民主政権下における「記者クラブ」制度のありかた・・・八ッ場ダム報道の例  八ッ場ダム問題


■記者クラブは、全国各地に数百とも数千あるとも言われているテレビ・新聞・通信などの民間メディアで構成される任意団体です。群馬県の場合、県庁の刀水クラブ、県警の記者クラブのほか、高崎市のような規模の大きな自治体の役所にも記者クラブがあり、安中市の場合も岡田市長による定例の記者会見が各月の最終週に市役所で、それぞれ決まったマスコミ加盟各社を対象に行われています。

 この記者クラブの実態について、週刊朝日10月23日号350円で、ジャーナリストによる「官僚が繰る“一億総洗脳社会”の恐怖」と題する記事がP30-31に掲載されていて、「巧妙かつ狡猾な霞が関の手先となって、日本国民を“一億総洗脳”する手助けをしてきた」と一刀両断でコメントしています。

■朝日新聞出版の「週刊朝日」によると、野党時代の民主党は、6年間にわたって、「記者経験の解放」を実行してきたが、鳩山政権が指導したとたん、その「公約」が一挙にしぼんでしまったというのです。

 野党のときはできていたのに、なぜ与党となったらできなくなったのか、与党慣れしていない新任の各大臣らが、官僚らと接触した途端に、いとも簡単に“洗脳”された、というのです。そして、“洗脳”は、首相官邸にたむろす日本最大の記者クラブ「内閣記者会」の記者らを筆頭になされたというのです。

■すべての役所の建物は国民の共有財産のはずですが、わが国では、任意の民間マスコミ企業の組織体の「記者クラブ」に勝手に使用許可・運営権限まで与えてしまっており、そこに法的根拠はなく、憲法違反の疑いもあると「週刊朝日」では指摘しています。

 そして、違反ともいえる便宜を記者クラブに許しているのが、そのうまみを知り尽くしている役人で、その目的は、情報操作に基づく記者と政治家、その先の国民への洗脳だというのです。

 権力とメディアとの間には、一定の緊張関係がなければなりませんが、日本の官僚は、「敵」であるはずの記者クラブを省庁に長年寄生させて、餌付けすることで、骨抜きにしてきました。水俣病、薬害エイズ、薬害肝炎、無駄な高速道路建設、地方空港の赤字、学校校舎の未耐震化、年齢記録紛失、官官接待、官報接待、公費流用、不正経理、天下り、などなど・・・と記事で指摘しています。

 これらはみな、早くからフリーランスのジャーナリストや雑誌メディアが取材し、その記事によって追及し、国民に警鐘を鳴らしてきた霞が関官僚の数々の不祥事の一部にすぎない、というのです。

■注目されるのは、「最近では八ッ場ダムにおける建設中止批判の世論操作は、国土交通省の役人が記者クラブを通じて国民に発信したものです」という件です。

 代表例のひとつが、「工事を中止したほうが高くつく」というものです。国交省のダム役人が、ダム建設を中止すると下流の6都県に負担金1460億円を還付する必要が生じ、継続した場合に比べて約800億円多くかかるという情報操作を記者クラブを通じて、国民に流布させました。

 ところが、実際は、ダム役人が「還付しなければならない」と説明している負担金1460億円のうち約570億円は国庫補助金なので、本当に返さなければならない金額は約890億円に過ぎないのです。

 さらに建設継続とした場合、東京電力の発電所への減電補償、関連事業などで1000億円程度の増額が不可避となります。

■マスコミが一定レベルの情報を共有できるという、この記者クラブ制度は、表裏一体で、情報源に操作されやすく、しかもショバ代無料で立派なオフィスを借りているため、マスコミが役人の批判を言いにくくなるのは目に見えています。だから長年、日本の官僚は、この記者クラブという制度を便利なものとして駆使し、我々国民を洗脳してきました。霞が関からすれば、記者会見を解放するというのはとんでもないことなのだ…というのが週刊朝日の主張です。

