国策マスク・行政マスクを巡る不透明感からあらためて痛感させられる情報開示・説明責任の重要性  国内外からのトピックス

■新型コロナの感染拡大が世界規模で展開されているなか、原因国の中国がマスクを戦略物資として捉え、自らの責任を棚に上げ、世界各国に恥知らずの外交攻勢をかけています。我が国では、国策のアベノマスクの配布を巡り不透明な調達方法が話題になっていますが、政治家にとっても、今やマスクは格好のPR材料にされています。高崎芸術劇場の官製談合が注目されている全国トップクラスの談合体質を有する高崎市でも、先月ベトナム製とみられるマスクの配布を行いました。ところが、このマスクの調達担当部署を高崎住民が確認しようと4月22日に「配布したマスクの購買は何課が担当ですか?」と尋ねたら、たらい回しにされた挙句、同日夜7時30分になって、曽根総務部長から電話があり、「高崎保健所の総務課」がマスクの購買担当ということが分かりました。しかし、配布されたマスクに同封されていた送り状を見ると、連絡先は福祉部長寿社会課福祉施設担当とあり、どこの部署のどのような予算でいくら税金を投じたのかが曖昧です。よく確認する必要がありそうです。
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 高崎市が4月23日にHPで公表したマスク配布に関する情報は次のとおりです。

*****マスクの配布について*****高崎市HP 2020年4月23日
https://www.city.takasaki.gunma.jp/info/corona/0204/020422.html
マスクを約70万枚確保。子どもや高齢者などに配布しました
 市は、市内の小中学生や高齢者の他、福祉・介護施設や放課後児童クラブの職員などを対象に、使い捨てマスクを配布しました。
 これは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うマスク不足を受け、入手できたものを活用するもの。市内の小中学生などの子ども、高齢者、妊婦、学校や施設の職員など、計約17 万人に配布。市はこれからも、マスクの確保に努めます。
○保健医療総務課
電話: 027-381-6111
E-mail: hoken-soumu@city.takasaki.gunma.jp
**********

■高崎市のマスク40万枚配布について最初に報じられたのは4月14〜15日でした。

**********共同通信2020年4月14日 18:32
高崎市がマスク40万枚無償配布 群馬、小中高生や妊婦などに
 群馬県高崎市は14日、市内の小中高生、妊婦、保育園と幼稚園職員、高齢者福祉施設の職員などに不織布マスク計40万枚の無償配布を始めた。マスクはベトナム製で3月下旬から市内の企業を通じて発注し、さらにホームセンターから寄付も受けた。
 小中高生全員に各10枚、それ以外には1人に3枚ずつ配る。2019年度から繰り越した予備費約2千万円を充てる。
 富岡賢治市長は「マスクの確保は困難だったが、緊急に必要な方に配布できてよかった」とコメントした。今後さらにマスクが入手できれば、高齢者世帯への配布も検討するという。(共同通信)

**********高崎新聞2020年04月15日
マスク40万枚を配布
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★6万4千人が対象★
 高崎市は、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、使い捨てマスク40万枚を市内小中学生や教職員、障害者施設、介護・高齢者施設職員などに配布する。
 小中学生には一人10枚、職員には一人3枚を配布する。対象者は6万4308人、配布数は40万1867枚。
 4月14日に、高崎アリーナで職員150人により仕分け作業を行い、順次配布する。
 高崎市の富岡賢治市長は「マスクの確保は困難だったが、これだけのマスクが入手できた。緊急に必要な方々に配布することができて良かった」とコメントしている。
 高崎市は、これまで新型コロナ対策として、備蓄マスクの配布を実施してきた。
<対象者>
小中学校(特別支援含む)の児童生徒全員(各家庭に郵送)
小中学校の教職員
公立・私立の保育園・幼稚園、認可外保育園、病児病後児保育の職員
放課後児童クラブ、児童館、子育て支援センター等の職員
高崎経済大学附属高校生徒と職員
障害者施設、介護・高齢施設の職員
妊婦、難病患者、在宅医療的ケア児・者
区長、民生委員・児童委員

