2019/3/29  23:55

きょう告示された群馬県議選に合わせて当会会員が県選管を相手取り選挙無効等訴訟を東京高裁に提起  オンブズマン活動

■県内の統一地方選のスタートとなる群馬県議選は今日3月29日に告示されました。「清く正しい一票を」と各市町村の選挙管理委員会はさかんに喧伝していますが、群馬県選挙管理委員会の松森修平・委員長はマスコミに対しては「平成が終わり、新しい時代を迎える中の県議選は県政の方向を決定する上で極めて重要。積極的に投票し、できない場合は期日前投票などを利用してほしい」と述べています。しかし、昨年9月23日に投開票された館林市議選では、開票の結果1票の食い違い生じたため、館林市選管のずさんな投票箱管理体制や開票体制の疑義が問題となり、これでは投票用紙のすり替えなど容易に可能だとして、候補者の一人で当会会員が、選挙の無効を訴えて市選管と県選管に異議申し立てをしてきました。しかし、両選管ともずさんな選挙の実態を直視せず、真相解明のための調査すら全くしようとする気配さえありません。そのため、当会会員は本日東京高裁を訪れて、まともに選挙管理改革をしようとしない県選管を相手取って選挙無効・損害賠償請求訴訟を提起しました。さっそく訴状を見てみましょう。
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上毛新聞2019年3月29日朝刊社会面。


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 この投票すり替え疑惑事件のこれまでの経緯については、次のブログ記事をご覧ください。
〇2019年1月20日:館林市議選の有効性が問われる中、当会の審査申立に対し、館林市選管が弁明書を県選管に提出!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2865.html
○2018年12月10日:館林市議選の有効性が問われる中、市選管からの異議申出棄却決定通知に対し県選管へ12.10審査申立!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2839.html
○2018年11月28日:館林市議選の有効性が問われる中、11月27日に選管から異議申出に対する棄却決定通知が届く!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2828.html
○2018年10月14日:市議選の有効性が問われる中、10月12日に選管から来た供託金返還通知に当会から公開質問状
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2779.html
〇2018年10月10日:選挙の有効性が問われる中で、10月9日館林市議会臨時会が議長・副議長を選出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2776.html
〇2018年10月5日:館林市議選の有効性をめぐり当会会員が館林市選管に異議申し立ての補正書を提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2770.html
〇2018年10月1日:9月23日投開票の館林市議選の開票場の様子から見えてくる我が国選挙制度の不誠実な現況
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2766.html
〇2018年9月26日:9月23日の館林市議選の開票結果を巡る謎の解明は果たして可能なのか?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2763.html
〇2018年9月17日:館林市議選で当会会員が奮戦中!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2760.html
○2019年3月2日:館林市議選の有効性が問われる中、当会の審査申立に対し、県選管が何も調べず棄却を裁決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2897.html

*****訴状*****ZIP ⇒ 20190329iisijio.zip

          訴     状

                              平成31年3月29日
東京高等裁判所   御中
                   原  告   小 林 光 一 ㊞

     〒374−0068 群馬県館林市台宿町1番31号(送達場所)
                   原  告   小 林 光 一 
                     電 話:0276−72−1454
                     (市民オンブズマン群馬会員)
     〒371−0026 群馬県前橋市大手町1丁目1番1号
                   被  告   群馬県選挙管理委員会
                          委員長 松本修平
                     電 話:027−226−2218

選挙無効損害賠償請求事件
   訴訟物の価額   160万円
   貼用印紙額    1万3千円

第1 請求の趣旨
 1 被告の裁決を取り消し、本件選挙を無効とする。
 2 被告は、選挙の公平・公正性を踏みにじり、候補者である原告との信頼を棄損したことによる損害として訴訟物の価格160万円に対する本訴状送達の翌日から支払い済みまで、5分の割合による金員を支払え。
 3 訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決を求める。

