東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!  前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、原告が直ちに控訴手続きを取り、控訴人として、今年1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出したところ、控訴審第1回期日が2020年3月9日に東京高裁4階424号法廷で開かれ、即日結審しました。そして、5月20日(月)13:10に同じく424号法廷で判決言渡し予定でした。しかし新型コロナの影響で判決が先送りとなっていました。その後、緊急事態宣言解除にともない、あらためて本件事件番号:平成元年(行コ)第316号の判決言渡しが6月22日(月)13:10に決定し、当日当会代表が出頭したところ、一審同様に住民側敗訴の判決が言い渡されました。それから14日を経過し、上告手続期限である7月6日(月)に、東京高裁17階民事受付を訪れ、上告手続きを行いました。

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大気汚染防止法が定める毎時4万ノルマル立米以上の排ガスをまき散らす火力発電設備なのに、環境アセスもしないまま、2018年4月24日に関電工が群馬県環境森林部の須藤雅紀・部長と、前橋市の山本龍前橋市長らを招いて運転開始と完成披露式を執り行ってから、既に2年が経過した前橋バイオマス発電施設。住民ではなく原発事故を起こした東電グループ会社側に寄り添っている状況が我が国の行政と司法の実態だ。写真出典:同社HPより。

 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html

■ちなみに6月22日の不当そのものの判決文は次の通りです。

*****判決文*****ZIP ⇒ 20200622oocixtir.zip

令和2年6月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和元年(行コ)第316号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴
事件(原審・前橋地方裁判所平成28年(行ウ)第27号)
口頭弁論終結日 令和2年3月9日
           判         決

   群馬県安中市野殿980番地
       控訴人(1審原告)      小   川       賢
   前橋市大手町1丁目1番1号
       被控訴人 (1審被告)     群馬県知事 山 本 一 太
       同訴訟代理人弁護士      石   原   栄   一
       同              関       夕 三 郎
       同              織   田   直   樹
       同              安 カ 川   美   貴
       同指定代理人         住   谷   親   介
       同              笛   木   元   之
       同              生   方   宏   久
       同              佐 々 木   俊   一
       同              浅   見       淳
       同              原   澤   徳   衛
           主         文
     1 本件控訴を棄却する。
     2 控訴費用は控訴人の負担とする。
           事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決中控訴人に関する部分を取り消す。
2 主位的請求


  被控訴人は,前橋バイオマス燃料株式会社に対し,4億8000万円及びこれに対する平成29年5月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を群馬県に支払うよう請求せよ。
3 予備的請求
  被控訴人が,前橋バイオマス燃料株式会社に対して交付した平成28年7月4日付け平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付決定に基づく4億8000万円につき,上記補助金交付決定を取り消して返還請求をすることを怠る事実が違法であることを確認する。
第2 事案の概要等(以下,略語は特に定めない限り原判決の表記による。)
1 本件は,群馬県の住民である控訴人が,群馬県の執行機関である被控訴人が前橋バイオマス燃料株式会社(前橋バイオマス燃料)の行う木質バイオマス発 電燃料製造施設等整備事業(本件事業)のために群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金(本件補助金) 4億8000万円を前橋バイオマス燃料に対して交付したことは違法である旨主張して,被控訴人に対し,主位的に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前橋バイオマス燃料に対して,不当利得返還請求権に基づき,本件補助金4億8000万円及びこれに対する本件補助金の交付日である平成29年5月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による同法704条前段所定の利息(法定利率につき,平成29年法律第44号による改正前の民法の規定による。)を群馬県に支払うよう請求することを求め,予備的に,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,被控訴人が,本件補助金の交付決定を取り消して不当利得返還請求権に基づき前橋バイオマス燃料に対し本件補助金4億8000万円の返還請求をすることを怠る事実が違法であることの確認を求める事案である。
2 原審は,前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付が違法であるとは認められないとして,控訴人の請求をいずれも棄却する判決をしたところ,控訴人がこれを不服として本件控訴を提起した。


  なお,原審においては,控訴人のほかに,羽鳥昌行が原告として被控訴人に対して控訴人と同様の請求をし,いずれの請求も棄却する旨の判決がされたが,控訴を提起していない。
3 本件に関係する法令等の定め,前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張については,次のとおり原判決を補正し,次項で当審において当事者が敷衍し又は追加した主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の「1 関係法令等の定め」,「2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)」,「3 争点」及び「4 争点に対する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,原審において原告であった羽鳥昌行のみ に関する部分を除く。また,原判決中「原告ら」とあるのを「控訴人」と,「原告羽鳥」とあるのを「1審原告羽鳥」とそれぞれ読み替える。)。
(原判決の補正)
(1) 原判決3頁4行目の「同法232条2項」を「同法232条の2」に改める。
(2) 原判決4頁26行目の「本件要綱第3の1」を「本件要綱第3の1項」に改める。
(3) 原判決6頁19行目の「同規則第一」を「同規則別表第1」に改める。
(4) 原判決7頁9行目から10行目の「1万6千ノルマル立方メートル以上,」を「1万6千ノルマル立方メートル以上」に改める。
(5) 原判決8頁23行目の「関する」を「関して」に改める。
(6) 原判決14頁23行目から24行目までの「6万ノルマル立方メートル」を「5万2953ノルマル立方メートル」に改める。
4 当審において当事者が敷衍し又は追加した主張
(控訴人の主張)
(1) 前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,共同して事業を計画し,共