 確かに、当会が、平成19年2月24日に、県庁の刀水クラブで八ッ場ダム推進派による丸岩会の実態について、証拠資料を配布して説明した際に、地元の上毛新聞をはじめ、全国や、群馬テレビ、共同、時事通信社など、担当記者は膝を乗り出して興味を示し、証拠資料にどよめきが上がったのですが、その後、この情報をもとに実態調査を行い、丸岩会と八ッ場ダムとの関係を掘り下げようというマスコミは現れませんでした。

■したがって、記者会見のオープン化は、群馬県の場合、とくに急ぐ必要があります。また、記者クラブの開放化についても、刀水クラブや県警記者クラブなども、推進する必要があります。市民団体が記者会見をしようとすると、椅子にふんぞり返った記者が、横柄な態度で、面倒くさそうにどうでもよいことを質問してくることが、かつては殆んどでした。そして、せっかくの市民団体の記者会見情報も、せいぜい社会面の片隅の埋め草記事にしてもらえればよいほうで、基本的にはボツにされることを覚悟しなければなりませんでした。

 最近は、かつてのような入りにくい雰囲気は薄れてきましたが、公金で設置され管理されている施設であることを認識して、たとえば、ローカルのミニコミ紙や、市民ジャーナリスト、そして市民オンブズマンなども記者会見に出て、質問したりできるようにしてもらいたいものです。

■最後に、週刊朝日が10月8日に実施したという、マスコミ各社に対する「大臣会見オープン化についての見解」についてのアンケート実施結果を次に掲げます。

●朝日新聞:日本新聞協会の見解に沿って、出席者を記者クラブ加盟社に制限すべきではない。
●毎日新聞:日本新聞協会の見解に基づき、各記者クラブが判断すべき。
●読売新聞:日本新聞協会は報道の実績を有し、報道倫理と共有していくことを前提としており、弊社も同じ認識。
●産経新聞:記者会見のあり方は日本新聞協会などで検討をしているところであり、そうした見解を尊重する。
●日経新聞:さまざまな事情が許すのであれば参加を制限する必要はないのではないか。
●東京新聞:国民への情報開示、取材の機会均等などの観点から原則認めるべき。
●共同通信:報道活動に長く携わり、一定の実績があるメディアやジャーナリストらには。原則オープンにすべき。
●時事通信:理想としては理解できるが、会見には時間などの制約もあり、慎重に検討されるべき。
●NHK:現時点では具体的な回答は差し控える。各社の動向や、日本新聞協会の議論も踏まえながら対応を検討。
●日本テレビ:認めるべきでないとの立場はとらないが、記者会側と大臣側が十分に協議することが大切。
●TBSテレビ:記者クラブは「開かれた存在」であるべき。そのうえで各々のクラブが事情を勘案して適宜対処すべき。
●フジテレビ:原則オープであるべき。それを現実的に対応すべき時期に来ている。
●テレビ朝日:認めてよい。オープン化にあたっての条件なども考えていない・
●テレビ東京:基本的に認めてもよい。各省庁の実情に合わせてルールつくりをしていくことも求められる。

 大手全国紙やNHK、時事通信が、日本新聞協会の規定云々にならうなどと、横並び体質なのにくらべ、共同通信やテレビ系は、記者会見オープン化推進の必要性を認めています。群馬県には、上毛新聞というローカル新聞がありますが、他の地域、たとえば、青森の東奥日報や栃木の下野新聞、愛媛の愛媛新聞などにくらべると、極めて保守的です。また、当会がしてきしたように、群馬県で取材の最前線にいる記者の皆さんは、旺盛な取材意欲をもっていますが、デスクと呼ばれる編集長がヒラメのように上の意向ばかりうかかがっているため、マスコミの構造改革は急務と言えます。

 今後も、八ッ場ダム問題を例にとって、マスコミ各社の動静を分析していきたいと思います。

【ひらく会情報部】
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