2009/6/14  23:38

法令順守とは縁遠い多胡運輸ファミリー・・・背後に超大物政治家のバリアー見え隠れ  首都高炎上とタゴ運輸

■6月9日の東京新聞群馬版に、「昨年、タンクローリー首都高で炎上 少ない睡眠 過酷労働 高崎の下記の運送会社 国交省が調査 疲労状況など確認せず」という記事が、首都高5号線を焼き尽くす迫力のある火災現場写真とともに掲載されていました。

 昨年8月3日に、首都高5号線熊野町ジャンクション付近のカーブで横転炎上した多胡運輸所有のタンクローリーによる首都高史上最大の物損事故については、事故の翌日の新聞各紙の全国版社会面に小さく出ただけで、あとは各紙とも殆ど報道していません。まして、群馬版では皆無の状態でした。そこに、今回東京新聞が大きくこの大事故のことを取り上げ、しかも「多胡運輸」の名前を明記したことは画期的と言えます。

■この署名記事は、6月3日に国交省がホームページ上で公表した内容に基づいて、分析を加えつつ書かれたものです。事故原因についてよくまとめられているので、その内容を見てみましょう。

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【事故原因の背景】男性運転手が事故直前に少ない睡眠時間で過酷な労働をしていたこと。
【事故原因の実態】)国土交通省の調査で分かったことは、この運転手は事故前日の昨年8月2日午後7時〜同10時半まで就寝。同11時45分ごろ出勤し、目的地に着いた3日午前3時ごろから車内で1時間半、仮眠した。その後、30分間で荷積みし、同5時50分ごろ、事故を起こした。同月1〜3日の3日間で自宅で眠ったのは1日平均3時間半。車内での仮眠を加えても睡眠時間は同5時間程度だった。事故前1ヵ月間の運転時間は1日平均7時間以上、運転を含む拘束時間は同13時間に達した。さらに会社出発時に疲労状況などを確認する乗務前の点呼を行わず、事故前の約3年間は運転の適性診断も受けていなかった。
【事故の要因】国交省は事故の要因について「過労で運転手の集中力が低下し、カーブで速度超過となった。会社が安全指導せず、運転手は積戴物を満載にした車両の横転しやすさを理解していなかった」などの可能性を指摘している。
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 事故の原因について国交省の報告書を見る限り「運転手が事故直前に少ない睡眠時間で過酷な労働をしており、過労で運転手の集中力が低下し、カーブで速度超過となった」と結論付けています。ということは、原因が「スピード超過」と「居眠り」だったといえます。

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多胡運輸のトラック部隊

 ネット情報によると、事故を起こした多胡運輸の運転手Tは昭和9年11月生まれだそうです。もし本当だとすると、60代後半の高齢ドライバーということになります。事故で腰椎骨折という重傷を負ったようですが、すでに回復しているという情報もあります。

■昨年8月3日の首都高横転炎上事故後、そして今回の国交省の事故調査報告の公表を受けても、事故を起こした多胡運輸は、自ら記者会見というものを開いていません。したがって、事故原因はこの調査報告がもっとも権威のあるものとして取り扱われることになりますが、国交省は、報告書の冒頭に「本調査は、事業用自動車の事故について、その要因を調査・分析し、同種事故の再発防止を目的として行われたものであり、事故の刑事上又は民事上の責任を問うために行われたものでない。このため、事故調査により収集された情報は、関係者の刑事上又は民事上の責任を問う上で有効なものであると認定したものではない点について留意する必要がある」と、わざわざ断り書きをいれて釘を刺しています。

 この報告書の中で取り上げている11件の事故のうち、社会経済面で影響の大きいのは、圧倒的に、多胡運輸の事故ですから、国交省が、わざわざこのような断り書きをいれるのは「多胡運輸への気兼ね?」と読者に思われても仕方がありません。

