2018/10/3  21:58

大同スラグ控訴審…10月31日の第2回口頭弁論に向けて控訴人準備書面(1)を提出!(前編)  スラグ不法投棄問題


■当会が東吾妻町萩生地区の圃場整備事業で、農道に大同のフッ素・六価クロム入り有毒生スラグが敷砂利として投棄されていた現場をはじめて2014年6月1日に確認して以来、4年4カ月が経過しました。「臭いものに蓋をしないでほしい」と農道舗装工事施工主体である吾妻農業所長に電話で懇願したにもかかわらず、その直後、有害スラグを撤去せずに舗装工事が行われたため、住民監査請求を2015年1月30日に提出しました。しかし、棄却されたため、2015年4月30日に住民訴訟を提起しました。以来ほぼ3年が経過しようとしていた2018年3月16日(金)午後1時10分に前橋地裁21号法廷で開かれた判決言渡弁論において、裁判長の「主文 原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」という発生が法廷に響き渡りました。この判決を確定させてしまうと、さまざまな方面で収拾のつかない事態が発生し、我が国の土木建設業界のみならず、生活及び営農環境面に甚大な影響を及ぼしかねないため、当会は2018年3月26日(月)に、前橋地裁で控訴手続きをとり、第1回口頭弁論が、同8月15日(水)午後2時から東京高裁第22民事部424号法廷で開かれました。
 その結果、10月1日(月)までに控訴人から答弁書に対する反論を提出し、それを被控訴人群馬県がみて、次回10月31日(水)10時30分から東京高裁424号法廷で開かれる第2回控訴審口頭弁論で、再反論の要否について、裁判長が意見を群馬県に聞くことになっており、県の回答内容次第で、もう一度今度は被控訴人群馬県側に主張させるかどうかを見極めたいと裁判長が訴訟指揮をしました。
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10月2日の朝、東京高裁と被控訴人訴訟代理人弁護士あてに簡易書留で郵送した領収書等。

 一審敗訴以降のこの件に関する情報は、次の当会のブログ記事を参照ください。
○2018年3月27日:大同スラグ裁判・・・3月16日に前橋地裁が言渡した判決を不服としてオンブズマンが3月27日に控訴状提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2604.html
○2018年5月15日:大同スラグ裁判・・・3月16日の前橋地裁での敗訴判決を受けて、東京高裁に控訴理由書を提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2640.html
○2018年5月26日:大同スラグ裁判・・・控訴審の第1回口頭弁論が8月15日に東京高裁で開廷が決定!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2648.html
○2018年8月3日:大同スラグ控訴審…8月15日の第1回口頭弁論が迫り、被控訴人群馬県から控訴答弁書が到来!(前編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2714.html
○2018年8月3日:大同スラグ控訴審…8月15日の第1回口頭弁論が迫り、被控訴人群馬県から控訴答弁書が到来!(後編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2715.html

 それでは控訴人当会が10月2日に東京高裁と被控訴人訴訟代理人弁護士事務所に送付した控訴人準備書面(1)を以下に示します。

*****控訴人準備書面(1)P18中段まで*****PDF ⇒ 20181002tilipjmn.pdf
平成30年(行コ)第139号 住民訴訟控訴事件
控 訴 人 小川賢
被控訴人 群馬県
                         平成30年10月2日
東京高等裁判所第22民事部 御中
                        控訴人 小川 賢  印

            控訴人準備書面(1)

 頭書事件について、8月15日の口頭弁論における裁判所の訴訟指揮に基づき、次のとおり陳述する。

第1 スラグを撤去しなければならない理由

1 平成26年6月には大同特殊鋼由来のスラグと天然石とを違法に混合していた中央混合所に、廃棄物(鉱さい)の看板が掲げられており、本件舗装工事を実施する前に控訴人は被控訴人にスラグは廃棄物であることを指摘した。この指摘は被控訴人も認めているところである(控訴答弁書8頁下から6行目「(1) 第1段落ないし第3段落について」参照)。

2 産業廃棄物は、生活環境を保全するため、廃棄物処理法(以下法と呼ぶ)が定めたルールに則り適正に処理しなければならない(法第1条)。
  具体的には法施行令第7条に規定されている産業廃棄物処理施設において処理されるのが、その適正な処理のため法が定めたルールであると思われる。ただし、「鉱さい」という分類の廃棄物には破砕施設の規定はなく、いわゆる再生処理(リサイクル)することはできない。加えて、大同特殊鋼由来のスラグにはフッ素などが環境基準を超えて含まれているおそれがあることから、同第14号のいずれかの最終処分場に埋め立て処分しなければならないと考える。
  最終処分場以外に投棄された状況は、廃棄物が適正に処理されたとはいえないので、撤去した上、法が定めたルールに則り適正に処理しなければならない。法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定めているが、「みだりに」とは法律用語ではなく「正当な理由なく」を意味する言葉とする記述をよく見かける。廃棄物は法が定めたルールつまり正当な理由なく投棄してはならない。

