2016/6/22  12:41

赤城山と県土を狙う東電の毒牙=前橋バイオマス向けチップ工場補助金停止を求める住民監査を県監査委員が却下  前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■県都前橋市の象徴である赤城山の南麓の風光明媚で自然環境豊かな生活・営農・観光・生活のどの面をとってみても申し分のない場所に、あろうことか、それも電発事故で放射能を東日本にひろく撒き散らした張本人の関係するグループ会社が、それまで手掛けたこともないバイオマス発電を計画している、ということで、現在、計画地のすぐ近くに住む住民の皆さんとともに、当会もこの計画の白紙撤回を目ざして活動中です。
 その一環として、群馬県が補助金をくれてやろうとしているのを止めさせるために、2016年3月31日に住民監査請求を群馬県監査委員に提出していたところ、この度、監査結果が通知されてきました。その内容たるや、「まだ補助金申請が出ていないから、補助金の支出が確定したとは言えないので、住民からの請求は意味がないから却下する」という呆れ果てたものです。
 とりあえず、監査結果の内容を検証してみましょう。
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*****送り状*****
                     群監第202−32号
                     平成28年6月14日

小 川  賢  様

                     群馬県監査委員  横 田 秀 治
                     同        丸 山 幸 男
                     同        岩 井   均
                     同        須 藤 和 臣

            住民監査請求に係る監査結果について

平成28年3月31日付けで収受した標記請求に係る監査結果は,別紙のとおりです。

                        群馬県監査委員事務局
                          特定監査係
                          T E L : 027-226-2767

*****監査結果*****PDF ⇒ 20160618.pdf
(※文中の赤字部分は当会が疑念を持つ箇所である)
       群馬県職員措置請求監査結果
第1 請求人
 安中市野殿980番地
 小川 賢
 前橋市鼻毛石町1991−42
 羽鳥 昌行
第2 請求書の提出
 平成28年3月31日
 なお、請求人らに対し、同年4月25日に補正を求め、同年5月10日に補正が行われた。
第3 請求の内容
1 請求書の内容(請求書原文が長文にわたるため、当監査委員がその趣旨を要約したもの)
 群馬県知事は、平成27年9月14日から同年10月7日まで開会された群馬県議会平成27年第3回前期定例会において、次の補助事業を含む平成27年度群馬県一般会計補正予算案(以下「9月補正予算案」という。)を上程し、9月補正予算案は、同年10月7日、可決承認された。
 ・ 事業名:木質バイオマス発電燃料製造施設等整備(環境森林部林業振興課)
 ・ 金額:480、000千円
 ・ 説明:林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備を補助する。
 ・ 事業主体:前橋バイオマス燃料株式会社
 ・ 補助率:6/10以内
 この木質バイオマス発電燃料製造施設(以下「本件チップ製造施設」という。)は、東京電カホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)を親会社とする株式会社関電工(以下「関電工」という。)が赤城山麓にある一般財団法人電力中央研究所赤城試験センター(以下「電力中央研究所」という。)の敷地内に建設する計画としている木質バイオマス発電施設(以下「本件発電施設」という。)に併設して建設することとされている施設で、本件発電施設において使用する発電燃料用の木質チップ(以下「チップ」という。)の製造を行う(以下「本件チップ製造事業」という。)こととされている。
 本件チップ製造事業は、株式会社トーセン(以下「トーセン」という。)、関電工、群馬県森林組合連合会及び群馬県素材生産流通協同組合の共同出資により設立された前橋バイオマス燃料株式会社(以下「前橋バイオマス燃料」という。)が実施し、生産するチップの年間生産量は7万トン、その原料である間伐材等の受入量は8万4,100トンとされている。
 前橋バイオマス燃料は、本件チップ製造事業の事業化に当たり、チップ破砕設備、チップ加工設備、貯蔵庫等の整備を行う(以下「本件施設整備事業」という。)こととしており、その事業費は8億円とされているが、その6割に当たる4億8,000万円については、燃料乾燥施設、作業用建物兼貯蔵庫、チップ製造機等の整備に要する経費の一部として、県が前橋バイオマス燃料に対し、群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金(以下「本件補助金」という。)を交付することとしている。
 しかしながら、本件発電施設において行う発電事業(以下「本件発電事業」という。)及び本件補助金が交付される本件施設整備事業は、事業の内容に不確定な情報が多く、事業者だけでなく、関係する自治体も十分に説明責任を果たしているとは言えない。それにもかかわらず、前橋バイオマス燃料は、県に対して、既に補助金の交付申請を提出済みであることを認めており、近日中に本件補助金が交付されようとしている。
 本件発電事業は、関電工とトーセンが出資する前橋バイオマス発電株式会社(以下「前橋バイオマス発電」という。)が実施する事業で、放射能に汚染された燃料を燃やすことにより、高濃度の放射性物質が濃縮され、それらが排ガスとして、燃焼灰として、排水として、長年にわたり半恒久的な排出源となることから、その影響は、本件発電施設の周辺に居住する住民のみならず、広く多くの群馬県民に及ぶことになる。
