2019/10/12  23:21

関西電力役員らの金品受領問題・・・闇を覗けば覗くほど安中タゴ51億円事件の構図に瓜二つ  前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■すべては9月27日の未明に配信された共同通信の報道から始まりました。最初は、関電の会長ら6人に1億8千万円。そして、今では、関電幹部ら20人に3億1845万円(関電の調査報告書による)に拡大しています。金品を配ったのが今年3月に90歳で死去した元・高浜市助役の森山英治なる御仁で、関電の原発工事で潤った地元建設業者から溢れたカネを元助役が関電幹部らに還流させ、癒着を加速させて手玉に取っていった様が連日報じられています。共同通信のスクープ記事は次の通り。
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関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長、豊松秀己元副社長


**********共同通信2019年9月27日(金)01:36
関電会長ら6人に1億8千万円 元高浜町助役から、原発マネーか
 関西電力の八木誠会長(69)、正副社長ら役員6人が2017年までの7年間に、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(3月に死亡)から、計約1億8千万円の資金を受け取っていたことが、金沢国税局の税務調査で分かった。複数の関係者が26日までの共同通信の取材に明らかにした。
 元助役は資金提供について「お世話になっているから」と説明しており、工事費として立地地域に流れた「原発マネー」が経営陣個人に還流した可能性がある。
 関電広報室は26日夜、「一時的に各個人の管理下で保管していたものはあるが、儀礼の範囲内以外のものは既に返却を完了した」とコメントした。
**********

 連日、突如浮上したこの破廉恥な事件では、いろいろなキーワードが飛び交っています。とくにエリート集団である関電の役員らが、あろうことか、行政側にいたことのある人物から巨額の金品を受領していたことが発覚したにもかかわらず、責任のとりかたをしらないかのように、一般市民としては驚きの連続です。

 こうした人種が、寡占業界の最たる電力会社のトップを占めているわけですから、安全神話を吹聴してきた東電の福島原発事故も明らかに人災といわれる所以です。

 さて、この降ってわいたかのように発覚してから僅か1週間のあいだに、次から次に新たな事実が明らかにされています。そのなかで、最初に、受領していた金品の内訳に注目しましょう。

 現時点で、原発マネーの還流で、関電の役員らは次の金品を受け取っていたとされています。

 ・現金          1億4501万円
 ・商品券           6322万円
 ・金貨(計365枚)     4949万円相当
 ・スーツ仕立券(計75着分) 3750万円相当
 ・米ドル           1705万円相当
 ・金杯(計8セット)      354万円相当
 ・金(500g)        240万円相当
 ・小判型の金(計3枚)      24万円相当
  金額合計        3億1845万円

■ところで、安中市土地開発公社を舞台に1995年に発覚した51億円横領事件では、公社を兼務していた市職員のタゴが、15年間公社の金庫番として配置され、次第に横領した金を周囲にばら撒くことで、安中市役所の七不思議と言われる現象を形成したのでした。

 タゴは市役所の勤務にも数十万円もするスーツを、横領金で国道18号線脇に建てた喫茶店「珈琲ぶれいく」(昨年まで餃子店だったが今は空き店舗)の隣の洋装店「スケルトン」(現在はペット用品店)でいつも設えたのを着用していました。高いスーツを着ると無能な人物でも、有能に見えるというので、タゴもその効力を十分に理解していました。タゴはまた、地元の自治会の新年会に顔を出す際、1着100万円もする大島紬の和服を着て出席していました。これも一種のカモフラージュ効果を狙っての演出でした。

 一方、1着50万円のスーツを仕立券付きで元助役からもらっていた関電役員は、最初は抵抗感を持っていたかもしれませんが、無能でも馬子にも衣裳で有能そうに見てもらえると、その効能を理解し、やがて受け取ることの罪悪感に慣れてしまい、ゆでガエル状態になっていったと思われます。

 次に示す「関電幹部の金品受領の内訳表」を見ると、最も多くスーツをもらったのは発覚当時、関電の原子力事業本部長代理だったところ、金沢国税局の税務調査で高浜町の森山栄治元助役から、「原発マネー」還流の4060万円相当の金品を受け取っていたことが明らかになり、社内で厳重注意処分を受けたのち2019年に副社長に昇格した森中郁雄でした。なんとスーツ16着をもらったわけですが、そんなにたくさんスーツを持って、しまう場所に困らなかったのでしょうか。庶民感覚では到底想像もつきません。