3 平成26年4月22日に発出された「廃棄物に関する指示書」(甲5号証)により被控訴人の廃棄物・リサイクル課は、法に基づく立入り調査の結果、スラグを廃棄物の分類である「鉱さい」と指摘し全量を適正に処理するよう改善を指示した。その結果、大同特殊鋼グループはスラグを最終処分場に最終処分した(甲74・75号証)。法に基づく立入り調査は、法第1条の目的である生活環境の保全を目的としたものに他ならない。よって、被控訴人の廃棄物・リサイクル課が行った立入り調査は、生活環境の保全の観点から支障があると判断したことによる調査という事ができる。
  しかも今回、スラグ=鉱さいが投棄された場所は、食料となる農作物を栽培する農業地帯の真っただ中にある。被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所は、廃棄物・リサイクル課の立入り調査結果を踏まえるまでもなく、率先して安心・安全な営農環境の保全に努めなければならないはずである。

4 その後、被控訴人は平成27年9月11日にスラグを「鉱さい」という分類の廃棄物と広く公表する形で認定を行っている(甲57号証)(以下スラグ廃棄物認定と呼ぶ)。
(1)その廃棄物処理法第18条第1項および同第19条第1項に基づく調査の結果報告のなかで、被控訴人は次のように述べている。
          (引用はじめ)
    (2) 平成13年にふっ素の土壌環境基準が設定され、平成15年にふっ素の溶出量及び含有量に係る指定基準を設定した土壌汚染対策法が施行された。
これにより、路盤材など土壌と接する方法で鉄鋼スラグを使用する場合、周辺土壌や地下水を汚染しないよう、土壌環境基準等と同等の基準を満たすことが求められ、鉄鋼業界では、ふっ化物(蛍石)を使用しない操業への移行や、鉄鋼スラグに含まれる有害物質の検査を行い、環境安全性を確認して路盤材等に再生利用する方法がとられてきた。
しかし、大同特殊鋼(株)渋川工場は、その後もふっ化物(蛍石)の添加を止めることなく、また、鉄鋼スラグの大半がふっ素の土壌環境基準等を超過していることを承知したうえで出荷を続け、当該スラグが使用された施工箇所の一部で基準を超える土壌汚染を生じさせた。

          (引用終わり)
   この中で、被控訴人は「路盤材など土壌と接する方法で鉄鋼スラグを使用する場合、周辺土壌や地下水を汚染しないよう、土壌環境基準等と同等の基準を満たすことが求められ」と述べていることから、鉄鋼スラグにより周辺土壌が汚染され、やがては地下水が汚染されることは生活環境の保全上、問題となることを被控訴人は認識していることが分かる。
   被控訴人には釈迦に説法かもしれないが、環境基本法第16条には次のような規定がある。
          (引用はじめ)
    政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
          (引用終わり)
   被控訴人は環境基本法に基づく土壌環境基準に触れ、周辺土壌や地下水を汚染しないようにと考えていることから、環境基本法にいう生活環境の保全のためには、少なくとも「土壌」と「地下水」を要素と認識している。
   今回スラグ=鉱さいが投棄された場所は農業地帯であるから、被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所はなによりも安心・安全な食のみなもととなる農作物を生み出すのに必須な「土壌」と「地下水」が営農環境の保全の観点から重要であることを認識しなければならないはずである。

(2)また被控訴人は、甲57号証の(7)で次のように述べている。
          (引用はじめ)
   (7)
    ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。

          (引用終わり)
   被控訴人は、廃棄物に該当するか否かの認定について「その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し」と環境省の地方自治法に基づく技術的指導である「行政処分の指針」(乙26号証3頁21行目(2)廃棄物該当性の判断について@)と同様の判断基準を採用したり、被告準備書面で環境省の行政処分に触れたり(被告第10準備書面2頁上から25行目)していることから、環境省が示した「行政処分の指針」に沿った廃棄物行政を行っていることが分かる。しかし遺憾ながら、そして不可思議なことに、大同特殊鋼由来のスラグの撤去については、なぜか不十分である。
   今回、スラグ=鉱さいが投棄された場所は、食料となる農作物を栽培する農業地帯の真っただ中にある。被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所は、何よりもスラグが安心・安全な営農環境の保全にとって脅威となるという認識のもとに、行政判断をしなければならないはずである。

5 「おそれ」の認定
  上記4の(1)で引用したとおり、被控訴人は、大同特殊鋼由来のスラグを廃棄物に認定している中で、「鉄鋼スラグの大半がふっ素の土壌環境基準等を超過していることを承知したうえで出荷を続け、当該スラグが使用された施工箇所の一部で基準を超える土壌汚染を生じさせた。」と述べている。
  また同じく、4の(2)で引用したとおり、被控訴人は「スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり」と述べている。
  この二つを要約すれば、スラグの大半がフッ素を「土壌環境基準等を超過」して含んでおり、土壌と接する方法で使用した場合「フッ素による土壌汚染の可能性」がある、ということになる。
  被控訴人が行政を行う上で技術的な指導を仰いでいる「行政処分の指針」(乙26号証25頁上から18行目)に次の記述がある。
          (引用はじめ)
  2 要件
   (1) 生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるとき
   @ 「生活環境」とは、環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する「生活環境」と同義であり、社会通念に従って一般的に理解される生活環境に加え、人の生活に密接な関係のある財産又は人の生活に密接な関係のある動植物若しくはその生育環境を含むものであること。また、「生活環境の保全」には当然に人の健康の保護も含まれること。
   A 「おそれ」とは「危険」と同意義で、実害としての支障の生ずる可能性ないし蓋然性のある状態をいうこと。しかし、高度の蓋然性や切迫性までは要求されておらず、通常人をして支障の生ずるおそれがあると思わせるに相当な状態をもって足りること。
   B このように「生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがある」とは、人の生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が現実に生じ、又は通常人をしてそのおそれがあると思わせるに相当な状態が生ずることをいい、例えば、安定型産業廃棄物が道路、鉄道など公共用の区域や他人の所有地に飛散、流出するおそれがある場合、最終処分場以外の場所に埋め立てられた場合なども当然に対象となること。

