行政と業者の癒着例・サイボウごみ処分場その1(文書偽造発覚)  全国のサンパイ業者が注目!

■保守王国の群馬県では、行政と特定業者との癒着で、住民の知らない間に、とんでもない事業計画が進められるケースがあとを立ちません。なかでも、わが安中市の場合、東京電力が使い古して不要になった建物を高額で買取って庁舎にしたり、市民には全く裨益効果のない東京ガスの高圧ガス導管敷設計画に勝手に許可をだしたり、カドミウム等の重金属汚染地に市営墓苑を作り東邦亜鉛の土壌浄化対策費を軽減させようとしたり、オサカベ自動車を土壌汚染地に誘致する見返りに進入道路を公金で造成したり、顕著な癒着ぶりには、枚挙の暇がありません。
 とりわけ、現在、安中市が熱心に推進しているサンパイ等ごみの最終処分場計画では、岡田市長のお膝元の岩野谷地区で、処分場設置計画が目白押しであることは、これまでにもご報告してきました。
 特定の業者のために、便宜を図るという点では、岩野谷地区で進行中の数多い民営サンパイ処分場計画のなかでも、一番早く計画が実現したサイボウごみ処分場にその先例を見ることができます。



■安中市の東南部で、高崎市と吉井町と富岡市に隣接する岩野谷地区では、平成に入り、廃棄物処分場の計画が目白押しに浮上してきました。その先鞭を付けたのが、平成3年8月に大谷の西谷津という場所で、安中市議会の元議長で地元で不動産業を営んでいた中嶋延里氏(故人)が中心となり、県内の業者の手引きをして計画した安定型のサンパイ処分場でした。その計画は、地元の良識ある住民らにより、平成5年8月までに頓挫しましたが、中島氏は、その間、地元の反対派住民の弱体化工作に腐心するとともに、埼玉県の大宮市(現・さいたま市)の株式会社サイボウの結城文夫氏(故人)に声を掛けて、平成5年11月18日に、サイボウ環境株式会社を設立し、さっそく同月29日に、今度は管理型の廃棄物処理施設設置計画の構想書を安中市を通じて、群馬県に提出したのでした。
 その後、中島氏の自宅を事務所にしたサイボウは、周辺住民60世帯に30万円ずつ金銭を配布したり、半径300m以内の住民の同意書を偽造し、許認可を持つ群馬県もそれを黙認して、強引に手続きが進められました。しかし、サイボウが、サラ金業者の資金計画書しか提出できなかったことや、処分場設置手続の過程で違法行為が発覚したりして、一時は、この計画も足踏みを余儀なくされ、頓挫寸前まで追い込まれました。ところが、政治的圧力により、許認可権である群馬県の環境部長をしていた林務(当会注:後日、林務部長の中島信義という人物であることが判明)という御仁が、長野県のイー・ステージという廃棄物処理会社(この親会社は市川環境エンジニアリング)と話をつけて、同社が実質的にこの計画を継承することになりました。
 その後は現在に至るまで、名義上はサイボウ環境による事業となっていますが、実質的にはイー・ステージが主導権を握り、銀行融資を取り付け、総額30億円余りのカネを調達し、大林組に処分場建設を依頼したのです。
 こうして数々の違法行為を行政が黙認した結果、平成18年11月27日に、群馬県が処分場施設の完成検査で合格させ、平成19年3月13日に、安中市の岡田市長が待ってましたとばかり、サイボウ(=イーステージ)にゴミ持ち込むための許可(一般廃棄物処分業許可)を与えたのでした。
 サイボウ処分場のカタログには、次のように14年に亘る違法手続きの履歴が載っています。
 平成 5年11月18日 サイボウ環境株式会社設立
 平成 5年11月29日 廃棄物処理施設設置等構想書
 平成 6年 3月18日 構想書に関する安中市長との調整
 平成 6年 3月24日 関係市町村との調整結果報告書
 平成 6年 4月 4日 廃棄物処理施設設置等事前協議書提出の通知
 平成 7年 2月 1日 廃棄物処理施設事前協議書提出
 平成 7年 7月25日 天白農道一部使用許可
 平成 7年11月10日 廃棄物処理施設事前協請書条件付承認
 平成 8年 3月27日 処分場用地農振除外
 平成 8年 4月16日 国土利用計画法受理
 平成 9年12月15日 進入道路変更申請
 平成10年 3月 2日 進入道路変更申請
 平成10年 6月 5日 安中市との協定書締結
 平成10年 6月11日 一般廃棄物処理施設設置許可申請書提出
 平成10年 7月15日 進入道路交差点協議の回答
 平成10年10月30日 河川法第24条、26条、55条1項申請
 平成11年 8月30日 一般廃棄物処理施設設置許可
 平成11年10月13日 河川法第24条、26条、55条1項許可
 平成11年10月22日 進入道路橋梁架設許可
 平成12年 4月 4日 進入道路農振除外
 平成15年 1月 6日 進入道路着工
 平成15年12月18日 進入道路竣工(全長901m幅員6m)
 平成16年 2月12日 道路法第24条承認工事及び関係工事、竣工検査終了
 平成16年 3月30日 溜池工事着工
 平成16年 5月14日 溜池工事竣工
 平成17年 1月 7日 溜池安中市に寄付採納
 平成17年 3月 2日 進入道路安中市に寄付採納
 平成17年 4月 4日 処分場内公共物質受
 平成17年 4月11日 処分場工事着工
 平成18年11月20日 竣工
 平成18年11月27日 竣工検査
 平成19年 3月 1日 安中市一般廃棄物処分業許可

