2016/7/19  1:56

高崎市のデタラメ行政・・・若宮苑を巡る介護施設文書偽造疑惑に目をつぶる市行政の事なかれ体質(その2)  高崎市の行政問題

■現在の介護保険制度は、社会の高齢化に対応すべく平成9年(1997年)の国会で制定された介護保険法に基づき、平成12年(2000年)4月1日から施行されました。おおむねドイツの介護保険制度をモデルに導入されていますが、新たな負担に対する世論の反発を避けるため、この制度導入当初は半年間介護保険料の徴収が凍結され、平成12年(2000年)10月か半額徴収で2000円くらいの負担かと思いきや、平成13年(2001年)10月から全額徴収という経緯をたどっており、現在では介護保険料は青天井の様相を呈しています。
 こうした、巨大な市場と利権と化した介護サービス業ですが、そのサービスの基本となるのは、ケアプランです。


 ケアプランは、利用者の状況や要望にもとづいて「これからどのような生活を送りたいか」などの目標を設定し、その目標にむけて利用するサービスの種類や頻度を決めた利用計画書のことです。

 ケアプランには、主に「家族構成」「身体の状態」「介護サービスの利用状況」などを記載します。利用者が介護サービスを利用する際、介護福祉士やヘルパー、医者など多くの医療関係者と関わってくることから、ケアプランを作成しておくことで、関わる医療関係者が利用者様の状態や目的を知り、適切なサービスの提供が可能になるとともに、家族も利用者の状況を確認できるメリットがあります。

 ケアプランは利用者や家族でも作成可能ですが、市区町村への届け出が必要となるため、居宅介護支援事業者、ケアマネージャーに相談することで、より目的にそった内容のケアプランが立てられます。

■ところが、今回の高崎市で発生した偽造ケアプランの作成疑惑問題について、高崎市がこのまま不作為で放置した場合、当会会員は次のような重大な懸念を抱いています。

 すなわち、介護保険を利用する要介護者はケアプランが必要であり、またケアプランは給付において必要となります。しかし、介護施設がケアプランを偽造及び未作成のまま、サービスを行ったにもかかわらず、いかも、そのことを高崎市も承知していて、給付算定をしていたことが、ルールに反することがないとして問題視されない場合には、介護保険法の根幹が覆り、ケア・マネジャーがケアプランを作成しなくても、介護施設は保険給付が受けられることになり、我が国からケア・マネジャーという職種が不要になってしまうことを意味します。

 そのため、当会会員は、熟慮の末、去る6月21日付で、高崎市長を相手取り、前橋地裁に、不当利得等を返還させるための請求住民訴訟事件を提起したのでした。以下は訴状の内容です。

**********
<P1>
            訴      状
                     平成28年6月21日
前橋地方裁判所民事部 御中
          原告訴訟代理人弁護士 ■ ■ ■ ■

  〒370-0883 群馬県高崎市剣崎町906
          原  告  岩 崎   優
   (送達場所)
〒■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     原告訴訟代理人弁護士  ■■■■■■■■■■■■
               tel■■■■■■■fax■■■■■■■

  〒370,8501 群馬県高崎市高松町35番地1高崎市役所内
          被  告  高崎市長 富岡賢治

不当利得等請求住民訴訟事件
  訴訟物の価格     金160万円(算定不能)
  貼用印紙額        金1万3000円

<P2>
           請 求 の 趣 旨
1 被告は、医療法人十薬会に対し、金129万2ス146円及びこれに対する100分の40を乗じた金員を請求せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

           請 求 の 原 因
第1 当事者
1 原告
 原告は、高崎市に住所を有する、高崎市民であり、岩崎クニ子(以下「クニ子」という。)の子(次男)である。
2 訴外若宮苑`
 訴外若宮苑は、被告より介護保険法の開設許可を受けた介護老人保健施設であり(介護保険法94条、203条の2)、その経営主体は、医療法人十薬会である。
3 クニ子
 クニ子は、介護保険法上の要介護認定を受けた介護保険被保険者であり、若宮苑に入所しでいた者である。
4 被告
 被告は、介護保険法上の保険者である高崎市の市長であり、介護保険法22条3項に基づき、高崎市が指定居宅サービス事業者等から介護報酬及びこれに対する100分の40を乗じて得た額を徴収する事務の執行機関である。

