2009/11/28  23:29

柳川喜郎・岐阜県前御嵩町長の体験談から見える群馬県西毛地区のサンパイ場計画の深刻さ  全国のサンパイ業者が注目!

■11月28日(土)午後2時から、高崎市東町の労使会館3階で、「今、産業廃棄物処分場を考える」学習・交流会が開催されました。目玉は、あの有名な、柳川喜郎・岐阜県前御嵩町長による講演です。さっそく、出かけて見ました。

 この催しについては、あらかじめ、当会の会員から開催情報の連絡がありましたが、その後、安中市内でも回覧板で通知があったのには驚きました。これまで、サンパイ問題で、回覧板で通知が回されたのは、今年3月に岩野谷地区の区長会名で、初めてチラシが回覧されたのが唯一だったからです。

 会場の3階大ホールには、主催者の関係者も含め、約150名ほど集まりました。呼びかけ人は、県議の後藤克己氏と角倉邦良氏、それに高崎市議の山田行雄氏となっていました。このほかにも、開催前に、参加議員関係者の紹介があり、三宅雪子代議士の秘書、富岡代議士の代理人、関口県議、安中市からは茂木英子県議と高橋由信市議、そのほか、高崎市議数名らの名前が呼ばれました。

クリックすると元のサイズで表示します
盛況だった講演会の会場の様子。

■式次第により、司会進行役の後藤県議の挨拶から始まりました。後藤県議の自己紹介によると、県議に出馬前は、群馬県庁の廃棄物政策課に所属しており、サンパイ行政の実態と問題の深刻さは痛感していたとのコメントがありました。とすれば、なぜ岩野谷のサイボウ環境のゴミ処分場で、群馬県が業者の横暴に加担したのを黙って見ていたのか、詳しく聞きたいと強く思いました。

 続いて、主催者の一人の山田行雄高崎市議の挨拶がありました。それによると、柳川前町長は、昨日高崎に入り、昨日の午後は榛名町のサンパイ計画予定地、今日の午前中は、吉井町の上奥平のサンパイ銀座を視察されたとのこと。また、山田市議は、労組時代、20数年前、豊島のサンパイ不法投棄の現場を見たことがあり、その後巨額のコストがかかる後処理の困難さから、サンパイ問題の深刻さをアピールしました。そして、群馬県の西部地区で、サンパイ計画が目白押しである実態に警鐘を鳴らすべく、本日の目的は意見交換会を開催することであると説明しました。

■このあと、柳川喜郎・岐阜県前御嵩町長が紹介され、同氏の講演が始まりました。

 1時間余りにわたる同氏の講演内容は、@地球環境は温暖化より化学物質汚染、A自ら直面した御嵩町のサンパイ問題、B最近のサンパイ情勢、Cサンパイ処分場は有害化学物質の終着駅、Dサンパイ処理の対処方法、E行政と住民という構成でしたが、時間の関係で、@からCまで聴講しました。

■とくにインパクトがあったのは、やはり、Aの体験談です。88万㎥のサンパイ埋め立て計画が91年8月に浮上した当時、御嵩町の町政は反対を唱えていましたが、その後、町長ら一部役場幹部10名らが、35億円の協力金に目がくらみ、業者と秘密協定を結んでいたことが、2ヵ月後の95年4月に御嵩町長選で柳川氏が初当選して間もなく発覚。当時の町議会はすっかり業者寄りで、「全員協議会に諮ったから問題ない」の一点張りでした。

 しかし、地方自治法では、全員協議会に諮っただけでは議決と見なされず、密約は無効であることがわかり、柳川町長は、役所にあったサンパイ資料を入れたダンボール6個を家に持ち帰り、詳しく読んだそうです。

■一方、予定地周辺の住民の間でも、サンパイ問題についての勉強会を、15人ほど集まって定期的に、地元の寺で開いていました。ところが、刺青をした男が3回押し入り、「なぜこんな会を開くんだ」「お前、こういっただろう」と参加住民に圧力をかけ、挙句の果てには、寺の山門に、ウサギの足を吊るして置くなど、脅迫が続きました。

 こうした情報に、柳川町長は、このサンパイ計画の裏には何かある、として、95年9月に、市民に知らされていない業者その密約について、情報開示を決断しました。すると、怪しげな男達は町長室にも着た同です。そこで、不測の事態が起きないように、柳川町長はますます情報公開の重要性を痛感し、町民に実態を知ってもらいよく議論してもらうよう環境作りに尽力しました。そのときは、1年後にまさか自分の身に、不測の事態が起きようとは夢にも思いませんでした。周囲の人たちは、柳川町長に「身辺に気をつけて、防犯カメラも設置したほうがいい」とアドバイスしたそうですが、かつてNHK解説委員の前は、ベトナム戦争も取材した経験のある町長は、「丸腰が一番無難」などと嘯いていたそうです。