          (引用終わり)
  この「行政処分の指針」の記述と被控訴人のスラグ廃棄物認定を照らし合わせると
@ 「生活環境」とは環境基本法に規定する土壌さらに汚染が進むと地下水であり、
A 「おそれ」とは実害として土壌と接する方法で使用した場合、フッ素による土壌汚染の可能性があることであり、
B 人の生活に密着な関係がある環境である土壌さらには地下水に支障が生じまたは通常人をしてその恐れがあると思わせるに相当な状態が生ずることであり、被控訴人である群馬県が「生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある」と認定したことになる。
  このような廃棄物であるスラグが最終処分場以外の本件萩生川西地区の農道に埋め立てられた本事件は当然「生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある」の対象となる。
  しかも、今回スラグ=鉱さいが投棄された場所は農業地帯であるから、被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所は、安心・安全な食のみなもととなる農作物を生み出す営農環境の保全の観点が何にも増して重要であることを認識しなければならないはずである。

6 「生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある」スラグを法に従い適正に処理させる方法として法が予定している方法には次の3つがある。
・措置命令(法第19条の5)
・排出事業者等に対する措置命令(法第19条の6)
・生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)

7 措置命令(法第19条の5)について
  被控訴人が技術的な指導を受ける「行政処分の指針」(乙26号証25頁上から2行目)では措置命令につき次の記述がある。
          (引用はじめ)
   1 趣旨
   (1) 都道府県知事は、処理基準又は保管基準(以下「処理基準等」という。)に適合しない産業廃棄物の処理が行われた場合において、生活環境の保全上の支障を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、必要な限度においてその支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるように命ずることができることから、これらの者による不適正な処分を把握した場合には、速やかに命令を行い、生活環境の保全上の支障の発生を防止し、又は除去されたいこと。なお、この場合において、処理基準等に違反する状態が継続している(不法投棄の場合であれば、廃棄物が投棄されたままの状態が継続している。)以上、いつでも必要に応じ命令を発出することができること。
   (2) 法第19条の5は、「命ずることができる」と規定されているところ、同条は生活環境の保全を図るため都道府県知事に与えられた権限を定める趣旨であるから、不適正処理された産業廃棄物の種類、数量、それによる生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性など客観的事情から都道府県知事による命令の発出が必要であるにも関わらず、合理的な根拠がなく権限の行使を怠っている場合には、違法とされる余地があること。

          (引用終わり)
  萩生川西地区にスラグが投棄されている状況は、上記5で述べたように「生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある」状況であるから、措置命令を発出する権限を有する被控訴人の群馬県知事は、その技術的指導「行政処分の指針」(乙26号証)に従うなら、速やかに生活環境の支障の発生を防止し、又は除去しなければならないはずである。
  まして、今回スラグ=鉱さいが投棄された場所は農業地帯であるから、被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所はなによりも安心・安全な食のみなもととなる農作物を生み出す営農環境の保全が重要であることを認識しなければならないはずである。
  また措置命令は「必要な限度においてその支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるように命ずることができる」となっているが、「必要な限度において」について被控訴人が仰ぐ技術的指導「行政処分の指針」(乙26号証27頁上から32行目)では次のような記述がある。
          (引用はじめ)
   (1) 命令は「必要な限度において」とされており、支障の程度及び状況に応じ、その支障を除去し又は発生を防止するために必要であり、かつ経済的にも技術的にも最も合理的な手段を選択して措置を講ずるように命じなくてはならないこと。具体的には、例えば、最終処分場において、浸出液により公共の水域を汚染するおそれが生じている場合には、遮蔽工事や浸出液処理施設の維持管理によって支障の発生を防止できるときは、まずその措置を講ずるように命ずるべきであって、これらの方法によっては支障の発生を防止できないときに初めて、処分された廃棄物の撤去を命ずるべきであること。
          (引用終わり)
  萩生川西地区の農道にスラグが埋設されていることには争いはない。このスラグは土壌と接しており被控訴人自ら、土壌と接している状況は「生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある」状況と認定している。
  「必要な限度において」については、廃棄物であるスラグを撤去し、最終処分場に運搬する手段と、スラグと土壌の間に遮蔽工事を行い尚且つ浸出液処理施設を設ける手段が考えられるが、後者の方法は「行政処分の指針」にも例示があるとおり産業廃棄物最終処分場の設置許可を得なければならず、農地に隣接する萩生川西地区農道が最終処分場となる可能性は極めて低く、経済的にも技術的にも合理的な手段とはいえない措置である。
  法は鉱さいという分類のスラグを法施行令第7条第14号に規定する最終処分場に埋立処分することを規定している。つまり萩生川西地区の農道に埋め立てられたスラグは撤去することが、「その支障を除去し又は発生を防止するために必要であり、かつ経済的にも技術的にも最も合理的な手段」である。
  撤去について古市徹北海道大学大学院工学研究科教授を座長とする不法投棄防止及び原状回復に関する懇談会報告書(甲81号証10頁1行目)では次のように述べている。
          (引用はじめ)
   ○不法投棄の防止及び原状回復は、不法投棄の規模が小さな段階で措置命令を発出するとともに、行為者が産業廃棄物処理業者の場合には業の許可を取り消すなどして新たな搬入を停止させ、原因者等の責任で撤去等させることが原則である。
          (引用終わり)
  措置命令の「命令」の対象について、「行政処分の指針」(乙26号証25頁上から35行目)では、「現に処理基準に適合しない廃棄物の保管、収集、運搬又は処分を行った者(以下「処分者」という。)」となっており、萩生川西地区にスラグを持ち込んだ建設資材メーカーの(株)佐藤建設工業が該当すると考えられる。
  なお、萩生川西地区にスラグを持ち込んだ(株)佐藤建設工業は、被控訴人群馬県により廃棄物の許可を取り消される行政処分を受けているが撤去の措置命令は発出されていない(甲73号証)。処分者が産業廃棄物の許可を取り消される行政処分を受けた場合には「行政処分の指針」(乙26号証6頁上から2行目)では「躊躇することなく取消処分を行った上で、原状回復については措置命令により対応すること。」と述べている。

