2010/7/7  23:56

フリマ中止を巡る未来塾と安中市・岡田市長とのバトル…最終ラウンドその2-2(未来塾の最終準備書面)  安中フリマ中止騒動

■引き続き、3月18付けで未来塾が提出した原告最終準備書面です。


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第9 「談話」が事実に反すること
1 総論
 被告岡田の作成した「談話」は,原告らが冒頭から怒鳴ったなどの記載を始めとする,真実に反した記述が多数に及び,また,意見交換会の話し合いの内容や関係資料を恣意的にとりまとめられ,さらにはフリーマーケットと無関係かつ誤った内容が掲載されている。
 特に原告がICレコーダーで録音していた記録と照らし合わせれば,「談話」の記載内容がいかに事実に反しでいるかは,一目瞭然である(ICレコーダーの録音の理由・態様,原告らが同録音に一切手を加えていないこと等に関しては,「第10」で詳述する)。
 以下詳述する。

2 安中市からの回答日と開催準備期間(@)
(1) 会場使用許可が伝えられた日付
ア 「談話」(甲1の1)では,「3.安中市から回答した日:平成19年9月13日午前8時30分誠意を持って許可する旨回答した」と記載されている。しかし,安中市が原告らに対し開催を許可する旨連絡したのは,9月14日午前9時ころ,長澤建設部長からの原告松本に対する電話によってであり,事実に反する(甲50:22頁,原告松本:15頁)。
イ 被告岡田は,長渾建設部長が原告らに使用許可を伝えた等の報告を,長澤建設部長が被告岡田に対して同月13日午前9時45分にした,と主張するが(被告岡田第1準備書面26頁),他方で,同じ頁に午前8時50分とも記載があり,その後,「指摘の9時45分ではなく8時45分(市長室を出た時間)と訂正します」と修正するなど(被告岡田準備書面(3)24頁),そもそも主張に一貫性がない。被告岡田は,9月13日で間違いないと理由も付して証言しているが(被告岡田8頁),原告からの指摘で主張を修正している過程からして,信用性は全くない。
ウ 長澤建設部長は,平成20年2月20日,会場使用許可を伝えた日付が間違っていることを,原告らに対し認めている(甲55:7頁)。

 松本  (略)長湯さん9月13日に私のところに,あの,野尻に会いに来たって言ってるんですけれども,会ってないですよね。
 長澤  あれが,1日違ってたんでしょ?
 松本  1日違って,14日に電話ですよね。
 長澤  あれがね。1日ね。

(2) 開催準備期間
ア 「談話」では「4.フリーマーケット開催予定日」の項目に「市の回答から44日間もある」などと,あたかも,準備期間が十分にあり,フリーマーケット開催の断念が原告側の責任であるかのような記載がなされている。
 しかしながら,フリーマーケットの開催には約3ケ月を要するものである(甲25)。意見交換会の場において,原告らは,1週間でも開催は無理である旨を被告岡田に明言した。他方,被告岡田も,使用許可に関する結論は1週間で出すことは無理と明言した。そのため,原告らはやむなく,9月12日にフリーマーケットの開催を断念し,関係者に連絡したのである(甲50:21頁,22頁)。
 意見交換会においても,原告らは,すでに開催までぎりぎりの状況であること,1週間でも結論を待つことは無理であることなどを述べ,また,被告らが今日結論を出すことは無理なのかとも尋ねている(甲50:17頁)。被告ら答弁書6頁に記載されているような,原告らが「1週間以内に結論を出すよう求めた」事実はなく(甲50:21頁),この点被告安中市も,第1準備書面5頁以降において主張を事実上修正している。
イ 他方,意見交換会において,被告岡田も,使用許可に関する結論は1週間で出すことは無理と明言した(甲50:17頁,22頁)。
 被告岡田は,本訴訟において,原告未来塾のメンバーである高橋議員の一般質問中,「できますよ,40日あれば,44日あれば」との発言(丙4:134頁)を根拠に,あたかも被告らが使用許可を出した時期はフリーマーケット開催準備との関係で十分であったかのように主張するが(第1準備書面30頁),失当である。
 高橋議員の発言は,「(被告らから)確かに3日後に返事を出しますからお待ちくださいと言われればjと前置きをした上でのものである。
 フリーマーケットは関係者も多数に及び,事前説明会なども行う必要がある。開催を断念するか否かの最終的な判断を行い,関係者に通知するのには,意見交換会の時点すでに限界に近い状態であった。そのような状況で,被告らより数日中に確実に回答が見込めたのであればともかく,被告岡田からは「結論を1週間で出すことは無理」と明言された以上,原告らは開催を断念し9月12日に関係者に通知せざるを得なかったのである。被告岡田は上記の高橋議員の発言を都合良く部分的に引用しているが,フリーマーケット開催断念の原因がむしろ被告岡田の言動にあったことは明らかである。
(3) 録音記録
 実際の意見交換会でのやりとりは,下記の通りであった(甲40:33頁:意見交換会開始後約1時間6分)。

 松本  ご意見をいただきたいと思っています。
 岡田  恐縮ですが,
 松本  はい。
 岡田  今日結論を,出すわけにはいかない・・・
 松本  ふん・・・ふん・・・協議が必要だということですか?
 岡田  協議だとか調査だとかいろいろとありますから。行政には行政の。何度も申し上げているように,行政は万人の奉仕者でなければならないわけですから。はい。
 松本  確認をとっておきたいんですけれども,場所はじゃあ,今の状態では貸していただけないということでいいですか?
 岡田  貸すとか,貸さないとかということじゃない。調査,協議が必要だと・・・
 ■■ 今の段階では無理ということですか?
 岡田  今日は無理です。
 ■■  今日は無理ってことですか?
 岡田  はい。
 松本  我々にはあの,
 ■■ 期限がある。
 松本  期限っていうか,ちょっと,イベントですから何ケ月ってかかりますから,期限がどうしてもございます。
 ■■ 出店者のね,募集から始まって・・・
 松本  はい。もうぎりぎりのところにきておりますので,斯限も,例えば一週間も向こうにいってしまうとですね,開催が難しくなります。ですから1週間以内とか,そういう形の,1週間は無理かー。
 ■■ 無理だな。
 岡田  あの,こちらも1週間は無理です。
 松本  は−ん。
 ■■ あ−ん,1週間では無理って・・