同して事業を立ち上げているのであるから,両社が行う事業は事実上一体的事業であり, どちらかの会社に不正があったならば,共同の責任を負うことになる。
(2) 本件運用の策定の経緯について,株式会社前橋バイオマス(商号変更前の前橋バイオマス燃料)は,平成26年10月2日,トーセンとの間で,同社が年間8万トンの間伐材を安定供給する旨の協定を締結し,また,県産材加工組合との間でも,同組合が年間3万トンの製材端材を安定供給する旨の協定を締結していることからすると,既にこの時点で,発電事業の規模は定まっていたものである。したがって,環境政策課が木質バイオマス発電施設に関する条例アセスメントの検討を行っていた平成26年7月10日より前に発電事業の規模が定まっていたことになり,これをその後とする原判決の認定は誤っている。
(被控訴人の主張)
(1) 前橋バイオマス燃料は,木質バイオマス燃料を前橋バイオマス発電に供給しても余剰が生じた場合には,第三者に供給することが想定されること,本件前橋バイオマス事業以外の活動を行うことがあり得ることなどからすると,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,実質的にも別主体である。したがって,仮に前橋バイオマス発電及び本件発電事業が不適格であったとしても,本件補助金の交付決定が違法となるものではない。
(2) 株式会社前橋バイオマスとトーセンとの間で上記間伐材の安定供給協定書が締結されたという事実と,前橋バイオマス燃料において平成28年7月4日に事業の具体的内容が定まったという事実は,矛盾なく両立するから,控 訴人の上記(2)の主張は論理の飛躍であり,失当である。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,原審と同様に,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり原判決を補正し,次項で当審において当事者が


敷衍し又は追加した主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第 3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,原審において原告であった羽鳥昌行のみに関する部分を除く。また,原判決中「原告ら」とあるのを「控訴人」と,「原告羽鳥」とあるのを「1審原告羽鳥」とそれぞれ読み替える。)。
(原判決の補正)
(1) 原判決21頁15行目及び18行目の各「ものであり」の後にそれぞれ「,かつ」を加える。
(2) 原判決21頁18行目の「限る」を「限る。」に改める。
(3) 原判決26頁16行目から17行目の「2億2230円」を「2億2230万円」に,25行目から26行目の「2億4150円」を「2億4150万円」にそれぞれ改める。
(4) 原判決29頁12行目から13行目までの「6万ノルマル立方メートル」を「5万2953ノルマル立方メートル」に改める。
(5) 原判決29頁の末尾に改行して次のとおり加える。
 「補助金規則13条1項本文は,補助事業者等が不正な手段によって補助金等の交付を受けたとき,補助金等を他の用途に使用したとき,交付の決定の内容若しくはこれに付した条件又は法令,条例,規則若しくはこれに 基づく処分に違反したときなどは,知事は補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができることを定めている。そこで,このような観点から,本件事業の補助事業としての適格性について検討する。」
(6) 原判決35頁23行目から24行目までの「交付が違法であるとは認められない」を「交付は適法であると認められる」に改める。
2 当審において当事者が敷術し又は追加した主張に対する判断
(1) 控訴人は,前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電は,共同して事業を計画し,共同して事業を立ち上げているから,両社が行う事業は事実上一体