8 排出事業者等の措置命令((法第19条の6)
  被控訴人は、措置命令(法第19条の5)に加え、排出事業者がその事業活動に伴って生じた廃棄物を自ら適正に処理するものとする「排出者の処理責任」を負っている(法第3条第1項及び第11条第1項)ことから、排出事業者等にも措置命令を発出することができる。

9 生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)
  法第19条の8について、被控訴人が技術的指導を仰ぐ「行政処分の指針」(乙26号証32頁22行目)では次の記述がある。
          (引用はじめ)
   第10 生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)
   1 趣旨
   処理基準等に適合しない産業廃棄物の処理が行われた場合に速やかな代執行の実施による生活環境の保全を図るため、措置命令を受けた処分者等がこれを履行しないときのほか、措置命令を行うべき処分者等を確知することができないとき又は措置命令を行ういとまがないときに、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の特例として、簡易迅速な手続により代執行を行うことを可能とするものであり、積極的に活用されたいこと。なお、「都道府県知事は、自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。」と規定されているとおり、不適正処理の原因者等に対して命じられる支障の除去等の措置の内容と、公費を投入して行われる代執行における支障の除去等の措置の内容とでは自ずから差異があり得るのであり、措置命令を発出した事案において代執行をどこまで実施するかは、不適正処理された産業廃棄物の種類、数量、これに起因する生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性等の客観的事情を総合勘案し、都道府県知事の判断により決定されるものであること。

          (引用終わり)
  生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)とは、次のとおり。
・ 措置命令を受けた処分者等がこれを履行しないときに都道府県知事が自らその支障の除去等を行う措置であること
・ そして不適正処理の原因者等に対して命じられる支障の除去等の措置の内容と、広く税金として国民県民から徴収した公費を投入して行われる代執行における支障の除去等の措置の内容とで差異があり得る措置であること。
  生活環境の保全上の支障があるとき、まず措置命令(法第19条の5)及び排出事業者等に対する措置命令(法第19条の6)により廃棄物は原則撤去する。措置命令を受けた処分者等がこれを履行しないときには、生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)により都道府県知事が、不適正処理された産業廃棄物の種類、数量、これに起因する生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性等の客観的事情を総合勘案し、支障の除去等の措置の内容を決定する。この時廃棄物は原則撤去であるが、被覆等の措置が考えられる。

10 まとめ
  萩生川西地区の農道には、土壌と接する方法で使用された大同特殊鋼由来のスラグが埋設されており、被控訴人がその状況を「生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある」状況と認定していることから、被控訴人により速やかに生活環境 の保全上の支障を除去するため、スラグ撤去の措置命令が発出されることが望ましい。
  ちなみに萩生にスラグを搬入した(株)佐藤建設工業もスラグ排出事業者の大同特殊鋼(株)も、共に現在も企業経営を継続している。
  控訴人が平成26年6月に、本件農道に敷設されたスラグが廃棄物であることを指摘した時点で、吾妻農業事務所長が、本件農道舗装工事を一時中止し、本件農道整備工事の際に、群馬県土木工事標準仕様書が準拠する道路用鉄鋼スラグのJIS規格に則り、環境安全性の検討を実施していたかどうかを確認することを怠らなければ、平成26年6月にスラグ撤去が検討されていたはずである。
  また、吾妻農業事務所長が本件農道舗装工事に際し、敷砂利であるスラグを舗装の路盤に変用・現場内利用する際(判決文32頁下から3行目)に、土壌・水質等の環境に影響を及ぼさない性質であるかどうか、の調査を怠らなければ(甲80号証)、平成26年6月にスラグ撤去が検討されていたはずである。
  時は流れ平成27年9月には、スラグは正式に廃棄物認定され(甲57号証)、スラグについて、ふっ素による土壌汚染の可能性・おそれが認定され、もはやスラグを原則撤去しなければならない状況となった。
  控訴人は一審でスラグの環境分析調査をするべく主張したが(原告準備書面(9))、そもそも、吾妻農業事務所長が本来、スラグの環境分析調査を行うべきである。
  まして、今回スラグ=鉱さいが投棄された場所は農業地帯であるから、被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所はなによりも安心・安全な食のみなもととなる農作物を生み出す営農環境の保全を担保するために、率先してそうした行動をとらなければならないはずである。

