2019/2/4  23:50

平成最後の入試で念願の志願者数回復?…実は何でもありの入試ルール変更でゴマ化した群馬高専のガタガタ内情  群馬高専アカハラ問題

■群馬高専においてアカハラ・寮生連続不審死が大きく問題になった2015-16年以降、同校への志望者数の下落は止まらず、昨年度には一般入試出願者数で過去最低レベルとなる139名を記録しました。当会ではこの状況に鑑み、一刻も早く問題の数々にきっちりケジメを付けて体質を改善し、中学生とその保護者らの信頼を回復するよう警鐘を鳴らし続けてきましたが、残念ながら届くことはありませんでした。去年と一昨年の群馬高専入試については以下の記事をご覧ください。

○2017年2月13日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・不祥事件の影響と出願者数の相関性についての考察
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2235.html
○2018年2月3日:【速報】群馬高専の一般学力試験出願者数が確定!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2555.html

■当会として、さすがに事件の風化や時流に支えられ、今年度の出願者数は回復傾向に転じて来るだろうと予測≠オていました。そして平成最後の入試となる平成31(2019)年度群馬高専一般入学者選抜の出願状況が2月1日に確定したので、早速チェックしてみました。すると予測≠フ通り、全体で199名と、前年度に比べて大幅に回復していることがわかりました。(URL:http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/nyugaku/gakka.htm

 しかしどうも拭えない違和感を覚えたので調査してみたところ、この背後にあるのは上記した自然要因だけでないことが判明しました。

 なんと群馬高専が、出願者数の低下や定員割れを避けたいがあまりに、とうとう入試にまでその場しのぎのインチキを持ち込んだという驚愕の事実が見えてきたのです。

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平成31年度群馬高専一般入学者選抜募集状況。昨年度まではなかったはずの、「併願」なる奇妙な欄が追加されていることがわかる

■では、去年度(H30)の入試と本年度(H31)の入試でいったい何が変わっているのか、両年度の入学者募集要項を見比べてみましょう。

平成30年度入学者募集要項・入学案内 ZIP⇒ h30_gunmakosen_boshuu_youkou.zip
平成31年度入学者募集要項・入学案内 ZIP⇒ h31_gunmakosen_boshuu_youkou.zip

 すると、@「併願」制の導入、A第三志望制の導入、B推薦枠拡大と一般枠縮小、C推薦入試出願要件の変更、D帰国子女枠の導入 の5点において、大きく入試制度の改変がなされていることが分かります。しかも、@ABについては、どれも群馬高専のこれまでの入試を根本から覆すほどの大改造であるにも関わらず、「今年から変更された」ということがどこにもアナウンスされていません。詳しく見ていきましょう。

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去年(2018)と今年(2019)の願書の冒頭部分を見比べると、違いが一目瞭然

(1)「併願」制の導入

■長らく群馬高専では、受験生に自校をいわゆる滑り止めとして使うことを許していませんでした。一般学力入試においても、「群馬高専に合格した場合は、他校の受験結果に関わらず同校に入学する」という「入学確約書」を、毎年2月中旬ごろに行われる試験日に提出させていたからです。これは、受験生に媚びずとも入学者数を確保できるという群馬高専の自信と矜持が光り輝いていた証を表す措置ともいえます。

 しかし、今年からの併願制導入によって、併願枠を選択した受験生は、3月中旬の入学手続き日まで入学確約書を提出しなくていいことになりました。群馬県内の公立高校でいえば、後期選抜の合格発表にはギリギリ間に合わないものの、前期選抜の合格発表の結果をみてどちらに入学するかは決められることになります。これは、以前は不可能なことでした。

 つまり群馬高専は、これまで許してこなかった「滑り止め」としての活用を事実上解禁したのです。これは学校として非常に大きな方針転換だと断言せざるをえません。

(2)第三志望制の導入

■並んで目を引くのは、志望学科の欄について、去年まで長らく第二志望までに限っていたところを、なんと第三志望まで増枠していることです。

 これだけ志望枠を増やせば、人気学科であぶれた受験生を不人気学科に回し、全体として人数を「ならす」ことができますから、全体の志願者数が各学科定員の合計数さえ超えていれば、定員割れになる学科が出る確率を低めることができます。つまりこれは、事実上の「定員割れ防止措置」といえるのです。