(4) 結論を出すのに調査・協議が必要との被告岡田の主張の虚偽性
 被告岡田は,意見交換会において,上記のとおり,会場使用許可の判断にあたって「調査・協議」が必要だと述べていた。そして,その後原告らに対し会場の使用許可を出しだのは(日にちに争いがあるが)わずか数日後である。しかしながら,被告岡田が原告らのフリーマーケット活動に対して疑問を持って「真のボランティア活動で」との趣旨の文書(甲22)を発送したのは平成19年5月のことであり,その時点から意見交換会までの間に4ケ月弱も経過していた。その間に「調査・協議」を行うことは十分できるはずであり,実際,意見交換会から会場使用許可までのわずか数日間で調査・協議ができているのである。それにもかかわらず,被告岡田は,意見交換会より前にはそのような調査は行わなかったなどと証言しており(被告岡田:26頁),そもそも調査・協議自体,その当時において必要性がなかったのである。

3 意見交換会開始直後,特に原告松本が怒鳴ったとの点(A)
(1) 被告らの主張
 被告岡田は,「談話」(甲1の1)の中で,下記のように掲載した。
 市 :すみませんが確認をさせていただきたいのですが・・・
 未来塾:目を見て話をしろ(冒頭から怒鳴る)
 市 :静かに話をしましょう。
 さらに被告岡田は,この際に■■■が大きな声で「そうでしょう」と総務部長,教育部長,建設部長の順に3回指さした,とも主張している(被告岡田答弁書25頁)。
(2) 実際のやりとり
 しかしながら,原告松本が「目を見て話をしろ」と怒鳴った事実は一切存しない。また,■■■が大きな声で「そうでしょう」と総務部長,教育部長,建設部長の順に3回指さしたという事実(被告岡田答弁書25頁)も一切ない。
 実際のやりとりは,下記の通りであった。
 すなわち,意見交換会において,被告岡田は,同人から見て左側に並んで座っている原告関係者の方を見ずに,右の市職員らの方を向いたままで話を進めていた。この時の被告岡田は,体も顔も原告らのほうを向けずに右を向いていた(体や顔を原告らのほうに向けながら目だけ見ていなかったという姿勢ではなかった)(原告松本:9頁)。開始夜前15分か経過した頃,原告松本がF市長さん,お話をしているのは私ですから,できれば私のほうに向いていただけると,お答えもしやすいんですがjと指摘したところ,被告岡田が原告松本の発言に対して「重箱の隅」などとの表現を用いて返答したため,■■■が被告岡田に対し,「でも,話をするときは人の目を見たほうがいいと思いますよ」と諌めたのである(甲50:14〜15頁,甲51:3頁,甲52:3頁,原告松本:9頁)。
(3) 「談話」の記載が事実と全く反すること
ア 「談話」には,目を見て話を「しろ」と,原告良が命令口調で述べたように記載されているが,原告松本は「市長さん,お話をしているのは私ですから,できれば私のほうに向いていただけると,お答えもしやすいんですがjと丁寧な口調で発言している。
イ 「談話」には,「冒頭から」怒鳴る,と記載されているが,原告松本が発言したのは意見交換会開始からすでに15分ほど経過した時点であった。
ウ 「談話」には,冒頭から「怒鳴る」,と記載されているが,原告松本の発言は声の大きさ・強さともに普通であった(原告松本:10頁)。
エ 「談話」には「目を見て」話をしろ,と,原告らが発言したと記載しているが,そもそも被告岡田は体も顔も原告らの方向を向いていなかった(原告松本:9頁)。
オ 「談話」には,「すみませんが確認をさせていただきたいのですが」と市側が発言したあとに原告らの当該発言があったかように記載されているが,事実でない(後述する)。
カ 「談話」には,原告らの発言のあと,市側が「静かに話をしましょう」と発言したように記載されているが,帯側がそのように発言した事実はない。
(4) 録音記録
 実際,意見交換会開始後約15分を経過した時点で,下記のようなやりとりであった(甲40:8〜9頁)。

 岡田  それで,あの・・ま,地震に関する寄付はわかりましたが,この2000円を徴収するというですね,このことはどういう根拠に基づいているんですか?
 松本  う−ん,根拠とおっしやいますと?
 岡田  いや,公有地ですから。
 松本  はい,えーとですね,わたくしどもは,これを,ま,約15年前からやらせていただいているわけですね。
 岡田  市から許可を受けて?
 松本  はい。
 岡田  2000円を。
 松本  はい。
 岡田  徴収しますよという・・・?誰が受けたのですか?
 松本  市長さん,お話しているのは私ですから,できれば私のほうに向いていただけると,お答えもしやすいんですが。
 岡田  いや,そういう,そういう重箱の隅みたいな。もっとおおらかに。
 ■■  でも,話しをするときは人の目を見たほうがいいと思いますよ。
 岡田  もっとおおらかに・・・
 松本  はい,えーとですね,誰にとかいう,えーと,ま,そんな,それこそ,そんな記憶がですね,なかなかはっきりはしないんですけども,えー,以前に市とですね,協議・・執行部の皆さんとの協議ってのは何回か重ねてはきております。