■国交省が本当に多胡運輸にきちんと指導したのかどうか疑問を抱かざるを得ない根拠のひとつに、自動車運送事業安全管理室が平成21年3月31日現在における関東運輸局管轄区域にかかる貨物自動車運送業者の違反点数付与事業者のうち、累積点数21点以上の事業者を発表した「貨物自動車運送事業者の累積点数について(関東運輸局管轄区域に係る累積点数)」という公表資料があります。

 これによりますと、トップは且R崎運輸の76点で、主な違反行為は「NOx・PM法違反」、2位は関東運送汲フ74点で「過労防止違反」、3位は居ャ松運輸の73点で「運転者に対する指導監督違反」・・で、多胡運輸はなんと64位で28点、主な違反行為は「運転者に対する指導監督違反」です。首都高史上最大の事故を起こし、今回の調査報告でもいろいろな違反行為が指摘されているにもかかわらず、違反点数はたった28点で64位です。ただちに、多胡運輸の違反点数を正常値に修正して、トップにランキングすべきだと思われます。

■早朝5時50分という事故発生時間の背景として、「早朝夜間割引」で通行料金を浮かそうとしたのでは、という見方があります。事故を起こした多胡運輸のタンクローリーは、当日、出光の給油センターから一般道を走行後、首都高速5号から外環道、そして関越道と走行し、群馬県方面に向う途中だったと見られるからです。

 この場合、事故現場から関越道新座料金所まで約20kmなので、6時05分までに新座料金所を通過すれば、早朝夜間割引という通行料金が50%OFFになる割引制度が適用できるため、15分間で20km、平均時速80キロで走行すればギリギリ間に合うことになります。事実、国交省の報告書でも、事故現場手前までは当該運転者は、時速80キロ程度で走行していたと記されています。

■実際問題、割引時間帯の利用を前提とした配車は日本中でまかり通っているといわれ、そうした配車自体はともかく、休憩時間(4時間以内の走行ごとに30分以上)などを度外視した超ハード・スケジュールで運行を強要するケースが相当多いとされています。国交省の調査報告書でも、「運航計画において休息等の指示が行われていない」「当該運転者の休息期間や前日の睡眠時間等についても把握されていない」として、多胡運輸の労務管理が不十分だったことを指摘しています。

 でも、あれだけの事故を起こしておいて、事故直後から、今回の国交省の調査報告の公表に至っても、依然として記者会見を開こうとしないのですから、常識では推し量れません。常識が通じない会社という見方からすれば、ずさんな運行管理、労務管理も当たり前なのかもしれません。

■今回の東京新聞の報道で特記すべきは、多胡運輸にコメントを求めていることです。多胡運輸に直接取材をしたのは、事故直後にTBSがカメラを多胡運輸の構内に持ち込んで映像入りの取材をし、多胡運輸の事務所前に「安全輸送の誓い」として「私は決められた事を守り 事故・トラブル・クレームは起こしません!!」という立て看板があることを視聴者ははじめて知りました。

 その後は、建設専門系や独立系のニュースメディアなどが単発的に取材したほかは、主要なマスコミによる取材は皆無に等しく、唯一、昨年10月まで、自動車雑誌のマガジンX編集部が孤軍奮闘、突撃取材を続けたのみでした。その意味で、今回の東京新聞の取材記事で、多胡運輸役員のコメントを掲載したのは、高く評価できます。

 東京新聞記事によると、多胡運輸役員は「労働時間には配慮したつもりだったが、細かく把握できていなかった。社会的に大変な迷惑をかけ、おわびしたい」と話していました。多胡運輸はメディアの取材に対して、いつもこのような謝罪めいたコメントを出していますが、実際には、国交省の立ち入り調査で判明したように、コンプライアンス(法令順守)という観念に乏しい組織と見られます。そもそも、経営者はタゴの実弟で、役員はタゴの実母ですから、察しは容易につきます。おそらく、タゴの配偶者もなんらかの形で関与していると見たほうがよさそうです。

