要望に応え長野高専映像制作部ソフト不正コピー横行事件を調査開始…露骨な抵抗に見え透く機構の暗部  【出張!オンブズマン】長野高専の闇

■課外活動も盛んな長野高専では、文化系部活動団体のひとつとして、「映像制作部」があります。名称から一見すると、映画等を自主制作する、いわゆる「映研」のようなものをイメージされる読者の方もいるかもしれません。実際の同校映像制作部は、学校行事の撮影・編集・DVD販売や、学校行事でのプロジェクター映写など、学校のイベントシーンの裏方をメイン活動にしている部活動のようです。同部HPの部活紹介ページによると、当の部員らも「義務的な仕事がある」「普通の部活じゃない」と自認しており、前世紀から続く老舗の同部の灯を絶やさないよう、誇りと義務感をもって活動しているようです。

 春夏秋冬の公式行事の数々を裏で支える映像制作部は、もはや彼ら抜きには満足な行事運営ができないといってもいいほど、長野高専にとって重要な存在であることは間違いありません。

●参考:長野高専映像制作部HP/部活紹介
http://vmpc.ie-t.net/intro.html
※上記ページのログ ⇒ https://archive.ph/EXS0Z

■しかしその折、同校内部学生の方々から情報提供が寄せられ、映像制作部で有償ソフトウェアの不正コピー使用が長期・大規模に横行しており、昨年(2020年)に内部で発覚した事件があったことがわかりました。しかも違法コピーソフトによる制作物で多額の収益を上げていたというのですから、事は重大です。この不祥事本体もさることながら、外部へ公表するどころか内部者にすら情報遮断している同校の「揉み消し」「お咎め無し」ととれる対応ぶりが、学生の間で不信感と不満に火を付けているようです。情報提供にあわせて、内部関係者の方々から強い調査要望が寄せられたことを受け、学校としての対応に問題はなかったのか、まず当会として事実関係の確認を行うことにしました。


 あらかじめ断っておくならば、政治・行政の抱える闇への斬り込みを旨とする当会として、問題を起こした学生や部活動自体の責任を追及することにはまったく消極的です。大半が未成年であろう学生の起こした非行について、県外の民間団体が叩く筋もありません。しかし、国民の血税が投入された国立の学校において、対応を明らかに誤り、あまつさえ公金を無駄にしたり不当に収益を得ていたりしたというのであれば、それは真相を明らかにしなくてはなりません。よって、学生や部活動の責任を問うのではなく、あくまでも学校を動かす「公務員のオトナたち」による対処に問題点がなかったかを検証していくことになります。

■まずはお決まりの定石として、今年(2021年)1月21日、以下の内容の法人文書開示請求書を長野高専宛てに郵送で提出しました。

*****長野高専映像制作部関連問題開示請求*****ZIP ⇒ 210121fsrsj.zip
               法人文書開示請求書

                            令和3年1月21日

  独立行政法人国立高等専門学校機構
  長野工業高等専門学校 御中

        氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
         市民オンブズマン群馬   代表 小川 賢            
        住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
         〒379−0114 群馬県安中市野殿980           
                        TEL 090(5302)8312 
        連  絡  先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
         〒371−0801 群馬県前橋市文京町一丁目15−10    
                    市民オンブズマン群馬事務局長  鈴木 庸
                 TEL:027−224−8567


 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。

                  記

1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)
貴学(長野高専)の映像制作部によるソフトウェア不正コピー事件について、その経緯や実態、事件への対応などを示す情報の一切。
(※1:高専機構本部保有分情報も含む)
(※2:電子メールも含む)

**********

 そのまま連絡を待っていると、2月17日に長野高専総務課の白木職員からメールを受信しました。曰く、文書件数は長野高専保有分が3件と機構本部保有分が1件の合計4件で、開示手数料は1200円になるとのこと。そこで2月23日に開示手数料を振り込みました。

■また動きを待っていると、以下の3月1日付け法人文書開示決定通知書が、翌2日に郵送されてきました。

*****3/1付開示通知(長野高専庶第55号)*****ZIP ⇒ ol.zip
                            長野高専庶第55号
                            令和3年3月1日

                 法人文書開示決定通知書

 市民オンブズマン群馬 小川 賢 様

                   独立行政法人国立高等専門学校機構

 令和3年1月21日付けで請求のありました法人文書の開示について,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき,下記のとおり開示することとしましたので通知します。

                 記

1 開示する法人文書の名称
  長野高専の映像制作部によるソフトウェア不正コピーに係るその経緯や実態、対応などを示す情報の一切。(高専機構本部保有分情報も含む、電子メールも含む)

 【長野高専分】
 @ 学生支援委員会 令和2年度
 A 令和2年度執行会議議事概要
 B 令和2年度運営会議議事概要

 【機構本部分】
 C ライセンス違反疑い(Adobe社製ソフトウェア)への対応について(メール)
 D 長野高専調査結果回答


2 不開示とした部分とその理由
  @ 学生支援委員会 令和2年度
  D 長野高専調査結果回答
 不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
 理   由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

  A 令和2年度執行会議議事概要
  B 令和2年度運営会議議事概要
 不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
 理   由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
 不開示部分:長野工業高等専門学校における学生の懲戒に係るガイドライン
       懲戒の種類
 理   由:法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、不開示とすることが相当

  C ライセンス違反疑い(Adobe社製ソフトウェア)への対応について(メール)
 不開示部分:個人に関する情報、連絡先、組織内ネットワークのURLが記載されている部分
 理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

【中略】

3 開示の実施の方法等
(1)開示の実施の方法等
 法人文書の種類・数量等:@16枚/A8枚/B12枚/C6枚/D1枚/合計:43枚
【後略】
**********

 開示決定通知を見ると、長野高専における令和2年度中の学内会議や委員会の議事録、そしてAdobe社ソフトライセンス違反の疑いが上がった際のものと思しきメール等が開示対象とされているようです。

 そのまま追加の複写手数料を振り込み、あわせて郵送開示を希望する実施方法等申出書を切手と共に長野高専へ返送すると、長野高専映像制作部不正コピーソフト使用問題に関する開示文書一式が3月8日付け送り状とともに届けられてきました。

●令和3年3月8日付け関連開示資料一式 ZIP ⇒
202103090.zip
202103091.zip
202103092.zip
202103093.zip
202103094.zip
202103095.zip