 被告らは,「目を見て話をしろ」と原告が冒頭から怒鳴った,との事実関係について,
 ・「意見交換会の冒頭における全くの事実である」(被告ら答弁書6頁)
 ・「松本立家氏が『目を見て話しをしろ』と,それは大声で怒鳴ったのである。このことは事実であるj(被告岡田第1準備書面25頁)
 ・「原告松本氏は・・・それは大声で怒鳴った事実を否定する翻然の人間性を証明したと気付くことを切望するのであるJ(被告岡田第3準備書面15頁)
 ・「原告松本氏は,・・・冒頭から『目を見て話をしろ』と怒鳴ったことは紛れもない事実である」(同16頁)
 ・「意見交換会開始直後,特に原告松本氏が怒鳴ったとの点についてであるが事実そのものであることを断言する。原告松本氏が『目を見て話をしろ』と怒鳴ったことは紛れもない事実である」(同27頁)
と繰り返し断定し,原告松本の「人間性」にまで触れて主張してきた。
 しかしながら,この,本件において名誉毀損行為の最重要部分である事実関係について,「談話」の記載や被告らの上記主張が,客観的に真実に反した虚偽のものであることは,録音記録から明白である。
 また,実際に録音記録を確認すれば明らかな通り,原告松本が「市長さん,お話しているのは私ですから,できれば私のは引こ向いていただけると,お答えもしやすいんですが」と述べた際,周囲からは笑い声も生じている状況であった。
(5) 「確認をさせていただきたい」との被告岡田発言について
ア 被告岡田が「確認をさせていただきたい」と述べた事実(被告岡田第1準備書面24頁)はあるが,被告岡田の主張するようなタイミングでの発言ではない。これは,被告ら答弁書5頁10行目に記載されている,「これまでフリーマーケットを何回か開催してきたと思いますが・・・」と始まる被告岡田の挨拶の直前になされた発言である。
イ 被告らは,この発言について,「意見交換会の開始が遅れたことの説明を求めるため」などと主張する(被告ら答弁書5頁,被告岡田第1準備書面24頁)。しかし,上述した通り,意見交換台の開始が遅れた理由は開始直前に長澤建設部長が説明しており,被告らが原告らに対して説明を求める必要性などない。実際,「確認をさせていただきたい」と被告岡田が述べた後に意見交換会の開始が遅れたことに開するやりとりは一切なされていない。
 被告岡田は,意見交換会の冒頭(開始後約4分ころ)で,次のように発言している(甲40:3頁)。

 岡田  お待たせいたしましてすいません。あのー,確認をですね,さしていただきたいと考えております。あのー,まず,これまでフリーマーケットを何回かやって,開催してきたと思うんですが,この行政に入ってきている話として,出店された,その,か,方から1出店2000円を徴収していると。それが第1点。第2点はその,2000円徴収しているにも関わらず,募金箱を持ってここに出店されているお宅,あのお店を回っているという,こういうお話が行政に来てまして,大変行政としてもですね,苦慮いたしていることであります。これについて,ひとつ明快なですね,ご返答をいただきたいと思ってます。

ウ また,意見交換会開始直前,まず被告岡田が「どうも特たせてすいません」と発言し,その後,長澤建設部長が意見交換会開始の遅れを詫びた際に,雨の中現地視察に行っていた旨を説明し,原告らもこれに対して労っているが,この部分の実際のやりとりは,下記の通りである(甲40:2頁)。

 岡田  どうぞ‥‥どうも待たせてすいません。
 松本  いやいや。
 長澤  これでいいですかね。
 松本  はい。はいはい。
 長澤  はい。えーそれではですね,本当にあの,・・・長時間待ってもらいましてね。
 松本  あーどうもどうも。
 長澤  あのー,今日ちょうどですね,議会の,ちょうど決算委員会がありまして,その前に今日は県議会の方からですね,ちょっと現地を見るっていうんでですね,雨の中1時間半ばっかりですね,現地に行ってきまして・・・ほんとに串し訳ない。
 松本  はい,ご苦労様です。

(6) 原告らが意見交換会で怒鳴った旨の長澤証言に信用性のないこと
 なお,長澤建設部長は,本法廷において,意見交換会において目を見て話をしろという声があったということは事実である旨証言したが(証人長澤:9頁),全くの虚偽であり,その証言に信用性はない。
 この点に関しては,「第11」「5」で後述する。

4 参加養徴収・募金・市民からの苦情指摘の点(B)
(1) 募金に関するやりとり
 「談話」では,地震の募金に関して,「阪神大震災は12年前ですよね。12年前のことを市民が指摘するのですかね・・・。」などと記載され,あたかも原告らが募金に関して不自然な説明を行ったかのように事実が摘示されているが,以下に述べる通り,募金活動に関する話し合いの内容自体全く歪曲されている。
ア やりとりの時間
 録音記録(甲40)から明らかな通り,募金活動に関する議論は,約2時間のうちの最初の約15分担度で終了しており,その余はほぼすべて参加費の徴収に関する議論であった(原告松本:13頁)。
 しかしながら,「談話」(甲1の1)での引用は,本件記事での引用は,「1問1答」として掲載している議論のうち半分近くを募金に関する内容で占めており,引用の分量として不適切かつ恣意的である。
イ やりとりの内容
 「談話」ではやりとりの内容も全く歪曲されている(甲50:15頁)。
 録音記録から明らかな通り,原告らは,阪神大震災だけでなく新潟での震災の募金活動を行い,安中市社協に寄付している旨を,被告らに対し,話し合いの当初から説明しており,また,阪神大震災の募金活動は,原告未来塾ではなく,別グループが主体となってフリーマーケットで募金活動をしていた旨を説明している(甲40:4〜8頁,原告松本:14頁)。
 「12年前のことを市民が指摘するのですかねjなどと被告らが述べた事実もなければ,阪神大震災の時以外一切募金活動はしていないなどと原告らが述べた事実も存しない。
 加えて,募金に関する話し合いは,被告岡田が「地震に関する寄付はわかりました」と述べて終了し,2000円の参加費の話題へと移っている。被告安中市も,被告岡田が「地震に関する寄付はわかりました」と(いう趣旨のことを)述べて募金に関するやりとりが終了した事実を認めている(被告安中市第1準備書面6頁)。
(甲40:6〜7頁:意見交換会開始後約10分)

