2010/9/12  23:55

長野県建設業厚生年金基金で発覚した22億円横領事件と安中公社タゴ51億円事件  他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件

■横領事件というものは、いつも突然にマスコミ報道を賑します。9月12日、20億円を超える横領事件が報じられました。


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年金基金掛け金21.9億円不明 事務長着服か、連絡取れず 長野県建設業厚生年金基金
 長野県建設業厚生年金基金(長野市大字南長野南石堂町1230)は9月12日、会員の建設会社の従業員から集めた年金掛け金のうち計約21億9000万円が不明になっていると発表した。掛け金の通帳を管理していた男性事務長(52)は9月9日から連絡が取れず行方不明となっている。同基金は事務長が着服した可能性もあるとして、9月11日に長野県警長野中央署へ被害届を提出した。
 また、基金設立の母体となった長野県建設業協会(同)の幹部らは近く調査委員会を設け、関係者から詳しく事情を聴く方針。協会関係者によると、基金を所管する厚生労働省も不明金の発生を把握、同基金に調査を求めているという。
 複数の関係者によると、不明金の存在は8月下旬に発覚。本来、基金に入るべき加入事業所などからの掛け金が、2006年ごろから一部不明になっている可能性が高い、という。
 同基金は厚生年金に上乗せする分を加入している建設会社から集めて運用しており、基金の口座は事務長が1人で管理していた。同基金側は「事務長が1人で決済し、通帳と印鑑も管理していた。システムに問題があった」としている。
 同基金によると、不明金の存在は平成22年8月下旬に発覚。本来基金に入るべき加入事業所などからの掛け金のうち、一部に不明金が出始めたのは2006年6月から。掛け金は地元金融機関の口座に集めた後、手数料を除いた全額を毎月、運用している生命保険会社に送金することになっていたが、一部は入金されていなかった。
 同基金によると、基金側が建設会社の従業員らから集めた掛け金を振り込んでいる大手生命保険会社から今年8月、「月によって入金が大幅に少なくなる」と入金不足の指摘があり、関東信越厚生局が9月に計3回の監査をして発覚した。
 掛け金の入金は事務長が1人で行い、通帳や印鑑も管理していた。経緯を聴くと、事務長は不明金について「2006年4月に長野県建設業協会飯田支部から掛け金を返してほしいと言われ、返金していた」と説明。38回、同支部口座に計21億9千万円を振り込んだことを証明する受付書類も示し、同支部に別途管理させていたと説明。しかし、9月9日までの調査で、事務長が入金記録としていた計38枚の銀行の「振込受付書」は、銀行に照会して確認した結果、いずれも偽造と判明、約21億9000万円分に上る同支部への振り込み入金はなかったことが分かった。(別の報道では、事務長は「飯田の加入者から、給付率が低いので独自に運用したいと申し出があり、いったん集めた資金を返していた」として、加入会社に返金したと説明したということだが、同基金が調べたところ、返還金として県内支部に送金していたはずの金が、支部側の口座に振り込まれておらず虚偽とわかって、発覚が遅れた、としている。)
 厚生年金基金は、公的年金業務の一部を代行するとともに、掛け金を上乗せして運用、給付している。長野県建設業厚生年金基金は、長野県建設業協会が1986(昭和61)年に準備委員会を立ち上げ、1987年設立した。
 同基金発行の「基金だより」(7月号)によると、今年5月末現在の加入事業所数は377事業所、加入員数は6864人、年金受給者数は1万556人。本年度予算では、年度末の年金資産を206億5700万円と推計している。(今年3月末時点で建設会社381社、加入員は6889人、運用残高=年金資産は約209億円とする報道もあり)。
 9月12日に記者会見した同基金理事長の佐々木力・長野県建設業協会会長は「会員の皆さまに大変なご迷惑をお掛けした」と謝罪した(同基金理事長の佐々木力・長野県建設業協会会長は取材に対し、「詳しいことは調査中だ」とする報道もある)。2006年当時に理事長を務めていた中沢英・前会長は、「そのような話は一度も聞いたことがなかった」としている。
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■このニュースを聞いて、次のことが思い浮かびました。

 まず最初に思い浮かんだのは、群馬県にもある群馬建設業厚生年金基金のことです。なにしろ、群馬県では、青森県住宅供給公社のアニータ14.5億円事件をはるかに上回る安中市土地開発公社51億事件が発生している土地柄であり、最近では、群馬県サッカー協会を舞台に1900万円(未確定)の横領事件が発覚したばかりです。

