2012/2/18  0:23

フリマ中止を巡る未来塾側と市・岡田市長とのバ・・・ついに逆転判決がでた東京高裁での攻防(その9)  安中フリマ中止騒動

 フリーマーケット開催を巡り平成19年9月に市民団体と安中市側の間で、市長室で開かれた意見交換会でのやりとりが、虚偽の内容で安中市の広報に掲載され、市民団体と同代表者のイメージを著しく汚され名誉を傷つけられたとして市民団体と代表者が平成20年9月に安中市と岡田氏を相手取り提訴した事件は、平成23年7月13日に東京高裁で控訴審の判決が言い渡されました。7月15日に安中市の顧問弁護士のところに判決文が届き、実質的に東京高裁は市民団体と代表者の主張を認めざるを得ませんでした。判決内容は次のとおりでした。


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【控訴審の判決文】
平成23年7月13日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 林正人
平成22年(ネ)第4137号損害賠償等請求控訴事件(原審・前橋地方裁判所高
崎支部平成20年(ワ)第492号)
口頭弁論終結日 平成23年2月21日
            判    決
   群馬県安中市岩井609−1
      控    訴    人     松   本   立   家
   群馬県安中市岩井638
      控   訴   人       地域づくり団体未来塾
      代 表 者 代 表       松   本   立   家
      上記控訴人ら訴訟代理人弁護士  山   下   敏   雅
                      中   城   重   光
                      寺   町   東   子
                      後   藤   真 紀 子
                      吉   田   隆   宏
                      高   城   智   子
                      山   口   裕   未
                      釜   井   英   法
                      青   木   知   己
                      登   坂   真   人
                      船   崎   ま   み
                      寺   田   明   弘
   群馬県安中市安中1丁目23番13号
      被  控  訴  人      安     中     市
      代 表 者 市 長       岡   田   義   弘
      上記訴訟代理人弁護士      渡   辺   明   男
   群馬県安中市野殿969番地
      被  控  訴  人      岡   田   義   弘
            主    文
1 控訴人地域づくり団体未来塾の控訴に基づき,原判決中控訴人地域づくり団体未来塾に関する部分を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人安中市は,控訴人地域づくり団体未来塾に対し,5万円及びこれに対する平成19年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人地域づくり団体未来塾のその余の請求をいずれも棄却する。
2 控訴人松本立家の控訴を棄却する。
3 訴訟費用は,控訴人地域づくり団体未来塾と被控訴人安中市との関係では,第1,2審を通じて80分し,その1を被控訴人安中市の負担とし,その余を控訴人地域づくり団体未来塾の負担とし,控訴人地域づくり団体未来塾と被控訴人岡田義弘との関係では,控訴費用を控訴人地域づくり団体未来塾の負担とし,控訴人松本立家と被控訴人らの関係では,控訴費用を控訴人松本立家の負担とする。
4 この判決の第1項(1)は,仮に執行することができる。
            事実及び理由
第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人らは,控訴人松本立家に対し,連帯して,400万円及びこれに対する平成19年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 被控訴人らは,控訴人地域づくり団体未来塾に対し,連帯して,400万円及びこれに対する平成19午12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 4 被控訴人らは,連帯して,被控訴人安中市が制作する「おしらせ版あんなか」に原判決別紙1記載の記事を原判決別紙2記載の条件で1回掲載せよ。
第2 事実の概要
 1 本件は,控訴人地域づくり団体未来塾(以下「控訴人未来塾」という。)及びその代表者である控訴人松本立家(以下「控訴人松本」という。)が,被控訴人安中市(以下「被控訴人市」という。)発行の広報誌に掲載された被控訴人市の市長である被控訴人岡田義弘(以下「被控訴人岡田」という。)執筆に係るフリーマーケット開催についての意見交換会に関する記事によって控訴人らの名誉が毀損された等と主張して,被控訴人岡田に対し,不法行為に基づく損害賠償として,被控訴人市に対し,被控訴人岡田の行為についての国家賠償法1条1項若しくは民法715条1項(使用者責任)に基づく損害賠償又は上記広報誌の編集,発行及び配布等を担当した職員等の行為についての国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,連帯して,各控訴人につき400万円及びこれに対する上記広報誌配布後である平成19年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,被控訴人らに対し,民法723条に基づく名誉回復処分として,被控訴人市発行の広報誌への謝罪文の掲載を求める事実である。