 岡田  この段階でフリーマーケットは,何回になります?まあ,この聞の春・・・
 松本  31回です。
 岡田  31回の中で,どことどこへそういった募金を・・・?
 松本  明確に覚えているのは新潟だーね。
 ■■■ そうだね。全部,そちらのほうで調べていただければわかると思いますけれど。
 岡田  そういうさー,人に・・・するんじやなくてさ,自主的にやっているなら,やっぱりそういうんは説明できなけりや,さ,ただやったちゅうだけではさ,後は調べなよっていうんじやーさー。
 松本  うん,ま,いやいや,ですから,はっきり言えるのは,ご指摘のあったのは新潟のことではないでしようか。それは大々的にやりましたので。
 岡田  新潟は2回ありますけども・・・どっちかな。
 松本  前のやつですね。
 ■■■ 前・・・
 松本  はい。
 長湯  3年前の地震ですね。
 松本  そう,それはやっております。

(甲40:8頁:意見交換会開始後豹14分)

 松本  そうですね。もうひとつ思い出しました。阪神淡路に関してはですね。阪神淡路ボランティアという,むこうでですね,災害ボランティアをやっていたグループが,えー,私どもの会場で募金活動をしたという記憶がございます,はい。それはおそらく上毛新聞を通じてか,又はその災害ボランティアのそのグループの方に,えーと,募金の金額はすべていっていると思います。
 長澤  あの,向こうのボランティアのその組織の方がこちらに来て・・・?
 松本  いや,あの,安中に,から,ポランティアで阪神淡路にあの,ボランティア活動,1ケ月とか行った方々が,今回いたんですね,はい。その方々がこちらの方で,あの,戻ってきてこのフリーマーケットで募金活動をして,こちらから向こうに仕送りをしたような形になると思います。阪神淡路はけっこう前ですからね。そうですね。ま,私の記憶ではそういう。はい。うん。
 岡田  それで,あの・・ま,地震に関する寄付はわかりましたが,この2000円を徴収するというですね,このことはどういう根拠に基づいているんですか?

(2) 「ここへ何回も来たんですから」との発言の不存在
 「談話」では,参加費及び募金に関するやりとりの記載の後に市(被告岡田)の発言として,r未来塾のみなさんは昨年ここ(市長室)へ何回も来たんですから,フリーマーケットの内容の説明をされて市は聞いていれば市民から苦情や指摘があった時に即座に金額等は市は承知していますと答えられたんですよね。」などと記載されている。
 しかし,被告岡田は意見交換会において「未来塾の皆さんは昨年ここ(市長室)へ何回も来たんですからjなどと発言していない。
(3) 参加費の徴収についての被告らの認識
ア 被告岡田は,意見交換会において,「2000円は徴収しているのですか」などと原告らに対して質問し,その旨「談話」(甲1のl)にも記載した。
イ しかし,参加費の徴収については,出席者を募るためのチラシ(甲38)に明確に記載されており,毎回,新聞の折り込みチラシで安中市全戸に配布されてきた。そして原告らは過去数回,被告安中市に対しても,実施要領(甲25)と共に提出している(なお,2会場を使用するようになってから数回提出したが,その後,大きな変更がなければ提出は不要と被告安中市から告げられていた)。また,出店者に配布するパンフレット(甲7)にも、参加費の徴収については明確に記載されている。
ウ 録音記録からも明らかなとおり,意見交換会において,原告未来塾の■■■■である■■が,被告らに対し,安中市全戸にチラシ(甲38)を毎回出しているのにもかかわらず2000円の徴収を知らなかった人がいるのかとの趣旨の質問をしているが,その場で「知らなかった」と述べたのは被告岡田のみであった。長澤建設部長は知っていた旨回答しており,被告岡田の家族や長澤建設部長の家族がフリーマーケットに参加していることも話し合いの中で触れられている(甲40:38〜39頁,甲50:16頁,甲51:5頁,原告松本:13頁)。

 ■■■ じゃ,この中で2000円とってることを知らなかった人がいますか?今ここに部長さん3人いますけど。チラシ,32回出してるのに・・____その倍近くですよね,2回ずつ出してます,パンフレットも出してます,全て,全てのものに出店料が書いてあります。
 岡田  あのー,チラシ出したから全ての皆さんが知ってるとか・・・
 ■■■ いや全ての皆さんと言ってなくて,私は今ここにいらっしゃるかたが・・・
 松本  市のトップの方・・・。__であれば・・・
 岡田  あー知らなかった。
 松本  あー,そうですか。
 ■■■ あー,皆さん知らなかった方います?
 松本  ・・・イベント,やっていて・・・
 長澤  うちの娘だって出店しているから,知っていますよ。娘が,あすこに・・・
 松本  岡田さんの娘さんも出店されたことがございますよ。

