2019/7/26  23:30

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…7.17の第14回弁論を取材したネット出版社が緊急連載記事を発表  東北関東大震災・東電福島原発事故

■2017年7月17日10時から前橋地裁2階第21号法廷で開廷された前橋バイオマス発電事業を巡る補助金差止の住民訴訟の第14回口頭弁論期日に、ネット配信でしられる出版社に所属するジャーナリストが東京から駆けつけてくれました。その出版社は、株式会社オルタナ(東京・駒場)といい、7月24日付で前橋バイオマス発電事業に関する緊急連載記事(上)がネットで約4万人の会員読者に配信されました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。なお、オルタナには今から2年半ほど前にも取材をしていただいた経緯があります。次のブログを参照ください。
○2016年12月3日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・11.18の第2回口頭弁論を取材したネット出版社が記事を掲載
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2178.html


 ちなみにオルタナとは「ソーシャル・イノベーション・マガジン」です。環境とCSRの両方を前面に掲げている雑誌としては日本で唯一の存在で、重点取材分野は、環境/CSR/自然エネルギー/第一次産業/ソーシャル/エシカルなどです。このほかにもオルタナは上記の雑誌以外に、オルタナオンライン、オルタナS(若者向けエシカルメディア)、CSRmonthly(CSR担当者とCSR経営者向けニュースレター)を発行しています。

 同社のミッションは次の通りです。
1)環境や健康、CSR(企業の社会責任)など、新しい(オルタナティブな)ビジネスの価値観で動く企業を積極的に報道する。
2)こうした企業と連携し、コミュニティをつくり、相互交流を図る。
3)そのコミュニティの輪を広げ、私たちの社会に新しいビジネスの価値観を広げる。


■それでは同社からわざわざ前橋まで来ていただいた記者のかたによる渾身の記事を見てみましょう。「

**********オルタナ 2019年7月24日配信
http://www.alterna.co.jp/27694
◆緊急連載■バイオマス発電の限界と可能性(上)
県が積極支援の前橋バイオマス発電、住民訴訟が結審
 太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーは、石炭火力発電や原子力発電に代わる重要なエネルギー源です。しかし、「バイオマス発電」をやみくもに進めることには、大きなリスクがありました。(オルタナ編集委員・栗岡 理子)

■バイオマス発電を巡る行政訴訟が結審
 バイオマス発電は、固定価格買取制度(FIT)(注1)の価格が2019年度も昨年度と同額のまま据え置かれ、2割以上減額された事業用太陽光発電などに比べても注目度が高い。

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前橋バイオマス発電所ゲート
 とりわけ、未利用木材を使用する木質バイオマス発電は、FIT上でも優遇されている。間伐材などを利用することで森林保全にも役立ち、低炭素社会に貢献できると考えられてきた。
そんななか、2016年に住民が群馬県を相手取って前橋地裁に提訴した「前橋バイオマス発電所」の補助金返還履行請求の住民訴訟の判決がまもなく出ようとしている。
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前橋バイオマス発電所側面(赤城山の自然と環境を守る会提供)。市の規制基準を超える騒音が確認されている
 前橋バイオマス発電所は2018年3月、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)が出資して建設し、営業運転を開始した。
 群馬県の森林組合などから調達する間伐材などを燃料として、最大出力6750キロワット、年間発電量約4300万キロワット時(一般家庭約8700世帯分)という巨大発電所である。
 この発電所の建設にあたり、発電所のある赤城山南麓エリアの住宅地に住む住民への事前周知は行われず、周辺住民は建設による騒音で初めて知ることになった。
 群馬県の環境影響評価条例では、新設工場の総排ガス量が毎時4万立方メートルを超える場合は環境影響評価(環境アセスメント)を実施しなければならない、と規定されている。
 しかし、県は木材の含水率が20%あるとして、未利用の木質バイオマスを燃料とする場合には排ガス量を計算する際、20%の水分量を考慮してよいと規定を改定した。そのため、この事案は環境アセスメントの対象外であるとされた。
 その結果、環境への影響は評価されることなく発電所の建設が進み、県からこの事業に対し、8億円の事業費の6割にあたる4億8000万円を助成した。建設計画は滞りなく進行したのである。

