2017/11/24  23:15

【速報】アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示訴訟で東京地裁が原告一部勝訴判決!  群馬高専アカハラ問題

「主文1 被告が平成28年4月27日付で原告に対してした法人文書不開示決定のうち、別紙記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。」
 本日2017年11月24日(金)午後1時25分に、東京地裁第522号法廷で判決言渡しがあり、裁判長の声が法廷に響きました。2016年10月26日に東京地裁に情報不開示決定処分の取り消しを求める訴状を提出してからちょうど1年と1ヵ月が経過しようとしていました。
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とうとうこの日を迎えた東京地裁。


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 当日は朝10時に、群馬高専でこの裁判の訴訟代理人弁護士への費用支払いに関する殆ど黒塗り同然の決議書の情報開示を受けた後、東京に向かいました。午後1時25分からの判決言渡しに臨み、判決文を入手するためです。

 午前11時2分に高崎駅発の上越新幹線に乗り、ちょうど正午に東京駅に着きました。いつものように東京メトロ丸の内線に乗り換えて、霞が関でおり、12時半に東京地裁に着きました。地下の食堂で昼食を取り、5階の第522号法廷に着いたのは午後1時でした。法廷の開廷表には次の予定が記載されてありました。

*****東京地裁開廷表*****
522号法廷(5階)開廷表
平成29年11月24日 金曜日
●開始/終了/予定 10:20/10:40/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第332号/目黒区校長交際費支出損害賠償請求事件
○当事者      須藤甚一郎/目黒区長
○代理人       ―  /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 10:45/10:55/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第372号/裁決取消等請求事件
○当事者      ミランダ・ポールジョン/国
○代理人          ―     /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成25年(行ウ)第263号/法人税更正処分取消請求事件
○当事者      上村工業株式会社/国
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第499号/法人文書不開示処分取消請求事件
○当事者      市民オンブズマン群馬/独立行政法人国立高等専門学校機構
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳

●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第246号/採決取消等請求事件
○当事者      ヤガワ・ローリイター・パグラヤン/国
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
**********

 午後1時15分過ぎに、法廷の傍聴人席の入口ドアの施錠が外されるまで、隣の待合室にいると、高専機構の総務課職員のかたが先に待機していました。挨拶をしましたが、原告と一緒にいるのは居心地がよくないためか、職員のかたはまもなく廊下に出て行ってしまいました。傍聴席入口が開けられると、当会と機構職員を含め10数名の傍聴者が傍聴席に着席して、判決言渡しの開始時刻を待ちました。

 午後1時25分に始まった判決言渡しは、開廷表の順番に行われました。最初の事件では「原告請求を棄却する」と、いつも聞きなれたセリフが裁判長から告げられました。「やはり今回もこれと同じセリフが告げられるのだろうか」という思いが、脳裏をよぎりました。

 続いて群馬高専のアカハラ問題に関して当会が提起した事件の判決言渡しです。裁判長の口を注視していると、裁判長は淡々と冒頭のセリフを読み上げたのでした。

 3件の判決言渡しを終えると裁判長は陪席裁判官2名を連れて、一礼をすると法廷を退出しました。

 傍聴席には3件の当事者らしき傍聴人が当会も含めて10数名着席して、3件の判決を静かに聞いていましたが、言渡しが終わるや否や、全員ゾロゾロと外に出ました。当会は、法廷内で後片付けをしている書記官に声をかけて「判決文はどこで受領できますか?」と訊ねました。

 すると佐藤書記官は「10階にある書記官室で判決文が交付されます」と教えてくれました。

■低層階のエレベータで9階に上がり、高層階のエレベータに乗り換えて10階にある書記官室に行きました。さっそく入ろうとすると携帯電話に当会会員からの電話が入ったため、話していると、目の前を藍澤弁護士と機構職員がちょうど書記官室から出てくるところでした。

 見ると手に判決文を持っていました。表情が二人とも硬いように見えたのは、完全勝訴ではなかったためでしょうか。被告の当事者の二人は足早にエレベータで下に降りてしまいました。早速、善後策でも打ち合わせるのかもしれません。

 当会会員からの電話が終わると当会も書記官室の窓口で、受領用紙に署名と押印をして、判決文を受け取りました。全部で23ページの判決文は次に示す通りです。
※判決文: PDF ⇒ 20171124niqnajnsjij.pdf

■内容の詳細は吟味中ですが、判決文3の「訴訟費用はこれを3分し、その2を原告の負担として、その余を被告の負担とする」と記されているように、原告としては大体3割程度部分勝訴した感じがいたします。

 アカハラの被害者が開示してもよいと認めた文書について、開示すべきという判断は判決文では示されておらず、かなり不満な内容ではありますが、すべて個人のプライバシーだとして不開示にしてきた群馬高専にとっては、思いもよらない結果だと推察されます。

