市民オンブズマン群馬・この項続く】
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