 原判決は,控訴人らの請求をいずれも棄却し,控訴人らは,これを不服として控訴した。
2 事案の概要の詳細は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」の2,3に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決3頁15行目末尾に「控訴人未来塾は,平成13年群馬銀行環境財団賞(主催・群馬銀行環境財団)を,平成19年6月25日群馬ふるさとづくり賞(主催・群馬県地域づくり協議会(事務局=県地域創造牒),読売新聞前橋支局,NHK前橋放送局)を,同年11月22日あしたのまち・くらしづくり活動賞・振興奨励賞(主催・財団法人あしたの日本を創る協会)等を各受賞した(甲26,31の4・5,乙10)。」を加える。
(2) 同4頁4行目末尾に改行して次のとおり加える。
 「エ 本件意見交換会の数日後,被控訴人市は,控訴人未来塾に対し,本件公園の使用を許可する方針であることを連絡した。しかし,控訴人未来塾は,本件意見交換会の結果を踏まえて,本件フリーマーケットの開催は困難と判断し,上記連絡のあった時点では,既に関係者に対し中止を通知していた。結局,本件フリーマーケットの開催は中止され,新聞各社は,同年10月20日から同年11月4日にかけて,この件について報道した(甲2の1ないし6,丙16の2,丙21)。」
(3) 同4頁9行目の「記載」を「執筆」と改める。
(4) 同6頁17行目末尾の次に「そして,被控訴人市側が丁寧な口調で誠実な態度を採っていたにもかかわらず,控訴人ら側が理不尽で威嚇的な発言を行ったとの印象を一般読者に与えており,人口6万4000人余りの地方都市で円滑な人間関係が大都市と比較しても重視される地域性の下で,話し合いの冒頭から怒鳴るということは,協調性がなく,不誠実な態度を採る独善的な団体であるという印象を与えることにほかならず,控訴人らの社会的評価を著しく低下させるものである。」を加える。
第3 当裁判所の判断
1 本件談話が控訴人未来塾の社会的評価を低下させたか
(1) 判断方法
 本件談話が控訴人未来塾の社会的評価を低下させたか否かを判断する方法は,原判決14頁20行目冒頭から同頁26行目末尾までに記載のとおりであるから,これを引用する。
(2) 本件談話の概要
 本件談話は,被控訴人市の市長である被控訴人岡田が本件意見交換会の経過を市民に伝えるため,執筆したものであり,本件意見交換会の開催日,出席者等を記載した上,話題となった3点についての応答の概要を記載し,それに関連する資料を掲げ,最後に被控訴人岡田の市政に対する心構えと市長である被控訴人岡田の氏名が記載されており,被控訴人市が安中市広報紙発行規則に基づき発行する広報誌である本件掲載誌に掲載され,同市の全戸に配布された。
(3) 本件談話@,BないしFについて
 当裁判所も,本件談話@,BないしFが控訴人未来塾の社会的評価を低下させると認めることはできないものと判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の1(1),(3)ないし(7)に記載のとおりであるから,これを引用する。
ア 原判決16頁6行目冒頭から同頁9行目末尾までを「本件談話Bは,安中市民から被控訴人市に対し,控訴人未来塾がフリーマーケットの会場において募金活動を行っているとの指摘があった事実,これに基づいて,被訴人市側が控訴人未来塾側に対し,募金活動の有無を質問した事実,これに対し,控訴人未来塾側が,震災時に募金活動をしたことがあると答えた事実及び控訴人未来塾が被控訴人市に対して上記募金活動について報告していなかった事実を摘示したものである。」と改める。
イ 同16頁17行目冒頭から23行目末尾までを削除する。
(4) 本件談話Aについて
ア 本件談話Aは,本件意見交換会の開始から出店料の徴収についてまでの応答に関する記載から成っており,冒頭部分において,被控訴人市側が「すみませんが確認させていただきたいのですが」と発言したのに対し,控訴人未来塾側が,冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り,披控訴人市側が「静かに話をしましょう。」と応じた事実を摘示し,出店料の徴収に関する部分において,安中市民から被控訴人市に対し,控訴人未来塾がフリーマーケットで出店料を徴収していることを被控訴人市は知っているのかとの指摘があった事実,これに基づいて,被控訴人市側が控訴人未来塾側に対し,出店料として2000円を徴収しているか質問した事実,これに対し,控訴人未来塾側が,2000円の出店料を徴収していると答えた事実を摘示している。
イ このうち出店料の徴収についての応答に関する事実の摘示部分は,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものとは認められない。