 しかし当会として、こうした措置が受験生、ひいては群馬高専の為になるのか、甚だ疑問といわざるを得ません。

 群馬高専の五学科は、機械工学科(機械系)、電子メディア工学科(電気系)、電子情報工学科(情報系)、物質工学科(化学系)、環境都市工学科(土木・建築系)となっています。このうち電子メディアと電子情報などは、比較的学習内容が近いため併せて志願されることも多いようですが、これは例外的であるといえ、基本的にはそれぞれ専攻の性質がまったく異なるものです。

■したがって第三志望ともなると、志望理由から「この専攻がやりたい」という熱意は消えて、「入れるならもうどこでもいい」という消極的な理由しか残らない受験生がほとんどになるであろうことは、容易に考えられます。目先の入学者数に釣られて、そのような受験生を無理に入れても、結局は致命的なミスマッチを生じてしまうだけではないでしょうか。そしてこうしたミスマッチは、不登校や中退、最悪の場合自殺未遂や自殺に繋がりかねない重大な問題です。

 しかも、その玉突きで本来その学科を第一志望としていた熱意ある受験生が落とされるようなことが仮にあれば、ますます不合理だとしか思えません。誰も幸せにならないこの入試改変について、当会としては、目先の定員充足にやっきになった山崎校長の、あまりに浅薄短慮な「改悪」であると捉えています。

(3)推薦枠拡大と一般枠縮小

■さらに募集要項をよく見ると、去年まで長らく1学科当たりの定員40名に対して推薦枠15、一般枠25と厳格に定められていたのが、今年から推薦枠が「募集人員の50%程度」となっています。つまり、これまで推薦入学者より10人ほど多く一般入学者を取っていたのを、大きく推薦入学者の割合を増やして20対20の同数にしているのです。

 この理由のひとつとして、早期に行われる推薦入試で入学人員を早めに確保して定員割れ回避につなげたい、という狙いがあるものと考えられます。

 しかし、これほど安易な推薦枠の大幅拡大は果たしてどうなのか?と懸念せざるをえません。いわゆる推薦枠の出願要件・選考材料となる評定値は、各中学校の裁量に完全に依存してしまうため、公平性が担保されないことが大きな問題点として知られています。また、推薦入試を受けられるのは、長期間にわたって良い評定を取り続け、課外活動に励み、仕上げに中学校長の推薦を貰えた一部の生徒のみに限られてしまうという問題点もあります。

■そのような観点から、わが群馬県ではかなり早期に公立高校の入試改革が図られ、20年前の2000年には従来の「推薦+一般」システムを廃して「前期入試+後期入試」システムを導入しています。

 ここで、後期入試は従来の一般入試とほぼ変わりないものですが、一方で従来の推薦入試の代わりとして導入された前期入試は、学校の推薦でなく「自己推薦」とした上で、学力試験も課し、複数の観点から能力を評価するなど、それまでの問題点を克服するように設計されています。

 このようなシステムは多数の県がその後追随して導入しており、率直に高く評価すべきわが群馬県においての先進的試みであったといえます。

■もちろん推薦入試には、ペーパーテストのみでは測れない能力をもった人材の発掘、学内の多様性確保といったメリットがあり、当会としてその価値は大いに認めるところです。しかし、そのメリットが十分に発揮されるのは、それぞれの入試方式をどのような割合でミックスするかという「塩梅」がしっかり吟味されたうえでの話です。

 例えば、群馬県の二大進学校として名高い前橋高校・高崎高校でも、定員は前期30%、後期70%と、定員の7割は学力を評価して確保するように設計されており、それはこの割合で十分に人材の発掘、多様性の確保が実現できると判断したからに他なりません。

 群馬県の公立高校全体で見ても、前期入試枠は全体の20〜40%です。平成も終わろうかという時になって、旧来の推薦入試枠を定員の半分にまで増やしてしまった群馬高専の施策がどれほど周回遅れ、時代遅れであるか、という話になります。

 群馬高専の入試政策を考えているのは四半世紀以上も頭の遅れた人物ばかりということになりますが、ろくなリサーチやアドバイザーもなしに、幹部らが思い付きで何十年も遅れた改悪をホイホイ進めてしまった情景が目に浮かびます。

■そもそも、群馬高専の推薦入試は年と学科によってはしばしば定員割れを起こし、一方で学力入試は年と学科によっては容易に過熱してとんでもない倍率を示すことがあります。さらにこれまでの推薦入試・一般入試の単純な倍率をざっと見ても、平均すると推薦入試の方が倍率としてやや低いとみえます。そうなると、今回の変更によって、推薦入試が「ザル」になり、他方で一般入試が過当競争と化してしまいかねません