第2 請求の原因
 1 本件訴訟の概要等
(1)原告は、群馬県館林市(以下「館林市」という)の市民である。(甲−1)
(2)原告は、平成30年9月16日(日)公示、同23日(日)投開票の館林市議会議員選挙(以下「本件選挙」という)に被選挙権を行使して立候補した者である。
(3)本件は、本件選挙後、開票所で集計された投票用紙の数と投票者の総数との間に不整合があったことが報じられたため、本件選挙の公平・公正性に疑義を抱いた原告は、被告に対して平成30年10月2日付で異議申立て(甲3)、および同5日付で「館林市選挙管理委員会による9月23日投開票の館林市議選における不誠実行為にかかる確認事項」を添えて異議申立ての補正(甲3−1)を行った。
(4)しかし、あろうことか館林市選挙管理委員会は、同10月10日付で原告に対して「供託物の返還について(通知)」を送り付けてきた。(甲−2)
(5)このため原告は館林市選挙管理委員会に対して、供託物返還通知に関する公開質問状を提出した(甲−3−2)が、その後現在に至るまで、館林市選挙管理委員会からはなしのつぶてで、本件選挙の公平・公正性に対する疑義を無視する対応をとっている。
(6)そのうえで、館林市選挙管理委員会は、原告に対して平成30年11月27日付の決定書において原告の異議申立てを棄却する旨、通知をした。(甲4)
(7)この決定書の中で、館林市選挙管理委員会は、原告が提起した本件選挙の異議申し立ての中で確認を求めた次の4項目、すなわち、@投開票作業に従事する職員について、A期日前投票に於ける投票箱の管理及び開票作業者への送致について、B開票作業について、C投票用紙について、要因分析もせずにいきなり「本件選挙は間違いなく行われた」などと主観的に説明を展開し、根拠の乏しい正当性を述べている。(甲4)
(8)館林市選挙管理委員会は、原告に対して、不服が有れば被告の群馬県選挙管理委員会へ異議申立てができるとして(甲4−1)、答弁書(甲4−2)と回答(甲4−3)を経て、原告は被告宛に申立書を提出した。(甲5)
(9)この結果、被告が為した裁決書(甲6)は、「管理監督的な立場にある意見だ」として、直接の現場の館林市選管を養護する内容となっている。
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市民オンブズマン群馬3月例会で参加者の皆さんが協議して作成した要因分析図
 2 一票の差の要因分析
(1)前項の通り、被告及び館林市選挙管理委員会の裁決書や決定書の内容は、市民オンブズマン群馬の会員である原告は、民間のものづくり≠フ現場における品質管理の手法として広く使われているISO9000システムの「要因分析」より一票の差の発生はナゼを分析究明表題に掲げ、原告の要因分析結果の集約を一票の差要因分析図(写真上)の如くにまとめた。記入に際し館林市選挙管理委員会(甲−4)及び群馬県選管委員長裁決書(甲6)に付いても記入し併せて完成させた。一票の差要因分析図(甲7)について、いかに説明する。
(2)館林市及び群馬県選管がそれぞれ決定書(甲4)裁決書(甲6)の如くに直接主観を述べて結論付けるのではなく、原告が会員となっている市民オンブズマン群馬の定例会参加者全員が、一票の差要因分析図について、意見を述べ合って客観的な原因究明により真の原因を探り当てて、次なる行動に移すのが筋であると思う。
(3)この様に客観的原因追及を再三にわたり、被告や館林市選管にお願いしたが、全て  無視された。彼ら行政は「自分達は正しいのだ」という性善説の理論に基づき、結論ありきの裁決書成るものを原告に送りつけ、「これに従え」と云わんばかりの昔から変わらない民主主義に反した行動は、いかんとも受けがたく、民主主義の理論に乗っ取り行動をするものである。
(4)原告が会員となっている市民オンブズマン群馬は、更に一票の差要因分析図から、@主要因の「人」に焦点を当てた結果、夜間における期日前投票箱の第三者不在の管理体制という実態、Aおなじく、開票所における職員の所持品チェックにおける第三者不在の管理体制という実態、B主要因の「材料」に焦点を当てた結果、投票箱と投票用紙のずさん管理の実態、C主要因の「方法」に焦点を当てた結果、期日前投票箱の管理や開票所における職員の行動管理など可視化されていない管理方法の実態、などの要因分析結果内容を特定した。
(5)現場を最もよく解っている市民オンブズマン群馬の会員で元市職員として選挙管理事務局長の経験者によれば、要因分析の結果@〜Cに従って一票の差の発生原因追及を投票用紙の再確認作業(筆跡鑑定まで)まで行い、真の原因調査が必要だと指摘している。よって、徹底した原因究明が不可欠であることをここに強く要請する。
 3 結論
  よって、被告の裁決書(甲6)の取り消しによって、館林市選管委員長の決定書(甲4)も取り消したうえで、真の一票の差の発生の原因調査が不可欠である。また、本件選挙の公正・公平性を信じて立候補した原告の信頼を裏切ったことにより原告が被った損害として訴訟物の価額160万円の支払いを要求する。
                             以上