第2 他県の類似事例

1 岐阜市の不法投棄事件
 この事件では、専門家や環境省を招き検討を加えた岐阜市の取り組みが大変参考になる(甲82〜87号証)。
(1)この事件に対する岐阜市の対応(甲87号証1ページ上から1行目参照)
          (引用はじめ)
    この委員会は平成 16 年 3 月 10 日、警察当局による強制捜査により、本市において全国有数の産業廃棄物の大量不法投棄事案が発覚した。これを受けて、平成 16 年 5 月 27 日、岐阜市産業廃棄物不法投棄対策検討委員会(以下「検 討委員会」という。)が設置され、今後の対策や現地の再生などについて、部会も含めて延べ 27 回にわたって 会議を開催した。
          (引用終わり)
(2)この事件の廃棄物の性状(甲87号証3頁上から9行目参照)
          (引用はじめ)
    埋められた廃棄物は、土砂、コンクリートガラ、木くずが主体であり、そのほとんどが建設系の混合 廃棄物であった。現場最上部では木くず類、中段部ではコンクリートガラが多く確認され、低地部では 陶器・石・コンクリートガラを主体にスポット的に木くずが確認された。
          (引用終わり)
(3)この事件の生活環境への影響(甲87号証8ページ上から12行目)
          (引用はじめ)
    今後の対策を検討するにあたっては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)上、埋立廃棄物に起因する生活環境保全上の支障、又は生じるおそれがあることを明らかにする必要がある。
    このため、詳細調査結果を踏まえ、第 7回及び第 8 回技術部会において、支障のおそれの内容と生活 環境の保全上達成すべき目標について、事務局案に基づき技体拍甘・科学的見地から検討を行い、その結果、以下のような結論に至った。
    詳細調査の結果、廃棄物層の一部で六価クロムが土壌環境基準を、鉛が土壌含有量基準をそれぞれ超 過していたが、全体としては有害物質によるリスクは小さいと判断できる。また、周辺部におけるモニタリング調査では、廃棄物層由来と考えられる有機物及びイオン類の影響が地下水及び河川水に認められたものの、大気、地下水、河川、土壌等の周辺環境への有害物質による汚染は認められていない。 従って、技術部会で、は、現時点において生活環境の保全土の支障が生じているとは認められないものの、 下表に示す事項について、将来支障を生じるおそれが全くないとは言えないとした(表 1)。

          (引用終わり)
   この委員会では、岐阜市不法投棄事件につき、廃棄物の極一部で六価クロムが土壌環境基準を、鉛が土壌含有量基準をそれぞれ超過していたが、地下水・土壌等の周辺環境への有害物質による汚染は認められていないとしており、控訴人群馬県が、大同特殊鋼由来のスラグが土壌と接する方法により使用するとフッ素により土壌が汚染されるおそれがあるとしているのと対照的となっている(甲57号証(7)参照)
(4)この事件の廃棄物処理の方策について(甲87号証18ページ下から9行目)
          (引用はじめ)
   (3) 現地の廃棄物処理方策について|
    技術部会からの報告をもとに処理方策について検討を重ねた。その過程では、「再発防止のためにも土砂・コンクリートがらも含めて全量撤去すべき」とする考え方、「全量撤去を前提に段階的に対策を実施するのが適当である」とする考え方、あるいは、「財政等も考慮し、実現可能な範囲で最大限必要な対策を施すのが適当である」とする考え方などが示されたが、検討の結果、以下のように提言するものである。
   @今後の対策について
   1)不法投棄行為者及排出事業者等に対し責任に応じて全量撤去を求めること。
   2)代執行も止むを得ない状況が見込まれる場合、当委員会における検討結果や調査結果などを総合的に勘案し、できるだけ速やかに、まず混合物主体層全量を掘削・選別し、将来的に支障を及ぼすおそれがないとは言えない木くず、紙、布、プラスチック類の撤去を進め、金属類などそれ以外の廃棄物については、選別状況、モニタリング調査結果や地元の意見などを踏まえて判断すること。
   3)今後実施するモニタリング調査等において生活環境保全上の支障が認められた場合は、速やか に周知するとともに、緊急に措置を講じること。
   4)選別・撤去にあたっては、資源としてのリサイクルの可能性も考慮すること。
   5)地権者及び地元等の理解を得られれば、現場での廃棄物焼却施設の設置も考えられること。
   A責任追及について
   不法投棄行為者及及び排出事業者等の責任追及を徹底し、極力事業者による撤去を図ること。
   B費用負担について
   1)代執行が見込まれる場合は、事業者、職員等からの拠出による基金の設置などを検討すること。
   2)引き続き園、県へ財政支援を求めること。
   3)対策の実施にあたっては、市の施設の活用や最新技術の導入など、費用の低減に極力努めること。

