2019/9/10  22:19

計画運休なのにかえって混乱を助長・・・お粗末なJR東日本の危機管理  国内外からのトピックス

■9月9日午後3時過ぎにシンガポールの知人からメールがありました。「Hi Ogawa san, I saw news that typhoon faxai landed in Tokyo last night. I hope that you are not affected by it. Thank you. Best Regards」台風15号は国際的にはFaxai(ファクサイ。ラオス語の女性の名前)と呼ばれました。台風一過の9月9日朝、上越新幹線は通常通り運行されており、朝8時34分高崎を出発し、午前8時30分に東京駅に到着しました。午前8時ごろには中央線が運転開始するものと信じて中央線のホームに向かうと、エスカレーターの入口に鎖が引かれ、大勢の人が列を作っていました。
クリックすると元のサイズで表示します
台風15号 千葉市付近に上陸 関東では過去最強クラス


 アナウンスがあり、「9時から10時にかけて運転再開の見込み」というので、壁際のベンチに座って待機していたところ、9時20分ごろになり、各駅停車が出発するというので、鎖の解かれたエスカレーターで中央線快速のホームに上り、電車に乗り込みました。

 神田、お茶の水と数分ずつ停車しながらも、四ツ谷駅までたどり着きました。ところが、四ツ谷駅に着くと「信濃町駅と千駄ヶ谷駅の間で倒木の為、しばらく停車します」とアナウンスがありました。倒木を除去するだけなのでそのうち動くだろうと思いきや、そのうち「運転会に目途は経っていません。2番線に快速列車が来るので新宿までいかれるお客さんはそれを利用してください」というアナウンスがありました。それから20分くらいしてようやく快速が2番ホームに入ってきました。見るとギッシリ満員です。

 どうせ、倒木がまもなく撤去されるだろうから、と各駅停車の電車で引き続き待っていました。そのうち2番目の快速がやってきました。これもまたすし詰め状態でした。

 しかし一向に倒木が撤去される気配はなく、いつまでこの状態が続くのか分かりません。忍耐強い乗客らも、次第に、席を離れ2番ホームに向かい始めたので、弊職もようやく決意を固めました。そして11時15分ごろ混雑の極みの快速に乗り、11時20分過ぎに新宿駅にたどり着きました。

 途中で、信濃町駅と千駄ヶ谷駅の間を注意深く見ていました。確かに途中で電車が停車していましたが、その前後に倒木らしきものは見当たりませんでした。一体、倒木現場はどこにあったのでしょうか。
※JR東日本の遅延証明書 ZIP ⇒ 20190910jrx.zip

■どうやらJRは、前日8日に「山手線や中央線、埼京線など首都圏のすべての在来線で9日の始発から午前8時ごろまで運転を見合わせる」と発表していたので、早朝の架線の安全点検を迅速に行わなかったと見られます。また、倒木処理がいつ始まり、いつごろ作業が完了するのかも全くアナウンスで知らせません。

 また、中央線が、東京〜新宿の間は止まっていても、新宿以西は折り返し運転していることは、午前8時ごろ大宮駅に着く前の段階では、新幹線の車内では乗客に全く知らせがありませんでした。

 さらに驚いたのは、東京駅でも御茶ノ水駅でも四ツ谷駅でも、「地下鉄丸ノ内線は運転しており、新宿にいくお客さんは利用してください」といいながら、「振り替え手続きはしません」というのです。おそらく乗客が殺到するので、あえてこのような措置を取ったものとみられます。

■というわけで、8時半に東京駅についたあと、新宿駅までたどりつくまでになんと3時間、そのうち電車の中で2時間を過ごしたことになります。

 心配してくれたシンガポールの知り合いには次の返事をしておきました。
「Dear Sir, The typhoon FAXAI (we call “Taifu 15”) hit the Tokyo metropolitan last night with strong rain and wind. Fortunately it was not so affected to me because my residence area is 100km far from the central of Tokyo. But, this morning, the railway traffic was terribly jammed because of fallen trees beside the railway being damaged on the train overhead power cable, so that I took 3 hours from Tokyo Station to Shinjuku Station (usually only 15 minutes). Thank you for your kind message.」