            附属書類
1 甲第1号証から甲第7号証までの写し
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**********

■当会会員によれば、東京高裁では1週間以内に連絡をするとのことで、スピード感を最優先しなければならない選挙無効を問う裁判の特性から、今後の展開を期待したいと思います。

 しかしこれまでの館林市選管や群馬県選管のスローモーさは、もはや犯罪的とも言えるほどひどいものです。このような選管のもとで挙行される群馬県議会議員選挙は、はたして有権者の選挙に対する信頼に十分こたえられると言えるのでしょうか。

 しかも当会会員のおひざ元の館林市選挙区では、有権者の親族の葬儀に生花を送って初犯だからと前橋地検に起訴猶予にしてもらった多田善洋県議が、臆面もなく立候補しています。こうしたことがまかり通るのも、館林市選管やその目付け役の県選管のこうした体たらくが背景にあると言えるでしょう。

 当会会員は、この事件について徹底的に争う決意を示しています。一方、当会代表が先日群馬県選管を訪れた際に、この事件が話題となった際に、県選管職員が、東京高裁で被告になるといちいち東京の霞ヶ関まで担当職員が訴訟代理人とともに赴くことになるため、煩わしさを感じさせる表情を見せていました。

■行政側はどうせ県民からの血税をつかって訴訟代理人の弁護士を起用するわけですし、東京への出張もすべて県民から徴収した公金で賄うのですから、まったく懐はいたまず、高裁への出張で出張手当として日当も支払われることでしょう。