 群馬高専=機構側が控訴するかどうかは、14日以内の動静を見極めないと何とも言えません。なぜなら、裁判所が今回示したのは原告と被告の双方の主張の間にひかれた線引きの位置なので、控訴しても大きく変動するとは思えないと判断するのか、あるいはオンブズマンに対して毅然たる態度を徹底してとる必要があると判断するのか、予断を許さないからです。

■引き続き、本件裁判の行方についてご注目ください。

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東京はヒートアイランド現象の為か、群馬県より紅葉が遅い。
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↑裁判所の前の歩道には大勢の人だかりが。
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リニア訴訟で集まった方々だ。
※リニア訴訟第7回口頭弁論(2017年11月24日午後2時30分から東京地裁第103号法廷)
http://blog.goo.ne.jp/ictkofu/e/aa8904ff92301fb9d75b5d9480e16eaa
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※東京地裁の判決文の全文
*****判決******
<P1>
平成29年11月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成28年(行ウ)第499号 法人文書不開示処分取消請求事件
口頭弁論終結日 平成29年9月1日
              判     決
   群馬県前橋市文京町一丁日1 5 − 1 0
      原     告      市民オンブズマン群馬
      同代表者代表       小  川     賢
   東京都八王子市東浅川町701番2
      被告兼処分行政庁     独立行政法人国立高等専門学校機構
      同代表者理事長      谷  口     功
      同訴訟代理人弁護士    本  村  美  隆
                   藍  滞  幸  弘
              主     文
 1 被告が平成28年4月27日付けで原告に対してした法人文書不開示決定のうち,別紙記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用はこれを3分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
              事実及び理由
第1 請求
 被告が平成28年4月27日付けで原告に対してした法人文書不開示決定を取り消す。
第2 本案の概要
 本件は,原告が,被告に対し,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)に基づき,その保有する法人文書の開示を請求したところ,被告から,法5条1後の不開示情報に該当するとしてその全部に

<P2>
つき開示をしない旨の決定(以下「本件不開示決定」という。)を受けたことから,同決定は違法であると主張し,その取消しを求める事案である。
1 関係法令の定め
(1)法人文書の定義及び開示請求権
  法2条2項本文は,法において「法人文書」とは,独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し,又は取得した文書,図面及び電磁的記録であって,当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして,当該独立行政法人等が保有しているものをいう旨を定め,法3条は,何人も,法の定めるところにより,独立行政法人等に対し,当該独立行政法人等の保有する法人文書の開示を請求することができる旨を定めている。
(2)法人文書の開示義務
  法5条柱書きは,独立行政法人等は,開示請求があったときは,開示請求に係る法人文書に同県各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該法人文書を開示しなければならない旨を定めている。
  そして,同条1号は,本文において,個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを掲げる一方で,ただし書において,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報(同号ロ),当該個人が公務員等(独立行政法人等の役員及び職員を含む。)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときにおける当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分(同号ハ)等を除く旨を定めている。

<P3>
  また,同条4号は,独立行政法人等が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公車かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ,(同号へ)等があるものを掲げている。
(3)部分開示
  法6条1項は,本文において,独立行政法人等は,開示請求に係る法人文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない旨を定める一方で,ただし書において,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない旨を定めている。
  同条2項は,開示請求に係る法人文書に法5条1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において,当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは,当該部分を除いた部分は,同号の情報に含まれないものとみなして,法6条1項の規定を適用する旨を定めている。
(4)公益上の理由による裁量的開示
  法7条は,独立行数法人等は,開示請求に係る法人文書に不開示情報が記録されている場合であっても,公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該法人文書を開示することができる旨を定めている。
2 前提事実(証拠等により認定した事実はその証拠等を掲記する。証拠等の掲記のない事実は,当事者問に争いがない。)
(1)当事者等
  原告は,地方公共団体等の不正,不当な行為の監視と是正を目的とする権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。

<P4>
  被告は,独立行政法人国立高等専門学校機構法及び独立行政法人通則法の定めるところにより設立された同法2条1項所定の独立行政法人であり,法2条1項により法の連用を受ける独立行政法人である。
  群馬工業高等専門学校(以下「本件高専」という。)は,被告が設置する国立高等専門学校である,本件高専には,機械工学科,電子メディア工学科,電子情報工学科,物質工学科,環境都市工学科の5つの学科があり,各学科の入学定員はそれぞれ40人(各学科の学生定員は5学年でそれぞれ計200人),各学科所属の教員はいずれも10人程度である。(甲15,弁論の全趣旨)
(2)本件不開示決定に至る経緯
 ア 原告は,平成27年6月26日付けで,被告に対し,次の文書について,法人文書開示請求(以下「本件開示請求」という。)をした。
 (ア)平成26年4月1日以降,請求日までの間に,本件高専内の関係者(教職員,学生を含む。)又は本件高専外の関係者(卒業生,同窓生,保護者を含む。)に対して学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書(以下「本件対象文書1」という。)
 (イ)平成26年4月1日以降,請求日までの間に,本件高専学内のハラスメント行為に関して,本件高専の校長ら幹部,総務課,学生相談室又はカウンセラー宛に,本件高専内(教職員,学生を含む。)又は本件高専外の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む。)から寄せられた申立てや相談などの一切の文書(以下「本件対象文書2」とい.う。)
 (ウ)上記(イ)の受付後,本件高専内において対応等を協議した場合は,その起案書や議事録などの一切の関連文書(以下「本件対象文書3」という。)
 イ 被告は,平成27年7月23日付けで,原告に対し,本件開示請求に係る文書については,その存否を答えることにより,ハラスメント行為に関

