【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員から住民監査の結果として「棄却」通知が届く  オンブズマン活動



■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち、先陣を切って、館林地区消防組合監査委員から3月23日付で監査結果通知が送られてきました。結果は「棄却」でした。
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館林地区消防組合消防本部(館林市美園町7−3)。同消防組合は、群馬県館林市、邑楽郡板倉町、明和町、千代田町及び邑楽町によって組織された一部事務組合(消防組合)。管轄区域は上記の1市4町。管内面積:175.37km2、職員定数:191名、消防署5カ所、分署2カ所、主力装備:ポンプ車1・水槽付ポンプ車10・はしご車1・化学車1・指揮隊車1・電源照明車1・水槽車1・救急車8・救助工作車および資機材搬送車5・その他13(2019年10月1日現在)。


 なお、住民監査請求書については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html
○2020年3月6日:【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員に対して当会会員が証拠提出と陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3130.html

 それでは、さっそく監査結果通知の内容を見てみましょう。

*****監査結果通知*****ZIP ⇒ 20200325hgm.zip
<P1>
                         令和2年3月23日
館林市台宿町1−31
小林 光一 様

                       館林地区消防組合
                        監査委員 冨永 裕文
                        同    今村 好市

   館林地区消防組合職員措置請求に対する監査結果について(通知)

 令和2年1月29日付けをもって、地方自治法第242条第1項の規定に基づき提出された消防救急デジタル無線設備整備工事に関する措置請求について、監査の結果を同条第4項の規定により下記のとおり通知します。
                記
第1 請求の受理
 本請求は所要の法定要件を具備しているものと認め、令和2年2月10日付けでこれを受理した。

第2 監査の実施
1 請求人の証拠の提出及び陳述
地方自治法第242条第6項の規定に基づき、令和2年2月20日付書面(陳述の必要がある場合には、3月4日までに事務局へ連絡をして下さいとの内容とした。)にて、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を与えた。結果、令和2年3月4日付陳述はしないが、陳述書として提出する旨の請求大からの提出があった。

2 監査対象事項
  本監査請求に係る監査対象事項は、措置請求書に記載されている事項及び請求人による陳述書の内容を勘案して監査を実施した。
(1)請求の要旨
   請求書の内容を検討した結果、平成29年2月2日に公正取引委員会が消防救急デジタル無線機器の製造販売業者である株式会社富士通ゼネラルを含む合計5社に対し、独占禁止法違反があったと認定し、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

<P2>
   これにより、館林地区消防組合が平成25年6月28日締結の消防救急デジタル無線設備整備工事に関して、直接の契約である東日本電信電話株式会社は独占禁止法違反をした株式会社富士通ゼネラルの代理店等に該当する為、館林地区消防組合は、損害賠償請求権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていないと主張しており、消防組合に対し必要な措置を講ずることを請求している。
   よって、下記事項を監査の対象とした。
  @館林地区消防組合・東日本電信電話株式会社との契約に基づく違約金請求又は損害賠償請求について
  A館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの間に係る損害賠償請求について
  B館林地区消防組合としての対応状況はどうであったか

3 監査対象課
  消防救急デジタル無線設備整備工事に関する入札及び契約の担当である館林地区消防組合総務課を監査対象とし、令和2年2月10日に関係職員より陳述を聴取し、各必要書類の確認等を実施した。

4 監査対象課の説明
(1)平成28年1月27日、公正取引委員会事務総局第四審査長より、平成26(査)第 9号消防救急デジタル無線機器の製造販売業者らに対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)に基づく事件調査のための報告依頼書(公審第54号)を受理した。
(2)平成29年2月2日、公正取引委員会事務局審査局長より、特定消防救急デジタル無線の発注に際して留意すべき事項について(連絡)(公審第50号)を受理した。
(3)平成29年2月6日、午前11時から会計検査院実地検査を館林市役所にて実施したが指摘事項等はなく終了した。
(4)平成29年2月9日、公正取引委員会事務総局審査局管理企画課長へ消防救急デジタル無線の製造販売業者に対する件に関する資料の提出について(依頼)を発出し、課徴金納付命令書(株式会社富士通ゼネラルに対するもの。)抄本を請求した。
(5)平成29年2月20日、公正取引委員会事務総局審査局管理企画課長より資料提出の依頼について(回答)(公審第155号)により課徴金納付命令書(平成29年(納)第1号)の抄本の提出を受けた。
(6)平成29年3月15日、消防庁防災情報室より各都道府県宛てに消防救急無線のデジタル化に係る契約等に関する調査について(依頼)(事務連絡)があり、群馬県経由で国へ調査表(仕様書・入札時の質疑等・契約書)を提出

