安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・今度も不起訴処分で検察審査会に申立  政治とカネ

■2015年5月22日付の東京新聞群馬版に安中市の保守系大物市会議員で元議長も務めたことのある御仁が、同年2月、地元地区5カ所で開かれた集会で、1升ビン2本の清酒セットを熨斗紙付きて配布した、という記事がデカデカと報じられました。
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2015年5月22日付の東京新聞群馬版の記事。
※2015年5月22日:安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・今度も不起訴処分で一件落着?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1623.html#readmore
※2015年5月27日:安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・元議長による酒2升配布のその後の経過
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1628.html#readmore


 当時、この記事を読んだ安中市民は「優子ちゃんもお咎めなしだから、告発されても不起訴だろうね」と思うひとも多かったようです。しかし、再発防止の為には、きちんと司直の判断を求める必要が有ると考えた当会は、その後、同年5月26日付で安中署の刑事課に赴き、告発状を提出しました。

**********PDF ⇒ scczz2015.5.29.pdf
               告 発 状
      告発人
         住所  群馬県安中市野殿980番地
         職業  会社員
         氏名  小川 賢(昭和27年3月5日生)   印
     電話  090−5302−8312
     FAX  027−381−0364
      被告発人
         住所  群馬県安中市内
         職業  安中市議会議員(元・同市議会議長経験者)
         氏名  不詳
平成27年5月26日
群馬県警察本部長殿

一 告発の趣旨
 被告発人らの以下の所為は、公職選挙法第199条の2第1項及び第2項(政治家の寄付の禁止)、および、選挙運動の事前運動として公職選挙法第139条(飲食物の提供の禁止)に該当すると考えるので、被告発人らを厳罰に処することを求め告発します。

二 告訴事実
 添付書類によれば、被告発人は、平成27年2月、地元およそ5か所で開催された各地区住民の集会に、自分の名前を記載した熨斗紙を付けた日本酒(1升ビン)二本セットを無償配布=寄附しました。また、それ以前にも毎年二月に、いわゆる「春契約」と呼ばれる地元各自治会の役員などを決めるために地区ごとに数十人ずつが参加して開かれる集会に、同様の寄付をしていたといわれています。総務省によると、選挙区内の人に対する寄付行為は、選挙前か否かにかかわらずに禁じられており、群馬県選管によると、選挙運動の事前運動として飲食物の提供は禁じられており、いずれも公職選挙法に抵触する禁止行為に該当します。このように、被告発人の前記所為は公職選挙法第199条の2第1項および第2項及び同第139条に定める違反行為に該当すると思われるので、被告発人の厳重な処罰を求めるため、ここに告発します。

三 立証方法
  1  新聞報道記事(2015年5月22日付東京新聞群馬版より)
四 添付書類
  上記記事写し

**********

■このときは、安中署ではとりあえず話を聞くだけにとどまり、上記の告発状は受理されずに、警察ではコピーをとっただけに終わりました。

 その後、しばらくすると安中署から電話がありました。捜査が一応終結したので、再度告発状を提出してほしい、というものです。さっそく、10月28日付で告発状を安中署長宛に提出しました。告発状の内容は前回預かりとなった告発状とほぼ同じです。

**********PDF ⇒ scczz2015.10.28icj.pdf
                    告 発 状
      告発人
         住所  群馬県安中市野殿980番地
         職業  会社員
         氏名  小川 賢(昭和27年3月5日生)   印
         電話  090−5302−8312
         FAX   027−381−0364
      被告発人
         住所  群馬県安中市内
         職業  安中市議会議員(元・同市議会議長経験者)
         氏名  不詳
平成27年10月28日
安中市警察署長殿

一 告発の趣旨
 被告発人らの以下の所為は、公職選挙法第199条の2第1項及び第2項(政治家の寄付の禁止)、および、選挙運動の事前運動として公職選挙法第139条(飲食物の提供の禁止)に該当すると考えるので、被告発人らを厳罰に処することを求め告発します。

