2016/11/11  22:47

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…11.18第2回口頭弁論期日に向けて原告住民が準備書面(1)を地裁に提出  東北関東大震災・東電福島原発事故

■群馬県山間部の放射能汚染は依然深刻なレベルにとどまったままですが、この放射能汚染の元凶となった東電のグループ会社の中核的な大企業である関電工が、県内の森林から放射線レベルの高い木材を間伐や皆伐をしたりして、また足りなくなったときは福島県や栃木県などの県外から放射能汚染されたバークなどを持ち込んで、今後20年間も燃やすという危険極まりない事業を、群馬県や前橋市行政の後押しを得て、地元住民らの反対の声も何のその、(政)官業癒着で進めています。こうした中、関電工を主体としてトーセンと共に設立した前橋バイオマス燃料鰍ノ、群馬県が4億8千万円もの補助金を支出しようとしています。

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みなかみ町の線量レベル0.79

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川場村の線量レベル0.60
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みどり市0.54
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南牧村の線量レベル0.52

〇県内の空間線量率(平成25年)ih25.pdf
〇県内の空間線量率(平成27年) ⇒ih27.pdf

 このため当会は、支援する地元住民団体とともに、正当な住民監査請求を経て、2016年7月15日に群馬県に対して補助金の支出を取消すよう請求すべく前橋地裁に訴状を前橋地裁に提出しました。

 その後前橋地裁から訴状訂正の指示があり、2016年8月22日付で訴状訂正申立書を提出したあと、同9月16日に被告群馬県から答弁書が提出されてきました。そして同9月24日に第1回口頭弁論期日が開かれたのです。

■その時の裁判長の訴訟指揮で、第2回口頭弁論期日が来る11月18日(金)午前10時30分から前橋地裁で開かれますが、開廷1週間前に裁判資料の提出が求められていたので、原告らは11月11日(金)午前10時20分に前橋地裁を訪れて、別件である大同有毒スラグ不法投棄に伴う舗装工事に係る費用の損害賠償請求訴訟の直前に、地裁の事務官に次の内容の原告準備書面(1)を提出し、受理されました。

**********PDF ⇒ 20161111ipj.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第12号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件
原告  小 川  賢 外1名
被告  群馬県知事 大澤正明

                           平成28年11月11日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中

              原告準備書面(1)