 ところが騒ぎはこれにとどまらず、結局、東京の表玄関である成田空港では、台風15号の影響で、首都圏にアクセスする主要路線の運休が9日も続いたため、約1万3千人の利用客がターミナル内で一夜を過ごす羽目になりました。

 成田空港そのものは台風が通過した後の9日午前から運用を開始しましたが、空港と首都圏とを結ぶJRや京成電鉄の各線は運休が続き、9日夕方までに一部路線やバスは再開したものの、飛行機で成田に到着する利用客に輸送が追いつかず、一時、最大約1万7千人が空港内にとどまったのでした。

 成田国際空港会社(NAA)は、空港内にとどまる利用客に水やクラッカー、寝袋を配布したり、携帯電話やスマートフォンが充電できるように充電設備も設置したりしましたが、焼け石に水。ここでも丁寧な情報がなかったため、利用客、とくに外国人観光客の皆さんにとっては、我が国のイメージ評価に相当影響したことでしょう。1年後の東京五輪、パラ五輪開催までに改善が進むか注目されます。

■ところで、台風の襲来が日常茶飯事の台湾では、こうした交通機関のストップの足止めに振り回されることは皆無といえるそうです。

 なぜなら前もって政府や自治体が「台風休暇」を宣言し、はなから通勤しなくても済む措置をとるためです。

 そのため、台風休暇日には、駅やバスターミナルではなく映画館に人々が殺到するそうです。

【ひらく会情報部】

※関連報道記事
**********朝日新聞デジタル2019年9月9日11:31
計画運休で備えたが…台風、鉄道に打撃 通勤客はため息
クリックすると元のサイズで表示します
JR東京駅では山手線の運行再開後もホームへの入場規制で長蛇の列が続いていた=2019年9月9日午前10時11分、川村直子撮影
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
 台風15号の影響で、首都圏の鉄道各社は9日、地下鉄を除くほぼ全線が始発から運転を見合わせた。午前8時前後から運転再開する路線が増えたが、山手線などJR各線は倒木や飛来物の影響で運転再開がずれ込み、通勤客らに大きな影響を与えた。
 JR東日本は8日、首都圏のすべての在来線で9日の始発から午前8時ごろまで運転を見合わせると発表した。首都圏で大規模な鉄道の計画運休が行われたのは、昨年9月の台風24号以来2回目。だが、実際には線路点検で倒木や飛来物などが見つかり、再開が遅れる路線が相次いだ。
 山手線は、品川―大崎駅間で沿線の木が線路内に倒れ、撤去作業のために運転再開は午前10時過ぎにずれ込んだ。東海道線や中央快速線などでも倒木や飛来物が見つかり、運転再開できない状態が続いた。
 東急や小田急、京王、東武、京急、京成、つくばエクスプレスもほぼ全線で始発から運転を取りやめたが、順次運転を再開した。東海道新幹線は、東京―小田原間の風速計が断続的に規制値を上回ったため、始発から午前7時40分ごろまで運転を見合わせた。
 早朝から駅に駆けつけた人たちは不安げな様子で運転再開を待った。東京駅では9日午前5時過ぎ、疲れ切った様子で床に座り込んだり、飲食店の開店を待ったりする人たちが目立った。
 ライブに参加するため東京に来ていた広島県の地方公務員、井上千穂さん(26)は、運転遅れのアナウンスに心配そうな表情を浮かべた。午前6時の新幹線の始発に乗り、そのまま仕事に向かう予定だったが、「正午過ぎには職場に着いていないといけないのに……。このまま動かなければ、同僚に仕事を頼みます」とあきらめ顔だった。
 中央線と総武線が乗り入れるJR高円寺駅(東京都杉並区)には午前7時半、改札入り口に運転見合わせの知らせが張り出され、構内に100人以上の人だかりができていた。スマートフォンで運行情報を確認する人や、折りたたみのいすに座り込む人もいた。
 運送会社で働く佐藤正広さん(45)は午前7時20分、高円寺駅に着いた。昨晩から運行情報をテレビやネットでチェックしてきたが、「過去の経験から夜中のうちに台風は抜けて、通常通りの運行になっているかと思っていた。台風で出勤に影響を受けるのは経験がない。不安です」。
 JRや私鉄、地下鉄が乗り入れる新宿駅(東京都新宿区)では、困った様子でスマートフォンを操作する外国人観光客の姿も目立った。JRの運転が午前8時を過ぎても再開されないと、ため息をついたり、「約束が違う」と駅員に詰め寄ったりする人もいた。