(4) 参加費の趣旨や収支が赤字であったことの記載のないこと
 意見交換会においては,フリーマーケットに要する経費のために出店者から参加費を集めていること,それでも収支としては赤字であることを原告らは説明している。
 しかしながら,「談話」には原告らの説明については一切記載されていない。
(5) 「市民からの苦情や指摘」の具体的な主張立証の不存在
ア 「談話」では,参加費や募金について「市民から苦情や指摘」があった旨記載されている。被告ら答弁書4頁にも同様の主張がなされている。
 しかしながら,いつ・どこで・誰が・どのように述べていたのかについて,原告らが釈明を求めて払結局被告らから具体的な回答・立証はなかった。長澤建設部長も,自分の所轄している建設部に参加費の徴収についての苦情はなかった旨証言している(証人長澤:5頁)。
 被告らが「市民からの苦情・指摘」を具体的に主張立証できないことは,すなわち,そのような苦情・指摘そのものの存在自体疑わしいことを示している。
イ なお,この「談話」にいう「市民からの苦情や指摘」は,後述する,米山公園の周辺住民からの「拡声器」による「安眠支障」のことではない。拡声器による安眠支障の問題は,そもそも意見交換会では全く話題に上っておらず,「談話」発行後の平成20年2月19日に,被告岡田が作成し翌20日に原告らに届けた「フリーマーケット開催会場について」(甲27)で初めて出された論点である。
 なお,米山公園周辺住民からは,安眠支障などの話はなく,むしろ,「迷惑はない」「もっとやっでほしい」とフリーマーケット開催を望む声が多かった(甲3)。

5 スポーツセンター駐車場利用の点(C)
(1) 被告岡田の主張
 被告岡田は,
 「駐車場の利用については,東駐車場の使用は認めたが,中央駐車場は,認めていない,その理由は,土曜日,日曜日,祝祭日は,午前10時00分にスポーツセンター利用開始である」,
 「スポーツセンター職員は…高橋市議に強い威圧を受けて反論もできず言われるがまま……ということが本当の内情であった」,
 「この時間は,利用者のピークであり混雑や,苦情が市長に向けられるのは容易に判断できる筈である」
などと主張し,その根拠として,フリーマーケットの参加者向けパンフレット(甲7)の5頁にある,
 「中央駐車場では駐車,荷降ろしをしないで下さい」
 「体育館利用者用としての使用のため。また,中央駐車場を空けておくことがイベント広場使用,フリーマーケット開催の条件となっています」
との記載を挙げる(被告岡田第1準備書面2頁,7頁,及び33頁以降)。
(2) 実際の駐車場利用時間に関する取り決め及び原告らの努力
 しかし,原告らは,警備員やシルバー人材センターなどによって人員を配置し,体育館(アリーナ)利用者の妨げとならないよう努力をし現場ではスムーズであったこと,また,体育館との話し合いにより午前10時以降はフリーマーケット利用者も駐車場への駐車が可能となっていたこと,を説明している(甲50:17頁,甲51:5頁,原告松本:14頁)。
 パンフレット(甲7)を前頁(4頁)からきちんと読めば容易に判明するとおり,駐車場利用に開するパンフレットの記載は,午前6時から午前8時まで行われる受付・搬入に関する説明である。
 原告らと体育館との話し合いによって,午前10時以降はフリーマーケット利用者も駐車場への駐車が可能となっていたのであり,このことは意見交換会で原告らが被告らに対し説明している。さらに,長澤建設部長も,運動する人は朝一番で来るため,午前10時以降は空いていれば駐車場をフリーマーケットで使用しても良いことになっていた,との趣旨の発言を行っている。しかし「談話」にはこれらの原告側の説明や長澤建設部長の発言が,一切記載されていない(甲40:19頁以降)。
 なお,会場使用の日程調整に関して開催されている体育館利用者調整会議にも,原告未来塾関係者は出席している(たとえば平成19年3月開催の同会議には,原告未来塾の■■■■,■■■■,及び■■■が出席している。甲51:2頁)。
 本件訴訟において,被告安中市も,駐車場の利用に関し,原告らが上記内容を説明した事実を認めている(被告安中市第1準備書面6頁)。
 それにもかかわらず,「談話」において記載されているスポーツセンター駐車場のやりとりは,被告岡田の主張のみが一方的に掲載されているにとどまっているのである(甲50:16頁)。
(3) この点に関する録音記録
 この点に関し,原告らが意見交換会の場できちんと説明を行っていたことは,録音記録(甲40:19頁)からも明白である。

 岡田  じゃ今,1件,あの,アリーナのほうで,西の駐車場はアリーナの関係者,束の駐車場はフリーマーケットの皆さんで,駐車場,すみわけにしたと・・・それだけれども,いっこうにその決め事を守らない。こういう指摘がなされているんですよ。・・・それについてはどうお考えですか?
 松本  はい,私にですか?いっこうに守らないというのはですね,まさに市長,あの,あの,挑戦的な・・・
 岡田  いや,指摘をそのまま あの,お伝えしているんですよ。
 松本  非常にですね,努力をして,ガードマンをいっぱい増やしたりですね。えーと,あとは・・・
 ■■■ カラーコーンを置いたりして,『置かないでください』って。
 松本  約束ごとを守るようにですね,非常に努力して,あの,いろんな話し合いによってですね,10時以降は全て停めても良いですよ,とか。そういう話し合いによって,非常に,スムーズに行われている,っていうのが今の現状です。
 岡田  あの,行政に来ているのは,そういう話は入ってないんですよ。
 松本  あー,それは残念だったですね。あの,努力をすごくしてですね・・・
 岡田  いや努力と結果は別ですから。
 松本  ま,努力を。私たちは努力しかできないもんですから。努力を一生懸命して,いわゆるガードマンを入れたり,シルバー人材の方々を,皆さん,役人したりしてですね,すみわけをしたり,線を引いたりしてですね。
 ■■■ 車にもね。
 松本  してですね,あの,そのことはほんとに,やらせていただいております。そして,10時以降を今,北側?の駐車場にも車を投入してもいいっていう段階にはなってます。
 岡田  北側ってのは西側?
 松本  あっ,西側ですか。はい。あの,10時前はダメだってなっておりまして,で,10時,えー,過ぎれば,皆さん通常の利用者は入ってしまうから,それまでどうにか確保してくれって。それまでどうにかバリケードを作って,で,10時すぎた段階で,バリケ一ドを突破してもいいっていうような形で現場とのやりとりでうまくいってる,と私は思っております。
 岡田  まああの,10時・・・というのは午後10時?
 松本  午前10時です,はい。
 長澤  要するにアリーナの中を使って運動をする人,ま,だいたいもう朝一番できますよね。あの,だいたい土曜か日曜日はね。そうでしょ。そうでしょ。入る人はもうだいたいそのころ決まっちやうから,それ以降は,ま,空いてれば使うよ。そういう,あれなんでしょ。
 松本  はい。そういうふうに話し合いはできてます。そのために精一杯の努力はしております。そういうガードマンを,こう入れたりっていうことにも非常に費用がかかっておりまして・・・