                          原告  小 川   賢  ㊞

                          原告  羽 鳥 昌 行  ㊞

 平成28年9月16日付の被告の答弁書に対する反論を次のとおり陳述する。

第1 被告の「本案前の主張」に対する反論

 被告は「第2 本案前の主張」として、「3 しかるに,本件監査請求は,地方自治法242条1項の要件を充たさない不適法なものとして却下されており,監査委員による本件補助金の違法,不当についての実質的審査は全く行われなかったのであるから,前述の監査請求前置主義の目的を果たしていない。したがって,本件訴訟における原告ら請求は,適法な監査請求を経ておらず,監査請求前置主義の要件を充たしていないものと言わざるを得ない。」「4 よって,本件訴訟は,訴訟要件を充たさないので,不適法として却下されなければならない。」と結論づけた。
 被告の言う本件監査請求の却下理由というのは、「本件施設整備事業に対する本件補助金の交付については、監査実施日現在、いまだ前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対し、補助金交付申請が行われておらず、その状況下では、既に一般会計補正予算が可決されていたとしても、そのことのみをもって群馬県知事により本件施設整備事業に対する本件補助金が確実に交付されるものとはいえないから、現時点において本件補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえないというべきである。」とする監査委員の判断(甲13、13ページ)を指していると思われる。
 被告の言う地方自治法242条(住民監査請求)第1項の要件とは、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」(下線部は原告らにより追記)ことから、本来「支出行為が未実施であっても、当該支出行為が相当の確実さをもって予測される場合を含む」のであるから、監査通知のあった平成28年6月14日現在では、既に事業者の関電工は地元説明会で「本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたない」と発言するなど、補助金の申請は極めて確度の高い行為であり、いわゆる、相当の確実さをもって予測されていた場合に該当していた。
 にもかかわらず、群馬県監査委員は、「監査実施日現在、いまだ前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対し、補助金交付申請が行われておらず、その状況下では、既に一般会計補正予算が可決されていたとしても、そのことのみをもって群馬県知事により本件施設整備事業に対する本件補助金が確実に交付されるものとはいえない。」などと、およそ地方自治法242条第1項を無視した判断を行い、被告はそれを金科玉条のごとく掲げて、答弁書で陳述してきたのである。
 原告らは、群馬県監査委員の本心は、「監査をすべきであった」と考えていたと思料している。その理由として、平成28年5月19日(木)10時30分から約1時間に亘り県庁26階の監査委員事務局に隣接する会議室で開催された原告らによる陳述と追加証拠の提出のあと、監査委員長の横田秀治氏から「監査請求の内容は良く理解した。この後、県側職員の陳述も聞くことになるが、適切な意見が出せるよう努力する」との異例のコメントがあったからだ。
 原告らはこの監査委員長の率直なコメントを高く評価し、よもや門前払いにはなるまい、と信じていただけに、監査委員事務局から監査委員全員の名義で送られてきた監査結果通知の内容に痛く失望した。おそらく横田秀治・監査委員長は、原告らの陳述を聞いて、関電工によるバイオマス発電事業に危機感を抱いたに違いない。しかし、その気持ちとは裏腹に、監査委員事務局の職員らの圧力に屈してしまい、不本意な形での監査結果通知を出すに至ったことがうかがえる。事実、横田・監査委員長は、その後2016年10月3日付で8年間勤めあげた監査委員を辞任している。
 実際の損害発生の可能性については、例えばほかの自治体のホームページを見ると「たとえ違法・不当な財務会計上の行為であっても、市の財政に損害が発生する可能性がない行為は住民監査請求の対象とはなりません」(大阪市)という説明が一般的である。これは言い換えると、市の財政に損害が発生する可能性がある行為の場合で、当該行為がなされることが相当な確実性をもって予測される場合は住民監査請求の対象になるわけだ。
 事業である関電工は、上述のとおり地元で開催された説明会で「本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたない」と発言しており、この前橋バイオマス発電事業が実施されると、東電福島原発事故由来の放射性物質の飛来より放射能汚染されたまま除染されずにいる群馬県山間部の森林の木質原料が赤城山の南麓に集積され、20年間にわたり毎年8万トンずつ燃焼されることにより、高濃度に放射能汚染された焼却残渣の発生や放射性物質を含む排ガスの空中への排出、そして今回は前代未聞の油圧プレスによる木質チップの圧搾で生じた放射性物質を含む大量の水分の地下浸透処理など、周辺環境への脅威が募ることになる。
 したがって、このバイオマス発電事業が実施されてしまうと、納税者である群馬県住民ら大勢のかけがえのない生命、健康、生活、財産への悪影響により、当該地方自治体が甚大な損害を被ることは明らかであることから、監査委員が原告らの住民監査請求を却下したことは、懈怠による不作為であるから、被告の主張は監査委員の不作為を正当化するものに過ぎず、これを認めることはできない。

第2 被告の「第3 請求の原因(訴状「第2」乃至「第6」)に対する認否への反論

(1)「第3 住民監査請求」について
 原告らによる住民監査請求の結果、監査結果は却下とされたが、この理由は監査委員の懈怠による不作為であり、前述のとおり、この背景には、監査委員事務局職員による監査委員への誘導や圧力があることを伺わせる。監査委員の独立性に極めて重大な疑義があることを指摘せざるを得ない。

(2)「第5 群馬県の損失」について
 被告は、バイオマス発電による放射能汚染木質チップの年間8万トンずつ20年間にわたる燃焼を前提としても、群馬県の損失の可能性を「否認する」との主張だが、東電の福島第一原発事故により流出した原子雲の飛来により、群馬県の山間部が高度に放射能汚染されたことを被告はもう忘れたらしい。関電工を主体として実施される前橋バイオマス発電事業は、東電の原発事故で汚染された県内外の森林由来の間伐材や皆伐材、木材加工の過程で生じたバーク(樹皮)や端材、そして廃材等を一か所に集積して燃焼させるものである。被告は「否認する」と主張する根拠は一体なにか?安全だと判断するのであればその根拠を示すべきであるが、全て事業者の関電工の説明を鵜呑みにするだけで、住民らの不安や懸念に対して説明責任を果たそうとしない関電工をこのまま放置するつもりなのか?群馬県の損失は、気の遠くなるような半減期をもつ放射性物質がこのバイオマス発電事業によって県内に二次拡散することにより、子々孫々まで、県民の生命、健康、生活、財産への損失を招きかねないのである。このような危機的状況を目の当たりにすれば、被告は「否認」することなど到底できないはずである。