二 告発事実
 添付書類によれば、被告発人は、平成27年2月、地元およそ5か所で開催された各地区住民の集会に、自分の名前を記載した熨斗紙を付けた日本酒(1升ビン)二本セットを無償配布=寄附しました。また、それ以前にも毎年二月に、いわゆる「春契約」と呼ばれる地元各自治会の役員などを決めるために地区ごとに数十人ずつが参加して開かれる集会に、同様の寄付をしていたといわれています。総務省によると、選挙区内の人に対する寄付行為は、選挙前か否かにかかわらずに禁じられており、群馬県選管によると、選挙運動の事前運動として飲食物の提供は禁じられており、いずれも公職選挙法に抵触する禁止行為に該当します。このように、被告発人の前記所為は公職選挙法第199条の2第1項および第2項及び同第139条に定める違反行為に該当すると思われるので、被告発人の厳重な処罰を求めるため、ここに告発します。

三 立証方法
  1  新聞報道記事(2015年5月22日付東京新聞群馬版より)
四 添付書類
    上記記事写し
**********

■その後、警察からも検察からも全く連絡がないまま、年が明けて、閏日の2016年2月29日に前橋地検から突然、次の文書が郵送されてきました。
※処分通知書:PDF ⇒ 20160229miclj.pdf
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 この文書により初めて被疑者が田中伸一・元安中市議会議長であることが判明しました。

 しかし、この処分通知の内容が「不起訴」となっていたので、不起訴の態様がこれではわかりません。そこで、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」あるいは「起訴猶予」なのか、改めて2016年3月15日付で前橋地検に問い合わせてみました。

**********
                      平成28年3月16日
〒371-0026 群馬県前橋市大手町3丁目2−1
前橋地方検察庁
 検察官検事 隄 良行 様

  告発人
   〒379−0114
   群馬県安中市980
    小川 賢   ㊞

        不起訴裁定主文及びその理由についての確認請求

 御庁から平成28年2月29日付けで郵送された処分通知書について、告発人は、刑事訴訟法第261条に基づき、不起訴処分とされた下記被疑事件に関して、貴殿が判断した不起訴裁定主文及びその理由について、ここに確認の請求をいたします。

                   記

   1 被疑者 田中伸一
   2 罪名  公職選挙法違反
   3 事件番号 平成28年検第186号
   4 処分年月日 平成28年2月29日
   5 処分区分 不起訴

                                  以上
**********

■すると、3月17日付で前橋地検から不起訴理由告知書として「起訴猶予」という回答が届きました。
※不起訴理由告知書:PDF ⇒ 20160322onsnirmiclj.pdf
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 「起訴」とは、検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求める意思表示を言います。起訴の権限は原則として検察官のみが持っています。これを専門用語で「起訴独占主義」というそうです。検察官に起訴されると、捜査段階から裁判手続に移り、被疑者は被告人という立場になります。

 「不起訴」とは、検察官が裁判所の審判を求める必要がないと判断した場合です。上記の通り、「不起訴」はその理由に応じて「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」の3種類に分類できます。

 「嫌疑なし」とは、捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いが晴れた場合です。

 「嫌疑不十分」とは、捜査の結果、犯罪の疑いは完全には晴れないものの、裁判において有罪の証明をするのが困難と考えられる場合です。

 「起訴猶予」とは、有罪の証明が可能な場合であっても、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況(示談がまとまったかどうか等)を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とする場合です。これも専門用語で「起訴裁量主義」というのだそうです。

 被疑者が不起訴処分を得るためには、捜査機関の保有している証拠の精査や被疑者に有利な証拠の収集(真犯人の存在やアリバイ等)、被害者との示談などを行い、検察官に対して嫌疑が不十分である旨の主張や不起訴が妥当である旨の主張を行っていくことが必要となってきます。これらの活動を全て一般市民が行っていくのは困難であることから、不起訴処分を得るためには法律の専門家である弁護人の選任が不可欠といえます。

 不起訴処分となると被疑者に前科は付きません。よって、前科が付くことに起因する前科調書への記録や特定の資格や職業への制約といった不利益の心配がなくなり、被疑者にとってのメリットは非常に大きいといえます。また、不起訴処分となれば刑事手続は終了し身体拘束からも解放されますので、晴れて元の日常生活に復帰することができます。

■このことから、田中伸一・元安中市議会議長が被疑者として絡んだ公選法違反事件では、有罪の証明が可能であったが、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況(示談がまとまったかどうか等)を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とされたことになります。

 このため当会では、2016年3月23日に前橋地検を訪れ、検察官になぜ不起訴処分としたのか、その理由を聞きに行きました。ところが、検察官らは、当会の質問に対してまともに答えようとせず、不起訴理由について何も説明をしませんでした。

