水余り?クマタカ?そんなの関係ねえ!増田川ダムに固執する岡田市長の真の目的  困ったちゃん岡田前市政

■利権大好き、環境オンチの岡田市長がまたやってくれました。あのダム好きな群馬県行政さえサジを投げようとしている増田川ダム計画に対して、ただひとり、ブレることなく計画推進に邁進する決意を、毎月恒例の定例記者会見の席上、岡田市長が披露したのです。

 わが道を行く、というか、他人の忠告を聞きたがらない、岡田市長らしい発言ですが、まずは、5月27日の定例会見に関する報道記事をみてみましょう。

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安中・増田川ダム計画 岡田市長が建設要請へ
 安中市の岡田義弘市長は5月27日の定例会見で、県が同市松井田地区に計画している増田川ダムについて、「県から休止へ向けた話をいただいている」と述べ、休止の検討に向けて打診を受けたことを明らかにした。岡田市長は県が本年度中に予定する再評価委員会に出席し、ダム建設の必要性を訴えたい考え。
 同ダムをめぐっては、富岡市が今年3月末に一日2千トンだった上水道の取水を見送り、ダム計画への参画中止を決めたほか、県も富岡市の決定を受けて、事業凍結に向けて準備を進めている。
 安中市は同5千ンの取水を見込み、岡田市長は「富岡市と一緒に計画から撤退することはない。安中市は地盤が丈夫で、企業側から進出希望の声が多い。売却済みで造成中の工業団地のため、この5千トンは必要」「今後さらに計20万平方メートルの工業団地を作る予定で、そこへ送る水がさらに必要」などと主張し、県に計画存続を要請する考えを示した。同市で鉄道トンネル3本から出る一日計数千トン規模の湧き水が利用されていない実態には「水には余裕を持っていないと渇水期などに困る」と述べた。
 計画地一帯に環境省が絶滅危惧種に認定する「クマタカ」など貴重な鳥類が飛来している現状には「環境保護は重要な課題で配慮が十分必要だが、県が対策をするべきだ」と指摘した。
 一方、県幹部は「岡田市長には富岡市の撤退が決まった後『(計画について)立ち止まって考えましょう』と伝えた。ただ計画の方向性を決めるのは再評価委員会で、岡田市長が出席できるかは分からない」と話している。
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 この岡田市長の「県から休止の検討打診を受けた」とする発言内容について、6月1日の群馬県議会の一般質問で、地元の岩井県議(自民)が大沢知事に質問したところ、大沢知事は、「県と市とのさまざまな意見交換の中で、一つのケースとして話し合われたと報告を受けた」と述べて、事実上認めました。知事は、県が本年度中に開く同ダム建設などの公共事業再評価委員会についても、「安中市と十分に話し合う必要がある」と述べ、同委員会の開催前に安中市から代替水源などの要望を聴く意向を示しました。


■ところで、増田川ダム計画の大幅な見直しは今に始まったことではありません。平成21年2月24日に、増田川ダムから上水道の取水を予定していた富岡市は、「増田川ダム建設(第一簡易水道事業)再評価委員会」を開き、現行で一日2千トンの取水を全面的に見送り、ダム建設からの撤退を求める提言をまとめたのでした。富岡市は提言を踏まえて報告書を作成し、今年3月末までに県を通じて厚生労働者へ提出しました。

 増田川ダムの建設計画では、安中市自身が2007年末に取水量の大幅削減を決め、これをうけて大沢知事は08年2月の定例県議会で「費用対効果を考え(建設を)慎重に検討する」と計画の見直しを示唆していました。そこに、今度は富岡市の撤退宣言です。

 富岡市の再評価委は昨年11月に、同市内の有識者7人で初会合を開き、今年2月の第2回会議で撤退という結論を出しました。富岡市は旧妙義町地域で上水道取水量が一日約1千トン不足していますが、富岡市が道平川ダム(下仁田町)に持つ水利権に同1干トン以上の余裕があります。増田川ダムから取水するとなると、導水管などに多額の設備投資が必要となるため、富岡市は、10年以上前から県に施設負担金を払ってきましたが、道平川ダムから取水した方が採算性も高いと判断したわけです。