 続いて50万円のスーツを4着もらっていたのが、原子力事業本部副本部長の大塚茂樹と、関電エネルギーソリューション社長の白井良平です。金品受領額はそれぞれ720万円と790万円です。

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 この高級スーツ生地をお仕立券付きで贈るという「業」は、実に手が込んでいます。というのは、役人と言う人種は、着ている服装で立派に見えれば、周りの目もさりながら、自分自身が有能になったように錯角すること傾向があるからです。
 今回は関電の幹部らもその役人の嗜好をそのまま受け入れてしまいました。報道記事では「現金より実用的なスーツの方が生々しさを感じさせず、受け取る側の抵抗感は薄れる」とか、「一種のステータスシンボルとして心をくすぐる絶妙なアイテムとして重宝されているのではないか」とする見方を紹介していましたが、まさに慧眼です。

 そもそも50万円相当の仕立券を「儀礼の範囲」とシャアシャアと言える感覚は、一般市民には到底信じられません。いかに一般常識と懸け離れているかが問われる事件です。

■安中のタゴ51億円事件でも、前述の通り、タゴは群銀安中支店から毎週1千万円単位で土地開発公社特別口座から引き出した現金で、高級スーツをはじめ、大島紬の100万円もする和服、三越から特別にとりよせた超豪華な御節料理、何台も乗り継いだ外車、そして古伊万里、鍋島をはじめとする900点以上にのぼる骨董品の数々を購入していました。

 そうすると、一介の職員に過ぎないタゴのことを、群馬銀行もいちもく置くようになり、ゴルフ場の会員権の購入のための融資も、自行の子会社の信販会社を通じて便宜を図ったり、本人や親族名義による数億円にのぼる預貯金口座も開設してやったのでした。さらに、盆暮れにはタゴに高級ワインなどを送り、歓心を得るために腐心していました。

 こうした状況が、タゴが土地開発公社の金庫番として安中市役所に勤務していた15年間にどんどんひどくなっていきましたが、市役所の職員らは「市役所の七不思議」として、変に思った者もいましたが、むしろ、タゴに取り入って、高崎競馬で一緒に1億円つかったり、掛けマージャンや野球賭博に興じて、骨董品のおこぼれをもらったりして喜んでいたのでした。

 この背景には政治家も絡んでおり、そのため、刑事裁判でも、約4分の1の刑事記録が、市民からの開示要請にもかかわらず、裁判所はいまだに非開示としたまま、25年が経過しています。

 当時、安中市役所でも、名前ばかりの第三者委員会が設けられて、実際には市役所職員らによる調査が行われ、報告書が作成されましたが、その内容はまったく意味のないものでした。

 今回、関電も「第三者委員会」を設置して調査する動きがありますが、安中市のタゴ事件のときの第三者委員会のように、真相解明、責任所在の明確化、再発防止策の検討と実施がいずれも骨抜きになる可能性が懸念されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考記事「関電金品受領問題」
**********FNN Prime 2019年10月4日(金)06:17
関電幹部の3億円金品問題 原発のほか太陽光発電でも
 関西電力の幹部が原子力発電所のある福井・高浜町の元助役などから金品を受け取っていた問題で、太陽光発電所の工事にも、この元助役が関わっていたことがわかった。
関西電力は2日、高浜町の森山栄治元助役などから幹部20人が受け取った3億円余りの金品の詳細を明らかにした。
 そして新たに、原子力発電所だけではなく、太陽光発電所の建設工事などでも、森山元助役が関わっていたことを明らかにした。
 工事の説明の際に送配電部門の社員が知り合ったことがきっかけとなり、森山元助役が顧問を務めていた「吉田開発」が工事の一部を請け負うようになったとみられる。
 この送配電部門の3人も250万円相当の金品を受け取っていて、この問題についても今後、第三者委員会で調査する方針。
(関西テレビ)