<P3>
した。
(7)平成29年3月20日、沖電気工業株式会社より公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(8)平成29年3月27日、日本無線株式会社及び日本電気株式会社より公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(9)平成29年3月29日、株式会社日立国際電気及び株式会社富士通ゼネラルより公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(10)平成29年7月27日、株式会社富士通ゼネラルより公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令に対する取消訴訟の提起についての通知を受理した。
(11)平成29年10月4日、消防庁防災情報室より、消防救急デジタル無線機器の製造販売業者に対する違約金等の請求を行った場合の報告書について事務連絡通知があり、館林地区消防組合は、現時点での違約金請求は行っていない旨の報告をした。
(12)平成29年10月17日、消防庁防災情報室より、消防救急デジタル無線のデジタル化に係る契約に関する調査について追加調査があった。群馬県総務部消防保安課経由で追加調査表を提出した。
(13)平成29年12月8日、顧問弁護士へ諮問を実施し、請求等はできないとの回答を受ける。
(14)令和2年2月13日、株式会社富士通ゼネラルの現在の取消訴訟の状況について問合せの回答を受理した。
(15)令和2年3月16日、東日本電信電話株式会社より、消防救急デジタル無線設備整備工事の建設工事請負契約における違反行為の事実確認についての回答を受理した。

第3 監査の結果
1 事実の認定
  請求の内容及び添付書類、陳述書、関係職員の陳述、消防組合の関係書類等から、次の事実が確認できる。
(1)契約の締結について
    件   名 消防救急デジタル無線設備整備工事
    工 事 場所 館林消防本部、各消防署
    契 約 方法 指名競争入札
    受 注 者 東日本電信電話株式会社
    契 約 金額 320,260,000円
    契約年月日 平成25年6月28日
(2)受注者との建設工事請負契約約款について

<P4>
   違約金等における条項は、下記のとおりである。
    (談合等不正行為があった場合の違約金等)
   第47条の2 受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この項において同じ。)が、次の各号のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない。
   (1)この契約に関し、受注者が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。) 第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)。
   (2)この契約に関し、受注者(法人にあっては、その役員又は使用人を含む。)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の3又は独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号に規定する刑が確定したとき。
2 受注者が前項の違約金を発注者の指定する期間内に支払わないときは、受注者は、当該期間を経過した日から支払いの日までの日数に応じ、年5パーセントの割合で計算した額の遅延利息を発注者に支払わなければならない。
(3)公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について
 公正取引委員会は、平成29年2月2日に消防救急デジタル無線装置の製造販売業者に対して独占禁止法第3条に違反したとして排除措置命令 (5社)及び課徴金納付命令 (4社)を行った。株式会社富士通ゼネラルについては、現在上記命令の取消訴訟の係争中である。
(4)判断
   @館林地区消防組合・東日本電信電話株式会社との契約に基づく違約金請求又は損害賠償請求について
    館林地区消防組合との直接の契約会社である東日本電信電話株式会社については、平成29年2月2日の公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人となっていない。
    公正取引委員会の認定による、「代理店等」にあたるかどうかの判断については、請求人から提出のあった陳述書の中の証明も可能性はあるが、館林

<P5>
地区消防組合において東日本電信電話株式会社へ契約違反の事実確認をするが、違反行為の事実はないとの回答であり、東日本電信電話株式会社と株式会社富士通ゼネラルとの間に独占禁止法違反行為があったという証拠書類を館林地区消防組合は入手した事実がない。
    このことから、館林地区消防組合は東日本電信電話株式会社に対して違約金請求の対象であるとは言い難いと判断する。
    また、館林地区消防組合は、東日本電信電話株式会社から損害を受けている場合には、損害賠償請求を行うべきであるが、上述した違反行為に対しての東日本電信電話株式会社からの回答は違反行為の存在についてはないと回答をしている点からも損害賠償請求権はないと判断せざるを得ない。
   A館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの間に係る損害賠償請求について
消防救急デジタル無線設備整備工事について、館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの直接契約ではなく、株式会社富士通ゼネラルについては、公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について現在取消訴訟中であり、独占禁止法違反行為を認めていない状況である。
    また、館林地区消防組合は、独占禁止法違反行為により損害を受けているという事実証明をする資料が存在していない為、損害賠償請求をするべきであるとは言い難いと判断する。
   B館林地区消防組合としての対応状況はどうであったか
    消防救急デジタル無線設備整備工事に関する館林地区消防組合担当課からの陳述及び関係資料の確認をし、契約上の不備はなく適正な金額での入札を実施しており、契約金額についても適正価格での契約締結をしており、違反行為により館林地区消防組合が損害を被っている事実は認められない。
    また、館林地区消防組合としては公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令が行われた後、弁護士に諮間を実施し、請求等はできないとの回答を得ていた。よって、館林地区消防組合が業務を怠り、請求をしていなかったということにはなり得ない。