 本件発電事業は、そのような危険性が懸念されるところ、住民らの不安要素が払拭されないまま進められているが、本件施設整備事業は、次に示す理由により、県の補助金交付事業として不適格であるため、群馬県知事は、前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。
(1)補助事業の目的から逸脱していること。
 本件施設整備事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により放射能汚染の被害を受けた群馬県、栃木県等においては、放射能汚染のリスクの増大をもたらすことになる。放射能に汚染された森林からの間伐材を集積してチップ化し、燃焼させることは法令違反行為であり、補助対象事業には当たらない。
(2)補助金交付を受ける資格がないこと。
 前橋バイオマス発電の定款には、「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、前橋バイオマス燃料の定款のコピーであり、「間伐材等」の“等”の意味が廃材も含む可能性を示唆している。このように行き当たりばったりで未成熟な事業に対して補助金の交付をすることは、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第2条第14項の規定及び地方財政法(昭和23年法律第109号。以下「地財法」という。)第4条第1項の規定に違反する。
(3)周辺住民に対して事業に関する周知が不徹底であること。
 本件発電事業は、平成27年5月に本件発電事業地に隣接する赤城ビュータウンの住民らが関電工が密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べて初めて発覚したものだが、関電工は、その後も周辺住民に対して事業内容の説明に消極的な姿勢をとり続けている。トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず、第1回及び第3回地元説明会に出席せず、第2回地元説明会には出席したが、一言も語ろうとはしなかった。
 このため、請求人らを含む住民らは、本件発電事業及び本件施設整備事業に関する説明を受けられずにおり、このような事業内容の不透明性と事業者の情報開示への消極性は、森林整備加速化・林業再生交付金事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは相いれず、本件補助金の交付は許されない。
(4)出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと。
 関電工は、事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、本件発電事業及び本件施設整備事業は、
 関電工の社是や環境方針には全く馴染まない。
(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること。
 関電工は、当初、「群馬県内の間伐材を100%使用する」と言いながら、その後、万が一足りなければ近県の間伐材も入れることをほのめかす発言に転じている。発言内容が変わること自体、信用できない。また、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態を見れば、年間間伐材等の受人量8万4,100トンもの確保は到底現実的でなく、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること。
 関電工が作成した近隣住民への説明経過(事実証明書7)には、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続くなど、虚偽の記載により不正に補助金の支給を受けようとしている。
(7)放射能汚染対策に重大な不備があること。
 本件発電事業には、放射能対策が全く盛り込まれておらず、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑の営農環境、河川の自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の可能性はかなりの確率で高くなることは必至である。
(8)事業者の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること。
 卜−センは、数年前に製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させたにもかかわらず、いまだに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観(ママ。「生活」が正)環境や財産保全の脅威となる。
(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること。
 県は、関電工に対して、本件発電施設の総排気量が4万㎥/hr以上であるかどうかの詳細審査を実施しないまま環境アセスメント対象外として通告している可能性が高く、本件発電事業は法令違反であることが明白である。
 以上の様々な観点から、本件発電事業が実施されれば、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。 しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層、危険度を増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射性物質の発生を招くという脅威に県民が広くさらされるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、群馬県知事は、本件補助金の交付を停止しなければならない。
 よって、群馬県知事に対し、前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付を差し止める措置を講ずるよう、監査委員が勧告するよう求める。
2 事実証明書
 請求人から提出された事実証明書は、次のとおりである(各事実証明書の表題は、措置請求書及び補正書における請求人の記載をそのまま使用した(ただし、個人名のみ加筆)。また、陳述実施時追加提出資料については、当該各資料の表題の記載をそのまま使用した。)。