(3)「第6 本件請求の要旨」の「(3)第8段落について ア(1)「補助事業の目的から逸脱していること」について
 このことについて、被告は「否認ないし争う」と主張している。
 国の補助金等の手続きについては補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)によって処理が行われる。また、国が地方公共団体に交付する補助金等については、地方財政法に規定がある。補助金を支払う者の責務として、各省庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当っては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならないとしており、補助金を受けるものとしては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し、法令の定及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従って誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならないとしている(補助金適正化法第3条第1項、第2項)。
 一方、補助金を受けた者は、法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件その他法令に基く各省庁の長の処分に従い、善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならず、いやしくも補助金等の他の用途への使用(利子補給金にあっては、その交付の目的となっている融資又は利子の軽減をしないことにより、補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいう。)をしてはならないとされている(同法第11条)。
 補助を受けた者は各省庁の長に遂行状況を報告しなければならないが、各省庁の長は、この報告等により、その者の補助事業等が補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件に従って遂行されていないと認めるときは、その者に対し、これらに従って当該補助事業等を遂行すべきことを命ずることができ、この命令に違反したときは、その者に対し、当該補助事業等の遂行の一時停止を命ずることができる(同法第12条、第13条第1項、第2項)とされている。
 このバイオマス発電事業はFIT制度を念頭に置き、発電単価が太陽光発電に比べると比較的高いレベルで算定していると思われる。しかし、事業の採算計画やキャッシュフローについて文書開示を被告に請求しても、肝心の数字やデータは真っ黒に塗られてしまい、さっぱりわからない。このような状況であるが、バイオマス発電事業の主体である関電工は前述のとおり、地元説明会で「本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたない」と発言するなど、採算性の悪さを強調している。
 しかし、FIT制度そのものも補助金事業であり、バイオマス燃料としての木質チップの原料となる間伐材や皆伐材も補助金漬けの森林組合により切り出されるわけで、さらに群馬県民には、“みんなの森をみんなで守ろう”などとして「ぐんま緑の県民税」という超過課税を平成26年度から平成30年度まで時限的に実施しており(被告の税金感覚からすると、おそらく更に延長すると思われる)、現在、群馬県の納税者一人当たり年額700円が追加的に徴収されている。この超過課税は、森林の奥にあり林道でアクセスできない場所の樹木等の通称「切捨て間伐」作業等に費消されるという触れ込みだが、バイオマス発電事業により、これらの切捨て間伐材も回収され燃料として利用される可能性も指摘される。そうなると、森林保護の名のもとに、我々の血税が特定の民間企業の放射能汚染拡大事業に費消される懸念もある。こうした補助金漬けでようやく事業として成り立つというのであれば、「補助事業の目的から逸脱していること」になるのではないだろうか。
 関電工は、東電グループの中でも最大級の会社のひとつであり、我が国を代表する総合設備企業で、東証1部に上場している。そのアニュアルレポート(2016年3月期)によれば、幹部の挨拶のあと「持続的成長を可能とする高い収益性と、強靭な企業体質を確立いたします。」というスローガンを大きく掲げている。事実、2016年3月期の個別業績として新規受注高4,315億円(前期比105.5%)、完成工事高3,984億円(前期比102.4%)、営業利益126億円(前期比185.3%)、経常利益132億円(前期比170.7%)、当期純利益74億円(前期比196.5%)を計上している。さらに2017年3月期の個別業績予想として新規受注高4,700億円(当期比108.9%)、完成工事高4,400億円(当期比110.4%)、営業利益160億円(当期比126.6%)、経常利益170億円(当期比128.0%)、当期純利益105億円(当期比140.4%)を目論んでいる。
 このような優良大企業が、補助金を使ってまでFIT制度を使ったバイオマス発電事業に血道を上げる背景には、東電福島原発事故による放射能汚染の影響を受けている群馬県のことを、「どうせ放射能汚染をしているのだから、二次汚染させても大過あるまい」と考えて、群馬県民のシンボルでもある上毛三山のうち最大の赤城山の南麓に平然と、我々県民の血税も吸い取って危険なバイオマス発電施設を作ろうというのであるから、常軌を逸しているとしかいいようがない。「補助事業の目的から逸脱していること」は県民の誰の目から見ても明らかである。