<P5>
して申立てや相談があったという事実の有無を示すことになるから,法8条により,その存否を明らかにすることができないとして,不開示決定をし,その旨の通知をしたが,原告の異議申立てがあったことから情報公開・個人情報保護審査会に諮問をしたところ,同審査会から,上記決定を取り消すべきである旨の答申を受けたため,平成28年4月27日付けで上記決定を取り消すとともに,同日付けで,原告に対し,本件対象文書1に該当する文書は3通,本件対象文書2に該当する文書は2通,本件対象文書3に該当する文書は1通あるが,いずれも個人情報を含み,公にすることによって個人の権利利益を害するおそれがあるから,法5条1号の不開示情報に該当するとして,上記文書全部の不開示決定(本件不開示決定)をし,その旨の通知をした。
3 争点及び当事者の主張
(1)法5条1号本文の特定の個人を識別することができる情報(以下「個人識別情報」という。)該当性(争点1)
 (被告の主張)
 ア 本件対象文書1に該当する文書
   本件対象文書1に該当する文書は,本件高専が同校の学生の保護者に対して,同校の内部者からハラスメントの申告があったこと,申告に対する同校の対応状況及び同校としての今後の対応方針を説明した書面3通である(以下,これらの3通を併せて「本件文書1」という。)。
   本件文書1には,いずれにも,@作成者の氏名・肩書,A作成年月日,B標題(配布対象者である保護者の属性(学科・学年を含む。以下同じ。)の記述を含む。),C申告の経緯,D申告された事実(申告者と申告の対象者との関係,申告者以外の行為の相手方の所属・属性),E本件   高専において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果),F申告の対象者への対応の概要,G学校

<P6>
としての今後の対応方針が記録され,CないしGの中には申告者及び申告の対象者の所属・属性の記述が含まれている。
  これらの情報(@,Aを除く。)は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方,調査担当者,調査対象者の各個人に関する情報であって,氏名の記述はないものの,本件高専のウェブサイトに掲載されているシラバス,学校だより等の資料や,原告のウェブサイトに掲載されている本件訴訟の訴訟記録等の情報と照合すると,上記の各個人が識別され得る情報であるから,法5条1号本文の個人識別情報に該当する,
 イ 本件対象文書2に該当する文書
   本件対象文書2に該当する文書は,本件高専の内部者が同校内におけるハラスメントとされる行為について同校校長に申告した書面と,同校内部者複数名が連名でハラスメントとされる行為について同校校長に申告した書面の2通である(以下,これらの2通を併せて「本件文書2」という。)。
   本件文書2には,いずれにも,@作成者(申告者)の氏名・所属・属性,A作成年月日,B標題,C申告の経緯,D申告された事実(ハラスメントとされる行為に至った経緯,申告者と申告の対象者との関係,行為の具体的内容・時期・頻度,申告者が説明する被害の内容,申告者が見聞きした申告者以外の者を対象とする行為の内容。これらの中には,申告者以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述を含む,)が具体的に記録され,C及びDの中には申告者及び申告の対象者の氏名・所属・属性の記述が含まれている。
   これらの情報(A,Bを除く。)は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方,調査担当者,調査対象者,関係する教職員及び学生の各個人に関する情報であって,それらの個人が識別され得る情報であるから,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。

<P7>
 ウ 本件対象文書3に該当する文書
   本件対象文書3に該当する文書は,上記のハラスメントの申告を受けて,本件高専が事実関係を調査の上作成した書面1通である(以下,これを「本件文書3」という。)。
   本件文書3には,@作成者の氏名・肩書,A作成年月日,B標題,C申告の経緯,D申告された事実(ハラスメントとされる行為に至った経緯,申告者と申告の対象者との関係,行為の具体的内容・時期・頻度,申告者が説明する被害の内容,申告者が見聞きした申告者以外の者を対象とする行為の内容。これらの中には,申告者以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述を含む。),E本件高専において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果,これらの中には,関係当事者の氏名の記述を含む。)が具体的に記録され,CないしEの中には申告者及び申告の対象者の氏名・所属.・属性の記述が含まれている。
   これらの情報(@ないしBを除く。)は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方,調査担当者,調査対象者,関係する教職員及び学生の各個人に関する情報であって,それらの個人が識別され得る情報であるから,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。
  (原告の主張)
   本件開示請求の対象文書やその内容は不知であるが,本件文書1には,平成27年4月1日付けで本件高専校長が同校の特定の学科・学年の保護者宛に配布した文書が含まれ,また,本件文書2は,平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立番」及び平成27年2月25日付けの「人権・被害救済の申し立て」であると推測される。その余は争う。
(2)法5条1号ロの情報該当性(争点2)
 (原告の主張)