■発電所建設目的は山の除染か?!
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発電所に反対する民家の看板
 建設計画を知った周辺住民は、関電工や県に幾度も発電所について説明を求めた。しかし、満足のいく回答は得られなかったという。燃料となる木材は主に県内調達であるとされているが、県内の森林は2011年の原子力発電所の事故により、広く放射性物質で汚染されている。
 現地では、いまだに野生のタラノメやコシアブラは基準値を超える放射性セシウムが検出されるとして出荷制限されるほどだ。
※参考URL「出荷制限」
https://www.city.maebashi.gunma.jp/sangyo_business/4/5/5/15561.html
 そのような場所の木を燃やして、放射能は拡散しないだろうか。また、補助金により購入された脱水プレス機により木質チップが圧搾され、その際に水が出る。その水は適切に処理されるのだろうか。
さらに、この手の発電所の常として、表向きは地域材使用による森林保全が謳われるが、地域材のみでは原料が早晩回らなくなることは大いにありうる。そうなった場合に、どこからどういう素性のものが調達されてくるのか。いくつもの疑問が重なる。
 地元住民からは「バイオマス発電という名目で放射能に汚染された木を処分することが目的ではないか」という懸念が出ている。バイオマス発電という名の山の除染作業ではないか、という疑念が膨らむ。

■提訴理由は「次世代のために自然を守ること」
 放射能に汚染された木材を燃やすことで、地域が汚染され、次世代に残すべき豊かな自然が汚されるということが、今回提訴した住民団体「赤城山の自然と環境を守る会」(会長:横川忠重)の一番懸念していることだ。同会は、この訴訟をこれから生まれてくる子どもたちへの責任の問題だと捉えている。
 放射能で汚染された木材を燃やすことで、飛灰は100倍程度に濃縮される(ちくりん舎資料、(注2))。飛灰はバグフィルターで100%捕捉できるわけではなく、粒径の大きなもので80%程度、粒径の小さなものでは20%〜40%程度しか取れないとのことである。住民らの心配は根拠のないものではない。
 赤城山は百名山の1つにも数えられる名峰で、その赤城山をご神体とする赤木神社は古くから人々の信仰を集めている。見事な桜のトンネルと菜の花が楽しめる赤城南面千本桜は県内で最も人気の高いお花見スポットだ。
 この美しい自然に惹かれ、赤城山南麓に移住してくる人も多い。環境にやさしいはずのバイオマス発電が、こうした環境を脅かす存在になってよいはずがない。
 4億8000万円の補助金を不正支出であるとして、県を提訴した住民らは、危機感を募らせている。その訴訟が2019年7月17日、前橋地方裁判所で足かけ4年に渡り発電所に翻弄された住民が傍聴するなか結審し、裁判長が判決日を読み上げた。判決は2019年10月31日午後2時だ。住民らの訴えは、認められるだろうか。

■環境団体がバイオマスで共同宣言
 バイオマス発電のリスクについては、気候変動や森林保全に取り組む環境団体が2019年7月16日、制度の問題点を見事に突いた共同提言を発表した。
※参考URL「共同宣言」 http://www.foejapan.org/forest/library/190716.html
 提言は、次の8項目である。
 ・温室効果ガス(GHG)の排出を十分かつ確実に削減していること
 ・森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと
 ・パーム油などの植物油を用いないこと
 ・人権侵害を伴っていないこと
 ・食料との競合が回避できていること
 ・汚染物質の拡散を伴わないこと
 ・環境影響評価が実施され、地域住民への十分な説明の上での合意を取得していること
 ・透明性とトレーサビリティが確保されていること
 この提言の中で指摘されている事柄を検討することなく発電所を建設するケースが、後を絶たない。環境にやさしいはずのバイオマス発電による環境破壊が懸念される。