的事業である旨主張する。
  本件前橋バイオマス事業は,本件燃料事業と本件発電事業により構成されており,両事業は,それぞれの内容からみて,その実施上,密接に関連するものであるということができる。しかし,前記引用に係る原判決が説示するとおり,前橋バイオマス燃料が本件燃料事業を実施し,前橋バイオマス発電 が本件発電事業を実施しているのであって,明確に内容の異なる両事業を,それぞれ別個の事業主体が実施しているのであるから,本件補助金の交付において,その対象である前橋バイオマスが行う木質バイオマス発電燃料製造 施設等整備事業(本件事業)の適格性を判断するに当たって両事業を一体のものとして捉える理由はないというべきである。
(2) 控訴人は,株式会社前橋バイオマスがトーセンとの間で,同社が年間8万トンの間伐材を安定供給する旨の協定を締結した平成26年10月2日の時点で,発電事業の規模が定まっていた旨主張する。
  控訴人は,本件発電事業について条例アセスメントがされるべきところ,関電工の圧力により本件運用が策定され,違法に条例アセスメントを免れたと主張し,これを裏付ける事情の一つとして上記の主張をするものと解される。しかし,上記(1) でも説示したとおり, そもそも本件燃料事業の本件補助金の対象事業としての適格性は,本件発電事業に関する事情とは別個に検討されるべきであるが,これを措くとしても,本件運用が不合理な内容であることを示す的確な証拠はない。また,前記引用に係る原判決の認定事実のとおり,関電工は,平成27年1月から3月までの間に,計画している木質バイオマス発電施設建設事業について条例アセスメントの対象となるかどうかを担当部局である環境政策課に質問するなどしており,環境政策課においては,平成26年7月頃から平成27年3月にかけて,本件運用の策定につながる種々の検討をしていたのであるが,そのことが直ちに関電工による圧力があったことや本件運用の不合理性を推認させるものでもない。そして,ト


ーセンと株式会社前橋バイオマスとの間で,平成26年10月2日,木質バイオマス燃料の安定供給に関し,トーセンが木質バイオマス供給事業者として,株式会社前橋バイオマスに供給する木質バイオマス燃料の種類及び取引量に関する計画を,間伐材等由来の木質チッ プにつき年間5万トン,製材端材由来の木質チップにつき年間3万トンとすること等を合意する協定が締結されている(甲73)が,この協定により,直ちに計画されていたバイオマス発電事業の規模が具体的に定まるものとは解されず,まして,この協定が締結されたことから,本件運用が不合理な内容であることが導かれるものでないことは明らかである。
(3) その他,控訴人は,原判決の事実認定等を種々論難するが,その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても,原判決の結論を不当とする事情は認められない。
第4 結論
  よって,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。

     東京高等裁判所第22民事部

          裁判長裁判官 白 井 幸 夫
             裁判官 寺 本 昌 広
             裁判官 伊 藤 一 夫


東京(高) 18-004082
これは正本である。
令和2年6月22日
 東京高等裁判所第22民事部
  裁判所書記官 小濱智英
                     東京(高) 18-004082
**********

■この日、傍聴には本事件に関心を寄せ続けていただいているネットマガジン発行会社の潟Iルタナの編集部から堀記者に来ていただきました。

 堀記者には、判決言い渡し前と後で、インタビューを受けました。その中で当会は、東電グループの筆頭子会社の関電工が地元群馬県のシンボルでもある赤城山の南麓に環境アセスもしないまま放射能汚染された森林から伐採した木質燃料を今後20年間にわたり燃焼させて発電した電気を東電に高く売電するという某国事業について、コメントしました。

 とりわけ、一審、二審を通じて、我が国の司法が、権力に対して無力であることが改めて痛感させられたことや、控訴状であれほど、問題点を列挙したにもかかわらず、最後のP7の(3)で「その他、控訴人は、原判決の事実認定等を種々論難するが、その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても、原判決の結論を不当とする事情は認められない」として、門前払いしていることは、関電工や群馬県にとって、都合の悪いことは裁判所もすべて取り上げないという、いわば、行政最優先、大企業最優遇の裁判所であることを如実に示していると説明しました。

 とくに、3月9日の控訴審の初回弁論でもオルタナの堀記者に傍聴してもらいましたが、裁判長が結審を宣言する直前に、当会代表が、裁判長に対して「放射能汚染による管理区域(1平方メートル当たり4万ベクレル以上)になっている群馬県山中から間伐材を持ち出すこと自体、 管理区域からの持出基準を満足していないものは持ち出して、バイオマス発電事業をすること自体、法律違反なので、この点についてぜひ判決で判断を示してほしい」とお願いしたところ、「勘案する」と言わんばかりに頷いていた裁判長でしたが、判決文にはそのことは一切なにも触れられていないため、堀記者も判決文を見て首を傾げていました。

