2009/6/19  3:04

東京ガスの放散塔の情報開示を求めた住民をテロリスト呼ばわりする群馬県に意見書  東京ガス高圧パイプライン問題

■現在、東京ガスは、北野殿地区に「バルブステーション」と呼ばれる施設を建設中ですが、この施設には高さ30メートルの巨大な放散塔が既に立てられています。この煙突は、大きな地震発生時に、必要に応じて、二次災害防止のため、70気圧の超高圧ガスを大気中に放散するのが目的ですが、可燃性の高い超高圧ガスが放散された場合、どのような事態が発生するのか、住民の間には不安の声が高まっています。しかし、東京ガスは、いつになっても、この施設について地元の住民に説明をする気配がありません。

 そこで当会では、群馬県に放散塔に関する情報公開請求を平成21年1月21日付で行いました。ところが、群馬県西部県民局高崎土木事務所総務係(電話027−322−4186)は、平成21年2月2日付け高土第76−21号で、「開示請求に係る公文書の開示・非開示の審査が難しく、決定に時間を要するため」を理由に、本来平成21年2月5日までに開示決定期間のところ、平成21年3月19日までとした、決定期間延長通知書を送ってきました。

 このため、円滑な情報開示が危ぶまれましたが、案の定、平成21年2月27日付け高土第76−24号で、高崎土木事務所はわずか9ページしか開示しないとする公文書部分開示決定通知書を送りつけてきたのです。

■当会は、3月10日に、高崎土木事務所を訪れ、東京ガスに昨年11月6日付で許可を出した建設主事の佐藤雅彦氏と面談後、県庁22階の県土整備部建築住宅課審査指導係を訪れ、事情を説明し、県民の安全確保のために、ぜひ開示をお願いしたいと要請しました。審査指導係の清水氏は、「上層部と相談の上、結果を連絡する」と約束してくれたので、当会はそれを信じて期待して待っていました。

 この経緯について当会は、今年の3月12日付で、「東京ガスの利益を最優先し、県民をタリバンと同一視する群馬県行政」と題して、ブログを掲載したので、参照ください。

■ところが、その後、待てど暮らせど、さっぱり音沙汰がありません。騙されたと判断した当会は、4月13日付で、異議申立を大澤知事あてに提出しました。

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安中市北野殿地区で建設中の安中バルブステーション(VS)工事現場。既に放散塔の設置と、前後の高圧ガス配管工事、および耐圧テストを終え、これから計器室棟の据え付け工事が実施される予定。放散塔は地震発生時に二次災害防止用に高圧ガスを大気中に放出するための安全施設らしいが、東京ガスも群馬県も情報開示をしたがらない。(5月30日撮影)

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【異議申立書】
平成21年4月13日
群馬県知事 大澤正明様
     異義申立人  郵便番号 379-0114
            住所  群馬県安中市野殿980番地
            氏名  小川賢
行政不服審査法の規定に基づき、次のとおり公文書非開示決定に対して異議申立を行います。