**********東京新聞2020年4月15日
【群馬】<新型コロナ>高崎市、小中高生らにマスク40万枚
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 高崎市は14日、市立小中高校の児童・生徒全員と公私立の幼稚園や保育園などの教職員らを対象に、マスク計約40万枚の配布を始めた。
 配布の対象は市内の小中学校(特別支援学校を含む)と、市立高校の児童や生徒計約2万9850人に1人当たり10枚。
 学校や幼稚園、保育園、放課後児童クラブなど子ども関連施設と、障害者や高齢者など福祉・介護施設の全職員には1人当たり3枚を配る。難病患者や妊婦、在宅医療ケア児、民生委員など行政委員にも同3枚を提供する。
 マスクの品薄が続いて入手困難な状況を踏まえ、市が独自に確保した。14日は同市下和田町の高崎アリーナで、職員が150人態勢でマスクの仕分け作業に追われた=写真(市提供)。児童と生徒の家庭には郵送し、施設などには順次配布する。(石井宏昌)

**********毎日新聞2020年4月15日
新型コロナ 高崎市、マスク40万枚配布 児童・生徒など6万5000人に /群馬
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マスクを仕分けする市職員ら=群馬県高崎市で
 高崎市は14日、新型コロナウイルス感染防止対策として、市内小中学校の児童・生徒や教職員、幼稚園・保育園の園児と職員、障害者施設など約6万5000人を対象に、約40万枚の使い捨てマスクの配布を開始した。
 配布数は、児童・生徒には1人10枚ずつ、ほかの対象者には3枚ずつ配布する。
 市は使い捨てマスクを13日までに約40万枚入手。トラックなどで高崎アリーナ(同市下和田町4)に搬入。市職員150人が配布先への仕分け作業をした。郵送などで各家庭や施設に配布する。【佐藤伸】

**********産経新聞2020年4月14日18:55
使い捨てマスク40万枚配布 群馬・高崎市、児童生徒らに
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新型コロナウイルス感染防止のためのマスクの仕分け作業を行う群馬県高崎市職員=14日、同市の高崎アリーナ(同市提供)
 群馬県高崎市は14日、新型コロナウイルス感染防止のため、市内の小中高生や妊婦、高齢者施設などに使い捨てマスク計約40万枚を無償配布すると発表した。さらにマスク確保に努め、入手でき次第配布する。
 市の計画によると、配布するマスクは小中学校の児童生徒向けが大半を占め、1人10枚ずつ計約29万枚を各家庭へ郵送する。高崎アリーナ(同市)では14日、市職員がマスクの仕分け作業を行った。
 富岡賢治市長は「確保は困難だったが、これだけのマスクが入手できた。緊急に必要な方々に配布することができてよかった」とコメントした。

■続いて第2弾として、高崎市は4月18日にマスク31万枚余りの配布を発表しました。

**********上毛新聞2020年04月19日11:00
65歳以上の市民 マスク3枚郵送 高崎市
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足を受け、高崎市は18日、市内の65歳以上の高齢者約10万4千人に1人3枚ずつ、使い捨てマスクを配布すると発表した。同日から順次郵送する。
 市に住民登録した人が対象で、計31万枚超を配る。富岡賢治市長は「重症化の恐れがある高齢者の方々に配布できて良かった。皆さんの安心につながればうれしい」とコメントした。
**********

■以上トータルすると高崎市が今回配布した約71万2千枚のマスクの単価を約135円とすると、約9600万円余りとなります。このうちの一部はホームセンターからの寄付を当てているようですが、3月下旬から市内の企業を通じて発注したとされていることから、令和元年度末に余った予算を流用した可能性もあります。

