2012/2/22  22:31

ノルマにあえぐ地域警察官への「実績低調者」という烙印の実態解明に立ちはだかるバリヤー(その2)  警察裏金問題


■これに対して、市民オンブズマン群馬は、群馬県公文書開示審査会宛に対して、平成22年8月23日付で次の意見書を提出しました。


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平成22年8月23日
群馬県公文書開示審査会会長 様
郵便番号 371-0801
住  所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
氏  名 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 (58歳)
連 絡 先 TEL:027−224−8567
事務局長 鈴木 庸
「意見書」の提出について
 このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項に基づく「意見書」を下記により提出します。
       記
1 開示請求公文書の特定について
 審査請求人は、実績低調者の定義というものを知らされていないため、実績低調者と認定された各地域の個別の警察官それぞれに対して、群馬県警察が、どのような評価基準をもとに、どのような評価をくだしているのか、なぜ実績低調者への指導を必要とするのか、評価に応じて低調者と認定された警察官に対して、どのような指導基準をもとに、指導をするのか、ということを踏まえて、実績低調者に対して行った指導状況に関する情報を知りたいと考え、情報公開請求を行ったのである。
 審査請求人は、実績低調者に関する、こうした基本的な情報すら知らされないまま、非開示処分を通知されたのである。
 今回、開示請求をした「群馬県警察が実績低調者に対して行った指導状況が分かる一切の文書」について、実施機関は、本件開示請求に係る公文書を、地域警察官検挙実績低調者等指導要綱の制定について(平成20年4月9日付け群地第174号通達)に基づいて、実績低調者に対して指導を行った状況が記載された指導・面接結果(通達別記様式第3号)及び群馬県警察身上指導推進要綱の制定について(平成14年群本例規第35号)に基づいて作成される身上指導記録表(別記様式第2号)と特定している。
 これらの3つの情報、すなわち、
@ 地域警察官検挙実績低調者等指導要綱の制定について(平成20年4月9日付け群地第174号通達)
A 実績低調者に対して指導を行った状況が記載された指導・面接結果(通達別記様式第3号)
B 群馬県警察身上指導推進要綱の制定について(平成14年群本例規第35号)
C 身上指導記録表(別記様式第2号)
について、実施機関は開示対象文書と特定しているが、審査請求人として、「これだけでは必要十分な開示範囲ではない」と断言できる根拠を持ちあわせているわけではない。
 したがって、これらの他にも、実績低調者そのものに関する評価基準や、指導基準が制定されているのであれば、それらも含めて開示対象文書として特定されなければならない。
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 実施機関による条例の解釈について、「条例第13条の定めと、条例第14条の個人又は法人の権利利益の保護等に支障を及ぼす恐れがある情報は限定的に非開示情報を規定していて、条例の基本である原則開示の規定をもとに、個々具体的に判断しなければならない」とする点については、なんら争うものではない。
 しかし、そのあとの個々具体的な判断の過程と結果について、実施機関の解釈は自己都合的であり、歪んでいると言わざるを得ない。その理由は、次項に述べるとおりである。
3 諮問庁の公文書を開示しない理由に対する意見
(1)今回の本件対象とされなかった実績低調者の定義に関する情報について
 実績低調者の定義に関する次の情報については、条例第14条第2号の個人情報にあたらない。また、条例第14条第4号の公共安全情報で定める社会秩序の維持に支障を及ぼすおそれも全くない。さらに、条例第14条第6号の事務事業情報で定める事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれも全くない。
 むしろ、実績低調者の定義を広く明らかにすることにより、実績低調者として烙印を押される警察官を減少させることが期待される。すなわち、たとえば、かつて世界に冠たる検挙率を誇っていた我が国の地域の治安維持に大きな貢献をしてきた駐在所の存在がある。異議申立人の知るところでは、かつて群馬県安中市岩野谷地区で勤務していた警察官は、家族ぐるみで駐在し、地域のイベントにも頻繁に顔を出し、暇さえあれば各戸を訪問し、治安維持情報の広報・普及や、地元住民からの地域治安情報の収集に努めて、防犯面で大きな貢献を行っていた。
 今回、情報開示で請求した「実績低調者」の定義はよくわからないが、万が一、そうした地域の防犯活動に注力している警察官が、犯罪の防止や抑止に貢献したとしても、検挙の具体的な数字面では実績となって現れないことになりがちである。そのため、実績低調者の定義からすると、こうした地道な地域防犯活動に注力するよりも、なにもしないで、実際に犯罪が起きてくれた方が検挙実績が高まる、という矛盾が、ややもすれば生じかねない。
 したがって、実績低調者指導制度の定義と運用が、こうした局所的な視点に陥っていないかどうかを検証するためにも、実績低調者の定義や、その評価基準、そして、その評価に応じた指導基準を公表することが必要である。
(2)本件対象公文書について
 実施機関の理由説明書によって実施機関が特定した下記の本件対象公文書のうち、@とBは、前述のとおり、公表することが必要である。
@ 地域警察官検挙実績低調者等指導要綱の制定について(平成20年4月9日付け群地第174号通達)
A 実績低調者に対して指導を行った状況が記載された指導・面接結果(通達別記様式第3号)