<P8>
  アカデミックハラスメントを受けた被害者(学生及び職員)はうつ病を発症したり自殺をしたりすることがあるところ,被害者の生命,健康,生活を保護するためには,ハラスメントの実態を記した文書を公表し,真相を究明し,責任の所在を明確化し,再発防止策を講じることが必要であるから,本件文書1ないし3に記録されている情報は,被害者が氏名等の開示に同意しない場合でない限り,法5条1号ロの情報に当たり,開示されるべきである。
 (被告の主張)
  法5条1号ロの情報に該当するか否かについては,情報を開示することにより,当該情報に係る個人の権利利益よりも,人の生命,健康,生活又は財産の保護の必要性が上回るかどうかという比較衡量により判断されるべきであるところ,本件においては,ハラスメントに係る事実は加害者とされる側と被害者とされる側の双方にとってプライバシー性の高い情報であり,その調査を行うことや,懲戒処分等を行うかどうかの判断は人事管理に関する事項として被告又は本件高専が行うべき事柄であって、本件文書1ないし3を開示することと,関係者の生命等の保護との関連性は,全くないか,極めて弱いものである。したがって,本件文書1ないし3に記録されている情報は,法5条1号ロの情報に該当しない。
(3)法5粂1号ハの情報該当性(争点3)
 (原告の主張)
  本件において,アカデミックハラスメントの加害者及び被害者の一部は独立行政法人等の教職員であり,加害者は本件高専の職務を遂行する過程で他の教職員や学生に対しハラスメントを行ったのであるから,本件文書1ないし3に記録されている加害者及び被害者のうち教職員の職及び職務遂行の内容に係る情報(氏名も含む。)は法5条1号ハの情報に当たり,開示されるべきである。
 (被告の主張)

<P9>
  本件文書1ないし3には,ハラスメントとされる行為の相手方の個人識別情報が記録されているところ,そのうち学生の個人識別情報は学生が「公務員等」に当たらないことから,また,教職員の個人識別情報はハラスメントとされる行為の相手方となったことが「職務遂行の内容」に当たらないことから,いずれも法5条1号ハの情報には当たらない。そして,懲戒処分等を受けることは公務員等に分任された職務遂行に係る情報とはいえないから「職務遂行の内容」に当たらないし,ハラスメントの行為者とされる人物の個人識別情報が「職務遂行の内容に係る情報」を含んでいると解する余地があるとしても,ハラスメントとされる行為の相手方の個人識別情報にも当たるから,結局,法5条1号ハの情報には当たらないというべきである,
(4)本件文書2及び3の法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)該当性(争点4)
 (被告の主張)
  本件文書2及び3は,本件高専がハラスメントに該当する事実の有無及び対象教職員への処分の要否を検討することを念頭に作成された書面であり,これらの書面が開示された場合には,今後ハラスメント等が疑われる事実が生じた場合に,関係者が文書開示をおそれて萎縮することなどが容易に想定され,関係者から事実関係を聴取する等の調査を実施して人事管理を行うことが困難となる。したがって,本件文書2及び3に記録されている情報は,作成年月日及び標題を除き,被告が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるから,法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)に該当する。
 (原告の主張)
  争う。
(5)法6条による部分開示をしないことの適法性(争点5)

<P10>
(原告の主張)
  本件文書1ないし3のうち,氏名等の個人識別情報とそれ以外のアカデミックハラスメント事件の存在及び経緯に関する情報等とは容易に区分可能であり,前者については不開示情報に当たるとしても,被告は,少なくとも後者について法6条により部分開示をしなければならなかったところ,全部不開示とした本件不開示決定は違法である。
  被告は,後者も関係者のプライバシーに関わる情報である旨主張するが,本件文書1のうち,本件高専において行った調査の期間・概要・方法に関する情報は特定の個人のプライバシーに関わる情報とはいえないし,本件高専の申告の対象者への対応の概要に関する情報については,これまで加害者について懲戒処分が行われておらず非公式な方法により上記の対応が行われたと考えられることからすると,対応の内容から特定の個人を識別することはできない。また,同文書は本件高専の学生及び保護者に既に配布されていることから,開示されたとしても加害者には特段の不利益は生じない。
  本件文書2のうち,ハラスメント行為の具体的内容が被害者側のプライバシーに関わる情報に当たるとしても,当該被害者が開示に同意した場合には,その人物に係る情報は開示されるべきであり,現に,被害者らの多くが原告に対し開示に同意する意思を示しているところ,被告は,同意の有無を確認した上で,同意を得られた人物に係る情報を開示するべきである。
  本件文書3のうち,調査方法,調査に至った経緯,調査結果の中に含まれているはずの被告又は本件高専が導き出した結論は,氏名・所属・職位等の情報を除けば,個人識別情報に当たらず,特定の個人の権利利益を害するおそれもない。また,調査対象者から提供された情報について,当該対象者が開示に同意した場合に開示されるべきことは,本件文書2について述べたところと同様である。
  不開示情報が記録された部分を除いた部分に有意性がない旨の被告の主張