 今回、労力対効果の観点から、開示資料の文字起こしは省きますので、内容確認は各自で上記掲載ファイルをダウンロード・展開のうえなさっていただくようお願いいたします。

■開示資料を確認してみると、本件発覚の大まかな経緯としては、不正ソフトを検知したAdobe社が高専機構本部に通知⇒機構本部から長野高専に調査要請⇒長野高専が内々に調べ始めると映像制作部の部ぐるみ犯行が発覚、という流れのようです。

 令和3年3月8日付け開示資料からわかる発覚以降の出来事と事件態様について、時系列にしてまとめてみましょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【2020年】
○6月29日…Adobe社から高専機構本部に対して、不正コピーソフトを使用している長野高専の端末を検知したとの同月25日付け通知が送られる(資料4)。

○6月30日…機構本部事務局情報企画課長から長野高専岩佐総務課長に対して、至急調査するよう指示したメールと通達が送られる。あわせて、7月8日までに調査結果を機構サーバーにアップロードして報告するよう要請(資料4)。

○7月8日…臨時学生支援委員会が開かれ、調査対象学生数が8名であること、映像制作部での不正使用にかかる事実確認が不十分のため、追って調査を重ねたのちに団体及び関与学生への処分案を固め、執行会議に諮る予定であること、などが報告される(資料1-1)。また、長野高専から「調査結果」(資料5)が機構本部に伝えられる(根拠後述)。

○7月30日…令和2年度第5回学生支援委員会が開かれ、判明した状況について比較的詳しく報告される。部活としては活動禁止3か月の処分、関与した学生個々人に対しては懲戒ガイドラインの「窃盗(万引きを含む)等の犯罪行為」にあたるものとして一定の処分(黒塗りされており不明。内部者によれば、いずれも軽いものという)を下す案を8月3日の会議にかけることを承認。関与学生の処分等は2グループに分けられており、違法性を自ら認識していたかどうかで差が出たようす。驚いたことに、最低でも2012-13年頃から不正ソフトが使用されていた疑いも強く示唆されている(資料1-2から1-5)。

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開示資料の中でも、団体及び学生への処分方針についてもっとも詳しく言及されているもの。令和2年度第5回学生支援委員会(7月30日 16:15〜17:50)議事概要(資料1-2)より抜粋。

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映像制作部への「調査」により判明したという比較的詳細な状況。令和2年度第5回学生支援委員会・当日回収資料(資料1-5)より

○8月3日…臨時運営会議兼臨時執行会議が開催され、部活動及び学生への処分が承認される。学生への処分は8月26日に申し渡しする予定であることも報告される(資料2-1から2-4、および3-1から3-4)。

○9月2日…令和2年度第6回学生支援委員会が開かれる。映像制作部への指導を8月25日に、関与学生への処分申し渡しを8月26日に申し渡した旨が報告される(資料1-6から1-8)。

○10月8日…令和2年度第7回学生支援委員会が開かれる。翌9日に映像制作部員らと「ミーティング」を行い、再発防止に向けた取り組みを確認し指導する予定であることが報告される(資料1-9から1-10)。

○10月9日…映像制作部員らによる第1回「ミーティング」が行われ、著作権や知的財産への理解を深めること、再開次第部員の再定義を行うことが確認される(資料1-14および1-16)。その後、10月21日、10月30日、11月4日、11月10日の4回にわたり、「ミーティング」がもたれる(資料1-16)。

○10月19日…令和2年度第11回執行会議が開かれる。学生主事による報告資料内で、10月9日に「ミーティング」を行ったことと、その冒頭にて学生主事・同主事補も顔を見せたことが言及される(資料2-5から2-8)。

○10月22日…令和2年度第6回運営会議が開かれ、学生主事が3日前の執行会議と同じ報告をする(資料3-5から3-8)。

【2021年】
○1月5日…映像制作部により、部の目的・目標や活動の準備・内容などについて、活動再開に際した今後の活動指針が作られ、学校に提出される(資料1-15)。

○1月7日…令和2年度第9回学生支援委員会が開かれる。映像制作部の活動期間期間が12月末で満了したこと、同部からは「ミーティング」内容や今後の活動指針が提出され、あわせて活動再開の申し出があったことについて報告があった。同委員会での審議の結果、活動再開を承認(資料1-11)。

○1月21日…令和2年度第9回運営会議が開かれる。映像制作部の活動禁止を12月末で解除したことが学生主事から報告される(資料3-9および3-11)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■さて、令和3年3月8日付け開示資料により、映像制作部による不正コピーソフト使用事件の概要と、発覚・対応などの経緯については、おおむね判明しました。

 当会担当者が一通り令和3年3月8日付け開示資料を確認してみて、気になったポイントは以下のとおりです。

【疑問点@】:事件事実の公表等につき一切不検討?
 学校運営にも深く関わる正式な部活動が、団体として起こした大規模な不祥事であるにも関わらず、学外への公表はおろか学内への通知・注意喚起等について、検討すら一切されていない。

【疑問点A】:「逃げ切り」OBは一切スルーの不公平?
 何年も前から不正コピーソフト使用が横行していたことが強く示唆されているにも関わらず、発覚時点での在校生だけが調査や処分の対象とされ、同部OBの卒業生に対する扱いについては一切触れられてすらいない。過去にわたる実態を明らかにしようとはまったく考えていないことがうかがえる。

【疑問点B】:部の収益活動と学校の責任に一切不言及?
 不正コピーソフトの使用を「窃盗(万引きを含む)等の犯罪行為にあたるもの」として関与学生に処分を下しているにも関わらず、不正コピーソフトを使って制作したDVD等の販売により上げた収益の是非とその行方については一切触れられていない。また、顧問教員の責任についても一切触れられていない。
 学校の公式行事そのものをコンテンツに販売収益を上げていたのだから、それを公認した学校の責任も問われる。学校公式行事のDVD等販売をめぐるカネの流れがどうなっているかについては現在不明だが、メスを入れる必要があるかもしれない。