**********産経WEST 2019年10月4日 21:42
【関電問題】元助役、福井県元幹部に中元「摩擦少なくするため」受け取り認める
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関西電力の高浜原子力発電所。平成29年に3、4号機が再稼働、関電が発電する電力の15%を担っている=福井県高浜町(関西電力提供)
 関西電力役員らの金品受領問題に絡み、福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から贈答品を受け取っていたことが判明した歴代の福井県幹部の一人が4日、産経新聞の取材に応じ、公務員としての認識の甘さを認める一方、「やり取りは儀礼の範囲内だった。(森山氏と)仕事をする上での摩擦を少なくしたかった」と話した。
 元幹部の男性は、同県敦賀市や高浜町など、若狭湾沿岸の2市4町を所管する嶺南(れいなん)振興局長を務めていた際、森山氏と知り合った。就任時、人権研修の担当者から「あいさつに行きましょう」と促され、森山氏が住む京都府内の自宅を訪ねたのがきっかけだったという。関電の調査報告書などによると、森山氏は高浜町退職後、県の客員人権研究員を平成30年まで務めていた。
 男性によると、その後、森山氏から茶やつくだ煮が、中元や歳暮として届くようになった。商品はいずれも5千〜1万円相当だったと記憶しており、「もらうだけでは悪い」と感じた男性はその都度、返礼品として同額程度の牛肉の詰め合わせなどを贈った。やり取りは3〜4回あったが、局長退任後はなくなったという。
 男性は「(公務員として)認識が甘いといわれれば仕方ない」と反省しつつ、「(やり取りは)県の取り組みを円滑に進めるためだった」と釈明。森山氏からの何らかの要望を受けたり、便宜を図ったりしたことは「一切ない」と強調した。
 金品授受問題をめぐっては、県の複数の歴代幹部が、森山氏から就任祝いなどとして贈答品を受け取っていたことが判明。杉本達治知事は事実関係を調査する意向を示している。
 男性は「調査対象になれば素直に応じ、ありのままを説明したい」としながら、「関電の問題とは全く関係がない」と述べた。
 甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は、受領した商品の額や返礼品を贈っている点から「違法性があるとは考えにくく、公務員の倫理的な問題ではないか」との認識を示した。

**********産経WEST 2019年10月4日 23:45
橋下氏「関電経営陣の首切る結論も」第三者委候補
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橋下徹氏(寺口純平撮影)
 関西電力役員らの金品受領問題で、大阪市の松井一郎市長が、関電が設置する第三者委のメンバーに元大阪市長の橋下徹氏を推薦する可能性に言及したことを受け、橋下氏は3日夜、自身のツイッターで「経営陣の首を切る結論になることもある」と、依頼を受けた場合は厳格な姿勢で調査に臨む姿勢を示した。
 橋下氏はツイッターで、「俺を第三者委員に入れることのできる企業は本気で膿を出しきりたいという決意のある企業のみ」と指摘。続けて「今回の調査報告書は甘すぎる。俺の調査はきついよ」とこれまでの関電の調査が不十分との認識も示した。
 市は客観性を担保するため、関電の第三者委に市推薦のメンバーに入れるよう要請し、松井氏は橋下氏を推薦候補の一人として検討していることを明らかにしていた。

**********毎日新聞2019年10月4日 11時19分(最終更新 10月4日 14時38分)
贈収賄の「定番」スーツ券なぜ今回も使われた? 関電金品受領
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 関西電力役員らの金品受領問題では、八木誠会長(69)らが福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から生地付きのスーツ仕立券を大量に受け取っていた。なぜ仕立券なのか。関電の換算では1着分が50万円相当に上る高級品だが、現金よりも贈られる側の心理的抵抗が少ないとされ、過去の贈収賄事件などでもたびたび使われてきた。
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記者会見会場に入る関西電力の八木誠会長(左端)と岩根茂樹社長(中央)=大阪市福島区で2019年10月2日午後2時1分、望月亮一撮影
★3020万円分、使われていた★
 「スーツの値段がよく分からず、儀礼の範囲内だと思った」。2日、大阪市で問題発覚後初の記者会見に臨んだ八木会長は、硬い表情で弁明の言葉を並べた。
 もらっていたのは会長ら11人で、75着分(計3750万円相当)。受け取っただけでなく、現金で30万円を返した分を除く計3020万円分に当たる未返却の61着分のほとんどを使っていたことも判明した。受領した金品の中では現金、商品券、金貨に次いで金額が大きい。
 八木会長自身、2着を仕立てて着用していた。関電OBの一人は「やり過ぎだ。返す気がなかったと言われても仕方がない」とあきれ返った。
ありがたみ
 高級スーツの仕立券とはどういうものなのか。
 東京・銀座の老舗紳士服店によると、結婚や就職を祝う贈答品などとして需要があり、5万〜10万円の価格帯の仕立券を求める人が多いという。
 高級さを追求すれば際限がなく、創業100年を超える大阪・淀屋橋の紳士服店では40万〜300万円分の仕立てコースを用意。きり箱に生地と仕立券を一緒に入れて提供することで、ありがたみも演出できる。生地の価格は変動しやすいため、券には1年未満の有効期限が設定される。
★「儀礼の範囲」信じられぬ金銭感覚★
 相手の好みに合わせることができ、贈答用に使い勝手がいいスーツ仕立券は、過去の汚職事件にも登場してきた。
 2004年に発覚した歯科医師の診療報酬改定を巡る汚職事件では、日本歯科医師会(日歯)の会長らが、厚生労働相の諮問機関の委員に有利な発言をしてもらう謝礼として、料亭接待の他に2種類の仕立券(計84万円相当)を贈っていた。
 大阪府立高校の非常勤講師採用を巡る06年の汚職事件では、府教育委員会ナンバー2の教育監が、孫娘の採用を働き掛けた学校法人理事長から受け取っていた。
 「現金より実用的なスーツの方が生々しさを感じさせず、受け取る側の抵抗感は薄れる」。ある警察幹部は「一種のステータスシンボルとして心をくすぐる絶妙なアイテムとして重宝されているのではないか」とみる。
 企業コンプライアンスに詳しい元検事の郷原信郎弁護士も八木会長らの姿勢に厳しい目を向ける。「50万円相当の仕立券を『儀礼の範囲』と言う感覚は信じられない。いかに一般常識と懸け離れているか問われるべきだ」(共同)