 官製談合でならす高崎市役所の体質からすると、やはり調達の経緯を明らかにしてもらう必要がありそうです。

■一方、国策のアベノマスクについても、怪しげな調達の実態が浮き彫りにされています。

**********東京新聞200年4月29日
[こちら特報部]ナゾノマスク業者 遅れて公表ユースピオ
看板なし、公明党議員に寄付 社長の別会社は以前脱税

 安倍晋三首相が「1住所あたり2枚配布」とぶち上げ、「アベノマスク」とも呼ばれる布マスク。妊婦用を調達した4社のうち、国が公表を拒んできた1社が27日に明らかになった。「ユースビオ」。登記上の住所に看板はなく、どうやら過去にマスクを手掛けたこともない。発注のいきさつや契約の内容を質問しても、厚生労働省の説明は要領を得ない。何を隠そうとしているのか。
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妊婦向け布マスクを受注した「ユースピオ」の会社事務所。社名の記載はなく、窓には公明党のポスターが貼ってあった=福島市内で
 福島駅西口から高湯街道と呼ばれる県道を西へ約三キロ。そこから住宅街に少し入ったところに「ユースビオ」がある。平屋で横長に六つの事務所が並ぶ。長屋のような造りになっている。住所で見ると、ユースピオはその一室になる。
 外付けの郵便受けには白いテープが貼ってあり、何も書いてない。ガラス戸や建物壁にも社名の記載はない。目に付いたのが、窓ガラスに貼られた一枚の公明党のポスター。ガラス越しに見えた室内にも、山口那津男代表が笑顔を見せる公明党のポスターがあった。
 会社の所在地周辺には昨日の今日で見物人が訪れていた。千葉県柏市から車で来た自営業男性(四一)は「表札も出ていないし、何の会社かもわからない。怪しいですよね。それでよく、国は億単位の取引を決めたと思う」と語った。
 どんな会社なのか。
 近所の人に聞いても「社長一人でやっていて、従業員はいない。何をしてるかはわからない」「社長が出入りしているけど。うちは関係がないから」とはっきりした話は出てこない。
 午後二時半前。黒いワゴン車が止まり、社長の樋山茂氏がやってきた。青いジャケットに黒っぽいズボンに長めの髪。「今日はやらない(取材に応じない)」とひと言残すと、事務所から荷物を取り、すぐ車で立ち去った。
 電話でも樋山氏に話を聞こうとした。「電話では誰だかわからないので対面じゃないと話さない。(対面は)きのう大手新聞社に話して一日費やしたから、今日はしゃべらない。以上」と言うだけだった。
 仕方ないので二十七日に配信された共同通信の記事を参照する。それによると樋山氏は五十八歳。樋山氏は「ユースビオはベトナムに駐在員を置き、木質ペレットを輸入販売している。ベトナムでマスクを調達できることを県議らに話し、国に一枚約百三十円で約三百五十万枚を納入することになった」という趣旨の説明をしている。
 樋山氏は以前、地元新聞に掲載されたことがある。樋山氏と、樋山氏が社長を務める会社「樋山ユースポット」が消費税などを免れたとされる脱税事件。福島地裁で二〇一八年に有罪判決を受けている。
 「今の政権を考えると、また『お友達』的につながっているのではないかと疑ってしまう」という福島市の丹治尚武さん(七九)のように、政権との近さで調達業者に選ばれたのではと疑う人もいる。
 調べたところ、一五年に公明党の若松謙維(かねしげ)参院議員(比例)の政治資金管理団体に十二万円、妻とみられる女性も同額を寄付していた。それ以上の政界とのつながりは、これまでの取材では浮かんでいない。

覆い隠さず説明を
取り扱い実績なく不自然 税金投入 透明性が必要

★今月、登記に「貿易」加え★
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(上)厚生労働省が入る中央合同庁舎第 5 号館=東京・霞が関で。(下)郵便局に搬入された政府が配布する布マスク=東京都世田谷区で