■この過程で、サイボウがもっと苦慮した一つが、どうやって最寄の県道から処分場まで、ゴミを運びこむかという点でした。当初、中嶋延里元議長は、自宅の脇の農道から岩井川を渡って尾根伝いにゴミ搬入のための進入道路を新設することを計画しましたが、コスト面と手続面でギブアップし、既存の農免道路を使用するように安中市に働きかけました。しかし、農業振興のために作った道路をゴミ運搬車が往来するのはまずい、ということで、これも実現できませんでした。
 次にサイボウが行政と一緒に考えたのは、既存の市道を一部使用し、反対住民の所有する土地を避けたルートで、県道と市道の間の農地等を買収して新しく道路を作って安中市に寄附し、既存の市道をサイボウの費用で拡幅し、水境川を渡河するためにサイボウの費用で橋を新設し、県道からの分岐点には交差点協議により信号機なしの交差点を新設することでした。まさに、行政が全面的に後押しして、サイボウに進入道路を作らせてやったのです。
 ところが、この進入道路の計画の過程で、行政とサイボウは大変なチョンボをしでかしたのです。

■そのチョンボというのは、進入道路の新設のため、安中市の市道の拡幅に際して、市道の隣接地権者との境界を確定する際に、サイボウが安中市職員と一緒に、隣接地権者の立会いの得て行なった境界確定協議で、実際には立ち会えることが困難な人の名前を、勝手に境界確定申請書に記載して、安中市に提出していたことが発覚したことです。

 たまたま、関係する地権者から情報を得た当会では、その地権者に情報公開で境界確定書の写しの交付で入手するようアドバイスして事実関係を把握してから、次の告発状を前橋地検と安中署あてに提出しました。

