安中市土地開発公社巨額横領事件に対する裁判所の判決が如実に示す事件の真相と使途不明金の深淵  土地開発公社51億円横領事件

■昨年の暮れ、平成23年12月22日(木)に東京高裁でタゴお宝絵画等6点の絵柄情報不公開に関する住民訴訟の判決がありました。やはり、裁判所の判断は、問答無用で、事件を起こした安中市と土地開発公社を全面的に擁護するものでした。


 今回の裁判では、元職員が、知人の金融マンで古物商の免許を持つ人物を介して、県内や栃木県の古美術商や骨董商などから、多額の絵画等を買い付けていた800点以上の品物のうち、元職員とその知人が結託して、警察の捜査の目をかすめて隠し続けていた、とって置きの絵画等6点が、事件発覚後16年を経過して、知人が元職員の妻に返却し、元職員の妻が、いろいろ世話になったとしてかつての夫の勤務先の安中市土地開発公社の理事長に寄付したというものです。

 当然、14億円あまりの使途不明金と不可分の関係にあるタゴお宝絵画等6点ですから、通常であれば、元職員あるいはその知人と直接面談し、購入時の様子を聞いたり、その時の真贋について知人の査定結果をたずねたり、また、なぜ16年間も知人が元職員からの依頼だとして、横領金で購入した800点以上もの絵画等のうち、この6点だけを警察の捜査をくらましてまで温存していたのか、ということを聞く必要がありますが、なぜか、安中市土地開発公社の理事長の岡田義弘安中市長は、そうしたことは全くするつもりはないようです。

■それにしても、事件は時効を過ぎており、事件の関係者はもとより、絵画等6点の絵柄情報を開示しても全く問題ないはずですが、それでも、現安中市長ら事件関係者をはじめ、役所や、群馬県公安委員を務める安中市顧問弁護士はもとより、裁判所まで、この事件の真相を明らかにしようとする当会の活動目的を邪魔しようとするのは、やはりこの事件の裏には、当会がこれまでの粘り強い活動の結果、たどり着いた事件の背景や真相に関する考察の内容に間違いがない、という確信をさらに深めたのです。

 それでは、判決の内容を見てみましょう。

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平成23年12月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 中越紀代子
平成23年(行コ)第306号 公文書不公開処分取消請求控訴事件
(原審:前橋地方裁判所平成23年(行ウ)第10号)
口頭弁論終結日 平成23年11月8日
             判           決
   群馬県安中市野殿980番地
        控訴人(第1審原告)      小  川      賢
   群馬県安中市安中1丁目23番13号
        被控訴人(第1審被告)     安    中    市
        同代表者市長          岡  田   義  弘
        同処分行政庁          安中市長 岡田義弘
        同訴訟代理人弁護士       渡  辺   明  男
             主           文
 1 本件控訴を棄却する。
 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
             事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2 安中市長岡田義弘が控訴人に対し,平成22年7月8日付けでした公文書の一部不開示処分のうち,絵画等6点に開するビジュアル情報を不開示とした部分を取り消す。
第2 事案の概要(略称は,原判決に従う。)
 1 本件は,控訴人が,処分行政庁である安中市長岡田義弘に対し,平成22年6月25日付けで絵画等6点に関するビジュアル情報(本件文書。写真及び画像データとして存在している情報である。)を含む公文書(行政文書)の開示を請求したところ,安中市長が同年7月8日付けで本件文書を含む行政文書の一部不開示処分(原処分。原処分のうち,本件文書を不開示とした部分が本件処分である。)をしたため,本件処分の取消しを求める事案である。
   原判決は,安中市長が本件文書を保有していないことは明らかであるなどとして,控訴人の請求を棄却したため,控訴人が控訴した。
 2 本件の前提事実,控訴人の主張及び被控訴人の主張については,下記3のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」中,第2の2から4まで(原判決2頁3行目から同4頁末行まで)に各記載のとおりであるから,これらを引用する(ただし,「原告」は「控訴人」と,「被告」は「被控訴人」とそれぞれ読み替える。以下引用部分について同じである。)。
 3 当審における控訴人の主張
 (1)  本件公文書(絵画等6点)は,安中市元職員(元職員)が職務上取得したものであること
    元職員は,安中市土地開発公社(公社)職員としてではなく,安中市職員の立場で,職務上,絵画等6点を取得していた。このことは,元職員が,億単位の公金を費消し,美術館の設立という説明をし,売主である古物商への仲介者(信用金庫職員)を始めとした事件関係者が,その旨信用していたことから明らかである。
 (2)  本件公文書(絵画等6点)は,もともと安中市が所有権を有すること
    元職員は,平成7年5月31日に懲戒解雇される前,公務員の資格を有していた時期に,公金を使って絵画等6点を取得したのであるから,絵画等6点の所有権は安中市にある。
 (3) 以上よりすると,本件公文書(絵画等6点)は,「実施機関の職員が職務上取得した文書,図画及び電磁的記録」であり,「当該実施機関が保有しているもの」であるから,安中市情報公開条例(本条例)2条2項により開示されるべきであり,そのビジュアル情報も当然開示対象になるはずである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人の請求は棄却すべきであると判断する。その理由は,次のとおり改め,下記2のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」中,第3の1,2(原判決5頁2行目から同6頁1行目まで)に各記載のとおりであるから,これらを引用する。
  原判決5頁19行目の「被控訴人(安中市長)」を「被控訴人及び実施機関(安中市長)」と,25行目から26行目にかけての「得られない以上,」を「得られず,当該法人(公社)の協力できないとする理由が一概に根拠のないものと断定することはできす,実施機関(安中市長)がさらに当該法人に協力を求めるべきであるともいえないことから,」とそれぞれ改める
2 当審における控訴人の主張に対する判断
 (1)  控訴人は,本件公文書(絵画等6点)は,本条例2条2項により開示されるべきであり,そのビジュアル情報も当然開示対象になるはずであるとし,その根拠を纏々主張する。
   まず,控訴人の主張は,絵画等6点が本条例の公文書であることを前提とするものであるが,絵画等6点とそのビジュアル情報(本件文書)は別のものであり,控訴人が,本件文書の開示を求めている以上,本件文書そのものの本条例2条2項該当性を主張しなければならないはずである。ことに,元職員の妻が公社に絵画等6点を差し入れ,公社でそのビジュアル情報である本件文書を作成した場合(本件文書の性質上その可能性は高いと考えられるが,本件全証拠によってもこの点が明らかであるとまではいえない。),絵画等6点の取得時期と本件文書の作成時期は異なるし,絵画等6点の所有権帰属主体とは無関係に本件文書の帰属主体は公社となることが明らかであることから,控訴人の主張は主張自体失当となる可能性があるというべきである。
   しかしながら,上記のとおり,本件全証拠によっても,本件文書の作成者,作成時期などは明らかではないことから,控訴人の主張を,「絵画等6点と本件文書を元職員が同一時期に取得し,所有権も同一主体に帰属すべき場合」と善解した上で,以下認定説示する。
 (2)  前記1の認定事実(原判決引用部分)並びに証拠(甲11,乙1,2)及び弁論の全趣旨によると,絵画等6点は,元職員が公社を舞台に巨額の詐欺横領事件を起こし,それによって得た金員のうち自己消費に充てた分で取得したこと,当時被控訴人及び公社に絵画等6点を取得する理由はなく,被控訴人又は公社から元職員に取得のための職務命令が発せられてはいなかったこと,元職員が,詐欺横領事件で得た金銭で,骨董品・古美術品を購入する際には,現金払いをしており,納品書,領収書の発行がなされた形跡が窺えないことが認められ,客観的,外形的に,元職員が絵画等6点を安中市職員の立場で取得したとは到底いえない。
    また,上記の各認定事実からして,安中市が絵画等6点の所有権を取得したともいえない。
    そうすると,控訴人の主張を善解したとしても,その主張は前提を欠くことになるので,絵画等6点のみならず,本件文書も本条例2条2項該当性があるとはいえず,控訴人の主張を採用することはできない。
第4 結論
   よって,上記と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないので棄却することとし主文のとおり判決する。