B 群馬県警察身上指導推進要綱の制定について(平成14年群本例規第35号)
C 身上指導記録表(別記様式第2号)
 また、Aの指導・面接結果と、Cの身上指導記録表についても、次に述べる範囲で公表されるべきものである。
(a)条例第14条第2号の該当・非該当について
 理由説明書によると、「本件対象文書には、実績低調者の氏名、所属、職名、性別、年齢、面接実施者の氏名等、個人を識別することができる情報が記載されており、条例第14条第2号に該当する」としている。本来、公人の氏名等は条例の原則開示によりすべて公表すべきものである。しかし、場合によっては、個人を識別できる氏名、性別、年齢については、個人の情報として判断されることに、やむをえない事情もあることは理解できる。
 しかし、所属警察署名や職名のような間接的な情報までもが個人情報としてみなされることについては首肯できない。これらの一般情報を開示しても、個人名が特定できないような配慮がなされていれば、なんら個人の権利利益を侵害する恐れはないからである。
 したがって、実績低調者の氏名、性別、年齢、面接実施者の氏名、性別、年齢等は場合によっては非開示もやむを得ない事情があることは理解するが、実績低調者の所属、職名のような一般的な情報までもが、非開示とされてはならない。これらの情報では個人を識別できないから、開示されなければならない。
 むしろ、各警察署ごとの実績低調者の数を公表したり、職名別の実績低調者の数を公表したりすることは、実績低調者の多い警察署管内にいる一般市民にとっても、治安維持に対する関心を喚起する効果が期待できるし、実績低調者の多い職名の公表により、どういう職名の警察官が指導対象になっているのかを一般市民が知ることにより、刑事関係か民事関係のどちらに指導が偏っているのかどうか、現場型か事務型か、どちらに指導が偏っているのかどうか、など、地域の治安に対する関心が高まることが期待できる。
 理由説明では、指導・面接結果という文書が作成されているということ自体が、個人の資質や名誉にかかわる当該個人の評価に関する情報であるとして、全面非開示とされているが、せめて、刑事第1課や刑事第2課のどちらに実績低調者が多いのか、どの地区がもっとも実績低調者が多いか、などに関する情報を、一般市民に知らせることは、なんら個人の権利利益を害するものではなく、むしろ、自分の住む地区の治安状況についてのひとつの指標が得られるという点において、開示のメリットのほうが大きい。
 なぜなら、実績低調者が多い地区と、犯罪発生数に対する未検挙率との相関関係からいえば、一概に実績低調者が多い地区が犯罪が多い、ということにはならず、実績低調者の定義にも関連するが、防犯に努めた結果、検挙数の減少につながっているケースも正当に評価すべきであるからである。
(b)条例第14条第4号該当性について
 理由説明書では、「本件対象文書には、実績低調者の指導を行う上で、職務質問の内容や各種取締りの状況等が記載されている部分があり、これらの情報を公にすることは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められる」として、条例第14条第4号に該当すると判断しているが、これは失当である。
 むしろ、職務質問の内容について、不適切な事例が公表されることにより、不当な職務質問の減少に役立ち、ひいては警察の信頼確立という効果が期待できる。また、各種取り締まりの状況等が明らかにされることにより、たとえば、交通違反の摘発など、各警察署にノルマ制を科していると噂されている取り締まりの実態について、正しい判断を一般市民に知ってもらうことができるという効果も期待できる。
 こうした職務質問の適正あるいは不適正な事例が分かる情報の公開は、一般市民にとっても不当逮捕の恐れを払しょくする効果が大いに期待できる。
 理由説明書では「なお、これらの情報は、当該職員を指導するために記載された情報であり、当該職員の能力や資質に係る情報であるから個人に関する情報でもある」と述べているが、これらの情報は、正しい警察の取り締まりの在り方を一般市民に知ってもらうために有意義なものであり、実施機関の解釈は間違っている。
(c)条例第14条第6号該当性について
 理由説明書では、「本件対象文書は、実績が低調である地域警察官について作成されるものであり、職員を評価し、改善を図ることを目的とした人事管理に係る情報である。本件対象文書が作成されているということ自体が、個人の資質や名誉にかかわる個人情報であり、これを公にすることは、当該職員に組織への不信感を抱かせ、自己評価との差異を巡る監督者との対立を招くなど、組織の一体性を失わせ、また、当該職員が萎縮し、志気の低下を招くなど、実績低調の改善を図るという当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある」と述べているが、これは失当である。
 実績低調者に関する指導制度が、きちんとした定義に基づき、実施されているのかどうかを把握し、地元の治安維持のため日ごろから地域コミュニティの中に入り、情報収集に努め、犯罪の防止や抑止に貢献している警察官が正当に評価されているのかどうかを、一般市民として確認しておくことは、社会秩序の維持の観点から、極めて重要であり、ひいては警察の信頼増強にも資するものである。
 この実績低調者に対する指導制度が、正しく運用されない場合として、たとえば、前述のように、犯罪予防や抑止に注力する駐在所や交番勤務の警察官の場合などは、そうした地道な活動が検挙には結びつかなくても、結果的に社会秩序、治安維持に貢献する場合も多い。いたずらにこの制度を乱用すると、特定の警察官いじめにもつながりかねず、また、曖昧な基準で評価や指導がなされたりすれば、それこそ組織の一体が失われ、警察官の士気の喪失さえ引き起こしかねない、などゆゆしき問題を発生させる恐れがあるため、この制度の正しい運用を担保するためにも、公表が必要である。
(d)結論