**********週刊ダイヤモンドオンライン2019年10月4日04:15
関電の金品授受問題は日本のエネルギー政策を変える公算も
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経営陣に「原発マネー」を巡るスキャンダルが発覚した関西電力の松村孝夫常務執行役員(左手前)らは9月30日、大阪市役所を訪れ、中尾寛志副市長(右手前)らに頭を下げた Photo:kyodonews
 それは9月26日深夜に共同通信が配信したニュース速報によって始まった。
「関電会長ら6人に計約1億8千万円」
 間を置かずに二の矢が飛んだ。
「関電の八木会長、税務調査を認める」
 今や電力業界で東京電力をしのぐ大きな影響力を持つ関西電力の経営陣に「原発マネー」を巡るスキャンダルが発覚した。関電の高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役、森山栄治(故人)から多額の金品を受け取っていたことが金沢国税局の調査で分かったというものだった。
 関電社長の岩根茂樹は翌27日午前に緊急会見を開いて謝罪した。
「コンプライアンス(法令順守)上疑義を持たれかねないと厳粛に受け止めている。深くおわび申し上げます」
 岩根は同時に事実関係の一部についても明らかにした。岩根に加え、関電の最高実力者とされる会長の八木誠ら20人が2011年から18年までに総額3億2000万円相当の金品を受け取っていた。関係者によると、金品は現金をはじめ商品券、スーツの仕立券などに加え、美術・工芸品も含まれているという。
 驚きは巨額の金品の受領だけではない。岩根の会見によって浮かび上がったのは、関電側の不可解な対応だった。
「常識の範囲を超える金品は受け取りを拒んだり、返却を試みたりしたが、強く拒絶されたため一時的に個人の管理下で保管していた」
 原発は「迷惑施設」「忌避施設」ともいわれる。社会としての必要性はあるが、立地地域にとっては不都合な施設としてしばしば反対運動が展開され、住民の合意形成が極めて難しいからだ。ごみ焼却場などもこれに当たるが、原発の比ではない。このため原発の立地場所には過疎地が選ばれる。一方の立地自治体側も地域振興を理由に「原発マネー」を受け入れることになる。
★透ける原発マネーを巡る「還流システム」の存在
 ただし今回のケースでは理解しにくいことがある。関電が地元関係者に金品を提供するのではなく、関電の経営陣が地元有力者から提供を受けている点だ。しかも1回限りではない。長年にわたり、恒常的にやりとりが行われていたようだ。そこからは原発マネーを巡って「還流システム」の存在がうかがわれる。これが今回の関電問題の核心といってもいい。関電問題に詳しいジャーナリストはこう指摘する。
「原発によって潤う人たちの間を巨額のカネがグルグル回るという実態の一端が見えた」
 関電問題ではさらに大きな疑問が浮かび上がる。元助役は原発関連工事を請け負う建設会社の顧問を務める一方で、関電の子会社の顧問を長く務めていたと報じられていることだ。関電は国税当局の税務調査を受け、昨年夏には社内調査を実施している。しかし、そのことについては一切公表せず、不信感を増幅させた責任は大きい。
 こうした関電の対応に強い危機感を抱いたのが政府だ。官房長官の菅義偉は問題が表面化した翌日27日の記者会見で関電を厳しく批判した。
(後藤謙次:政治コラムニスト)