【疑問点C】:肝心のAdobe社とのその後は?求償の行方は?
 自社の有償ソフトを不正コピーされた挙句、不正ソフトで収益活動までされた一番の被害者であるはずのAdobe社が、最初の発端となった通報以降で開示資料に一切姿を見せていない。開示資料中に、Adobe社から求償請求が来た(Adobe社に弁済をした)ことを示す文書や記載は一切見当たらない。それどころか、不正使用の通知をしてきたAdobe社に対して、長野高専・高専機構がその後に何かしらの応答をしたことがうかがえる文書や記載すらも一切見当たらない。さすがに高専機構の組織としての道義が疑われるが、一体どういうことであろう。


■このように仔細に見ていくと、長野高専や高専機構の対応には次々と疑問が噴出してきます。特に、上記疑問点BやCのように、「カネ」の問題が徹底的にスルーされていることについては極めて強い違和感を覚えます。

 長野高専は、関与学生に処分を下す際、不正コピーソフトの使用を「窃盗(万引きを含む)等の犯罪行為にあたるもの」として扱っています。とするならば、不正コピーしたソフトは「盗品」であり、「盗品」によって収益を上げてしまっていたことや収益の使い道について、学校はまして敏感にならなければならないはずです。しかも、それらは学校の公式行事をコンテンツにしているわけですから、公認した学校の責任が問われることはいうまでもありません。その収益がもしも万が一、学校側に流れていた場合、もはや記者会見を開かなければならないレベルの話です。

 このように、映像制作部不正コピーソフト使用横行事件は、国立の学校として極めてシビアに臨まなければならない問題点を多数はらんでいます。ところが長野高専は、自分たち学校運営者の責任を一切問わず、団体や関与学生だけに責任を押し付け、適当に処分したことをもって「済んだこと」にしてしまうのですから、呆れたものです。

 しかも令和3年3月8日付け開示資料だけから判断すれば、長野高専が勝手に内々「処理」を済ませてしまい、被害を受けて報告してきた肝心の当事者であるAdobe社を蚊帳の外に放り出しているように見えることも、余計に理解に苦しむものです。

■そこで、こうした不可思議な点の数々について答えを突き止めるべく、まず上記疑問点Cについて問い合わせてみることにしました。

 3月11日の午前9時前、水泳プール解体の件について質問するため長野高専総務課白木職員に電話を掛けた際、それに並行して、「先日文書開示いただいた映像制作部の不正コピーソフト使用問題に関してだが、Adobe社から長野高専あるいは高専機構に対する求償請求等は特になかったという理解でよいか」と質問しました。すると同職員は「求償などは機構本部扱いなので、こちらでは情報が分かりません」として、「機構本部に聞いてほしい」と丸投げ回答をしてきました。

 ところで、機構本部における本件対応部署は、今回開示資料によれば本部事務局の情報企画課のようです(資料4)。そこで、高専機構本部の情報企画課情報企画係(042- 662-3164)に問い合わせてみることにしました。

 電話をかけると、同課の山崎職員が応対に出ました。そこでさっそく、長野高専の映像制作部の一件に対するAdobe社とのその後のやり取りの有無について質問すると、山崎職員は面食らったのか、「少し時間をください」と言って電話を保留にしました。そして3分ほど待たされた後、山崎職員が電話口に戻ってきました。いきなり掛かってきたオンブズマンからの電話に驚き、急いで上司に対応指示を受けにいったものとみられます。

 同職員は戻ってくるなり「質問事項を正確に把握したいので、もう一度おっしゃってください」というので、当会担当者からあらためて、「質問1:本件についてAdobe社から高専機構に対する求償請求等があったのか、そしてそれに対して機構として賠償したのか」、「質問2:Adobe社から不正ソフト使用の指摘があった以降に、高専機構として同社に対して謝罪や調査報告など何らかのレスポンス(返答)を1つでも行ったのか。何もしていない場合はその理由を教えてほしい」と、山崎職員がメモできるようにゆっくりとはっきりと伝えました。

 山崎職員いわく、「自分で即答できないので、少し時間をいただくかもしれないが、よく調べてから返事を差し上げたい」と、心なしか震えた声で、対応を伝えてくれました。また、当会担当者に対し、「携帯番号を教えてほしい」というので、同職員に伝えました。

■当会が尋ねているのは、Adobe社とその後のやり取りがあったのか、求償請求はされたのか、といった極めて単純なYES/NO質問であり、ほんの少し調べればすぐに結論は出るはずです。すぐ翌日にでも回答があって然るべきと思いきや、まったく音沙汰がありません。いくら「少し時間をいただく」とはいえ、「少し」を好き勝手に解釈されて、いつまでも待たされていてはたまりません。

 そこで3月15日の午前10時半、機構本部の情報企画課に再度電話をしたところ、山崎職員は席を外しており、山上となのる男性職員が電話に出ました。当会担当者から「長野高専映像制作部のソフト不正使用事件に係る質問を、11日に山崎職員にさせていただいたが、回答時期はいつ頃か」と質したところ、山上職員は「本件について質問を受けていることは承知しており、内部で対応を検討中。時期についても検討中なのでわからない」と返してきました。山崎職員の「少し」は、あっという間に宙に浮いた無期限延期状態にされてしまいました。

■またしばらく待ってみましたが、最初の問い合わせから2週間が経過してもまったく音沙汰がありません。しびれを切らした当会担当者は、3月26日の15時半に再度、機構本部の情報企画課に電話をかけました。すると、担当の山崎職員はまたも席を外しているとして、山上と名乗る職員が再度対応に出てきました。

 そこで、「3月11日に電話で2件質問したが、回答のため調べるとの返事だった。その後15日に再度電話して進捗を訊いたところ、今度は内部で検討中だということだった。すでに最初の問合せから半月が経過している。本件いつ返事がいただけるのか、いい加減に具体的な見通しを聞かせてもらいたい」と伝えました。

 するとなんと、山上職員は「対応は総務課総務係で一元化してもらうことにしており、そちらの方から回答する」と丸投げ同然の返答をいきなり言い出してきました。驚いた当会担当者は、「それは今初めて聞いた。機構本部において、問い合わせにそう対応する方針が決まっているのなら、すぐに当方に連絡するよう、総務課総務係に伝えてほしい。いつ回答がもらえるのかについて直ちに連絡をするよう、オンブズマンから直接電話依頼があった旨総務課総務係に伝えてほしい」と強く要請しました。