ウ しかし,被控訴人市側が,「すみませんが確認させていただきたいのですが」と発言したのに対し,控訴人未来塾側が冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り,被控訴人市側が「静かに話をしましょう」と応じたとの事実の摘示は,本件掲載誌の一般読者に対し,市長室という公共の場における市長を交えた話合いの場において,被控訴人市側が控訴人未来塾へ敬意を払い丁重に質問をして協議を開始しようとしたにもかかわらず,控訴人未来塾が,これに耳を貸すこどなく,その冒頭から,協議相手に対する敬意を欠く不穏当かつ不作法な言葉使いで威嚇的な発言を大声でするなど,社会常識上許容することが出来ない独善的な行動を行う団体であり,冷静な協議の相手方たり得ないという印象を与え,控訴人未来塾の前判示の活動を効果的に行う上で重要な,同市の住民の控訴人未来塾やその活動に対する共感を損なうものというべきである。そして,本件談話Aが,公共団体である被控訴人市がその広報紙発行規則に基づき発行した公式の広報誌に掲載され,市長自らが執筆した旨の記載まであることに照らせば,一般読者が控訴人未来塾の上記発言に至る経緯などその記載内容の細部についてまで信頼するものと認められることを総合考慮すると,同事実を摘示した本件掲載誌を同市の全戸に配布する行為は,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものと認めるのが相当である。
2 本件談話が控訴人松本の名誉等を毀損したか
(1) 本件談話@,BないしFについては,前判示のとおり,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものと認めることはできないのであるから,控訴人未来塾の代表者としての控訴人松本の社会的評価を低下させるものであると認めることもできない。
(2) 本件談話Aについては,前判示のとおり,控訴人未来塾の社会的評価を低下させる事実の摘示があると認められるが,前記1(4)ウ判示の発言をしたのが,控訴人松本である旨の記載はない上,本件談話には,控訴人未来塾の代表音の氏名も控訴人未来塾から本件意見交換会に出席した者の氏名も記載されておらず,控訴人未来塾の代表者が控訴人未来塾側の他の出席者をして上記の発言をさせたことを推測させる記載もないのであるから,控訴人未来塾の代表者が控訴人松本であることが安中市民に広く知られていたとしても,本件談話Aが控訴人未来塾の代表者である控訴人松本個人の社会的評価を低下させるものとは認めるに足りず,その名誉を毀損し,あるいはその人格権を侵害するものと認めることはできない。
3 本件談話Aについて,損害賠償責任を阻却する事由があるか
(1) 事実の公共性及び目的の公益性について
 本件談話が公共の利害に関するものであることについては,当事者間に争いがなく,本件談話の記載内容,証人長澤和雄(以下「長澤」という。)の証言(原審)及び被控訴人岡田の供述(原審)によれば,被控訴人岡田及び被控訴人市は,被控訴人市の側から本件意見交換会の概要を安中市民に説明するために本件談話を被控訴人市の広報誌に掲載したものであり,その執筆,掲載及び配布行為は,専ら公益的な目的によるものであると認められる。
(2) 摘示事実の真実性,摘示事実が真実であると信じる相当な理由について
ア 被控訴人らは,本件意見交換会の冒頭,被控訴人市側を代表して市長の被控訴人岡田が「すみませんが確認させてください」と言った途端,控訴人未来塾側が「目を見て話をしろ」という趣旨のことを大声で怒鳴り,これに対し,被控訴人岡田が「重箱の隅みたいなことを言わず,もっとおおらかに話しましょう」と言った旨主張し,被控訴人岡田作成の要点筆記(丙17。以下「本件要点筆記」という。)には,これに沿う記載があり,被控訴人岡田の供述(本人尋問(原審)),陳述書(乙17)中にはこれに沿うかのような部分があり,被控訴人市側の本件意見交換会出席者である長澤の証言(原審),同人,堀越久男(以下「堀越」という。)及び佐藤伸太郎(以下「佐藤」という。)の各陳述書(乙4,5,6)中にも,控訴人未来塾側の出席者が大声で上記の発言をした旨の記載がある。
イ しかし,控訴人らは,控訴人未来塾側の出席者が冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴った事実を否認し,目を見て話をするようにとの発言に至った経緯について,本件意見交換会では最初に募金活動に開する議論があったが,被控訴人岡田が控訴人松本と会話をしているのに控訴人松本の方を全く見ずに話を進めていたため,開始から約15分か経過した時点で,控訴人松本が被控訴人岡田に対し,自分の方を向いて欲しい旨発言したところ,被控訴人岡田がこれに反発する発言をしたことから,松本遥(以下「遥」という。)がこれを諌める発言をした旨主張し,遥が本件意見交換会における応答を録音したものとして提出された録音記録(甲39,40。以下「本件録音記録」という。)には,控訴人らの上記主張に合致する経過が記録されており,本件録音記録中少なくともに本件意見交換会の開始から約15分経過後の控訴人松本と遥の上記各発言に至る応答部分の詳細な内容及び順序については,不自然な点は認められず,甲第60号証も総合考慮すれば,上記の部分について後目の修正や編集が加えられたとは認められない。
 これに対し,被控訴人らは,本件録音記録は編集加工されたものである旨主張し,丙第22号証(日本音響研究所作成)中には,本件録音記録には,30秒毎に時計の長針が移動する際の衝撃音が,509秒付近,899秒付近,1781秒付近の3か所で確認できないことから,上記3ヵ所の前後部分30秒又は30秒の倍数部分を削除した可能性がある旨の記載がある。しかし,甲第60号証(鈴本法科学鑑定研究所作成)は,本件録音記録について分析区間10秒単位で連続分析した結果,特に録音の不適続箇所や異常な箇所は認められず,編集加工された可能性が極めて低いとし,丙第22号証によれば上記長針移動の際の衝撃音が確認されるはずの箇所で上記衝撃音が明確には認められなかったとしている。その上,仮に丙第22号証のいう長針移動の際の衝撃音が確認できない箇所が存在したとしても,このことから直ちに,本件録音記録の冒頭部分が編集されて,本件談話A中前記1(4)ウ判示の控訴人未来塾側の発言が削除されたとは認めるに足りず,前判示のように,本件録音記録における本件意見交換会の開始から約15分経過後の控訴人松本と遥の上記発言に至る部分の応答の詳細な内容及び順序について不自然な点が認められないことを総合考盧すれば,丙第22号証の記載をもって,本件録音記録中の上記部分に開する前記認定判断を左右するには足りず,他にこれを左右するに足りる証拠はない。