          (引用終わり)
   この委員会では、「不法投棄行為者及排出事業者等に対し責任に応じて全量撤去を求めること。」を原則とすることを記述している。また岐阜市のケースでは土壌が汚染されるおそれが認められないことから、代執行による場合には撤去以外の方法も検討されている。これは、廃棄物処理法が、まず廃棄物の処分者等に対する措置命令(法第19条の5)、次に排出事業者等に対する措置命令(法第19条の6)、そして行政代執行など生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)と3類型で生活環境の支障の除去を規定していることから当然の帰着ということができる。まずは廃棄物の処分者等や排出事業者等に全量撤去を命じ、その後行政代執行により行政が生活環境の支障を除去する場合には、全量撤去によらない方法も検討するという考え方である。
 ひるがえって、群馬県東吾妻町萩生川西地区の農道整備工事にスラグが持ち込まれた本事件では、スラグが土壌と接する方法で使用されており、土壌をフッ素汚染するおそれがあることから、本来検討されるべき対処として、スラグを萩生川西地区の農道に搬入した(株)佐藤建設工業に措置命令を発出し、全量撤去させるべきであった。
 (株)佐藤建設工業が命令を実行しないときには、スラグの排出事業者である大同特殊鋼(株)に措置命令を発出し、大同特殊鋼(株)までもがスラグの全量撤去を実行しないときには、群馬県等の公共団体による廃棄物処理法に基づいた行政代執行が検討されるべきであった。
 被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所はなによりも安心・安全な食のみなもととなる農作物を生み出す営農環境の保全を担保するために、率先してそうした行動をとらなければならないはずであったが、それを怠っている。ならば、吾妻農業事務所長にせめて財務会計上の支出行為の責任として、違法不当な公金の支出による損害を賠償させなければならない。

2 4都道府県にわたるフェロシルト事件
 この事件は、石原産業が酸化チタンの廃液を再利用した土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不正製造に関する産業廃棄物不法投棄事件である。(甲88号証2頁上から20行目)
 埋設地で有害物質(6価クロムとフッ素)が検出され(甲88号証4頁上から3行目)、また逆有償取引であることから(甲88号証4頁上から10行目)、廃棄物に認定され、愛知県・岐阜県・岐阜市・京都府から廃棄物処理法第19条の5に基づく回収措置命令が発でされている(甲88号証12頁上から14行目)。また三重県では石原産業が自主的に全量回収する方針を打ち出している(甲88号証11頁上から9行目)。
 このように、この事件では、4県にまたがり投棄された有害な埋戻材について、全量回収撤去する対処がなされている。

第3 控訴答弁書に対する反論

 被控訴人は、控訴答弁書11頁上から8行目で「第3群馬県内で渋川工場スラグが使用された地点の対処の状況」なる廃棄物処理法を無視した対処の状況を答弁として主張している。
 鉄鋼スラグ連絡会議は、国土交通省関東地方整備局、被控訴人群馬県県土整備部、渋川市により構成され廃棄物行政の専門家ではない工事実施主体で構成されており、およそ生活環境の保全上の支障の除去等の措置(法第19条の8)を検討するべき者ではない。
 また、「表面被覆等」などの対策を実施することを決定した際に県環境部局の助言を求めるという、本来廃棄物対策について主体になって対策を検討すべき県環境部局を、工事実施主体が自分達に都合が良いように従属的に利用していることがわかる。
 その結果、鉄鋼スラグ連絡会議なる会議体は、環境基本法や廃棄物処理法を顧みることなく、生活環境について土壌を無視し、地下水への影響のみ監視することしか考えておらず(控訴答弁書11頁上から8行目24行目)、また廃棄物処理法等の環境法令への適用状況は、「将来、修繕工事や占用工事等で当該箇所を掘削場合」(控訴答弁書12頁上から1行目)に検討するなど、工事の知識しか無い者による、廃棄物対策を先送りしたあきれははてた対応方針を表明している。環境の専門家によらない環境対策など愚の骨頂である。
 それでは、被控訴人の答弁書の項目ごとに、控訴人は必要な反論をする。なお、分かりやすいように、【控訴理由書】【控訴答弁書】【控訴人の反論】の形で示す。

1 (1)について
(1)第1段落及び第2段落について
【控訴理由書】
1.「2 本案の争点(本件舗装工事に係る支出負担行為及び支出命令に関する狩野の行為につき、狩野が故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたことにより群馬県に損害を与えたと認められるか否か(特に当該行為の違法性の有無))について

(1)判決文P27の(3)「ア 本件舗装工事の必要性について」の(ア)について
 ここで、「@吾妻農業事務所が・・・優先度、予算の状況等を踏まえ、順次舗装をする方針を採っていたこと、A本件農道については、それぞれ舗装の必要性があり、地元関係者からも勾配の急な支道6号、耕道7号及び耕道8号の舗装を要望される等、優先度も比較的上位にあったことが認められる。」とある。
 しかし、乙第3号証を見ると

2)関係者からの要望
@用水路の落差工区間において、玉石で施工されているが、通水の際に水が跳ねて水路脇を洗屈してしまう。
  県:施工業者へ手直しをさせる。
A農地への進入路の位置変更
 支道6号の計画高が変更(高く)となり、農地との高低差が少なくなったため支道側からの進入路を要望。
  県:工事委員の承諾が得られれば、対応可能である。
支線農道等の舗装要望
勾配の急な路線が5工事内にあるが、舗装することを要望する。
  県:今回舗装を行う箇所もある。5工事に限らず、急勾配の路線、維持管理上必要な路線、営農上利用状況の多い路線については、優先度、予算の状況等を考え、舗装していきたい。