第2 事案の概要
<P3>
 クニ子は、若宮苑へ以下のとおり入所していた。
     入所日  退所日
   i  H26/12/02〜H26/12/22
  ii  H27/01/06〜H27/01/08 短期入所
  iii  H27/04/06〜H27/04/28       (以下「本件入所1」という。)
  iv  H27/05/20〜H27/06/05 短期入所  (以下「本件入所2」という。)
   v  H27/06/20〜H27/08/12       (以下「本件入所3」という。)
  vi  H27/09/18〜H27/10/15       (以下「本件入所4」という。)

 本件入所1、本件入所3及び本件入所4は介護保健施設サービスであるが、若宮苑は介護保険法(平成9年法律第123号)で定める施設サービス計画(以下、「ケアプラン」という。)なしで施設サービスが提供された期間が存在し、又は作成されず、作成しても入所者の文書による同意及びその交付をせずに介護保健施設サービスを提供し、かつ、本件入所3及び同4では、ケアプラン第2表(アセスメント項目・栄養ケア計画)の家族確認欄の「岩崎優(原告)」名義の署名を偽造し、高崎市から施設介護サービス費の支払を受けた。
 本件入所2は短期入所療養介護であるが、若宮苑は介護保険法で定める短期入所療養介護計画(以下、「ケアプラン」という。)を作成する時期が遅れケアプランなしで居宅サービスが提供された期間が存在し、さらに入所者の文書による同意及びその交付をせずに居宅サービスを提供し、高崎市から居宅介護サービス費の支払を受けた。
 以上のように若宮苑が介護報酬の支払いを受けたことは、介護保険法第22条第3項が定める「偽りその他不正の行為」による支払いを受けたものに他ならず、高崎市は若宮苑に対し、その額の返還とそれに100分の40を乗じた額を徴収すべき義務がある。仮に、偽りその他の不

<P4>
正の行為が認められないとしても、介護報酬は所定の要件と基準を満たす場合に市町村から事業者に対して支払われるものであり、これを欠いた支払が事業者に対してされた場合には、市町村は事業者に不当利得の返還を求め得ると解され、高崎市は、民法703条に基づき、若宮苑に対し、不当利得返還請求を行うべき義務がある。
 しかるに、被告はこれを怠っていることから、本件訴えに及んだものである。

第3 訴訟要件(監査請求前置)
1 住民要件
 原告は、高崎市の住民である。
2 監査請求前置
 原告は、平成28年4月11日、本件訴えと同旨の地方自治法242条1項に基づく住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行った(甲8)。
3 出訴期間の遵守等
  高崎市監査委員会は、同年6月10日、本件監査請求を棄却した(以下「本件監査結果」という。 甲8)。原告は、同月13日、本件監査結果通知を受領した。
 原告は、本件監査結果に不服がある。

第4 怠る事実の存在及びその違法性
1 介護保険法に関する法令の定め(末尾に法令の抜粋を添付)
(1)目的
 介護保険法(以下「法」という。)は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態又は要支援状態となった

<P5>
者のために、介護、機能訓練及び看護等の必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、市町村等を保険者とする介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定めた法律であり(法1条、2条1項、3条1項)、平成12年4月1日より施行された(法制定附則1条)。
(2)保険給付
 法の規定する保険給付には、要介護状態となった被保険者に対する介護給付、要支援状態となった被保険者に対する予防給付、これらに加えて市町村が条例で定める市町村特別給付とがある(法18条)。
 介護給付には、居宅介護サービス(法3条1項)、施設介護サービス(法8条25項)等がある。
(3)介護保険施設サービス
 @施設介護サービスのうち、介護老人保健施設による、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話を介護保険施設サービスという(法8条27項)。
 A「施設サービス計画」とは、介護老人福祉施設又は介護老人保健施設に入所している要介護者について、これらの施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画を言う(法8条25項)。