(1)事実証明書1 平成27年度9月補正予算検討案(知事査定)
(2)事実証明書2 (株)前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前)
(3)事実証明書3 (株)前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前)
(4)事実証明書4 (株)前橋バイオマス燃料の路歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
(5)事実証明書5 (株)前橋バイオマス発電の履歴全部証明書
(6)事実証明書6 (株)前橋バイオマス発電の定款
(7)事実証明書7 近隣住民への説明経過(林業振興課開示資料)
(8)事実証明書8 地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」
(9)事実証明書9 その他、事実主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す根拠
(10)事実証明書10 160506前橋バイオマス第3回説明会議事メモ
(11)事実証明書11 ヒヤリングメモ160331県環境政策課Aらとの会話
(12)事実証明書12 松井田バイオマスに係る平成26年3月6日毎日新聞記事
(13)事実証明書13 トーセン松井田バイオマス発電計画書
(14)事実証明書14 20160407関電工への公開質問状(出資比率等)
(15)事実証明書15 20160415関電工からの回答書
(16)事実証明書16 除染措置完了市町村について
(17)事実証明書17-1 【交付金】森林整備加速化・林業再生交付金実施要領(H27.2.3)
(18)事実証明書17-2 20150203森林整備加速化・林業再生事業実施要綱
(19)事実証明書18 20150904平成27年度第3回前期定例県議会、知事の発言
(20)事実証明書19 20150929環農委員会記録 あべ議員部分抜粋
(21)事実証明書20 群馬県バイオマス活用推進計画(平成24年3月)
(22)事実証明書21 平成27年9月補正予算
(23)事実証明書22 関電工が行政に提出した近隣住民への説明経過(虚偽)
(24)事実証明書23 公開質問状(2)
(25)事実証明書24 甲状腺がん異常多発津田論文と国際環境疫学会の書簡の意義
(26)事実証明書25 明白な甲状腺がん異常多発と健康障害の進行
3 補正について
(1)補正依頼
 本件措置請求については、地自法第242条第1項に規定する請求の要件を具備しているかどうか判断するに当たり不明な点が存在したことから、請求人らに対し、平成28年4月25日付けで補正依頼通知を送付し、同年5月10日に補正書が提出された。
(2)補正書の内容(当監査委員が補正を求めた事項に対する請求人の回答を要約したもの)
ア 本件補助金の交付が相当の確実さをもって予測される理由について
   事実証明書10に記載されているとおり、第3回地元説明会において、前橋バイオマス燃料の出資者である関電工が「既に補助金申請を出した」と発言している。
 イ 本件補助金の交付が違法又は不当といえる理由について
   群馬県補助金等に関する規則(昭和31年群馬県規則第68号。以下「補助金規則」という。)に照らし、次の事項が地自法に規定する最少経費・最大効果原則に違反する。
 @ 前橋バイオマス燃料は、計画の内容を県民に積極的に開示しようとせず不誠実であり、補助金規則第2条の2第1項の規定に違反する。
 A 補助金の執行に当たる県の職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに留意せず、未成熟な事業であるにもかかわらず補助金を支出しようとしており、補助金規則第2条の2第2項の規定に違反する。
 B 補助金の交付を申請しようとする者は、群馬県知事に対して、補助事業等の経費の配分、経費の使用方法、交付を受けようとする補助金等の額及びその算出基礎等を記載した申請書を提出しなければならないのに、前橋バイオマス燃料は、地元住民ら納税者に対して、これらを明らかにしようとせず、説明責任を放棄しており、補助金を受給する能力も資格もない。
 C 補助事業者には、補助事業の遂行に当たり善管注意義務が求められているのに、前橋バイオマス燃料は、地元説明会における説明責任放棄を続けており、補助金を受給する能力も資格もない。
 ウ 「放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは法令違反行為であり」と記載されているが、いかなる法令に、いかなる理由により違法となるのかについて環境省は、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、汚染状況重点調査地域に該当する市町村を指定したが、これらの除染措置は森林区域における対策が手つかずである。
 エ 「このような行きあたりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、(略)地方自治法第2条第14項及び(略)地方財政法第4条第1項の各規定に違反する」と記載されているが、地自法第2条第14項及び地財法第4条第1項の規定に違反するといえる根拠について既に措置請求書で詳細に記載している。また、補正書でも触れている。
 オ 「群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万㎥/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告している可能性が高く、本事業は法令違反であることが明白である」と記載されているが、そめ具体的な根拠について事実証明書11を参照願いたい。
 カ 本件補助金の交付により群馬県にどのような損害が発生するおそれがあるのかについて
   本件補助金の交付により、群馬県には回復不能の放射能汚染の拡散が発生する。この損害額は、莫大過ぎて試算不能である。
(3)補正依頼期間の取扱いについて
