2016/5/22  21:39

大同有毒スラグを斬る!・・・「大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明」報道後の渋川市の対応  スラグ不法投棄問題


■2016年5月14日付の上毛新聞で「大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明 自治体 撤去や舗装で対応」という記事が報じられました。読者の皆さんから「その後、渋川市の対応はどうなっているのか?」と反響をいただきましたので、注目記事を振り返ってみましょう。
クリックすると元のサイズで表示します


************2016/5/14上毛新聞
大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明
自治体 撤去や舗装で対応

・・・(前略)・・・
「土壌汚染の箇所数が抜きんでて多い渋川市は、学校や市民体育館など5カ所でアスファルト舗装した。レジャー施設など3カ所で工事に向けて調査中という。
・・・(後略)・・・

(末尾に全文を記載しました)
**********

「土壌汚染の箇所数が抜きんでて多い渋川市」とまず紹介されています。渋川市はどのように土壌汚染の箇所を特定したのでしょうか?

■渋川市はそのホームページで調査結果を発表しています。

<平成26年6月16日鉄鋼スラグを含む砕石の使用状況調査結果について>
http://www.city.shibukawa.lg.jp/kurashi/gomi/suragusaiseki/p001605_d/fil/t_suragu.pdf
クリックすると元のサイズで表示します
PDF ⇒ 26n616sxogp.pdf

<平成27年3月6日鉄鋼スラグを含む砕石の使用状況調査結果について>
http://www.city.shibukawa.lg.jp/kurashi/gomi/suragusaiseki/p001606_d/fil/261024bunsekishikenkekka.pdf
クリックすると元のサイズで表示します
PDF ⇒ 27n36sxogp.pdf


■紙面が限られるため、数字を余り詳しく追うつもりはありませんが、気になる箇所を挙げてみます。まずは、六価クロム(基準値0.05)の数値を見ていきます。すると、

調査番号22 渋川スカイランドパーク第5駐車場 六価クロム0.02〜0.05
調査番号30 赤城総合運動自然公園野球場北駐 車場 六価クロム0.05
調査番号24 三美が丘自然公園遊歩道  六価クロム0.05


となっています。確かに六価クロムの環境基準は0.05以下となっていますが、どうなのでしょうか?基準値いっぱいということになれば、誤差等を考慮し、安全性の観点から撤去対象としてもよいのではないでしょうか。

■さらに欄外に気になる説明書きがあります。

クリックすると元のサイズで表示します

 注意深く読むと、「※1 サンプリング分析結果中、土壌汚染対策法に基づく分析結果は、任意の地点において採取した試料を市環境課環境室で分析した参考値であり、土壌汚染対策法に基づく指定機関の分析結果ではありません。」と記載されているのです。この中には、2つの気になるキーワードがあります。「土壌汚染対策法に基づく分析結果」と「参考値」です。

●その1:「サンプリング分析結果中、土壌汚染対策法に基づく分析結果

 これはどういう意味なのでしょうか?サンプリング(試料採取)の方法に何か、隠していることがあるのでしょうか?

 土壌汚染対策法では、工場跡地などで土壌汚染の疑いがある場合、土壌を6カ所程度サンプリングし、均等混合して有害物質を分析することが多いようです。これは、有害な液体により土壌が汚染された場合を想定している分析方法だと思われます。

 一方、今回問題となっている有害スラグ混合砕石は、「天然石という固体」と「有害スラグという固体」のカケラ=粒どうしから構成されています。

 「混合」と呼んでいますが、固体同士は混ざり合うことはありません。したがって、有害スラグの粒は薄まることはなく、有害スラグの粒と接した土壌は、スラグ中の有害物質に汚染される恐れがあります。このため、地中の汚染源となっているスラグ混合砕石の有害スラグのみをサンプリングして、分析調査しなければなりません。

 渋川市市環境課環境室はきちんとした資格をもっておらず、“にわか調査室”なので、環境省に問い合わせるなど勉強が必要なのです。ところがそうした手順を踏まずに、専門家のふりをしているだけなので、サンプリングの段階から分析の手順を間違えてしまっている懸念があります。

 サンプリング方法から間違えてしまっている可能性があるにもかかわらず、つまり、天然石と一緒に有毒スラグを測定しても、上記の六価クロムが基準値上限の0.05を記録しているなら、その場合は、有害な状態である疑いが濃厚です。

●その2:「市環境課環境室で分析した参考値であり、土壌汚染対策法に基づく指定機関の分析結果ではありません。」

 こちらの記載はさらに問題です。土壌汚染対策法を少しおさらいしてみましょう

**********
土壌汚染対策法
(平成十四年五月二十九日法律第五十三号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO053.html
第二章 土壌汚染状況調査
(土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査)