 あるいは、これが山崎校長ひきいる群馬高専のもうひとつの狙いなのかもしれません。

 実は、いわゆる「偏差値」の定義できない推薦・AO枠を拡大して、一般枠を狭めて過当競争状態にさせ、額面上での学校の偏差値を引き上げる「偏差値操作」が、しばしば問題になっているからです(参考URL⇒https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%81%8F%E5%B7%AE%E5%80%A4%E6%93%8D%E4%BD%9C)。

 群馬高専もそのような効果を期待して、一般入試枠を狭めて自校の偏差値を吊り上げての学校のブランドの維持を目論んでいるのかもしれません。

■学校の実情を糊塗するようなこうした姑息な企みもさることながら、入試の公平性が大きく損なわれてしまうことも懸念のひとつです。

 推薦入試を受ける一部の受験生は、枠が拡大された推薦入試と一般入試の両方を受けることができますが、一般入試しか受けない、あるいは何らかの事情で評定条件や中学校長の推薦が満たされず一般入試しか受けられない受験生にとっては、たった一度きりのチャンスである一般枠が狭められて難化させられてしまうことになります。

 国民の税金により運営される国立の教育機関が、このように一部の受験生のみを有利にして機会の平等をないがしろにするというのは、率直にどうなのかと感じざるを得ません。

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募集要項の冒頭を比較しても違いが一目瞭然。いやらしいのは、「内数20名」と定めないで「50%程度」とあいまいな書き方をしているところで、推薦入試の志望者が20名にやや満たず事実上の定員割れを起こしても「これでも50%”程度”だから、定員割れじゃない」と言い張れることになる。あとは、第三志望まで拡充した一般枠から連れてきて不足分を埋めればよいことになる。

(4)推薦入試出願要件の変更

■中2〜中3の評定によって定められる推薦入試の出願要件についても、去年度まで「“9教科”の評定値の合計が、5段階評価で77以上であること」であったものが、今年度から「国語、社会、数学、理科、英語の“5教科”の評定値の合計が、5段階評価で42以上であること」へと変更になっています。

 1学年の1教科あたりで必要な平均評定は、去年度まで4.28で今年度から4.2と、一見大差がないように見えます。しかし一般的に、いわゆる「5教科」は学力と評定値の相関が強く、高専を目指すような高学力者にとっては良い評定を取りやすいのに対して、美術・保健体育・技術家庭・音楽といった実技教科は、単純なペーパーでの学力と評定との関連が薄いため、良い評定を取りにくい傾向にあります。そのため、今回変更で実技4教科が要件から外されたことは、事実上の要件緩和であると捉えることができるわけです。

■もちろん、いわゆる実技4教科の能力が高専での学習に必要なのかという点では、大いに議論の余地があるため、この変更については上記してきた改悪の数々よりもそれなりに意味があるとも言えます。

 しかし長らく変わっていなかった要件の変更にわざわざこのタイミングで着手したということは、定員割れを防ぐ作戦の一環として他の改変箇所と連動させる目的がそれなりにあるものと考えられます。

 さらに、募集要項をよく読むと、今年平成31年度に限り、新旧どちらかの要件を満たしてさえいれば推薦入試に出願できることになっており、さらに出願へのハードルが低められていることがわかります。

(5)帰国子女枠の導入

■さらに、今年から新設枠として「帰国子女枠」が導入されています。こうした枠については、高校や大学で導入されていることは珍しくないためあまり特筆することはありません。

 しかし問題点を挙げるならば、「若干名」と記されているのみのこの募集枠が、定員40名の中に含まれてしまうと、帰国子女が先に内定した学科を後に受ける他の受験生にとっては、自分の与り知らぬうちに枠が縮んでしまうことになります。ひどいのは、そのことを受験生が出願等の判断材料として知りようのないことです。どうも、受験生への配慮が足りていないようにみえます。

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■このように見て来ると、群馬高専が何十年も営々と貫いてきた入試スタイルを、なんと一夜にして何の説明もなく随所にわたり大改変してしまったのですから、ビックリ大仰天というほかありません。

 上述したような変更点が抱える問題点の数々に加えてひときわ問題なのが、繰り返すように、こうした大変更について何一つとして目立ったアナウンスがないことです。

 推薦入試の要件変更についてのみ募集要項内で軽く触れられているのを例外として、2月4日現在、募集要項内にも、群馬高専の入試ページにも、群馬高専のトピックスページにも、「去年から入試がこのように変わっている」という旨の広報や注意書きがまったくなされていません