■こうして四面楚歌の状況になっても、なぜ岡田市長は、増田川ダム計画を進めたいのでしょうか。それは、利権のこともさりながら、世話になったタゴの尻拭いのために、できるかぎり公共事業をたくさんでっち上げて、安中市土地開発公社のために仕事をひねり出し、それを名目に安中市から公金を事務費の形で支出して、群馬銀行への和解金に充当できるようにしたいからに他なりません。

 増田川ダムは総事業費約380億円。安中市は給水人口の減少を背景に、07年に取水量を当初の一日約2万4千トンから5分の1ほどの同5千トンに削減させました。岡田市長は、工業用水として、この5千トンの確保が何としても必要だと主張していることになりますが、家庭でも産業界でもいまや節水は常識となっていることに、岡田市長は全く無関心のようです。

■一方、こうした富岡市の動きを受けて、群馬県の大沢知事は、平成21年2月26日の県議会一般質問でも、「県の再評価委員会で早期に再評価を実施していただきたい」と述べ、ダム計画を審議する2010年度の県公共事業再評価委員会を09年度の早い段階に一年前倒しする方針を表明していました。計画存廃を含めた大幅な見直しが検討される見通しとなっています。前倒しされるのは、主に冶水面を協議する再評価委ですが、県河川課は「ダム建設の存続を判断する委員会になる」との認識を示しています。

 安中市によると、長野新幹線の秋間、一の瀬の両トンネルでわき水があり、07年度で一日計1500トンの未活用水量があり、さらに07年に旧信越線のトンネルから一日最大2千トンのわき水も発見され、ダムから5千トンを取水する必要性は低下しています。このため、群馬県河川課は「安中、富岡の両市長と協議してから、再評価委員会を開きたい。委員会は(利水面でダムの必要性が低下する中)治水面では必要なのかを考える位置付けとなる」としています。

 しかし、群馬県知事も河川課も、八ッ場ダムの建設は見直そうという考えは微塵もありません。また、増田川ダム計画をこれまで、10数年間にわたり推進してきて、莫大な公金を投じてきた責任も、まったく取るつもりは無い様子です。この有様を見ると、政治家や役人というのは、つくづく無責任な連中だなあと、呆れてしまいます。

■この増田川ダムについては、以前から当会も含めていろいろな市民団体による反対運動が盛んに行われていました。いま、ようやく群馬県が方向転換をしたわけですが、これまで市民がアピールしてきたことが、正しかったことが証明されたことになります。

 当会では、増田川ダム問題について、平成15年(2003年)2月20日安中市民通信「まど」第86号に特集記事を掲載したことがあります。今、読み返しますと、一般市民らが指摘していたことに、行政が謙虚に耳を傾けていれば、莫大な税金の無駄遣いは避けられたのに、と強く思います。あらためて、6年前の状況を回想してみましょう。

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■特集・増田川ダム ダム建設で水道料大幅値上がりか

<増田川ダム計画>
 最近、群馬県内でも幾つかのダムの計画中止が決まったものの、八ツ場ダム工事をはじめ、倉渕ダムの計画が進められており、脱ダム宣言をした隣の長野県とまったく対照的です。そうした中で、安中市を流れる九十九川の上流の増田川にもダムを設置する計画を群馬県が進めています。増田川ダム計画です。【注・倉渕ダム問題については、「まど」02年9月号参照】
 この計画は、県が1991年に調査に着手した多目的ダムで、増田川の洪水軽減や、安中市や松井田町、妙義町への水道水供給が主な目的とされています。県は平成13年(2001年)度の完成を目指していましたが、実際の建設工事はまだ行われておらず、1999年から環境影響評価(環境アセスメント)が始まっている段階です。