第五条  都道府県知事は、第三条第一項本文及び前条第二項に規定するもののほか、土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当する土地があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に第三条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。
**********

 上記にある第三条第一項も見てみましょう。

**********
第三条  使用が廃止された有害物質使用特定施設(水質汚濁防止法 (昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項 に規定する特定施設(第三項において単に「特定施設」という。)であって、同条第二項第一号 に規定する物質(特定有害物質であるものに限る。)をその施設において製造し、使用し、又は処理するものをいう。以下同じ。)に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)であって、当該有害物質使用特定施設を設置していたもの又は第三項の規定により都道府県知事から通知を受けたものは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、環境大臣又は都道府県知事が指定する者に環境省令で定める方法により調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。ただし、環境省令で定めるところにより、当該土地について予定されている利用の方法からみて土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときは、この限りでない。
**********

 土壌汚染対策法第5条と第3条を合わせて読むと、

「土壌の特定有害物質(大同スラグ問題については、六価クロムとフッ素)による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがある土地があると認められるときには、環境大臣が指定する者に環境大臣が定める方法により調査し群馬県知事に報告しなければならない」

と定めていると考えることができます。

 渋川市では、自ら「市環境課環境室で分析した参考値であり、土壌汚染対策法に基づく指定機関の分析結果ではありません。」と環境大臣指定の機関による分析結果でないと表明しています。自分でホームページに表明しているだけならまだしも、参考値に基づき、国・群馬県・渋川市からなる鉄鋼スラグ連絡会議で、その参考値を臆面もなく報告しています。

■次の鉄鋼スラグ連絡会議の資料をご覧ください。

**********
第1回 鉄鋼スラグに関する連絡会議
1 渋川市の取り組み状況
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000225.html#gidai5

38工事のスラグ砕石及び土壌について分析試験の結果、スラグ砕石では35工事、土壌については28工事において、六価クロム又はふっ素が環境基準を超過していることが判明。(スラグ砕石使用実態調査結果一覧参照)調査結果を群馬県環境森林部に報告。
**********

 このように、渋川市は土壌汚染対策法に基づく指定機関ではない市環境課環境室で分析した参考値を群馬県に報告してしまっています。これは渋川市が、土壌汚染対策法第5条に明らかに違背して、群馬県に対して、いい加減な報告をしていることを意味しています。

 第5条に違反すると、土壌汚染対策法では罰則も設けられています。

**********
第八章 罰則
第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第四項、第四条第二項、第五条第一項、第七条第四項、第十二条第四項、第十六条第四項、第十九条、第二十四条、第二十五条又は第二十七条第二項の規定による命令に違反した者
**********

 渋川市は、土壌汚染対策法第5条に違反していると考えられるので、第65条により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」に該当する可能性があります。

 誰が告発するのでしょうか?もちろん、当会が告発すればよいのかもしれませんが、やはり、土壌汚染対策法第5条が「都道府県知事は・・・・・」の書き出しから始まっていることから、群馬県知事、つまり、森林環境部が告発する立場にあると思われます。群馬県環境森林部は、ためらうことなく、渋川市を土壌汚染対策法違反容疑で告発するよう、強く勧告したいと思います。

 当会は、渋川市が自ら法律を守ろうとしない姿勢を問題視しています、渋川市は間違った分析調査方法にかかわらず、その数値を正式な分析結果と装い、鐵鋼スラグ連絡会議の場で発表し、本来とるべき対策とは異なる対策をしてしまいました。

■渋川市では、ご覧のとおり、環境大臣が指定した機関でない自分に都合のよい分析結果を報告し、挙句の果てには、渋川市議会において建設部長が「基準値を超えた場所も被覆工事をする方針」を打ち出しているのです。つまり、“毒があっても舗装する”ということは、そもそも分析調査しなくてもよかったのではないか?ともとれる支離滅裂な発言をしています。

 その結果、新聞報道にあるように、「渋川市は、学校や市民体育館など5カ所でアスファルト舗装した。」と“臭いものに蓋”をするという安易な対策をしてしまいました。萩生地区の県営事業の農道工事に使われた有害スラグ対策でも“臭いものには蓋”的な対策がとられたことから、ダメ役人に共通するのは、とにかく“臭いものには蓋”をしたくなる思考が強いものと考えられます。

 新聞報道によれば、渋川市のいい加減な対策はまだ続きます。

●その3「レジャー施設など3カ所で工事に向けて調査中という。」

 これは、有害スラグの聖地とも称されるスカイランドパークに散乱している超有害デカスラグを撤去しないまま、直下の土壌を先にボーリング調査し、「直下の土壌が汚染されていなければ、何も対策をしないで済まそう」という方針を指していると思われます。