 また,被控訴人らは,本件録音記録が無断で録音され,録音後編集が加えられたものであるので,証拠とすることが許されない旨主張する。しかし,本件録音記録中上記の部分について録音編集が加えられたとは認められないことは,前判示のとおりであって,被控訴人らの主張は前提を欠くものであり採用することができない。その上,被控訴人らが明示で録音を承諾したことを認めるに足りる証拠はないものの,本件録音記録は,被控訴人市の市長ら公職にある者が,市長室という公の場で,その職務として開催した本件意見交換会における応答内容を録音したものであり,被控訴人らと控訴人ら間で上記応答内容について記録を残さない旨の合意がされたとは認められず,被控訴人らは,その応答内容の要旨を被控訴人市の広報誌に掲載して関市の全戸に配布し,被控訴人岡田は,上記の応答内容について本件要点筆記を作成して本件訴訟に証拠として提出していることに照らせば,本件録音記録中上記部分を証拠とすることが許されないと解すべき事情は認められず,被控訴人らの主張は採用することができない。
 そして,控訴人松本の供述(本人尋問(原審))及び陳述書(甲50)は,控訴人らの上記主張に沿うものであり,控訴人未来塾側の本件意見交換会出席者である加藤政巳(以下「加藤」という。)及び遥の各陳述書(甲51,52)もこれに沿うものであるところ,控訴人松本の上記供述及び陳述書の記載,加藤及び遥の上記各陳述書の記載は,本件意見交換会の開始から控訴人松本と遥の上記各発言に至る応答の詳細な内容及び順序について不自然な点は認められず,それ自体,合理性を備えたものと認められる。
 これに対し,本件要点筆記の記載の正確性には,疑問のあることが否定できない。すなわち,被控訴人岡田は,本件要点筆記を本件意見交換会の当日である平成19年9月10日及びその翌日に作成した旨供述するところ(本人尋問(原審)),本件要点筆記が23頁からなる詳しい内容のものであり,被控訴人岡田は,本件意見交換会において被控訴人市の代表として控訴人未来塾側と自ら応答をしていることからすると,本件意見交換会の開催中に本件要点筆記の主要部分を筆記し終えたものとは認められず,その相当部分が被控訴人岡田の記憶に基づき作成されたものと認められる。しかし,本件要点筆記が本件意見交換会から時を置かずに作成されたとしても,被控訴人岡田が,時に緊迫する状況下で適切な応答をすることに注意を集中する一方,応答全体について,その詳細な内容及び順序を正確に記憶することには少なからぬ困難が伴うものと認められる上,本件意見交換会の同席者で被控訴人市建設部長であった長澤が,被控訴人岡田が作成した本件掲載誌用の本件談話の原稿を見せられた際,「これは非常に市長の思いこみといいますか,非常に強い文章だったものですから,ちょっとこれ文章強いんじやないですかとは市長には言いました」と証言(原審)し,本件意見交換会における応答について,被控訴人岡田とは異なる印象をもったことが認められる。以上判示の点に,被控訴人市は本件意見交換会について議事録の作成も会話内容の録音もしていないと主張していること,本件録音記録の内容を総合考慮すると,本件要点筆記を作成する基とした被控訴人岡田の記憶の正確性,ひいては,その記載内容の正確性には疑問があるといわざるを得ない。
 また,被控訴人市側の出席者である長渾の証言(原審)及び陳述書(乙4),堀越の陳述書(乙5),佐藤の陳述書(乙6)中には,本件意見交換会において,控訴人未来塾側から「話をするときは目を見て」という趣旨の大声の発言があったとの部分があるものの,その時期についてはあいまいさがあり,本件意見交換会の冒頭,被控訴人市側を代表して,市長の被控訴人岡田が「すみませんが確認させてください」と言った途端,控訴人未来塾側が「目を見て話をしろ」という趣旨のことを大声で怒鳴ったことまでは述べていない。
ウ 上記イ判示の各点に照らすと,本件要点筆記の記載,被控訴人岡田,長澤の各供述及び陳述書,堀越及び佐藤の陳述書などア判示の証拠のみをもって,本件談話A中前記1(4)ウで判示した,本件意見交換会において,控訴人市側が「すみませんが確認させていただきたいのですが」と発言したのに対し,控訴人未来塾側が,冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り,被控訴人市側が「静かに話をしましょう。」と応じた事実を認めるには足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
 したがって,本件掲載訪中の本件談話Aの上記部分の記載が真実であると認めることはできない。そして,これが本件意見交換会に出席した被控訴人岡田,長澤,堀越及び佐藤の直接体験した事柄であることに照らすと,被控訴人らにおいてこれが真実であると信ずるにつき相当の理由があることを認めるに足りる証拠もない。
4 被控訴人市の責任について
 被控訴人岡田が被控訴人市の市長として,被控訴人市が行った本件意見交換会の概要蜀安中市民に説明するために,本件談話A中前記1(4)ウ判示の部分を執筆して被控訴人市の広報紙発行規則に基づき発行する広報誌である本件掲載誌に掲載させ,安中市の全戸に配布させた行為は,公共団体である被控訴人市の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うについてした違法な行為であると認められる。
