2011/2/7  0:39

横領額が23.8億円にアップした長野県建設業厚生年金基金に安中タゴ51.1億円事件を報告  他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件

■2010年9月12日に、長野市にある長野県建設業厚生年金基金が、会員から集めた年金掛け金計約21億9千万円が不明になっていると発表しましたが、年金の掛け金を管理していた当時52歳の事務長が、実は同9月9日午前に「東京へ行く」と妻や県建設業協会の役員に言い残し自宅を出てから連絡が取れず所在不明になっています。事務長の家人は同月13日に捜索願を同署に出しました。

 事件発覚当時の経緯は、マスコミで報道され、当会のブログでも詳しく報告しましたが、いまだに事務長は行方不明を続けており、事務長の実名も一部のネット情報を除いてこれまでは公表されて来ませんでした。

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長野の横領事件の調査の起点が、タゴ51億円事件でタゴが騙しの口実にした北陸新幹線新安中駅周辺開発事業のシンボルだった安中榛名駅だというのも何かの縁か。


■ところが、事件公表後、4ヶ月半経過した先月1月25日、長野県警は業務上横領の疑いで行方不明中の元事務長の逮捕状を取り、同日午前10時15分、長野市の県建設業協会の入るビルに、警察の捜査員10人が強制捜査に入りました。同時に、初めて、金を管理していた元事務長の名前が坂本芳信(53)であることが公表されました。1月28日までに長野県警が坂本容疑者を全国に指名手配するとともに、ICPO=国際刑事警察機構を通じて国際手配もかけたことがわかりました。

 さらに、2月1日午後には、同基金が、多額の不明金を生じさせたとして元事務長の坂本芳信容疑者に損害賠償を求めた訴訟の判決が長野地裁でありました。蛭川明彦裁判官は、坂本容疑者に請求通り5526万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

■21億9千万円が行方不明になっているのに、なぜ5526万円しか請求しなかったのかと言うと、坂本容疑者は昨年9月7日、逃亡に備えて、長野市の銀行を訪れて基金名義の口座から1億4478万円余を引き出し、うち8952万円余を運用窓口の生命保険会社に振り込んだが、差額の5526万円を横領したので、不明金のうち損害が確実に立証できる部分の賠償に絞ったためとされています。

 そして、同基金によると、不明金の総額が23億8千万円余りに上る見通しであることが明らかになりました。安中市土地開発公社のタゴ51億円事件(正確には51億1250万円)http://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htmに比べるとまだ半分以下ですが、青森県住宅供給公社を舞台にしたアニータ事件(14.46億円)や、高知土佐山村役場の助役が二号に貢いだ事件(13.5億円)、それに茨城県国民健康保険団体連合会の元職員による事件(11億円)がいずれも10億円台であるのにくらべれば、相当な巨額横領事件と位置づけられます。

■長野県建設業厚生年金基金は事件発覚直後、事務長が着服した可能性もあるとして、2010年9月11日に県警長野中央署へ被害届を提出していました。ではなぜ、警察は4ヵ月半もの長い間沈黙を続けたあと、ここにきて逮捕状を取り、突然捜査を開始し、関係者への聴取を始めたのでしょうか。そのわけを探るべく、当会は、この機会に現地調査を敢行しました。
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安中榛名駅に入線する新幹線あさま。

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長野駅西口のコンコース。
 まず、長野駅の西口に出て、地図を頼りに線路沿いに北の方向に向かいました。新幹線の高架が目印ですが、線路が斜めに延びていて、交差点を曲がるたびに道を見失い、本来斜めにまっすぐ行けばよいのに、ジグザグなコースをたどりました。

■長野市の交差点は縦横の十字路でないところが多く、しかも変形した十字路で、縦横以外にも斜めの道路が延びています。そのため、横断歩道が設置しずらいのか、交差点から離れたところに横断歩道橋があったり、信号がスクランブルだったりして、やたらとストレスがたまります。