<P11>
は争う。
 (被告の主張)
  本件文書1ないし3に記録されている情報のうち,申告の経緯,申告された事実,本件高専において行った調査,申告の対象者への対応の概要に関する部分は,氏名等を除いた部分も,その内容からして,申告者,申告の対象者,ハラスメントとされる行為の相手方,関係する教職員及び学生,調査対象者等の個人識別情報に当たる上,公にすることによりこれらの者のプライバシーが害されるおそれがあるから,法6条2項により部分開示をすることは相当でない。
  また,前記(4)の被告の主張のとおり,本件文書2及び3に記録されている情報のうち,文書の作成年月日及び標題を除いた部分は,法5条4号の情報にも該当する。
  そして,本件開示請求の趣旨が,アカデミックハラスメント事件の存在及び経緯に関する情報の公開にあると解されることからすれば,本件文書1ないし3のうちその余の部分には,有意の情報が記録されていないことが明らかであるから,法6条1項ただし書により,部分開示をしなくても違法にはならないというべきである。
(6)法7条による数量的開示をしないことの適法性(争点6)
 (原告の主張)
  本件開示請求の対象文書を開示することにより,アカデミックハラスメントの存在,実態,経過が明らかになり,第三者が,加害者への処分,被害者への謝罪やケア,本件高専の事件への対応や再発防止策が妥当であったかどうかを検証することが可能となり,アカデミックハラスメントの被害者の権利回復につながる上,中学生の進学先の判断材料にもなるから,公益に資する。したがって,本件開示請求の対象文書に不開示情報が含まれているとしても,二次被害が発生するおそれがある現在在籍中の被害者に係る個人情報

<P12>
を除き,法7条により裁量的に開示されるべきである。
 (被告の主張)
  争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(法5条1号本文の個人識別情報該当性)について
(1)本件対象文書1に該当する文書について
 ア 証拠(甲14,乙5の1ないし3,)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
   本件対象文書1に該当する文書は,本件高専校長が同校の学生の保護者宛に配布した平成27年4月1日付けの書面2通及び同年6月2日付けの書面1通の計3通(いずれも全1頁のもの。本件文書1)であり,いずれも,同校校長が同校の学生の保護者に対して,同校の内部者からハラスメントの申告があったこと,申告に対する同校の対応状況及び同校としての今後の対応方針等を説明した書面である。
   本件文書1には,いずれにも,@作成者である本件高専校長の氏名・肩書,A作成年月日,B標題(配布対象者である保護者の属性の記述を含む。)のほか,Cハラスメントの申告の経緯,D申告された事実(申告者と申告の対象者との関係,申告者以外の行為の相手方の所属・属性),E本件高専において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果),F申告の対象者への対応の概要,G学校としての今後の対応方針が一定程度具体的に記録され,CないしGの中には申告者及び申告の対象者の所属・属性の記述が含まれているが,@を除いて個人の氏名の記述はない。
 イ 上記認定事実によれば,本件文書1には,いずれにも,上記アのBにおいて配布対象者である保護者の属性(申告者や申告の対象者の所属・属性を推測させる記述であるといえる。),同CないしGにおいて申告者,申

<P13>
告の対象者及び申告者以外の行為の相手方の所属・属性,同Eにおいて調査担当者の所属・属性の各記述があり,同CないしGの記載内容も一定程度具体的であることに加え,本件高専の各学科の学生数がいずれも1学年当たり40人程度であり,各学科の所属教員数がいずれも10人程度であること(前提事実(1))も併せて考慮すると,同BないしGの情報は,個人の氏名の記述がないとしても,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方及び調査担当者の各個人に関する情報であることは明らかであり,かつ,本件高専の教職員や学生は上記各個人を識別することができ,また,第三者も本件高専のウェブサイトに掲載されている学校要覧,シラバス,学校だより等の本件高専の教職員や卒業生の所属・属性や実名の記載(甲15,弁論の全趣旨)と照合することにより,上記各個人を識別することができると解される。
  したがって,本件文書1に記録されている上記アのBないしGの情報は,法5粂1号本文の個人識別情報であると認められる。
 ウ なお,被告は,上記アの@及びAの情報については不開示情報に当たる旨の主張をしていないから,これらの情報は不開示情報ではないと認められる。
(2)本件対象文書2に該当する文書について
 ア 証拠(甲11,12)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
   本件対象文書2に該当する文書は,本件高専の内部者が同校校長ら宛に提出した,同校内におけるハラスメントの被害状況等を申告する内容の平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立書」1通(全14頁のもの)と,同校の内部者複数名が連名で同校校長ら宛に提出した,ハラスメントの被害を受け又はそれを見聞きした内郭者らから聴取した被害伏況等を報告する内容の平成27年2月25日付けの「人権・被害救済