(4) 高橋議員が「威圧」したことなどない
 被告岡田は,スポーツセンターイベント広場会場責任者が高橋議員であった,その強い威圧を受けて職員が反論できなかった,などと主張するが(第1準備書面3頁),スポーツセンターイベント広場の会場責任者は訴外■■■■等であって,高橋議員が責任者となっていたことはなく,被告岡田の主張は全くの虚偽である。
(5) 「市民からの抗議や苦情」の具体的な主張立証の不存在
 「談話」には,「スポーツセンター中央駐車場までフリーマーケットの 駐車場にするとは市は何を考えて提供しているのだ・・・と市民から抗議や苦情が来て困っているのですよ」などと記載されているが,そのスポーツセンター駐車場に関する「市民からの抗議や苦情」については,意見交換会の場でも具体的根拠は示されておらず,結局,本訴訟においても被告らから具体的な主張・立証はなかった。
(6) 長澤建設部長も問題ないと認めていること
 長澤建設部長は,平成20年2月20日,原告らに対し,スポーツセンター駐車場の利用に関して問題のなかったことを認めている(甲55:11頁)。

 松本  それと,待ってください。あの,スポーツセンター広場について,でしょ。このスミヮケはばっちりできてますよ。上手くいってて。
 長澤  そうそうそう。
 松本  スポーツセンター側も文句言ってないですよ。
 長澤  前から聞いてるように,車の駐車場はフリーマーケットに,中央の駐車場はスポーツセンターの方で使うんだよっていうことですよね。

6 訴外有限会社サワ井商店の点(D)
 訴外有限会社サワ井商店(「サワイ産業」は誤記である)に関しては,当該話し合いの中では一切触れられていない。被告安中市総務部長(当時)の堀越久男は,「『サワイ産業』に関する記事については,意見交換会では話題にはならなかったです」と述べ(乙5),また,教育部長(当時)の佐藤伸太郎も,「四角で囲まれた記述(原告代理人注:サワ井商店の件)の内容については,承知しておりません」と述べている(乙6)。
 原告松本がサワ井商店の跡地の件に関し被告岡田と面談をしたことはあるが,原告未来塾は無関係であって「未来塾から1人」との記載は事実に反する上,そもそも本件フリーマーケットとは全く無関係である(甲50:18頁,原告松本:16頁)。

7 寄付金の点(E)
 説明会資料(甲7)の一部のみを抜粋し,その外の内容を恣意的に省略して引用している(特に,「活動のための寄付金」については,「公園建設,福祉向上,自然保護活動のための寄付金」とパンフレットに明記しているにもかかわらず,これを意図的に省略している)。

8 罵詈雑言の件(F)
(1) 「談話」中の「安中市は人と争うことを避け,人に責められて人を責めず,罵られて罵らず,市行政は寛容の精神を持つ人を育てることを銘としています。」との記載は,あたかも,原告らが被告らを理不尽に「責め」,「罵った]かのように事実を摘示しているが,理不尽な理由により施設の利用を拒んだ被告らとの話し合いを「責めた」などと評価される謂われはなく,ましてや,被告らを「罵った」事実など存しない。
(2) 被告らは,上記記載について,「(意見交換会)終了後に(原告らから)罵られたことは事実である」と主張し(被告ら答弁書7頁),その具体的内容について,被告岡田は「それは大声で,ボランティアをやっているのに,出店料を徴収しているから,と言うことは市長のいいがかりだ……のことを言うな 北関東一のフリーマーケットだ,潰す気か これまで未来塾は300万円も寄付した 車椅子も…台も寄付しているんだぞ……と言い放ったのである」などと主張する(被告岡田第1準備書面27頁,35頁),さらには「(原告らが)市長室の隣室の秘書行政課へ湧ずるドアを開けて大声で言い放った」などとも主張し(被告岡田第3準備書面31頁),それに沿う証言をした(被告岡田:9頁,28頁)。
(3) しかしながら,原告らが意見交換会終了時に上記のように発言した事実も,被告らを罵った事実も存しない(甲50:18頁,原告松本:12頁)。
 録音記録から明らかな通り,原告らは被告らに対し,意見交換会が終わる頃,被告岡田の終始不誠実な態度に関して,原告らが説明責任を果たすべきである等の主張を述べたことはあるが,原告らの発言が「罵言雑言(=口を極めた悪口。小学館「大辞泉」)」であるなどとは到底解し得ない。