 よって、本件対象文書に記載された職員の氏名、年齢、性別については、黒塗りの非開示でもやむを得ないが、それ以外の情報はすべて開示されなければならない。
 また、実績低調者の指導制度そのものの存在についても、公表対象にはないとしているが、検挙数の多寡を競わせかねないこのような制度の運用が、きちんとした目的に沿って行われているかどうかは、検挙される対象者としての一般市民のみならず、実績低調者の烙印を押されかねない警察官にとっても、重要な関心事であり、悲惨な不当逮捕や、優秀な警察官に対する不当人事などの弊害が起きないようにするためにも、この制度の実態は公表されなければならない。
以上
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■その後、既述の通り、平成22年9月6日、11月4日、12月14日、平成23年1月19日、3月7日、4月19日、5月23日、7月5日、8月24日、9月30日、11月7日と、審査会において、都合11回の審議をへて、平成23年11月15日に答申されました。

 その答申書を受けて、このたび、平成24年1月14日付で、群馬県公安委員会から裁決書が届けられたのでした。平成22年1月21日に公文書開示請求書を提出してから、ほぼ2年の歳月が経過したことになります。

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             裁 決 書
       審査請求人 群馬県前橋市文京町一丁目15−10
             市民オンブズマン群馬
       審 査 庁 群馬県公安委員会
 審査請求人から平成22年4月12日に受理した審査請求(平成22年2月17日付け群地第38号「公文書非開示決定」に係る審査請求)について、次のとおり裁決します。
 主 文
1 本件審査請求については、一部を容認し、以下の部分を開示する。
  ○ 指導・面接結果のうち、指導対象者の階級の部分
  ○ 指導・面接結果のうち、指導年月日の部分
2 本件審査請求のその余の請求を棄却する。
 理 由
第1 審査請求に至る経緯
1 公文書開示請求
 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成22年1月21日付けで、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号、以下「条例」という。)第11条の規定により、群馬県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、「群馬県警察が実績低調者に対して行った指導状況が分かる一切の文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
 実施機関は、平成22年2月17日、本件請求に係る公文書を「群馬県警察が実績低調者に対して行った指導状況が分かる一切の文書」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、条例第14条第2号、第4号及び第6号に該当するとして非開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、本件公文書を関示しない理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
○ 条例第14条第2号該当
 個人の勤務成績及び個人の評価に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができる情報を含む。)又は公にすることにより、個人の権利利益を侵害するおそれがある情報であるため
○ 条例第14条第4号該当
 職務質問の内容や各種取締り状況等、犯罪の予防、捜査の手法、技術、体制、方針等に関する情報が含まれており、公にすることにより将来の犯行を容易にし、又は将来の捜査に支障を生じるおそれがあるため
○ 条例第14条第6号該当
 人事管理に関する情報であり、公にすることにより、円滑な人事管理に支障を及ぼすおそれ及び今後の警察活動の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため
3 審査請求
 請求人は、本件処分を不服として、平成22年4月12日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第1 6 0号)第5条の規定により、群馬県公安委員会(以下「当公安委員会」という。)に対し、審査請求を行った。
第2 請求人の主張要旨
1 審査請求の趣旨
 本件処分は、条例を不当に解釈し運用されたものであり、本件処分の取り消し、全面開示を求める。
2 審査請求の理由
(1)本件公文書の特定について
 請求人は、検挙実績低調者(以下「低調者」という。)の定義というものを知らされていないため、低調者と認定された各地域の個別の警察官それぞれに対して、実施機関が、どのような評価基準をもとに、どのような評価をくだしているのか、なぜ低調者への指導を必要とするのか、評価に応じて低調者と認定された警察官に対して、どのような指導基準をもとに、指導するのか、ということを踏まえて、低調者に対して行った指導状況に開する情報を知りたいと考え、本件請求を行った。請求人は、低調者に関する、こうした基本的な情報すら知らされないまま、本件処分を通知されたのである。
 本件請求に対して実施機関が特定した本件公文書の他にも、低調者そのものに関する評価基準や、指導基準が制定されているのであれば、それらも含めて開示対象文書として特定されなければならない。
(2)条例第14条第2号(個人情報)該当性について
 本来、公人の氏名等は条例の原則開示によりすべて公表すべきものであるが、低調者の氏名、性別、年齢、面接実施者の氏名、性別、年齢等は場合によっては非開示もやむを得ない事情があることは理解する。
 しかし、所属警察署名や職名のような間接的な情報までもが個人情報とみなされることには首肯できない。これらの一般情報を開示しても、個人名が特定できないような配慮がなされていれば、なんら個人の権利利益を侵書する恐れはないからである。