**********産経WEST 2019年10月3日 05:30
【関電 原発マネーの闇】(上)「社長就任祝いは金貨10枚」地元有力者の幻影におびえ 
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経営幹部が金品を受領していた問題で関西電力が開いた会見=2日午後2時40分、大阪市福島区(安元雄太撮影)
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主な関電役員らの金品受領額
 「原子力事業に悪影響が出るリスクがあると思っていた」。300人以上の報道陣を前にマイクを握った岩根茂樹社長の表情は苦渋でゆがんでいた。
 2日午後、世間の猛烈な批判に押し切られる形で再び開かれた関西電力の記者会見。福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(今年3月に死去)の顔色をうかがう形で情報を漏洩(ろうえい)し、常識を逸脱した金品を受領する。3時間以上に及んだ記者会見でつまびらかにされたのは、原発立地町の有力者に振り回された電力会社の実像だった。
*  *  *
 会見で報道陣の質問が集中したのは、森山氏と関電の関係性と、“原発マネー”の還流の有無だ。岩根社長は「森山氏は特別だという前例が引き継がれていた」とし、立地地域への悪影響を懸念し、特別扱いを続けていたと釈明した。
 岩根社長自身、森山氏から金貨10枚を受け取っていた(後に返却)。平成29年3月、「社長就任祝い」という名目だった。「高価なものが入っているかもしれないと聞いて秘書に確認させたところ、お菓子の下から金貨が出てきた」。安っぽいドラマのようなやり取りが繰り広げられていた。
 関電が明らかにした金品の受領総額は3億円超。現金や商品券が多い中、米ドルや金杯などの品目も並んだ。また、11人が計75着、3750万円相当のスーツを受領。1着の平均額は50万円という高級スーツだが、返却されたのはわずか14着分だった。
*  *  *
 「お前の家にダンプを突っ込ませる」「娘が可愛くないのか?」。叱責、罵倒、恫喝(どうかつ)…。関電は報告書の中で、森山氏との関係で主従の構図を描いてみせた。ただ、地元関係者には「怖かった」と漏らす人がいる一方、「偉大だった」と評する声も聞かれる。
 森山氏は昭和52〜62年の町助役時代、原発反対派の説得を進め、誘致に尽力。特に60年に運転を開始した高浜原発3、4号機に関しては「誘致や地域のとりまとめなどに深い関わりをもった」(報告書)とされる。
 《住民生活の安定と地域福祉の向上発展に尽くした役割は極めて大きい。原発の誘致に献身的に取り組み、住民と対話を尽くし実現にこぎつけるなど、活動実績は誠に顕著なものがあった》。平成14年に発行された高浜町の郷土誌は森山氏の功績をこうたたえている。
 「決断力や統率力があった」と証言するのはある町関係者。議会で課長らが答弁に詰まる場面があると「さっと出てきて、説得力ある物言いで(議員を)説き伏せていた」。部下を叱責後、フォローをすることも忘れなかったという。
 森山氏を知る議会関係者は「高浜で原発誘致が進んだのは、ああいう中心的な人物がいたからだと思う。大した人物だ」と賛辞を贈る。60代の町関係者の男性も「偉大過ぎて一言では言えない。この人がいなかったら、高浜町はここまで大きくなっていなかった」。
 退職後も地元では関電に顔が利く実力者として知られた存在。報告書もその人物像を「町、県庁、県議会および国会議員に広い人脈を有している」とした。
 ただ、「感情の起伏が大きく対応が難しい人物」と指摘。関電内部では「できる限り丁重に扱い、良好な関係を構築・維持する必要がある」との認識があった。そのためだろう、森山氏に対して関電は、幹部が大勢出席して年始会やお花見をし、誕生日会も開催していた。
*  *  *
 平成23年の東日本大震災後、国内の原発は高浜原発を含む全基が運転を停止。再稼働に向けた安全対策工事が急増した。
この間、関電では再稼働に向けた安全対策費用などが経営を圧迫し、高浜原発3号機を再稼働するまでに2度にわたって家庭向け電気料金を値上げした。この値上げした電気料金が原資となった原発マネーが、森山氏を介して還流した可能性はないのか。関電側は曖昧な回答に終始した。
 疑惑の発端となった高浜町の建設会社「吉田開発」との関係では、報告書は「発注プロセスでコンプライアンス上の問題となる点は認められなかった」とした。だが、同社の30年度の売上高22億円のうち、関電からの直接発注額は2億5千万円、ゼネコンなどを通した間接発注は10億6千万円だ。合算すれば13億1千万円と、売上高の半分以上が関電からの受注ということになり、濃密な関係性が浮かび上がる。
 岩根社長が会見で説明した吉田開発に対する過去5年間の直接、間接発注金額を単純計算すると、26年の6億8600万円から翌年には9億3900万円、28年に11億二千万円と増加。29年には22億4千万円と前年の倍以上になった。まったく問題がなかったといえるのだろうか。
 「恫喝されて病気になった、という話が連綿と引き継がれ、自分も同じようになるのでは、という幻影におびえていたのではないか」。岩根社長が打ち明けたのは、関電自身が原発マネーに翻弄された姿だった。