 それでも、45分近くかかって、ようやく長野中央署にたどり着きました。さっそく、入り口の各階案内板の指示に基づいて、2階の刑事課を尋ねました。
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 ところが、横領事件担当のはずの刑事二課は、扉が開けっ放しで、中に誰も居ません。しかたがないので、同じ階の刑事一課に行きましたが、ドアが締め切ってあり、ここにもひと気がありません。一番奥に刑事三課というのがあったので、そこにも行きましたが、やはりドアが締め切ってあり、人の気配がありません。
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 しばらく廊下で誰か来るのを待っていましたが、誰も来ないので、階段にほうにゆくと、ちょうど5人ほど降りてきたので、刑事課のひとはいますか、とたずねましたが、今皆出払っているとのことで、いそがしそうに階下に降りて行ってしまいました。

 新聞によれば、1月25日に長野県警捜査2課と長野中央署は同日、長野市の基金事務所を家宅捜索したということなので、現在は、総出で押収資料の中身を調べているのかもしれません。やはり、タイミング的にはもう少し落ち着いてからの方が良かったようです。

■しかたがないので、長野中央署を後にして、再び長野駅に向かいました。途中、長野市役所の前を通過し、今度は、最短距離を戻ったので、30分程度で駅に到着しました。

 そこで、今度はあらためて、地図をよくチェックし、最初に、長野県庁を目指して駅前広場の交差点を斜め左横奥に入る道を歩いて行きました。5つ目の信号機のところで、大通りに出たので、そこから北に向かい、信号機を3つほど歩くと県庁前の交差点に出ました。
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 そこを右に曲がると左手に大きな立派なビルが見えました。これが信濃毎日新聞社のビルで、ビルの玄関前の広場はユンボが何台も入ってコンクリートの解体工事をしていました。
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 信濃毎日新聞社前の道路に反対側に、信濃毎日新聞を見詰める銅像が建っていました。碑文をみると「小坂善太郎先生」と揮毫があります。また、その近くに小さな神社がありました。
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小坂財閥の代議士小坂善太郎(1912年1月23日 - 2000年11月26日)の銅像。自民党の衆議院議員で外務大臣、労働大臣、経済企画庁長官を歴任。信濃毎日新聞、長野放送、信越放送、信越化学はいずれも同氏の祖父が創立した小坂財閥の企業。

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そのすぐ隣にある善光寺七福神大黒天の大国主神社。小坂財閥の商売繁盛祈願?それとも坂本元事務長の守護神?

 郵便局の脇にある道路を入ろうとしたら駐車場の入り口だったので、ここからは南にいけないとわかり、再び県庁前の交差点に向かい、その直ぐ手前の路地を左にはいり、事件の舞台となった長野県建設業厚生年金基金のあるビルを目指して歩き始めました。

■道路の日陰には圧雪が残っており、足元が滑りやすく、歩きにくかったのですが、県庁前の交差点から10分近く歩いたところに八百屋がありました。

 さっそく、道を尋ねると、「この先を直ぐ右に曲がって、直ぐ前に見える建物ですよ」と教えてもらいました。ネットからダウンロードした坂本容疑者の写真を見せて、この人を見かけたことはありますか、とたずねましたが、その店主は、「この間、テレビでちらっと見ただけです。本人の顔は見たことがありません。すいません」と申し訳なさそうに言っていただきました。それでも、直ぐ近くで起きた巨額横領事件には関心がある様子で、「海外に逃げたと言われてますよね。東南アジアだとか」とニュース報道をよく知っていました。

 教えられたとおり、店を出て、直ぐ先を右に曲がると正面にビルが見えました。間違いありません。ここです。
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■入り口に入ると各階案内板があります。長野県建設業厚生年金基金は最上階の5階とあります。おくの小さなエレベータで5階に向かいました。エレベータを出て右側にガラス戸の入り口があり「長野県建設業厚生年金基金」と書いてあります。中を覗くと、5、6人が事務を取っています。
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 ガラス戸の自動ドアをあけて入ると女性職員が出てきたので、「安中市から来たものです。このたびの巨額横領事件に関して、安中市でもさらに巨額の横領事件が発生しており、共通性も多いのでなにか参考になればと思い、情報交換が出来れば幸いです」と責任者に面談を申し入れました。