 各警察署ごとの低調者の数を公表したり、職名別の低調者の数を公表したりすることは、低調者の多い警察署管内にいる一般市民にとっても、地域の治安に対する関心が高まることが期待できる。
 実施機関は、指導・面接結果という文書が作成されていること自体が、個人の資質や名誉にかかわる当該個人の評価に関する情報であるとして、全面非開示としているが、どの地区がもっとも低調者が多いか、などに関する情報を、一般市民に知らせることは、なんら個人の権利利益を害するものではなく、むしろ、自分の住む地区の治安状況についてのひとつの指標が得られるという点において、開示のメリットのほうが大きい。
(3)条例第14条第4号(公共安全情報)該当性について
 警察官等の「職務質問の内容や各種取締り状況等、犯罪の予防、捜査の手法、技術、体制、方針等に関する情報が含まれており(以下「技術等情報」という。)」としているが、この技術等情報こそが、実施機関が「実績低調者に対して行った指導状況」であると推測される。「警察官等」を雇っている納税者の県民・国民に対して技術等情報を明らかにすることは、納税者の知る権利である。
 また、請求人に対して本件処分を取り消しても、将来の犯行を容易にし、又は将来の捜査に支障を生じるおそれはない。なぜなら、審査請求は、技術情報等を、地域住民の安全・安心のための活動に役立てるものであり、将来の犯行増加や捜査への支障は全くない。
 職務質問の内容については、不適切な事例が公表されることにより、不当な職務質問の減少に役立ち、ひいては警察の信頼確立という効果が期待できる。また、各種取締りの状況等が肝らかにされることにより、たとえば、交通違反の摘発など、各警察署にノルマ制を課していると噂されている取締りの実態について、正しい判断を一般市民に知ってもらうことができるという効果も期待できる。
 こうした職務質問の適正あるいは不適正な事例が分かる情報の公開は、一般市民にとっても不当逮捕の恐れを払しょくする効果が大いに期待できる。
 これらの情報は、正しい警察の取締りのあり方を一般市民に知ってもらうために有意義なものであり、実施機関の解釈は間違っている。
(4)条例第14条第6号(事務事業情報)該当性について
 本件処分を取り消すことこそ、適正、警察の円滑な人事管理を実現する最も有効性のある情報であり、人事管理や警察活動に支障を与えるおそれは全くない。
 低調者に対する指導体制が、きちんとした定義に基づき、実施されているのかどうかを把握し、地元の治安維持のため日ごろから地域コミュニティの中に入り、情報収集に努め、犯罪の防止や抑止に貢献している警察官が正当に評価されているのかどうかを、一般市民として確認しておくことは、社会秩序の維持の観点から、極めて重要であり、ひいては警察の信頼増強にも資するものである。
 いたずらにこの制度を濫用すると、特定の警察官いじめにもつかがりかねず、また、曖昧な基準で評価や指導がなされたりすれば、それこそ組織の一体が失われ、警察官の士気の喪失さえ引き起こしかねない、などゆゆしき問題を発生させる恐れがあるため、この制度の正しい運用を担保するためにも、公表が必要である。

第3 群馬県公文書開示審査会に対する諮問
 当公安委員会は、平成22年6月10日、条例第26条の規定により群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対し、本件審査請求について諮問するとともに、同日、請求人に対して審査会に諮問した旨を通知した。

第4 諮問に対する審査会答申
1 審査会の結論
 実施機関が行った公文書非開示決定のうち、次の部分については開示すべきであるが、その他の部分については、非開示が妥当である。
○ 指導・面接結果のうち、指導対象者の階級の部分
○ 指導・面接結果のうち、指導年月日の部分
2 争点(条例第14条第2号、第4号及び第6号該当性)
 条例第14条第2号、第4号及び第6号に該当するとして、本件公文書を非開示とした決定は妥当であるか。
3 審査会の判断
(1)本件公文書について
 実施機関は、平成20年4月に「地域警察官検挙実績低両者等指導要綱(以下「指導要綱」という。)」を定め、警察署に勤務する警部補以下の地域警察官を対象として、検挙実績が一定の基準を満たさない者のうち、特別な指導・教養を要すると認められる者を低両者に指定し、署長をはじめとする地域幹部により、定期的に必要な指導・教養を行っている。
 本件公文書は、指導要綱に基づき、各警察署が低調者ごとに作成している指導・面接結果(以下「本件公文書1」という。)及び身上指導記録表(以下「本件公文書2」という。)である。
 なお、本件公文書2は、平成14年7月に実施機関が定めた「群馬県警察身上指導推進要綱(以下「推進要綱」という。)」に基づき、警察職員の身上指導を行うため、低調者の指定を受けているか否かにかかわらず作成されるものであるが、指導要綱において、本件公文書1に記載した内容を本件公文書2に転記することが定められていることから、本件公文書として、実施機関が特定したものである。
(2)本件公文書の特定について
 本件請求は、低調者に対して行った指導状況が分かる一切の文書を求める趣旨であるところ、実施機関が行った公文書の特定の妥当性について検討する。
 低調者への指導は、指導要綱に基づき行われるものであり、指導要綱には、低調者の定義や指導基準等が示されている。
 指導要綱では、低調者に対する指導・教養の内容として、「署長等による個々面接及び指導・教養(指導要綱第6)」、「検挙実績低調者等研修の実施(指導要綱第8)」及び「地域課長による個別指導(指導要綱第9)」を定めている。指導要綱の対象となる地域警察官は、3ヵ月を1期間として検挙実績を評価され、一定の基準を満たさない者のうち、特別な指導・教養を要すると認められる者は、低調者に指定され、「署長等による個々面接及び指導・教養」が行われる。そして、二期連続で低調者に指定された者のうち、平素の勤務状況から指導・教養の効果が認められない職員を対象に、「検挙実績低調者等研修の実施」を行い、研修後も引き続き低調者に指定された者については、「地域課長による個別指導」を行う旨が定められている。