  東京高等裁判所第4民事部
      裁判長裁判官     芝   田   俊   文
      裁  判  官     大 久 保   正   道
      裁  判  官     浅   見   宣   義

これは正本である。
平成2 3年12月22日
 東京高等裁判所第4民事部
   裁判所書記官 中 越 紀代子

【返還書】
            平成23年(行コ)第 306号
                 平成23年12月26日
      返     還     書
予 納 者
    小 川   賢 様
     東京高等裁判所第4民事部
          裁判所書記官 中 越 紀代子
  予納を受けた郵便切手について,
  使用残額1530円分を返還します。
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■注目されるのは、東京高裁の判断として、次の事項を挙げていることです。

「絵画等6点は,元職員が公社を舞台に巨額の詐欺横領事件を起こし,それによって得た金員のうち自己消費に充てた分で取得したこと,当時被控訴人及び公社に絵画等6点を取得する理由はなく,被控訴人又は公社から元職員に取得のための職務命令が発せられてはいなかったこと,元職員が,詐欺横領事件で得た金銭で,骨董品・古美術品を購入する際には,現金払いをしており,納品書,領収書の発行がなされた形跡が窺えないことが認められ,客観的,外形的に,元職員が絵画等6点を安中市職員の立場で取得したとは到底いえない。」

 すなわち、当会が当初から注目したとおり、この絵画等6点は、やはり、タゴが横領金で購入したものであり、それが、安中市土地開発公社にあるということは、横領金で購入したもの、すなわち犯罪に関係する絵画等6点であることを裁判所も認めたことになり、岡田市長・公社理事長の「“史上空前の巨額横領事件という犯罪にかかわる絵画等6点である”ため、市民納税者に対して、開示すると、公社の不利益になる」という主張を裁判所がそのまま認めたことになります。

 時効は過ぎていても、この件について、さっそく当時、この事件の捜査にかかわった司法関係者に報告しておく必要があると思います。

■東京高裁のもうひとつの重要な判断として、「安中市が絵画等6点の所有権を取得したともいえない。」とあります。安中市が絵画等6点の所有権を持っていないとなると、このご時世にあっても、裁判所は依然として、市と公社とは別法人だとする旧態依然とした論理を指示していることになります。つまり、第二、第三のタゴ事件の温床を取り除く意思がないことになり、これが日本の司法の深刻な現状なのでしょう。

 そのためには、最高裁に上告する必要がありますが、これまでこの巨額横領事件で、5回の提訴のうち4回、最高裁に上告しましたが、すべて不受理となっていることから、上告理由書が受理される可能性はゼロでしょう。

 上告しても、喜ぶのは安中市の顧問弁護士だけであり、これ以上公金の支出を安中市にさせても、結局その費用は、我々市民納税者が支払った税金由来によるものであることから、岡田市長には、まったく痛くも痒くもないため、上告については慎重に対応する必要があります。

【ひらく会事務局】
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