1.異議申立に係る処分
 大澤正明群馬県知事の平成21年2月27日付高土第76024号の群馬県情報公開条例(以下「条例」という)第18条1項の規定による公文書部分開示決定通知書において、平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認−工群馬県000092」の建築基準法の手続きにかかる一切の情報のうち次のものの非開示処分。
 F放散塔全体外形図、G杭伏図・柱状図・敷地断面図、H放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書、IPHC杭用継手金具姿図、J避雷設備設置概要、K避雷設備設置概要図、L避雷突針姿図、Mダイヒカップリング姿図、N鉄骨用接続端子姿図、O導線取付金物姿図、Pビニル管取付金物姿図、Q端子ボックス姿図、R接地銅板姿図、S基礎・地盤説明書、(21)主要構造部材特記仕様書、(22)使用構造材料一覧表、(23)放散塔構造計算書、(24)放散塔基礎構造計算書
2.異議申立に係る処分があったことを知った年月日
 平成21年3月4日(水):平成21年2月22日から3月4日(水)午後5時まで海外に滞在していたため。
3.異議申立の趣旨
 上記の非開示決定処分は、当該条例を不当に解釈し運用されたものであり、処分取消しを求めます。
4.異議申立の理由
(1)異議申立人は県民として公文書の開示を求める権利を有しています。
(2)知事は、本件非開示情報が、群馬県情報公開条例第14条第3号イ及び第4号に該当するとして非開示決定処分としましたが、異議申立人は、放散塔が設置される地元で生活しており、本件により、生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされるので、群馬県情報公開条例第14条第3項但書きにより、本件非開示情報は公にすることが必要です。
(3)知事は、設計技術の公表によるノウハウ流出や、設計図書の公表による不法侵入・破壊活動等の懸念を非開示理由に挙げているが、異議申立人が、3月10日に建築主事佐藤雅彦氏に直接確認したところ、同氏は設計者に確認していないことが判明した。非開示処分とされた公文書のタイトルを見る限り、一般的な技術であり、ノウハウ流出とは考えられないこと。また、地元住民に対して、不法侵入・破壊活動等の恐れを指摘することなど無礼きわまりないこと。
(4)3月10日に、建築住宅課審査指導係清水氏らに上記理由を説明したところ、上層部と相談の上、結果を連絡すると約束してくれたが、その後何の連絡もないこと。
5.処分庁の教示の有無及びその内容
 平成21年2月27日付高土第76‐24号の公文書部分開示決定通知書により、「この決定に不服がある場合には、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、群馬県知事に対して異議申立をすることができます」と通知されました。  以上
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■当会の異議申立から、2ヵ月後の6月16日付で、群馬県公文書開示審査会・新井博会長名で、当会に対して、諮問第121号として事件名:「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」の公文書部分開示決定に対する異議申立事件について、審査会の調査審議の参考とすべく、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項の規定に基づき、意見書の提出要請がありました。7月17日(金)までに、公文書開示審査会長宛に意見書を出すよう、指示がありました。その際、群馬県から次の内容の理由説明書が同封されていました。