**********日経2019年9月10日0:10
計画運休、正解どこに? 想定外れて再開遅れ
クリックすると元のサイズで表示します
在来線の運転見合わせを示すJR東京駅の電光掲示板(9日午前)
 台風15号は9日午前、強い勢力を保って関東を縦断し、週明けの首都圏の交通は大きく乱れた。JR東日本は在来線全線で始発から「計画運休」を実施した。午前8時ごろには運行を開始する計画だったが、一部の路線で復旧・点検が遅れて運転見合わせが長引いた。2020年に五輪・パラリンピックを控える首都の弱点が改めて浮き彫りになった。
 JR川崎駅では、京浜東北線が倒木などの影響で午前11時ごろまで再開せず、東海道線も飛来物の影響で全線の再開に午後1時ごろまでかかったことから、乗客が昼すぎまで長蛇の列をつくった。
クリックすると元のサイズで表示します
台風15号の影響で首都圏のJR在来線で「計画運休」が実施され、新浦安駅で運転再開を待つ人たち(9日)=共同
 午前8時ごろに出勤しようとした会社員の女性(30)は3時間以上待ったところで会社から在宅勤務の指示を受け、帰宅した。「午前8時に運転再開見込みと聞いたから家を出たのに長時間待たされた。(JR東の)見通しは適切だったのか」
 JR東日本は8日午前に台風の進路予想を見ながら9日の運行について検討を始め、8日午後4時半には首都圏の全ての在来線で9日の始発から午前8時ごろまで運転を見合わせると発表した。
 18年秋の台風24号で初めて計画運休を実施した際は午後8時からの運休を当日正午ごろに発表し、混乱が生じた。その後「今後はできるだけ前日の段階で発表したい」(深沢祐二社長)との方針を示していた。
 しかし、今回の台風では多くの路線で計画の午前8時に運行を再開できず、再開を見込んで駅に集まった多くの乗客が待たされることになった。同社は「乗客の利便性を考慮し、倒木などのリスクも考慮して午前8時というめどを示したが、想定より台風の進みが遅かった」と説明した。