(4)「補助金交付を受ける資格がないこと」について
 被告は、株式会社松井田バイオマスが平成26年10月27日に「株式会社前橋バイオマス」に商号を変更したこと、及び、同社がさらに平成27年9月25日に「前橋バイオマス燃料株式会社」に商号を変更したことは認め、株式会社関電工のグループ関係、及び、株式会社松井田バイオマスの資本関係は不知,その余は認否の必要性を認めないと答弁書で主張した。松井田バイオマスは、当初トーセンが主導で事業計画を進めていたが、進入道路の確保ができなかったため、あえなく頓挫した。ところが、驚くべきことに前橋バイオマスと看板を掛けなおして間もなく、関電工の資本参加を受け、今回の補助金の受け皿の法人となっている。にもかかわらず、被告はこの間の経緯や、前橋バイオマス燃料における関電工の株式の取得数や比率、まして、松井田バイオガスの資本関係について、まったく関心がなく、知らないのだという。もしこれが本当であるとすれば、被告の不作為は言語道断である。なぜなら補助金の受け皿となる法人について、知らないというのであるから、被告は交付金を受ける資格審査をしていないことになる。であれば、前橋バイオマス燃料株式会社に補助金交付を受ける資格がないことは明らかである。
 被告はまた、「平成27年度9月補正予算案として本補助金を計上したこと,同月14日から群馬県議会の定例会が開催されたこと,同月25日に県議会本会議で一般質問が行われたことは認め,その余は認否の必要性を認めない」として、説明責任を果たすことを放棄している。このような対応は、バイオマス発電の事業者について、住民に説明できないことを意味しており、血税である補助金交付先の情報が公開できないような事業をする事業者には補助金交付を受ける資格がないことは明白である。

(5)「ウ(3)『地元及び周辺住民への事業に関する周知が徹底であること』」について
 被告は、「(ア)第1段落乃至第4段落について」不知と、また「(イ)第5段落について」否認ないし争うとしている。このことについて原告羽鳥に対し、群馬県森林組合連合会の 高橋伸幸総務部長は、平成27年7月22日の回答メールで、「10万トンの間伐を行うと、8万トンは素材になり、2万トンは林地残材になる」と説明している。この観点からすれば、2割が林地残材になることから、8万トンの林地残材を確保するためには、40万トンの間伐を行う必要がある。
 しかし、この40万トンという数字は、群馬県が平成32年に達成する目標であり、平成26年現在の間伐は、わずか27.8万トンに過ぎない。つまり、県内すべての林地残材を集めても5万トンほどの林地残材しか存在しないのである。
 したがって、年間8万トンの林地残材の確保を担保するためには、県内だけでは困難であり、県外からも間伐材やチップを搬入して使わなければならないことになる。性善説に基づいて成り立っているFIT事業では、どんなものが持ち込まれようとも確認できる術がない。
 現に、先般、滋賀県の琵琶湖西岸の高島市の河川敷に不法投棄され、その後密かに前橋市内に持ち込まれた東電福島第一原発事故由来の福島産の放射能汚染木くずやチップは、持ち込みが自由で、前橋市内の産廃中間処理業者で他の廃材チップと混ぜられて、有価物として転売され、マニフェストも作成されなかったことから、前橋市のその業者からどこに消えたのか全くわかっていない。しかも、被告群馬県も前橋市も、この事件を教訓とせず、その後何の調査や対策も打った形跡がない。
 関電工が、平成27年6月末頃に群馬県に提出した事業計画の概要には、林地残材を8万2000トン購入することになっている。しかし、群馬県森林・林業基本計画には、たしかに林地残材を活用する計画になっているものの、平成22年の時点では、実績として燃料用チップ・ペレットの生産はゼロであり、10年後の平成32年に7万トンという計画であった。このことから見ても、平成28年に事業を開始する前橋バイオマス発電に使用する林地残材8万2000トンなどというものは、県内にはどこにも存在しない。そのことを被告は知りながら、あるいは知っているからこそ、平成27年の基本計画の見直しの際に、「東京ドーム64個分の皆伐を行い、不足する林地残材を皆伐により補填する」という暴挙を企てたのである。
 被告群馬県も、前橋市も、そして関電工もトーセンも、全くと言っていいほど、放射能汚染には無関心であるようだ。なぜなら、原告らを含む県民・住民の不安に対し、群馬県内の林地及び木材、そしてその燃焼に係る放射能汚染の実態に関する何の調査も、指示も、説明も一切していないからだ。被告のこのような不作為の対応をみれば、事業者である関電工らの態度や対応が、さらに横柄になるのもなるほどと頷ける。だから、かれらは放射能の再拡散や地下浸透、最近では、排液を河川に流す計画さえ模索しているのである。これでは、本当に、自然環境や健康問題、農産物への被害、風評被害が心配である。先人らの努力でせっかく築き上げた「赤城ブランド」が崩解・瓦解するのも間近である。被告は東電グループの関電工に魂を売ってしまうつもりなのか。