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(別紙) 写 群馬県21.6.12県民生活課 収受
高土 第76−12号 平成21年6月12日
群馬県公文書開示審査会 会長 新井博 様
     群馬県知事 大澤 正明(高崎土木事務所)
「理由説明書」の提出について
 このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第6条に基づく「理由説明書」を下記により提出します。
     記
1 開示請求公文書の特定について
 「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」の開示請求に対し、建築基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項の規定により申請された「確認申請書(工作物)平成20年11月6日受付第110号」を対象公文書として特定したものである。
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 群馬県情報公開条例(平成12年6月14日群馬県条例第83号)(以下「条例」という。)第1条において、県が県政に関し、県民に説明責任を果たすために、条例に定める要件を満たした開示請求に応じる義務を負うことが定められており、条例第13条が「実施機関は、開示請求があったときは、次条に規定する場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。」と原則開示であることを規定している。
 しかしながら、情報公開によって、県民のプライバシーが侵害されたり、公共の利益が損なわれることがあってはならないことから、次条の第14条で例外としての非開示情報を規定している。
 そして、条例第14条第1号は、「法令等の定めるところ又は実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示により、公にすることができないとされている情報」と規定している。
 ここでいう法令等とは条例第2条第2項から法令及び条例のことをいう。
 次に、条例第14条第2号は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分」と規定している。
 また、条例第14条第3号は、「法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの。」と規定している。
 また、条例第14条第4号は、「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定している。
 なお、該当公文書の一部に条例第14条の各号に該当する非開示情報が含まれていて、当該非開示情報を開示情報と容易に区別して除くごとができるときは、非開示情報を除いた部分を開示することを条例第15条第1項が規定している。
 これに該当する場合、条例は、開示請求された公文書について、部分開示を行わなければならないとしている。
3 公文書を開示しない理由
(1)条例第14条第2号の該当性について
(対象部分)
@建築士免許証の写しにある個人の本籍地
A公図写しに記載された土地所有者の住所・氏名、地目、面積及び調査・製図者の氏名、印影
B付近見取り図、配置図に押印された設計者の印影
@、A、Bのうち本籍地、土地所有者の住所・氏名、地Fヨ、面積及び調査・製図者の氏名、印影、設計者の印影は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの、又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある。
 以上のことから条例第14条第2号本文に該当し、ただし書のいずれにも該当しないため非開示と判断したものである。
(2)条例第14条第3号イの該当性について
(対象部分)
@確認申請書第一面に押印された建設事務所代表者の印影
A委任状に押印された建設事務所代表者の印影
B放散塔全体外形図、杭伏図・柱状図・敷地断面図、放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書、PHC杭用継手金具姿図、避雷設備設置概要、避雷設備設置概要図、避雷突針姿図、ダイヒカップリング姿図、鉄骨用接続端子姿図、導線取付金物姿図、ビニル管取付金物姿図、端子ボックス姿図、接地銅板姿図、基礎・地盤説明書、主要構造部材特記仕様書、使用構造材料一覧表、放散塔構造計算書、放散塔基礎構造計算書(以下「設計図書」という。)
@、Aのうち、確認申請者(建設事務所代表者)の印影は、取引上重要なものであり、これを開示することに何人にも入手できることとなった場合に、当該法人の正当な利益を害するおそれがある。
 以上のことから、条例第14条第3号イ本文に該当し、非開示と判断したものである。
 また、Bの全部非開示とした設計図書は建築主から依頼を受けた設計事務所に属する設計者が専門的知識・技術に基づき、建設地の地盤状況等を考慮して作成した設計成果品であり、設計者が工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部であることから、公にすることにより競合する同業者に参考とされるなど当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を書するおそれがある。
 以上のことから条例第14条第3号イ本文に該当し、非開示と判断したものである。
(3)条例第14条第3号ただし書の該当性について
(対象部分)
@設計図書
@の全部非開示とした設計図書について、異義申立人によれば、「異議申立人は、放散塔が設置される地元で生活しており、本件により、生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされるので、群馬県情報公開条例第14条第3号ただし書きにより、本件非開示情報は公にすることが必要です。」と主張している。
 建築基準法は、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的としており、同法では建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めている。本件工作物の計画については、築造主が開法第88条第1項において準用する開法第6条第1項の規定により、工事着手前に群馬県建築主事の審査を受け、開法及び建築基準関係規定に適合するものとして、確認済証が交付されており、開法及び同規定に適合していることが判明している。
 また、本条例を解釈する上でその手がかりとなる、「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」(平成13年1月1日付総務部長通知)(以下「解釈及び運用の基準」という。)で、「ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」とは、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないものとするものである。
 以上のことから条例第14条第3号ただし書に該当せず、非開示と判断したものである。
(4)条例第14条第4号の該当性について
(対象部分)
@設計図書
@の全部非開示とした設計図書は、築造主(瓦斯事業者)が築造する施設(公共公益施設)で、天然ガスを安定供給するために建設するパイプラインに付帯して設けるガス放散塔であることから、設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物へのテロ等の不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し又は犯罪の実行を容易にする可能性があり、施設保安・管理に支障を生じるおそれがある情報である。
 また、解釈及び運用の基準で、「公にすること」とは、秘密にせず、何人にも知り得る状態におくことを意味する。本条例では、何人も開示請求ができることから、開示請求者に開示するということは、何人に対しても開示を行うことが可能であるということを意味する。したがって、非開示情報該当性の判断をする場合、「おそれ」の有無等については、「開示請求者に開示することにより」ではなく、「公にすることにより」判断することとしている。
 以上のことから条例第14条第4号本文に該当し、非開示と判断したものである。
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■これに対して、当会は6月18日付で次の内容の意見書を公文書開示審査会会長宛に提出しました。