となっている。

【控訴答弁書】
 認める。


(2)第3段落について
【控訴理由書】
 乙2号証の支道6号については、舗装の要望ではなく「支道側からの進入路を要望」されているという状況である。

【控訴答弁書】
 否認する。*1)冒頭の「乙2号証」は,正しくは「乙3号証」である。
 たしかに,平成25年4月23日に開催された平成25年県営萩生川西土地改良事業推進協議会第24回工事委員会(以下,「第24回工事委員会」という。)において,関係者から,支道6号に関連して,支道側からの進入路の要望は出されており,支道6号を舗装して欲しい旨の要望は出ていない。しかし.支道6号を舗装しないで欲しい旨の要望が出たわけでもない。

【控訴人の反論】
 関係者が「支道6号を舗装しないで欲しい旨の要望」をすることがあるのだろうか?関係者の支線農道等の「勾配の急な路線が5工事内にあるが、舗装することを」要望に対し、県は「今回舗装を行う箇所もある。5工事に限らず、急勾配の路線、維持管理上必要な路線、営農上利用状況の多い路線については、優先度、予算の状況等を考え、舗装していきたい。」と回答している状況から考えるに、関係者は農道の未舗装路の舗装を要望しており「優先度、予算の状況等を考え、舗装」を我慢している状況にある。とても関係者が「支道6号を舗装しないで欲しい旨の要望」をするとは思えない。被控訴人の詭弁である。


(3)第4段落について
【控訴理由書】また、確かに「勾配な急な路線が5工事内にあるが、舗装することを要望する」との記述があるが、その回答として県は「5工事に限らず」として広く5工事以外の場所を含め舗装の必要性を説明している。
【控訴答弁書】
 認める。


(4)第5段落について
【控訴理由書】
 控訴人は準備書面(3)で述べた通り、萩生地区にはたくさんの敷砂利が施された道があるなか、なぜか、スラグ混合再生路盤材(RC40)(判決文P5下から12行目)が敷砂利されている道のみが舗装されている。

【控訴答弁書】
 否認する。
 控訴人は,本件再生砕石が使用されていた農道以外は舗装工事が全く行われていないかのような主張をするが,被控訴人は,平成26年度の地域公共事業調盤費によって本件舗装工事を行った後も,更に本件は場整備事業の施工地域内において,以下のとおり,5つの路線について舗装工事を施工しており(乙33の1,2参照),本件舗装工事を、行った5路線のみ殊更に舗装工事を実施したわけではない。
  @ 支道6−1号
    平成28年度の地域公共事業調整費として舗装工事を実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ180.52mを舗装。
  A 支道18号
    平成28年度の地域公共事業調整費として舗装工事を実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ125.50mを舗装。
  B 支道22号線
    平成27年度の地域公共事業調整費により実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ141.55mを舗装。
  C 支道24−1号線
    平成27年度の地域公共事業調整費により実施。
    維持管理上の必要及び営農上利用が多いことを理由とし,幅員4.0m×長さ138.12m舗装。
  D 支道24−2号線
    平成27年度の地域公共事業調整費により実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ203.44mを舗装。

【控訴人の反論】
 控訴人が「スラグ混合再生路盤材(RC40)(判決文P5下から12行目)が敷砂利されている道のみが舗装されている。」と主張するのは、平成26年度の地域公共事業調整費により実施された本件農道整備工事が、全てスラグ混合再生路盤材が敷砂利されている道のみが舗装されている、と主張しているのであり。その後の平成27年及び平成28年の地域公共事業調整費により実施された舗装工事を指しているのではない。被控訴人がステージコンストラクション中の下層路盤に舗装を施すというなら、舗装工事を地域公共事業調整により実施するのではなく、本来予定された予算で実施するべきである。被控訴人の平成27年度及び平成28年度の地域公共事業調整費による舗装工事は、本件農道舗装工事を正当化するためのつじつま合わせの工事に過ぎない。
 そもそも、今回スラグ=鉱さいが投棄された場所は農業地帯であり、被控訴人の農政部農村整備課や吾妻農業事務所は、安心・安全な食のみなもととなる農作物を生み出す営農環境の保全の観点が何にも増して重要であることを認識しなければならないはずであるから、フッ素や六価クロムなどの有害物質を含む資材を使って舗装する公共工事など存在し得ない。


(5)第6段落について
【控訴理由書】
 また、少なくとも支道6号及び支道27号は急勾配な道ではないので、乙2号証の内容とは異なる(甲33・34号証参照)。

【控訴答弁書】
 支道27号が急勾配の農道でないことは認め,その余は否認する。
 支道6号は,縦断勾配が8パーセントを越える地点が含まれており(甲10・17頁エ(ア)参照。12.550パーセントの勾配の地点が含まれていることについて,乙1・3頁。),舗装することが望ましい急勾配の農道である。
 また,第24回工事委員会における被控訴人担当者の説明は,「急勾配の路線,維持管理上必要な路線,営農上利用状況の多い路線」について舗装を検討して行くという内容であり(乙3),将来的な舗装の検討対象を急勾配の路線には限定しておらず,支道27号を舗装したことは第24回工事委員会における説明と何ら矛盾しない。

【控訴人の反論】
 そもそも交通量や大型車通行が極めて制限的な農道において縦断面の「急勾配」の定義が何%以上なのか、また勾配のある農道の場合、何%以上の購買の場合、舗装をしなければならない規則などあるのか、被控訴人の答弁は、極めて根拠が薄弱だ。誰が見ても完全にフラットな支道27号に舗装をかけること自体、スラグに蓋をするのが目的であることは歴然である。また、支道6号にしても、勾配8%以上の個所が含まれるとあるが、それは道路全面が急勾配というわけではあるまい。にもかかわらず、一部が急勾配だから全部舗装をするというのは、論理に矛盾と無理がある。