(6)「エ(4)『事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと』」について
 被告は、「認否の必要性を認めない」と主張しているが、多額の補助金を交付する先の組織・団体について、その環境方針がどうなっているのか、見解を示す必要がないという姿勢を見せている。被告は関電工のホームページを読んだことがないらしい。
 関電工はその環境負荷低減の取り組みとして、「地球環境問題が深刻化する中、私たちは企業活動のあらゆる面で環境保全対策を組織的かつ効率的に進めることが、健全な生態系の多様性を守り、持続可能な社会の実現に寄与すると考えています。また、低炭素社会を目指してと題し、生存の基盤である自然環境との共生は、健全な社会の存立にとって不可欠であるとともに、企業活動においても常に心掛けなければならないテーマであると考えます」と主張している。
 さらに、関電工の環境基本方針として、理念には「循環型経済社会の構成員として、豊かな人間環境づくりに取り組み、絶えざる自己革新によって、地球環境の保全活動に貢献します」とし、行動方針には「法規制及び協定書を遵守するとともに、環境に関する自主基準を制定し、環境保全に取り組みます」などとホームページで主張している。
 ところが、関電工のやっていることといえば、真逆で、自主基準を制定することは一切見られず、口からでる言葉は、「法律の基準では」というだけで、環境を保全するための自主基準を制定しようとする姿勢は皆無である。このような事業者の不埒な態度について、「認否の必要性を認めない」などと言いのける被告には、猛省が必要だ。

(7)「オ(5)『安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること』」について
 被告は、「第1段落について」不知、「第2段落について」否認ないし争う、「第3段落乃至第5段落について」は不知、ただし、第3段落最終行「群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる」との点は否認ないし争う、としている。また、「第6段落について」も否認ないし争うとしている。
 平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付申請書の森林整備加速化・林業再生基金事業診断書(平成27年10月21日・診断事業者非開示)において、事業計画実施の際の留意事項(8ページ)として、計画した原材料の仕入れ量が確保できるかどうか、また、そのための作業効率が確保できるか、ということを指摘している。
 林野庁は、その報告書で、中・大規模な発電は、半径50qの商圏が必要であると言っている。しかし、前橋バイオマス発電事業地からわずか20q程しか離れていない東吾妻町には大型の木質バイオマス発電所が有り、最近では燃料として林地残材も使用している。そんな中で、赤城山の南面は関東平野に連なり、間伐できる木など殆ど見当たらない。したがって、様々な専門家や評論家が指摘しているように、国内で、燃やすためだけの間伐材は数年で消滅し、枯渇するのである。この観点からも、再生エネルギーとしてのキーワードである「再生可能(サステイナブル)」が欠如したこの事業に補助金を出すことは許されない。