**********ジャパンタイムス2019年9月9日
Powerful Typhoon Faxai kills three, injures 40 and wreaks havoc on Tokyo transport system
クリックすると元のサイズで表示します
Typhoon Faxai, which assaulted the Kanto region from late Sunday night to early Monday morning, toppled a utility pole and pillars, several stories high, that held up netting around a golf driving range in Ichihara, Chiba Prefecture. | KYODO
 A powerful typhoon landed near Tokyo early Monday morning, killing at least three people and injuring about 40 as well as affecting hundreds of thousands of rush-hour commuters in the metropolitan area at the start of the week.
 East Japan Railway Co., also known as JR East, had suspended all lines in the greater Tokyo area as Typhoon Faxai made landfall near the city of Chiba, shortly before 5 a.m., as one of the strongest typhoons on record in the Kanto region.
 A woman in her 50s in Setagaya Ward, Tokyo, was confirmed dead after a security camera captured her being blown off her feet and into a wall, according to police.
An 87-year-old man died in the town of Otaki in Chiba Prefecture after being struck by a tree that fell as he tried to clear storm debris nearby.
クリックすると元のサイズで表示します
The signboard for a shopping street near Kamakura Station is seen collapsed Monday morning after Typhoon Faxai assaulted the Kanto area. | KYODO
 At the Yokosuka base of the Maritime Self-Defense Force in Kanagawa Prefecture, a 47-year-old company employee who was working to fix a power generation unit was found collapsed and later confirmed dead at a hospital. Police believe he was blown off balance by a strong gust in the typhoon and may have fallen from a terrace on the second floor.
 The weather agency had warned that central and eastern Japan, including Tokyo, could see record winds, forcing airlines to cancel flights and some major roads to be closed. Authorities issued voluntary evacuation warnings to more than 390,000 people, as forecasters cautioned the rain and wind could reach “record” proportions.
 A woman in her 20s in Ichihara, Chiba Prefecture, sustained serious injuries after pillars, several stories high, holding up netting around a golf practice range toppled over and hit nearby homes, authorities said.
クリックすると元のサイズで表示します
A street is seen flooded in Minato Ward, Tokyo, on Monday morning after Typhoon Faxai made landfall in the city of Chiba, bringing strong winds and rain to the Kanto area. | KYODO
 More than a dozen people were injured in Tateyama in the prefecture and its vicinity, and another 10 in the city of Chiba.
 At least seven people were hurt in Ibaraki Prefecture, six others in Kanagawa Prefecture, five in Shizuoka Prefecture and one in Tokyo, local authorities said.
 JR East resumed some services later in the morning, after major stations were swamped by commuters.
クリックすると元のサイズで表示します
Commuters waiting for train operations to resume fill Urawa Station in the city of Saitama on Monday morning, after Typhoon Faxai struck the Kanto area earlier in the day causing widespread disruption. | KYODO
 As of 3 p.m., the season’s 15th typhoon, was located over the Pacific off northeastern Japan after passing through the Kanto region, and traveling northeast at 30 kilometers per hour some 140 km east of the city of Iwaki, Fukushima Prefecture.
 It had an atmospheric pressure of 975 hectopascals at its center and was packing winds of up to 180 kph, according to the Meteorological Agency.
 The weather agency warned of mudslides and flooding after the heavy rain, as well as a summer-like heat wave nationwide due to the warm air brought along with the typhoon. The mercury reached 37 degrees Celsius in Nerima Ward in Tokyo and 37.9 degrees in Kuwana, Mie Prefecture.
クリックすると元のサイズで表示します
A woman holds her umbrella as powerful Typhoon Faxai bears down on Tokyo late Saturday. | AFP-JIJI
 Winds of up to 209 kilometers per hour were reported at Kozu Island on the Izu chain, 207 kph at the city of Chiba, and 207 kph at Haneda airport, all breaking records, according to the Meteorological Agency.
 Some 934,900 households in seven prefectures including Chiba, Kanagawa and Shizuoka were believed to have been temporarily without power during the course of the storm, and Tokyo Electric Power Company Holdings Inc. said power would be unlikely to return Monday in some areas, including south of Chiba prefecture where typhoon damage is extensive.
 In the city of Kimitsu in Chiba Prefecture, two steel towers for a transmission line that provides power to about 100,000 customers were said to have collapsed.
クリックすると元のサイズで表示します
Commuters line up at Chiba Station on Monday morning in the city of Chiba, as they wait for train operations to resume. Typhoon Faxai made landfall before 5 a.m. in the city, bringing strong winds and rain to the Kanto area. | KYODO
 Sony Corp. said Monday that a plant in Kisarazu, Chiba, belonging to its subsidiary, which manufactures the PlayStation 4 game console, has stopped running due to the blackout.
 Employees at the factory run by Sony Global Manufacturing & Operations Corp. were told to stand by at home. The plant also produces contactless IC cards that carry Sony’s Felica wireless technology, widely used for mobile payments.
 Central Japan Railway Co., also known as JR Central, started bullet train services at around 7:40 a.m. after removing debris between Tokyo and Odawara stations on the Tokaido Shinkansen Line. The company had reduced services between Tokyo and Shin-Osaka and moved up the schedule for the end of operations the previous day.
 A tree fell onto an overhead power line between Shinagawa and Osaki stations in Tokyo and an alarm at a railway crossing was also toppled by wind on the Yokosuka Line, according to JR East.
 At Tokyo Station, people lined up as the Tokaido Shinkansen resumed operations. At Hamadayama Station on the Inokashira Line in the capital’s Suginami Ward, people waiting for train operations to resume made lines more than 100 meters long outside the station at 9 a.m.
クリックすると元のサイズで表示します
Collapsed scaffolding can be seen near a parking lot at Haneda Airport in Tokyo on Monday morning after the Kanto area was hit by Typhoon Faxai earlier in the day. | KYODO
 According to NHK, entry into Ikebukuro Station was temporarily restricted as of 10:45 a.m.
 Most railway services and subway operations in the metropolitan area had resumed normal services by the afternoon, while most flights departing from and arriving at Haneda Airport were resumed Monday morning after many were canceled from Sunday evening.
 Television footage of a gasoline station in Tateyama, south of Tokyo on the Boso Peninsula, showed a huge roof had collapsed crushing pumps underneath.
 In the 24 hours through early Monday morning, the typhoon brought more than 440 millimeters of rainfall to the city of Izu in Shizuoka Prefecture, with as much as 109.0 mm falling in one hour in the early morning.
 In the 24 hours through 6 a.m. Tuesday, the typhoon was forecast to bring 150 mm of rainfall to the northeastern Tohoku region.
 It was the ninth time for a typhoon to make a landfall in Chiba Prefecture since Japan began taking records. The last such landfall was in August 2016.
クリックすると元のサイズで表示します
Commuters wait outside a train station in Yokohama on Monday morning after rail services were suspended due to Typhoon Faxai. | AP
 Ahead of the typhoon’s arrival, JR East announced at noon Sunday that services for the following day would be canceled given the expected major impact of the storm and the time needed for safety checks before restarting operations.
 It was the second time for the firm to announce the likelihood of suspended services before a typhoon hit, after first doing so on Sept. 30 last year.
 Typhoon Faxai comes just as teams begin arriving for the Rugby World Cup, which kicks off on Sept. 20.
 The French team managed to sneak in just ahead of the typhoon and reach their training camp near Mount Fuji.
 However, the Australian Wallabies squad found their preparations disrupted with the storm delaying their scheduled arrival.