 監査委員が措置請求書に記載された不明部分を確認するために補正を求めることは、適正な監査の実施に当たり必要不可欠な手順であることから、請求人らに対し補正依頼通知を送付した日の翌日(平成28年4月26日)から補正書が提出された日(同年5月10日)までの期間については、地自法第242条第5項に規定する監査を行う期間(60日)の計算から除外した。
第4 監査委員の除斥
 本件措置請求の審理に当たり、監査委員狩野浩志は、前橋バイオマス燃料に出資する群馬県森林組合連合会の役員であることから、地自法第199条の2の規定により監査に加わらないこととなった。
第5 請求の受理
 本件措置請求は、地自法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成28年5月16日に受理を決定した。
第6 監査の実施
1 監査対象事項
 本件措置請求に係る措置請求書、事実証明書及び補正書の記載を総合し、監査対象事項は次のとおりとした。
 前橋バイオマス燃料に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の交付差止めについて
2 監査対象機関
 環境森林部林業振興課(以下「林業振興課」という。)
3 請求人の証拠の提出及び陳述
(1)証拠の提出及び陳述の機会の付与
 平成28年5月19日、地自法第242条第6項の規定により、請求人らに対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人らは次のとおり陳述を行い、事実証明書22から25までを追加提出した。
(2)請求人陳述の要旨(2人の請求人が交互に2回ずつ陳述した。)
 赤城山南麓の電力中央研究所の敷地内に木質バイオマス発電施設を建設する計画が、突然、持ち上がった。
 関電工及びトーセンは、電力中央研究所の敷地を買収し、そこに年間7〜8トンの間伐材等を持ち込んで、20年間、FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を利用して、バイオマス発電事業を行うものである。
 木質バイオマス発電施設には、発電の燃料となるチップが必要となるが、彼らはそのチップの製造を行う施設の建設に8億円必要だとしており、県議会では、その6割に相当する4億8千万円を補助することをいち早く決めてしまった。我々は、このプロジェクトは補助金の交付事業に値しないと考え、様々なことを調べて、資料を提出した。
 地元説明会は、これまでに3回開かれたが、平成28年3月27日に開催された第3回地元説明会で、関電工の担当者が「既に補助金の交付を県に申請した」と発言したことから、我々はその差止めをしなければならないと考え、今回の住民監査請求に及んだものである。
 木質バイオマス発電事業は、西日本であれば全く問題ないが、福島第一原発事故の被害を受けた群馬県の間伐材や製材端材を燃焼させた時に最も心配されるのは放射能汚染の問題である。原発事故の影響により放射能を含んだ木を伐って乾燥させると、水分が飛んで体積が減縮されて、放射性セシウム濃度が高くなる。群馬県農政部も農協を通じて「梅の木を伐って燃やしてはならん」と通達している。
 群馬県の象徴である赤城山で、なぜ放射能汚染された木を燃やして発電事業を行う必要があるのか。これを20年も続けて操業したら、土壌汚染、環境汚染が必ず起こる。水の処理も問題で、赤城山の麓にそういう危険なものを設置すること自体、ナンセンスである。それに補助金をつけるなどということは論外である。
 関電工の担当者は、「バグフィルター1本だけで大丈夫だ」というが、彼らは電気配線のことはわかっても、燃焼施設のノウハウは持っていない。だから、トーセンのプロジェクトに悪のりしたのだろう。
 この事業は、当初、トーセンが株式会社よしみねと組んで、松井田バイオマスという法人をたち上げ、安中市松井田町に年間5万トンのチップエ場を造って発電事業を行う計画だったが、地権者の反対があって没になった。しかし、その松井田バイオマスは、いつの間にか前橋バイオマスという会社に看板が変わって、そこに関電工が出資する形で乗り込んできたものである。
 彼らは、絶対に計画に反対しない東京電力の関係会社である電力中央研究所の敷地を狙って土地を確保し、住民に黙って事業を進め、しかも、資金は豊富なはずなのに、補助金を使って発電施設を造ろうとしている。
 前橋市には、福島県内の製材会社から滋賀県高島町に持ち込まれた汚染チップの一部が持ち込まれて、中間破砕処理されていたことがあり、その際、市長は「今回の事件は、マニフェストもないからトレーシングできない。環境省に苦情をいう」と張り切っていたのに、なぜ赤城山にあのような施設をつくるのか、言行不一致である。私は、前橋市が狙われているのではないかという気がしてならない。
 昨年のゴールデンウィークに、どこからともなくものすごい音が聞こえてきた。住民が調べたら、どうも地下水路を掘っているということで、この発電計画が発覚した。私たちが住んでいる家のわずか100メートル先で大規模な開発が始まろうとしている。
 平成26年2月に松井田バイオマス計画が持ち上がった際に、県議会は2億円の補正を組んだと聞いているが、買収の失敗とともに、この事業者は、そのまま資料をコピーして赤城山で事業を行おうとしている。一度補助金を蹴った事業者が、また名前を変えて、堂々と補助金を申請してくることがまかり通るのか。最も許せないのは、赤城山に愛着を感じていない他県の人間が赤城山で商売をすることである。彼らは、儲けのことしか考えていない人間だから、公害が発生したら、さっさと手を引いて帰ってしまうことになる。
 福島第一原発事故の汚染の状況を見てほしい(航空写真を提示)。汚染の状況はひどい。群馬県でも福島県と状況は何ら変わらない。震災から数年経っても、汚染は収束していない。しかし、森林を除染をした都道府県はなく、昨年12月、国は森林については除染せず、そっとしておくと決めた。この発電計画には、「明文化されていない今のうちに木を伐ってしまえ、燃やしてしまえ」という隠れた意図を感じる。わざわざ放射能に汚染された間伐材を集めてきて、燃やしてばらまき、二次汚染を引き起こそうとしている。