 元市議会議長を務めた人物ですから、率先して公職選挙法を理解し、それを遵守すべき義務があるはずです。ところが前橋地検では検察官の裁量によって、不起訴となりました、住民との間で示談が行われたとは到底考えられません。となると、被疑者の境遇や犯罪の軽重により判断されたことになります。

 となると、今後、類似の公選法違反行為が摘発された場合、清酒を選挙民に配っただけでは、起訴される心配がない、ということになりかねません。

 そこで当会は、こうした検察官の起訴裁量主義において、きちんとした判断基準が示されないと、グレーゾーンのままでは、ますます選挙が混乱する懸念があると痛感しました。

 こうしたあいまいな基準をきちんとするには、やはり第三者機関である検察審査会に申立てをして、一般人から選ばれた検察審査会の委員の皆さんの良識に基づき、しっかりとした判断の基準を示してもらうのが最良の方法だと考えたわけです。

■そこで、当会では2016年10月18日に、次の内容の審査申立書を、前橋地裁4階の別館にある検察審査会事務局に直接赴いて提出をしました。赤字箇所はその際、事務局長から指示のあったコメントです。

**********PDF ⇒ 20161018_sinsa_mousitatesho.pdf
                審 査 申 立 書

                     2016年(平成28年)10月18日

〒371-8531前橋市大手町三丁目1番34号
前橋検察審査会 御中

第1 申立の趣旨
 被疑者田中伸一につき、公職選挙法違反で「起訴相当」の議決を求める。

第2 申立の理由
1 審査申立人
 群馬県安中市野殿980   小川 賢   ㊞  ※氏名にはフリガナを付けるように言われました。また連絡先の電話番号を追記するように指示を受けました。

2 罪   名
 公職選挙法違反

3 被 疑 者
 群馬県安中市下後閑   田中伸一  ※「できれば住所を詳しく記入するように」とコメントあり。また、氏名にはフリガナを付けるように言われました。

4 不起訴処分年月日
 平成28年2月29日

5 不起訴処分をした検察官
 前橋地方検察庁 検事 隄 良行

6 被疑事実の要旨
(1) 被告発人田中伸一は、平成27年2月、地元およそ5カ所で開催された各地区住民の集会に、自分の名前を記載した熨斗紙を付けた日本酒(1升ビン)二本セットを無償配布=寄附した。また、それ以前にも毎年二月に、いわゆる「春契約」と呼ばれる地元各自治会の役員などを決めるために地区ごとに数十人ずつが参加して開かれる集会に、同様の寄附をしていた。もって、本法第199条の2、および同第139条に違反したものである。
(2) 罪名及び罰条
 公職選挙法第199条の2第1項及び第2項(政治家の寄付の禁止)、および、選挙運動の事前運動として公職選挙法第139条(飲食物の提供の禁止)

7 検察官の処分
(1) 前橋地方検察庁は、田中伸一に対する上記6(1)の事実を起訴猶予として、平成28年2月29日付で、不起訴とした。

8 不起訴の処分の不当性
(1) 現職の公職者らが、自らの選挙区内で行ったこのような寄附行為は、親族等に対してする場合を除き、いかなる名義でする場合も、公職選挙法で禁止されている行為である。
(2) 本被疑事件の告発人であり審査申立人である小川賢は、これまで4度、安中市長選挙に立候補したが、その際、立候補予定者を対象として開かれた事前説明会で、毎回、安中署刑事課長による公職選挙法の遵守に関する講義を拝聴し、選挙制度の公平性、透明性を担保する公職選挙法の意義を熟知している。
(3) 総務省と(財)明るい選挙推進協会が各自治体の選挙管理委員会に配布しているパンフレットによれば、“みんなで徹底しよう「三ない運動」”として、その筆頭に「政治家は有権者に寄付を贈らない」と明記してあり、「政治家(候補者、候補者になろうとする者、現に公職にある者)は、寄附をすると処罰されます」とあり、「これによって処罰されると、公民権停止の対象となります」として、明るい選挙の実現のために、寄附禁止のルールの遵守を厳しく求めている。
(4) 今後、同様な違反行為が発覚した場合、今回の被疑事件により不起訴処分が前例として定着してしまうことも懸念され、立候補者の信条として公職選挙法遵守に関する緊張感が縮減されることにもなりかねず、今後に禍根を残しかねない。
(5) さらに審査請求人は、3月23日午前11時半に前橋地検を訪れ、告発人として、なぜ起訴猶予になったのか、その理由説明を検察官に求めたが、対応した若い検察官(氏名不詳)は、「理由については説明できない」と繰り返すのみであった。告発人である審査請求人に対して、こうした不明朗な不起訴処分理由の説明では、起訴猶予が情状によるものか、政治的な圧力よるものか、判然としない。
(6) また、審査請求人は、この事件を報じた記事を執筆した東京新聞の菅原洋記者に直接会って、証拠の信ぴょう性等をヒヤリングしたが、「情報源は取材元への守秘義務で明かせないが、記事の事実性、信頼性については、微塵の揺らぎもない」と証言した。よって、本法違反被疑事件を不起訴処分にしたのは不当である。