 当会も、偶然手元にあった昨年度の募集要項と、今年度のものを照らし合わせ、両方を何回も読み返してようやくすべての変更点を把握したほどです。まさに、「しれっと」という表現がこの上なく似つかわしいほどに、コッソリと大変更がなされているのです。

 これでは、入試の仕組みが変わっていないと思い込んだままの受験生、保護者、進路指導教員が続出しかねません。また、定員すら大幅に変更されてしまったため、これまでの群馬高専の入試データは動向の分析にそのまま使えない役立たずのものになってしまいました

 前者の問題については、今公表されている募集要項をよく読み込まない方が悪いと強弁できなくもありませんが、平成30年度以前の募集要項をもう見ることができない以上、今後の受験生は制度変更されたという経緯を知り得ないのですから、後者の問題については致命的です。

 ありとあらゆる情報を吟味して人生を決定しなければならない受験というシーンにおいて、このような大規模な改変を行ったということを一切アナウンスせず、情報のアップデートを促さない群馬高専の姿勢は、まったくもって理解に苦しむとしか言いようがありません。あまりにも受験生たちへの配慮が足りていないのではないでしょうか。

 というよりは、配慮が足りない≠ニか、呆れる≠ニか、教育機関としての品格を疑う≠ネどというレベルを通り越して、「受験生たちの人生など知ったことではない」とばかりの群馬高専の本音がありありと見えてきてしまうほどに酷い対応というほかありません。

■さらに視点を変えて、「回復」したとされる群馬高専の今年の志望状況についても、仔細にチェックしていきましょう。上述の通り、定員が異なるため厳密には今年度の出願数は去年度以前のものと単純比較できませんが、ここでは便宜上補正せずに比較します。

 冒頭の画像のとおり、一般学力入試では(皮肉にも、アカハラの舞台となった)電子情報工学科の志願者数が大きく伸びており、昨年の40名にくらべておよそ2倍となっています。また、機械工学科の志願者数もおよそ1.5倍に伸びており、この2学科の伸びが全体の志願者数増加に大きく影響しています。

 ここで説明を加えておくと、現在、折からの人工知能(AI)や機械学習ブームに押されて、情報系の進路が盛況を呈しているようです。今年の国公立大学工学部の情報系学科は軒並み倍率・ボーダーが大幅に上昇しており、熾烈な争いになっています(参考URL⇒ http://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/4880)。群馬高専の電子情報工学科が人気であることも、こうした時勢を反映したものといえます。

 捉え方を変えると、今回の出願者数回復はただ単に世間のトレンドになんとか支えられただけで、群馬高専の学校全体としてのブランドや信用は、依然ガタガタであるということもできます。というのも、電子メディア工学科と物質工学科では出願者数の水準は昨年とほとんど変わっておらず、加えて環境都市工学科では、なんとすでに定員割れしていた去年の水準からさらに出願者数を減じているからです。

■以上のとおり、山崎校長下で表面上は何とか平穏を保っているように見える群馬高専も、実情は、なりふり構わない山崎校長の手であまりにもコソコソとしたみみっちいルール変更が行われ、破滅的な事態だけはなんとか回避しようと必死に試みているドロ舟¥態に他ならないのです。今回、群馬高専がここまで露骨に定員割れ回避のための手を打ってくることは、当会も予想だにしていませんでした。

 今回山崎校長が手を付けた改変は、長年にわたって受け継がれてきた群馬高専の入試システムを大きく打ちこわし、学校側の都合のいいように改悪しただけに過ぎません。しかも、受験生の都合など一切考えない、極めて悪質とすらいっていいやり口です。

 さらに、結局こうした改悪によって生じる不具合(学力低下・ミスマッチ・入試業務負担増加など)のケアは、この先の群馬高専の教員・職員らがずっと背負っていかねばなりません。

 そうまでして、群馬高専としての信頼回復という避けられない命題から目を逸らし、いまだに何の解決にもならない小細工ばかり考え、受験生や部下の教職員にまで理不尽な負担を背負わせて自らの思い付きに付き合わせ、しまいには西尾前校長の「やらかし」の尻拭いに巻き込もうとしている山崎現校長について、やはり学校運営者としての資質はしっかり問われなければならないと当会としては考えています。

