2007/11/25  22:51

51億円事件第6回公判(平成8年2月1日)その3  安中市土地開発公社事件クロニクル

検察官
55年に都市計画課になって、すぐ公社の担当になったわけですね。
 はい。
都市計画課に入る前は、どこにいたんですか。
 農政課におりました。
安中市役所に入ってから都市計画課に移るまでの間、この間は、市のお金を横領したりと、そういうことはしてなかったんですか。
 ございません。
一切、公の金に手をつけたことはなかったわけですか。
 はい、ありません。
それが57年ごろから、事務費と言われてた30万円、これに手をつけるようになったわけですね。
 はい。
市に入ってから10年近くまじめにやってきたのが、なぜ、急にそういう金に手をつけようと思ったんですか。
 今まで直接現金を手に触るという仕事ではありませんでした。都市計画課いきまして、公社設立いたしまして、土地代金、事務費、こういったものに直接触れることができるようになりましたので、それが発端かと思います。
仕事の内容が経理を担当すると、金を扱う、そういうことになったから金に手をつけるようになったと、こういうことですか。
 はい。
それまではそういう機会がなかったと、そういうことなんですか。
 はい。
派手な生活をしたいとか、見えを張りたいというのは、いつから思ってたんですか。
はっきりは記憶がないんですけれども、やっぱり結婚したころだと思います。
自分の給料だけでは十分じゃないと、そう考えてたわけですか。
 はい。
最初は返すつもりでしたと言っていますけれども、いつごろまでそういうことを考えていたんですか。
 その事務費に手をつけてたころはそう思っていました。
事務費に手をつけるだけじゃなくて、もっと大きな金額に手をつけるようになったのは、何がきっかけだったんですか。
 ギャンブルだと思います。
競馬ですか。
 はい。
競馬で、もっと多くの金が必要だったんですか。
 どうしても穴を埋めたいという気持ちがありましたもんですから。
競馬をしたいために、横領してたというんですか。それとも競馬でもっともうけてやろうと、そういう考えだったんですか。
 両方です。
ギャンブルをして金が欲しいという思いだったんですか。
 はい。
公社の事業が始まって、市から代金が入るようになったわけですね。
 はい。
それについて、本来なら返済しなきゃいけないものを下ろして使ってたわけですか。
 はい。
最初はそういった公社のお金を横領するということだけだったんですけれども、そのうち公文書を偽造して詐取するということを考えましたね。
 はい。
これは何をヒントに、どうやって考えたんですか。
 特にヒントはありませんでした。最初のころ、全くそういう詐取をする気持ちはなかったんですが、そこにすき間が空いてると、これはまずいだろうなというふうに思ったことがありまして、それをヒントにそういうことをすればできるのかなということでやったんです。
そこにすき間というのは。
 金と、私のほうで書き込む金額の間です。
これは公社の事業の借入れのための書類ですね。
 そうです。
書き込むことができるんではないかということを考えついたわけですか。
 逆に、書き込まれたら困るなというのが最初の発想でした。
それが、じゃあ、書き込めば相手をだませるんじゃないか、そうなったわけですか。
 はい、そうです。
それが60年ごろなんですか。
 はい。
そのころは水増しした金額、これは公社の口座に入れてたわけですか。
 もちろんそうです。
本件のような、別の口座を作ってというのは、そのときは考えなかったんですか。
 全く考えませんでした。
それはどうしてですか。
 そういう知識がありませんでした。
そうすると、口座を調査されたらまずいというふうには思ってたわけですか。
 もちろんそうです。
銀行から、公社の名義で融資を受けるためには、借入れの申込書と、金銭消費貸借契約証書、連帯保証契約証書、これを出す必要がありますね。
 はい。
さっきの水増し詐欺を考えついたときに、こういった書類はどうしようと思ったんですか。
 すべて偽造するより仕方がないと思っていました。
偽造できるというふうに考えたんですか。
 はい。
例えば借入申込書や金銭消費貸借契約証書なら、公社の理事長印が必要ですね。
 はい。
市の保証書ならば、市長印が必要ですね。
 はい。
これはもちろん自由にならないものですね。
 なりません。