 さすがに驚いた様子で、奥に戻ると責任者と思しき男性職員に話をしている様子が伺えます。しばらくして、大柄な男性職員が現れました。

■まず、アポイントなしに面談を申し入れたことを詫びた上で、群馬県安中市から来たことを告げて自己紹介をすると、男性職員から「どこかの事業所のかたですか?」と聞かれたので、15年前に安中市で起きた51億円横領事件の真相を追究しているオンブズマンであることを伝えました。

 男性職員は、安中市の巨額横領事件のことをご存じないらしく、「51億円も!どういう組織で発生したのですか?」と質問されました。そこで当会は「安中市役所内で発生しました」と答えるとともに「今回の皆さんのところの事件を見ていると、安中の横領事件と非常に共通点があります」とコメントしました。

 すると、まだ警戒感が取れないためか、男性職員は、「あのですね、私のほうも正直言って、お話をすることは特段ないんです」と緊張の面持ちで言いました。当会から「先週の火曜日に警察の家宅捜査があったわけだから、取り込み中なんですね」というと、男性職員は「警察?私のほうはね。そんなのはどうだっていいんです。私は今、(2月)16日の代議員会とか理事会が控えていて、そのための資料を作ったりしなければならない。その前に、健全化計画があって、来週から事前審査が来るけれども、まだ(資料の準備が)できてなくって・・・。正直言って、こんな事件なんかどうだっていいんです。事務担当責任者として、目の前にあるものをとにかく片づけないと・・・。こうした事を右から左へ流さないといけないんです」と苦渋に満ちた表情で説明してくれました。

■男性職員は続けて、「それで、ここ(当会が持参した事件の概要を纏めたペーパー)に書いてあること以外は、私のほうもですね。分からないんですよ。それで、やっぱり本人(坂本元事務長)が一番よく知っているんですよね。本人にじかに聞いてもらうのがいちばんいいんです。横領金額と言っても、本人しか分からないと思もいますよ。それで、本人だって、今となってはいちいちメモとっていないから、今となっては何にいくら使ったのか、分からないと思うんですよ」と答えてくれました。

 そこで、当会から、「あのう、政治家の方は関係している様子はありませんか?」と
質問しました。すると男性職員は、「政治家?そういうのは多分ないとは思いますが・・・」というので、当会が「安中市の51億円事件の場合は、政治家が絡んでいた為、真相がウヤムヤになってしまい、結局、横領金の穴埋めは公金で103年間かかって返済するということになってしまいました。そうした実例があるので、政治家の影というのは十分に考えられるので、留意する必要が有るかもしれません」とアドバイスしました。

 男性職員は、「そういえば、群馬県と言えば、有名な政治家がいっぱいいますからね」と率直な感想を口にしてくれました。そのうえで、「いまのところ、政治家というのは聞こえてきませんね。聞くのは投棄顧問に騙されたのではないか、とか言う話しなんかです」という説明がありました。

 当会からは、「安中の場合も金融機関関係者が事件に加担しており、余計真相が複雑化している上に、巨額横領金の尻拭いに和解金を103年間公金で支払うという幕引きがされました」と言うと、男性職員は「こっちの場合は(今後)どうなるかなんていうことは一切わかりません。新聞かなんかも、間違ったことを報道して、警察や自治体からどれくらいおこられたか分からないくらいです。『余計な事を言うな』と言っても、余計な事も言っていないし。これ以上のことは何も・・・」と、行政や捜査関係者から緘口令を敷かれていることを仄めかしました。

■男性職員はさらに「正直言って、どっちでもいいんですよ。こんなこと。理事会もやらなくちゃならないし、処理をしなくちゃならないんです。だからもうちょっと時間が有れば、(安中の巨額横領事件のことを)お聞きしたいんですけど・・・」と申し訳なさそうに言いました。

 そこで、当会もこれ以上相手側は詳しい話が出来る状況にないと判断して、「落ち着いてからまた来ます」と言わざるをえませんでした。

 同基金の男性職員は、だいぶ打ち解けてきた様子で、当会が持参した資料に目をやり、ページをめくりながら、坂本容疑者の写真を見て「うん。これは似てるね」と言ったり、地裁の判決公判の写真を見て「ああこれですね。誰も傍聴がおらず、判決だけ出た時の様子ね」とコメントをしてくれました。そのうえで、恐縮と困惑の面持ちで「もう少しよくお答えして、対応できればいいですけど、なにしろ来週から事前審査に入ったりして、本当にまだメドがたってなくて、私も実は困っているんです」と答えてくれました。