 実は「登記手続き中」という理由で、二十七日はユースビオの法人登記を見ることができなかった。手続きが終わったのか二十八日は閲覧できた。
 登記によると、設立は二〇一七年八月で、 資本金一千万円。事業内容に変更があった。 再生可能エネルギーの生産システムやバイオガス発酵システムの研究開発と販売▽発電や売電に関する事業―。これらは従来通り。新たに、企業の売掛債権を買い取る「ファクタリング」、貿易や輸入代行業などが加わった。貿易は今回のマスク輸入に向けて加えたようにみえる。
 国税庁のホームページで調べると、ユースビオの住所に計十一の法人がある。樋山氏はユースピオと樋山ユースポットで社長を務めている。その他の会社との関係は不明。問い合わせに「長屋のような建物なので、同じ住所になる。ユースビオとは無関係」と答えた会社もあった。
 民問信用調査会社には、樋山ユースポットの記録だけがあった。〇五年三月設立で資本金三百万円、従業員は四人。樋山氏は大学を中退して自衛隊に入隊。その後いくつか会社を設立し、現在に至る。電気通信機器やネットワークシステムの保守を手掛け、大手と取引があって経営基盤は安定していた。東日本大震災以降は復興事業にも乗り出した。経済産業省の復興関連の補助にも社名があった。
 どうやら、樋山氏は過去にマスクを扱ったことはないようだ。ではなぜ、国が白羽の矢を立てたのか。納期を守り、不良品はなかったとのことだが……。
 布マスクの経費には、予備費で二百三十三億円、本年度補正予算で二百三十三億円を見込んでいる。厚生労働省マスク等物資対策班によると、「不良品」が問題になった今回の配布は、予備費を使い、妊婦と介護施設に用意した分だ。
 班の原田浩一氏は「競争入札ではなく、(特定の業者を指名する)随意契約で決めた。広くメーカーなどに声をかけ、応じた社の中から供給力などを考慮して選んだ」と説明する。複数の見積もりを取り、安い会社と契約する「相見積もり」は行っていない。
 各社別の契約金額とマスクの枚数については、原田氏は「どういう数字にするか決めていない」「分からない」「非公表」と繰り返した。樋山氏は報道各社に「一枚約百三十円で約三百五十万枚」と答えた。厚労省側は認めていなかったが、二十八日にようやく「五億二千万円の緊急随意契約」と加藤勝信厚生労働相が国会で説明した。
 一社だけ社名公表が遅れたことに原田氏は「妊婦分の業者はどこかと尋ねられ、三社は調達先として確認できたので公表した。この会社については確認が遅れた。」ならば手間を掛けなくても調達先を全社、公表すればいいのではないか。
 法政大法学部の五十嵐敬喜名誉教授(公共政策)は「緊急事態なので随意契約はやむを得ない。それでも選定経緯や契約内容について説明することは欠かせない。官公庁は長年の実績をもとに随意契約する業者を選ぶはずだ。ユースビオは三年前の設立で実績もない。こういう企業を選ぶのは不自然だ」と疑問を示す。
 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士も「随意契約に透明性の確保は当たり前。どこにどれだけ税金を投入したのか説明するのは政府の義務。業者側に迷惑がかかるのを恐れたとしても、非公表は税の使い方に責任を持つ立場の行動から外れている。国民の疑念に対して自分の言葉で説明し、納得させる能力が首相や政府にないことがあらわになった」と切り捨てた。
[デスクメモ]
爆発した原発建屋の上から水を注いだ生コン圧送機。誰も相手にしなかった業者の声を公明党が拾って政権中枢に知らせ、原発は危機を脱した。マスクでも人肌脱いだのかもしれない。それとも「オトモダチ」優遇か。そもそも無関係か。いずれにせよ厚労相の対応は不可解だ。(裕)
2020・4・29
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■このように、緊急事態を口実に、ドサクサ紛れに情報開示や説明責任を怠る国や地方自治体ですが、平時でも情報秘匿や説明放棄の体質のため、納税者・住民としては、このような時こそ余計に行政の秘密主義に警戒する必要があります。