 日本のエネルギー政策を担う電力会社の幹部に、原発立地自治体の大物から多額の金品が流れていた。次々に明らかになっていく“原発マネー”の暗部。その背後に、何があったのか。

**********産経WEST 2019年10月3日20:19
【関電原発マネーの闇】(中)貧しかった街が…原発と歩んだ立地町のジレンマ 
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福井県高浜町議会の原子力対策特別委に出席した関電の大西健太郎法務部長(右)ら=3日午前、福井県高浜町
 関西電力の再会見から一夜明けた3日午前。金品受領問題を受けて急遽開かれた福井県高浜町議会の特別委員会は、少し意外な展開を見せた。説明に訪れた関電高浜原発の木島和夫所長に対し、出席した町議らは「なぜ金品を受け取ったのか」などと厳しい質問を浴びせたのだが、「原発の安全に前向きに取り組んで」「新たに再出発を」という声も少なからず上がった。
 微妙な立ち位置を見せる原発立地町の議員たち。その様子には、町が原発とともに歩んだ「起死回生」(町関係者)の歴史がにじみ出る。
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 「親から小遣いなんてもらったこともない。新聞配達で稼ぐ、そんな子供ばかりだった」。町内の自営業の男性(72)は、原発建設以前の昭和30年代をこう振り返る。
 父は漁師だった。だが船が小さく、満足な漁獲も得られない。土木作業で日銭を得る毎日だった。
 懐中時計を質店に持ち込み、金を受け取る。そんなおつかいを頼まれたこともあった。「貧しかったのは私だけでない。町のあちこちが苦しかった」
 町は小さな農村や漁村ばかりで、主だった産業はない。企業誘致もままならず、働き口を求めて若者は都市部に流出した。
 そこで起死回生の策が持ち上がった。原発の誘致だった。
 高浜原発1号機は49年に運転開始。50年に2号機が稼働し、60年には3、4号機が続いた。
 「関電の仕事の方が給料が高くて、地元住民はみんなそちらで働いた。人手が足りないと地元業者に泣きつかれたこともあった」。57年から平成8年まで町長を務めた田中通(とおる)氏(93)が語る。
 県道の整備、貿易港の開港…。原発建設を機に町は一変した。数々の恩恵を町誌はこう刻む。《財政規模は増大し、町は飛躍的に発展した》
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 地元で高浜原発誘致の立役者とされる元助役の森山栄治氏(故人)は関電にとっても「功労者」だった。
 「先生のおかげでこのように立派になることができました」
 関電の原子力事業本部(同県美浜町)の幹部の1人は、異動で本部を離れるにあたり森山氏の元にあいさつに出向いた。高浜原発の地元対策を図る上で重要な人物だったからだ。
 関電の報告書では、原発推進における森山氏との関係を「立地町の有力者として地域対応上の助言・協力をしている」と記載。具体的には「昭和50年代に、高浜3、4号機増設の誘致や地域のとりまとめなどについて、多大な協力を受けた」とし、「それ以降、原子力事業が円滑に進むように森山氏と良好な関係を築き上げてきた」とした。
 それゆえ、関電は原子力事業本部に森山氏との窓口となる担当者を置いた。
 森山氏は担当者からの連絡がしばらく途絶えたり、休日に電話してつながらなかったりすると激怒した。それでも関電は、森山氏との良好な関係が欠かせないと考えていた。幹部であっても担当者はへりくだるように接するしかなかった。
 原子力事業を円滑に進めるため−。町の「大物」はこうして作られていった。
 原発の建設や運転、再稼働には地元合意が不可欠だ。一方、原発が立地する自治体には国の交付金や電力会社からの税収などのメリットがあり、持ちつ持たれつの関係を築いている。人口約1万人の高浜町では、100億円ほどの一般会計のうち原子力関連収入が50%を占める。
 JR若狭和田駅近くに昨年3月に完成した公民館も建設費5億円のうち1億円が交付金から充てられた。150人を収容するホールやドラムがある音楽室などがあり、近くの男性(72)は「若い人も利用するようになり、地域の新たな交流が生まれた」と話す。
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 今回の不祥事を受けても、関電が原発事業を進める上で地元への配慮は無くすことはない。廃炉が決定している美浜原発1、2号機(美浜町)についても、地元で相談会などを開いて関連工事などの発注を増やす方針だ。
 岩根茂樹社長は2日の記者会見で明言した。
 「地元企業への発注はこれからもやっていき、拡大していきたいと思っております」

