2010/4/15  23:56

ウラジオストクの短い春(その3)  国内外からのトピックス


■春を迎えつつあるウラジオストクですが、天候の変化が著しく、低気圧の通過で火曜日午前に大雪が降ったと思ったら、水曜日からぽかぽか陽気で、気温も日中は10度を超え、雪もすっかり融けました。再び郊外では、野焼きの煙がたなびき始めました。


 この野焼きですが、日本でも害虫対策で河原の土手や原野で行われています。先日は、野焼きの最中に強風が吹き、火に巻かれて死者が出るという惨事もありました。ウラジオストクの野焼きも、春の風物詩ですが、中には無許可で野焼きをして、民家に燃え移ったりするトラブルや死傷事故も起きるそうです。とくに、ロシアの短い春には、野草、とりわけワラビが一斉に芽吹きますが、収穫しやすいようにあらかじめ野焼きをします。ロシアでもワラビは良い値段で売れるため、この時期に勝手に野焼きをするケースが後を絶たず、事故やトラブルが多発するそうです。

■ところで、ロシアでも日本より一足先に、2007年から子ども手当制度を始めています。ロシアでは、2008年に女性一人当たりの生涯出産率が1.49となり、20年前の1988年の2.13から大幅に下がっているため、人口増の切り札として、導入されました。

 ロシアでは子ども手当制度は、正式には母親への出産奨励策で、正確には母親手当というべきものです。2016年末までに2人目以上の子どもを出産した母親に1回だけ資金援助され、当初は25万ルーブル(約80万円)でしたが、物価上昇を勘案して昨年から34万ルーブル(約105万円)になりました。

 ただし、使途は自由というわけではなく、子ども子供が3歳を迎えた後、「住宅購入資金」「大学や専門学校の学費」「母親の年金としての積み立て」の中から一つ選ぶそうです。それでも、この制度はかなり効果が出始めているようで、ウラジオストクでも2子目を産むカップルが多くなってきたとのことです。しかし、具体的な効果がわかるのは、10年ごとに行われる国勢調査で確認してからとなります。

■ロシアでは教育も、かつてソ連時代では無料でしたが、今では、有料の私立学校に人気が集まる傾向だそうです。日本と異なり、最近は理系の人気が高く、リーマンショック後、厳しくなった就職環境においても、理系を選択するほうが有利だからということです。

 ロシアでは、かつて宇宙開発や金属材料、化学技術などで世界をリードした分野がたくさんありました。その背景として、基礎科学研究が大学や研究所で行われていたことが挙げられます。国の方針でそうした基礎分野の教育や研究の重要性が認識され、継続して実行されていたためです。ところが、ソ連崩壊後は、欧米や日本と同様に、とりあえずすぐに結果が出て当座の利益を得やすい応用化学に政府の方針がシフトしました。そのため、独創的な技術論文や特許の数が激減したと、かつてソ連時代に教育を受けた年代の人たちは嘆いています。

■ウラジオストクには、今のところ在留邦人は100人前後です。このほかに、日本からの観光客はまだまだ少ないのですが、ロシア語の習得のために訪れる日本人が多いようです。なぜなら、ロシア語には方言がなく、日本に近いウラジオストクで語学学習をすれば、ロシア語標準をマスターできるからです。

 一方、日本語を学習するロシア人は、ウラジオストクだけでも常時3000人いると言われています。極東大学にも日本語学科があり、ここで学んだ卒業生は、日露のビジネスに従事しているものも多いということです。

■ロシアの男性の平均寿命は59歳と言われています。女性は72歳だそうですが、それでも、日本の女性に比べれば14歳以上差がついています。この平均寿命の短い原因として、寒い気候によるウォッカの一気飲みや高カロリーの食事などが取りざたされています。

 そのため、現在はダイエットに対する関心が高くなっています。ウラジオストク市内にも、日本食レストランが次第に増えており、スシバーを銘打った店や、メニューに日本食を載せる店も増えています。また、野菜サラダや魚料理など工夫を凝らしてヘルシーさを売り物にしたメニューも見かけます。

■こうした背景で、今回、ウラジオストク空港で偶然見かけた「群馬県昭和村」の出迎えプラカードから、既に報告した通り、コンニャクにまつわる話題を知ることができました。