 しかし当会会員は、日当もなく手弁当で交通費も訴訟費用もなにもかも自腹となるのです。それにもかかわらず当会会員は最高裁まで争うことを辞さない覚悟でいます。当会としてできるかぎりの支援をしてゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「1995年石川県珠洲市における選挙無効事件」
**********法学セミナー3/1996[No.495]
ZIP ⇒ housemi_495_p20.zip
【行政訴訟】原発誘致で揺れる町に「市長選挙無効」の判決
◎95.12.11名古屋高金沢支判にみる選挙手続の違法審査
                   岡田正則 金沢大学助教授
「県選管の裁決を取り消し、 本件選挙を無効とする」――昨年一二月一一日に名古屋高裁金沢支部が言い渡した判決は、地元市民や選挙管理事務担当者のみならず、 原子力発電所の立地を推進してきた行政や電力業界にも少なからぬ衝撃を与えた。
 一 事件の経緯
 石川県珠洲市は、 能登半島の北端に位置する人口二万三千人の過疎の町。二〇年ほど前に関西電力・中部電力・北陸電力が同地での原発立地を相次いで計画して以降、地元住民は原発立地推進派と反対派に割れ、電力会社の地元援助などによって両派の亀裂は日ごとに深まっていた。
 こうして、一九九三年四月一八日投票の市長選挙は原発立地の是非をめぐる住民投票の様相を呈することになった。推進派が地元最大手建設会社の実質的オーナーといわれる現職市長を推したのに対し、反対派は元小学校長を立てることで一本化したため、選挙は両派の一騎討ちとなり、熾烈をきわめた。
 即日開票の結果、市選管は現職候補者が九五八票差で当選したと発表したが、投票総数が投票者総数より一六票多いなどの問題点が明るみにでたため、選挙会会場は混乱し、投開票手続の根幹に疑問がもたれるに至った。反対派住民らは、@選挙人名簿の無効(架空転入事件の発生など)、A不在者投票の管理の違法(不在者投票事由の審査がなされなかったことなど)、B開票管理の違法(告示場所以外での開票など)、C選挙・投票の自由の妨害などを理由として、選挙を無効とすべき旨の異議を市選管に対して申し出たが認められず、県選管に審査請求を行なった。同年一一月、県選管は、不在投票のうちの三五九票については無効ないし無効の可能性ありと認定したものの、この程度の票数では「選挙結果に異動を及ぽす虞はない」として、請求棄却の裁決を下した。そこで、反対派住民らは、市民の約一割にあたる二千二百余名の原告団を結成し、県選管を被告とする本件訴訟を名古屋高裁金沢支部に提起した。
 原告側は、上記A〜Cのほかに、D偽造投票用紙の混入などの疑いを理由に加え、選挙管理手続全体を見れば選挙結果に異動を及ぼす可能性があったことは明白だと主張した。
 二 名古屋高裁金沢支部九五・一二・一一判決
 県選管の裁決を取り消す。本件選挙を無効とする。
 (1)選挙人名簿の調製手統については市選管に管理執行の違法はない。
 (2)不在者投票の管理執行については、@事由審査の違反(「選管の委員長は、宣誓書の記載自体から[公職選法四九条一項各号の]不在者投票の事由がないことが明らかな場合には右請求を拒否し、宣誓書の記載自体からは右事由があるか否かが不明なものについては、口頭の説明とあわせて右事由の有無を認定すべき」であるのに、この確認義務を怠ったこと)、A立会に関する違法(立会人不在の状態の下での投票があったこと)、B郵便による不在者投票の処理に関する違法(郵便による投票の請求者全員に対して市選管の記名押印のない外封筒が送付されたこと)、Cその他の規定違反(他市町村への転出者による不在者投票の受理・除外手続に違法があったことなど)が存在するので、少なくとも六九二票に規定違反が認められる。
 (3)偽造投票用紙の混入等については、これを認めるに足る証拠がない。
 (4)開票手続の管理執行については、「開票管理者は、開票総数と投票者総数が一致するか否かを票の点検に入る前に確かめ、一致しない場合にはその原因は何かをできるかぎり明らかにしておかねばならぬことは当然である」にもかかわらず「安易な当選人決定の宣言も含めて、開票手続の根幹において誤りがあった」。「[本件投票録等は]誰が責任者で、誰が鍵の管理をしていたかも明らかにしえない選挙会会場とは別の部屋に保管され、事務従事者が同室に閉じ籠もり、あまつさえ開票事務に関与する権限のない第三者まで呼び込んで [投票録補正などの]点検作業を継続した」ことは、「公職選挙法の基本理念である選挙の公明且つ適正の原則に著しく反する」。
 (5)選挙の結果に異動を及ぼす虞れについては、右(2)(4)の違法および「[両候補の]得票数の差は九五八票であるとはいえ、各自の得票数における不在者投票の占める比率は、林候補 [当選人]においては一二・五パーセントであるのに対し、樫田候補においては六・五パーセントにすぎないことを総合的に判断すると、本件不在者投票が公明且つ適正を旨とする公職選挙法の理念に従って厳正に行われていれば・・・・原子力発電所の誘致をめぐって住民が両陣営に分かれて激しく争った本件選挙では、選挙の結果につき、異なる結果の生じる可能性があった場合にあたると認められる。」(←当会中:期日前投票の結果と、選挙当日の投票結果の比率を比較することの有意性に注目!筆者もかつて不在者投票者の中に点字の投票用紙があり筆者に投票したものだったことを職員から後日教えてもらったことがある)
 三 本件判決の意義と問題点
 本件判決は、本件選挙と同程度に「漫然と」行われている全国各地での不在者投票手続きに対して強い戒めとなった点に第一の意義が認められるだろう。従来から、遠隔地に居所のある学生が勉学上の理由から不在者投票を申請しても選管はこれを認めないとする取り扱いをしてきたし、また自治省は近年のいくつかの通達において、本件のような訴訟を意識して、不在者投票事由を厳格に審査するように指導している。本件判決によってこのような傾向はいっそう強まるだろう。
 第二に、選挙の効力を、単に違法な票数の多寡からだけではなく、選挙管理手続全体の違法性から判断した点も注目される。公選法二〇五条一項は「選挙の規定に違反することがあるときは選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、当該……裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を……判決しなければならない」と定めているが、本件判決は、選挙管理手続の公正さに外観上で疑いがもたれるようなときはこの場合に該当し、選挙をやりなすべきだとした。政治過程における選挙管理手続の重要性を認識した判断として評価できよう。