<P6>
 これを受けた厚生労働省令*1には、以下の規定がある。また、同趣旨の規定が、高崎市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例(以下「老健施設条例」という。)で規定されている。
   i 介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づき、入所者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その者の心身の状況等を踏まえて、その者の療養を妥当適切に行わなければならない(40号省令13条1項、老健施設条例15条1項)。
  ii 介護保健施設サービスは、施設サービス計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して行われなければならない(40号省令13条2項、老健施設条例15条2項)。
  iii 介護老人保健施設の従業者は、介護保健施設サービスの提供に当たっては、懇切丁寧を旨とし、入所者又はその家族に対し、療養上必要な事項について、理解しやすいように指導又は説明を行わなければならない(40号省令13条3項、老健施設条例15条3項)。
  iv 介護老人保健施設の管理者は、介護支援専門員に施設サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする(40号省令14条1項、老健施設条例16条1項)。
   v 施設サービス計画に関する業務を担当する介護支援専門員(以下「計画担当介護支援専門員」という。)は、施設サー
*1脚注 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について(平成11年3月31日厚生省令第40号)。以下「40号省令」という。

<P7>
ビス計画の作成に当たっては、入所者の日常生活全般を支援する観点から、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて施設サービス計画上に位置付けるよう努めなければならない(40号省令14条2項、老健施設条例16条2項)。
  vi 計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、入所者について、その有する能力、その置かれている環境等の評価を通じて入所者が現に抱える問題点を明らかにし、入所者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない(40号省令14条3項、老健施設条例16条3項)。
  vii 計画担当介護支援専門員は、前項に規定する解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、入所者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、計画担当介護支援専門員は、面接の趣旨を入所者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない(40号省令14条4項、老健施設条例16条4項)。
 viii 計画担当介護支援専門員は、入所者の希望、入所者についてのアセスメットの結果及び医師の治療の方針に基づき、入所者の家族の希望を勘案して、入所者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、介護保健施設サービスの目標及びその達成時期、介護保健施設サービスの内容、介護保健施設サービスを提供する上での留意事項等を記載した施設サービス計画の原案を作成しなければならない(40号省令14条5項、老健施設条例1

<P8>
6条5項)。
  ix 計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の原案の内容について入所者又はその家族に対して説明し、文書により入所者の同意を得なければならない(40号省令14条7項)、老健施設条例16条7項)。
   x 計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画を作成した際には、当該施設サービス計画を入所者に交付しなければならない(40号省令14条8項、老健施設条例16条8項)。
(4)短期入所療養介護(短期入所・ショートスティ)
 @ 居宅サービスのうち、介護老人保健施設に短期入所させ、当該施設において看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話を行うことを短期入所療養介護という(法8条10項)。
 A 厚生労働省令*1には、以下の規定がある。また、同趣旨の規定が、高崎市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例に規定されている(以下「居宅サービス条例」という。)。
   i 指定短期入所療養介護事業所の管理者は、相当期間以上にわたり継続して入所することが予定される利用者については、利用者の心身の状況、病状、希望及びその置かれている環境並びに医師の診療の方針に基づき、指定短期入所療養介護の提供の
*1脚注 居宅指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成1 1年3月31日厚生省令第37号)。以下「37号省令」という。)。