■そして、96年10月30日に、あの有名な襲撃事件に遭遇したのでした。上半身、めったうちにされ、腕の骨はおられ、あばら骨は3本、鎖骨もおられ、頭蓋骨には野球のボール半分くらいのくぼみが今でも残っているそうです。あと、2センチ窪みが深ければ、あの世だったと治療に当たった医師から後日告げられたとのこと。なお、犯人はまだ捕まっておらず事件は未解決のままだそうです。

 実は、この事件の前兆として、96年4月に、暴力団と右翼の2グループによる自宅アパートの電話盗聴事件が発覚しました。その後の裁判で、サンパイ業者がそれぞれのグループに4000万円ずつ渡していたことが判明。盗聴器を仕掛けるだけで巨額のカネが支払われる異常性が、サンパイ問題の本質をよく表しています。

■町長がまだ病院で生死の境を彷徨っているころ、97年6月に御嵩町で全国初のサンパイ住民投票が行われ、8対2でサンパイ計画に反対の意思が示されました。いまでこそ合併問題で住民投票は全国各地で実施されるようになりましたが、当時は住民投票といえば、アンケートの一種という程度の扱いをされていましたが、実際には、新潟県巻町の原発を巡る住民投票、沖縄の米軍基地を巡る県民投票に次いで、全国3番目の住民投票でした。

 その後、柳川町長は容態を回復し、骨折した箇所に埋め込んだ金具も取れ、殆ど後遺症もなく回復していますが、サンパイ問題は、その後も県と町と業者間で長い交渉が続き、2008年3月にようやく計画中止が合意されたそうです。しかし、計画地だった200ヘクタールの山林は、業者が所有する限り、将来いつまた計画が再燃するかも知れず、2007年4月に町長を退任後も、柳川氏は、名古屋市など木曽川の下流自治体に個人として掛け合い、山林の買取りのための協力を要請し続けているとのことです。

■このほか、印象的だったのは、次のことばでした。

「サンパイ処分場ビジネスは、利益率抜群」
 製薬会社とサンパイビジネスは高利益率の商売の双璧です。とくにサンパイ業者にとって、処分場を保有しているだけで、カネが沸いてくるのだそうです。現代の「打ち出の小槌」なのです。そのため、この甘い蜜を狙って、魑魅魍魎が集まってくるのが特徴。

「金力+暴力+権力のトライアングル」
 甘い蜜が醸し出す三角関係として、政治家、ヤクザ、右翼、そして行政の加担が挙げられます。このため、サンパイに反対する者は、スキがあればやられるため、柳川氏いわく、顔の後ろにもう2つ、目が欲しかったそうです。

「サンパイ問題の根本は有害物資による慢性的被害」
 最近、日本でも発行されている「ラブ・キャナル」という本。これは、アメリカのナイヤガラ付近で、有害化学物質の埋められた運河の埋め立て地区に住んでいた住民の間に、流産・死産・奇形が多発し、それを告発した一主婦に強大な圧力がかけられたが、それにまけずに戦った結果、アメリカの環境行政を変えるまでに至った経緯が書かれているもので、ぜひ、一読を薦められました。サンパイ処分場は、ほんの僅かな汚染でも、それが長期間にわたり周辺や下流の住民の健康を、子どもや孫、さらに後世代に至るまで、長期にわたって脅威となるため、絶対安全という業者の謳い文句を信じてはいけない、ということを肝に銘じるよう、アドバイスがありました。

■また最近のサンパイ情勢として、環境省の最新データの紹介がありました。それによると、
 ・最終処分量    9000万(平成3年) → 2100万トン(平成18年)
 ・最終処分場許可数 193ケ所(平成8年) → 32ケ所(平成17年)
 ・残余年数     2.6年(平成5年) → 7.7年(平成17年)
 ・不法投棄     1197件、42.8万トン(平成10年) → 382件、10.2万トン(平成19年)
であり、最近のトレンドは、処分場計画の大型化だそうです。

■柳川氏の講演の後、質疑応答、そして各地からの報告として、
 ○高崎市十文字町
 ○高崎市吉井町上奥平
 ○安中市
 ○神流町
から、関係者の報告があったようですが、残念ながら別の用事があったため、聴講できませんでした。

