【安中タゴ51億円事件】会議録不開示取消訴訟で原告完全敗訴!…土地公社の伏魔殿化を追認した前橋地裁  土地開発公社51億円横領事件


■令和3年8月18日(水)13時30分に前橋地裁2階第21号法廷で開かれた第4回弁論の判決言渡しで、4月に前任の渡邊裁判長(現・東京高裁判事)と交替した田中芳樹裁判長は、冒頭、橋本書記官が「令和2年(行ウ)第17号事件」と読み上げた後、「それでは判決を言い渡します。主文、本件訴えのうち,別紙不開示情報目録記載以外の不開示部分の取消しを求める部分を却下する。原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。理由は判決文を見てください」と宣言しました。

 4月に前橋地裁に赴任した田中裁判長が、前任者から引き継いだ事件で初めて判決を出すということで、その内容が注目され、オンブズマン関係者3名と大手新聞記者1名が傍聴していましたが、やはり行政にモノ申す判決内容とは程遠く、行政におもねる事なかれ主義の判決でした。現在、当会で係争中の数件の行政を相手取った住民訴訟事件を同裁判長が担当していますが、この判決文からすると、その他の事件の行方にも影響は大きいと思わざるを得ません。さっそく判決文を見てみましょう。
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6日間続いた雨天からようやく日差しを見せた8月18日午前11時ごろの前橋地裁。


 この事件の出訴からこれまでの経緯については、次のブログを参照ください。
○2020年11月29日:【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンに加えタゴに1万8526年ローンを許容中の安中市を提訴!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3247.html
○2021年1月14日:【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンの公社理事会議録の不開示取消訴訟第1回弁論を前に安中市から答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3264.html
○2021年6月11日:【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンの公社理事会議録の不開示取消訴訟が結審!8/18に判決
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3325.html