■さらにもう一つ懸念を付け加えますと、この群馬高専の入試政策の突然の大改造(=大改悪)は、当然、国立高専機構にも了承を得ているはずです。となると、天下り官僚が校長や事務方の幹部として各地で赴任先の高専をオモチャにした結果、学校の信頼が地に落ちて志願者数が減少してしまった場合、この「群馬高専」方式が負の対処モデルとして、ひろく他校にも伝播してしまう可能性が指摘されます。

 群馬高専の場合、プロパー教授として校長に就任した山崎校長ですが、事務方には機構から送り込まれた見張り役が付いています。今回の群馬高専の例を見るにつけ、中央集権的な高専制度の体制の真の改革は、かくも難しいことが分かります。

 当会は、文科省官僚による校長への天下り制度の廃止を通じて、高専がひらかれたキャンバスになるよう微力ながら活動を推進してまいります。

【2/7追記】
■本記事の公開後、各方面から様々な反響がありました。特に、高専関係者の方から本件に関して貴重な情報提供をいただきましたので、この情報を交えつつさらに考察を深めてみようと思います。

 まず、記事内で挙げた「帰国子女枠導入」に関しては、群馬高専の判断ではなく、「グローバル化」をねらった高専機構の通達によるもののようです。ただし、各高専で導入時期には差があり、「通達が来たから導入した」というよりは、「通達を口実についでに導入した」といった側面もあるようです。導入した高専の教職員の間では「果たして受ける人間がいるのだろうか」と話題になっているようです。

 その他の変更は群馬高専の独自の判断によるものと考えられます。とはいえ、情報提供者曰く、入学の段階で定員割れがあると高専機構からきついお咎めがあるらしく、やはり群馬高専として志願者減少に相当焦り、大慌てで入試制度に手を突っ込んで改造したというのが真相のようです。

■では、この改変がいったいどこから来ているのかというと、これについても興味深い示唆がありました。高専プロパーの校長は、もといた高専のやり方にこだわる傾向があるそうです。

 そこでさっそく、山崎校長が前職を務めた長岡高専の募集要項を開いて、今回群馬高専が変更した箇所との対応がどうなっているのか確認してみましょう。ZIP⇒ 20190207_nagaoka_kosen_boshuuyoukou_h31.zip

(1) 併願の有無 ⇒ 有
(2) 第三志望制の有無 ⇒ 有
(3) 1学科当たりの定員 ⇒ 推薦16、一般24
(4) 推薦選抜の出願要件 ⇒ 中2と中3の英数理3科目の合計評定が24以上
(5) 帰国子女入試の有無 ⇒ 有

 と、(1)(2)(5)では今回群馬高専が行った措置と一致しており、(4)についても長岡高専の必要科目数はかなり少ないことから、これら4点に関わる変更については山崎校長が長岡高専から持ち込んだものである可能性が高いのではないかと考えられます。とはいえ、長岡高専と群馬高専ではニーズがやや異なる面もあり、単純にメソッドを導入してよいものかどうかをしっかり検討した様子はあまり見受けられません。

■しかし問題なのは、推薦枠を全体定員の半数にまで増やすという措置など、長岡高専ですら行っていないということです。いったいこの措置はどこから湧いて出たのでしょうか。

 どうやら、高専全体でも出願者数の減少に耐えかねて近視眼的に推薦枠を拡大する学校がぽつぽつ出ているらしく、前高専機構本部勤務としてそうした概況を熟知している猿田事務部長がこの変更を主導したのではないか、というのが考えられる仮説のひとつです。とはいえ、理由に関わらず、もといた学校ですら着手していないシロモノである定員変更措置をなぜ山崎校長はあっさり裁可したのか、不審は深まるばかりです。

■もうひとつ大きな疑問は、この変更にあたって教職員らの意見はきっちり取り入れているのだろうか、ということです。すでに一部こうした改変を行っている高専の話として、やはり内部での反対意見は多く、押し切られるものもあれば阻止されているものもあるそうです。

 とすれば、今回一度に5か所にわたる大変更を行った群馬高専の措置も、学内で相当な反発を受けたことが容易に想像されます。にも関わらず、すっかり別物と化した募集要項がしれっと掲載されているところを見ると、方法はどうであれ学内でキチンとした合意形成がないままに案が素通りしてしまったようすがうかがえます。

 こうした、トップダウン方式の弊害のみを煮出して抽出したような群馬高専の現体制の実情について、今後もたびたび取り上げていきたいと考えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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