**********日経2019年9月10日5:22(2019/9/10 10:18更新)
「陸の孤島」成田空港、1万人夜明かし 台風15号
クリックすると元のサイズで表示します
↑寝袋で一夜を過ごす成田空港の利用客(9日夜)↑
 9日に関東を縦断した台風15号の影響で東京都心部につながる主要な交通機関の運休が相次いだ成田空港では10日にかけ、1万人を超す人々が施設内で夜を明かした。鉄道やバスは朝から順次運行を再開したものの、寝袋を廊下に敷いて身を横たえていた利用客らは疲れの色が濃い。2020年東京五輪を前に、外国人からは情報発信の改善を求める声も上がった。
 10日午前3時ごろ。空港第1ターミナルは1階から3階まで、寝袋や段ボールに身を包んで横になったり、床に座って携帯電話に目を落としたりする人たちであふれていた。スーツケースがそこかしこに転がり、雑然とした状況。眠っている人も手足を伸ばせず背中を丸めていた。
 成田国際空港会社(NAA)によると、午前3時20分の時点で約1万3300人が第1〜第3ターミナルに滞留。多くがそのまま夜を明かしたとみられる。
クリックすると元のサイズで表示します
混雑する成田空港の到着ロビー(9日夜)
 成田空港と都心をつなぐ鉄道やバスは9日、千葉市付近に上陸した台風15号の影響で一斉に運休。空港側は台風の通過を待って同日午前から滑走路の運用を始めたが、一時「陸の孤島」状態となっていたところに旅客機が次々と到着して人が増え、混雑した。
 特に不安そうに過ごしていたのが訪日観光客だ。泣きながら故郷に電話をかける若い女性や、空港から配布された寝袋をもらえず戸惑っている中年女性もみられた。
 10日午前には、運休していたJR成田線の千葉―成田空港間や京成線などが運行を再開。9日に乗り継ぎ便が飛ばず空港で一晩を過ごした米国人のジェニファー・サイさん(25)は本来の目的地の台湾へ向かうのを一旦中止し、ホテルで眠るため鉄路で都内へ向かった。「一睡もできなかった。今は一刻も早くベッドで休みたい」と疲れ切った様子だった。
 「情報のない不安さ、騒音、硬い床、空腹。気が狂いそうだった」。10日午前7時ごろ、寝袋から起きた医師のクリス・キャンベルさん(71)は眠たげに目をこすった。オーストラリアから9日午後7時半に到着すると、レストランは長蛇の列で入れず、コンビニエンスストアの飲食物もすべて売り切れ。空港から配られた水とクラッカーだけで夜を明かした。
 交通機関の復旧見通しを通りがかりの職員に尋ねたが、言葉がなかなか通じない。人混みをくぐり抜けて30分かけて英語に対応できる案内所にたどり着いたが、情報の更新はほとんどなかった。NAAは多言語での館内放送も流していたが「音声が不明瞭で聞き取りにくかった」という。
 東京観光などのため、ポルトガルから初来日したティアゴ・モタさん(30)は「語学が堪能な職員の巡回を増やすなど、丁寧に情報発信するだけでも不安は和らぐ。来年の東京五輪・パラリンピックでは日本語が話せない観光客が押し寄せるだろう。ぜひ改善してほしい」と注文をつけた。
クリックすると元のサイズで表示します
通路やソファで横になる人たち(10日午前7時ごろ)
クリックすると元のサイズで表示します
到着ロビーでは、足止めされた利用客らで混乱が続いた(9日夜)