■一方、昨年8月3日に板橋区の首都高5号下りで横転炎上した多胡運輸所有のアポロマークを付けたタンクローリーは、実際には、出光の石油製品を首都圏に配送しているホクブトランスポート株式会社(旧名:北部運送株式会社)の伝票で仕事をしていたことが、事故直後にネット情報でリークされ、その途端に、同社のホームページが閉鎖されてしまい、現在もその状態が続いています。

 群馬県内でも、ホクブトランスポート所属のタンクローリーを頻繁に見かけますが、遠くから見ただけでは多胡運輸所有のタンクローリーと見分けがつきません。この会社も、多胡運輸同様、記者会見を行っていません。石油元売り会社の出光興産も同様です。不思議なことに、マスコミ各社のほうも、今回の東京新聞を除いて、これらの会社にインタビューした形跡がありません。

 この原因として、ホクブトランスポートと政治関係者との関係が取りざたされています。同社会長がかつて超大物政治家の事務所の運転手をしていた事実は当会でも確認済みです。そのほか、未確認情報ですが、会長の息子の結婚式に、超大物政治家の息子が仲人をしたことなども取りざたされており、ホクブの会長、副会長ら幹部の人脈の凄さ、怖さ、幅広さには底知れないものがあるようです。また、長年にわたり有名な音楽番組をテレビ局に提供している出光興産の社長は、超大物政治家が主催する団体の理事でもあり、そうした事情などがあり、老舗企業でありながら、事故後記者会見を全くしなくても、マスコミが黙認しているものと見られます。

■出光興産とホクブトランスポートの関係についても、出光製品を扱う地元の赤尾商事を介して、出光として、ホクブは無くてはならない存在のようですから、抜け駆けして記者会見などするわけにはいかない事情があるようです。このような事情を、当会では「多胡運輸をとりまくバリアー」、そして多胡運輸/ホクブトランスポート/出光興産を「多胡運輸ファミリー」と呼んでいます。

 こうした著名な企業が、なぜ多胡運輸のバリアーとなって、多胡運輸を支えようとするのでしょうか。それは、ひとえに、多胡運輸の経営に、安中市土地開発公社51億円横領事件で単独犯として14年の実刑をうけた安中市役所元職員の親族が携わっているからにほかなりません。

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ホクブ本社に隣接して「小さな美術館 ファインアート・カズ」があります。1999年11月1日にホクブ会長が開設。文化振興のため、発表の場を求める芸術家に低料金で施設を開放しています。そういえば出光興産の本社にも美術館が併設されています

■群馬県の行政には多かれ少なかれ、超大物政治家の息がかかっています。とくに西毛の安中市は昔から超大物政治家の重要な政治基盤でした。選挙では、現在ではおおっぴらにできなくなりましたが、かつては福田レストラン、中曽根食堂などといわれ、酒食饗応や買収が当たり前だった土地柄です。その中で起きた51億円横領事件。しかも、警察の捜査にもかかわらず、14億円余、当会の試算では20億円余の使途不明金が残されたままとなっており、この異常な事件の責任を単独犯の犯行として幕引きせざるを得なかった事情が、年間売上2億3千万円にすぎない多胡運輸の存続をも決定付けているのかもしれません。

 ホクブトランスポートは、現在ホームページが閉鎖されており、会社情報に乏しい状況ですが、会長がかつて超大物政治家事務所の専属運転手をしていたくらいですから、普通の会社とは異なります。組合も無く、何事もトップダウンの決定で従業員は誰も意義を唱えられる雰囲気ではなさそうです。資本金数千万円程度の規模にもかかわらず役員がゾロゾロいて、典型的な小規模閉鎖的企業だという指摘もあります。多胡運輸はホクブと一心同体のようなものですから、当然、ホクブの体質を受け継いでいると考えてよさそうです。ただし、経営陣はタゴの実弟が社長で、実母が役員となっており、同族色がいっそう濃くなっています。