 県の策定した群馬県森林・林業基本計画は、3.11後に出来ているのに、放射能に関する文言はほとんどなく、山の中は放射能だらけなのに、その対策は何も書かれていない。また、最新の改定版では、間伐を2,000ha、皆伐を300ha行うと言っている。東京ドーム64個分の山を丸裸にしようとしている。なぜか。(この発電施設で)燃やすためである。本来、バイオマス発電は、山の中に使えないもの、放置したものを燃やして発電するという小規模な里山資本主義が原点であるのに、県の計画は10ヵ年で(素材生産量を)20万㎥から40万㎥まで増やそうとしている。11万㎥のチップを燃やすために40万㎥の間伐をやろうとしている。本末転倒である。しかも、利益を受けるのは事業者だけで、これを高く買い取るのは国民である。地自法では、自治体の仕事は住民の福祉の向上を図ることなのに、関係部署と話をしても住民の声は全く届かない。
 某森林組合に問合せをしたところ、「山の中に放置されている量は2万トンである」と言っていたが、この発電計画では8万トンを燃やそうとしている。放置材を8万トンも集められるわけがない。そうすると、いかがわしい材料、燃やすための間伐、皆伐を行わざるを得ない。こういうことがもう目に見えている。是非、立ち止まって欲しい。
 今回の発電計画には、環境アセスメントの問題もある。環境アセスメントを行うかどうかの目安として、大気汚染防止法に規定する4万N㎥が1つの基準になっている。この発電施設が24時間連続稼働したとして計算すると、4万N㎥では済まなくなる。現在、公開質問状を出してその辺のことを関電工に尋ねているが、今日までに回答がない。関電工は、「バグフィルター1つだけでよい」と言っており、どの程度の排ガスが出るのかの計算式も出せない会社である。そういう計画に、監査委員を集めてこのようなことを行わなければならないこと自体がナンセンスであり、このように醜悪なプロジェクトは止めてもらわなければならない。
 トーセンは、那珂川工場で山火事を発生させたことがある。「原因は分からない」と言っている。原因が分からないということは、また起こす可能性があるし、今回の計画でも何の対策もしていない。しかも、汚染された木が集まっているのだから、汚染物が風に乗って飛ぶことになるが、その対策もしていない。雨が降って木材が流れ出て、それが河川に入ることも考えられる。チップを乾燥させて潰す際には廃液も出る。
 燃やされたものは、不十分とはいえ、バグフィルターを通るが、地下水は地下浸透であり、たくさんの人が飲んでいる。
 彼らは、チップの受入基準として40Bq/kg以下を設定すると言っているが、これに(年間受入数量である)8万トンを掛けると、毎年32億Bq/kg(の放射性物質)が(発生して)どこかに分散される。
 私の計算では、大気中に0.3億Bq/kg、地下水へ3億Bq/kg、焼却灰へ28億Bq/kg、田畑や河川へ0.7億Bq/kg流れ出ることになる。
 トーセンは、放射能には全く知識がない会社であり、このような会社には放射能管理はできない。汚染度の高いか低いかも分からない木を伐ってきて、分からない計測器で計って、燃やした結果、大惨事が起こる。
 このような情報を再調査してもらって、是非、ストップしてもらいたい。
4 監査の実施
 平成28年5月25日、林業振興課に対し、監査委員による対面監査を行った。また、これに先立つ同月23日、監査委員事務局職員による事務監査を行った。
5 監査委員の交代
 本件措置請求が提出された時点における地自法第196条第1項の規定により議員のうちから選任された監査委員は、久保田順一郎及び狩野浩志であったところ、平成28年5月26日付けで、岩井均及び須藤和臣が新たに選任された。
 本件措置請求については、監査委員狩野浩志を除く旧委員から新委員に引継ぎを行ったほか、事務局から新委員に対して、本件措置請求の概要、経過等について、説明が行われた。
第7 監査の結果
 監査対象機関に対する監査の結果及び関係書類の調査等を行った結果は、次のとおりである。
1 関連する法令等(各法令等の記載は、該当部分の抜粋である。)
(1)地自法
 第2条 (略)
 14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
 第232条の2 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。
(2)地財法
 (予算の執行等)
 第4条 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
(3)補助金規則
 (関係者の責務)
 第2条の2 補助事業者等及び間接補助事業者等は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに留意し、法令、条例、他の規則の定め及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付の目的に従つて誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならない。
 2 補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。
 (交付申請)
 第4条 補助金等の交付の申請(契約の申込みを含む。以下同じ。)をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事(略)に提出しなければならない。
  一 申請者の氏名又は名称及び住所
  二 補助事業等の目的及び内容
  三 補助事業等の経費の配分、経費の使用方法、補助事業等の完了の予定期日その他補助事業等の遂行に関する計画
  四 交付を受けようとする補助金等の額及びその算出の基礎
  五 その他知事が特に必要と認める事項
 (補助金等の交付決定)
 第5条 知事は、補助金等の交付の申請に基づき、当該申請に係る書類の審査、現地調査等により、当該補助金等を交付すべきものと認めたときは、交付の決定(略)をするものとする。
 3 知事は、補助金等の交付をしたときは、次に掲げる事項を記載した文書を交付申請者に交付するものとする。
  一 補助事業者等の氏名又は名称及び住所
  二 補助事業等の名称、日的及び内容
  三 補助金等の額
  四 補助事業者等の自己負担割合又は金額
  五 補助事業等を完了すべき日
  六 補助事業等により取得する財産の処分等の禁止又は制限
  七 第6条に規定する条件
  八 第3章以下に規定する事項
  九 その他必要な事項
  (補助事業者等の義務)