<P14>
の申し立て」1通(全12頁のもの)の計2通(本件文書2)である,
   本件文書2には,いずれにも,@作成者(申告者)の氏名・所属・属性,A作成年月日,B標題,C宛先(本件高専の校長らの氏名・肩書),D申告の経緯,D申告された事実(申告者又は被聴取者(以下「申告者等」という。)がハラスメントを受けるまでの経緯,申告者等と申告の対象者との関係,申告者等に対するハラスメントの具体的内容・時期・頻度・結果(心身や業務・学業への被害状況等),申告者等が見聞きした申告者等以外を対象とするハラスメントに当たり得る行為の具体的内容・結果)が相当程度詳細に記録され,D及びEの中には申告者等及び申告の対象者の氏名・所属・属性の記述が含まれており,Eの中には,申告者等以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述が含まれている。
 イ 上記認定事実によれば,まず,上記アの@が作成者(申告者)に関する情報であって,個人を識別することができるものに当たることは明らかである。また,同D及びEも,申告者等,申告の対象者,申告者等以外の行為の相手方その他の本件高専の内部者(教職員・学生)らの氏名・所属・属性の記述がある上,その他の内容も相当程度詳細であることからすれば,申告者等,申告の対象者,申告者等以外の行為の相手方その他の本件高専の内部者(教職員・学生)らの各個人に関する情報であって,それらの個人を識別することができるものに当たると解される。
   したがって,本件文香2に記録されている上記アの@,D及びEの情報は,法5条1号本文の個人識別情報であると認められる。
 ウ なお,被告は,上記アのAないしCの情報については不開示情報に当たる旨の主張をしていないから,これらの情報は不開示情報ではないと認められる。
(3)本件対象文書3に該当する文書について
 ア 弁論の全趣旨によれば,本件対象文書3に該当する文書は,上記のハラ

<P15>
スメントの申告を受けて,本件高専が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面1通(本件文書3)であり,本件文書3には,@作成者である本件高専の教職員の氏名・肩書,A作成年月日,B標題,C申告の経緯,D申告された本実(ハラスメントとされる行為に至った経緯,申告者と申告の対象者との関係,行為の具体的内容・時期・頻度,申告者が説明する被害の内容,申告者が見聞きした申告者以外の者を対象とする行為の内容。これらの中には,申告者以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述を含む。),E同校において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果。これらの中には,関係当事者の氏名の記述を含む。)が具体的に記録され,CないしEの中には申告者及び申告の対象者の氏名・所属・属性の記述が含まれていることが認められる。
 イ 上記認定事実によれば,上記アのCないしEは,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方及び調査担当者の氏名・所属・属性の記述がある上,その他の内容も具体的であることからすれば,上記各個人に関する情報であって,それらの個人を識別することができるものに当たると解される。
   したがって,本件文書3に記録されている上記アのCないしEの情報は,法5条1号本文の個人識別情報であると認められる。
 ウ なお,被告は,上記アの@ないしBの情報については不開示情報に当たる旨の主張をしていないから,これらの情報は不開示情報ではないと認められる。
2 争点2(法5条1号ロの情報該当性)について
 法5条1号ロが,同号本文の個人に関する情報であっても,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」についてはこれが記録された法人文書を開示すべき旨を定めているのは,

<P16>
個人に関する情報であっても,それを不開示とすることにより当該個人の権利利益を保護する必要性よりも,人の生命,健康,生活又は財産を保護する必要性が上回るときは,当該情報を開示する必要性及び正当性が認められることから,当該情報を開示すべきものとしたものと解されるから,「公にすることが必要であると認められる」とは,当該情報を不開示とすることにより保護される当該個人の利益と開示することにより保護される人の生命,健康,生活又は財産に係る利益とを比較衡量し,後者の利益が前者の利益に優越する場合をいうものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると,前記1のとおり,本件文書1ないし3には,ハラスメントと申告されている行為の行為者(申告の対象者)及び相手方(申告者その他の者)が識別され得る情報が記録されており,かつ,これらの者の高度のプライバシーに関わる内容が記録されているところ,本件文書1ないし3を不開示とすることにより,これらの者のプライバシーを保護する必要性は大きいといえる一方,これらを開示することにより直ちに人の生命,健康,生活又は財産が保護される関係にあるとはいい難い。
 原告は,本件文書1ないし3を開示することにより,ハラスメントの真相究明,責任の所在の明確化,再発防止策の確立が図られ,うつ病を発症することなどがあり得る被害者の生命,健康,生活を保護することができるから,被害者が開示に同意しない場合でない限り,法5条1号ロの情報として開示すべきである旨を主張するが,前記1において認定した本件文書1ないし3の記載内容に照らすと,これらを開示することにより,ハラスメントと申告されている行為の行為者(申告の対象者)及び相手方(申告者その他の者)のプライバシーが侵害されることが具体的かつ確実に予測される(なお,これらの者を含め,本件文書1ないし3に記録された個人識別情報に係る各個人が,その開示に同意していることを認めるに足りる的確な証拠はない。)のに対し,ハラスメントの被害者のうつ病の発症等を予防し得るとか,生命,健康,生活を保護する