<P9>
開始前から終了後に至るまでの利用者が利用するサービスの継続性に配慮して、他の短期入所療養介護従業者と協議の上、サービスの目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した短期入所療養介護計画(ケアプラン)を作成しなければならない(37号省令147条1項、居宅サービス条例194条1項)。
  ii 指定短期入所療養介護事業所の管理者は、短期入所療養介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない(37号省令147条3項、居宅サービス条例194条3項)。
  iii 指定短期入所療養介護事業所の管理者は、短期入所療養介護計画を作成した際には、当該短期入所療養介護計画を利用者に交付しなければならない(37号省令147条3項、居宅サービス条例194条4項)。
  iv 厚生労働省通知*1は、上記iの「相当期間」とは、概ね4日以上連続する場合を指し示すとしている。
(5)介護報酬
 @ 介護保険の保険者である市町村は、要介護認定を受けた被保険者のうち、施設において介護を受ける者が、都道府県知事等(中核市の市長)による許可を受けた介護保健施設サービス事業者か
*1脚注 厚生省老人保健福祉局企画課長通知(老企第25号平成11年9月17日)指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について、第11 短期入所療養介護、2 運営に関する基準、(2)指定短期入所療養介護の取扱方針 @

<P10>
ら、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話(介護保険施設サービス)を受けたときは、当該被保険者に対し、所定の介護保健施設サービス費を支給する(法8条25項、27項、48条1項2号)。
 A 介護保険の保険者である市町村は、要介護認定を受けた被保険者のうち、居宅において介護を受ける者が、都道府県知事(中核市の市長)による指定を受けた事業者(指定居宅サービス事業者)*1から、当該指定に係る短期入所療養介護等のサービス(指定居宅サービス)を受けたときは、当該被保険者に対し、所定の居宅介護サービス費を支給する(法8条1項、10項、41条1項)。
 B 一定の場合には、市町村は、当該介護保健施設サービス事業者又は指定居宅サービス事業者による請求に基づき、法97条3項に規定する介護老人保健施設の設備及び運営に関する基準(介護保健施設サービスの取扱いに関する部分に限る。)又は法74条2項に規定する指定居宅サービス事業の設備及び運営に関する基準(指定居宅サービスの取扱いに関する部分に限る。)、に照らして審査した上、当・該被保険者に代わり、当該介護保健施設サービス費を、当該介護保険施設サービス事業者に直接支払うことができる(法48条4項、6項、41条6項。以下、このようにして支払われたサービス費等を「介護報酬」ともいう。)。
(6)介護報酬
*1脚注 介護老人保健施設の許可を得た事業者は、指定があったものとみなされる(法72条1項)。

<P11>
 介護保健施設サービス費(介護報酬)は、施設サービスの種類ごとに、要介護状態区分、当該施設サービスの種類に係る指定施設サービス等を行う介護保険施設の所在する地域等を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90と定められている(法41条4項1号)。
(7)指定の取り消し及び介護報酬の返還
 @ 都道府県知事(中核市の市長)は、介護保健施設につき、介護保健施設サービス費の請求に関し不正があったときは、当該事業者の許可を取り消すことができる(法104条1項6号、203条の2)。
   また、都道府県知事(中核市の市長)は、指定居宅サービス事業者につき、居宅介護サービス費の請求に関し不正があったときは、当該事業者の指定を取り消すことができる(法104条1項6号、203条の2)。
 A 市町村は、偽りその他の不正の行為によって、指定居宅サービス事業者、指定居宅介護支援業者、介護保健施設その他の事業者が、所定の介護報酬の支払を受けたときは、当該事業者等に対し、その支払った額につき返還させるべき額を徴収するほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額の加算金を支払わせることができる(法22条3項)。