**********産経WEST 2019年10月4日20:31
【関電原発マネーの闇】(下)不作為、隠蔽…崩れた企業統治 
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広がりをみせる原発マネーの闇。関西電力の企業統治の在り方が問われている=2日午後、大阪市福島区(安元雄太撮影)
 「国民が怒り」「ほかに不正はないのか」。臨時国会が始まった4日、野党は関西電力役員らの金品受領問題をやり玉に挙げ、役員の参考人招致をちらつかせた。関電の筆頭株主の松井一郎・大阪市長も同日、関電が設ける新たな第三者委員会に市推薦の人物を入れる要望を拒否されれば、株主代表訴訟も辞さない考えを示し、こう述べた。
 「もし断ったら、関電が身内でお手盛りの委員会を作るということでしょ。それだと『うまくごまかそう委員会』だ」
*  *  *
 今回の問題は、関電が公益企業としてのコンプライアンスを著しく欠いた結果、内部統制が崩壊し、企業統治(ガバナンス)も働いていなかった現状を浮き彫りにした。
 福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から受け取った金品は、個人が自宅や会社のキャビネット貸倉庫などに保管していた。「会社として管理してもらえないか」。ある幹部が何度か総務部門に相談したが「個人で何とかするしかない」との回答だった。森山氏と関わる社員の間では「会社全体の問題になってしまうので、個人で処理しなければならない」と引き継がれていた。今回の問題の調査委員会委員長の小林敬弁護士(元大阪地検検事正)は「前例踏襲主義のあらわれ。非難を甘受すべきだ」と指弾した。
 問題の内容は社外取締役に知らされていなかった。関電の再会見直前の2日に開かれた臨時取締役会。調査報告書を初めて手にした社外取締役らは内容に驚き、「電気料金を払ってもらっているのだから、開示すべきだ」と迫った。
 社外取締役は外部企業などから迎え、社内の利害にとらわれず経営を監視する。そこの軽視はガバナンスの放棄にほかならない。
 深刻なのは隠蔽体質だ。
 報告書がまとめられたのは平成30年9月。公表の1年以上も前だ。そもそも関電が事実関係の調査を始めたのは、金沢国税局による建設会社「吉田開発」(高浜町)への査察調査が端緒だった。金品の返却も半分以上が30年2月に集中していた。査察がなければ返却が進まず、公表されたのかどうか疑念はぬぐえない。
 そして、「原発マネー」が関電役員らに還流していたのではないかという疑惑は残ったままだ。
 森山氏については、金品を受け取っていた関電社員の一部が太陽光発電で情報提供していた。歴代の福井県幹部に贈答品を渡していたことも分かっている。「闇」はどこまで広がるのか。底はまだ見えない。

