2013/3/10  23:48

明日で震災2周年…原発事故で広く汚染したセシウムで樹木せん定枝を焼却できない国民の苦悩と東電  東北関東大震災・東電福島原発事故

■明日は、あの忌まわしい東日本大震災から2周年目の3月11日です。津波の被害は自然災害ですが、震災をきっかけに東電の福島第一原発がメルトダウンをしたのは明らかに人災であることが判明しました。そして、福島県の半分が高レベルの放射能に汚染され、飛散したヨウ素やセシウムなど放射性物質は、群馬県にも流れ込み、山間部に漂った放射能雲から降下したそれらの放射性物質により、周辺の地域が汚染されたのでした。そのため、農作物、とくに乾燥させて流通させる干しシイタケやお茶などの商品には、高濃度の放射性物質が検出され、健康に影響を及ぼすとして、出荷停止措置が取られました。そうした経緯を経てもなお、厄介な問題が浮上しています。樹木のせん定枝の焼却処理により高濃度のセシウムが濃縮されるという問題です。


 先日、農協からウメの防除講習会資料と一緒に、群馬県西部農業事務所からの連絡文書が同封され、配布されました。それには、せん定枝の処理について、放射能汚染対策の観点から、従来の焼却処理ではなく、粉砕機(チッパー)等で細かく砕いて元の畑に撒くようにとの指示が書かれてありました。

**********
【西部農業事務所からの通知】
                    平成25年1月
                  (西部農業事務所)
          果樹せん定枝の取り扱いについて
1 JAはぐくみによる自主分析が実施された
 導入された分析機器(NaT)により、ナシ・ウメのせん定枝を分析。
 調査内容
 ・枝年齢ごとの分析(1・2、3・4、5・6年生枝、混合)
 ・大枝、H23保管太枝(直径13cm以下)
2 果樹せん定枝の取り扱い
@ 焼却処理により焼却灰の放射性セシウム濃度が高濃度になることが分析結果から予測され、作業者の健康と農地の汚染等無用な放射性セシウムの拡散を防ぐため、焼却処理は行わない。
A 薪の指標値は40 B q/kg で、流通(譲渡含む)させる場合は指標値以下であることを確認しなければならない。
B チッパー等で粉砕し、自園に還元または園内外で一時保管(最終処分地が決定するまで)する。
C その他
 庭木等も果樹せん定枝と同様と考えられ、田・畑での焼却処理の事例がある。JAの広報により、全農家を対象に周知。風評被害を拡大させないよう配慮。
=参考資料=
【薪を焼却した時の焼却灰の放射性セシウム濃度】
 焼却灰1 kgあたりの放射性セシウムの濃度は、およそ30〜180倍に濃縮される。
 群馬県では、薪・炭における取扱指針を作成し、薪については事故以降に伐採されたもの、屋外で保管されていたもの、保管状態が確認できないものは使用しないよう注意している。
 事例)一般家庭等で使用される薪および灰の等の放射性物質の測定結果から(群馬県)
==========
           放射性セシウム Bq/kg
      薪     焼却灰    倍率
      38未満  3400   89.5
      70    2120   30.3
      71    1960   27.6
      51    3900   76.5
     不検出    1420
     270    4200   15.6
     不検出    4100
      75    8000  106.7
==========
【長野県の取り組み情報】
●23/1/31
 長野県農政部では、果樹剪定枝の野外焼却については基準がないため、県の検査結果にもとづき放射性セシウムが検出された地域においては野外焼却の自粛を求めた。
●24/11/8
 長野県環境部では、落ち葉のたき火等に対して、基準値は定められていないが放射性セシウムが40 B q/kg以上の地域については燃焼行為を自粛するよう依頼している。
 また、薪の指標値を超過する地域においても落ち葉のたき火等の自粛を求めている。
※長野県の取り組みは公表されているため、隣接県である群馬県の取り組みへの関心が持たれると予測される。
クリックすると元のサイズで表示します
**********

■当会は、東京電力に、これまで4回の公開質問を提出しています。このうち、とりわけ東電の対応に怒りを覚えたのは、原発事故による放射性物質の拡散による影響を自ら確認するために線量計を購入したにもかかわらず、賠償の対象外とされたことです。

 このことについて、つい最近になっても、相変わらず東電は線量計の購入費や、さらにはその測定の人件費も支払わないと言い続けています。3月7日の新聞報道を見てみましょう。