**********東京新聞2019年9月10日 夕刊
成田空港で雑魚寝 初めての日本なのに 「眠れない…」
 台風15号の影響で主要路線が運休し「陸の孤島」となっていた成田空港では、三つの旅客ターミナルビルで計約一万三千三百人が一夜を明かした。京成線は十日の始発から運行再開し、空港と千葉や東京方面を結ぶJR成田線も午前十時四十分ごろに復旧。空港内の利用客の足止めは解消に向かった。
クリックすると元のサイズで表示します
台風15号の影響で成田空港に足止めされ、ターミナル内で一夜を過ごす人たち=10日午前1時29分
 利用客たちは乗車券を買い求めるため、券売所で長蛇の列をつくった。空港運営会社は、利用客に水やクラッカーのほか、寝袋を配布した。
 成田空港は台風が過ぎ去った九日午前に運用を再開する一方、陸上の交通網は夕方に一部が再開されただけで到着客の輸送が追いつかず、ターミナル内にとどまる人は十日未明に一時、約一万七千人にまで膨れ上がった。
 就職活動のため、九日に鹿児島県から格安航空会社(LCC)で来た同県霧島市の男子大学生(22)は「空港で泊まる人の多さに驚いた。今日は東京で午前十時から面接があり、体験談をどう話すか考えている」と気を引き締めていた。
 中国籍の母(76)とともに上海から九日夜に到着した東京都板橋区の稲田莉慧(りえ)さん(55)は「よく眠れず、体も休まらなかった。母にとって初の日本への旅なのに、到着早々、苦労させてしまった」と疲れ切った様子だった。
◆一夜明けても停電60万軒超
東京電力は十日、台風15号の影響により、千葉県を中心に東京の島しょ部を含む一都四県で六十万軒を超える停電が続いていると発表した。鉄塔が倒壊するなどし、復旧に時間がかかっているという。
 東電によると、十日午前時点の停電軒数は千葉県が五十七万軒超、神奈川県が二万軒超、茨城、静岡各県が一万軒超。
 六万軒以上が停電している千葉県市原市では、日常生活に大きな影響が出ている。「電気がこれほど大切とは思わなかった」。市内のコンビニ店で働く五十代の女性従業員は、冷房が止まった真っ暗な店内で空になった食品棚を前にため息をついた。
 店では冷蔵保存が必要な弁当やパック詰めのおかず、アイスクリームなどの冷凍食品をすべて処分。会計もできないため、入り口に休業を知らせる張り紙をし、来店者には近隣で営業中の店舗を案内した。女性は「一日も早く営業再開したいが、今はただ待つしかない」と話した。
 県警によると、県内は市原市や房総エリアを中心に、十日午前五時現在で三百基以上の信号が消えている。市原市の市道「市役所通り」沿いでは同日朝、近隣の小中学校の教員らが交差点などに立ち、通学する児童生徒を誘導した。(小沢伸介、山口登史)
**********
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