 残念ながら、現地では多忙のため、昭和村が参加した農産物見本市の会場には足を運べませんでしたが、日本のマスコミで、唯一ウラジオストクに支局を持っているNHKが、4月14日に開催された見本市で、昭和村のコンニャク紹介の話題を取材し、その晩の7時のニュースで次のように放送したことを後で知りました。

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こんにゃくをロシアへ紹介
4月14日 19時25分
 消費が伸び悩むこんにゃくの販路を海外に拡大しようと、全国一の産地、群馬県の生産者らがロシア極東のウラジオストクを訪れ、こんにゃくを初めて紹介しました。群馬県は、こんにゃく芋の全国一の産地ですが、海外からの輸入が増える一方、国内消費が伸び悩み、販路の拡大が課題となっています。
 ウラジオストクを訪問しているのは、群馬県昭和村の生産者ら10人です。一行は、14日ウラジオストクの農産物見本市に参加し、こんにゃく芋から作ったハンバーグやめんなど、13種類の製品を並べて、こんにゃくを紹介しました。ロシアでは、日本食が健康によいとして消費者の関心が高く、生産者たちは、こんにゃくが日本でダイエット食品として知られていると説明しながら試食を勧めていました。こうした説明は、とりわけ女性たちの注目を集め、このうちの1人は「簡単にダイエットができそうです。1つの芋から、こんなにたくさんの食品ができるなんて不思議です」と話していました。群馬県は、こんにゃく芋の国内生産の90%余りを占める全国一の産地ですが、海外からの輸入が増える一方、国内消費が伸び悩んでいるため、販路の拡大が課題となっています。県などによりますと、こんにゃくを海外で本格的に紹介するのは、今回が初めてだということで、昭和村の加藤秀光村長は、「こんにゃくのよさをアピールして、ロシアでも、どんどん広げていきたい」と話していました。村では、今回の反応をもとに、こんにゃくを本格的に売り込むか検討することにしています。
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4月14日夜7時のNHKニュースから。

■たまたま、15日のフライトでウラジオストクから成田に戻る際に、前日、現地見本市に参加した昭和村の加藤村長初め、コンニャク農家や商工会議所メンバーら今回のコンニャク紹介のための使節団と再び一緒になりました。

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成果に手ごたえを感じたという昭和村使節団。帰国のため意気揚々とウラジオストク航空機に搭乗する加藤村長(左から2人目)ら使節団一行。

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日本人経営者が自ら料理を作っているレストラン「BIBABO(ビバボ)」のお奨め料理。外見は韓国料理店。しかし、日本料理とイタリア料理を得意としている。ちなみに、ビバボというのは指人形のことだとか。
http://www.geocities.jp/urajionihon/News2/kawaraban51/51-4.html(ウラジオストク市内の食事場所情報)

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↑創作的なロシア料理の一例。↑

■加藤村長の話によると、「ロシア側の手ごたえは相当感じた」とのことです。「7月にも再度ミッションを派遣する予定」だそうですが、「せっかくコンニャク消費のマーケットを開拓しても、日本の場合と同様に、安い中国産のコンニャクに取って代わられるのでは」という不安が付きまとっているようです。

 しかし、ロシア人は、日本産の食材と中国産の食材を比較して、価格よりも安全性の観点から、中国産の食材を敬遠する動きをすることは確かです。そこで、当会では、日本食とのコラボレーションで、コンニャクの消費拡大のアイデアを考えてはどうか、と提言しました。今回も試食用に持参したそうですが、コンニャクの刺身や、カニ風味のコンニャクなどは日本食をイメージさせるので、ロシア人の好みを刺激するはずです。

 また、ロシア料理で有名なボルシチ、ピロシキ、ぺリメニなどの食材向けに、牛スジ味や豚角煮味などに加工したコンニャクなどの開発なども有望と思われます。長寿効果は半減するでしょうが、ウォッカのツマミ用にピクルス風味や酢漬け風味のコンニャク加工品も面白いでしょう。

■昭和村による今回のコンニャクキャンペーンで、極東ロシアに、新たな日本食=ダイエットの開拓が生まれ、さらなる日本食ブームが沸き起こるのかどうか、興味深く見てゆきたいと思います。

【ひらく会情報部・海外取材班】
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