 したがって,被控訴人市は,控訴人未来塾に対し,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人未来塾が本件談話Aによって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償する責任を負う。
 そして,前判示のとおり,本件談話A中前記1(4)ウ判示の部分を被控訴人市の広報誌に掲載し,市長が執筆した旨の記載をして同市の全戸に配布する行為は,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものではあるが,他方,本件掲載誌中の本件談話の他の部分の記載からは,控訴人未来塾側が被控訴人市側からの質問に対して平静に回答し,両者間で冷静な協議がなされたことが読み取れることからすると,控訴人未来塾の本件談話Aの上記部分による社会的評価の低下の程度はそれほど大きいものであるとは認められず,前判示の違法行為の態様,控訴人未来塾の活動内容など本件に顕れた諸般の事情を総合すると,被控訴人市が控訴人未来塾に金銭賠償すべき額は5万円と認めるのが相当である。
 そして,前判示の違法行為の態様,控訴人未来塾の活動内容,本件談話Aの上記部分による社会的評価の低下が上記の程度にとどまることその他本件に顕れた諸般の事情を総合すると,金銭賠償に加えて,被控訴人市に対し名誉回復するに適当な処分(国家賠償法4条,民法723条)まで命じることが相当であるとは認められない。
 なお,控訴人らは,本件掲載誌の編集,発行及び配布等を担当した職員の行為,本件談話の内容を修正させることなく本件談話を本件掲載誌に掲載させた総務部長等の行為並びに広報編集会議を開催しなかった総務部長等の不作為についても,違法行為であると主張しているところ,前判示の事実関係によれば,
 本件談話A中前記1(4)ウ判示の部分は市長である被控訴人岡田が自ら執筆し,これを掲載した本件掲載誌の配布が被控訴人岡田の意に沿うものであることが認められる上,上記各職員が適切な行為を行えば,本件談話A中上記の部分を掲載した本件掲載誌の配布が回避できたことを認めるに足りる証拠はないのであるから,控訴人らの主張する各職員の上記行為と控訴人未来塾の上記損害の発生との間には相当因果関係があるとは認めるに足りない。そして,仮に職員の上記違法行為による被控訴人市に対する損害賠償請求を認容する余地があるとしても,損害額に関する前記説示に照らせば,控訴人未来塾が上記認容額を超える損害を受けたものとは認められない。
5 被控訴人岡田の責任について
 被控訴人岡田が被控訴人市の市長として被控訴人市が行った本件意見交換会の概要を安中市民に説明するために本件談話A中前記1(4)ウ判示の部分を執筆して被控訴人市の広報誌に掲載し,配布させた行為が,公共団体である被控訴人市の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについてした行為であると認められることは前判示のとおりである。そして,公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には,公共団体がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって,公務員個人はその責を負うものではないと解すべきである(最高裁昭和28年所第625号同30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁,同昭和49年(オ)第419号同53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁参照)から,被控訴人岡田は,控訴人未来塾に対し,控訴人未来塾が本件談話Aの上記部分によって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償し,名誉回復処分をする責任を負わないというべきである。
6 結論
 以上によれば,控訴人未来塾の被控訴人市に対する請求は,5万円及びこれに対する不法行為後である平成19年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,控訴人未来塾の被控訴人岡田に対する請求は理由がないから棄却し,控訴人松本の被控訴人らに対する請求は理由がないからいずれも棄却すべきところ,これと一部異なる原判決は不当であり,控訴人未来塾の控訴は一部理由があるから,原判決中控訴人未来塾に関する部分を上記のとおり変更し,控訴人松本の控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
   東京高等裁判所第5民事部
         裁判長裁判官   大   竹   た か し
            裁判官   山   崎   ま さ よ
            裁判官   栗   原   壮   太
これは正本である。
平成23年7月13日
東京高等裁判所第5民事部
     裁判所書記官 林 正人
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■この判決文を見ると、次の7つの虚偽記事のうち、結局裁判所が無視できなかったのはAだけでだったことがわかります。
 本件談話@安中市からの回答日と開催準備期間
 本件談話A意見交換会開示直後、松本が怒鳴ったとの点
 本件談話B参加費徴収・募金・市民からの苦情指摘の点
 本件談話Cスポーツセンター駐車場利用の点
 本件談話D有限会社サワ井商店の点
 本件談話E参加費及び寄付金の点
 本件談話F罵詈雑言の件