9 結論
 よって、申立の趣旨記載のとおり申立する次第である。
 なお、本件については公訴時効の到来日は平成2019年12月5日であるので、十分に留意の上、結論を出されたい。
                                以上
**********

■これまでの前橋地検の判断基準を見ると、現金による個人的な買収でない限り、ほとんどの公選法違反事件は不起訴(起訴猶予)処分になっています。現金を配る場合でも、今回のように選挙区内の有権者である住民の集う会議などのイベントに、寄付のかたちで金品を配る場合は、まず起訴されるケースはありません。

 また、安中市の場合には、選挙で協力をしてもらった地区の有力者ら個人個人に商品券や清酒を配っても、起訴される心配はありません。

 今回の元市議会議長による地元選挙区の有権者らの集うイベントで清酒セットを配布したことが、不起訴処分相当であるのかどうか、それともやはり、せめて執行猶予付き有罪判決あたりが妥当なのかどうか、きちんと検察審査会の良識あるメンバーの皆さんに確認してもらうことが、明るい選挙の実現に役立つと考えた次第です。

 議員の皆さんにとって「吉」になるのか、それとも「凶」となるのか、予断は許されませんが、検察審査会からの結論が通知され次第、ご報告いたします。

 なお、元議長は現在無所属となっていますが、最近の市議会では久しぶりに一般質問をされたようです。

【ひらく会情報部】

※参考情報「本件を報じた新聞記事」
**********東京新聞2015年5月22日群馬版
安中市元議長 地元集会に日本酒 十数年配る 公選法抵触の可能性
 安中市議会の元議長が十数年間にわたって毎年二月、地元住民の集会に日本酒を贈り続けていたことが、関係者への取材で分かった。公職選挙法(寄付行為の禁止)に抵触する可能性もある。四月に自らが当選した市議選の前にも自身で配っていた。元議長は取材に「投票の依頼はしていないが、法律違反は分かっている。まずいことをしてきた」と認めている。 (菅原洋)
★「悪意ない…慣例になっていた」★
 関係者と元議長によると、元議長の地元では毎年二月、各自治会の役員などを決める集会を地区ごとに数十人ずつが参加して開いている。
 元議長は今年二月、五カ所ほどで開かれた集会に、一升瓶の二本セット(計二千数百円相当)をそれぞれ配布。箱に付けたのし紙には、「粗品」という文字とともに自らの氏名を印字していた。
 総務省によると、選挙区内の人に対する寄付行為は、選挙前か否かにかかわらずに禁じられており、寄付行為の具体例として「町内会の集会などへの飲食物の差し入れ」などが挙げられている。
 本紙が入手した日本酒の箱の写真を見せると、元議長は「自分が配った物だ。配るのが慣例になっていた。これまで指摘がなかったため、深刻に考えなかった。悪意もない。このため、任期は全うさせてほしい」と話した。
 一方、関係者によると、今年一月、「よろしくお願いします」とスタンプが押され、元議長の顔写真が入った名刺付きで、「年賀」と印字したのし紙とともに、乾燥した状態の切り干し大根とみられる物が配られていたとの情報もあるという。本紙はこの写真も入手した。
 この写真について、元議長は「名刺は自分の物と思うが、切り干し大根のような物は自分は配っていない。何者かが名刺を悪用したのではないか。ただ、自分の運動員に関与していないことを確認したわけではない」と話している。
 関係者は日本酒などの情報を県警に提供したという。安中市議会事務局も一部情報を把握しているが、取材に応じていない。
 県内では昨年、小渕優子・元経済産業相が選挙区の有権者に慶事の祝い品として、自らの顔写真が写ったラベル付きのワインを配ったとして、公選法違反容疑で告発されたが、今年四月に嫌疑不十分で不起訴となった。
**********
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