■そうした取材を経て、オルタナの堀記者が同社のネットに掲載した記事は次の通りです。

**********オルタナ2020年6月23日(火) 20:15
http://www.alterna.co.jp/31367
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ac9cb927d64757f86e6e2c8a0ddc44cb28d13f0
20200623oocixiiil.zip
前橋バイオマス発電所控訴審で住民側敗訴、上告へ
 前橋バイオマス発電所事業への補助金をめぐる住民訴訟で東京高裁(白井幸夫裁判長)は6月22日、住民側の訴えをいずれも棄却する控訴審判決を下した。裁判は、燃料となる間伐材の放射能汚染の懸念などから地域住民らが群馬県を相手どり2016年に提訴。建設の前に不当に基準を変更して環境影響評価(環境アセスメント)を免れさせたとして、事業補助金4億8千万円の返還を求めた裁判だ。住民側は上告を予定している。(堀理雄)
 前橋バイオマス発電所(最大出力6750キロワット)は、東京電力のグループ会社である関電工とトーセン(栃木県矢板市)が出資して建設し、2018年3月営業運転を開始。年間8万トンの木材を使用している。
 周辺住民らでつくる「赤城山の自然と環境を守る会」(横川忠重代表)は、燃料となる木質チップを圧搾する際の排水や、発電で生じる排出ガス、燃焼後の灰などから、福島第一原子力発電所事故に由来する放射能汚染が拡散する恐れがあるなどとして事業に反対してきた。
 裁判の争点の一つは、発電所建設の際に事業者に義務付けられている環境アセスメントの対象事業を規定する基準を、県が緩和したことが適正かどうかだ。
 排出ガスが毎時4万立方メートル(0℃、1気圧時換算)を超える発電所は環境アセスメントの対象事業となっているが、県は木に含まれる水分(含水率)を差し引いて排出ガス量を計算するよう条例を変更。同発電所事業は対象外となり、環境アセスは実施されなかった。
 2019年10月に出された前橋地裁の第一審判決によれば、含水率を考慮した排ガス基準の運用は、全国の他の自治体では存在しないものの、毎時4万立方メートルという群馬県の基準は厳しいものであり、基準変更による環境アセスの未実施に違法性はないとした。
 これに対し住民側は控訴理由書のなかで、「埼玉県、鳥取県、京都市、名古屋市、北九州市、福岡市、牧方市なども同基準」と指摘。「群馬県の基準は厳しいと装う印象操作は、関電工を環境アセスの実施義務から救うための不正行為」と反論していた。
 原告の小川賢・市民オンブズマン群馬代表は「毎時4万立方メートルという基準は、大気汚染防止法のばいじん排出基準に基づくもの。県は法律や条例の趣旨をゆがめることなく運用してほしい」と強調する。
 燃料となる木材チップの放射能検査に関して、事業者の自主基準に基づくトラックスケール(車両計量器)式や空間線量による計測の妥当性、また基準を超える騒音被害への対応に関する訴えについては第一審同様に棄却され、新たな判断は示されなかった。
 「赤城山の自然と環境を守る会」によれば、発電所付近の騒音に関して2018年に前橋市が実施した測定では基準値を超えていたため、同市は行政指導を実施。その後も夜間騒音などが解決されず、同会は原因と対策について関電工に地元説明会の実施を求めている。
**********

■7月6日の上告手続きは、判決後、地元の住民の皆さんの総意で、このまま不当な判決内容を受け入れることは耐えがたく、住民の生存権、環境権を問うために、最高裁の判断を仰ぐ意味でもぜひ上告すべきだとの声を踏まえて、判決言渡し日から14日目に上告状兼上告理由申出書を提出することにしました。

 当日、自宅から高崎駅に向かう国道18号線が渋滞をきたしており、予定していた新幹線に乗れず、結局午前8時14分発のあさま606号に乗車し、9時25分頃、東京高裁のある裁判所合同庁舎前に着きました。

 すると、裁判所の前でカメラを構えた人だかりが、2、3人の人を囲んでなにやらインタビューをしており、その様子をテレビカメラが撮っている光景を目にしました。最寄りの守衛に尋ねると、ちょうど10分前に文科省官僚だった佐野太らの刑事初公判の傍聴整理券の配布が終わり、当選者番号の発表があったばかりだと言いました。

 筆者もかつて、地元の小渕優子代議士とその秘書で中之条町の折田謙一郎町長の公選法と政治資金規制法の罪で起訴された事件の東京地裁の初公判で、大勢の傍聴希望者の一人として参加したところ、運よく傍聴ができたことがあり、そのときのことを思い出しました。

 実は、本日は長野高専の前校長の石原祐志と早稲田大学大学院の同期で、そして文科省入庁も同期だった佐野太をはじめとする関係者(西野吾一、臼井正彦、鈴木衞、谷口浩司)の刑事事件(事件番号:平成30年刑事(わ)第1936号、受託収賄、贈賄、受託収賄幇助事件)の第1回公判が東京地裁1階第104号法廷で開かれるため、あわよくばこの傍聴券配布を受け、抽選に当たったら、1日中この公判のやり取りを傍聴する予定でした。しかし、残念ながら筆者の事前の読みが甘く、自宅から高崎駅までの国道18号線の渋滞という予期せぬ邪魔が入り、叶いませんでした。