■その後、約30分後の午後4時前に、今度は機構本部総務課総務係の橋本職員に電話をしました。

 まず経緯説明として、「長野高専映像制作部のソフト不正コピー使用の件で、事件担当部署である情報企画課に対し、3月11日に2つの質問をした。ところが、回答がいつになるかすら未だに返事をもらえずにいる。そして、30分ほど前の情報企画課との電話では、総務課総務係を窓口にして対応するようにしてあると言い出した」と伝えたあと、「よって、この件についてすでに承知しているかお聞きしたい。念のため、2つの質問内容はこれこれ……というものだった」と、質問を承知しているかどうか尋ねました。

 すると、橋本職員は「情報企画課からはなにも聞いていません。先日開示した情報を確認したいので、少しこのまま待っていてください」と言い出して、電話を保留状態にしました。機構本部情報企画課は、回答対応を丸投げした総務課総務係に、言づてを伝えることすらしてくれなかったようです。まったく話になりません。

 しばらくして戻ってきた橋本職員は、「先日の開示情報をチェックしました。確かに、開示資料のその後についての問合せということですね」と言ってきたので、当方から「そのとおりだ」と返しました。すると、橋本職員は、「やはり、口頭だと内部で起案しにくいので、文書で公開質問状もしくは文書開示請求書の形で出してもらえるとありがたい」と言い出しました。

■2週間も待ちぼうけを喰わされたあげく、勝手に総務課総務係にタライ回しにされ、しかも電話での質問については事実上の回答拒否扱いにされてしまったのです。同様に、長野高専のプール解体強行問題においても、どんなに簡単な質問であれ口頭では決して答えたがらず、「どうしても質問したければ、文書でやってほしい」と突っぱねてきたことを思い出しました。

○2021年3月18日:【長野高専】石原の悲願ついに成就…土居体制が水面下で強行の水泳プール解体に同校関係者一同呆然!!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3284.html

 こうまで文書にこだわる理由としては、オンブズマンに作成・送付の手間を少しでもかけさせて疲弊を狙うこと、回答作成期間として1日でも時間稼ぎをすること、いつもの銀座弁護士らの助言のもとに揉み消し回答を作ること、稟議にかけて責任の所在を曖昧にしておくこと、「すぐに回答できない」と間を置いてすぐに追撃を掛けられにくいようにすること、などが目的にあるとみられます。このやり口を、オンブズマン対応の新たな定石として、高専組織内部で共有している様子がうかがえます。

■なお、2019年度から2年間にわたり機構本部総務課の文書開示担当を務めてくれた橋本職員ですが、2021年3月末をもって異動となり、機構本部事務局を出て別の組織に移るとのこと。2021年度からは、小林という職員が後任として情報開示窓口担当に就くとの説明がなされました。

 当会が2015年に高専関連の活動を始めて以降、機構本部総務課の情報開示担当職員は、須田職員(?-15年度)、中村職員(16-17年度)、中島職員(18年度)、橋本職員(19-20年度)ときて、小林職員(21年度-)で通算5人目になります。指折り数えてみると、当会の活動も随分と長きにわたってきたものだという実感があらためて湧いてきます。


■さて、上記経緯のとおり高専機構側は、長野高専映像制作部ソフト不正コピー横行問題についてもアカラサマに不審な対応ぶりを見せ始めました。散々に時間稼ぎ・タライ回ししたあげくに「文書での質問しか受け付けない」と突き付ける新スタンダード対応をこの方面でも披露し始めたのです。どうも、なにやら相当に探られたくない腹があるようです。

 よってお望み通り、当会では以下の内容の公開質問状を作成し、4月12日に高専機構本部事務局総務課総務係宛てに特定記録郵便で発出しました。

*****長野高専映像制作部関連問題関連質問状*****ZIP ⇒ 20210412_software_fusei_copy_questionnaire.zip
                          令和3年4月12日
〒193−0834 東京都八王子市東浅川町701-2
独立行政法人国立高等専門学校機構
   本部事務局 総務課総務係  御中
TEL: 042-662-3120/FAX: 042-662-3131

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
                 TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
                    090-5302-8312(代表・小川)
                 FAX: 027-224-6624

      長野高専・Adobe社ソフト不正使用問題に関する問合せ

前略 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、先月にも架電にて本部事務局情報企画課の山崎様を通じてお問合せを差し上げておりましたとおり、長野高専映像制作部においてAdobe社ソフトの不正コピー使用が横行していた事件とその発覚、および当該事件に関して弊会が令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定にて貴法人内部の調査・対応経緯等を示す文書の開示を受けたことにつき、いささか疑問点が生じましたため、下記の質問をさせていただきたく存じます。
 公務多用のところ誠に恐縮ですが、迅速なご回答のほどよろしくお願い申し上げます。
草々

                記

【質問1】令和2年6月29日、貴法人はAdobe社より不正コピーソフト使用検知の通報を受けています。これ以後、貴法人として、Adobe社に対し何らかの応答や連絡(内容・手段は一切問わない)を一度でも行いましたか。以下2つのうち、該当する方の選択肢を回答ください。

 ☐1.行った
 ☐2.行っていない。

【質問2】上記質問1で「1.行った」を選択した場合、@その具体的な内容を説明ください(複数ある場合はすべて記載ください)。また、A今後にAdobe社に対して何かしらの連絡や報告を行う予定があるかどうかについてもお答えください。また、B令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定にその応答・連絡内容を示す文書が含まれていない理由を詳細にお答えください。
     上記質問1で「2.行っていない」を選択した場合、@ソフト不正使用の通報をしてきた当のAdobe社に対して、一切の応答や連絡を行っていない理由についてご説明ください。また、A今後Adobe社に対して何かしらの連絡や報告を行う予定があるかどうか、あるいはその必要性があると考えているかどうかについてお答えください。さらに、B自社の不正コピーソフト使用の被害を通報してきた民間企業に対し、一切応答しない対応が、公的機関である貴法人に求められる組織的道義や誠意の面に照らして問題ないと考えているか否かにつき、ご見解をお答えください。

【質問3】令和2年6月29日の通報以後、Adobe社から何かしらの連絡や求償請求等はありましたか。以下2つのうち、該当する方の選択肢を回答ください。
     また、「1.あった」を選択した場合、@その具体的な内容を説明ください(複数ある場合はすべて記載ください)。あわせて、A令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定にその連絡等内容を示す文書が含まれていない理由を詳細にお答えください。