<県知事に計画中止の申入書>
 こうした中、群馬県が松井田町に建設を計画している増田川ダムに関して、先日、県と地元の市民団体が現地視察会と自然環境に関する講演会を開催するというので当会も参加しました。
 この市民団体は、2002年11月12日に小寺知事宛てに建設中止の申入書を提出しています。この中で、計画中止の理由として次の点を挙げています。
1 経済的問題
@増田川ダム計画は、昭和59年、湯浅正次安中市長、中山治秀松井田町長の陳情が発端だが、当時は高度経済成長の時代でバブル崩壊、デフレ経済の現在では実態から離れている。
A安中市と松井田町が経営する碓氷上水道企業団は平成13年度決算で、3.5%需要が減少。同年の見直しで、給水対象人口6万6千人(安中市4万9千人、松井田町1万7千人)を、将来計画としてそれまでの8万人を7万人に下方修正したが、30年後を予想すればさらに下がる。
B大口需要の観点からは、新幹線安中榛名駅前のJRによる住宅分譲開発も期待できない。
最大の需要家の信越化学も節水しており、水需要は長期的には減少する見込み。
C新幹線トンネルからの湧水で、日量4万5千トンの給水が可能で、7月の需要ピーク時も十分給水できる現状。給水能力は十分あり、水系の違う妙義町にも供給している。
Dダム建設により、水道料金の値上げが必然となる。今でも安中市の下水道料金が上水道の10割と高く、市民の節水が始まっている。
E水害防止というが、ダムで水害防止はできない。むしろ日常渇水となり、大雨時には急激に増水してかえって危険。
2 環境問題
@身近な自然に関心が高まるなか、松井田町には上信越高原国立公園、妙義荒船佐久高原国定公園があり、素晴らしい自然を次世代に伝えることが大切。
Aダム計画予定地には、県の野生動物リストで絶滅の恐れがあるとして公表されたホンドカヤネズミ(絶滅危惧U種)、オオタカ(絶滅危惧U種)、クマタカ(絶滅危惧I種)、ナガレタゴガエル(注目種)、ワラビハバチ(注目種)ヤマトクロスジヘビトンボ(準絶滅危惧種)、ルリボシヤンマなどが生息し、保護が必要。とくにホンドカヤネズミ、ナガレタゴガエル、ルリボシヤンマ、ヤマトクロスジヘビトンボは、移植が不可能なのでダム工事により死滅せざるを得ない。
Bオオタカ、クマタカの他にも、松井田町ではイヌワシも確認されている。植物連鎖の頂点に存在する猛禽類の存在は豊かな自然が残っている証拠。環境影響評価準備書では、2年間でオオタカが202回、クマタカが67回、ノスリが272回、ハイタカが52回確認された。オオタカは毎年繁殖していることが報告されており、豊かな生態系の保全が必要。
C工事に伴い多数の車両、機械で大気汚染、騒音、振動が発生予想される。また、中川の水を導水管で増田川ダムに引く計画は、中川の水流が激減し、枯渇により、水環境・生態系に壊滅的打撃を与える。
 この申し入れに対し、群馬県河川課は、「県営ダム計画の再検討で、01年、増田川ダムについて堤高を下げるなど、規模縮小で総貯水量は580万トン、総事業費も399億円から378億円に縮小している」「オオタカの営巣が確認されたことなどは事実だが、ダム計画を変更しなければならない種類のものではない。今後、保全対策を行っていく」と話して、建設方針は変更しない姿勢を取り続けています。(11月13日毎日紙)

<現地視察会の様子>
 2月9日(日)に行われた現地視察会では、まだ日陰に圧雪が残る県道渋川松井田線をどんどん上り、左手に自動販売機のある付近に駐車。このあたりがダム建設場所とのこと。川に下りると県が設置した電話回線利用の水位記録装置が設置されているのが見えました。この上流には人家が4〜5軒あり、生活していますが、いずれも水没予定地なので移転が必要とのこと。
最近、新しく住み始めた人もいますが、補償金目当てと噂されています。
 同行した日本自然保護協会の講師の説明によると、川沿いに田畑があるためか、石に附着しているのは緑藻類であり、褐色の珪藻類が特徴の深山渓谷の清冽な水ではなく、若干富栄養化した水質で、アユは良く太るが味は今ひとつで、いわゆる里山の水環境に分類されるという。たしかに、川にある石をはぐると、カワムシがたくさん確認できます。護岸工事の手があまり加えられていない景観は好ましく感じます。水量は毎秒0.3トン程度のように見えましたが、県の役人の話では、ダム完成後、締め切れば僅か3ケ月で満杯になるとのこと。
 次に、南隣の中川に向かいました。渓谷沿いの道路は雪や氷に覆われ、四駆でないと進めません。20分ほど行くと、中川から導水トンネルで増田川に水を引く為の分水堰を建設する予定地付近に着きました。国有林に囲まれ、川岸には大きなケヤキなど雑木が生えており、景色はまさに雪国。予定地と思われる場所には、砂防ダムが設置されていました。ここに新しく堰を作り、中川の水を最大毎時110トン導水できる全長1.3キロ、断面積6〜11平米のトンネルを掘削するそうです。中川の見た目の流量は増田川の3分の2程度で、上流には人家はないため水質は良好です。
 いずれも、ダムや堰で川が仕切られると、下流の水生物の生態環境は壊滅的な打撃を受けることは必至です。