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【最初の告発状】
平成14年10月23日
告 発 状
前橋地方検察庁検事正 殿
群馬県安中警察署長 殿
  告発人:安中市在住の住民M及びY
被告発人:サイボウ環境椛纒\取締役 結城文夫
罰状:私文書偽造(刑法第159条)及び偽造私文書行使(刑法161条)、国有財産法違反(第31条の3ほか) 公正証書原本不実記載(刑法157条)、に該当する疑い
告発事実:
 被告発人は、自ら群馬県安中市大谷の西谷津地区に計画中の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、群馬県知事に対して同施設の設置手続を行うのに必要な、廃棄物搬入用の進入道路を確保するため、安中市長中島博範に働きかけ、安中市道5323号線道路改良工事として、市長の承認を受けようと、公共用財産と隣接土地所有者との境界に関する協議に係る立会を平成10年8月27日に行い、境界線確認協議が平成11年5月31日に成立したとして、平成11年6月3日付けで建設省所管国有財産部局長群馬県知事受任者安中市長中島博範あてに、国有財産法に基づく境界確定書を提出し、同日、安中市長にこの境界確定書に公印を押印させ、安中市長をして当該市道改良工事の許可処分を行わせ、法務局に対しても関連登記手続を行なわせた疑いがある。
 被告発人は、この境界確定書作成にあたり、国有財産法第31条の3に定めた隣接土地所有者の立会による境界確認を行ったとして、隣接土地の各地番の土地所有者について、各自署名押印のうえ提出したと境界確認書に記しているが、このうちすくなくとも、「大谷字○○××××-×及び××××」の所在土地を保有する「安中市大谷××××-×」に住所を有する「A子」については、本人と偽って、被告発人が記入し押印したものである。
 なぜならば、隣接地権者である「A子」は平成10年7月15日に死亡しており、本人が署名押印することは有り得ないからである。
 国有財産法の第31条の3「境界確定の協議」は、「この協議が整わない場合には、境界を確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない」と定めてある。作成して提出された境界確定書については、通常は、建設省所管国有財産部局長の事務委任を受けた群馬県知事受任者安中市長中島博範と、申請者である被告発人、さらに隣接土地所有者がそれぞれ保有しなければならないが、被告発人は、「A子」もしくはその親族のいずれに対しても、境界確定書を渡さなかった。これは、告発容疑である公文書偽造の事実を隠蔽し、国有財産の私物化を図るために、意図的に行ったものであり、極めて悪質である。
 本件は、平成10年にA子の死去後、自宅敷地内に境界標が何度も打たれたことに疑問を抱いた遺族の一人のB子(群馬県安中市○○×−×−×に在住)が、今年前半、安中市役所土木課を訪れて、市職員に事情を訊ねたところ、対応に出た職員が示した境界確認書を見て、死亡したはずの母親の署名と押印がしてあることに気が付いたもの。その際、書類を見ているときに、職員の上司が見咎めて、「この書類は秘密書類だから」と慌てて引っ込めたため、よけい不信感が湧いた、とB子は語っている。
 さらに、今年9月19日の晩にサイボウ環境鰍フ意向を受けたTという人物が、突然B子宅を訪れ、添付証拠書類(B)に示す「農用地区域変更申出書」への実印の押印と、印鑑証明書の取得をしつこく要求してきた。
 突然、初対面のTの来訪を受けたB子は、事情がわからぬまま、書類を預かり、9月20日に印鑑証明をとり、当該申出書に押印したが、不安になり、東京近郊に住む兄に相談したところ、訳のわからない書類への実印押印はやめるようにアドバイスされた。そこで9月21日朝に、Tに対して「兄に相談したが書類への押印はできない」と電話で断った。
 Tが持参した「農用地区域変更申出書」には、平成10年6月5日の境界確認の協議に関する件が記述してあったため、一体どんな書類が安中市に提出されているのかを知ろうと、今年9月26日に、安中市長に対して、情報公開条例に基づく開示請求をした。その結果、10月1日付の開示決定書に基づいて、指定された公開日である10月10日に安中市役所で境界確定書を入手した。これが添付証拠書類(A)である。