■今回の横領の舞台となった建設業厚生年金基金とは、国の指導監督のもとで、事業主と加入員の代表によって運営されています。

 厚生年金基金の代議員会は、事業主が選定した代議員と、加入員から互選された代議員で構成されています。基金の規約変更、予算、事業計画、決算、業務報告等の重要事項は、この代議員会の議決を経なければなりません。

 理事会は、選定、互選代議員の中からそれぞれ選出された理事によって構成され、代議員会で決められたことを実行する機関です。監事は、事業主と加入員が選定した代表各1名で構成されています。なお、最高責任者として、理事長が選ばれています。また、当厚生年金基金では、理事会・代議員会とは別に「資産運用検討委員」を設置しています。

 こうした情報をホームページできちんと公表している建設業厚生年金基金もありますが、大半はホームページを持っていないようです。

■長野県建設業厚生年金基金を監督する厚生省の関東信越厚生局の管内厚生年金基金一覧表(平成22年4月1日現在)を見ると、群馬県内には、次の厚生年金基金があります。
・群馬県トラック事業
・佐田建設
・群馬県病院
・群馬県機械工業
・群馬県食品製造
・群馬県自動車販売

 ところがなぜか、群馬県建設業厚生年金基金の名称が一覧表には見当たりません。また、群馬県建設業厚生年金基金の母体である群馬県建設業協会の加盟社である佐田建設だけが、独自に厚生年金基金を持っているのです。八ッ場ダムを筆頭とする群馬県の建設業界の利権をめぐる伏魔殿ぶりを象徴する現象なのかもしれません。

■さて、今回の長野県建設業厚生年金基金の報道はまだ流されたばかりですが、この報道を見ると、当会が真相を追及してきた安中市土地開発公社をめぐるタゴ51億円事件との類似性を感じる点が、いくつかあります。反対に、そうでない点もあります。以下に、それらの点について整理してみます。

<タゴ事件と類似する(可能性もある)点>
@20億円を超える巨額横領であること。(ただし、青森のアニータ14.5億円横領事件や、高知土佐山村の収入役13.5億円横領事件を凌駕していますが、タゴ事件の51億円に比べると半分以下ではある)
A発覚したあと事務長が行方をくらましてから、警察に被害届を出すまで時間がかかっていること。(ただし、この事件では9日に発覚して2日後の11日に警察に届けているが、タゴ事件では、発覚後警察に届けるまでに半月かかった)
B長期にわたり、担当者を同じポジションに配置していたこと。(ただし、この事件では犯行期間が4年間だが、タゴ事件では15年間だった)
Cたった一人にカネの出入りの管理を任せていた、ということにしていること。(ただし、これは言い逃れであり、この事件でも、他に担当者がいたはず。タゴ事件でも上司や同僚がいたのに単独犯とされた)
Dということで、捕まってもカネの行方を白状せず、巨額使途不明金として処理されること。(今後のこの事件の報道の推移を見てみないと、確たることは言えないが)
E監査機能がマヒしていること。
F事務長の周囲に共犯者の存在をうかがわせること。(単独犯では横領金を使いきれない。52歳の事務長とやらは、建設業協会からの出向者だろうから、それも年齢からしてある程度のキャリアを持っていたかもしれないので、土建業界との癒着が疑われる。ちなみに長野も群馬も土建王国)
G勝手に組織の印鑑などを使って、銀行の書類を偽造したこと。(ただし、偽造した書類を銀行に持ち込んだのか、それとも、組織の内部説明で偽造書類を使うのが目的だったのかは不詳)
H穴埋めは公金になる(かもしれない)こと。
Hともに利権目当ての組織であること。(この事件の舞台になった建設業厚生年金基金の母体の建設業協会は土建屋の互助組織で、会長とか役員は、土建屋の社長であり、専従職員の長が事務長という体制。一方、安中市土地開発公社も、市長をはじめ市の幹部、OB、議員ら政治家の利権共有組織といえる。つまり、両方とも組織ぐるみ)

<タゴ事件とは類似しない点>
@公金ではないこと。(ただし、公的制度のもとでのカネの流れではある)
A事務長の氏名が公表されないこと。
B加入者の運用のため、一次返還が許されていたこと。
C雲隠れしていること。(タゴ事件の場合、一時は逃げたように見せかけたが、超巨額の犯行額に加えて、政治家や公務員らが関与し、タゴ一族も逸早く弁護士対策をとったため、雲隠れをする必要がなかった)

■このように、長野県建設業厚生年金基金の場合は、事件発覚直後のため、まだ情報不足なので、十分な比較検討ができませんが、今後のこの事件の顛末が次第に判明するについて、単独犯行で幕引きするのか、横領金の使途は明らかになるのか、など、真相追及、再発防止、責任の所在の明確化がはたして行われるのかどうか、注目していきたいと思います。

【ひらく会情報部】
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