<ダムは既につくりすぎ>
 現地視察後、環境をテーマに講演がありました。演題は「猛禽類の保護と自然再生」。
 最初は種の絶滅速度が加速度的に増えている現状の話です。1600〜1900年には、年平均0.25種が絶滅したが、1900年は年1種、1975年は年1000種、そして現在は毎年4万種が絶滅しています。
 次にアカウミガメの産卵数が、全国的に激減しており、このまま行くと10年後には産卵ゼロかも、というショッキングな報告がありました。続いて、下北半島の森林植生の単一化によるニホンザルの越境問題。解決法は植生多様化によるサルの自給可能な環境づくりです。
 本題に入ると、まずは猛禽類の説明。夜行性のフクロウ・ミミズク類と、昼行性のワシ・タカ類の2種類に分類。ワシ・タカ類は、オジロワシ・オオワシのような水性のウミワシ類と、イヌワシ・クマタカのような内陸性のヤマワシ類に分類。
 ヤマワシ類のイヌワシは世界的に大陸寒冷域に分布しますが、日本のような緯度が低く島国での生息は珍しい。一方、クマタカの分布は局所的で、中国南部や南アジアなど温暖域に生息し、日本は生息の北限です
 日本自然保護協会の調査によると、イヌワシのペアは全国で僅か170組。元来400組はいるはずだが、半分以下になったとか。一方、クマタカは現在全国で4000羽確認されており、イヌワシに比べると、個体数が多いので絶滅危機は少ないように思われるが、実は、クマタカの方が絶滅危機に瀕しているとのことです

<少子高齢化進むクマタカ>
 それは繁殖成功率の低下です。全国調査によればイヌワシの場合、81年に55.3%だったが、95年には22.2%に激減、02年の速報値では20%を割りました。5羽巣立ちしても、成鳥となるのは1羽に満たないという意味です。
 一組のペアの生涯で、子2羽が育たないと種が減少します。西中国山地における継続調査では、93年以後、クマタカの若鳥が確認できていません。全国調査でも、クマタカの繁殖成功率は83年を100とすると、99年には僅か4まで激減。
 クマタカの寿命は25〜30年で死の直前まで飛行して目撃されても、高齢化が進めば、現在の生息数4000羽も、あっという間に絶滅に瀕することになり、早急に有効な対策をとらないと、手遅れになります。むしろ、クマタカのほうが絶滅の危険が高いといえます。
 食物連鎖の最上位に属する猛禽類のイヌワシやクマタカは地表の生物を餌にします。イヌワシの場合、ヤマドリ、ヘビ、ネズミなど80種の餌が確認されていますが、なかには雌のサルやシカの子も含まれます。イヌワシの縄張りは、巣を中心に、幼鳥の行動エリア、繁殖テリトリー、オス・メス同時活動範囲(餌狩場)と分布しており、一組の生息に必要な行動圏(セルと呼ばれる)は山手線内の面積の3倍が必要とされています。クマタカのセル面積はイヌワシの3分の1程度とされていますが、巣を中心としたセルの構成は同じです。
 一方、オオタカの縄張り面積は、タマタカの3分の1で、餌はカケス、キジバトなど主に鳥類です。餌の移動性が高い為、餌狩場は、餌が通過する場所がポイントになります。営巣に必要な赤松の大木が残っているかどうかもカギです。