<P17>
ことができるという期待はいまだ抽象的なものにとどまるといわざるを得ないから,原告の上記主張は採用できない,
 したがって,本件文書1ないし3に記録された前記1の個人識別情報が法5条1号ロの情報に該当するということはできない。
3 争点3(法5条1号ハの情報該当性)について
 原告は,本件におけるアカデミックハラスメントの加害者及び被害者のうち教職員である者に関する情報は,法5条1号ハの情報に該当する旨を主張する。
 しかしながら,法5条1号ハの「職務の遂行に係る情報」は,公務員等として分任する職務の遂行に係る情報をいうと解されるところ,原告が主張するハラスメントが本件高専の教職員から他の教職員に対して行われたものであるとしても,被害者としてハラスメント行為を受けることやハラスメント行為の被害に関し調査を受けることは本件高専の教職員として分任する職務の遂行に係る情報とはいえず,また,ハラスメント行為をした加害者として申告を受けることやそれについて調査を受けることも本件高専の教職員として分任する職務の遂行に係る情報とはいえない。
 したがって,本件文書1ないし3に記録されたハラスメントと申告されている行為の行為者及び相手方に係る前記1の個人識別情報は,法5条1号ハの「職務の遂行に係る情報」に該当せず,同号ハの情報を含むものではないというべきである。
4 争点4(本件文書2及び3の法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)該当性)について
 前記1において認定したとおり,本件文香2は,本件高専の内郭者がハラスメントの被害状況等を同校校長らに対し申告した書面であり,そのような書面が開校校長らに提出されることにより,本件高専における事実関係の調査の契機となり,また,それ自体,懲戒処分や人事異動等の人事管理に係る事務の資料となり得るものである。また,本件文書3は,上記の申告を受けて,本件高

<P18>
専が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面であり,懲戒処分や人事異動等の人事管理に係る事務の資料となり得るものである。そして,これらのハラスメント被害の申告書面やその調査に関する書面には,一般的に,ハラスメントと申告されている行為の行為者及び相手方のいずれにとってもプライバシー性が高く,通常秘匿にすることを欲する情報が記載されているものと解され,現に,前記1及び2において認定・説示したとおり,本件文書2(作成年月日,標題及び宛先の部分を除く。う及び本件文書3(作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題の部分を除く。)にもそのような情報が記録されていることが認められる。そうすると,これらが開示された場合には,今後,自身のプライバシーに関わる情報が保護されないことをおそれて,ハラスメント等について関係者が申告をすることや調査に応じることに萎縮し,被告が人事管理に係る事務を行うのに必要な情報を十分に収集することや記録化することが困難となるおそれがあるというべきである。
 したがって,本件文書2(作成年月日,標題及び宛先の部分を除く。)及び本件文書3(作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題の部分を除く。)に記録されている情報は,被告が行う事務又は事業に関する情妬であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるということができるから,法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)に該当すると認められる。
5 争点5(法6条による部分開示をしないことの適法性)について
(1)前記1のとおり,本件文書1のうち,別紙記載1(1)の部分に記録されている情報(作成者の氏名・肩書及び作成年月日)は不開示情報ではない。また,前記1ないし3のとおり,本件文書1に記録されているその余の情報は不開示情報である法5条1号本文の個人識別情報であるが,証拠(乙5の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,これらのうち別紙記載1(2)の部分に記録されている情報(本件高専の教職員,学生及びその保護者に係る所属

<P19>
・属性を除いた情報)は,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがない情報と認められるから,これらの情報は,法6条1項の適用においては,法5条1号の情報に含まれないものとみなされる(法6条2項)。そうすると,本件文書1のうち,不開示情報が記録されている部分は,別紙記載1の部分を除いた部分となる。そして,証拠(甲14,乙5の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,これらの部分は,本件文書1から容易に区分して除くことができるものと認められ,当該部分を除いた部分に有意の情報(有意かどうかは客観的に定まり,開示請求者の主観的意図に左右されるものではない。)が記録されていないと認めることもできないから,被告は,法6条1項により,上記不開示情報が記録されている部分を除いた部分(別紙記載1の部分)につき開示すべき義務を負うというべきである(法6条1項)。
(2)次に,前記1ないし4のとおり,本件文書2及び3には,不開示情報である法5条1号本文の個人識別情報及び同条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)が記録されているが,本件文書2のうち別紙記載2の部分に記録されている情報(作成年月日,標題及び宛先)及び本件文書3のうち別紙記載3の部分に記録されている情報(作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題)は,上記のいずれの不開示情報にも該当しないところ,上記の不開示情報が記録されている部分(別紙記載2及び3の部分を除いた部分)は本件文書2及び3から容易に区分して除くことができ,残余の別紙記載2及び3の部分に有意の情報が記録されていないと認めることもできないから,被告は,法6条1項により,本件文書2のうち別紙記載2の部分及び本件文書3のうち別紙記載3の部分につき,開示すべき義務を負うというべきである。
  原告は,本件文書2及び・3について,法人文書に個人のプライバシーに関する情報が含まれるとしても,当該個人が開示に同意した場合には,その人物に係る情報は開示されるべきである旨の主張をする。しかしながら,前記4のとおり,本件文書2及び3に記録されている個人のプライバシー関す