【5/3追記】
**********毎日新聞2020年5月2日 20時57分(最終更新 5月3日 05時06分)
アベノマスク「国策」随契2社、深まる謎 業務分割し発注 契約書に合計金額なく
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政府が配布した布マスク。表裏の差は見られない=米田堅持撮影
 政府が全国に配布を進めており、妊婦向けのものを中心に不良品が相次いで発覚した布マスク。納入業者の中で、政府が当初会社名を公表せず、他社と比べて事業規模や知名度が大きく違う点で注目されているのが、福島市の燃料輸入販売業者「ユースビオ」と、千葉県富里市の切り花輸入商社「シマトレーディング」の2社だ。社民党党首の福島瑞穂参院議員が、厚生労働省と2社が結んだ契約書を入手し、ツイッター上で2日公開した。大規模な「国策」の随意契約で、なぜこの2社が選ばれたのか。契約書を見てもなぞが深まるばかりだ。【上東麻子、山口朋辰/統合デジタル取材センター、渡部直樹/福島支局】
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公開されたユースビオと厚生労働省の契約書(1枚目)=福島みずほ事務所提供
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公開されたユースビオと厚生労働省の契約書(2枚目)=福島みずほ事務所提供↑」
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公表されたシマトレーディングと厚生労働省の契約書(1枚目)=福島みずほ事務所提供
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公表されたシマトレーディングと厚生労働省の契約書(2枚目)=福島みずほ事務所提供
★大手企業ばかりの中で…… ★
 政府は妊婦向けマスクの納入業者は4社あり、うち3社は、医薬品などの専門商社・興和(名古屋市)▽大手総合商社・伊藤忠商事(東京都)▽総合アパレルメーカー・マツオカコーポレーション(広島県福山市)−−と発表したが、残り1社は当初明らかにしていなかった。菅義偉官房長官が4月27日になり、ようやくユースビオだと公表し、他3社に比べて事業規模が小さく無名の会社であることから注目された。
 さらに28日には、加藤勝信厚生労働相が衆院予算委員会で、ユースビオに加え、関連の輸入業務についてシマトレーディングとも契約しているとした。契約額は両社合わせて合計5億2000万円としていたが、枚数や単価、契約時期は明らかにしなかった。
★2社に分けて発注 「マスク原料」を納入? ★
 厚労省が福島議員に示した契約書は2通あり、契約日はいずれも3月16日。ユースビオとは「生産原料調達一式」の契約を結び、「ベトナム産 抗菌布マスク原料」を「単価55円、350万枚」で発注。シマトレーディングとは「輸入業務一式」について契約し、「ベトナム産 抗菌布マスク」を「単価80円、350万枚」で発注するとしている。いずれも「履行期限又(また)は契約期間」は3月31日で、契約保証金は「免除」となっている。
 ユースビオの樋山茂・代表取締役は4月27日、毎日新聞の取材に対し、「ベトナムの工場と契約し、自社で生産管理をしてマスクを輸入した。枚数は3月分として350万枚、単価は135円」と説明。ユースビオ、シマトレーディングのそれぞれの契約単価を合わせた数字と一致する。
 シマトレーディングは取材に「9割9分9厘は花の輸入、加工の仕事をしており、マスクの輸入は今回が初めて。ユースビオの代表から相談があり、輸入の際の通関の部分だけを担った」と話していた。
 妊婦向けマスクを取り扱う他3社は製造、輸入まで一括して担うが、なぜユースビオの場合だけ、通関業務を他社に切り分けるのか。規模が小さいだけでなく、一括して事業を遂行できない会社と国が契約したことにも疑問が残る。
★取り扱い実績ないのに、巨額の契約★
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ユースビオの入居する建物=福島市で2020年4月27日午後3時41分、渡部直樹撮影
 そもそもユースビオはどんな会社なのか。事務所は、JR福島駅から西へ約2キロにある平屋の小さな建物。
 樋山代表によると、燃料用の木質ペレットをベトナムから輸入するのが主な業務で、過去にマスクを取り扱った実績はない。ところが、厚労省と3月16日に契約を済ませて1カ月近く後の4月10日、法人登記の変更を法務局に申請し、事業目的に「輸入取り扱い業務」を加えた。これも不自然だ。
 契約の経緯について、樋山代表はこう説明した。「県会議員を通じて、『マスクが足りない』という話を聞き、『ベトナムから輸入できますよ』と福島県に伝えたところ、相当量を契約するということで話が進んだ。それが2月後半だった。3月上旬に『マスク調達は国が一括することになった』と連絡があり、経済産業省に話をすると、ぜひ国でも調達したいということになった」。その後、マスクの検査成績表やサンプルを提出し、契約が決まったという。
 国との契約後に登記を変更したことについては「これまでの定款では、マスク輸入ができるかグレーゾーンだったため、輸入できるよう定款を変更するためだった」と説明した。
★ユースビオとの契約「幅広く声かけした結果」 ★
 今回のマスク納入業者は、入札を経ない随意契約によって結ばれた。国の公共事業は、複数の業者による一般競争入札を経て契約相手を決めるのが基本とされるが、契約額が少額の場合や緊急を要する場合、国の政策上秘密にする必要がある場合は、随意契約ができるとされている。
 業者選定の経緯について、厚生労働省医政局経済課の担当者は「政府として、幅広く声かけを行った事業所のうちの一つが、ユースビオさんだったということです。マスクの品質、価格とか企業の能力、迅速に対応できるかどうかという観点で選定を行って、速やかにマスクを配布できるという観点から緊急随意契約を行った」と説明。契約の経緯については「私の方からは申し上げられない」とした。
 菅義偉官房長官も4月28日の記者会見で、「マスクの品質や価格、企業の供給能力、迅速に対応が可能かどうかといった観点から選定を行った」として適切な契約であることを強調。「国会議員や地方議員から個別の企業の取引を促すような口利きや紹介はなかった」としている。
★「極めて不自然」「通常はありえない」★
 契約書を入手、公開した福島議員は「これでは(2社合計で)マスク700万枚についての契約書なのか、350万枚のものなのか分からない。もし350万枚の契約ならなぜ2通あるのか、なぜ55円と80円で分けるのか、わからない」と首をかしげる。「詳しくは今後、調査をしていきたい」と話している。
 公文書に詳しい全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、2通の契約書について「極めて不自然な契約書だ」と指摘する。「普通ならユースビオが輸入業務を委託したとしても、それはユースビオとシマトレーディングとの契約になるはず。国の公共事業として、わざわざ原料調達と輸入業務を別々に発注することは通常ではありえない。また、合計金額が書いていないことも不自然です」と話す。さらに「緊急性があるために随意契約としたことは理解できますが、その場合、実績のある会社に任せるのが通常。マスクを調達して納入することが目的なのに、輸入業務もできない会社に原料だけ発注していることの合理的な説明が必要です。利権のために競争性を排除したと思われてもしかたありません」と話している。
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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