■判決文の全文は次のとおりです。

*****8/18判決文*****ZIP ⇒ 20210818isjj.zip
令和3年8月18日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官橋本勇一
令和2年(行ウ)第17号 行政文書不開示処分取消請求事件
口頭弁論終結日 令和3年5月26日
           判    決
   群馬県安中市野殿980
       原        告   小  川     賢
   群馬県安中市安中一丁目23番13号
       被        告   安   中   市
       同代表者兼処分行政庁   安中市長 茂木英子
       同訴訟代理人弁護士    小  坂  景  子
           主    文
    1 本件訴えのうち,別紙不開示情報目録記載以外の不開示部分の取消しを求める部分を却下する。
    2 原告のその余の請求を棄却する。
    3 訴訟費用は原告の負担とする。
           事実及び理由
第1 請求
 処分行政庁が原告に対して令和元年8月6日付けでした行政文書部分開示決定(安企発第826号。以下「本件決定」という。)のうち,別紙文書目録記載の各文書中の黒塗り箇所を不開示とした部分を取り消す。
第2 事案の概要
 原告は,処分行政庁に対し,安中市情報公開条例(以下「本件条例」という。)6条1項に基づき,「2018年7月以前を含め,これまでに公社と群馬銀行との間で協議を重ねてきた経緯がわかる一切の情報(群銀との協議録のみならず,公社における理事会・評議会など内部の会議録を含む。)」等が記載された行政文書の開示を請求した(以下「本件開示請求」という。)。処分行政庁が同請求について本件決定をしたことから,原告は,被告に対し,本件決定のうち,別紙文書目録記載の各文書中の不開示部分の取消しを求めた。
 1 本件に関する法令等の規定
 (1) 本件条例の定め(抜粋)
ア 本件条例において,「実施機関」とは,市長,教育委員会,選挙管理委員会, 公平委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会及び議会をいい,「行政文書」とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているもの をいう(2条1項,2項)。
 イ 何人も,本件条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する行政文書の開示を請求することができる (5条)。
 ウ 実施機関は,開示請求に係る行政文書に次に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない(7条2号,3号)。
 (ア) 個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。
 (イ) 法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。
 エ 実施機関は,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に,かつ,開示請求の趣旨を損なわない程度に区分することができるときは,当該部分を除いて行政文書の開示をしなければならない(8条1項)。
 オ 実施機関は,法人の設立に当たり,市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって,実施機関が保有していないものについて,当該情報の公開の申出があったときは,当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる(24条2項)。
 (2) 公有地の拡大の推進に関する法律(以下「法」という。)の定め(抜粋)
 地方公共団体は,地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地となるべき土地等の取得及び造成その他の管理等を行わせるため,単独で,又は他の地方公共団体と共同して,土地開発公社を設立することができ,土地開発公社は,法人とされる(10条1項,11条)。
 2 前提事実
 以下の事実は,当事者間に争いがないか,本文中に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認めることができる。
 (1) 安中市土地開発公社(以下「本件公社」という。)は,法10条1項に基づき,被告が全額を出資して設立した土地開発公社である。(甲4)
 (2) 本件公社では,昭和62年から平成7年にかけて,当時の職員が,約3億4490万円の公金を着服し,また,群馬銀行から融資金約48億円を騙し取るなどして,約51億1250万円を横領するという事件(以下「安中市土地開発公社不祥事件」という。)が発生した。
 (3) これを受けて,群馬銀行は,平成7年10月19日,本件公社及び本件公社の保証人であった被告に対し,貸金の支払及び保証債務の履行を求める訴訟を提起した。
 (4) 上記訴訟において,平成10年12月9日,本件公社及び被告が,群馬銀行に対して連帯して24億5000万円を分割して支払う内容の和解(以下「本件和解」という。)が成立した。(甲7,10)
 (5) 原告は,令和元年6月10日,処分行政庁(安中市長。以下「市長」という。)に対し,「広報あんなか2019年6月1日号のP9下半分にある「安中市士地開発公社不祥事件 和解20年後の対応について」という記事に関する次の情報」として,「2018年7月以前を含め,これまでに公社と群馬銀行との間で協議を重ねてきた経緯がわかる一切の情報(群銀との協議録のみならず,公社における理事会・評議会など内部の会議録を含む)。」等が記載された行政文書の開示を求める本件開示請求をした。(甲1)