 実施機関は、本件請求に対して、指導要綱に基づき実施した「署長等による個々面接及び指導・教養」の記録であるところの本件公文書1及びその内容を転記した本件公文書2を対象公文書として特定している。
 審査会が実施機関に確認したところ、本件請求時点で、指導要綱に基づき実施されたのは「署長等による個々面接及び指導・教養」のみであり、「検挙実績低調者等研修の実施」及び「地域課長による個別指導」は実施されていないとのことである。
 低調者に対し、段階を踏んで異なる指導・教養を行うことを指導要綱で定めていることは前述のとおりであり、「検挙実績低調者等研修の実施」及び「地域課長による個別指導」の記録が存在しないことに、特段不合理な点は認められない。
 なお、請求人は、意見書において、低調者の定義等の基本的な情報を知らされていない旨主張するが、請求人は、本件請求と同日付けで指導要綱を求める公文書開示請求を行っており、この請求に対し実施機関は、本件処分と同日付けで開示決定を行い、請求人に指導要綱を関示している。
 よって、実施機開か本件公文書を特定したことは妥当である。
(3)非開示情報該当性の判断に当たって
 実施機関は、本件公文書について、その全体が条例第14条第2号及び第6号に当たる旨、また、職務質問の内容や各種取締りの状況等が記載されている部分については、条例第14柴笛4号に当たる旨を主張する。
 そこで、審査会における非開示情報該当性の判断に当たっては、本件公文書に記載された情報を項目ごとに区分した上で、まず、条例第14条第2号の該当性を判断し、同号に該当しない情報については、条例第14条第4号及び第6号の該当性を判断するものとする。また、条例第14条第2号に該当すると判断した情報についても、必要に応じて、条例第14条第6号の該当性を判断するものとする。
 なお、条例第14条第2号は、「他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるもの」を非開示情報として定めているが、ここで、「他の情報」とは、公知の情報や、図書館などの公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手しうる情報のほか、公文書の開示請求権は何人に対しても認められていることから、当該個人の近親者や地域住民等の関係者など、一定の範囲において、保有している又は入手可能であると通常考えられる情報も含まれるものである。
 本件公文書は、指導要綱に基づき低調者に指定された警察官に対する指導・教養の記録であり、特定の個人が低調者として識別された場合は、当該低調者の名誉や感情が傷つけられるなど、当該低調者の権利利益が害されるおそれが高い。
 このことからも、一般人が通常入手しうる情報のほか、各警察署の職員をはじめとする警察関係者や、各警察署管内の地域住民等、一定の範囲において保有している又は入手可能であると通常考えられる情報についても、「他の情報」に官まれるものとして、条例笛14条第2号該当性について判断を行うものである。
(4)本件公文書1について
 本件公文書1は、低調者に対する「署長等による個々面接及び指導・教養」の際に作成されるものであり、その様式は、指導要綱の別記様式第3号として定められており、各警察署は当該様式により文書を作成している。
 一般に、条例第14条第2号に該当する情報であっても、同号ただし書に該当する情報については開示となるところ、本件公文書1のうち、条例第14条第2号に該当する情報に開しては、指導要綱に基づく低調者の指導のために作成された情報であり、職員が担当する職務を遂行する場合の当該活勤についての情報ではないことから、条例第14条第2号ただし書ハには該当せず、また、条例第14条第2号ただし書イ及びロに該当しないことは明らかであるから、条例第14条第2号ただし書を適用する余地はない。
ア 警察署名
 警察署名については、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
イ 回議の印
 回議の印については、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
ウ 指導対象者の氏名
 指導対象者の氏名については、条例第14条第2号に該当し、非開示とすることが妥当である。
エ 指導対象者の階級
 本件公文書1には、低調者として指導・教養を受けた指導対象者の階級が記載されている。
 指導要綱の対象者は、「警部補以下の地域警察官(指導要綱第3の1)」と定められており、対象者の階級は、「巡査」、「巡査長」、「巡査部長」及び「警部補」のいずれかである(「巡査長」は、国家公安委員会で定める「巡査長に関する規則」に基づき設置されている階級であり、警宗法上の階級では「巡査」に区分される。)。
 審査会が、平成20年度及び平成21年度における、地域警察官の階級別人数について実施機関に確認したところ、階級ごとに人数の差はあるものの、階級のみで低調者が特定され、又は歎息に絞り込むことが可能になる程度に少人数の階級はないことが確認された。
 よって、指導対象者の階級は、条例菓14条第2号には該当しないと判断される。
 続いて、指導対象者の階級について、条例第14条第6号該当性を判断する。
 実施機関は、口頭説明において、階級を公にすることで、個人の特定ができないとしても、特定の階級において低調者の割合が高いなどの情報が公になれば、同じ階級の警察官までもが同視されるなど、特定の階級に属する警察官の権利利益の保護が図られないことを、非開示理由として主張する。
 階級ごとの低調者の割合には差異があるものの、それが公になったときに、特定の階級に属する警察官への不信につながるほどに大きく異なるものではなく、また、業務に関する知識や経験は、階級によって異なることからすれば、低調者の割合の差異は、当然に生じうるものと考えられる。