<イヌワシを脅かすダム開発>
 調査によると、群馬県内のイヌワシのセルは、かつて25〜30箇所あったが、開発により現在は10に減少。現在、各地で行われているダムなどの開発計画で、近いうちに5ケ所になりそうだとのこと。妙義周辺にあるセルも増田川ダム計画で消滅してしまうそうです。倉渕ダムも同様です。赤城山周辺も非常に危ないそうです。
 ダム開発と猛禽類の生息地は、完全にバッティングしています。彼らは谷間のように上昇気流が発生する場所で餌狩を行います。ダム開発により、彼らの行動圏は制限を受け、どんどん山奥に追いやられました。標高の高い順にイヌワシ、クマタカ、オオタカの順に棲み分けしていますが、標高が高くなりすぎると、2月に産卵し7月に雛が巣立つイヌワシの場合、抱卵中に巣から離れると卵が凍死してしまいます。イヌワシの生息域は、すでにギリギリの高度限界にあり、ダムがあちこち作られると、彼らの行動圏は中心から破壊されます。
 このように生態系の多様性を示す尺度として、猛禽類の生態調査は重要です。豊かな自然があれば、猛禽類が棲めます。反対に、猛禽類の姿が消えることは、その場所の生物多様性が低いことを示します。
 講師曰く「松井田には、イヌワシ、クマタカ、オオタカなど基本猛禽類が生息しており、彼らとの共生を図るためにも、これ以上、彼らの領域を侵すダム建設を見直し、巨額投資を目然のために有効に使う方法も是非検討すべきだ」「計画中のダムはすべてバブル当時の需要予測に基づいたもの。デフレで、少子高齢化の現在には合わない。ダム開発にかかる情報を公開し、開発の功罪を行政と市民が徹底して話し合い、その結果を施策に反映することが大切だと思う」として講演を締めくくりました。

<減少し続ける水の需要>
 講演後、主催者側から、碓氷上水道企業団及び費用面からの概要説明がありました。それによると昭和30年代に、井戸水の水質汚染などで、上水道設置が持ち上がったが、水がありカネのない松井田と、カネがあり水のない安中が一緒になり同団を設立。同団は複式簿記を取り入れた企業会計方式の独立採算法人で、飲料水の売上で、人件費や設備費が賄われています。
 ダムを作る主目的は、新幹線安中榛名駅前に700戸の宅地分譲(2003年秋から開始)で、最終的に2500人の新規住民のための給水需要など見込めるとして、昭和58〜59年に、湯浅市長と中山町長が県に陳情して計画決定しました。
 ところが、ダントツの需要家である信越化学は8年連続増収増益で、世界のシンエツの名をほしいままにしていますが、金川千尋社長は、昨年初めの大リストラを手始めに、コストダウンのため、工場を国内外で集約し、今後積極的に海外移転を進めることを言明。このため安中市で年12〜13億円、松井田町で6億円とみられる法人市民税が、今後それぞれ2、3億円減少する見込みです。当然、水消費量も連動してダウンし、節水やリサイクルの推進で、今後水需要の減少は必至。第2位が峠の釜めしの「おぎのや」ですが、97年の信越線廃止時がピークで売上減少とともに水消費もダウン。第3位の磯部ガーデンも、バブルの頃より相当減っています。
 こうした情勢を無視できず、県庁は02年に計画を見直し、02年に取水を1割減らし、それまで楢尾沢川と中川から導水予定だったのを、中川だけにして、ダム集水量を日量9000トン減らしました。しかしこれによる事業費は僅か11億円減っただけです。
 同団によると、水消費量のピークは電気と同様に、真夏の7月の気温が高い日だそうで、これにあわせて取水計画を確保する必要があるそうです。しかし、電気の場合と違い、電気は消費がオーバーすると停電しますが、水は、万一、消費量が限界に近づいても、蛇口の水量が減るだけの話で、僅かの時間我慢すれはよい話です。また、同団では、各地の配水場に、ピーク需要に備えて、100トン容量の水槽を設けています。
 同団の計画では、増田川ダムの下流、九十九川との合流点から僅かに下流地点にある安中市との境界付近の大日向地区に取水設備を新設して、碓氷川にある原市の久保井戸浄水場までポンプアップする予定です。このため、400億円近いダム総工費のうち、同団は、水利権を新たに確保するための負担金として22〜23億円を支出させられることになります。独立採算の同団では、水道料に負担金を転嫁しなければなりません。
 また、県庁発行のダム資料では、水道水源不足の妙義町のためにも安定した水源確保が必要だと説いています。妙義町は甘楽郡ですが、水系に恵まれない為、現在でも同団から毎日2000トン供給を受けています。この水源として、新幹線トンネルから豊富に湧出する地下水の一部が充てられています。日量4万5千トンの湧水は、殆ど使われずに捨てられているのが現状です。