注1:FITは自然エネルギーを助成するための制度で、再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間国の決めた価格で買い取ることを電気事業者に義務付けている。電気事業者の買い取り費用は、電気料金に上乗せされた「再エネ賦課金」によってまかなわれる。
注2:ちくりん舎資料「2019.2.10-11 学習交流集会 in 郡山報告集」より
*****つづく*****

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項つづく】

※参考資料「認定特定非営利活動法人FoE Japanの共同提言」
**********
環境団体、バイオマス発電に関する共同提言を発表〜
「ライフサイクルでのGHG排出 LNG火力発電の50%未満」を要件に

(2019年7月16日)
 気候変動や森林保全に取り組む環境団体は、本日、バイオマス発電に関する共同提言を発表しました。
 提言では、多くのバイオマス発電燃料で化石燃料と同様もしくはそれ以上のGHGを排出していること、さらに、燃料の栽培時に土地利用変化(熱帯林開発、泥炭地開発)を伴う場合、GHG排出量が著しく増大していることを指摘。バイオマス発電は、燃料生産を含む全工程におけるGHG排出量がLNG火力発電比で50%未満であるべきなどをFITの要件とすべきとしています。
 また、「森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと」「大規模な土地利用変化を伴い、森林減少などの影響がすでに指摘されているパーム油や大豆油を使用しないこと」「人権侵害を伴っていないこと」などを要件としてあげています。 共同提言の全文は、以下をご覧ください。