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■裁判所合同庁舎に入り、1階ロビー正面にある案内用のDisplayで念のため、法廷番号をチェックしました。その際、ふと思いついて、佐野太の刑事初公判の情報も検索したところ、次の画面表示が出てきました。

**********
時  間:10:00〜17:00
場  所:第104号法廷
事件番号:平成30年刑(わ)第1936号
担当部署:刑事第16部
事 件 名:受託収賄、贈賄、受託収賄幇助
被  告:西野吾一、佐野太、臼井正彦、鈴木衞、谷口浩司
**********

 ロビーの右手側にあるエレベーターホールに行くと、その奥に第104号法廷があります。見ると、抽選で当選したラッキーな当選者らや、腕章をしたマスコミ記者らが受付に並んでいました。その光景を横目に後ろ髪をひかれる思いで、エレベーターに乗り、14階の民事第22部に行き、小濱書記官に上告手続きについて持参した上告状兼上告理由申立書を提示し、中身をチェックしてもらいました。

〇上告状兼上告理由申立書 ZIP ⇒ ioocixj.zip

 手数料は予めネットで一審手数料の倍の2万6千円であることを確認済でしたが、通信費として郵券(郵便切手)がいくらなのかわからなかったので、尋ねると上告の場合は5,400円だと教えてもらいました。その他の事項は問題がないとのことで、実際の提出は17階の高裁民事受付で扱っていると指示されました。

 再び地下1階にある郵便局で収入印紙と郵券を手配し、17階の高裁民事受付に行き、正本の上辺に収入印紙を貼り、郵券を渡すと担当書記官が、事件番号リストを調べて事件番号を決めたり、必要な上告手続きを行ったうえで、事件番号を記した紙をくれました。この間、10分ほどかかりました。

 これで上告手続きは全て完了し、1階に降りると、既に佐野太らの刑事第1階公判が10時から始まっており、廊下には見張り役の裁判所職員ら数人と、中にいるマスコミ記者の速報を待つ各社の伝令役の若手記者が数人たむろしていました。

 外に出るとあいかわらずの雨ですが、やや小降りになったため、そのまま傘を差さずに地下鉄の霞ヶ関駅に降り、地元に戻りました。

 さっそく前橋バイオマス発電施設に反対する地元住民のかたがたに報告しました。8月25日までに上告理由書と上告受理申立て理由書の2通を提出すべく、最終的な反論をまとめることになります。

■住民の健康や生活より、関電工の迅速な事業立ち上げを最優先にして、本来実施すべき環境アセスメントを免除した群馬県の環境行政。

 県内山間部の東電福島原発で放射能汚染された樹木から作った木質チップを毎年8万トン燃焼させて、高値で親会社に売電することにより、地元に騒音や放射性物質を含む排煙(廃ガス)、排水(廃水)、焼却灰をまき散らしても、東電グループの利益を最優先する群馬県の環境行政の歪みを象徴するこの事件は、最高裁を舞台に最終段階に突入することになりました。