<県河川課の釈明>
 環境面、経済面での説明の後、出席していた県河川課の担当者らから、補足説明がありました。それによると、ダム事業総費は378億円。碓氷上水道企業団の負担金は26億円強で、同団に確認したところ、26億円の水道料金への跳ね返りは、現在の料金の4〜6%の加算に留まるとのこと。また、同団向けの上水量(取水量)は日量1万5千トン、妙義町の上水道向けには日量2000トンであり、ダムより下流の農業用水にも、渇水期に放流でき、普段でも下流の水生生物の生態系保全の為に十分な水を常時放流することを強調しました。
 ちなみに、碓氷上水道企業団の年間総配水量の推移は次のとおり。
 平成 7年度  1275万トン
 平成 8年度  1260万トン
 平成 9年度  1300万トン
 平成10年度  1275万トン
 平成11年度  1250万トン
 平成12年度  1260万トン
 平成13年度  1220万トン

<参加者の意見表明>
 これに対し、参加者から、次のような意見が出ました。
@総工費378億円というが、これ迄のダム工事で予算通りに完成したためしがない。八ツ場ダムでは当初予算の3倍以上要した。県の説明は信用ならない。
A国や県は自然にやさしい工法だとして自然再生工法を美化するが、実際は川の丸石を拾って護岸工事に使っているだけ。おかげで川の生物の住み処は丸裸。防腐剤たっぷりの木材を使って河川を汚染し、しかもすぐに腐る。予算消化のブロジェクトとしか思えない。国や県は何を考えているのか。土建業者らさえ首を傾げている。
Bダム予定地の細野地区はかつてはヒノキの美林で、前橋営林署のドル箱だった。地元ではたくさんの雇用があった。それが伐採され、杉が植えられ、予算不足で農薬散布し、いよいよ人手が減らされ、管理がおろそかになってしまう、同時に森林保水力も減退している。巨額のカネをダムに注ぎ込むより林野行政の見直しが先決だ。
C地元の住民で、前町長がダム計画を掲げていた頃から疑問があり計画中止を求めていた。昔と違い、今は雨が降るとすぐ増水し、降らないと水が涸れがちとなる。このうえさらにダムをつくったら。ますます下流に悪影響を与える。町長にも言ったが、子孫に負の遺産を残さないでほしい。
D上水道企業団は、バブル当時、新規投資を怠ったため、老朽化した水道庁舎、有害な石綿管や鉛管から鉄管への交換など、多額の投資事案を抱えているので、この機会にいっせいに値上げすることは確実。それも、県へ説明した数%の値上げでは済まず、50%くらい値上げするかもしれない、ともっぱらの噂・・・。