どうしようと思ったんですか。
 正しいもので回しといて、後で訂正しようと思っていました。書き込もうと思っていました。
正規の決裁を受けた後で、すなわち公印が押された後に書き加えればばれないと、そう思ったんですか。
 そうです。
ただ、だまし取った金を引き下ろす際には、払戻請求書が必要ですよね。
 はい。
これはどうしようと思ったんですか。これも理事長印必要なんじゃないんですか。
 もちろん必要です。職員の目を盗んで、あるいは、管理者の目を盗んで印鑑を使うつもりでした。
公社の理事長印というのは、どこにあったんですか。
 事務局長の席の机の上です。
あなたが目を盗んで、それを盗用することはできたわけですか。
 はい、可能でした。
借入申込書などは、あなたがワープロで打ち直してますね。
 はい。
これ、見付かる心配はなかったんですか。
 正規のものと同時に作りまして、不正の部分につきましては記憶させませんから、あとに残りません。
フロッピーに残すのは正規のだけを残すと。
 はい。
で、加えた分については、印字だけするということですか。
 そうです。
公社の理事長印の場合は、目を盗んで押せますけれども、市長印はできませんよね。
 はい。
市長印はどうするつもりだったんですか。
 ・・・金銭消費貸借契約証書にはすき間があって、後で書き加えればいいわけですから、正しいものとして決裁されて回ってきますので、特別心配はなかったと思います。
正規の決裁金額で市長印が押された後に加えるんだから、ばれたことはなかったと。
 はい、すき間が空いてることに心配はありました。
疑われるんじゃないかと。
 はい。
あなたは疑いを防ぐために、水増ししない金銭貸借証書、これについてもすき間を設けていましたね。
 はい、少し設けました。
それは、常に金という文字と数字の間を空けるようにしとけば、そういうふうにやってるんだということで疑われないと考えたんですか。
 はい、そうです。ただ、その際、群馬銀行行くときは、空いてるほうと空いていないほうができてしまいますので、そのかねあいがとても難しかったですけれども、多少空いてたと思います。
市長印について、書き加えたものと、新たに偽造したものとありますね。
 はい。
これは、どうして新たに書き加えずに偽造したんですか。
 かなり不自然だったことがありまして、そういうものにつきましては一からやり直しました。
不自然というのは。
 書き加えた場合が、あまりにも不自然だったもんですから。
それについては、新たに市長印をもらって偽造し直すしかなかったということですか。
 はい。
その際のばれる心配はなかったんですか。
 はい。それは、間違えたものと新たに作ったものは数字が同じですから、それを秘書課持っていきまして、間違えたのでもう一度いただきたいということで、口頭で説明して、いただきました。
数字が一緒だから、ばれる心配はなかったんですか。
 そう思いました。
最初に起訴した分で、例えば秘書係長の横田さんが押してますね。
 はい。
そのように、書類を失敗したからと市長印を押し直してもらうということは何度かあったんですか。
 二度くらいあったと思います。
横田さんがあなたを疑ってるということは、全くなかったんですか。
 と、私は思いました。
あなたは、信頼度では、仕事もできる、まじめだという評判で通ってたんですか。
 いや、それは私、分かりません。
上司にしかられたり、そういうことはあったんですか。
 いや、特になかったと思います。
昭和60年から平成2年まで、正規の口座で11億3000万ほど水増ししてだまし取ってますね。
 はい。
間違いないですか。
 はい。
平成2年4月から、今回の起訴にかかる部分からですけれども、それはなぜ公社の別の口座を作ることを考えたんですか。
 新しく係長が替わりまして、新しく来た係長が経理に当たって、またこれからは二人で通帳を突き合わせながらやろうというふうに話がありましたもんですから、このままではばれるだとうと思いまして、4月の半ばに新しく特別会計の通帳を作りました。
これからは二人でやろうということは、経理を一人ではなくて二人で担当しようと言われたということですか。
 そういうことです。
今までの方法ではばれてしまう。
 はい。
別の、公社名義の口座というのは、それは銀行から疑われるとは思わなかったんですか。