 ぜひこの官業癒着事件の行方にご関心をお寄せください。

【7月9日追記】
 本日、東京高裁第22民事部の小濱書記官から、上告提起通知書・上告受理申立て通知書が送られてきました。したがって、本日から50日以内に上告理由書と上告受理申立て理由書を提出することになります。即ち、期限は8月28日(金)です。
※上告提起通知書・上告受理申立て通知書 ZIP ⇒ m.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「本件を報じたこれまでのオルタナ記事」
**********オルタナ2016年11月29日
http://www.alterna.co.jp/19736
関電工のバイオマス発電所に批判噴出、住民提訴も
 東京電力のグループ企業、関電工が前橋市で進める木質バイオマス発電計画に対して、周辺住民の反発が強まっている。群馬県内の未利用間伐材などを燃料とする計画だが、住民は「福島原発事故で汚染された木材を燃やすと、放射性物質が環境中に拡散しかねない」と批判。7月には知事を相手取り訴訟も起こした。関電工側の住民説明は不十分で、企業姿勢として誠実でないことも問題をこじらせたようだ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■県が補助金4億8千万円を支出
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「前橋バイオマス発電所」の完成イメージ(関電工ニュースリリースから引用)
 「前橋バイオマス発電所」は関電工、および製材大手のトーセン(栃木県矢板市)が出資。赤城山麓にある電力中央研究所の試験施設から用地を取得し、2017年6月の操業開始をめざす。発電出力は6750キロワットで、木質バイオマス発電としては規模が大きい。燃料には、県内を中心に生じる間伐材ほか未利用木材を年間約8万トン使用する計画だ。
 これに対して、周辺住民らでつくる「赤城山の自然と環境を守る会」が反対。発電で生じる排ガス、および燃焼前に木質チップを圧搾して出た廃水などにより、原発事故由来の放射性物質が拡散する恐れがある、としている。
 住民らは7月、計画に4億8千万円の補助を行う決定をした群馬県を相手取り、支払いの差し止めを求める訴訟を起こした。「森林内に隔離されている放射性物質が、事業が実施されれば人家近くに大量に持ち込まれる」。(木材チップの燃焼で)「放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民が広く晒される」。訴えの中で住民側はこう主張している。
 同会の羽鳥昌行事務局長は「事業を行うのであれば環境影響評価が必要」と訴える。滝窪町自治会長の井上博さんも「子どもたちには100年先もここの自然環境を残していきたい。それなのに、住民が知らない間に環境を汚されるとすればたまらない」と話した。
 環境影響評価について県は、計画の排ガス量が基準値を下回るとして実施の必要性を認めていない。また、事業で生じる排出に含まれる有害物質について、関電工は取材に「県や市が指定する基準値を下回るよう対策を講じる」と答えた。
■発電コスト重視の大規模木質バイオマス
 しかし住民側は同社に不信感を募らせている。「関電工は行動指針で『環境に関する自主基準を制定する』などとホームページで主張しているが、自主基準を制定しようとする姿勢は皆無」(原告準備書面)と厳しく批判。また、「(同社に)こちらが質問しても文書で回答しない」(羽鳥氏)という。
 計画の問題点は環境影響への懸念にとどまらない。前橋バイオマス発電所は地域外の資本が出資する事業だ。地域には燃料木材の売却代が還流するが、売電で得た利益は地域外に持ち出される形だ。また、発電で生じる熱は地域熱供給(熱電併給、コジェネレーション)には活用せず、そのまま捨てられる。
 地域資源の活用で地域経済の活性化が見込める自然エネルギー事業のメリットは、今回の計画では限定的なものにとどまると言える。関電工も「発電所での雇用は予定しているが、(地域経済への波及効果を)数字で示すのは難しい」と話す。
 ちなみに熱電併給を行う際、熱需要は分散しているため、出力2千キロワット未満の小規模木質バイオマス発電が向くとされる。その熱効率は最大で8割とも言われ、エネルギーのムダが少ない。一方、大規模木質バイオマス発電は発電コストで有利だが、熱電併給よりはエネルギー効率で劣る。
 つまり計画は、地域経済やエネルギー効率よりも発電コストを重視していることになる。そして現在、前橋バイオマス発電所と同様、日本各地で大規模な木質バイオマス発電計画が進むが、背景には木質バイオマス利用をめぐる制度上の問題点があるという。
 自然エネルギー財団は25日、木質バイオマス利用に関する提言を発表した。この中で「日本のFIT(固定価格買取制度)は発電のみを対象とし、熱電併給へ誘導する制度設計になっていない」などと指摘。また、木質バイオマス資源の国内需要がひっ迫する可能性もあるとしている。
 財団は、木質バイオマスに大規模区分を設けた上で買取価格を引き下げることなどを提言するが、木質バイオマス利用が地域に受け入れられ、持続可能なものとなるよう、制度の点検が問われている。