 よって、指導対象者の階級は、条例第14条第6号には該当しないと判断される。
 指導対象者の階級は、条例第14条第4号にも該当しないことは明らかであり、実施機関の主張するいずれの非開示理由にも該当しないことから、開示することが妥当である。
オ 指導対象者の年齢
 指導対象者の年齢については、条例第14条第2号に該当し、非開示とすることが妥当である。
カ 指導対象者の勤務場所
  指導対象者の勤務場所については、条例第14条第2号に該当し、非開示とすることが妥当である。
キ 指導・面接実施者の階級及び職名
 指導・面接実施者の階級及び職名については、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
ク 指導・面接実施者の氏名
 指導・面接実施者の氏名についても、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
ケ 指導年月日
 本件公文書1には、指導・面接実施者が、低調者に対して指導・教養を行った指導年月日が記載されている。
 特定の指導年月日において、特定の低調者に対して面接を実施していることを知っている者は、指導・面接実施者及び低調者本人のほかは、極めて限られていると考えられ、その範囲においては、指導年月日を示すまでもなく、誰が低調者であるかを了知していると考えられる。このような者に対して、指導年月日を開示しても、低調者の識別につながる情報を新たに開示することにはならない。また、指導年月日を開示することのみで、他に情報を持たない者が、低調者を識別できるわけではない。
 よって、指導年月日は、条例第14条第2号には該当しないと判断される。
 また、指導年月日は、条例第14条第4号及び第6号にも該当しないことは明らかであり、実施機関の主張するいずれの非開示理由にも該当しないことから、開示することが妥当である。
コ 指導・面接結果
 指導・面接結果については、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
サ 理由書
 理由書については、条例第14条第2号に該当し、非開示とすることが妥当である。
(5)本件公文書2について
 本件公文書2は、推進要綱に基づき、低調者の指定を受けているか否かにかかわらず作成されるものであり、記載欄として「記載年月日」、「記事・指導結果等」及び「記載者」が設けられているほか、警察署ごとに記載の有無や内容は異なるが、身上指導記録を整理する上で有用な情報が欄外に記載されている。実施機関は、指導要綱において、本件公文書1に記載した内容を転記することが定められていることから、対象文書として特定したものである。
ア 記載年月日
 推進要綱では、「人事異動後」、「対象職員が転入したとき」及び「対象職員を新たに採用したとき」に、個々面接を実施しなければならない旨を規定しているが、個々面接の具体的な実施時期について、それ以上の規定はなく、本件公文書2を見分したところ、個々面接はこうした機会以外にも実施されていることが確認できた。
 個々面接は、警察署ごとに異なる日程で、異なる頻度で行われており、また、特定の出来事に端を発し、特定の時期に限られた職員に対して、個々面接を行う場合もあると考えられる。記載年月日としては、個々面接を実施し、その結果を記載した年月日が、その都度記載されるところ、それを公にすれば、警察関係者等において、個々面接を受けた低調者を識別することが可能であると考えられる。
 また、低調者の識別に至らない場合であっても、警察関係者等において、低調者の所属する警察署名を類推できるものと考えられ、警察署名が非関示情報に当たることは、前記第4 3(4)アで説示したとおりである。
 さらに、個々面接は推進要綱に定められた機会以外にも必要に応じて実施されることからすると、記載年月日を公にすれば、職員や職場によって個々面接の実施回数に差異があることが明らかになり、自分に対する個々面接の実施回数が多いと認識した職員が不必要に萎縮し、あるいは、記載者がそうした職員への悪影響を避けるため、推進要綱に定められた機会以外の記録を差し控えるようになるなど、身上指導事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
 よって、記載年月日については、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
 ただし、前記第4 3(4)ケにおいて、本件公文書1の「指導年月日」については、開示することが妥当であると判断している。本件公文書1の「指導年月日」は、本件公文書2の記載年月日として記載された年月日のうちの一つに過ぎず、その部分のみ公にしたとしても、他の年月日が公にならない限り、個々面接を受けた低訓告の識別や警察署名の類推はできないと考えられ、また、低両者に指定された場合には必ず個々面接が行われ、その内容を本件公文書2に転記することが指導要綱で定められているものであって、前述のおそれはないと考えられることから、「指導年月日」については、本件公文書2においても非開示情報には当たらないと判断する。
イ 記事・指導結果等
 記事・指導結果等は、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
ウ 記載者
 記載者として記載された情報についても、条例第14条第2号及び第6号に該当し、非開示とすることが妥当である。
エ 欄外に記載された情報
 本件公文書2には、上記アからウで整理した情報のほか、警察署ごとに記載の有無や内容は異なるが、身上指導記録を整理する上で有用な情報が欄外に記載されている。
 具体的には、「警察署名」、「回議の印」、「指導対象者の氏名」、「指導対象者の階級」及び「指導対象者の勤務場所」などであるところ、これらの情報はすべて本件公文書1にも記載されている情報であって、非開示情報該当性の判断は、前記第4 3(4)で説示したとおりである。