(6)第7段落について
【控訴理由書】
 さらに被控訴人は、「本件舗装工事において舗装した5つの路線の舗装理由」を縷々説明するが、スラグ混合再生路盤材が敷砂利のみ舗装した理由を説明していない。

【控訴答弁書】
 否認する。
 本件農道舗装工事において5つの路線の舗装工事を行った目的ないし理由は,被控訴人の平成28年3月15日付け第2準備書面の第2の2項(1)ないし(2)(6ないし7頁),平成29年3月7日付け第9準備書面の第1・1項ないし2項(2頁)で述べたとおりである。

【控訴人の反論】
 被控訴人の答弁は、反論に値するほどもない愚論である。スラグを撤去せず舗装で蓋をするのが目的であると認めたくない一心で、このような愚論を展開しているに過ぎない。


(7)第8段落について
【控訴理由書】
 広く5工事以外の場所においても急勾配な場所が多数ある中(甲30号証参照)、本件舗装工事のみ舗装した“優先度”について、被控訴人の主張は大変疑わしく、スラグ混合再生路盤材が敷砂利された場所のみの本件舗装工事は、そもそも必要がなかったと考えられる。

【控訴答弁書】
 否認する。

【控訴人の反論】
 被控訴人の答弁は、反論に値するほどもない愚論である。スラグを撤去せず舗装で蓋をするのが目的であると認めたくない一心で、このような愚論を展開しているに過ぎない。


2 (2)について
【控訴理由書】
(2)判決文P27の(3)「ア 本件舗装工事の必要性について」の(ウ)について
 本件補完工事(判決文P29上から10行目)に関連して、「道路構造令ではなく」「下層路盤工、上層路盤工及び表層工に3区分して施工する方法」と「路盤工及び表層工に2区分して施工する方法」の2種類の舗装方法があるとの記述がある。
 これは本件農道整備工事において舗装工事をする場合に、吾妻農業事務所が自ら設計図書で指定した特別な仕様を意味し、本件農道整備工事が行われた区画整理5工事における舗装の基本設計に他ならない。
 判決文では「(路盤を15センチメートル、表層を3センチメートルとする方法であり、甲8記載の取付舗装工標準構造図に準じたものと推認される。)」とあるが、「甲8記載の取付舗装工標準構造図」に準じた方法で舗装するのではなく、吾妻農業事務所が自ら設計図書で指定した特別な仕様により舗装しなければならないのである。
 しかも、「甲8記載の取付舗装工標準構造図に準じたものと推認される」とあるが、甲23号証の本件農道舗装工事の断面図とは似て非なる物である。
 今回、説明のために添付した甲75号証は、甲23号証に控訴人が説明を加えたものである。
 まず指摘しておきたいことは、敷砂利工は掘削を伴わない、ということである。ところが甲75に示す通り、被控訴人は、点線で示す部分があたかも本件農道整備工事で掘削されているかのような嘘をほのめかしている。
 また、当初計画仕上がり面が甲8記載の取付舗装工標準構造図のものとは全く異なる。甲35号証で実際の現場写真と甲8記載の取付舗装工標準構造図を重ねて表示したが、アスファルト舗装の取付舗装工が、当初計画仕上がり面から土壌を15cm掘削・転圧してから路盤材・アスファルトと施工されている。
 仮に本件農道に甲8記載の取付舗装工標準構造図の舗装を施すのであれば、本件農道整備工事で施工されたスラグ混合砕石の敷砂利10cmとその下の土壌5cmを一緒に掘削・運搬してから路盤材・アスファルト舗装を施すことになる。
 よって、本件農道舗装工事は“似て非なる物”であり、甲8記載の取付舗装工標準構造図に準じたものとは推認されず、本件農道整備工事(敷砂利工)については自己完結的な工事であったことに加え、吾妻農業事務所が自ら指定した舗装設計を破ってまで本件舗装工事を行ったことがわかる。本件舗装工事の必要性はスラグ隠しのために行われたものであり、本来の目的を逸脱していると言わざるを得ない。

【控訴答弁書】
 原判決の引用部分は認め,その余は全て否認する。
 控訴人は,原判決が本件舗装工事の仕様について「(・・・・甲8記載の取付舗装工事標準構造図に準じたものと推認される。)」と認定したことを捉え,本件舗装工事の実際の施工と甲8の仕様が異なっている点など論(あげつら)って種々論難するが,本件舗装工事の仕様は,標準断面図(甲23)のとおりであり,本件再生砕石とは全く無関係に設計された甲8と比較して,表層工が3センチメートル,下層路盤厚が15センチメートルとなる点で基本的に同等の仕様となっている。
 なお,標準断面図(甲23)に破線で表示されているのは既設路盤材の厚さであり,掘削を意味しているわけではない(なお,図面の一般的な標記方法として,破線が掘削を意味するわけではない。乙23号証では,引き出し破線の部分に「既設路盤材」と明記しており,掘削を意味しないことが明確になっている。)。

【控訴人の反論】
 被控訴人の答弁は、反論に値するほどもない愚論である。スラグを撤去せず舗装で蓋をするのが目的であると認めたくない一心で、このような愚論を展開しているに過ぎない。

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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】
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