**********オルタナ2019年7月24 日
http://www.alterna.co.jp/27694
http://www.alterna.co.jp/27694/2
http://www.alterna.co.jp/27694/3
http://www.alterna.co.jp/27694/4
緊急連載■バイオマス発電の限界と可能性(上)
■県が積極支援の前橋バイオマス発電、住民訴訟が結審
 太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーは、石炭火力発電や原子力発電に代わる重要なエネルギー源だ。しかし、「バイオマス発電」をやみくもに進めることには、大きなリスクがあった。(オルタナ編集委員・栗岡 理子)
■バイオマス発電を巡る行政訴訟が結審
 バイオマス発電は、固定価格買取制度(FIT)(注1)の価格が2019年度も昨年度と同額のまま据え置かれ、2割以上減額された事業用太陽光発電などに比べても注目度が高い。
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前橋バイオマス発電所ゲート
 とりわけ、未利用木材を使用する木質バイオマス発電は、FIT上でも優遇されている。間伐材などを利用することで森林保全にも役立ち、低炭素社会に貢献できると考えられてきた。
 そんななか、2016年に住民が群馬県を相手取って前橋地裁に提訴した「前橋バイオマス発電所」の補助金返還履行請求の住民訴訟の判決がまもなく出ようとしている。
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前橋バイオマス発電所側面(赤城山の自然と環境を守る会提供)。市の規制基準を超える騒音が確認されている
 前橋バイオマス発電所は2018年3月、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)が出資して建設し、営業運転を開始した。
 群馬県の森林組合などから調達する間伐材などを燃料として、最大出力6750キロワット、年間発電量約4300万キロワット時(一般家庭約8700世帯分)という巨大発電所である。
 この発電所の建設にあたり、発電所のある赤城山南麓エリアの住宅地に住む住民への事前周知は行われず、周辺住民は建設による騒音で初めて知ることになった。
 群馬県の環境影響評価条例では、新設工場の総排ガス量が毎時4万立方メートルを超える場合は環境影響評価(環境アセスメント)を実施しなければならない、と規定されている。
 しかし、県は木材の含水率が20%あるとして、未利用の木質バイオマスを燃料とする場合には排ガス量を計算する際、20%の水分量を考慮してよいと規定を改定した。そのため、この事案は環境アセスメントの対象外であるとされた。
 その結果、環境への影響は評価されることなく発電所の建設が進み、県からこの事業に対し、8億円の事業費の6割にあたる4億8000万円を助成した。建設計画は滞りなく進行したのである。
■発電所建設目的は山の除染か?!
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発電所に反対する民家の看板
 建設計画を知った周辺住民は、関電工や県に幾度も発電所について説明を求めた。しかし、満足のいく回答は得られなかったという。燃料となる木材は主に県内調達であるとされているが、県内の森林は2011年の原子力発電所の事故により、広く放射性物質で汚染されている。
 現地では、いまだに野生のタラノメやコシアブラは基準値を超える放射性セシウムが検出されるとして出荷制限されるほどだ。
 そのような場所の木を燃やして、放射能は拡散しないだろうか。また、補助金により購入された脱水プレス機により木質チップが圧搾され、その際に水が出る。その水は適切に処理されるのだろうか。
 さらに、この手の発電所の常として、表向きは地域材使用による森林保全が謳われるが、地域材のみでは原料が早晩回らなくなることは大いにありうる。そうなった場合に、どこからどういう素性のものが調達されてくるのか。いくつもの疑問が重なる。
 地元住民からは「バイオマス発電という名目で放射能に汚染された木を処分することが目的ではないか」という懸念が出ている。バイオマス発電という名の山の除染作業ではないか、という疑念が膨らむ。
■提訴理由は「次世代のために自然を守ること」
 放射能に汚染された木材を燃やすことで、地域が汚染され、次世代に残すべき豊かな自然が汚されるということが、今回提訴した住民団体「赤城山の自然と環境を守る会」(会長:横川忠重)の一番懸念していることだ。同会は、この訴訟をこれから生まれてくる子どもたちへの責任の問題だと捉えている。
 放射能で汚染された木材を燃やすことで、飛灰は100倍程度に濃縮される(ちくりん舎資料、(注2))。飛灰はバグフィルターで100%捕捉できるわけではなく、粒径の大きなもので80%程度、粒径の小さなものでは20%〜40%程度しか取れないとのことである。住民らの心配は根拠のないものではない。
 赤城山は百名山の1つにも数えられる名峰で、その赤城山をご神体とする赤木神社は古くから人々の信仰を集めている。見事な桜のトンネルと菜の花が楽しめる赤城南面千本桜は県内で最も人気の高いお花見スポットだ。
 この美しい自然に惹かれ、赤城山南麓に移住してくる人も多い。環境にやさしいはずのバイオマス発電が、こうした環境を脅かす存在になってよいはずがない。
 4億8000万円の補助金を不正支出であるとして、県を提訴した住民らは、危機感を募らせている。その訴訟が2019年7月17日、前橋地方裁判所で足かけ4年に渡り発電所に翻弄された住民が傍聴するなか結審し、裁判長が判決日を読み上げた。判決は2019年10月31日午後2時だ。住民らの訴えは、認められるだろうか。
■環境団体がバイオマスで共同宣言
 バイオマス発電のリスクについては、気候変動や森林保全に取り組む環境団体が2019年7月16日、制度の問題点を見事に突いた共同提言を発表した。
 提言は、次の8項目である。
 ・温室効果ガス(GHG)の排出を十分かつ確実に削減していること
 ・森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと
 ・パーム油などの植物油を用いないこと
 ・人権侵害を伴っていないこと
 ・食料との競合が回避できていること
 ・汚染物質の拡散を伴わないこと
 ・環境影響評価が実施され、地域住民への十分な説明の上での合意を取得していること
 ・透明性とトレーサビリティが確保されていること
 この提言の中で指摘されている事柄を検討することなく発電所を建設するケースが、後を絶たない。環境にやさしいはずのバイオマス発電による環境破壊が懸念される。
【注1】:FITは自然エネルギーを助成するための制度で、再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間国の決めた価格で買い取ることを電気事業者に義務付けている。電気事業者の買い取り費用は、電気料金に上乗せされた「再エネ賦課金」によってまかなわれる。
【注2】:ちくりん舎資料「2019.2.10-11 学習交流集会 in 郡山報告集」より

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栗岡 理子
1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。