 「では、毎日残業や徹夜を強いられているのでしょうね?」と聞くと、男性職員は「(資料準備で)徹夜や残量でやれるんならいいんですけど、やはりね。相手側(保険会社や金融機関のことらしい)もコンピュータが動いている時間でないと居ないから、昼間やらないと相手側と話せないんです。夜は相手も居ないし、コンピュータも止まってしまので・・・」と、来週から次々に迫っている重要なイベントへの対応を想ったのか、深いため息をついていました。

 当会もこれ以上長居をすることもないと判断して、あらためて「また来ますから。状況が落ち着いた頃、また来ます」と挨拶をして、退席することにしました。
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■1階まで階段を下りて同基金のビルの外にでて少しいくと小さな電気屋がありました。ちょうど、年配の店主らしき男性が軽トラの荷台に、電気部品や電気工具を積んでいる最中でした。

 「すいません。もうしわけないんですが、24億円の横領事件がそこのビルであったようですけど、この事務長の顔は見たことがありますか?」とたずねると、年配の男性は仕事の手を休めて、「新聞でみたよ」と答えました。「この人物がこの辺を歩いているのを見かけたことはありますか?」と聞くと「記憶にないね」とのこと。

 事件の様子について聞くと、「最近は毎日(誰かが)出入りしているが、一番最初の日なんか朝8時半ごろかカメラマンがいっぱい来ていた。それが最初だった。この間、警察官がたくさん出入りして捜査をやったようだ」と店主は語ってくれました。

 当会が「私の住んでいる群馬県の安中市でも51億円の横領事件が起きましたよ。15年前の話ですけど」というと、電気屋の店主は「へえ。この事件のほうもまた2億円増えたんだよ。23億8千万円。汗水働いたってとても届かない金額だ」と言い、さらに続けて「一人では使い切れないと思う。絶対なにかあるとおもう。大体そういうんでなけりゃ、普通じゃない事件だから」と語りました。

■この日インタビューした同基金の男性職員をはじめ、付近の一般市民らの言葉は重く受け止めたいと思います。

 当会が注目したのは、同基金の職員の語った「マスコミに余計なことを喋ったとして行政や警察に叱られた」という言葉と、付近の住民の「一人では絶対に使いきれない金額で、なにかある」という言葉です。

 安中市土地開発公社のタゴ51億円事件では、足利市の骨董商が警察に同じことを言われました。その骨董商は一度も元職員タゴには骨董品を売っておらず、全てタゴの親友である知人が購入していたことを警察から口止めされていました。

 また、タゴ事件では、安中市民の誰もがタゴの単独犯行はあり得ない、と思っていたのにもかかわらず、結局、警察や検察は、タゴの単独犯行で幕引きをしました。

■このことから伺えるのは、長野県建設業厚生年金基金の24億円事件においても、事件の背後に共犯者の存在の可能性は非常に高いと思われます。また、グアム、サイパン、中国などに渡航歴のあるタゴと同じく、あるいはそれ以上に坂本容疑者は海外渡航を繰り返していました。

 捜査関係者などによると、渡航先は米国本土やハワイ、フランス、韓国、香港、インドネシア、タイ、マカオ、ベトナムと幅広くなっています。坂本容疑者が潜伏している可能性があると取り沙汰されているタイあたりで、たとえ同容疑者が捕まったとしても、使途不明金は相当額に上ることでしょう。

■それでも、タゴ51億円事件のように14億円以上の使途不明金が出るかどうかは定かではありません。ここでいう使途不明金と言うのは、警察が捜査した結果、使い道が分からないというのではなく、使い道を公表できないので使途不明にしたという意味だからです。

 当会は、引き続き、タゴ事件のミニ版であるこの事件の推移を今後も注視してゆくことにしています。

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長野駅西口駅前広場にある如是姫(にょぜひめ)の像。24億円横領や51億円横領で長者になった者たちを姫はどう思っているだろうか?


【ひらく会情報部】

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