第10 ICレコーダーによる記録と,被告岡田の「要点筆記」
1 総論
 平成19年9月10日に行われた意見交換会のやりとりの一部始終については,録音記録が存しており(甲39及び甲40。なお,甲2の7:朝日新聞記事の「市長との話し合いの際,未来塾が録音した記録によると・・・」との記載参照),上述したとおり,同記録に照らせば,「談話」の内容がいかに事実に反し,また,意見交換会の内容を恣意的にまとめているかは,一目瞭然である。
 被告安中市白身,かかる録音について,「被告安中市としては,意見交換会の真実が明らかとなった上で司法の判断を仰ぐことに,些かの異論もない」「そのテープが偽造編集されていない限りは,証拠として認める考えである」と述べていた(被告安中市準備書面(1)5頁)。
 その後,原告らが録音記録を提出するや,被告らは,同記録が編集されたものであるなどと主張し,被告岡田は同主張に沿う内容の鑑定書(丙22)を提出した。しかし,原告らは録音記録を編集していない。被告岡田の提出した鑑定書には論理的に重大な誤りがあり,編集偽造されたものとの結論は全く信用性を欠くものであるうえ,むしろその分析結果は,編集偽造されたものではないとの原告らの主張を裏付ける内容のものとなっている。
 また,被告岡田は,「談話」のもとになった「要点筆記」(丙17)を,原告らから文書提出命令を申し立てられた後にようやく提出したが,これが後日乍成された虚偽のものであることも明白である。
 以下,詳述する。

2 原告らによるICレコーダーの録音
(1) 録音を行った理由
 原告らは,意見交換台のやりとりをICレコーダーで録音した。その理由は以下のとおりである。
 すなわち,被告岡田が平成19年5月に突然趣旨不明の文書(甲22の1)を原告に送付しておきながら,第31回フリーマーケットに出席して賞賛の挨拶を行い,その後は寄附の受け取りを突然拒否し,第32回フリーマーケットの会場使用の許可をしない,という事実が続き,原告らが求めても,市の担当者からなかなか説明や連絡がなかったため,被告岡田及び被告安中市に対し不信感が募っていたうえ,「岡田さんと話をするときには必ず録音しておいたほうがよい。証拠を残しておかないと必ずウソでやられるから」と自己の体験を元に原告らにアドバイスをする者もいたからである(甲50:19頁,甲52:6頁,原告松本:10頁)。
(2) 録音方法
 原告未来塾の■■■は,@前項のICレコーダーを,メッシュ製(通音性がある)のペンケース(甲48の3)に入れ,Aそのペンケースを,ICレコーダーのマイク部分が上部にくるように縦にした状態にし,バッグ(ナイロン製,A4サイズの書類が縦方向に入る水きさのもの)の上部内ポケットに入れ,Bそのバッグは,上部のジッパーを開放した状態にしていた(甲52:6頁)。
 ■■■は,市長室に入室し,応援用のソファーに腰掛けた際(なお着席位置については被告ら答弁書別紙「市長室・秘善行放課配置図(略図)」参照),上記のICレコーダーの入っているバッグを,自己の右側のソファー上(すなわち,■■■と■■■■の間に挟まれる位置)に置いていた(甲52:6頁)。
 なお,■■■は,ソファーの上にバッグを置き続けることが窮屈であったため,意見交換会の途中で,上記のバッグを,ソファーの上から自己の右足横の床上(すなわち,■■■と■■■■の足の間に挟まれる位置)に移したが,ICレコーダーは,A4縦方向程度の高さのあるバッグの上部に,通音性のある状態で位置していたことから,バッグが床上に置かれて以降も,応接用ソファーに腰掛けている関係者の発言を録音するのに障害となる距離はなかった(甲52:6頁)。

3 原告が録音を編集しているとの被告らの主張について
 被告らは,甲39号証のCDの内容が原告らによって校正・編集されているなどと主張するが,全く失当である。本訴訟で書証として提出するため,ICレコーダーの録音内容をCDにコピーする作業を■■■■が行っているが,その際にも,録音データに改変は一切加えられていない(甲51:3頁,原告松本:11頁)。