第4 結 論
   以上のとおり、館林地区消防組合は東日本電信電話株式会社に対し違約金請求及び損害賠償請求、株式会社富士通ゼネラルに対する損害賠償請求については、現時点において何ら措置をとっていないとは認められない。よって、本請求は棄却する。

第5 意 見
   株式会社富士通ゼネラルについては、現在訴訟中につき談合の事実は確定し

<P6>
ていない為、後の動向を見て館林地区消防組合としては対応をされたい。
   また、損害の事実、違反行為の事実については調査を引き続き実施し、何らかの証拠等が判明した時には法的措置をとる必要があると考える。
**********

■このように、監査委員は「NTT東日本に対し、契約違反の事実確認をするが、『契約違反の事実はない』という回答を得たため、損害賠償請求権はないと判断せざるを得ない」としました。

 また、「富士通ゼネラルについては、現在公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について取消訴訟中であり、独占禁止法違反行為を認めていない。また、館林地区消防組合は独占禁止法違反行為より損害を受けているという事実証明をする資料が存在していない為、「損害賠償請求をするべきであるとは言い難いと判断する」としました。

 なお、最後に監査委員の意見として、「富士通ゼネラルは係争中なので、その結果いかんによっては本件違約金の対象になる可能性があるので引き続き消防組合に対して、調査研究をしておくように」と付言しています。

■この監査結果通知を読んだ当会会員は、さっそく疑問点をしたためて、館林地区消防組合消防本部の消防司令補のひとり宛に、FAXで質問しました。
※館林地区消防組合消防本部消防司令補あてFAX: ZIP ⇒ 20200226nhghifax.zip
○2020年3月26日:市民オンブズマン群馬・館林支部代表「小林光一ブログ」館林消防住民監査請求 その4
http://town18.blog.fc2.com/blog-entry-1752.html

 当会会員はさらに、3月26日午後5時ごろ館林地区消防組合を訪れて、監査結果文章の疑問点について打ち合わせてきました。消防組合側の保有する資料は膨大にあって、それをすべて見ることは不可能であったので、その無線設備の実態を写真に収めてきました。
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消防本部庁舎屋上の基地局鋼管製アンテナ鉄塔。
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基地局のサーバーやディスプレーが並んだラック。
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基地局無線装置のパネル内部配線の様子。
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基地局電源ユニット。
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携帯無線端末と取説。
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通信指令室。

■司令補から説明を受けた当会会員によれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルの間で談合があったかどうかの内容は聞けませんでした。館林地区消防組合として、「独自に情報を得る術はなく、他の消防組合や消防本部で発覚したことを捕えて、談合の実態を解明する方法が現実的に取り得る対応だけで、その他に可能な調査法はない」と言っていました。

 また消防救急デジタル無線設備について、「自分たちにとってあまりにも専門的過ぎて、談合がどのように仕組まれたのか、技術的にどのように他の業者を排除して特定業者の受注を許したのか、といった背景まで捉えられない」と述べていました。「群馬県の消防本部(?)で、発注会社の指示で動いているのではないか」とも言っていました。

 こうした説明から浮かび上がってくるのは、無線といういわば消防署員にとってブラックボックスのような特殊分野であることから、業者の説明を鵜呑みにするのが精いっぱいで、無線業界の好きなように騙されたというのが実態のようです。

 いずれにしても、富士通ゼネラルが依然として係争中なので、時効の心配はないこと、また現在進行中の訴訟の結果、代理店等についての関与の実態も明らかになる可能性があるとして、消防組合の監査委員は当会会員の監査請求を棄却しました。

 今後とも、この間接販売による新たな談合形態に注目し、地元の消防組合の対応に目を光らせていきたいと思います。

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平成25年(2013年)6月4日の入札調書。富士通ゼネラルが辞退し、富士通製品を扱う扶桑電通よりも東日本電信電話会社のほうが安い価格で札を入れ、しかも、富士通ゼネラル自体が入札を辞退したのです。これでは、入札価額は明らかに弄ばれたとしか言いようがない。

※参考情報:館林地区消防組合人事行政の運営等の状況の公表(2018年4月1日現在)
ZIP ⇒ 20180401nhge.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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