 ☐1.あった。
 ☐2.なかった。

【質問4】Adobe社からの通報により発覚した同社ソフト不正使用問題について、貴法人として同社に被害額を弁済する必要があると考えているかどうかについてお答えください。また、本問題につき、貴法人内部で具体的な被害額の算出を行っているかどうかについてもお答えください。

【質問5】長野高専からの「調査結果」が本部に提出された日時をお答えください(令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定中の開示文書D)。


 以上、よろしくお願いします。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2021年4月27日(火)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが、上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                                   以上
**********


■そのまま回答を待っていると、当会が指定した回答期限である4月27日の夜9時前になって、新たに機構本部のオンブズマン担当になった小林職員から以下のメールが送られてきました。そしてそのメールに文書添付する形で、「回答」が送られてきました。また、これに並行して、当会事務局宛てにもほぼ同時刻に同内容の回答文書がFAXされてきました。

*****機構本部・回答文書送り状メール*****
送信元: 高専機構本部事務局総務課
日付: 2021年4月27日(火) 20:44
タイトル: 【国立高専機構】Adobe社ソフト不正使用問題に関する問合せ(回答)
宛先: 小川賢
Cc: 高専機構本部事務局総務課

市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様

いつもお世話になっております。
国立高等専門学校機構総務課総務係の小林と申します。

回答が大変遅くなりましたが、令和3年4月12日付けでお問合せをいただきました標記の件について、添付ファイルのとおり回答いたします。

なお、書面にてお示しいただいたとおり、FAXでもお送りしておりますので、併せてご確認いただけますと幸甚です。

どうぞよろしくお願いいたします。

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独立行政法人 国立高等専門学校機構
本部事務局 総務課総務係
小林 千宙
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2
TEL: 042-662-3120 FAX: 042-662-3131
E-mail:soumu@kosen-k.go.jp
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*****4/26付機構本部からの回答*****ZIP ⇒ tgsgpij.zip
                           令和3年4月26日

 市民オンブズマン群馬
  代表 小川 賢 様

               独立行政法人国立高等専門学校機構
                           (公印省略)

    長野高専・Adobe社ソフト不正使用問題に関する問合せ(回答)

 令和3年4月12日付けでお問合せのありました標記の件につきまして、以下のとおり回答いたします。

【質問1】令和2年6月29日、貴法人はAdobe社より不正コピーソフト使用検知の通報を受けています。これ以後、貴法人として、Adobe社に対し何らかの応答や連絡(内容・手段は一切問わない)を一度でも行いましたか。以下2つのうち、該当する方の選択肢を御回答ください。
 →〇1.行った

【質問2】上記質問1で「1.行った」を選択した場合、@その具体的な内容を説明ください(複数ある場合はすべて記載ください)。また、A今後にAdobe社に対して何かしらの連絡や報告を行う予定があるかどうかについてもお答えください。また、B令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定にその応答・連絡内容を示す文書が含まれていない理由を詳細にお答えください。
 上記質間(回答文書ママ)1で「2.行っていない」を選択した場合、@ソフト不正使用の通報をしてきた当のAdobe社に対して、一切の応答や連絡を行っていない理由についてご説明ください。また、A今後Adobe社に対して何かしらの連絡や報告を行う予定があるかどうか、あるいはその必要性があると考えているかどうかについてお答えください。
 さらに、B自社の不正コピーソフト使用の被害を通報してきた民間企業に対し、一切応答しない対応が、公的機関である貴法人に求められる組織的道義や誠意の面に照らして間題(回答文書ママ)ないと考えているか否かにつき、ご見解をお答えください。
 → Adobe社側からは、不正コピーではなく、「非正規ライセンス」という表現での連絡がありましたので、以下、非正規ライセンスと表現します。
 @ 非正規ライセンスがあったとされた複数の高専へ調査依頼をかけ、非正規ライセンスがあったとされる製品を発見した場合は、アンインストール等の対策をした上で弊機構まで報告するよう依頼し、その結果をAdobe社へ回答しました。
 A 令和2年12月に一旦調査は終了し、以降、定期的にAdobe社から非正規ライセンスの調査結果が届くようになっています。幣
(ママ)機構としては、今後も非正規ライセンスの利用が発生しないよう、今後も各高専へ呼びかけを行う予定です。
 B 令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定で、文書に不足がありましたこと、お詫び申し上げます。弊機構とAdobe社とのやりとりに係る文書については、追加で開示決定をする予定ですが、Adobe社の対応に係る部分については、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第5条2号により、不開示とさせていただく予定ですので、あらかじめご了承ください。


【質問3】令和2年6月29日の通報以後、Adobe社から何かしらの連絡や求償請求等はありましたか。以下2つのうち、該当する方の選択肢を回答ください。
 また、「1.あった」を選択した場合、@その具体的な内容を説明ください(複数ある場合はすべて記載ください)。あわせて、A令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定にその連絡等内容を示す文書が含まれていない理由を詳細にお答えください。
 →Adobe社の対応に関わりますので、弊機構からの回答は差し控えさせていただきます。

【質問4】Adobe社からの通報により発覚した同社ソフト不正使用間題(回答文書ママ)について、貴法人として同社に被害額を弁済する必要があると考えているかどうかについてお答えください。また、本間題(回答文書ママ)につき、貴法人内部で具体的な被害額の算出を行っているかどうかについてもお答えください。
 →弊機構としては、Adobe社の方針に従い、対応する予定です。

【質問5】長野高専からの「調査結果」が本部に提出された日時をお答えください(令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書聞示(回答文書ママ)決定中の開示文書D)。
 →令和2年7月8日(水)です。

                             以 上
**********


■なんと高専機構側は、自社ソフトの不正使用を通報してきたAdobe社とその後何らかのやり取りを行っていた事実、そしてそのやり取りにかかる文書が存在する事実を一転認めてきました。当会から正式に書面で問い合わせられ、遂に観念したものと考えられます。そうなると、事件に関するAdobe社とのやり取りという極めて重要な事実・極めて根幹的な書類が、「存在しないもの」扱いとされていたことが大きな問題になってきます。

 当会からの1月21日付け開示請求では、「情報の一切」「高専機構本部保有分情報も含む」と書いたわけですから、当然これらも含まれるべき文書だったはずです。高専機構側はなぜ、当のAdobe社とのやり取りという極めて重要な事実・文書について、あたかも存在しないかの如くしらばっくれていたのでしょう。