**********オルタナ2019年11月2日
http://www.alterna.co.jp/28498
http://www.alterna.co.jp/28498/2
http://www.alterna.co.jp/28498/3
群馬の木質バイオマス発電所訴訟で住民側が敗訴
 前橋地方裁判所は10月31日、バイオマス発電所に補助金を交付した群馬県を相手取った住民訴訟で、住民側の請求を棄却する判決を言い渡した。このバイオマス発電所は環境破壊の可能性が高く、住民らは控訴を含めて今後の対応を検討している。(オルタナ編集委員・栗岡理子)
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前橋バイオマス発電所のゲート
 この訴訟は、福島第一原発事故による放射能で汚染された森林を伐採・焼却することに不安を感じた住民らが「赤城山の自然と環境を守る会」(代表:横川忠重)を結成し、提訴したもの(詳細は「緊急連載・バイオマス発電の限界と可能性
http://www.alterna.co.jp/27694 )。
 放射能汚染を懸念する木質バイオマス発電所に対する地元住民による訴訟は、2019年9月に福島県田村市で建設中の発電所に対しても起こされている。木質バイオマス発電所の増加に伴い、今後このような訴訟は増える可能性がある。
 訴状によると、群馬県が前橋バイオマス発電所に公布した補助金4億8000万円について、住民らが県に対し返還履行請求を行った。住民が特に問題視するのは、県が環境影響評価を行わずに補助金を支給したことだ。
 群馬県は、新規の工場建設にあたり、総排ガス量が毎時4万Nm3を超える場合は環境影響評価を実施することと条例を定めていた。しかし、木質バイオマスを燃料とする場合には含水率を考慮してよいと規定を改定し、当該発電所を評価の対象外とした経緯がある。
 同発電所は、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)による出資で建設。住民らは、環境影響評価を行うことで建設の遅れを心配する関電工の圧力に屈した県が、同社に便宜を図るため条例を改定したと主張している。
 これに対し県は、関電工の計画を知る以前から木質バイオマス発電の活用を推進しており、同規定を再検討していたとして、同社からの不当な働きかけにより改訂したものではないと反論していた。
 住民らは、発電所の近隣住民への建設に関する周知が不十分であったことや、補助金の使途、稼働後の夜間騒音、さらに県産材のみを利用するはずが、県外トラックによる原料チップの搬入が目撃されていることなども問題にしている。
 しかし、今回の判決では、住民らの主張はすべて退けられた。これ受け、原告団の小川賢・市民オンブズマン群馬代表は「すべて県側の主張が採用されてしまった。まるで独裁国家だ。来週にはみんなで相談し、控訴するかどうか検討したい」とのことである。

**********オルタナ2020年3月9日
http://www.alterna.co.jp/29729
前橋バイオマス発電所訴訟、控訴審は「即日結審」
 前橋バイオマス発電所をめぐる住民訴訟の控訴審で東京高裁は3月9日、第1回口頭弁論を開き、同日結審した。この裁判は、同発電所の建設の前に群馬県が不当に基準を変更して環境影響評価(環境アセスメント)の義務付けを免れさせたとして、住民らが事業補助金4億8千万円の返還を求めたもの。判決は5月20日に言い渡されるが、即日結審だっただけに原告側に厳しい内容も予想される。(オルタナ編集部=堀理雄)
 争点の一つは、環境アセスメントの対象事業を規定する基準の変更が適正かどうかだ。群馬県は新規に工場を建設する際、排出ガスの総量が毎時4万立方メートル(0℃、1気圧時換算)を超える場合には、環境アセスメントの実施を条例で義務付けている。
 同発電所の排ガス量は従来の基準では毎時4万立方メートル(同)を超えていたが、群馬県は木質バイオマスを燃料とする場合、木に含まれる水分(含水率)を考慮して計算するよう基準を緩和。同発電所事業は対象外となり、環境アセスメントは実施されなかった。
 前橋バイオマス発電所(最大出力6750キロワット)は、東京電力のグループ会社である関電工とトーセン(栃木県矢板市)が出資して建設し、2018年3月営業運転を開始している。
 訴訟は2016年、福島第一原子力発電所の事故による放射能で汚染された森林から間伐された木材を焼却する同発電所事業に不安を感じた住民らが「赤城山の自然と環境を守る会」(代表:横川忠重)を結成し、前橋地裁に提訴した。
 住民らは、環境アセスメントの未実施や放射能汚染の問題のほか、発電所の建設の際に近隣住民に対する周知・説明が不十分であった点や、稼働後の騒音被害などについても問題にしている。
 2019年10月末の前橋地裁の第一審判決では、住民の主張が退けられ、住民側は控訴。5月20日の判決では、上記の争点などに関する高裁の判断が注目されている。
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