<同じ轍は踏まない>
 最後に主催者側から、県のダム行政について、エピソードが示されました。昭和40年ごろ作られた中木ダム(妙義ダム)の例です。
 昭和25年頃、碓氷川沿岸土地改良計画と称して、霧積川と碓氷川の合流地点に発電を兼ねた多目的ダムを作って、下流3200戸の農家に農用水を供給する構想が持ち上がり、一戸あたり2800円の負担金で完成するという話で予算1億2800万円の計画がスタート。
 利益金は農民の経営に役立つと言われたが、その後計画変更で発電が必要なくなり、負担金が3000円から2万8000円に跳ね上がったため、農用水事業も頓挫した。
 結果としてダム計画は中止となったが、驚いたことにダム本体は計画通り完成。下流の農業用水に一滴も流さないダムなので、無関係の農民に負担を転嫁できなくなり、この尻拭いは、知事4代に先送りされ、神田坤六知事が負担金不足分を県のカネで処理した。予算を2.2倍ムダ使いしたが、当時は今のように情報開示もなく、県民もおとなしかったので、こんな無茶苦茶がまかり通った。
 中木ダムはいまや夏は釣り、冬はオシドリのメッカだが、上流からの土砂の堆積がものすごく、ダムとしての機能は失っている。碓氷川の下流の久保井戸で取水している事業団の取水権利の名目として、中木ダムの放流となっているが、初めから、ダムなど作らず、碓氷川の表流水を水源とすればよいのだから、ダムで土砂を溜めるために無駄ガネを使った「負の遺産」プロジェクトの典型例。負担金を払わされ、農業用水の権利を役人に握られる姦計を事前に察知した当時の農民の見識には頭が下がる。たまたま当時を知る参加者いわく「あの時、県庁に行って交渉したが、役人からバカ呼ばわりされた。二度とこういう話には騙されない」・・・。
 こういう前例もあるので、県役人の説明を鵜呑みにせず、きちんと議論を重ねていくことが大切だと感じました。
 なお、増田川ダムの環境影響評価書は、3月に松井田町役場や県の出先事務所で1ケ月縦覧される予定で、絶滅危惧種の生物の生態について、十分チェックし、環境保全の立場からダム計画に関して県に意見書を提出できるチャンスです。
 また、記事の中でダム建設による水道料金への跳ね返りが注目されていますが、碓氷上水道企集団の調達コストをチェックしようと、当会では昨年11月19日に安中市に「平成7年、8年、9年において碓氷上水道公団が実施した入札執行調書(予定価格及び落札価格の情報を含む)一式」について、情報開示請求をしたところ、同年12月26日付けで「碓氷上水道企集団が安中市と別法人である」として安中市は請求の受理を拒否しました。
 安中市では、「碓氷上水道企業団は、市の行政運営と密接な関連を有する法人であることから当該請求があった旨を通知したので、開示の是非については直接同団に問い合わせてほしい」と指摘があったため、今年の1月7日と27日に直接、同団に開示請求をしたところ、2月になり、同団から「入札資料を遡って調べているので開示までに時間がかかる」というコメントがありました。同団では情報開示制度がないため、こういう場合の体制が未整備のようです。【事務局】

<増田川ダムの規模>
形式      ロックフィルダム
堤頂高さ     76.3メートル
堤頂長さ    287メートル
堤防体積    206.5万立米
集水面積     17.1平方キロ(増田川11.1平方キロ、中川6.0平方キロ)
湛水面積     31ヘクタール
総貯水容量   580万トン
常時満水位海抜 508.5m
洪水満水位海抜 520.3m

<事業経過の履歴>
◆昭和59年11月 治水・利水について、安中市長・松井田町長・碓氷上水道企業団長が知事に陳情。
◆昭和60年 4月 予備調査着手。
◆昭和62年 6月 第一回地元説明会。
◆平成 3年 4月 実施計画調査着手。
◆平成 4年 3月 松井田町議会説明。
◆平成 5年    ダム形式を重力式コンクリートからロックフィルダムヘ変更。
◆平成 6年 6月 松井田町協議会説明。第三回地元説明会。
◆平成 8年 4月 建設事業着手。
◆平成 8年 7月 碓氷上水道企業団長、妙義町長と建設工事に関する基本協定を維持
◆平成11年 2月 第四回地元説明会。
◆平成11年 4月 増田川ダム建設事務所開設。
◆平原11年 9月 県道渋川松井田線・増田川ダム対策委員会設立。
◆平成11年10月 群馬県環境影響評価条例に基づく手続きの開始。
◆平成11年 3月 ダム基本設計会議(ダムサイト・ダム型式)
◆平成11年5、6月 建設省河川局・道路局により付替県道ルートの審査指導。
◆平成11年 6月 県環境部局へ環境影響評価方法書を提出。
◆平成11年 7月 群馬県公共事業再評価委員会で事業継続を承認。第六回地元説明会(ダム事業・付替県道ルート)。
◆平成11年 9月 松井田町全員協議会説明。環境影響評価方法書についての知事意見。
◆平成13年 5月 県道渋川松井田線・増田川ダム対策委員会説明。第七回地元説明会。
◆平成13年 7月 松井田町全員協議会説明。三号工事用道路説明会。
◆平成13年 9月 碓氷上水道企業団による水道事業再評価(新規開発量2万4千トン→1万5千トン/日)。
◆平成14年 3月 「増田川ダムについて」閲覧資料公表(新規開発水量減に伴うダム諸元変更・・ダム高78.7m→76.3m、2.4mの減)
◆平成14年 7月 県道渋川松井田線・増田川ダム対策委員会説明。第八回地元説明会。
◆平成14年 8月 小寄説明会(付替県道・工事用道路・土捨て場)
◆平成14年 8月30日 環境影響評価準備書の提出。
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【ひらく会情報部】
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