 (6) 市長は,本件公社に対し,本件開示請求の対象となる情報のうち本件公社が保有しているものについて,本件条例24条2項に基づき,情報を提出するよう求めたところ,本件公社は,別紙文書目録中別紙不開示情報目録記載以外の黒塗り部分(以下「本件公社黒塗り部分」という。)を黒塗りした文書(以下「本件各文書」という。)等を提出した。
 市長は,本件各文書のうち,個人の氏名及び地位については本件条例7条2号に,法人の印影については同条3号に該当するとして,該当箇所を黒塗りした上で,本件決定をし,これを原告に通知した。(甲2,5〜10)
 (7) 原告は,令和元年11月7日,本件決定を不服として,市長に対し,審査請求をした。(甲3)
 (8) 市長は,令和2年5月15日付けで上記審査請求を棄却するとの裁決をし,同月16日,原告に対してこれを通知した。(甲4)
 (9) 原告は,令和2年11月16日,本件訴訟を提起した。(当裁判所に顕著な事実)
第3 争点
 1 本件各文書のうち,本件公社黒塗り部分について,市長の不開示決定が存在するか(争点1)
 2 本件決定の適法性(争点2)
第4 争点に関する当事者の主張
 1 争点1(本件各文書のうち,本件公社黒塗り部分について,市長の不開示決定が存在するか)
 (1) 原告の主張
 被告が本件公社の群馬銀行に対する本件和解に基づく債務について連帯保証人である以上,市長は,本件公社理事会の会議録情報を全て保有していなければならない。
 また,本件公社は,その運営に携わる職員は被告の市長部局の職員が全て兼務し,その業務従事時間に相当する給与は全て被告が支払っている。本件公社には組織固有の総務や人事など存在せず,執務用の専用スペースもなく,電話もFAXもなく,本件公社の看板すらない。本件公社は,その施設の全てを被告と共有しており,実質的に被告と同体である。
 さらに,被告は,本件公社の連帯保証人である以上,本件公社理事会で繰り返し行われてきた本件和解に関する協議の内容について,無頓着であってはならず,しかるべき方策を本件公社が取っているか知る必要があるから,本件公社から情報を取得する義務がある。
 したがって,市長は,本件各文書について,黒塗りしていないものを保有しているはずである。
 (2) 被告の主張
 市長は,本件開示請求を受け,本件公社に対し,本件条例24条2項に基づき,情報の提出を求めた。これに対して,本件公社が,本件公社黒塗り部分を黒塗りした文書(本件各文書)等を提出したため,市長は,本件条例7条2号又は3号に該当する部分を黒塗りした上で,本件決定をした。
 本件公社は,被告と密接な関係で業務を行っているが,法人格はもとより会計上も被告から独立しており,本件条例においても同様に位置付けられている。そのため,被告が本件公社の連帯保証人となっていたとしても,市長は,本件公社理事会の会議録情報を保有しておらず,また,保有する義務もない。
 したがって,本件各文書のうち本件公社黒塗り部分について,市長による不開示決定は存在しない。
 2 争点2(本件決定の適法性)
 (1) 被告の主張
 前記のとおり,本件公社黒塗り部分の不開示決定は存在しない。また,別紙不開示情報目録記載部分は,個人の氏名及び地位又は法人の印影であるから,本件条例7条2号又は3号に該当する。
 したがって,本件決定は適法である。
 (2) 原告の主張否認ないし争う。
第5 当裁判所の判断
 1 争点1(本件各文書のうち,本件公社黒塗り部分について,市長の不開示決定が存在するか)について
 原告は,被告が本件公社の群馬銀行に対する本件和解に基づく債務について連帯保証人であること及び被告と本件公社が実質的に同体であること等から,市長は,本件各文書について,黒塗りしていないものを保有しているはずである旨主張する。
 確かに,前記前提事実(4)のとおり,被告と本件公社は,群馬銀行に対し,本件和解に基づく連帯債務を負担している。しかし,そうであるからといって,市長が本件公社理事会の情報を全て保有していることにはつながらないし,本件公社は,法に基づいて被告が設立した土地開発公社であり(前提事実(1)),被告からは独立した法人格を有するものであるところ,本件全証拠によっても,被告と本件公社が実質的に同体であるとの事実は認められない
 また,本件条例24条2項は,実施機関は,市が2分の1以上を出資している法人に対して,実施機関が保有していない情報を提出するよう求めることができると規定するものの,市長において,本件公社が本件公社黒塾り部分を黒塗りして提出した文書について,さらに本件公社に対して黒塗りのないものの提出を強制することまではできないものと解される
 したがって,原告の主張は採用することができない。そして,本件全証拠によっても,市長が,本件決定当時,本件各文書について黒塗りしていないものを保有していたことは認められないから,本件公社黒塗り部分について,市長による不開示決定は存在しないというべきである
 2 争点2(本件決定の適法性)について
 上記のとおり,本件公社黒塗り部分について,市長による不開示決定は存在しない。
 ところで,前記前提事実(6)及び弁論の全趣旨によれば,別紙不開示情報目録記載部分のうち,議事録本文中の黒塗り部分は個人の氏名及び地位が記載された部分であり,議事録添付資料中の黒塗り部分は法人の印影が記載された部分であることが認められる。
 個人の氏名及び地位が記載された部分は,「個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」として本件条例7条2号に該当する。法人の印影が記載された部分は,法人の印影が,記載事項の内容が真正なものであることを示す認証的機能を有する性質のものであり,これを公開すると,偽造等によって当該法人に損害を及ぼすおそれがあるから,「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」 として同条3号に該当する。
 したがって,不開示情報部分を除いて開示をした本件決定は適法である。
 3 結論
 以上によれば,本件訴えのうち,本件公社黒塗り部分の不開示の取消しを求める 部分は不適法であるから却下し,その余の請求は理由がないから棄却することとす る。