2 介護保険施設サービス等の違法(施設サービス計画の欠如及び瑕疵)
 @ 本書第2記載のとおり、クニ子は、後記のとおり若宮苑に入所した(甲1)。
               記
     入所日  退所日
   i  H26/12/02〜H26/12/22
  ii  H27/01/06〜H27/01/08 短期入所
  iii  H27/04/06〜H27/04/28       (以下「本件入所1」という。)
  iv  H27/05/20〜H27/06/05 短期入所  (以下「本件入所2」という。)
   v  H27/06/20〜H27/08/12       (以下「本件入所3」という。)
  vi  H27/09/18〜H27/10/15       (以下「本件入所4」という。)
A 本件入所1について
 クニ子が若宮苑に入所したのは、平成2 7年4月6日である(甲1)。
 しかるに、施設サービス計画(以下「ケアプラン」という。)が作成されたのは、同月25日であり(甲2、1枚目)、退所日である同月28日にわずか3日前である。すなわち、入所日である同月6日から同別25日までの澗は、ケアプランなしで介護保険施設サービスが提供されていたものである。
 介護保健施設サービスは、ケアプランに基づいて提供されるものであり(法8条27項・、40号省令13条1項、老健施設条例15条1項)、当初からケアプランがなければ、そもそも利用者にあわせた適切な介護、療養は不可能である。ケアプランを欠くことは、介護保険法に違反する。
 加えて、本件入所1では、40号省令14条7項、老健施設条例16条7項、40号省令14条8項、老健施設条例16条8項が定める入所者の文書による同意及びその交付がなされていない(甲2、2枚目)。この点も40号省令違反、老健施設条例違反である。
B 本件入所2について

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 クニ子が若宮苑に入所したのは、平成27年5月20日である(甲1)。
 しかるに、短期入所療養介護計画(以下「ケアプラン」という。)が作成されたのは、退所日の前日の同年6月4日であり(甲3、1枚目)、入所日から退所日の前日までの間は、ケアプランなしで居宅サービス(短期入所療養介護)が提供されていたものであって、介護保険法違反である(法74条2項、3項3号、37号省令147条1項、居宅サービス条例194条1項)。
 なお、ケアプランが作成されるに至った理由は、同月3日にクニ子が左目上部に裂傷を負う介護事故が発生したためであると推察される。すなわち、同月3日深夜から翌未明にかけて、クニ子は排尿のためにポータブルトイレを利用しようとナースコールを鳴らしたが、ヘルパーが来なかったため、自らポータブルトイレを利用しようとした際に転倒し、上記傷害を負ったものである。翌目の4日からは、徘徊防止用のアラーム付きマットが設置されたがご適切にケ
 アプランが作成されていれば、排泄に関するケア項目として、入所当初から徘徊防止用のアラーム付きマットの設置をケア内容に含めることができ、このような介護事故は防止できていた。
 加えて、本件入所2では、37号省令147条3項、居宅サービス条例194条4項が定める入所者の文書による同意及びその交付がなされていない(甲2、2枚目)。この点も基準省令違反である。
C 本件入所3について
 クニ子が若宮苑に入所したのは、平成27年6月20日である(甲1)。
  しかるに、施設サービス計画(以下(ケアプランJ という。)が作成されたのは、同年7月15日であり(甲4、1枚目)、入所日

<P14>
から約25日間は、ケアプランなしで介護保険施設サービスが提供されていたものであり、介護保険法違反である(法8条27項、40号省令13条1項、老健施設条例15条TL項)。また、入所者の文書による同意及びその交付がなされていないのは、本件入所1及び同2と同様である。
 加えて、きわめて重大な違法事由として、ケアプラン第2表(アセスメント項目・栄養ケア計画)が2枚存在し、うち1枚の家族確認欄の「岩崎優(原告)」名義の署名が偽造されている点である(甲4、4枚目)。原告は、同文書に署名したことはなく、名前の「優」を「俊」と間違えて欠いている等、外見上、原告本人の署名でないことは明らかであるが、筆跡鑑定の結果も同署名の筆跡は、原告の筆跡ではないことが明らかとなっている(甲5)。
 ケアプラン第2表の利用者家族同意を偽造し、当該施設の用に供することは、いうまでもなく私文書偽造、同行使罪(刑法159条、161条)に該当し、違法である。
D 本件入所4について
 ケアプランは、全く作成されていない(甲1、2枚目、甲6)。従って、当然、入所者の文書による同意及びその交付もなされていない。
 重大な違法事由として、本件入所3と同様、ケアプラン第2表(アセスメント項目・栄養ケア計画)の家族確認欄の「岩崎優」名義の署名が偽造されている点がある(甲6、1枚目)。名前の「優」を「俊」と間違えて欠いている等、外見上、原告本人の署名でないことは明らかであるが、筆跡鑑定の結果も同署名の筆跡は、原告の筆跡ではないことが明らかとなっている(甲5)。
 ケアプラン第2表の利用者家族同意を偽造し、当該施設の用に供