 この結果、平成10年7月15日に死去したはずの母親の署名と押印がされていたため、この書類が偽造文書に間違いないことを確信するに至った。B子やその配偶者によると、署名されていた母親の筆跡や、住所の筆跡は、全く別人のものである上、A子は、死亡に至る以前から寝たきりの状態で、署名もできない状況だった、という。
 こうした中、偽造文書の発覚を察知したサイボウ環境鰍ヘ何とかして、偽造の事実を隠蔽するために、安中市大谷のA子宅の隣に住むCを介して、隣接私有地同士の境界線の確定に必要だと称して、「境界確定申請書」をB子に持参し、署名捺印を求めてきた。さらに翌10月6日の晩に、サイボウ環境鰍フ意向を受けたTがB子宅を訪れ、言葉巧みに説明し書類3部に署名押印をさせたあと、3部とも持ち帰った。その後、隣りのCとの間の私有地の間の境界確定をする、という名目で、10月11日午後1時30分に、安中市職員4名と、サイボウ環境鰍ェ起用した測量業者(三守測量)、それに近所に住む市道の隣接地権者であるCやD、そしてサイボウ環境鰍フ代表取締役結城文夫の委任状を持ったTがやってきて、B子に境界確認をさせた。Tが言うには、変更箇所がたくさんあるため、いっぺんに片付けたいとして言葉巧みに、B子に署名押印させたが、当事者であるB子には、立会いの結果を示す書類は未だに渡されていない。また、立会いの際に、市役所土木課職員は黙りこくったままだったという。
 このように、夜討ち朝駆けでB子宅を訪れ、いれかわりたちかわり、さまざまな書類にしつこく署名押印を求めてくるサイボウ環境鰍竏タ中市役所の行動に、B子やその家人は、いったい、この騒ぎの背景には何があるのか、署名押印させられた書類の目的は何なのか、募る疑念とともに精神的疲労が増しており、一刻もはやくこのような異常な状況を脱して平穏な生活を取り戻したい、と語っている。
 なりふりかまわぬサイボウ環境鰍ニ市役所の行動は、国有財産である市道をサイボウ環境鰍フ廃棄物埋立処分施設への廃棄物の搬入路に使用できるよう改良工事を施すための公的手続書類を偽造した経緯をもみ消し、さらに、大型ダンプカーが通行し易くなるように、現在、A子の所有地付近で急カーブしている現在の市道の道幅を拡幅しようという意図があると思料される。
 なお、被告発者は、上記の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、平成7年11月16日に群馬県知事による事前協議の手続完了を受けたあと、平成8年2月28日ごろ、本件建設計画の助成金と称して、周辺住民約62戸に対して、準公務員である地元区長を使って約30万円ずつ、合計約2000万円の金銭を配布したことがある。当時、告発者らは安中警察署に告発したが、いまだに受理されていないという経緯がある。
 したがって、被告発者が偽造や捏造した隣接土地所有者の署名押印は、「A子」にとどまらず、他にもあることが十分思料される。さらに、この他の同意書など処分場施設設置計画手続に必要な書類にも同様の疑いがもたれる。 以上
添付証拠書類:
(A)境界確定書一式(同時期に群馬県知事に開示請求した結果も参考までに添付した)
(B)農用地区域変更申出書及び委任状(×印は、この書類の通用を心配したB子の兄が原本に記したもの)
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■この告発は、当時、新聞でも報道され、大きな反響を呼びました。とりわけ、文書偽造に関わった関係者には物凄いショックだったことが後日明らかになりました。ところが、地元住民が勇気を振るって告発したにもかかわらず、検察や警察は予想もしない対応をとったのでした。
 平成14年10月23日に、サイボウの代表取締役結城文夫を被告発人として、私文書偽造等の罰状で告発後、同年11月1日付で、前橋地検から「本件は安中署で捜査する」と連絡があり、それを受けて、同年12月18日午後5時すぎに、安中警察署の刑事課から呼び出しがあり、午後7時に出頭したところ、「本件は、文書偽造ではなく、印章偽造のため、公訴時効3年となり、既に時効なので、告発状は受理できない」として、告発状が突き返されたのでした。
 どうしても納得できない当会では、あらためて、前橋地検に質問状を提出しました。