 過去に、昭和60年ちょっと過ぎごろなんですけれども、県の事業委託受けまして、会計預かってやったことございます。その際に、そういった特別な名目をつけまして別通帳が作れたものですから、新しく作っても可能だろうなと、分からないなと思いました。
正規の口座と、特別会計つけた口座と、これはどういうふうに使い分けると銀行には説明してたんですか。
 いや、特に説明はいたしませんでした。
市長の特命を受けたものだけは特別会計だと、そういうふうに説明したわけじゃないですか。
 それは、後になって、私が異動の際はその話はしたことがございます。
正規の口座とは用途が違うといったんですか。
 はい。
それなどは、平成7年3月の異動まで、36億3000万続いたわけですね。
 はい。
だまし取った金の使い道ですけれども、あなたの記憶では主に何に使ったんですか。
 一番多いのは骨董品だと思います。
ほかに。
 あとは、自宅の改装、店のほうの改装といったものが大きかったと思います。
株券、ゴルフ会員権などにも使ってるんですね。
 もちろんあります。
外車の購入、ぜいたく品の購入、ギャンブル、それもありますね。
 ございます。
先ほど弁護人の質問で、犯行の発覚を防ぐために犯行をずるずる引き延ばしてたと。そう言ってましたね。
 はい。
ただ、実際には返済分と利息分の支払以上の金をだまし取ってるわけでしょう。
 はい。
それはどうしてですか。
 やはり、最初のころは利息と返済金で済んでたんですが、骨董品を買うようになりましてから、少し余分にお金を借りるようになりました。そうしますと、半年の間に使わなくちゃなりませんので、それが少しずつエスカレートしまして、買う量が増えていったということです。
結局、余分に金をだまし取って、返済と利息分以外に自由になる金が欲しかったと。そういうことじゃないですか。
 そうです。
ただ単に見付かるのを引き伸ばしてたんじゃないわけですね。
 両方ありました。その気持ちは。
見付かりたくないという気持ちと、ぜいたくを続けたいという気持ちと、両方あったんですか。
 はい。
実際に引き下ろした額は5年間で22億円に及びますね。
 はい。
これは、あなたが全部下ろしたわけですか。
 そうです。
あなたの供述した使途先、いろいろ調べたわけですけれども、まだ実際に22億円に合わない部分があるんですけれども、これはどうしてですか。
 私の記憶が、さんざん考えたんですけれども、分かりません。
ほかにも使ったものがあるわけじゃないんですね。
 使ったもの、大きなものはないと思います。
隠してるわけじゃないわけですね。
 現金をですか。
うん。
 隠してません。
そうすると、合わない部分というのは、少しずつ記憶違いがあるということですか。
 だと思ってます。
家族には一切話さなかったというのは、間違いないんですか。
 はい、話してません。
疑われたこともなかったわけですか。
 ないと思います。
銀行の担当者というのは、だれでしたか。
 群馬銀行ですか。
はい。
 いつの時点でしょうか。
平成2年以降。
 支店長さん、それから次長さん、融資担当の支店長代理さん、この3名が主だったと思います。
清水さんや伊藤さんですか。
 そうです。
借りる際には、公社の事業目的を話してますね。
 はい。
一番多く話したのはなんですか、借りる理由として挙げたのは。
 公共用地ということです。
新幹線の新駅の関係で多大の費用が必要だと、そういうことを話してるんじゃないですか。
 はい、話してます。
新幹線関係の開発というのは、実際にあったんですか。
 ございました。
そのことを理由にすれば、多額の借入れを言っても不思議がられないだろうと、そう思ったわけですか。
 はい。
銀行のほうから疑われたことというのは、あるんですか。
 いや、私はないと思いました。
自分が市長の特命を受けていると、自分だけを公社の窓口として欲しいと、そういうことは常日ごろ話してたんですか。
 いや、常日ごろそんなことは言ってはいないです。異動のときには、そういう話をしてました。
あなた以外の公社の人に群銀のほうから確認されたら、自分のしたことがばれてしまうわけですね。
 そうです。
自分だけ窓口にしてくれということは、言ってきたんじゃないですか。
 向こうがそういうふうに、もうそういう扱いをしてくれたことは事実だと思うんですけれども、私のほうから直接そういうお話を申し上げたことはないと思いますけど。
異動のときには、どういう話をしたんですか。