4 鑑定書(丙22)の結論には信用性がなく,その分析結果はむしろ原告の主張を裏付けるものであること
(1) 総論
 被告岡田は,自己の主張を裏付けるために鑑定書(丙22)を提出したが,同鑑定書には論理的に重大な誤りがあり,編集偽造されたものとの結論は全く信用性を欠くものであるうえ,むしろその分析結果は,編集偽造されたものではないとの原告らの主張を裏付ける内容のものとなっている。
(2) 鑑定書の骨子
 「録音内容は編集加工されたものである」と結論づける図鑑定言の骨子は,以下の通りである。
 @ 30秒ごとの時計の音が確認できない部分が3ヵ所ある(15番=509秒付近,26番=899秒付近,51番=1781秒付近)。その3ヵ所の前後部分については,時計の音が記録されている部分を含む30秒,あるいは30秒の倍数を削除した可能性が考えられる(丙22:7頁)。
 A 30秒ごとの時計の音の間隔について,録音記録では誤差が生じている(およそ10分45秒で1秒のペースで良くなるという誤差が生じている)。その誤差が,「137番」のポイントで30秒に対し0.3秒と急激に増加していることから,約3分間は約3分30珍聞の録音内容の削除があったことが推測される(丙22:8頁)。
(3) 時計の音が確認できないとする点(@)について
ア そもそも,「時計の音がない=原告が録音を一部削除した」との論理自体,明らかな飛躍がある。鑑定言の立論は,「時計の貧は必ず全て録音されている」との前提に立っているが,マイクと時計との距離,マイクの感度等,何らかの原因によって録音されない場合があっても何ら不自然ではなく,前提自体が失当である。
イ 「衝撃音を意識して」(鑑定書8頁)30秒ないしその倍数の時間数を削除するという編集加工の作業自体が,極めて不自然である。
 本件意見交換会での会話の流れが不自然に途切れないように,かつ,30秒ないしその倍数で削除す気ことなど,高度な専門知識・技能を持つ者であってもおよそ不可能であり,まして,一般市民の原告らがそのような編集加工を行えるはずがない。
ウ 仮に鑑定書がいうように原告が人為的に30秒又は30秒の倍数の時間数の録音を削除したのであれば,鑑定書がAで述べているような誤差が発生する可能性が高くなる。
 3ヵ所それぞれで30秒またはその倍数の時間数削除するということは,すなわち,「51番(1871秒)」のポイント時点までに削除される時間数の合計が,90秒ないしそれ以上ということと同義である。
 鑑定書の結果によれば時計の音の誤差は10分45秒で1秒遅れるペースであるから,合計で90秒以上削除すれば,当初よりも0.139秒以上の誤差が生じることとなる(90÷(10×60+45)×1≒0.139)。
 すると,鑑定書の別添10の表の「51番」と「137番」を結んだ直線(少なくとも鑑定書もこの区間に編集偽造があったとは述べていない)は,グラフの原点を通過せずに,縦軸で原点よりも上を通過するはずである(別添10の表の縦軸は2秒あたり3.5センチメートルであるから,原点よりも2.4ミリメートル上がそれよりさらに上を通過することとなる。0.139÷2×3.5≒2.4)。
 ところが,別添10の表は,原点から「137番」までの直線が,原点を通過し,きれいに比例しているのである。
 この事実は,むしろ,原告が当該部分で録音記録を削除していないことを強く裏付けている(なお,周波数・バックノイズ等から見て編集された形跡がないことも同鑑定言4頁で述べられているとおりであり,原告が記録録音を削除していないことがさらに裏付けられている)。
(4) 時計の音の間隔の誤差(A)について
ア そもそも,「市長室の時計の長針が常に正確に30秒きっかりで(コンマ何秒以下の狂いもなく)動き,衝撃音を発している」との前提自体,失当である。
 時計は,機械式であれば1日に10秒程度,クォーツ式でも1ヶ月に15秒程度の誤差を生じるところ,鑑定書は市長室の時計の種類についても明らかにしていない。また,市長室の時計が「1週間で5秒以上の誤差が生じていない」との鑑定書の調査結果も,何を基準に測定したのか,また正確に(コンマ以下も含めて)何秒の誤差を生じていたのかさえ,全く記載がなく,不明である。
 鑑定書は,コンマ何秒の微細な数値を基準に立論しているが,その依って立つ肝心の時計の「誤差」の有無・内容について,分析が全く欠けている。
イ また,鑑定書は,「ICレコーダーが常に精確な時間数で録音している」との前提に立っており,この点でも失当である。
 当該ICレコーダーは,科学研究等で用いるような1秒以下の秒数まで精確に測定することを目的とした機械ではない。あくまで会話内容の保存が目的であるから(甲49:30頁「本機は人の声を長時間録音するのに適した機器です」との記載参照),録音にあたってコンマ何秒の誤差が生じることは十分に生じ得る。
 現にほぼすべての衝撃音が30秒きっかりの間隔になっていないことから考えると,時計自体の誤差だけでなく,ICレコーダーの録音時における何らかの障害によって一部0.3秒の遅れが生じたということは,十分に考え得ることである。
ウ また,鑑定書は,30秒毎に発する時計の衝撃音との関係で30秒またはその倍数の削除があったとし,その時間数について,わずか0.3秒の衝撃音の誤差を根拠に,3分ないし3分30秒の録音記録が削除されているとしている。その理屈(10分45秒で1秒の誤差であること
から,0.3秒の誤差に対応する時間数は3分ないし3分30秒との理屈)からすれば,削除した時間数は,30秒きっかり又は3分30秒きっかりの時間数,すなわち,コンマ何秒の誤差も全くない時間数を削除しなければならないはずである。
 ところが,鑑定書は,「約3分間,あるいは約3分30秒間の録音内容の削除があったj(8真。下線原告ら訴訟代理人)と結論づけている。
 鑑定書が削除のあったとする時間数に「約」と付記した根拠は全く不明であるが,「約」3分ないしF約」3分30秒削除すれば,誤差は0.3秒からさらにずれる(その「約」の分だけ前後する)ことが必至であって,0.3秒の誤差から削除の時間数を導き出したことと矛盾する。
 鑑定書の論理は完全に破綻している。
エ 鑑定書の立論でいけば,3分から3分半の削除があったのはに36番」から「137番」の間ということになる。この時間帯は,ICレコーダーの録音記録の反訳(甲40)では35頁の3行目から7行目,被告岡田の提出した「要点筆記」(丙17)では58頁の部分に該当し,両者の記載内容に食い追っている部分はない。
 仮に原告らがこの部分を削除したのであれば,「要点筆記」(丙17)の58真に3分〜3分半分の会話内容が記載されていて然るべきであるが,むしろ,反訳(甲40)の方が記載の分量が多い。また,当該部分は,「冒頭から怒鳴った」等本件名誉毀損の主要部分とは関係のないやりとりがなされていた箇所であり,原告らが編集する必要性は全くない。被告らも,当該部分で原告らが一体どのような内容のやりとりを削除したとするのか,明確な主張を全く行っていない。
 鑑定書は,被告岡田が出した「要点筆記](丙17)や,被告らの主張との間に全く整合性がなく,この点でも信用性がない。
(5) 結論
 以上の通り,鑑定言の編集偽造されたものとの結論は全く信用性を欠くものであるうえ,むしろその分析結果は,編集偽造されたものではないとの原告の主張を裏付けている。

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【ひらく会情報部・最終ラウンド2-3につづく】

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