 第8条 補助事業者等は、善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならない。
 2 補助事業等は、間接補助事業者等のなす間接補助金等に係る事業についてその交付目的に適合した使用が行われるよう必要な措置を講じなければならない。
2 林業振興課の主張及び説明
(1)森林整備加速化・林業再生基金について
 ア 森林整備加速化・林業再生基金について
 森林整備加速化・林業再生基金は、森林・林業・木材産業を取り巻く喫緊の課題の解決に向けた地域の創意工夫に基づく総合的な取組を支援することを目的として国から交付された森林整備加速化・林業再生事業費補助金を財源として、県が造成した基金をいう。
 県は、当該基金を活用して、国が定めた補助対象となる事業等を行う者に対して、当該事業等に要する経費の一部を補助している。
 イ 森林整備加速化・林業再生基金における基金事業のメニュー、事業主体、補助率等について
   基金事業のメニュー、事業主体、補助率等は、森林整備加速化・林業再生事業実施要綱(平成21年5月29日付け林整計第83号農林水産事務次官依命通知)別表に規定されており、県の平成27年度事業は同要綱別表3(林業成長産業化総合対策)に該当している必要があるが、本件施設整備事業は、そのうち「3 木質バイオマス利用施設等整備」に該当し、基金事業の対象となる。
(2)本件発電事業について
 ア 本件発電事業の概要について
   本件発電事業は、前橋バイオマス発電が前橋市苗ヶ島町に建設する計画としている木質バイオマス発電施設で行う発電事業であり、国の再生可能エネルギー固定価格買取制度を利用する。完成すれば、建設廃棄物を燃料とせず、未利用間伐材及び製材端材のみを燃料とする県内初の木質バイオマス発電施設となる。
  発電規模は、一般家庭の約7,700世帯分に相当する6,700kwとされ、発電に必要となるチップの量は年間7万トンと見込まれており、未利用間伐材を活用する木質バイオマス発電施設としては県内で最大の施設となる計画である。
 イ 本件発電事業を実施する事業者の概要について
   本件発電事業を実施する事業者は、前橋バイオマス発電である。前橋バイオマス発電は、関電工と卜−センが出資して本件発電事業のために設立させた法人である。
 ウ 本件発電事業の放射能汚染の可能性について
   木質バイオマス発電事業は、本県のみならず、本県より放射能汚染が高いとされる福島県、栃木県においても当該各地域の原木を原料として、問題なく稼働している。
   加えて、本件発電施設では、原木及びチップの受入基準として、福島県、栃木県の施設よりも厳しい調理加熱用の薪の放射性セシウム濃度の基準値40Bq/kg以下を設定し、受入管理が行われるほか、排ガス中の飛灰についても、一般廃棄物処理施設でも用いられる除去率99.9%のバグフイルターを用いて除去することとされている。
 エ 本件発電事業における事業者の焼却灰、排ガス等の処理方法及びそれに対する見解について
   本件発電事業者である前橋バイオマス発電は、次のとおり対応する予定である。
 ・ 焼却灰は、放射能濃度が8,000Bq/kgを超えると指定廃棄物となるが、本件発電施設では、自主管理基準値を3,000Bq/kg以下に設定し、自主管理基準値以下であることの確認を行ってから、産業廃棄物として業者に委託し、廃棄する。
 ・ 排ガスは、除去率99.9%のバグフイルターを設置し、一般廃棄物処理施設と同等の自主管理基準値を設定し、基準値以下となるよう適切に飛灰を除去するとともに管理し、排出する。
 ・ 排水は、浄化槽を設置し、一般廃棄物処理施設と同等の自主管理基準値を設定し、基準値以下となるよう適切に管理し、排水する。
 ・ 仮に自主管理基準値を超えた場合は、速やかに必要な是正対策を講じる。
   林業振興課では、この事業者の対応は、関係法令の遵守だけでなく、それ以上に厳しい自主管理基準値を設定していることなど、福島県、栃木県等で稼働している木質バイオマス発電施設と比べても、十分な放射能対策を行っていることから、環境面において問題ないものと考えている。
 オ チップが不足した場合の本件発電事業者の対処予定について
   本件発電事業では、チップは前橋バイオマス燃料以外の事業者からは供給されないため、前橋バイオマス燃料側でチップが不足しないよう調整することになる。
   チップ原料となる県産原木は、事前に県内各地に土場を確保し、ストックされるほか、県内の森林組合及び民間素材生産者から調達される。また、製材端材については、渋川県産材センター及び県産材加工協同組合から調達される。
   調達先である群馬県素材生産流通協同組合及び県産材加工協同組合は、埼玉県等の近県の事業者と取引があるため、近県のチップも燃料として利用される可能性はあり得るが、本件発電施設は、再生可能エネルギー固定価格買取制度を利用するため、トレーサビリティが確保され、原木の生産地については確認できることになる。
(3)本件施設整備事業について
 ア 本件施設整備事業の概要について
   本件施設整備事業は、前橋バイオマス燃料が本件チップ製造事業を事業化するために必要となる施設や機械設備等を整備する事業である。事業費は8億円とされている。完成後の本件チップ製造施設の生産規模は年間7万トン、集荷量は年間8.4万トンとされている。
 イ 本件施設整備事業を実施する事業者の概要について
   本件施設整備事業を実施する事業者は、前橋バイオマス燃料である。前橋バイオマス燃料は、平成26年2月にトーセンが出資して株式会社松井田バイオマスという名称で設立された法人で、その後、株式会社前橋バイオマスと名称変更され、さらに平成27年9月25日に現在の名称となったものである。
   現在の出資者は、トーセン、関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合である。
(4)本件発電事業及び本件施設整備事業の現在の状況等について
 ア 監査実施日(平成28年5月25日)現在の工事着手の有無について
   本件発電事業については、既に造成工事に着手しており、その大部分は完了している。本件施設整備事業については、現在のところ工事には着手していない。
 イ 各事業者による地元住民等への説明会の開催状況について
   次のとおりと聞いている。