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平成21年6月18日
群馬県公文書開示審査会会長 様
     不服申立人 住所 〒379-0114安中市野殿980
           氏名 小川 賢
「意見書」の提出について
このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項に基づく「意見書」を下記により提出します。
     記
1 開示請求公文書の特定について
 開示を請求した公文書は、「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」であり、県知事(高崎土木事務所)が平成21年6月12日付け高土第76−12号で貴会宛に(高崎土木事務所)が提出した「理由説明書」の「1 開示請求公文書の特定について」に記載した「建築基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項の規定により申請された『確認申請書(工作物)平成20年11月6日受付第110号』を対象公文書として特定した」としているが、不服申立人としては、これが請求対象の「一切の情報」であるのかどうか、確証となる根拠を持つすべはない。
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 同条例は、群馬県の保有する情報が、県民の財産であり、原則開示の精神に基づくものであると高らかに定めてあるが、往々にして、実施機関は、自分たちの都合の悪い情報について、非開示あるいは不存在という理由で、秘匿したがり、それを正当化するために同条例を捻じ曲げて解釈する場合が多いため、以前として、県民の不信感を払拭できる状況にはなっていない。
 今回も、実施機関が、原則開示という本来あるべき条例の精神をないがしろにして、条例第14条の第3号イと第4号を不当に拡大解釈したものであり、いつもの姑息な論理を今回もまた主張したことはまことに遺憾である。
3 諮問庁の公文書を開示しない理由に対する意見
 不服申立人は、実施機関が条例第14条第3号イと同条第4号を理由に、非開示とした情報のうち、次のものについて、異議申立をした。
F放散塔全体外形図、G杭伏図・柱状図・敷地断面図、H放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書、IPHC杭用継手金具姿図、J避雷設備設置概要、K避雷設備設置概要図、L避雷突針姿図、Mダイヒカップリング姿図、N鉄骨用接続端子姿図、O導線取付金物姿図、Pビニル管取付金物姿図、Q端子ボックス姿図、R接地銅板姿図、S基礎・地盤説明書、(21)主要構造部材特記仕様書、(22)使用構造材料一覧表、(23)放散塔構造計算書、(24)放散塔基礎構造計算書(以上「設計図書」という)
 実施機関は、上記の設計図書の全部を非開示とした理由について「設計図書は建築主から依頼を受けた設計事務所に属する設計者が専門的知識・技術に基づき、建設地の地盤状況等を考慮して作成した設計成果品であり、設計者が工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部であることから、公にすることにより競合する同業者に参考とされるなど当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。」と主張する。
 しかし、実施機関は重大な事実誤認をしている。
 今回、不服申立人が、情報開示請求をしたのは、放散塔の設計図書である。東京ガスによれば、放散塔は、首都圏だけでも数百箇所設置されており、これらは、大地震発生等に備えて、ガス施設の防災計画の一環として、施設の安全化対策として、ガス事業法、消防法、建築基準法、道路法等の諸法規並びに建築学会、土木学会の諸基準及び日本瓦斯協会基準に基づいているものであり、実施機関の主張するような「設計事務所に属する設計者の工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部」に相当するものではない。
 このことは、東京ガスが自ら発行している防災計画でも明示されている。(添付資料1、2参照)
 東京ガスは添付資料1の防災計画の中で、放散等の設置について、「地震時のガスによる二次災害を防止するため、中圧導管の管内ガスを安全に空中放散するため、工場・整圧所・幹線ステーション等に放散等を設置している」と説明しており、防災計画における重要な施設と位置づけている。
 東京ガスは添付資料の地震対策の中で、「たとえ大地震に見舞われた場合においても『安全を確保』することは、ガス供給事業者にとっての社会的使命であると認識している」とまで大見得をきっており、その基本的な考え方や具体的対策については、予防対策、緊急対策、復旧対策に分けて、それぞれ十分な対応を講じてきたと自慢している。この中で、放散塔は、緊急対策の要のひとつとして位置づけており、図2の大地震時の緊急遮断システムにも示されているように、地震時に二次災害を防止するため、被害状況により、放散塔からガスを大気中に上空放散することができるようにするための施設である。