    前橋地方裁判所民事第1部
       裁判長裁判官  田 中 芳 樹
          裁判官  杉 浦 正 典
          裁判官  清 水 瑛 夫

=====別紙1=====
(別紙)
           文 書 目 録
1 平成30年度第3回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録
2 平成30年度第4回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録
3 平成30年度第5回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録
4 平成30年度第6回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録
5 平成30年度第7回公社理事会安中市士地開発公社理事会会識録
6 令和元年度第1回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録

=====別紙2=====
(別紙)
      不 開 示 情 報 目 録
1 平成30年度第3回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録のうち,6枚目の5,6,11,16,18行目の黒塗り部分
2 平成30年度第4回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録のうち,5枚目の7,8,29,30行目,6枚目の16,17,28,29行目,7枚目の9行目,資料 7及び参考資料(「証」書式)の黒塗り部分
3 平成30年度第5回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録のうち,12枚目の35行目,14枚目の14,22行目,資料3及び資料4の黒塗り部分
4 平成30年度第7回公社理事会安中市士地開発公社理事会会議録のうち,6枚目の16行目及び13枚目の35行目の黒塗り部分
5 令和元年度第1回公社理事会安中市土地開発公社理事会会議録のうち,6枚目の36行目,7枚目の1行目,資料1−3及び資料1−4の黒塗り部分


これは正本である。

令和3年8月18日
  前橋地方裁判所民事第1部
   裁判所書記官 橋 本 勇 一
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■裁判所が判決文を書く時、よく使う言い回しがあります。それは、判決文の文中に赤字で示したとおり、「しかし,そうであるからといって,○○していることにはつながらないし,○○であるとの事実は認められない。」「○○することができると規定するものの,(ただちに)○○することまではできないものと解される。」「したがって,○○しないというべきである。」という文章構成に如実に表れています。

 公社の事業実態を市民の目から遠ざけたことにより、地方自治体では史上最高額の51億円余りの横領事件が26年前に起きました。

 ところが当時、市民団体である当会の前身の「市政をひらく安中市民の会」が提起した、元職員をはじめ公社の歴代の理事幹事らの責任追及と損害賠償を求める住民訴訟事件において、当時の一審の前橋地裁も、二審の東京高裁も、そして上告審の最高裁判所も、「公社は安中市とは別法人だから、安中市民には被害がなく、よって訴えの利益がないから訴訟資格もない」として、市民団体の請求を棄却しました。

 本当に市民に損害がないのであれば、安中市は土地開発公社に対して連帯保証をする必要がないことになります。しかし、田中芳樹裁判長ら判事は、その点について「しかし,そうであるからといって,○○していることにはつながらないし,○○であるとの事実は認められない。」として、直視した判断をすることはありませんでした。

■24年前に上記の判断をした裁判官に対して、24年後の現在の裁判官が、全く同じ理屈で「公社別法人だから」という判断を最優先にしたのです。その結果、今後とも、安中市=安中市土地開発公社は、自ら損害を被った元職員に対して、損害賠償を求める努力もせず、そのことを市民に対して情報開示する熱意もなく、群馬銀行に対してのみ、あと81年間にわたり、元職員の尻拭いの為の和解金を毎年2000万円ずつ支払うためだけに、公社だけは存続させようという方針を、ますます助長させることになってしまいました。

 しかし、安中市=公社が、高崎市に在住する元職員が、毎月1万円の自主返済をしている現状に満足して、今後も約1万8000年にわたり、返済してくれると思っているのでしょうか。

 あと8年後に、和解後30年目の対応の次期がやがて巡ってきます。次回までに、この忌まわしい負の遺産を次の世代に残さないように、筆者は命の続く限り、尽力してまいる所存です。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】
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