<P20>
る情報は,法5条4号へのおそれがあるものとして同号の不開示情報にも該当するものであるところ,同号へのおそれは,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれをいうから,当該文書に係る当該個人がたまたまその開示に同意したからといって,今後における上記のおそれがなくなるというものではない。したがって,原告の上記主張は採用できない。
(3)以上のとおり,被告は,原告に対し,本件文書1のうち別紙記載1の部分,本件文書2のうち別紙記載2の部分及び本件文書3のうち別紙記載3の部分につき開示すべき義務を負うから,本件不開示決定は,これらの部分につき開示をしなかった点で,違法である。
6 争点6(法7条による裁量的開示をしないことの適法性)について
 原告は,本件開示請求の対象文書を開示することにより,第三者がハラスメント行為の加害者及び被害者として申告された者への本件高専の対応及び再発防止策等の妥当性を検証することが可能となり,被害者の権利回復につながる上,中学生の進学先の判断材料にもなるから,公益に資する旨を主張するが,これまで述べたところからすれば,本件文書1ないし3は,前記5のとおり被告が部分開示をすべき義務を負う部分を徐き,これを開示することによりノヽラスメント行為の加害者及び被害者として申告された者等の高度のプライバシーが侵害されるおそれや被告における公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれが具体的かつ確実性のあるものとして認められる一方,本件文書1ないし3を開示することによる被害者の権利回復や中学生の進学先の判断材料の提供という効用はいまだ抽象的なものにとどまるといわざるを得ない。そうすると,被告が,本件文書1-ないし3を開示することが「公益上特に必要があると認めるとき」に当たらないとして,法7条により本件文書1ないし3を開示しなかったことが被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるということはできない。

<P21>
7 結論
 以上によれば,本件不開示決定は,別紙記載の各部分を開示しなかった点で,違法な処分として取消しを免れないが,その余の部分を開示しなかった点では適法なものというべきである。
 したがって,原告の請求は,主文第1項の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
  東京地方裁判所民事第3部

         裁判長裁判官   古   田   孝   夫

            裁判官   具 阿 彌       亮

            裁判官   志   村   由   貴

<P22>
(別紙)

1(1) 群馬工業高等専門学校長が同校の学生の保護者宛てに配布した平成27年4月1日付けの書面2通及び同年6月2日付けの書面1通のうち,作成者の氏名・肩書及び作成年月日の部分
 (2) 前記(1)の各書面のうち,群馬工業高等専門学校の教職員,学生及びその保護者に係る所属・属性(学科・学年を含む。)を記述した部分を除く部分(上記(1)の部分を除く。)
2(1) 群馬工業高等専門学校の内郭者が同校校長ら宛に提出した平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立書」1通のうち,作成年月日,標題及び宛先の部分
 (2) 同校の内部者複数名が連名で同校校長ら宛に提出した平成27年2月25日付けの「人権・被害救済の申し立て」1通のうち,作成年月日,標題及び宛先の部分
3 前記2によるハラスメントの申告を受けて群馬工業高等専門学校が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面1通のうち,作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題の部分

<P23>
これは正本である。
 平成29年11月24日
  東京地方裁判所民事第3部
   裁判所書記官 佐 藤 春 徳
                     東京11-478184
**********
8



2017/11/26  8:34

投稿者:ひらく会情報部

>>「応援者」さんへ
 当会の活動にご支援くださり厚く御礼申し上げます。国の高等教育機関でりながら、これほど情報秘匿体質だとは当初は思いもよりませんでした。
 昨今、世間を騒がせている森友、加計問題を巡る一連の文科省官僚や政府の対応を見るにつけ、22年前に地元群馬県でオンブズマン活動を立ち上げたころから、行政の情報開示に関する姿勢は進歩どころか、あきらかに退歩している実情を痛感いたします。
 今回の「成果」を弾みにして、引き続き、群馬高専の開かれたキャンパス実現に一歩でも近づけるよう、微力ではありますが、全力を傾注してゆく所存ですので、引き続きご支援くださるようお願いいたします。
  市民オンブズマン群馬事務局より

2017/11/25  10:43

投稿者:応援者

お疲れ様です。
機構の飼い犬の銀座の弁護士を使って、国側絶対有利と言われる行政事件で、ホームとアウェーで、それでも処分取り消しが避けられなかったのですから、群馬高専の元々の主張がどれほど常軌を逸していたかという話だと思います。

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