 それ以外は、「当裁判所も,本件談話@,BないしFが控訴人未来塾の社会的評価を低下させると認めることはできないものと判断する」として、一審の前橋地裁高崎支部のトンデモ裁判官で有名な松丸伸一郎判事が下した判決を支持しています。

■しかも、判決文をよく読むと、「被控訴人市は,控訴人未来塾に対し,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人未来塾が本件談話Aによって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償する責任を負う」とあるにもかかわらず、その認定額は僅か5万円としてうえに、名誉毀損に関わるAにかかる記事については「市長である被控訴人岡田が自ら執筆し,これを掲載した本件掲載誌の配布が被控訴人岡田の意に沿うものであることが認められる上,上記各職員が適切な行為を行えば,本件談話A中上記の部分を掲載した本件掲載誌の配布が回避できたことを認めるに足りる証拠はないのであるから,控訴人らの主張する各職員の上記行為と控訴人未来塾の上記損害の発生との間には相当因果関係があるとは認めるに足りない。そして,仮に職員の上記違法行為による被控訴人市に対する損害賠償請求を認容する余地があるとしても,損害額に関する前記説示に照らせば,控訴人未来塾が上記認容額を超える損害を受けたものとは認められない」として、今回の名誉毀損に加担した市の職員らは岡田義弘市長のいいつけに従っただけなので、責任がないと言っています。