(8)「カ(6)『事業主体の信頼性に瑕疵があること』」について
 被告は、このことについて「不知」としているが、とんでもないことである。なぜなら、平成27年6月末頃に事業者が被告群馬県に提出した「前橋木質バイオマス発電計画」において、近隣住民への説明経過が2ページにわたり記載されており、被告群馬県はそこにかかれた虚偽の記載、つまり、近隣住民への説明がなされていないのに、事業者は「丁寧に説明済み」とするウソの記述内容を鵜呑みにしたからである。それを、被告が自ら「知らない」という答弁をすることは、全く原告をはじめ県民・住民らを馬鹿にしているとしか言いようがない。
 また、4億8千万円という多額の補助金を受けるトーセンは、平成27年12月の住民説明会に2名を出席させたが、関電工が「しゃべるな」と庇う始末で、結局トーセンからの出席者らは一言も発言することはなかった。このことを原告が、被告の群馬県林業振興課に相談に言っても、「席に1回着いた」ということだけで、被告は「(関電工らは)住民には十分説明を尽くした」という判断をしており、全く県民の意見は聞き入れられなかった。
 ちなみにトーセンは、那珂川のバイオマス発電所では、山火事を起こし、火災原因の調査もせず、一切の防災対策も打っていない。また、同発電所の近隣道路は陥没し、防音壁もないまま、近隣へ騒音を撒き散らかしている。周辺住民らは声が上げられず、我慢している実態が、原告羽鳥が事務局長を務める「赤城山の自然と環境を守る会」の現地調査で明らかになっている。

(9)「キ(7)『放射能汚染対策に重大な不備があること』」について
 被告は、このことについて「否認ないし争う」としているが、県民の安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を守るという意識を持つべき役人としての認識の欠如が甚だしい。原告は、前出の群馬県森林組合連合会の高橋伸幸総務部長に放射能汚染対策について質問したところ同氏は、「スギ皮の放射能に関する数値としては約100ベクレル程度と把握しております。これはあくまで皮だけですので、木部と一体となった木質チップとなると恐らくこれくらいか、それ以下になると思われます」と発言している。そして、前橋バイオマス燃料の場合、「製材後の汚染の酷い皮をチップ化し、大型プレス機で脱水し、放射性物質除去の処理もせず、そのまま、地下に流す」としている。最近では、関電工の福本雅邦氏は「河川に流せるよう設計等見直ししている」という発言も飛び出している。このような酷い処理の仕方について原告らは、被告群馬県の環境政策課や前橋市の環境政策課にも伝えた。すると前橋市は、このことを既に承知していたことが判った。
 関電工は、「kg当たり40Bq以下の間伐材等を検査し、使用する」と言っている。しかし、誰しも認めているように、40Bq以下の間伐材等を検査する設備は存在しない。このことを原告が関電工に質すと、関電工は「トラックスケールで測る」などと説明しているが、そもそもトラックスケールは荷物の重量を測定する装置であって、その測定装置をトラックで通過しただけで放射能汚染が測定できるはずがない。つまり、関電工の言う、「kg当たり40Bq以下の間伐材等だけを使用する」ということは、根も葉もない戯言なのである。この事実に、原告を含む住民として、安心出来るはずもない。被告には、県民・住民の安心・安全な生活環境を保全する義務があるはずだ。

(10)「ク(8)『本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること』」について
 被告は、「株式会社トーセンが事業主体であることは否認し,その余は認否の必要性を認めない」としている。
 このことについて日経新聞電子版は平成28年7月28日付で、「群馬で木質バイオマス発電燃料収集 トーセン、関電工向け」という見出しで、記事を掲載した。しかし、この記事のことを、事業者である関電工の福本雅邦氏(前出)は全く知らなかった。平成28年6月28日に群馬県に提出された、平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付申請書の森林整備加速化・林業再生基金事業診断書(平成27年10月21日・診断事業者非開示)において、「本計画の設備仕様が確定したのは、平成27年12月であり、確定前に、診断がなされていたり、また、4ページには、「本事業の推進にあたっては株式会社関電工を通して十分な意思疎通を図ることができると考えられる」と診断されていたりするが、上記のトーセンが群馬県みなか町で行う大事業について、肝心の関電工が「知らない」という有様では、全くの誤診であるとしか言いようがない。さらには、放射能汚染チップを脱水し、未処理で地下に流してしまうことに関しては、何ら診断されていない。このことについて、もし診断後に決定されたとすれば、大問題であり、もう一度、診断が行われなければならないはずである。被告群馬県も、このいい加減な診断書を見て見ぬふりで、故意に見逃してやって、補助金交付を決定したということは、およそ有り得ない行為である。
 汚染された木質チップをプレスで脱水してしまおうという設備は、世界でも例を見ないものと言える。本来であれば、排液がどのように汚染され、どういう処理をされ、それを20年間に亘り地下浸透や河川放流した場合、自然環境や地下水等にどのような影響を及ぼすのか、慎重に実証実験が行われなければならないはずである。事業者の関電工と被告担当部局だけの判断で済まされてよいはずがない。