=====共同提言=====ZIP ⇒ 20190716ocixd.zip
                      2019年7月16日
           バイオマス発電に関する共同提言
 私たち気候変動や森林保全に取り組んできた環境NGO/団体は、気候変動防止や分散型で民主的なエネルギー源確保の観点から再生可能エネルギーの利用は重要だと考えています。しかし一方、現在多数存在するバイオマス発電計画の中には、特に海外において大規模な森林破壊や土地収奪、生物多様性の破壊、人権侵害を伴うリスクの高い燃料を使用すること、またライフサイクルアセスメント(LCA)でみれば大量の温室効果ガス(GHG)を発生させることに関して重大な懸念を抱いています。バイオマス発電事業には以下の要件を満たしていることが確認されているべきであり、それ以外については再生可能エネルギーとして定義づけたり、固定価格買取制度(FIT)の対象とすべきではないと考えます。
 私たちは、本来、バイオマス発電は、海外からの資源を大規模に輸入して行うのではなく、廃棄物や未利用材などの地域の資源を活用し、小規模分散型、熱電併給で行われるべきと考えています。
 パリ協定の1.5度目標とSDGs達成に向けて、人権尊重した上で、真に持続可能なバイオマス発電が推進されることを期待します。
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アカシア造林のために伐採された泥炭林(インドネシア・スマトラ)泥炭地の破壊により、大量の温室効果ガスが発生する (撮影:FoE Japan)
1.温室効果ガス(GHG)の排出を十分かつ確実に削減していること
 燃料生産を含む全工程(土地利用変化、栽培・生産、加工、輸送、燃焼など)におけるGHGの排出量が、液化天然ガス(LNG)火力発電の50%未満であること。
2.森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと
 燃料の栽培・生産過程で森林[注1]減少(産業植林地への転換を含む)を伴わないこと。生態系の破壊など、生物多様性への悪影響がないこと。
3.パーム油などの植物油を用いないこと
 大規模な土地利用変化を伴い、森林減少などの影響がすでに指摘されているパーム油や大豆油、生産におけるGHG排出量が多く、食料との競合の恐れのあるキャノーラ(ナタネ)油などの植物油を用いないこと。
4.人権侵害を伴っていないこと
 土地取得を含む燃料生産の過程において住民や労働者の権利が侵害されていないこと。
5.食料との競合が回避できていること
 土地や水などの生産資源の競合も含め、食料と競合しないこと。
6.汚染物質の拡散を伴わないこと
 周辺住民の健康に悪影響を及ぼさないこと。人体に有害な重金属や放射性物質が含まれる燃料を用いないこと。これらについて適切なモニタリングが行われていること。
7.環境影響評価が実施され、地域住民への十分な説明の上での合意を取得していること
 発電事業における環境社会影響評価が実施され、地域住民に十分に説明がなされ、合意が得られていること[注2]。環境社会影響の評価には、燃料生産・栽培についても含めること。
8.透明性とトレーサビリティが確保されていること
 1〜7にかかる情報が開示されていること。また、燃料に関するトレーサビリティが確保されていること。
【解説】
1.温室効果ガスの排出を削減していること
 電力ユーザーの負担のもとでFITにより再生可能エネルギーを促進する理由は、GHG排出量の削減です。しかし、これまでFIT制度にはGHG排出評価は含まれておらず、実際にはGHG排出量が化石燃料と同等もしくは多いものも認定されているのが現状です。
 たとえば、経済産業省資料によれば、土地利用変化を除外しても、多くのバイオマス発電燃料で化石燃料と同様もしくはそれ以上のGHGを排出しています。
   図:化石燃料のライフサイクルGHG排出量との比較(発電効率30%)
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出典:経済産業省委託 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「バイオマス燃料の安定調達・持続可能性等に係る調査報告書」(2019年2月)p.112
 さらに、燃料の栽培時に土地利用変化(熱帯林開発、泥炭地開発)を伴う場合、GHG排出量が著しく増大(土地利用変化の無い場合と比べて、熱帯林開発を行う場合ではパーム油の場合約5倍、泥炭地開発を行う場合はパーム油で約139倍、パーム核殻(PKS)で112倍)します[注3]。
 また、燃料を遠隔地から輸入すれば、輸送により大量のGHG排出量が発生するため、回避すべきです。
 FITにおいては、LCAでGHGの削減効果を評価し、少なくとも国内外のバイオマスの温室効果ガス排出基準[注4]で採用されているように、LNG火力発電と比較して50%以上の削減効果をもつことを条件とすべきです。
 FITではこれまで持続可能性への担保としてFSC(森林管理協議会)、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの認証制度を利用しています。しかし、認証は木材や食用・工業利用を想定したものあり、燃料として利用することを想定したものではなく、GHG排出量の削減の担保にはなりません。
2.森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと
 私たちはかつてない生物多様性の危機に直面しています。IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)が発表した報告書では、人類の活動により、生物種のおよそ100万種が、今後数十年間のうちに絶滅する恐れがあるとしています。直接的な原因としては、最も大きいものとして土地利用変化をあげています。とりわけ東南アジア・南米での熱帯林の減少が指摘されています。東南アジアでは、パーム油の原料となるアブラヤシ・プランテーション開発が森林減少の主要因となっています。
 バイオマス発電の燃料として、北米や東南アジアなどからの木質チップやペレットなどの燃料輸入が進んでおり、一部では燃料生産のために森林の大規模な伐採が報告されています。また大規模プランテーションへの転換などにより、森林が失われ、野生生物の生息地が消失し、山地の保水能力低下により土砂災害の原因になるなどの悪影響が生じることも懸念されます。
 SDGs(持続可能な開発目標)のターゲット15.2では、2020年までに森林減少を阻止することが定められています。森林減少は、森林に安定的に貯蔵されている炭素を排出してしまうとともに、吸収源を失うこととなります。さらには地域の土壌や水環境などの基本的な環境サービスにも大きな影響を及ぼします。
3.パーム油など植物油を用いないこと