 これでは、安中市のようなイエスマン行政の暴走は一向に収まる方向には向かないでしょう。

■極めつけは、判決文の「5 被控訴人岡田の責任について」とある箇所です。

 そこには「被控訴人岡田が被控訴人市の市長として被控訴人市が行った本件意見交換会の概要を安中市民に説明するために本件談話A中前記1(4)ウ判示の部分を執筆して被控訴人市の広報誌に掲載し,配布させた行為が,公共団体である被控訴人市の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについてした行為であると認められる」
「そして,公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には,公共団体がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって,公務員個人はその責を負うものではないと解すべきである」(最高裁昭和28年所第625号同30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁,同昭和49年(オ)第419号同53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁参照)
「だから,被控訴人岡田は,控訴人未来塾に対し,控訴人未来塾が本件談話Aの上記部分によって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償し,名誉回復処分をする責任を負わないというべきである」
と断じていることです。

 これでは、市長の独裁性をますます助長し、公務員に課せられた「不法行為に遭遇したら告発義務がある」と定めた国家公務員法や地方公務員法が骨抜きになってしまいます。わざわざこのようなコメントを判決文につけた東京高裁の意図は分かりませんが、自らタネをまいた岡田義弘市長がその責任を問われないという裁判所の常識はどうかしているとしか思えません。

 まさか、安中市民が今回の事件で、岡田市長が公費をつぎ込んでいることに対して、住民監査請求をする動きに出るのではないかと事前に心配していた為、公安委員でもある市の顧問弁護士が東京高裁に耳打ちをしたとは思えませんが、なにしろ51億円事件を起こした安中市の体質ですから、あながち空想とも思えません。

■いくらワンマン市長でも、ここまで保護された判決文を見れば、「5万円で済み、謝罪記事も出さずに済み、職員も、そして自分自身にも特に責任をかぶせられる心配はなく、裁判費用は全部安中市民の税金から支払うのだから問題ない」と思うでしょう。

 ところが、我らが岡田義弘・安中市長はそのようなフツーの市長ではなかったのです。とにかく一部でも負けると悔しがる性分です。さっそく顧問弁護士と相談し、市議会の与党会派に根回しをして、なんと上告に向けた準備を始めたのでした。

【ひらく会情報部・この項つづく】
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