■ホクブも運行管理、労務管理体制に問題があるといわれています。ホクブもアポロマークを付けたタンクローリーを多数保有していますが、その1台が以前、上武バイパスで死亡追突事故を起こしたときも超過勤務による運転手の居眠りが原因だったとされています。しかし、超大物政治家とのパイプのおかげか、警察沙汰にならなかったということです。

 多胡運輸は、平成5年に営業を開始しました。現在、資本金1200万円、従業員数47人、うち運転者数42名で、保有車両数46台です。当初、多胡運輸は地元の赤尾商事やサンワのプロパン配送の仕事を2トン車数台でほそぼそとやっていました。ところが、タゴ事件発覚前後に、多胡運輸の社長らがホクブに対して、「タンクローリーによる輸送業務をやらせてほしい」と申し入れ、その後、ホクブの下請けでずっとローリーによる石油製品の配送事業も手がけてきました。赤尾もサンワも出光のLPGとともにガソリン等石油製品を扱っています。当会が、この事業発展の時期と、タゴ事件発覚時期が、奇妙に符合していることに注目しているのも、このためです。

■多胡運輸を傘下におくホクブトランスポートも、コンプライアンス上、問題のある事件をおこしています。ネットを検索してみると、次の情報をヒットしました。2005年5月15日付けの毎日新聞の報道記事です。

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千葉の大学院生衝突死:運送会社が虚偽報告 調査した遺族の指摘で判明/千葉
◇国交省関東運輸局、車両の使用停止処分
 千葉市内で01年末、乗用車の大学院生がタンクローリーと衝突し死亡した事故で、タンク車の運送会社「北部運送」(本社・群馬県高崎市)が複数の虚偽を含む事故報告書を国土交通省に出していたことが、事故内容に疑問を持ち調査を続けた遺族の指摘などで分かった。同省関東運輸局は貨物自動車運送事業法違反で、同社の車両2台を計55日の使用停止とする行政処分を行った。
 事故は01年12月31日未明、千葉市稲毛区作草部の国道16号(当時)交差点で、大学院生の男性(当時23歳)の乗用車が左から来た男性運転手(58)=埼玉県庄和町=のタンク車と衝突し、死亡した。「大学院生が信号無視した」との運転手の供述と、両親が探した目撃者らの供述が食い違うため、千葉地検と県警が5回も実況見分を行った。最終的に千葉地検は昨年10月、運転手を不起訴処分にしたが、北部運送が02年1月に提出した事故報告書については、遺族側の指摘でブレーキをかけた場所や衝突部位など4点を相次いで修正した。
 事故報告書の虚偽記載はこれまで、同省による調査・処分の対象外だったが、昨年、別の事故でも遺族が報告書の誤りを指摘。このため北部運送を調査したところ、事故車の出発地を市原市から埼玉県内に修正した点では「手続きなしに千葉県外に事故車を出していたことが発覚するのを恐れた」と虚偽記載を認めた。さらに休息不十分なまま運転させるなど運行管理体制の不備も判明し、9日付で行政処分を行った。
 「虚偽報告での処分は極めてまれ」(関東運輸局)だが、遺族は「我々の指摘から国交省が動き、会社が虚偽報告を認めたことは意義がある」としている。
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■この事故では、遺族である大学院生の両親の地道な努力で、ホクブトランスポート(当時は北部運送)の報告書の虚偽記載が明らかにされましたが、おそらくそれがなければ、警察は虚偽記載を黙認し続けた可能性があります。警察に影響力が行使できるホクブだからこそ、報告書の虚偽記載が可能だったと見るべきでしょう。

 多胡運輸にも、8月3日の事故発生後、8月5日に関東運輸局の査察が入って、就業時間等に法令違反がないか調べましたが、同社の構内の隅々まではよく見なかったようです。構内で一部不適切な実態が最近明らかになったとの情報があります。調査の上、情報が分かれば追ってご報告したいと思います。

【ひらく会情報部】
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