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【前橋地検あて質問状】
平成14年12月24日
郵便番号371-8550 前橋市大手町一丁目1番2号
前橋地方検察庁 検事正 吉田一彦様
     郵便番号379-0113群馬県安中市大谷×××番地 住民M
     郵便番号379-0114群馬県安中市野殿××××番地 住民Y
安中市大谷西谷津地区のサイボウ環境鰍ノよる廃棄物最終処分場施設設置計画をめぐる私文書偽造等にかかる告発状の取扱について(ご確認とご質問)
1.このことについては、平成14年10月23日に、サイボウ環境梶i以下「サイボウ」という)の代表取締役結城文夫を被告発人として、私文書偽造等の罰状で告発しました。その後、11月1日付けで、貴殿より、本件は安中警察署で捜査する旨、文書により通知されました。
 そして、12月18日午後5時すぎに、安中警察署の刑事課から呼び出しがあり、午後7時に出頭して、次のような内容の口頭説明を受けました。

(1) 本件について捜査を実際にしたが、罰状の適用が文書偽造・行使ではなく、私印偽造に該当する。
(2) 理由は、この文書の中で、偽造が特定される部分は、署名と印影の2箇所に限られるため(実際にはこの他に住所もあるが)、文書偽造の罪ではなく、印章偽造の罪となる。
(3) そのため、捜査の結果犯人を捕まえても、刑事訴訟法により、私印偽造は懲役刑期3年以下のため、公訴時効(3年)が適用になる。
(4) 本件では、偽造したのは、立会日や文書作成日にしても平成11年6月以前であり、すでに3年以上経過しているから、あきらかに公訴時効の事案に該当する。
(5) だから、本件については、これ以上の捜査をするつもりはないし、公訴時効案件と判断されたからには、これまで実際に捜査をしたその経緯や捜査内容は守秘義務がかせられるので、捜査をしたのかどうかという点も含め、一切、告発人には説明することはできない。
(6) 適用されるべき罪の判定については、安中署として念のため、検察庁にも判断を仰いだ。法律上の解釈で微妙な点を残しながらも、検察庁で慎重に検討した結果を踏まえて、本件は「私印偽造」とした。
(7) よって、本件については、これ以上の捜査をするつもりはない。告発人から提出のあった告発状の原本を返却するから、受領書に署名と押印を願いたい。告発人においても、この判断についてこの後十分検討されたい。

2.これに対して、私たちは、本件の捜査を踏まえて司法専門家の皆さんが専門知識と経験をもとに、判断した結果なので、謹んで口頭での通知を拝聴すること、今回の措置の法的な解釈について後ほど吟味すること、を安中署の担当刑事の方々に伝え、告発状返還受領書に告発人として署名押印をしました。

3.ところで、私たちは、今回の告発に際して、適用すべきいくつかの罰状のケースを検討しました。しかし、いずれも文書偽造罪は免れえないと信じておりました。その理由は次のとおりです。

@ まず、本件が公文書偽造か私文書偽造かについて検討しました。本件文書は、国有財産法第31条の3による境界確定の合意を示す文書ですから、この場合、文書作成の当事者としての「申請者」(サイボウ)、「隣接地権者」は一般人ですが、法律によって定めた行政への申請手続に必要な文書であり、その文書の様式も行政手続用に定められた要件を備えるものだから、公文書として認識できると考え、公文書偽造ではないか、と考えました。
A しかし、行政は公印を押印しているとはいえ、この文書の提出を受ける側であり、この文書の作成名義人として、署名・押印しているのは、全員一般人であることから、刑法の私文書偽造罪として記述のある(a)「行使の目的で、(サイボウが)他人(A子)の印章・署名を使用して、権利・義務または事実証明(この場合は境界立会による協議の事実証明)に関する文書・図画(この場合は文書)を偽造」又は(b)「偽造した他人の印章・署名を使用して、権利・義務または事実証明に関する文書・図画を偽造」したと判断して、私文書偽造罪と判断しました。なお、(a)か(b)かは、捜査結果次第ですが、A子が既に死亡していることから、おそらく(b)が適用になるのではないか、と考えておりました。
B 印章偽造罪については、この場合、境界確定書という法律に基づいた文書を偽造するための手段として用いていることから、文書偽造罪に含まれると考えました。
C この他、死亡した人の名義を偽って、法律上重要な書類である境界確定書を作成し、行政を騙したことから、詐欺罪の適用も可能かと思いましたが、一般人である私たちにとってもいちばん腑に落ち易い文書偽造罪で告発することにしました。