(11)「ケ(9)「環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること」について
 驚くべきことに、被告はこのことについて「否認ないし争う」のだという。
 本来であれば、放射能汚染された大量の木材を使ったバイオマス発電施設の場合、排ガス量4万ノルマル㎥を超えれば必然的に環境アセスメントが実施されることは必然である。ところが事業者の関電工は、環境影響評価条例に基づき環境アセスメントを実施することを免れようと、被告群馬県と画策した。この県民を騙そうとする卑劣な脱法的行為について、被告群馬県は直ちに拒否しなければならないのに、あろうことか、東電グループの関電工のために、法令遵守のコンプライアンス精神はどこへやら、自ら定めた条例というルールを破り、特定事業者の都合の良いように、運用規定を変更した経緯がある。そのような異常な事業に対する補助金の交付決定は、即刻、撤回すべきである。
 時系列で振り返ると、平成27年1月に、事業者の関電工は、アセスメントの実施の必要性について被告の群馬県環境政策課と協議を始めている。しかし、被告が定めた群馬県環境影響評価条例に基づき、排ガス量が4万㎥/h以上の事業は第一種事業と位置付けられて、環境アセスメントの実施が義務付けられていることから、本来であれば被告が事業者との協議に応じること自体、有り得ない行為である。このことからも、被告は事業者の関電工とナアナアの馴れ合い関係にあることが伺える。
 そして、同年3月に、関電工は、被告群馬県から「アセスメントは実施しなくて良い」と報告を受けている。その根拠は、平成27年3月30日に、被告群馬県の環境政策課の唐澤素子主幹が、「排ガス量2割をおまけする」という趣旨の起案を提出し、翌31日に決裁されていたことである。そして、平成27年4月1日から運用を開始したらしい。しかし、この被告群馬県の一部署での決裁内容は、どこにも公示・公表されることはなく、特定事業者である関電工だけが同年3月中に内容を知っていたというのである。これは、紛れもなく、関電工の事業の救済、すなわち環境アセスメントの免除という優遇策のためだけの被告の特別な配慮なのである。
 施行一年後の、平成28年3月31日に原告小川が、群馬県環境政策課に出向き、資料の情報公開を求めた際は、それらしき資料はないとのことであった。ということは、一年前にあるべき資料は、1年後以降に、原告から指摘され、慌てて作成した疑いがある。平成28年4月22日に原告小川は、この決裁資料等の情報開示請求を被告に行ったが、被告は同年5月7日に不存在であるとする通知を原告小川に行い、当該情報は不存在を理由に開示されなかった。ところが、原告羽鳥が同年9月13日に被告に情報開示を求めたところ、同年10月4日に開示が決定された。
 被告は、原告小川に対して不存在としていた文書を、原告羽鳥に対して後日開示したのである。このような不信な対応をした被告群馬県は、証拠隠しのために、偽装工作をした可能性が疑われており、原告羽鳥に被告が開示した文書の信憑性には大きな疑問符が付くのである。なお、このことについては、別途、原告小川が平成28年11月4日に、公文書不開示決定処分取消請求事件として被告を提訴している。
 被告が定めた群馬県環境影響評価条例(平成11年6月12日施行)の目的には、「その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。」と記載されてある。まさに放射能汚染問題は、将来の県民の健康に直結する重大な問題であるにもかかわらず、被告群馬県には全くその認識と姿勢が見られない。これでは被告の怠慢であると言わざるを得ない。
 さらに、同条例第4条の技術指針には、大澤知事の責務が次のとおり書かれている。
第四条 知事は、既に得られている科学的知見に基づき、環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法の選定その他の環境影響評価を行うために必要な技術的事項に関する指針(以下「技術指針」という。)を定めるものとする。
2 知事は、技術指針について常に必要な科学的判断を加え、変更を行わなければならない。3 知事は、技術指針を定めるに当たっては、あらかじめ群馬県環境影響評価技術審査会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、技術指針を定めたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、技術指針の改定について準用する。

 しかし、大澤知事は、3.11の東日本大震災の影響による技術指針の改訂もせず、今回の排ガス量の運用の変更についても、群馬県環境影響評価技術審査会にも諮らず、公表もしていない。このことは、被告知事大澤正明を中心とした、群馬県庁全体の犯罪行為ともいうべき卑劣極まりない行為である。