 特定有害物質の六価クロムやフッ素が含まれている有害スラグは、遮断型処分場に最終処分することが廃棄物処理法の定めたルールです。渋川市の対策を見ていると、その本来のルールを、市自ら、「なんとか脱法して、今回の問題をやり過ごそう」と画策しているように受け取ることができるのです。

 しかし、その間違った分析調査であっても、渋川市は「土壌汚染対策法に基づく指定機関ではない市環境課環境室で分析した参考値」を奇貨として、いそいそと間違った対策を取るべく、判断をしてしまうことでしょう。権威のない参考値に基づいて、スラグ対策を決定し実行すれば、土壌汚染対策法に完全に違反することとなります。

 とかく何も調べることもせず、思い付きを口にすることが多い群馬県環境森林部の関係部局ですが、土壌汚染対策法を再度勉強し直して、勝手に測定結果を鐵鋼スラグ連絡会議でひけらかす渋川市に対して、きちんと法律を遵守させるべく行動してほしいものです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ特別調査チーム・この項続く】

※参考資料1
**********2016/5/14上毛新聞
大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明
自治体 撤去や舗装で対応
 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグが群馬県内の公共工事で使われ、一部で環境基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出された問題で、県は13日、公共と民間を合わせて計148カ所の工事で新たにスラグの使用が見つかったと発表した。使用された工事は373カ所になった。実施主体の自治体などは、スラグの撤去や、アスファルトで舗装するなど対応に追われている。
 新たに見つかったのは、関東地方整備局、関東森林管理局、北関東防衛局の国の三つの出先機関と、渋川、吉岡、中之条、長野原、昭和、みなかみの8市町村の計100カ所と、民間の計48カ所。
 県などはこれまでに、373カ所のうち259カ所で環境調査を実施した。101カ所のスラグから環境基準値を超える有害物質が検出され、このうち57カ所は周辺の土壌からも検出された。地下水汚染が確認されたところはなかった。渋川市の工事は42カ所で土壌汚染があった。
 土壌汚染の箇所数が抜きんでて多い渋川市は、学校や市民体育館など5カ所でアスファルト舗装した。レジャー施設など3カ所で工事に向けて調査中という。
 前橋市は本年度から8カ所でスラグを撤去したり、舗装工事を行う予定だ。27カ所で工事が必要な関東地方整備局は16カ所の工事を終え、残りは順次進める。県と水資源機構は必要な工事を終えたとしている。
 この問題は2013年6月に明るみに出て、県は14年1月〜2月、大同特殊鋼や関係者への立ち入り調査を実施し、15年9月に同社などを刑事告発した。県警は4月26日に廃棄物処理法違反の疑いで、同社を含む3社と、その役員ら5人を前橋地検に書類送検した。
**********

※参考資料2
**********2016年3月17日毎日新聞群馬版
鉄鋼スラグ 小学校からフッ素
渋川 環境基準10倍超

 大同特殊鋼渋川工場からでた鉄鋼スラグを巡り、渋川市立古巻小学校の駐車場から環境基準の10倍超のフッ素が検出されたことが16日、市議会で明らかになった。環境省の指定調査機関に委託して独自調査した結果を角田喜和(共産)が公表した。【尾崎修二】
===
 フッ素の環境基準は含有量で1キロ当たり4000ミリグラム以下、溶出量で1リットル当たり0.8ミリグラム以下。渋川市が過去に実施した簡易検査では、古巻小の駐車場で使われた砕石のフッ素含有量(参考値)は1キロ当たり310ミリグラム、溶出量は0.15ミリグラムだった。
 しかし、角田氏が2月に資料を採取し、大阪市の分析機関に測定を依頼したところ、含有量7800ミリグラム、溶出量も10ミリグラムものフッ素が検出されたという。市議会の一般質問で田中市郎建設部長は「基準値を超えた場所も被覆工事をする方針なので、再調査の必要はない」と答弁した。人体に大量のフッ素が入ると神経障害や知能障害を引き起こすとされる。渋川市は、環境基準を超過した49カ所で撤去か被覆処理を進めており、基準値以下だった古巻小、橘北小、渋川中、赤城北中でも、敷き砂利の駐車場でむき出しとなっているスラグを舗装工事で覆うと決めている。
**********
詳しくはこちら。↓↓
○2016年3月18日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・連日のように続く危険スラグ報道!「小学校からフッ素」の巻
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1925.html#readmore
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