 当会の開示請求は、法律で保障された国民の権利として、正当な手続きのもと行われているわけですから、それに対して文書の存在自体を隠匿するなど大問題です。しかも、当会が正式に書面で質さなければ、永久に「存在しないもの」のままにされていたのですから、たまったものではありません。

 さらに、当会の質問では、Adobe社とやり取りを行っていたのであれば、それに関する文書が開示対象に含まれていなかった理由を「詳細にお答えください」としてあるのですから、今回の重大な過誤に至った経緯や理由について、高専機構側は誠意をもってしっかり説明しなければならないはずです。それにも関わらず、「お詫び申し上げます」の一言で流そうとする悪辣さには毎度ながら呆れます。

■いずれにせよ、これで、「被害当事者なのに蚊帳の外に置かれていたAdobe社」という当初のイメージは根底から大きくひっくり返されることになります。だとすれば、次に気になるのは、高専機構とAdobe社でどのようなやり取りが交わされ、どのような条件で幕引きが図られたかということです。

 ところが高専機構側は、ようやく観念してAdobe社とのやり取りを行った事実を認めたかと思えば、「Adobe社の対応に係る部分については不開示とさせていただく予定です」などとさっそく先手を打って釘を刺してきました。まさに面の皮の厚さは一級品です。

 しかし、高専機構側がその根拠として掲げる「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第5条2号は、イとロに細分されており、まずどちらに該当するのかわかりません。

●参考:「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413AC0000000140

 恐らくは、イの「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当すると主張したいのでしょうが、「Adobe社の対応に係る部分」だからすべてこれに該当する、というのは論理の飛躍に見えます。しかもそれでは、発端となるAdobe社からの通報経緯は開示したことと整合が付きません。

■さらに、Adobe社からの連絡や求償請求の有無を聞いた質問3については、「Adobe社の対応に関わるので」と回答拒否されてしまいました。高専機構は、Adobe社とのやり取り内容、特にAdobe社に賠償したかどうかという点について、よほど明らかにしたくないようです。

 もしも、高専機構としてAdobe社に金銭を支払い解決を図ったとすれば、映像制作部が勝手にしでかした不手際の尻拭きを、すべて税金と他の国立高専学生の授業料で賄ったことになります。高専機構が必死に本件の情報隠しを試みている理由も、あるとすればこのあたりに潜んでいそうです。

 しかし、経緯の実態を隠し切るのは相当に難しいように思われます。高専機構側は意図的にか「機構とAdobe社とのやりとりに係る文書」という形でしか言及していませんが、もし高専機構からAdobe社に金銭の流れがあったならば、予算の支出や決裁にかかる情報が絶対に残るはずだからです。

■ところで、機構本部からの回答文書のうち当会質問の引用箇所をよく見ると、「間題」「聞示」などといった、人間の手による文字起こしでは有り得ない誤字が随所に見られます。つまり、「回答」に際して当会からの問合せ状をスキャンし、コンピュータに文字認識させて文字起こししていることが読み取れます。しかし、そうした省力化にも関わらず、こうした基本的な漢字ミスが多数紛れ込んでいること自体が、担当者や上司が「回答」をじっくりチェックできなかった様子を示しています。

 さらに、小林職員が回答メールとFAXを送ってきた時間は、当会の設定した回答期限日の午後9時前でした。「働き方改革」が叫ばれるこのご時世に、夜遅くまでの残業をさせてしまったことには心からの申し訳なさを感じますが、これと上記の漢字ミス連発を考え合わせると、「回答」の作成背景がおぼろげながら見えてきます。

 もしも、当会の問合せ状を受け取った直後より、小林職員がドラフト段階から「回答」の作成を担当していたらと仮定してみましょう。その場合、回答ドラフトについて都度上司のチェックを受け、最後には稟議にかける必要がある以上、漢字のミスはおおむね取り除かれていてしかるべきと考えられます。また、「回答」案が最終稟議に通った段階で、それをほぼそのまま送ればよいのですから、「回答」のためにわざわざ夜遅くまで残業する必要はないはずです。

 そのように考えると、一つの解釈として、小林職員には触れさせない形で「上」が「回答」を練り、そして回答期限日になってようやく、「上」が小林職員に「回答」内容を伝えた可能性が指摘されます。そして、それを受けた小林職員が大急ぎで問合せ状を文字起こしし、チェックする間もなく回答内容を打ち込んで、残業しつつなんとか回答期限日内に「回答」を間に合わせたというストーリーが考えられます。

 高専機構側としても、理事様が校長を務める高専の不祥事ですから、いつもの銀座弁護士のアドバイスも受けつつ、いつも以上に回答内容と情報統制に気を遣っているのかもしれません。

■このように高専機構側は、ようやく観念してAdobe社と高専機構とのやり取りがあったことを認め、関連文書を追加で開示するとは言い出したものの、一歩引いたところにまた強固な防衛線を敷いて、実態解明をしつこく阻みに来ています。

 そこでまず当会では、以上のような観点を踏まえ、小林職員からの上記「回答」添付メールへの返信のかたちで、以下の再質問メールを4月29日に送信しました。

*****4/29再質問メール*****
送信元: 小川賢
宛先: 高専機構本部総務課
日付: 2021/04/29 20:17
件名: Re: 【国立高専機構】Adobe社ソフト不正使用問題に関する問合せ(回答)

高専機構本部
総務課総務係
小林様

毎々お世話になります。
メール添付及びFAXにて、令和3年4月26日付け回答を確かに受領いたしました。
拝読させていただきましたところ、貴回答内容について疑義が生じましたため、あらためて以下のとおり再質問を差し上げます。
なお便宜上、以下ではたとえば質問2のBに対する回答を「回答2−B」というかたちで呼称させていただきます。