 一方、若干の問題点も指摘できる。第一に、「選挙の結果に移動を及ぼす虞」の判断理由中にいくぶん不明瞭な点がみられることである(後述四3)。第二に、原告側が主張した偽造投票用紙混入の疑いが解明されないままで判決が下されたため、後味の悪さを残した。裁判所にとってみれば、投票用紙の鑑定をするまでもなく選挙を無効とすべき違法理由が十分に存在する、ということであろうが、行政訴訟での証拠調べに関する裁判所の責任という点から考えると、なお検討の余地があると思われる(後述四4)。第三に、本件の提訴から判決までに約二年を要したことも、問題を残した。公選法二一三条は、訴訟受理から百日以内に判決を下すべき努力義務を裁判所に課しているが、本件判決はこれを大幅に上回ってしまった。当選者の残任期はあと一年二か月ほどであり、訴訟が今後も長引けば、無効判決が確定しても再選挙が行われなくなる可能性すらある。
 なお、本件判決後、被告の県選管は上告すべきかどうかをめぐって二対二の可否同数となったが、委員長職権により上告を決定した。
 四 いくつかの論点
 選挙の効力をめぐる判例をみると最高裁は、選挙の管理執行の手続に関しては、通常の行政手続の場合よりも厳格な水準の規定遵守を求めていることがわかる。その背景には、選挙手続が政治過程の正当性の基礎に関わるものだという基本認識が存在していると考えられる。
1 不在者投票手続の違法性
 公選法四九条一項は、区域外での職務や疾病のようなやむを得ない事由がある者に限り、不在者投票を認めている。判例はこのような限定の理由を、「不在者投票制度は、ややもすれば不正行為の手段に利用されるおそれもある」ためだとしている(最判一九六二・一二・二六民集一六巻一二号二五八一頁、秋田県天王町議会議員選挙事件)。そのうえで、不在者投票事由の存否の判断手統に関しては、「選挙人の提出した宣誓書等の書面の記載のほか、 選挙人の不在者投票事由に関する口頭説明の内容をもあわせて考慮することを要し……特段の事情がないのに、宣誓書等の書面の記載のみによって右判断をした場合には、審理不尽の違法がある」(最判一九七七・一一・八民集三一巻六号八七一頁、宮城県矢本町長選挙事件)とし、また立会人の役割に関しては、監視機関としての役割を十分に果たすことができない状態にあったときは、その間にされた不在者投票は違法だと判断している(最判一九九〇・四・一二民集四四巻三号四八〇頁、鹿児島県住用村長選挙事件)。これらに照らしてみると、本件判決における不在者投票手続についての判断は、判例に沿うものといえよう。
2 開票手続の違法性
 本件類似の開票手続の違法性が問題とされたのが、最判一九九五・三・一〇(民集九巻三号二五六頁、青森市議会議員選挙事件)である。開票終了後に開票所以外の場所において一部の開票立会人の面前で投票入封筒の封印を破棄し在中の投票を取り出し再調査した選管の行為について、最高裁は、「前記[再調査方法の]違法事実は、著しく選挙の公正を疑わしめるに足るものであって、不正行為が行われ得る可能性を有することは明らかである。従って、かかる違法事実は、現実に不正行為が行われたと否とにかかわらず、常に選挙の結果に異動を及ぼす可能性があるから」公職選挙法二〇五条一項に基づき無効だ、と判示した。本件においても、投票録の補正手続の問題を考えあわせると、選挙無効の判断に傾かざるを得ないと思われる。
3 「選挙の結果に異動を及ぼす虞のある場合」にあたるか
 前述のように、公選法二〇五条一項は、選挙無効の判決を「選挙の結果に異動を及ぼす虞のある場合」だけに限定している。問題を得票数だけに絞るならば、「本件では、違法な投票数が六九二票であり、当落候補の票差(九五八票)を下回っているから、この場合に該当しない」という考え方と、「違法な投票数が落選人に回る可能性もあるのだから、変動の幅は一三八四票となり、九五八票を上回る、それゆえこの場合に該当する」という考え方とがありうる。この点について判例(最判一九六三・一・三一民集一七巻一号一―二頁、神奈川県三浦市長選挙事件)は、後者を否定して、「違法な投票拒否の場合のように、選挙執行機関の違法行為によって、本来あるべき投票が不法に除却されたのではないから、[違法な票を]落選人の得票に加えて見る必要もない」と判断している。被告はこの判例に依拠して上告したようである。
 さて、本件判決は、一方で選挙管理手続全般の違法性を、他方で各自の得票数における不在者投票の占める比率を考慮して、選挙無効の判断を下した。まず前者から検討すると、「他に選挙無効の原因がなく、しかも違法な不在者投票の数が限定できる場合」であれば右記判例の方法を採るべきことになるが、本件がこの場合に該当しないことは明らかである。不在者投票の違法の背景と開票手続の違法とを考慮にいれると、本件は、最判一九六二・一二・二六(前掲)の「本件選挙においては……選挙の手続全般にわたって厳正に行われたかどうかを疑わしめるものがあり、上述の不在者投票の違法管理も、選挙全般にわたって疑念の念を抱かせるような事務処理の一環としてあらわれているものと見ることができ[る]。違法不在者投票の数が限定できるからといって、直ちに選挙の効力に関係がないということはできない」という判例と同様の判断が下されるべき事例だといえよう。
 他方、後者についての本件判決の論旨はかならずしも明瞭ではないが、不在者投票における当選人の得票率の異常な高さから不正行為の存在を示唆したものと推測される(通常の投票における当選人と落選人の得票比はほぼ一対一なのに対し、不在者投票では二対一であった。)「たとえ一つの事実のみでは選挙の結果に異動を及ぼす虞がな
い場合でも、 それらの事実のいくつか
と諸般の事情を考え合わせた結果、 選挙の管理執行が厳正に行われたかどうかに合理的な重大な疑惑が生ずるときには選挙の結果に異動を及ぼす虞があると認められるに至る場合がある」とする先例(名古屋高金沢支判一九七六・六・一六行集二七巻六号八二九頁、福井県敦賀市長選挙事件)にならったものといえようか。
 総じていえば、「選挙の結果に異動を及ぼす虞のある場合」の解釈をめぐる判例の態度は、 選挙管理の一部に瑕疵があっても不正行為が行われる余地のないことが明白であれば選挙は無効としないが、現実に不正行為が行われたか否かにかかわらず、選挙管理手統全般の中でその可能性が存在すれば無効にする、とまとめられよう。本件の場合、右のような検討をふまえれば、選挙の結果に異動をおよぼす可能性があるという判断は妥当である。
4 証拠調べをめぐる裁判所の責任
 本件の審理が長引いた原因のひとつに、証拠調べをめぐる問題があった。九四年一一月、結審直前の段階で原告側が、偽造投票用紙が紛れ込んだ疑いなどを理由に投票用紙の鑑定を申請したが、 裁判所は申請の時期が遅いことを理由にこれを却下。原告側は裁判長の忌避を申し立てたため、審理が七カ月ストップした。日本の行政訴訟は職権探知主義を採っていないので、裁判官の責任は軽いが、選挙訴訟においては証拠が選管の側に偏在しているという事情を考慮すれば、一定の場合に裁判官に証拠調べを義務づけるような行政事件訴訟法二四条の解釈論または立法論が必要だろう。
5 迅速な裁判
 この間、最高裁は半年程度で選挙訴訟を処理してきている。原発推進行政等に対する本件判決の影響と並んで、最高裁の迅速な審理も注目される。
(おかだ・まさのり)
**********