<GHG排出>
 パーム油を原料とした場合、生産段階での土地利用変化を考慮にいれなくても、栽培、加工、輸送、燃焼のLCAで、パーム油発電はLNG火力発電と同等か、それ以上のGHGを排出します。その他の植物油についても、生産・加工・輸送におけるGHG排出は多量であり、化石燃料と比べて十分な削減効果は見込めません。
<森林減少>
 パーム油の需要の増大に伴い、アブラヤシ・プランテーションが急速に拡大し、インドネシアやマレーシアにおける熱帯林の破壊の主要な要因になっています。インドネシアとマレーシアでは過去20年間に約350万haもの熱帯林がアブラヤシ・プランテーションに転換されました。多様な樹種から構成される熱帯林がいったん伐採され、単一のアブラヤシが植えられるプランテーションになると、もともと熱帯林に生息していたオランウータンやゾウなどの野生生物が生息できなくなり、生物多様性が失われます。
<需要拡大>
 パーム油をバイオマス発電の燃料として使用することにより、パーム油の需要が急拡大することとなります。2018年3月現在、FITの認定を受けたパーム油発電所計画は170万kW。このすべてが稼働すると、年間340万トンものパーム油が燃やされることとなります。日本のパーム油の輸入量75万トンの5倍近くに達し、大きなインパクトとなります。
<認証>
 RSPO認証も森林減少確認の方法としては十分ではありません。RSPOの原則(原則7.3)では、原生林又は保護価値の高い(HCV)森林を含む地域でアブラヤシ農園開発を行わないこととなっていましたが、二次林等の森林開発は可能でした。2018年11月に“No Deforestation, No Peat, No Exploitation (NDPE)"に沿った基準を導入し、二次林を含む天然林を保護し、農園造成によって森林減少を引き起こさない規定に改善されました。しかしこれは新規の農園開発が適用対象であり、既存の農園では森林からの転換が許容されています。
 耕作可能な農地が有限である以上、バイオマス発電の燃料としてRSPO認証油を使用することは、当該土地でつくられていた作物が追い出され、森林開発圧力となる「間接的影響」も考慮されなければなりません。
 また、政府が主導するMSPO(持続可能なパーム油のマレーシア基準)やISPO(持続可能なパーム油のインドネシア基準)の基準は合法性確認レベルの規定となっており、森林減少を阻止することはできません。
4.人権侵害を伴っていないこと
 バイオマス燃料の原料となる作物の生産には、大規模な土地が必要になります。この土地の確保にあたり、地元住民の農地や共有林が使われ、住民が生活の基盤を奪われる問題が生じています。また、生産に当たって農園労働者とその家族(子どもを含む)の権利が侵害される例もあります。
 このような人権侵害を伴っていないことを確認する必要があります。こうした人権尊重への対応は、ビジネスと人権に関する指導原則でも求められています。
5.食料との競合が回避できていること
 食料となりうる作物をバイオマス発電の原料として用いるべきではありません。たとえば、パーム油、大豆油、ひまわり油、落花生油、キャノーラ油などが該当します。現時点で余剰があっても、20年以上の発電期間において状況が変化することも考えられます。また、土地や水利用において食料との競合が生じないことの確認が必要です。さらに、飼料などの他用途との競合への配慮が必要です。
6.汚染物質の拡大を伴わないこと
 周辺住民の健康への配慮や汚染物質の拡大防止の観点から、バイオマス発電の燃料に、人体に有害な重金属、放射性物質が含まれていないことを確認し、これらについて適切なモニタリングが行われていることが必要です。現在、バイオマス発電で使用される燃料に関して、放射性物質濃度に関する基準は特段なく、木材や灰の測定も事業者まかせになっているのが実情です[注5]。
7.環境影響評価を実施し、地域住民への十分な説明の上での合意がされていること
 法的にバイオマス発電所事業の環境影響評価が義務付けられていなくても、自主的な環境影響評価を実施するべきです(環境省「小規模火力発電等の望ましい自主的な環境アセスメント実務集」を参照)。また、燃料の生産過程における環境社会影響が無視されていてはなりません。のちに燃料生産において甚大な環境社会影響が発生していることが明らかになったり、海外において住民による反対運動や訴訟等がおこされる例もあり、そうしたリスクを計画段階で評価すべきです。
 燃料生産も含め、事業が環境社会に与える影響が評価され、影響を受けるおそれがある地域住民などに十分説明され、協議が行われていること、その上で、自由意思に基づく事前の合意がとれていることが必要です。
8.透明性とトレーサビリティが確保されていること
 上記の1〜7に関する情報が開示されていること、また、燃料に関する農園または伐採地までのトレーサビリティの確保が必要です。
 特に輸入が急増しているPKSは、現在無条件でFITの対象となっていますが、すでに一定の市場価値を有しているPKSの生産過程におけるGHG排出量を無視するべきではありません。農園開発において土地利用変化、特に泥炭開発が行われた農園からのPKSは、大量のGHGの排出(土地利用変化がない場合と比べて112倍)を伴っているため、FITの対象として不適切です。また、労働者の人権侵害や児童労働が存在する農園からの調達は副産物や残渣であっても回避する必要があります。このため、副産物や残渣においても持続可能性の確認のためにはトレーサビリティの確保が不可欠です。
                      以上
(連名団体、五十音順)
ウータン・森と生活を考える会
環境エネルギー政策研究所(ISEP)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
地球・人間環境フォーラム
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
バイオマス産業社会ネットワーク
注)
1)ここでいう森林は二次林も含む天然林を指す。
2)参照:環境省の小規模火力発電所等の自主的環境アセス実務集
https://www.env.go.jp/press/files/jp/105194.pdf
3)経済産業省バイオマス持続可能性第1回ワーキンググループ(2019年4月18日)資料4
4)例えば日本の液体バイオ燃料のGHG排出量基準(エネルギー供給構造高度化法)では、従来ガソリンのGHG排出量の50%であったが、2018年に45%に強化された。EU改正再生可能エネルギー指令では、化石燃料による発電の20〜30%の閾値を設定している。
5)参考 市民放射能監視センター(ちくりん舎)ほか「学習交流集会 in 郡山報告集 止めよう!放射能のばら撒き 除染ごみ焼却と木質バイオマス発電を考える」、バイオマス発電業者、環境省・林野庁からの聴き取り