【再質問1】
 回答2−Bについて、令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定に不足があったとのことを了解致しました。しかし大変失礼ながら、その場合は、「(同決定に)含まれていない理由を詳細にお答えください」と弊会から質問させていただいております。
 弊会の1月21日付け開示請求において「情報の一切」「高専機構本部保有分情報も含む」と記載した以上、今回の不足分情報が同決定の対象となるべきだったのは明らかです。法律に基づいた妥当な開示期限内に受け取るという当然の権利が損なわれたばかりか、国民が費用と労力をかけて質問するまで不手際を修正できず、また文書の存在すら明らかにならなかったという事態は、相当に重く捉えるべきであると考えます。弊会としても、不利益を被った以上、誠意のある説明もなく安易に納得することはできず、貴法人には説明等に関する道義的責任が生ずるものと考えております。
 よって同決定に今回不足分情報が含まれていなかった理由について、あらためて詳細にご説明いただきたく思います。
(意図的なものか、または過失によるものか。いずれにしてもその詳細な理由ないし経緯について、また過失であれば再発防止についてどのように考えているか、など)

【再質問2】
 弊会からは、本年4月12日付けで本件質問状(長野高専・Adobe社ソフト不正使用問題に関する問合せ)を差し上げ、さらにこれと同趣旨の質問を3月11日時点で高専機構本部事務局情報企画課情報企画係の山崎様に対し架電にて差し上げておりました。すなわち、貴法人として令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定における文書不足を3月中旬時点から認識できる状況にあったはずにも関わらず、4月29日現在に至っても「追加開示決定」をいただけていないのは、どのような理由によるものでしょうか。

【再質問3】
 回答2−Bについて、「貴法人とAdobe社とのやり取りにかかる文書」のうちAdobe 社の対応に係る部分については、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第5条2号に基づき追加開示決定で不開示とする予定とのことですが、令和3年3月1日付け長野高専庶第55号法人文書開示決定において、少なくともAdobe社からの通報経緯などについては開示いただいている以上、「Adobe 社の対応に係る」から同条同号に該当するといえないのは確かです。同号同条の趣旨からいっても、Adobe社の企業としての権利利益を害するものでなければ、開示できるはずです。
 したがって、「Adobe 社の対応に係る部分」をすべて不開示とすることは不適切であると考えるため、再考願います。そのうえでなお不開示と判断される場合、「Adobe 社の対応に係る部分」のうち個別の各箇所について、具体的にどのような理由で、同条同号のどの箇所に該当すると考えるのかお答えください。

【再質問4】
 今回追加開示されるという「貴法人とAdobe社とのやり取りにかかる文書」以外で、弊会の1月21日付け開示請求に対する開示決定もしくは不開示決定の対象となるべきだったにも関わらず漏れてしまったという文書は確かにございませんか。

再質問については以上です。
上記再質問について、特に回答期限は定めておりませんが、大変勝手ながら「貴法人とAdobe社とのやり取りにかかる文書」の追加開示決定までに併せて回答賜れますと幸いです。ご回答の方法については、双方のやり取りの迅速化・省力化のため、メールもしくはメール添付で差し支えございません。

また、今回の追加開示決定の対象文書は、本来3月中に受領できていたはずのものであり、迅速に追加開示決定と開示実施を賜れますようお願い申し上げます。あわせて、今回の追加開示決定が弊会の過失によるものでない以上、手数料・郵送費についてもご配慮いただきたく存じます。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********

■さらに、実態をより確実に浮き彫りとすべく、ゴールデンウィーク前最後の平日となる4月30日、高専機構本部宛てと長野高専宛ての新たな文書開示請求計2通を特定記録郵便で発出しました。

●高専機構本部宛・長野高専宛の新開示請求 ZIP ⇒ adobelj.zip
zj.zip

*****4/30新開示請求(機構本部宛)*****
              法人文書開示請求書

                            令和3年4月30日

  独立行政法人国立高等専門学校機構
  理事長 殿

        氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
         市民オンブズマン群馬   代表 小川 賢
        住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
         〒379−0114 群馬県安中市野殿980
                        TEL 090(5302)8312 
        連  絡  先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
         〒371−0801 群馬県前橋市文京町一丁目15−10    
                    市民オンブズマン群馬事務局長  鈴木 庸
                 TEL:027−224−8567


 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。

                 記

1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)
長野高専の映像制作部による不正コピーソフト使用事件(または非正規ライセンスソフト使用事件)に関し、高専機構として、その被害につきAdobe社に弁済・補償等をしたことにかかる情報の一切。
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*****4/30新開示請求(長野高専宛)*****
              法人文書開示請求書

                              令和3年4月30日

  独立行政法人国立高等専門学校機構
  長野工業高等専門学校 御中

        氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
         市民オンブズマン群馬   代表 小川 賢
        住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
         〒379−0114 群馬県安中市野殿980
                        TEL 090(5302)8312
        連  絡  先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
         〒371−0801 群馬県前橋市文京町一丁目15−10
                    市民オンブズマン群馬事務局長  鈴木 庸
                 TEL:027−224−8567


 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。

                 記

1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)
長野高専映像制作部について、過去10年間にわたり、その予算会計の状況がわかる一切の情報。特に同部におけるDVD等物品販売の収支がわかる情報。
**********


■以上のとおり、まず高専機構本部には、「高専機構としてAdobe社に弁済・補償等をしたことにかかる情報」の開示を請求し、一方で長野高専には、映像制作部をめぐる予算会計の実態を開示させることにしました。

 高専機構がAdobe社に弁済・補償をした事実関係があるにせよないにせよ、おかしな点が浮上してきます。高専機構が弁済・補償をしていれば、当の映像制作部は一銭も払わずに、他人の税金と授業料で被害補償したことになります。高専機構が弁済・補償をしていなければ、不正コピーソフトにより莫大な収益を上げていたにも関わらずお咎め無しの前例ができてしまいます。すなわち、長野高専・高専機構側がAdobe社に対して「不都合な真実」を伝えていない、とも推察できます。

 話によると長野高専映像制作部は、毎年にわたってDVD等の物販で多大な収益を上げていたようです。長野高専関係者の言によると、「映像制作部も学生会の中の組織なので、販売した収益はそのまま『映像制作部の活動の費用の一部』になっていて、恐らく学校側には一銭も回収されていない」とのこと。それでは、多額の収益は一体どこに消えているのでしょう。少なくともAdobe社への補償に使われたのではないことは確かです。

■長野高専では、部活動は「学生会」の内部組織とされており、学生会と部活動については長野高専の学生準則に根拠規定があるようです。

●参考:「長野工業高等専門学校学生準則」
https://www.nagano-nct.ac.jp/guide/rule/docs/10-01%20%E5%AD%A6%E7%94%9F%E6%BA%96%E5%89%8720210401.pdf