4.ところが、12月18日晩の安中警察署担当刑事の説明では、前述のように、私印偽造が適用されるので、結果的に、公訴時効に該当するため、これ以上の捜査はしない、とのことでした。
 そのため、告発状の返却を受けた私たちは、そのあと、法律書を紐解き、本件がなぜ文書偽造罪でなく、印章偽造罪に該当するのか、納得するまで調査したり、複数の法律専門家にもアドバイスを受けました。その結果、ある人は「明らかに文書偽造罪にあたる」と言うし、ある人は「微妙なケースだが検察の言うように印章偽造罪に当たる可能性もある」とコメントが分かれました。

5.私たちはこうした調査を経てなお、本件はやはり文書偽造罪が適用されるべきではないか、と考えております。その理由は次の通りです。なお、刑法の解釈では、蒲L斐閣の「法律学全集41・刑法各論」を参考にしました。

(i) 法律書によると「文書とは、文字その他の符号によって意思または観念を表示した物」で「文字その他の符号による意思又は観念の表示は、文章の形式をとったものに限らず、省略されたものであってもよい」が「別に、印章・署名偽造罪があることから、文章が極端に省略されて単なる署名・押印又は記号と同視されうる場合は、文書としてではなく署名・印章・記号として解するのが適当だろう」とあります。このことから検察庁や安中署は、「今回偽造されたのは、全体の文書の中で、A子の署名欄と印影欄(それに住所欄)だけで、境界確定書では、A子は隣接地権者の一人として、署名押印により単なる意思表示をしただけであり、その意味から、A子が文章を書いたわけではなく、また、他の隣接地権者や申請者(サイボウ)は真正な署名・印章だと確認できたから、偽造罪の客体は署名・印章・記号になると解釈した」などと推察したのではないでしょうか。しかし、境界確定書そのものは、法律(国有財産法)で定めた文書であることは明らかです。

(ii) 法律書によると、「文書偽造罪の規定によって保護される文書は、その偽造によって公共の信用が害されるようなものでなければならないから、さらに限定を受ける」ので「法律上あるいは取引上重要な文書でなければならない」とされています。従って、「それぞれの構成要件において『公務員の作るべき文書』『権利、義務又は事実証明に関する文書』と限定されているのはそのためである」としています。境界確定書は、法律上の重要な文書であり、私たちが被告発人とした申請者のサイボウが、道路法、河川法、農地法、農振法などの適用を受けて建設する廃棄物搬入用の進入道路の手続きに必要な書類であることはあきらかです。

(iii) 法律書によると、「文書偽造罪は他人の作成名義を偽るものであるから、名義人のない文書は文書偽造罪の客体にならない」とあります。今回の境界確定書の場合、文書の作成名義人として、申請者(サイボウ)、隣接地権者(A子をふくむ10数名?)、それに行政(一緒に立会いをしたということで境界確定の確認印をなした安中市長)が挙げられます。従って、境界確定書は文書偽造罪の客体になり得ると考えられます。

(iv) 法律書によると、「文書については、成立(作成)が真正か不真正かという問題と、内容が真実か虚偽かという問題とがある」としており、「不真正な文書の作成、すなわち権限なしに他人名義の文書を作成することを狭義において文書偽造という」と同時に「権限のある者が内容的に真実に反する文書を作成することを虚偽文書の作成という」とあります。「前者を有形偽造、後者を無形偽造ともいう」としており、「取引の安全の為には責任の所在に偽りのないことが最も重要であり、日本の刑法では有形偽造を主として罰し、無形偽造は特に重要な場合(156条・157条・160条)に限り罰している」とあります。この境界確定書は、申請者(サイボウ)が他人(A子)名義の文書(それは、全体を構成する作成名義人からすれば、10数分の1だが)を作成したものと考えられます。A子は、既に死亡していたから申請者サイボウには、境界確定申請をする権限がそこだけ欠けていたことになります。権限なしにサイボウが他人(A子)名義の文書を作成した以上、その内容が事実であっても、偽造罪になるものと解するべきです。