※関連情報「速報:8人が無投票当選」
**********NHK News Web 2019年03月29日 17時46分
群馬県議選 8人が無投票当選
 群馬県議会議員選挙は、6つの選挙区であわせて8人の当選が無投票で決まりました。
【沼田市選挙区】
 沼田市選挙区は、自民党の現職で公明党が推薦する金井康夫氏(50)の3回目の当選が決まりました。
【渋川市選挙区】
 渋川市選挙区は、無所属の現職の金子渡氏(48)が3回目の当選、自民党の現職で公明党が推薦する星名建市氏(62)が4回目の当選です。
【安中市選挙区】
 安中市選挙区は、無所属の現職で自民党が推薦する伊藤清氏(65)が2回目の当選、自民党の現職で公明党が推薦する岩井均氏(55)が6回目の当選です。

※前日の3月28日朝に全戸新聞折り込みされた伊藤県議の「清風」第8号 ZIP ⇒ 20190328.zip
※岩井均県議は2月4日朝に全戸新聞折り込みで「岩井均の県議会リポート」を発行 ZIP ⇒ 20190204cg50.zip
【4月1日追記】
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無投票でも選挙はがきは公示当日付で発送されたらしい。なぜか筆者宅にも届いた。
【みどり市選挙区】
 みどり市選挙区は、自民党の現職で公明党が推薦する今泉健司氏(41)の2回目の当選が決まりました。
【甘楽郡選挙区】
 甘楽郡選挙区は、4回連続で無投票となりました。自民党の新人で公明党が推薦する牛木義氏(32)が初めての当選です。
【佐波郡選挙区】
 佐波郡選挙区は、3回連続で無投票となりました。
自民党の現職で公明党が推薦する井田泉氏(56)が4回目の当選です。
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