*****長野高専学生準則(抜粋)*****
第 21 条 本校に,本校学生全員をもつて構成する学生会を置く。
第 26 条 学生会に,総会,評議員会,役員,委員会,部及びクラブを置く。
第 28条 学生会は,毎年度初めに,その年度の会長その他の全役員の名簿を校長に提出するものとする。
 2 学生会は,毎年度事業計画書及び収支予算書について学校の承認を受け,また,事業報告書及び収支決算書を学校に提出するものとする。
**********

 すると、「学生会」が同校の一部として見なされるのかどうかも、今後の重要なポイントになります。

 というのも、今回の長野高専宛て新開示請求について、「学生会」の保有文書が対象とされるかどうかも焦点となるからです。学生準則第28条2項に基づいて学生会から学校に提出された事業報告書及び収支決算書が開示対象となるのはほぼ確実ですが、一方でその他の細かな映像制作部の会計書類等の扱いはどうなるのでしょう。これらについては、「学生会保有の文書」という扱いになるものとみられますが、それが今回の法人文書開示請求の対象となるには、当然「学生会」が長野高専の一部の扱いである必要があります。たとえば、「後援会」などはあくまでも学外の任意団体の扱いなので、その内部文書を開示請求で出させるということはできません。

 もっとも、上記の学生準則第21条「本校に,本校学生全員をもつて構成する学生会を置く。」を素直に読めば、学生会も長野高専の一部であるとは解釈できます。

 こうした観点からすると、長野高専が今回の新開示請求に対してどのように返してくるかは、そのまま長野高専が「学生会」および映像制作部をどのように扱っているか、を判断する試金石にもなり得ます。もし「学校の一部」として扱うならば、映像制作部に会計文書を提出させ、それを長野高専の内部文書として開示しなければいけません。

 その一方で、「学校外部の任意団体である」とするならば、映像制作部の内部会計資料まで開示させる必要はないことになります。しかしそうなれば、「無関係の外部団体」である映像制作部の起こした問題のために、高専機構がその公費予算からAdobe社にびた一文であれ支払う筋もまた、皆無であることになります。


■さて、長野高専映像制作部の不正コピーソフト使用横行問題への当会調査について、今回の報告は以上となります。今回報告のとおり、本事件については長野高専を飛び越えて、東京の高専機構本部直々に不審な対応を繰り広げてきています。

 土居信数・高専機構理事様のお膝元学校で起きた大規模不祥事ですから、機構を挙げて火消しに躍起になるのも頷けます。しかし本問題は、対応をめぐって教育機関としての矜持と倫理観が問われるのみならず、血税が不適切に使われた疑惑すらも孕むものであり、悪辣な隠蔽対応を繰り広げれば繰り広げるほど、後ろめたい暗部の臭いは強まってしまいます。

 正直に情報を出して適切な対応を取ればそれで済むものを、いちいち関係者や国民をバカにした揉み消し対応を繰り出すからこそ、結果としてより一層の憤りと追及を招き、事態はますます大ごとになっていくのだということを、長野高専と高専機構の上層部はいい加減に学習するべきです。

 ゴールデンウィークが明けたのち、高専機構側から一体どのような「やり取り」の情報が追加開示されるのか、また当会の再質問と新開示請求に対してどのような対応がなされてくるのか、大きく注目されます。今後、調査追及に一定の進捗が得られ次第、本ブログにて報告してまいる所存です。

 読者の皆様方におかれましては、活発なご意見や情報提供を遠慮なく当会にお寄せください。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
17



2021/5/25  21:53

投稿者:通行人A

けっきょく時間のばしで逃げ切り!?

2021/5/14  20:33

投稿者:5S通生

今週から対面授業再開になった。水曜日から制限付きで部活も再開して来週の火曜日にクラスマッチもある。クラスマッチ中止かと心配したけどなくならなくてよかった。

2021/5/11  21:59

投稿者:ひらく会情報部

>>「5S通生」さん、「4C通生」さんへ
 長野高専のコロナ対応についてご意見を表明くださりありがとうございます。
今回、コロナ感染者発生で緊急登校停止に踏み切った同校が今後どのような動きを見せていくのか、注視していきたいと存じます。

  市民オンブズマン群馬事務局より

2021/5/8  18:35

投稿者:4C通生

5S通生さんと同じでせめて教室や廊下を消毒したか教えて欲しい。

2021/5/8  16:48

投稿者:5S通生

昨日新型コロナで急に休校になった。休校の連絡もあいまいで、映作部不正ソフト使用をまともに調べないてあいまいなのと同じ気がする。月曜日から授業再開のメールがあったけど行って大丈夫なのか心配だ。金曜日に教室消毒したのか教えて欲しい。

2021/5/8  6:07

投稿者:ひらく会情報部

>>コメントをいただいている皆様へ
 事件事実の公表・学内通知をしない、過去実態の調査をしようともしない、といった点だけでも学校側の対応には疑念まみれです。
 もっとも最大の焦点は、長野高専・高専機構がAdobe社とどのようなかたちで「解決」を図ったのかということです。当会の質問や開示請求に対し、長野高専・高専機構がどのように返してくるのか、大いに注目されます。

  市民オンブズマン群馬事務局より

2021/5/7  20:15

投稿者:卒業生3

どうせ「学生に払わせましたので終わった話!!!」(←ただし最安プラン1000円が1ヶ月分だけ)みたいな話だろ、高価なソフト何年もつかっときながら。

2021/5/5  12:19

投稿者:4年寮生

卒業したら逃げ切りなんて酷い。卒業生からも事情を聞いて、反省文書かせてもいいんじゃないの。想像以上に酷い。弁償金っていくら来たのかな。

2021/5/4  15:20

投稿者:通行人

事務局の指摘通りで”非正規ライセンス仕様があったので、今後同様の事が起こらない様に高専機構としても気を付けます。”と回答するのが一番の火消しだと思いますが、のらりくらりしたら逆なでして騒ぎが大きくなって逆効果だと思います。

2021/5/4  10:51

投稿者:卒業生2

専門学校で不正使用したところは何億もとられてるみたいだし規模が小さい映作部でも10年近く使ってたら何十万単位でなくて何百万単位の請求が来てるだろう。想像以上に悪質です。映作部に学生会長もいた噂もあったけど10年近くなら事実かもしれない。

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