 ・ 平成27年5月25日〜27日 赤城ビュータウン住民に対する事業説明(個別訪問)
 ・ 同年7月15日 赤城ビュータウン住民に対する事業説明(個別訪問)
 ・ 同年10月3日 赤城ビュータウン住民に対する説明会開催
 ・ 同月17日 同月3日説明会の質問事項について、追加説明会を開催
 ・ 同年12月20日 赤城ビュータウン住民に対する説明会開催
 ・ 平成28年3月27日 赤城ビュータウン住民に対する説明会開催
(5)前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付手続等について
 ア 本件補助金の補助対象要件について
   本件補助金の補助対象要件は、群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付要綱(以下「県交付要綱」という。)別表に規定されており、そのメニューごとに異なるが、本件施設整備事業は、県交付要綱別表1−1(「林業成長産業化総合対策」)の「2 木質バイオマス利用施設等整備」に該当する。
 イ 本件補助金の補助対象要件に対する本件施設整備事業の適否について
 ・ 事業主体の要件
   県交付要綱別表1−1の「2 木質バイオマス利用施設等整備」の欄に掲げられた事業主体が補助対象となる。本件施設整備事業の事業主体である前橋バイオマス燃料は、このうち民間事業者に該当する。
 ・ 補助対象経費の要件
   県交付要綱別表2−1「林業成長産業化総合対策」の「2 木質バイオマス利用施設等整備」の欄に掲げられた工種又は区分の実施に必要な経費が補助対象となる。本件施設整備事業は、移動式チッパー、計量装置、貯木場、作業用建物兼燃料貯蔵庫、燃料乾燥施設、管理棟等の整備を行うものであり、いずれも同欄に掲げられた工種又は区分に該当する。
 ・ その他の要件(民間事業者の場合)
   本件施設整備事業は、森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領の運用について(平成21年5月29日付け21林整計第87号林野庁長官通知)別表1の「m 林業成長産業化総合対策−3 木質バイオマス利用施設等整備」に規定された各要件を満たしており、補助対象となる。
 ウ 本件施設整備事業の事業種目、補助率及び補助対象経費について
   次のとおりである。
 ・ 事業種目:木質バイオマス利用施設等整備
 ・ 補助率:6/10以内(基金5/10、県1/10)
 ・ 補助対象経費:
   事業費 864,000千円(税込み)
   補助金額 480,000千円(基金400,000千円、県80,000千円)
   補助内容 移動式チッパー1台、グラップル1台、フォークリフト1台、計量装置1台、貯木場1ヵ所、作業用建物兼燃料貯蔵庫1棟、燃料乾燥施設1式及び管理棟1棟
 エ 前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付手続について
   監査実施日(平成28年5月25日)現在、前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対して補助金交付申請は行われていない。
 オ 本件施設整備事業における工事の着手状況について
   監査実施日(平成28年5月25日)現在、本件補助金の補助対象となる可能性のある本件施設整備事業に係る工事については、着手されていない。
 カ 本件発電事業等に対する林業振興課の基本的な考え方について
   県では、現在、群馬県森林・林業基本計画を策定し、平成31年までに素材生産量を40万㎥まで増産する目標を定め、そのための様々な施策を行っている。そのような中にあって、本件発電事業及び本件チップ製造事業は、低質材の利用の促進を図る上で不可欠な事業だと考えている。
   山で材木を伐った際には、A材のように通直で建築材になるような材木ばかりではなく、曲がりや腐れが入った材木も相当数存在する。そのような低質材は、現在、捨てられているわけだが、本件発電事業及び本件チップ製造事業が事業化されれば、それらにチップとしての新たな需要が生じ、有価で買い取られる仕組みができることになり、1ha当たりの施業における出材量が上がり、生産効率の上昇に直結することになる。そのため、林業の振興に極めて効果的な施策だと考えている。
 キ 前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付に係る林業振興課の基本的な考え方について
   本件発電事業及び本件チップ製造事業に対して、周辺住民の反対があることは承知している。
   前橋市においても、県においても、環境を犠牲にして施設整備を進めるということでは行政として適切でないと考えており、周辺環境に影響を及ぼさない施設であることを前提として、本件施設整備事業に対する補助事業を進めていきたいと考えている。
(6)その他
 ア 木質バイオマスの特徴と有用性について
   木質バイオマスは、木材からなる再生可能な生物由来の有機性資源のことをいい、未利用間伐材等、製材工場等残材、建設発生木材などの種類がある。その有舒既として、主に次の5点が挙げられる。
 @ 二酸化炭素の排出を抑制し、地球温暖化を防止
 A 廃棄物の発生を抑制
 B 国産エネルギー資源としての活用
 C 森林整備への寄与
 D 山村地域の活性化
 イ 木質バイオマス発電事業に係る県と市の所管事務について
   木質バイオマス発電事業については、県又は市に直接の所管事務はなく、再生可能エネルギー固定価格買取制度に係る設備認定事務については、国が所管している。
   また、木質バイオマス発電施設の建設に当たっての開発関係又は環境関係の法令による許認可等については、それぞれの関係法令の規定により、県又は市がその事務を所管することとされている。本件発電施設は中核市である前橋市に所在するため、開発関係法令の許認可、環境関係法令の許認可等については、前橋市が権限を有している。
 ウ 県内における木質バイオマス発電施設の設置状況について
   県内では、吾妻バイオパワー(東吾妻町)、上野村木質バイオマス発電(上野村)、県産材加工協同組合バイオマス発電(藤岡市)の3つの木質バイオマス発電施設が既に稼働している。