(12)「(4)第9段落(8頁)」について
 被告は、このことについて「否認ないし争う」という。
 環境省の除染情報サイトに森林除染のことが記載されているが、この中で、国が除染の進捗状況について総点検を実施した際に、「これまでの知見を踏まえ、森林の除染についての追加的な対策として、以下の3つのエリアごとに基本的な考え方を示した(平成25年9月)。現在、この考え方に基づき、除染関係ガイドラインの改訂等、具体な取組を実施しているところです。」と書かれている。そして「除染は、住居等近隣における除染を優先的に行い、その他のところは、実証実験を行ったり、放射性物質の動態調査や流出対策をする」ということになっている。
 また、環境省は、現実的には、森林除染はできないことから、平成27年12月に、「森林除染はやらない」ことを決定している。ということは、森林内に立ち入ったり、間伐してはならないことになる。
 群馬県内の下水道で発生する汚泥の検査結果について、群馬県県土整備部下水環境課のホームページや新聞報道によれば、直近の四ヶ月連続して、放射性物質が検出されはじめているという。これは、森林内に留まっていた放射性物質が流出対策の遅れから、雨水とともに流れ出し、混入した可能性が大きくあると考えられる。このことについては、群馬県下水環境課に問い合わせしたところ、原因調査は全く行われておらず、「低いから大丈夫」とのんきなことを言っている始末である。
 群馬県は、3.11以来、汚染状況重点調査地域に指定された。一部の除染は進んだが、森林除染については全く実施されていないのが実情である。原子力規制委員会の東京電力福島第一原子力発電所周辺の航空機モニタリング(平成27年9月12日〜11月4日測定)の最新版を見ると、みなかみ、川場、南牧村、片品、中之条、みどり市などの空間線量は、除染対象となった0.23μsv/hを大きく超え、その基準の2~3.5倍の0.4~0.8μsv/hを示している。除染をしない限り、あるいは流出をしない限り、この値が、何百年も続くのである。
 このような悲惨で深刻な実態を、被告群馬県は、独自調査もせず、放置していることに原告ら県民・住民は疑問を抱かざるを得ない。県民の命、未来の県民の命を蔑ろにしているとしか言いようがないからである。
 したがって、被告大澤知事は、県民の命と赤城山を守るために、本事業に対する補助金の交付を直ちに停止する措置をとる必要があり、さらには、関電工が環境アセスメントを実施しないで済むようにした知事・大澤正明を始めとした被告群馬県ぐるみの不正行為は許しがたい。
 本請求事件を通じて、このような不正な実態を県民に広く明らかにし、被告の定めた群馬県環境影響評価条例を被告自身が蔑ろにして、環境アセスメントさえ行われない前橋バイオマス事業は、即刻、白紙撤回されなければならない。そのために、被告群馬県はただちに補助金の交付を停止しなければならない。

                              以 上
**********

■この裁判では、住民らの監査請求が、「関電工からまだ補助金交付申請が県に提出されていないから、財務行為自体が発生していない」という呆れた理由で門前払いされたことから、当会は地元市民団体とともに、法律に基づき、裁判所に提訴したものです。

 9月24日に開かれた第1回口頭弁論期日において、裁判長から、「念のため、補助金交付申請がその後出されたという状況の下で、もう一度住民監査請求をしておうように」との指揮を受けましたが、当会はその時点ですでに、前日の9月23日に2回目の住民監査請求を行っていました。

 その後、10月20日に住民らは県監査委員に対して陳述と追加証拠の提出を行いました。したがって、裁判長の指揮を先取りする形で現在、2回目の住民監査請求を行っていますが、群馬県監査委員事務局が補正命令を出してきたため、住民らがその対応に1週間ほど要したため、通常は9月23日に監査請求を提出したら、請求のあったその日から60日、つまり2か月以内に監査結果通知が出されることになりますが、この補正命令の対応に要した約1週間の期間は除外されるため、遅くとも11月30日頃までには監査結果通知が出されるものと見られます。

 来る11月18日(金)午前10時30分からの第2回口頭弁論期日には、大勢の方々に傍聴していただけるよう期待しています。読者の皆様もぜひ都合がついたら前橋地裁2回21号法廷にお越し下さるようお待ちしております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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