オ 有意性について
 上記アからエで検討した結果、本件公文書2において非開示情報に該当しない情報は、「記載年月日のうち、公文書1の指導年月日に当たるもの」及び「指導対象者の階級」であると整理できる。
 これらの情報は、いずれも本件公文書1で開示される情報と同じ情報であり、本件公文書1を見分することで得られる情報であることから、それを開示することに有意性は認められない。
 非開示情報に該当する情報及び有意性の詰められない前述の情報を除くと、本件公文書2はその様式のみが残ることになるが、そもそも本件公文書2は、指導要綱において、本件公文書1の内容を本件公文書2に転記することが定められていることから実施機関が特定したものであり、転記内容を除いた様式自体は、「低調者に対して行った指導状況が分かる一切の文書」を求めるという本件請求の趣旨に照らして、客観的に有意な情報であるとは認められない。
 したがって、本件公文書2については、非開示とすることが妥当である。
第5 当公安委員会の判断
 当公安委員会は、実施機関の本件処分理由及び審査会答申を踏まえ、以下のとおり判断する。
1 条例における開示・非開示の解釈について
 公文書の開示については、条例第13条で「次条に規定する場合を除き、関示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。」と定めている。
 これを受けて、条例第14条では、個人又は法人の権利利益の保護、公共の安全と秩序の維持、事務又は事業に関する情報で公にすることにより適正な業務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等の観点から、限定的に非開示情報を規定している。
 実施機関は、条例第14条に規定される非開示情報が記録されている場合を除き開示請求に応じて公文書を開示しなければならない義務を負うものであり、公文書の非開示決定は、個々の開示請求ごとに当該公文書に記載されている内容等に即して、かつ、条例の規定の趣旨に添って、個々具体的に判断しなければならない。
(1)条例第14条第2号(個人に関する情報)
 本号は、個人に関する情報の非開示憤恨としての要件を定めるものであり、個人の権利利益の十分な保護を図るため、特定の個人を識別できる情報は、原則として非開示としている。
(2)条例第14条第4号(公共安全情報)
 本号は、公共の安全等に関する情報の非開示情報としての要件を定めるものである。
 公共の安全と秩序を維持することは、国民全体の基本的な利益を擁護するために国及び地方公共団体に課せられた重要な責務であり、情報公開制度においてもこれらの利益は十分に保護する必要がある。
 そこで、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めるに足りる椎当の理由がある情報を非開示とし、その判断の司法審査に当たっては、実施機関の裁量を尊重することとするものである。
(3)条例第14条第6号(事務事業情報)
 本号は、事務又は事業に関する情報の非開示情報としての要件を定めるものである。
 地方公共団体等が行う事務又は事業は、公共の利益のために行われるものであり、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非開示とする合理的な理由があるとした上で、これら情報を含むことが容易に想定されるものを「次に掲げるおそれ」としてイからホまで例示的に掲げている。
 本号ニに規定する人事管理にかかる事務については、当該機関の組織としての維持の観点から行われる一定の範囲で、当該組織の独自性を有するものであり、その中には、勤務評価や人事異動、昇格等の人事構想等を公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報を非開示とするものである。
2 本件請求に係る公文書の特定について
 実施機関は、本件請求にかかる公文書を指導要綱に基づいて、低調者に対して指導を行った伏況が記載された本件公文書1(指導・面接結果)及び本件公文書2(身上指導記録表)を特定した。
 また、当公安委員会は、審査会同様「検挙実績低調者等研修の実施」及び「地域課長による個別指導」に係る記録の有無を確認したところ、当該研修及び個別指導に関する事実は認められなかったとのことであり、本件公文書1及び本件公文書2以外の文書を特定しなかったことに、特段不合理な点は認められない。
 よって、実施機関が本件公文書を特定したことは妥当である。
3 非開示とした理由
(1)本件公文書について
ア 指導・面接結果
 指導・面接結果は、実績が低調である地域警察官の能力及び実績の向上を図り、治安の回復に資することを目的として、指導・面接実施者である警察署長、警察署地域課長等が低頭者と面接し、当該職員から実績低調項目について、その理由等を聞き取りながら、あらゆる角度から原因等を検証し、改善すべき点、問題点、組織として取り組むべき事項等を把握して、検挙実績の向上に向けた指導教養内容が記載されるものであり、警察署地域課長等が作成するものである。
イ 身上指導記録表
 身上指導記録表は、警察職員の家庭環境、健康、悩み、勤務態度等の身上事項を把握し、早期に問題点を発見して組織的指導等を適切に行い、各種事故防止はもとより、職員が心身共に健全な状態で職務に専念できるようにすることを目的として、監督者である警察署長等が面接結果や身上把握をした事項をその都度記載するものである。また、前述の「指導・面接結果」については、その指導概要を身上指導記録表に転記することとなっている。
(2)条例第14条第2号該当性について
 本件公文書1には、低調者の所属、氏名、年齢、勤務場所(交番名等)、面接実施者の氏名等、非開示情報である個人識別情報や指導・面接した結果として、低調者の勤務状況、改善すべき点等が記載されており、当該部分を公にすることは、当該個人の権利利益を書することから、条例第14条第2号に該当する。