 エ 他の都道府県において、森林整備加速化・林業再生基金の基金事業として、都道府県補助金を活用して木質バイオマス発電に係る施設整備事業が実施された事例について
   当課が把握している範囲で、次の事例がある。
 ・ 花巻バイオチップ株式会社(岩手県) 補助金額3億6千万円
 ・ 宮の郷バイオマス有限責任事業組合(茨城県) 補助金額2億5千万円
 オ 本件発電事業及び本件施設整備事業の事業者が開催する住民説明会への関与の状況について
   県は事業主体ではないので、関与していない。
 カ 本件発電事業に対する環境アセスメントの状況について
   環境アセスメントは、環境影響評価法(平成9年法律第81号)や群馬県環境影響評価条例(平成11年群馬県条例第19号)に規定する規模要件に該当する対象事業を実施しようとする事業者が、自主的に法令等の規定に基づく環境配慮手続を履行することで、環境保全上の適正な対応を行う制度である。したがって、規模要件に該当するかどうかについても、法や条例等の規定に基づいて事業者が自ら確認し、手続の要否を判断するものである。
   本件発電事業は、バイオマス発電であることから、群馬県環境影響評価条例に規定する電気工作物には該当しないが、木質燃料を焼却する施設であることから、工場・事業場として、群馬県環境影響評価条例施行規則(平成11年群馬県規則第43号)別表第1の6の項に規定する規模要件に該当すれば、条例アセスメントの対象となる。
3 事実関係の認定
(1)前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付申請について
 前橋バイオマス燃料に対する本件補助金については、監査実施日(平成28年5月25日)現在において、前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対し補助金交付申請は行われていなかった。
第8 監査委員の判断
 本件措置請求に関して、認定した事実関係を基に監査委員が判断した結果は、次のとおりである。
1 判断
 地自法第242条第1項は、普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員について、違法若しくは不当な公金の支出等の財務会計上の行為又は違法若しくは不当に財産の管理等を怠る事実があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為によって当該普通地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきこと等を請求することができる旨を規定している。
 本件措置請求において、請求人は、本件施設整備事業を行う事業者である前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付差止めをするよう主張しているものと解される。
 住民監査請求は、その請求人が主張する財務会計上の行為が実際に行われた場合のみならず、当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合もその対象に含まれるが、「相当の確実さをもって予測される場合」とは、当該財務会計上の行為にかかわる諸般の事情を総合的に考慮し、「当該行為がされる可能性、危険性等が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えていることを要する」(大阪地判平成21.5.22)ものと解される。
 これを本件措置請求についてみると、本件施設整備事業に対する本件補助金の交付については、監査実施日現在、いまだ前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対し、補助金交付申請が行われておらず、その状況下では、既に一般会計補正予算が可決されていたとしても、そのことのみをもって群馬県知事により本件施設整備事業に対する本件補助金が確実に交付されるものとはいえないから、現時点において本件補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえないというべきである。
2 結論
 以上のことから、本件措置請求は、地自法第242条第1項に規定する要件を満たしていないものと判断し、これを却下する。
                         以上
**********

■群馬県の役人の論理は、「現段階において、本件補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度ではない。だから相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えていると言えないから、監査対象にならない」というものです。

 つまり、「トーセンや関電工らが補助金交付申請をして、その申請にもとづき、群馬県が明日にでも交付を決定する段階に至らないと、本件は住民監査請求の対象にならない」という意味だと解せられます。

 明日にでも交付される状況では遅すぎます。関電工は既に造成工事を終えており、チップ工場も今すぐにでも着工できる体制にあります。また、関電工の担当責任者は、地元説明会の席上、「補助金がなければこの計画は成り立たない」と断言しています。

※赤城山の自然と環境を守る会のコメント:PDF ⇒ irgjh.pdf

■したがって、補助金申請無くしてはこの狂気のバイオマス燃焼計画は有り得ないため、関電工が各種法令に定められた開発許可申請を粛々と進めている現状を見れば、この補助金の支出が既に「相当の確実さをもって予測される」ことは明白です。

 いずれにしても、6月19日に安中郵便局で群馬県側の監査結果通知を受領したことから、7月中旬までに行政訴訟をどのような形で提起すべきか熟考する予定です。

 それにしても、大同有毒スラグへの対応といい、この問題への県職員らの対応といい、群馬県のお役人様には、県民の生活環境等の安心・安全という観点からの行政執行という認識はこれっぽっちもないことがわかります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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