 添付資料では、圧力2MPa程度の「中圧導管」ネットワークを想定した二次災害防止用として放散塔の必要性を述べているが、今回、不服申立人が請求したのは、7MPaの高圧導管ネットワーク用として、東京ガスが、不服申立人の居住する安中市北野殿地区に設置するものであり、既に、放散塔は、実施機関が非開示としているうちに、据え付けられてしまった。
 実施機関は、条例第14条第3号ただし書について、不服申立人の「生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされる」という主張に対して、呆れたことに「当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等の権利利益とを比較衡量し、前者(=人)の利益を保護することの必要性が、後者(=法人、つまり東京ガス)の利益より下回るから、開示しなくてもよいと主張している。このような認識をもつ職員が、建築基準法の認可に携わっていると思うとぞっとする。姉歯事件の教訓について、実施機関はどの程度、真剣に受け止めているのか疑問である。県民の生命、健康、生活及び財産を守るべき実施機関の職員がこのザマでは、情報公開に消極的な東京ガスをますます助長させる結果となってしまう。
 今回の非開示決定の判断を下したことになっている高崎土木事務所の建築主事佐藤雅彦に、不服申立人が平成21年3月10日に面談して確認したところによれば、同氏は設計者(=東京ガス)に情報開示の諾否について、確認していないと話し、非開示の判断は、群馬県庁にある本部にも相談した結果であると語った。そこで、不服申立人は、同日、県庁を訪れて、建築住宅課審査指導係清水氏らにも、非開示の判断を誰がしたのか、聞いてみたが、はっきりした説明がなく、不服申立人は、異議申立に記載したように、「本件情報である非開示処分とされた公文書のタイトルを見る限り、一般的な技術であり、ノウハウ流出とは考えられないこと。また、地元住民に対して、不法侵入・破壊活動等の恐れを指摘することなど無礼きわまりないこと。だから非開示決定を撤回してほしい」と申し入れたところ、清水市は「上層部と相談の上、結果を連絡する」と約束してくれた。しかし、その後何の連絡もないため、不服申立人は異議申立に踏み切った。
 このことは、実施機関の上層部そのものが、県民の生命、健康、生活、財産の安全よりも、東京ガスのような事業者の利益を重視するという考え方である事を示すものであり、到底容認できない。
 なお、実施機関は、条例第14条第4号について、さらに呆れたことに、「設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物へのテロ等の不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し又は犯罪の実行を容易にする可能性があり、施設保安・管理に支障を生じるおそれがある」と断言している。東京ガスが自ら、放散塔は大地震発生時のような緊急時に二次災害を防止するための重要な防災施設の一部と位置づけているのに、実施機関は、情報開示請求をした県民であり地元関係住民が「テロリスト」化する脅威のほうを深刻だと本当に思っているらしい。これほど、県民を愚弄した言葉はない。
 放散塔など防災施設の保安管理の責任は東京ガスにあり、そうした対策は別途措置しているはずである。本件情報を開示したくらいで、保安管理に重大な支障があるとは到底思えない。普段、ひと気のない当該施設の周辺に居住する地元住民は、むしろ不審者の徘徊等に対して、施設の間接的な監視役の立場にあるといえる。それなのに、地元住民をアルカイダと同一視する実施機関は、世界に冠たる治安良好なわが国において、地域コミュニティの果たしてきた役割をまったく認識しておらず、言語道断である。実施機関のしかるべき幹部に、謝罪を求めたい。
 本件異議申立の審議に関連して、開示請求情報の取り扱いについて東京ガスに諾否の確認もせず、勝手にしかも簡単に業者寄りの比較衡量の判断をした実施機関の関係者や、納税者であり地域コミュニティに貢献しようとする県民をアルカイダよばわりした実施機関の関係者は、即刻クビにするよう、審査会からも大澤知事に答申されたい。  以上
添付資料1:ガス施設防災計画(東京ガス株式会社)
添付資料2:東京ガスの地震対策(井上忠夫)
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■こうして、本来であれば、東京ガスが、地震発生時のガス施設の安全対策として設置する放散塔の情報を開示してくれれば何の問題もありません。ですが当会は、東京ガスが開示を拒否したとしても、県民の生命、健康、生活、財産の安全を第一に考えてくれる群馬県なら、きっと情報開示してくれると期待していました。しかし、現実は、そうではなかったのです。

 群馬県は、異議申立をした当会に対して、あくまで、テロリスト呼ばわりをしたい方針のようです。群馬県公文書開示審査会の正しい判断に基づく知事への答申を、今度こそ期待したいと存じます。

【ひらく会情報部】
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