=====見解書=====ZIP ⇒ foejapan.zip
再生可能エネルギーの持続可能性に関するFoE Japanの見解
                    2018年4月13日
 世界における再生可能エネルギーの成長はめざましく、風力と太陽光の累積設備容量は、それぞれ原発を抜き、急上昇を続けています。
 国内でも、FIT制度により再生可能エネルギーへの投資が進み、東電福島第一原発事故の悲惨な事故を契機とした脱原発への願いから、再エネへの期待が高まっています。
 FoE Japanは、脱原発、気候変動の防止の観点から、また地域分散型で市民参加が可能であることから、再エネは重要なエネルギー源だと考えています。
 一方で、各地で大規模ソーラー発電による乱開発が生じていること、バイオマス発電の原料として、木材チップ、パーム油、パームヤシ殻が海外から輸入され、輸入先で森林破壊や人権侵害を引き起こす可能性があること、国内においても放射能汚染された木材の燃焼によって、放射性物質の再拡散を引き起こす可能性があることを危惧しています。
 これらの観点から、FoE Japanとして、再生可能エネルギーの持続可能性に関する見解をまとめました。

1. エネルギー需要の削減を大前提とし、電力・熱利用のバランスの最適化が必要である。そのための社会システムの変革が必要である。

2. 再生可能エネルギーの形態としては、以下の方向性が望ましい。
 1) 燃料等が地産地消であること
 2) 地域住民が主体的に、計画・経営に参加できること
 3) 社会的・経済的な便益が地域に分配される仕組みであること
 4) 小規模で分散型であること

3. 事業計画・開発に当たっては以下が確認されていることが必要である。
 1) 森林や泥炭地などの転換を伴っていないこと。大規模で深刻な気候・生態系の攪乱を伴っていないこと
 2) 食糧生産のための資源(農地、水を含む)を圧迫していないこと
 3) 地域住民の権利(土地、水、居住、食料、文化、安全、健康などへの権利)や労働者の権利を侵害していないこと
 4) 環境・社会影響に関し、ライフサイクルにわたって、調査、評価、予測、対策が行われていること。計画段階で影響を受ける人々に対してこれらの情報が公開された上で協議が行われ、事前の合意が得られていること
 5) 燃焼などに伴い放射性物質の拡散を伴わないこと

4. 事業実施に当たっては以下が確認されていることが必要である。
 1) 排水、騒音、農薬、廃棄物など、環境管理が適切に行われていること
 2) 情報開示が適切に行われていること
**********
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