 この連載は安田奈緒美、岡本祐大、黒川信雄、林佳代子、藤谷茂樹、鈴木俊輔、吉国在、森西勇太、北野裕子が担当しました。

**********ANN News 2019年10月03日
関電“金品問題”で新たな事実 業者からも直接金品
 関西電力の役員らが3億円を超える金品を受け取っていた問題で、3人の役員が元助役ではなく、工事業者から「手渡し」などで金品を受け取っていたことが新たに分かりました。
 不適切だと認識しつつ、なぜ受け取った金品を返却しなかったのか。意に沿わないと激高したという福井県高浜町の森山栄治元助役。あまりに激しい恫喝(どうかつ)の影響もあって半身不随となった担当者もいたといいます。
 森山氏の言動が返却できない背景にあったと強調した関西電力側ですが、豊松秀己元副社長ら3人は森山氏だけでなく関西電力が工事を発注した業者2社からも金品を受け取っていたことが新たに分かりました。関電が支払った工事代金が関電の幹部に還流していました。
 深まる疑惑。野党側は3日に説明を聞きたいとして合同ヒアリングを開きましたが、関電は出席しませんでした。関電は経営陣が続投し、調査を継続するとしています。これに対し、筆頭株主である大阪市の松井市長は・・・。
 大阪市・松井市長:「膿(うみ)を出し切るんなら関電の筆頭株主金品を頂いた皆さん方が全員、退職されて新しい体制を作るべきだと思います。お金がプレゼントされてるってそれ自腹切ってるんでしょうかね。そんなのあり得ないじゃないですか」
 菅原経済産業大臣も経営責任を明確にするよう強く求めています。

**********J-CASTニュース2019年10月3日20:05
関電の「金品受領問題」拡大続く 識者からは「政治家関与を調べるべき」指摘も
関西電力の役員ら20人が金品を受け取っていた問題は、関係者の責任を問う声がメディアなどで高まっている。
原発の再稼働に関連するだけに、識者からは、政治家の関与などを調べるべきだとの声も出ている。
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元首相秘書官の小野次郎氏もこの問題をツイート
★関電は、便宜供与を否定★
菓子袋の底に金貨がいくつも入っていたり、50万円もする超高級スーツが贈られたり...。金品受領の内容が報じられると、ネット上では、庶民の生活とかけ離れた感覚に驚きの声が広がった。
今回の問題では、福井県高浜町の元助役の故・森山栄治氏から、2011年からの7年間で計3億2000万円相当もの多額の金品を受領したことが分かっている。
金品受領は、18年に入って金沢国税局の調査で指摘され、関電も調査を行って、同年9月に社内調査報告書をまとめていた。しかし、結果は公表せず、取締役会にも報告していなかった。
この問題が発覚して、関電は2019年9月27日に会見を開いたが、詳細を明らかにせずに批判を集め、10月2日になって、再度会見を開いた。金品の内容は、ここで明らかにされたものだ。
関電の岩根茂樹社長と八木誠会長は会見で、森山氏から恫喝を受け、地元の有力者だけに断り切れなかったと釈明した。自らの責任を問われたが、辞任する考えはないことを強調した。
加えて、森山氏が顧問をしていた高浜町内の建設会社「吉田開発」に対し、関電が入札をせずに特別扱いの随意契約をしていたと報じられた。そして、会社から多額の資金提供を受けた森山氏が、関電幹部に金品を供与したとも指摘されている。関電は便宜供与を否定したものの、いわば、原発マネーが還流していた可能性があるわけだ。
玉川徹氏「原発再稼働には、政治が必ず絡んでくる」
この問題は、拡大の様相を示しているが、まだ政治家の関与までは明らかになっていない。
この点について、テレビ朝日系情報番組「モーニングショー」で、コメンテーターの玉川徹氏は10月3日、次のように指摘した。
「森山さんが取っている行動からして、関西電力だけなのかなっていうのがどうしても疑問なんですね。やっぱり再稼働という話になってくると、政治が必ず絡んできますから。そういうふうなときに、お金が本当に関西電力だけに行っているのか、そこをぜひ国会で解明してほしいですよね」
玉川氏は、関電幹部を刑事罰に問えるか解雇できるかという問題ではなく、「全体の構図をはっきりと明らかにする絶好の機会だと思うんですよ」とも述べた。
ネット上でも、識者から同様な考えが出ており、元首相秘書官の小野次郎氏は3日、ツイッターでこう意見を書いた。
「受取って何年間も経ったら、『預かっただけ』の言い訳は無理! 国税が指摘したのも、それが所得と認定されたからだろう。だが根本問題は、元助役がばら撒いた3.2億円の原資は何の資金なのか? 元助役の着服分は何億なのか? 他の政治家や官僚には金が流れていないのか?」
識者らの意見に共感する声はツイッター上などでも多く、「なんか全部死人に罪を擦り付けてるよな」「本当に関電だけか?」「国会で追及が必須ですね」などと書き込まれている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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