<P15>
することは、いうまでもなく私文書偽造、同行使罪(刑法159条、161条)に該当し、違法である。

3 支払われた介護報酬の額
 本件入所1乃至4につき、被保険者をクニ子、保険者を高崎市とし、高崎市から若宮苑に支払われた介護報酬(以下「本件介護報酬」という。)は、下記のとおり合計129万2146円である(甲7の1、2)。
                記
 @平成27年4月     ¥26万4090円
 A同    5月     ¥14万0557円
 B同    6月     ¥16万8479円
 C同    7月     ¥31万3799円
 D同    8月     ¥13万2073円
 E同    9月     ¥12万5251円
 F同   10月     ¥14万7897円
 合計          ¥129万2146円

4 本件介護報酬は、法22条3項により徴収すべきものであること。
 @ 『介護報酬は所定の要件と基準を満たす場合に市町村から事業者に対して支払われるものであり(略)、これを欠いた支払が事業者に対してされた場合には、市町村は事業者に不当利得の返還を求め得ると解される。そして、介護保険法22条3項は、事業者が上記支払を受けるに当たり偽りその他不正の行為をした場合における介護報酬の不当利得返還義務についての特則を設けたものと解される。』(最高裁判平成23年7月14日、集民 第237号247

<P16>
頁。以下「H23最判」という。)。
 A 既述のとおり、法は、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話(介護保健施設サービス)を受けたときは、当該被保険者に対し、所定の介護保健施設サービス費を支給する(法8条25項、27項、48条1項2号)と規定している。介護保険サービス費の支給において、瑕疵のない施設サービス計画(ケアプラン)の存在は、その要件である。
 本件入所1、同3及び4は、ケアプランを全く存在しないか、入所当初よりケアプランが存在しなかったものであり、かつ、入所者の文書による同意とその交付を欠いており、法が定める介護保健施設サービスとしての要件を満たしておらず、若宮苑が介護報酬を受給したことは法律上の原因を欠く。
 B 同様に、本件入所2についても、その作成及び入所者の文書による同意とその交付が義務づけられているところ(法73条1項、74条2項、3項3号)、本件入所2については、ケアプランが作成されたのは退所のわずか前日であり、実質的にケアプランが作成されていなかったことと同視でき、かつ、入所者の文書による同意とその交付を欠いており、法が定める居宅サービスとしての要件を満たしておらず、若宮苑が介護報酬を受給したことは法律上の原因を欠く。
 C 事業者が、ケアプランが存在せず若しくは入所者の文書による同意とその交付を欠いたまま又はケアプランの利用者家族同意欄を偽造して介護報酬の支給を受けたことは、法22条3項が定める、偽りその他の不正の行為によって介護報酬の支給を受けたことに他ならず、高崎市は、若宮苑に対し、その額の返還とこれに対し100

<P17>
分の40のを乗じた額を徴収すべき義務がある。就中、返還させるべき額の徴収は、籍束行為であり、被告に裁量の余地はない。
 D 仮に、法22条3項が定める、偽りその他の不正の行為が認められないとしても、H23最判が判示するとおり、法22条3項は、不当利得返還義務の特則を定めたものに過ぎず、『介護報酬は所定の要件と基準を満たす場合に市町村から事業者に対して支払われるものであり(略)、これを欠いた支払が事業者に対してされた場合には、市町村は事業者に不当利得の返還を求め得ると解される』のであるから、高崎市は、民法703条に基づき、若宮苑に対し、不当利得返還請求を有している。地方公共団体が有する債権につき、その長は、政令に定めるところにより、その督促、強制執行その保全及び取立に対して必要な措置をとらなければならないのであり(地方自治法240条2項)、被告は、上記不当利得返還請求を行うべき義務がある。