(v) この境界確定書には、申請者のほかに、隣接地権者がたくさんリストアップされており、1ページでは足りずに、2ページ目はあたかも名簿のようになっています。安中署や検察庁は、これを見て、多数の隣接地権者は、2ページ目には文章がなく単に署名と捺印(そして住所記入)だけを記入してあるだけで観念(境界確定協議の同意)の表示と解釈したのではないでしょうか。しかし、本来は、国有財産法にもあるように、本来は、国有財産と隣接地権者との相対により境界確定の協議がなされるものです。ですから、今回の申請者サイボウの境界確定書では、実質的には、作成名義人はA子と国有財産管理者(県知事受任者安中市長)と解するべきです。だから、申請者としてのサイボウが、この文書の作成名義人A子を偽ったのですから、文書偽造罪になるものと解するべきです。この点をきちんと認識する必要があると思います。

(vi) 法律書では「偽造は他人名義をいつわるものである。従って、誰が名義人であるかを判別できないような文書であるときは、文書偽造罪にならない。名義人が実在することを要するかどうかについては学説が分かれているが、虚無人名義の偽造文書も公共の信用を害することに変わりはない。ただ、一般人にとってそれが虚無人であることが一見して看取されるような場合――それを準詐欺(248条)の手段にしたような場合――は、文書偽造罪にならないものと解する。判例は、はじめ、実在人であることを要するものとし、従って、死者名義の文書については生前の日付になっている場合に限り偽造罪の成立を認めていた。しかし、近年の判例では、偽造が名義人の死亡後であっても生存中の作成にかかるもものように作為し、一般人を誤信させるおそれがあるときは、偽造罪の成立があるものとし、さらにまた、実在人名義を用いた場合と比較して一般人を誤信させる点に区別がないような場合には、まったくの架空人名義を用いても偽造罪が成立するものとしている」とあります。今回の境界確定書では、サイボウは、A子が死亡しているにもかかわらず一般人や行政をも誤信させたわけであるから、偽造罪が成立すると解することができます。

(vii) 文書偽造罪の客体は「他人の印章もしくは署名を使用した権利、義務もしくは事実証明に関する文書もしくは図画」(169条)です。その他人の意思表示またはある事実に対する陳述を示した物である必要があります。もし、警察や検察庁が、(ア)AでないBが「Aは承知します」というA自身が作成名義人とその文書の体裁から判断される文書を勝手に作成すれば偽造となるが、(イ)AでないBが「Bが確認したところAが承知しています」ということを文書を作成した場合は、これは「Aが承知している」ということを内容とするB作成名義の文書に過ぎないから、Bが作成したBの名義の文書で偽造(作成名義の冒用)ではない、と判断したなら、これは間違いです。本件は、申請人が行政に対して境界確定書を提出している形を取っていますが、前項(i)に述べたように、この境界確定書は、A(A子)でないB(サイボウ)が、「Aは承知します」というA自身が作成名義人とその文書の体裁から判断される文書を勝手に作成したのだから、これは明らかに文書偽造です。

(viii) 今回の境界確定書について、(ア)氏名の記載欄も具組めて隣接地所有者の意思表示も含む文書と見るのか、(イ)氏名などの記載欄は申請者(サイボウ)が承諾を有する隣接地権者の範囲を一覧表で示したに過ぎず、印鑑欄だけが隣接地権者の意思表示の欄と見るのか、というのが警察や検察庁の注目した点だと思われます。警察や検察庁が、今回、「印章偽造に留まり、有印私文書偽造ではない」と判断したのは、この(イ)の見解からでしょうか。私たちは、この境界確定書が、公共財産とそれに隣接する地権者との間の協議結果を示すものなのだから、(ア)だと思います。