 本件公文書1は、実績が低調である地域警察官について作成されるものであり、本件公文書1が作成されているということ自体が、個人の資質や名誉にかかわる当該個人の評価に関する情報である。 したがって、開示、非開示の判断に当たっては、直接的又は間接的に個人を識別することができる情報のほか、個人を識別することはできないが、なお個人の権利利益を書するおそれがある情報に配意しなければならない。
 本件公文書2には、欄外等に当該職員の氏名、記載者欄に記載した地域牒長等の氏名が記載されており、当該部分を公にすることは、当該個人の権利利益を害することから、条例第14条第2号に該当する。
 本件公文書2は、個人の性格、品行、金銭問題、家族の問題、本人及び家族の健康面等個人の事情に関する極めてプライバシー保護が強く求められる個人情報である。
 したがって、本件公文書を公にすることは、当該個人の権利利益を書することから、条例第14条第2号に該当する。
(3)条例第14条第4号該当性について
 本件公文書には、低調者の指導を行う上で、職務質問の内容や各種取締りの状況等が記載されている部分があり、これらの情報を公にすることは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査4その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められ、条例第14条第4号に該当する。
 なお、これらの情報は、当該職員を指導するために記載された情報であり、当該職員の能力や資質に係る情報であるから個人に関する情報でもある。
(4)条例第14条第6号該当性について
 本件公文書1は、実績が低調である地域警察官について作成されるものであり、職員を評価し、改善を図ることを目的とした人事管理に係る情報である。本件公文書1が作成されること自体が、個人の資質や名誉にかかわる個人情報であり、これを公にすることは、当該職員に組織への不信感を抱かせ、自己評価との差異を巡る監督者との対立を招くなど、組織の一体性を失わせ、
 また、当該職員が萎縮し、士気の低下を招くなど、実績低調の改善を図るという当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第14条第6号に該当する。
 本件公文書2は、個人の身上を綴る書類であって、その内容は人事管理に係る情報であり、この情報を公にすることは、当該職員に組織への不信感を抱かせ、自己の評価との差異を巡る上司との対立を招くなど、組織の一体性を失わせるおそれがある。また、公表を前提としての身上相談は真実が語られなくなる可能性があり、身上指導という事務そのものの効用が失われるおそれがあるため、条例第14条第6号に該当する。
 したがって、本件公文書を公にすることは、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第14条第6号に該当する。
(5)非開示決定について
 本件公文書には、上記(2)から(4)のとおり、非開示情報である条例第14条第2号、第4号及び筆6号が含まれている。
 本件公文書は、警察署における一部門である地域警察官の実績低調が判明する性質であることから、部分開示をすることにより、所属や階級、人数等が判明した場合は、個人を識別できないとしても、実績低調に該当しない警察官までもが、同等視されるなど、地域課員という特定集団に所属する警察官個人の権利利益の保護が図れず、さらに、個人の資質や名誉に関する人事管理情報でもあることから、これを公にすることにより、組織への不信を抱かせ、個人評価の差違を巡り、監督者との対立を招き、組織の一体性を失わせるなど事務事業に支障を生ずるおそれがあることが認められる。
 よって、実施機関は、本件公文書について、その全体が条例第14条第2号及び第6号の非開示情報に該当するとして、そのすべてを非開示としたものである。
 しかしながら、本件公文書の非開示情報該当性の判断に当たって、審査会が行ったように、本件公文書に記載された情報を項目ごとに区分した上で判断した場合、審査会答申のとおり、本件公文書1については、
 ○ 警察署名
 ○ 回議の印
 ○ 指導対象者の氏名、年齢、勤務場所
 ○ 指導・面接実施者の階級、職名、氏名
 ○ 指導・面接結果
 ○ 理由書
の部分を非開示とし、
 ○ 指導対象者の階級
 ○ 指導年月日
の部分を開示とすることが妥当であり、本件公文書2については、非開示が妥当であると判断した。
第6 結論
 以上のとおり、本件審査請求には理由があることから、行政不服審査法第40条第3項の規定により、主文のとおり裁決した。
   平成24年 1月12日
       群馬県公安委員会(公印)
 この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県公安委員会となります。)、裁決の取消しの訴えを提起することができます(なお、裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内であっても、裁決の日の翌日から起算して1年を経過すると裁決の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。

本書は謄本である。
          平成24年 1月12日
            群馬県警察本部警務部監察官室長(公印)
**********

■私たちの平穏な日常生活を脅かしかねない警察のノルマの実態と、それを助長する地域警察官の実績低調者に対する指導の実態を解明するために、市民オンブズマン群馬は情報公開を通じて、情報の入手を図ろうとしましたが、警察行政の前に、「指導対象者の階級」と「指導年月日」を除く、全ての情報は依然として暗闇の中となりました。

【ひらく会情報部・この項おわり】

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