5 まとめ
 以上のとおり、高崎市は、若宮苑に対し、介護保険法22条3項に基づく前記3項記載の介護報酬の額とそれに100分の4を乗じた金額を徴収すべき義務又は民法703条に基づく不当利得返還請求を行うべき義務があるがあるところ、執行機関である被告は、これを怠っている。
 よって、本件訴えに及ぶものである。

              証拠方法
甲1      高崎市作成にかかる苦情申立についての確認結果

<P18>
甲2      ケアプラン総合計画書等(本件入所1関係)
甲3      ケアプラン総合計画書等(本件入所2関係)
甲4      ケアプラン総合計画書等(本件入所3関係)
甲5     鑑定書
甲6      ケアプランの第2表等(本件入所4関係)
甲7の1,2 介護保険給付費のお知らせ
甲8     住民監査請求監査結果

            添付資料
甲号証写し                  各1通
参考法令の抜粋                 1通
委任状                     1通
                               以上
**********

■今後、この裁判の進捗状況について、都度、当会会員から報告があり次第、皆様にお伝えしてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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2016/10/14  20:39

投稿者:R4

裁判のチラシが入ってたけど若宮苑は指定取消しですか(^o^ゞ

2016/8/29  21:36

投稿者:居宅ケアマネです。

高崎市のケアマネさん団結しましょうょ。施設、居宅は関係なくケアマネはケアプラン未作成でも監査は乗りきれますよ!監査で指摘されたら団結して抗議しよう!!

2016/7/22  9:57

投稿者:kidswoman

施設にはあまく居宅には厳しいのが高崎市です。結局はケアプランなくても大丈夫ってことですかぁ。高崎市行政はデタラメ行政ですね

2016/7/22  9:41

投稿者:maverick

 本人の署名をゴマカシたのですが、実は「別人の氏名を記載」して、お金の給付を受けたのですから、これは「詐欺罪」ですね。
 「市は、何も審査していない」って事です。「書類が出れば払う」って事です。 

2016/7/21  1:58

投稿者:ケアマネ:マネ子

本件1〜3は同意と交付がされていない。本件4はケアプラン自体が無い。(最悪)私の感だけど本件1〜3は後付け作成だと思います。作成したら必ず入所者または家族から同意をもらい交付するはずですょ。何の為に作成したの?加えて高崎市は私文書偽造の犯罪を無きものとして苦情を棄却するとは…。犯人隠匿罪になりますょ。
高崎市と若宮苑ってウラでつながりがあるかも!?真相を速く知りたいですね。(>_<)

2016/7/21  0:31

投稿者:ケアマネ6年生

ケアプラン作成せずに保険給付を受給するケアマネなら介護保険法の第69条ケアマネ信用失墜行為の禁止に該当しておりケアマネ消除のはずですよ! しかし、保険者の高崎市が給付したってことは… 。結局は高崎市のローカルルールってことですね。 でも、一番の被害者はケアプラン無しでサービス提供された利用者様ですよ。介護保健制度の信頼性が懸念されます。

2016/7/20  23:36

投稿者:かぐや姫

4回のケアプラン未作成だけでも行政処分は当然なはずですね。加えて、筆跡鑑定の結果は栄養プランが私文書偽造同行使罪では逮捕者も出て処分は免れないですね!高崎市が勝訴した場合はケアプラン未作成でも介護保険制度において給付されるのですから介護保険法の根幹が覆りますので岩崎様、頑張って下さい!

2016/7/20  23:04

投稿者:maverick

 文書偽造は間違いなさそうですが、騙してお金を取った訳ですから「サギ」ともなり得ますね。そうすると牽連犯とも。
 他にもいろいろありそうな気がするのは、私だけかなぁ。
 兎に角、真相が知りたいですね。

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