 異動の時には、もう公社の人間ではありませんから、これから金を下ろしに行きますので、そのへんで疑われないように、今申し上げたように、特命だとかという理由をつけてお話はしておきました。
長期間にわたっていろんな方法を次々と実行して、それが成功してきたために長期間になったわけですね。
 はい。
それは全部自分一人で考えたわけですか。
 そうです。
あなたとしては、今回の事件について、だまされた銀行に落ち度があると、そう思ってるんですか。
 いや、私は、書類だけじゃなくて、私が口頭でもいろいろお話をしましたので、そういった部分で私がだましたんだと思います。
相手が悪いというわけではないわけですか。
 私の責任です。
また、公社に、公印の管理がずさんだとか、そういうことは考えてますか。
 全く思っていません。
あなたがその地位を利用して、みんなの信用を悪用したと、そういうことですか。
 そうです。
今回の事件によって、前市長であります小川市長が辞めたり、議会が解散されたり、いろんなことがありましたね。職員が懲戒処分を受けたり。
 はい。
こういった結果については、どう思ってますか。
 申し訳ないと思ってます。
6億余り弁償しましたけれども、まだ合わない分30億円以上残ってますね。
 はい。
今民事訴訟行なわれてますけど、群馬銀行、被害者か、あるいは安中市が負担することになりますね。
 はい。
あなたは、これについては、どうしようと思ってますか。
 一生かけて誠心誠意償っていくつもりでおります。
実際には、しかし払うのは難しいわけですね。
 はい。
15年余りの間あなたが実際に使った額、27億ぐらいになるんですけれども、普通の市民からとても考えられないような金を使ってぜいたくしたわけですね。
 はい。
あなたのもともとの希望がかなったわけですけれども、これはずっと満足でしたか。
 いいえ、満足では全くございません。
どうして満足感得られなかったんですか。
・・・やはり、正しいことで得たお金じゃありませんから、後ろめたい気持ちは常にありました。
ぜいたくをしても、本当に満足を得られなかったということですか。
 ありませんでした。
公社が取引している金融機関は、群馬銀行安中支店だけじゃないですね。
 はい。
例えば、先ほどちょっと話が出た碓氷安中農協からお金を借りるためには、農協の場合はどこにお金が入るんですか、借りた金が。
 通帳に入ります。
通帳といっても、碓氷安中農協にある通帳と、こう聞いていいですか。
 はい。
例えば甘楽信用金庫安中支店からお借りするためには、甘楽信用金庫安中支店にある公社の口座に入ると、こう聞いていいですね。
 はい。
例えば碓氷安中農協からお金を借りるときには、手続はどなたがしてたんですか。
 担当の者がやって、私がやっております。
全部あなたがやったと聞いていいですか。
 はい。
甘楽信用金庫安中支店なども、あなたがやってたと、こうお聞きしてよろしいですね。
 はい。
あなたが変造したのは、群馬銀行安中支店だけですね。
 はい。
これは、どうしてそうなったんでしょうか。
 一番取引が多かったのは群馬銀行なんですが、借りる際に、他の銀行では金銭消費貸借契約証書に、既に私のほうで申込書を持っていった金額がチェックライターで打たれたんですね。そういうことございましたので、そうすると当然偽造できません。そういったいろんな絡みがございまして、群馬銀行だけになってしまいました。
金融機関によっては、お金を貸す借用書の中に既に金額を打ち込んであると。
 はい。
すると、変造等はできませんよね。
 はい。
再三出てることですけれども、借入れすると、その金が例えば群馬銀行安中支店の口座に入る、あるいは碓氷安中農協のところに入ると。すると、実際に借入れした金が入ったかどうかの確認というのは、結局はあなたしかしてなかったということになるわけですかね。
 はい、私が大体そうです。
借入れした金が本当に借りられたのかどうか、実際に口座に入ったかどうかも、結局があなただけが確認をしていたということですね。
 平成2年までは、そうでした。
平成2年になって、特別口座を設けましたね。その理由は、今度新しく来た高橋さんが通帳を見ると、こういったわけですね。
 はい。
特別にその段階で市や公社の内部の取扱いの規則規範等が変わったわけじゃないですね。
 特に変わってません。

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