■配布された資料の中に、「事前協議・許可申講中の産業廃棄物最終処分場」の一覧表がありました。参考までに次に示しておきます。

**********
●事前協議・許可申請中の産業廃棄物最終処分場  (H21.11.20 廃棄物政策課)

No./協議者名称/区分/品目/設置予定場所/処理能力(面積m2・容量m3)
1/三光産業処理(有)/安定型/廃フラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/多野郡吉井町大字上奥平大平2187番1/30,342・416,637
2/(株)エコ・ステージ関東/管理型/燃え殼、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、13号廃棄物、動植物性残漬 (一般廃棄物を含む)/多野郡吉井町大字多比良字長尾根683-5外/79,004・1,000,352
3/エム・ケイ・エス(株)/管理型/燃え殼、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、13号廃棄物 (一般廃棄物を含む)/安中市大谷字長坂1200−1外/25,000・
520,000
4/(株)ウチダ/安定型/廃ブラスチッケ類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/藤岡市上日野宇細谷戸691-1/27,077・582,848
5/昇健(株)/安定型/廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/安中市大谷字長谷津815外/16,645・266,715
6/(株)リサイクルクリーン/管理型/燃え殼、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、13号廃棄物/高崎市榛名町十文字字岡田地内/46,352・904,325
7/新栄産業(株)/安定型/廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/吾妻郡嬬恋村大字芦生田字山腰782番外/25,754・482,024
8/(株)環境資源/管理型/燃え殼、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、本くず、ゴムくず、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず、鉱さい、ばいじん、がれき類、動植物性残さ、13号廃棄物 (一般廃棄物を含む)/安中市大谷字出雲1260番地外/33,537・644,924
9/エコクリーンサービス(株)/安定型/廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/吾妻郡草津町大字草津字前原1025-1外/28,992・746,790
10/三原興業(株)/安定型/廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/高崎市箕郷町矢原字鈴ケ峯2135番外/5,002・53,822
11/シオサイト(株)/安定型/廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/草津町大字草津字白根464番134外/34,785・633,836
12/(株)エコ計画/安定型/廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類/渋川市祖母島字中丸1966番2外/36,413・430,288
**********

■会場配布のチラシや上記の一覧表には載っていませんでしたが、地元の安中市で回覧されたチラシには、群馬県におけるサンパイ処分場を巡る問題発生場所として、神流町船子も書いてありました。

 これは、多野郡神流町大字船子字高熊甲761付近で計画中のアスベスト等のサンパイ管理型最終処分場のことです。当会では、平成21年7月6日に、このサンパイ処分場について情報開示請求を提出したところ、同年8月21日付け廃政第601-28号で、部分開示決定通知書が環境森林部廃棄物政策課産業廃棄物係から届きました。この中で、事前協議の情報とともに、業者の取下書も含まれていましたが、建設反対運動を展開中の周辺住民の方々には、取下書があるからといって、決して油断しないように、アドバイスを差し上げました。なぜなら、業者は行政と住民の知らないところで粛々と手続きを進めるからです。

■当会が取り組んでいる安中市土地開発公社51億円巨額横領事件の発生時期は、奇しくも岐阜県御嵩町でサンパイ問題が浮上し、柳川町長が就任した当時と重なります。当時、安中市でも、サイボウ環境の処分場問題で、当時のサイボウの結城文夫社長(故人)が、安中市長選の最中に、3000万円を懐に地元に乗り込んでいたことが警察の捜査で明らかになっています。その後、このサイボウ環境の処分場では、数々の不正や違法行為、とくに隣接地権者の同意を得るために多数の書類が偽造され、それらを地元住民が行政や警察に告発しましたが、いずれも、不発に終わり、平成19年4月にとうとうサイボウ環境の処分場が出来上がってしまいました。

クリックすると元のサイズで表示します
岡田市政のもとで、サンパイ場計画がひしめきあう安中市岩野谷地区のサンパイ計画場所の位置図。直ぐお隣の高崎市吉井町の上奥平地区のサンパイ銀座の様子は、当会の今年7月6日のブログhttp://pink.ap.teacup.com/ogawaken/279.html#readmore
参照。


■今回の柳川町長の講演会が、複数の群馬県議らにより主催され、多数の議員が参加したことは、14年前には到底考えられませんでした。安中市からも、茂木県議と高橋市議が参加しましたが、地元の岩野谷地区は、拝金主義の市長を輩出したところです。柳川氏も言うように、こうした地区は、カネにものを言わせる業者にとって、非常に御しやすいため、サンパイ処分場計画を根絶するには、他地区より遥かに粘り強い努力が求められます。

■また、サイボウ環境の処分場問題で、行政や裁判所が余りにも業者寄りの判断を下すのが、この群馬県の特徴です。元県庁マンの県議の登場が、その癒着を断ち、サンパイ場の建設反対に携わる県内の住民運動が、今後連戦連勝できるためには、行政が住民側に立つようになるのかどうか、懸念をいだきつつも、注目したいと思います。

【ひらく会情報部】
5



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