(ix) 土地の所在・住所・氏名欄が同一人の筆跡であったり、全部ワープロで打ってあって、各人の印鑑欄だけが別々の印鑑の場合、印鑑偽造は認められるが、文書の体裁からして署名の偽造(私文書偽造)は認められにくいかもしれません。しかし、被偽造者本人の前後の字体がバラバラの筆跡でその体裁から別々の個人が書いたとしか見えないときはどうでしょうか。この場合は、署名の部分を含めて、つまり印影だけでなく、名義=文書も偽造したとみられる余地があります。今回の境界確定書では、隣接地権者である被偽造者本人(故・A子)の「土地の所在」「住所」「氏名」のうち、土地の所在と、住所・氏名の筆跡が少なくともバラバラの筆跡であり、別々の個人が書いたことは間違いありません。となると署名の部分も含めて、名義=文書も偽造したことになると思います。

6.このように、私たちの解釈では、やはり本件には文書偽造罪が適用されてしかるべきと考えます。常識的に考えても、こうした法律に基づく申請手続きの過程で、勝手に偽造印や偽造署名を使って、本人の知らない間に書類が作られ、手続が行政と申請者との間で進められた場合、3年経過して、本人やその親族が、その事実を知ったときには、偽造した者の刑事責任は時効で問えない、となると、行政手続き上、大変大きな影響を与えることになります。わが国の行政における情報開示が世界的レベルで先進的な状況にあるなら、そうした心配は小さいのですが、今回のように、申請者が悪質で、しかも行政が住民からの情報開示請求に非協力的な場合には、3年などすぐに経過してしまい、結局、申請者と行政とが組めばやりたい放題、という状況が簡単に実現します。
今回、虚偽申請の事実が発覚したのは、住民が自分の所有地の周りに不審な杭が打たれていたことに疑問を抱いたこと、また役所でその理由を確かめたところ書類の不備と役所の不審な対応に、さらに疑問を深めたこと、そして、情報公開で自らその情報を確認して文書偽造がわかったもので、きわめて稀なケースです。

7.私たちは参考になる事例がないかどうか、インターネットで判例データを検索してみました。添付資料は広島高裁平成13年11月13日判決(慰謝料請求控訴事件)です。これは民事の例で、刑事事件の先例にはなりませんが、この例によれば、「企業団地実施設計図中の『隣接同意書』の箇所に、隣接者が『私有地と法定外公共財産との境界は現地及び図面で表示されたとおり異議ありません』と境界確認を承諾したとして、B、C、E及び控訴人の署名、押印がなされている」「控訴人は、本件偽造に係る犯罪の告訴について警察に相談したが、既に私文書偽造罪の控訴時効期間(5年)が経過している云々」あとあり、これは文書偽造罪を適用していると考えられます。

8.いずれにしても、私たちは一般人であり、刑法など法律についてはまったくの素人であり、浅学非才のそしりは免れえません。上記は、そうした状況下で得た私たちなりの見解ですので、法律の専門家である貴殿の判断をぜひ仰ぎたく、よろしくお願い申しあげます。
現在、私たちは、本件について民事面で行政訴訟を行っております。たとえ刑事事件で時効扱いとなっても、民事的には時効だから無罪あるいは訴えが無効とされることはあり得ないと考えております。
もし、本事案が文書偽造罪が適用できると考えられる場合、時効は5年ですから、平成16年6月2日までとなります。まだ時間的には余裕がありますが、本件について、遅くとも平成15年1月末頃までに、貴殿の見解を書面でご連絡いただければ幸甚に存じます。 以上
添付資料: 広島高裁平成13年11月13日判決(慰謝料請求控訴事件)
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これに対して、どのような回答を前橋地検がよこすのか、当会では期待を込めて待っていました。

【岩野谷の水と緑を守る会】
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