**********東京新聞2013年3月7日朝刊
埼玉県の空間線量測定費 東電「賠償の対象外」
 東京電力が、福島第一原発事故関連の損害賠償を求めている埼玉県に対し、県が学校などで行った空間放射線量測定費用を賠償の対象外とする、と伝えていたことが分かった。東電は「政府の指示で実施を余儀なくされた検査ではない」と説明したが、県は「県民の安心・安全のために測定は不可欠だった」として、東電に見直しを申し入れた。
 県は昨年八月、二〇一一年三月〜一二年三月分の計約三億円を東電に請求した。
 この中には汚染土壌や廃棄物の処理費のほか、県内の小中学校や高校の校庭などで放射線量を調べるための測定機八台(計約三百七十万円)や、測定時の人件費なども含まれている。
 東電が二月に県に配布した資料では原発事故後の放射線量について、文部科学省が全国のモニタリングポストなどで測定した結果、「一定の安全は確保されている」と指摘。自治体独自の線量測定は「政府の指示で実施を余儀された検査ではなく『必要かつ合理的な検査』に当たらない」として、測定費を賠償対象外とした
**********

■日本の国民に甚大な損害を与えてもなお、このように依然として、ふてぶてしい対応をとり続ける東京電力に対して、当会では明日、震災2周年の3月11日に5度目の要請・公開質問状を出すことにしました。内容は次の通りです。

**********
                                  平成25年3月11日
東京電力 御中
FAX 0120−12−8589
                            〒379−0114
群馬県安中市野殿980番地
                            小川 賢
                            電話 027−382−0468
                            FAX 027−381−0364
                            E-mail ogawakenpg@aol.com

果樹せん定枝の取り扱いについて(要請と公開質問)

前略 本日で、東日本大震災から2周年となりますが、東京電力福島第一原発事故による放射能漏れの国家的損害に関しても、同様に本日で2周年となります。私はこれまでに、生活環境や営農環境面などで、放射能被害の程度と影響の実態を知るために、空間線量や物質表面線量を図るための線量計をいくつも購入して、測定を継続しています。そこで、昨年8月の電力料金値上げに際して、こうした線量計の購入費用について貴社の高崎支社を訪れて、電力料金値上げと相殺してほしいと要請しましたが、貴社は線量計の購入費については賠償の対象外としており、要請には応じられないとする回答をよこしました。これは真に遺憾です。

 さて、私の家では梅の栽培を行っていますが、今年2月15日ごろ、碓氷安中農業協同組合(JA碓氷安中)の営農販売課(〒279-0133 群馬県安中市原市634番地、TEL:027(382)1131(代)、FAX:027(382)1137)から、平成25年1月付の西部農業事務所発行の「果樹せん定枝の取り扱いについて」と題する通知が送られてきました。(添付参照)

 これによれば、果樹せん定枝の取り扱いとして、従来のように焼却処理をすると焼却灰の放射性セシウム濃度が高濃度になることが分析結果から予測されるため、チッパー等で粉砕して、自園に還元または園内外で一時保管するようにとの指導が示されています。

 私の家では、平成23年3月11日の原発事故以降、梅の収穫をあきらめ、せん定作業もしてきませんでしたが、この間、せん定をしていないため、枝が伸びてしまいました。昨年11月からせん定作業を始めましたが、せん定枝の野外焼却が上記のように原則禁止とされています。そのため、鋸や鋏でできるだけ細かくしようと努力していますが、非常に時間がかかります。こうした、作業の手間が余計にかかっていることについて、賠償の対象になるのかどうか、貴社の見解をご教示願います。

 また、農業事務所の指示に基づき、チッパー等でせん定枝の粉砕処理をしたいのですが、あいにくチッパーが手元にありません。個人で購入する場合、購入費用について賠償の対象になるのかどうか、貴社の方針をご教示下さい。あるいは、農業事務所や農協を通じて、貴社から無料貸与してもらう制度が利用できるのかどうかについても、貴社の見解をご教示下さい。
草々
添付:
(1)私の家の梅畑の写真
(2)「果樹せん定枝の取り扱いについて」(平成25年1月 西部農業事務所)(※前記を参照)

【私の家の梅畑の写真(いずれも平成25年2月24日撮影)】
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
チッパーがない為、鋸や鋏で手作業でせん定枝を処理しているが、べらぼうに時間がかかる。
クリックすると元のサイズで表示します
何度梅の木の表面の線量を計測しても、ゼロにはならなかった。↑
**********

■梅の木のせん定作業では、せん定した枝を焼却処理できないことは、非常に作業効率が悪化します。そのため、必然的に労働時間のコストが増大し、経営にも影響を及ぼします。ただでさえ、梅そのものの放射能汚染の不安で、販売量や価格の減退が見られるところ、せん定枝の取扱いにも気を配れというのですから、本当に困ったことです。こうした状況が続くと、ますます中山間地の農業が衰退し、国土の保全上からも好ましいことではありません。政府や東電はこうした実態をどのように深刻に考えているのか極めて疑問です。

【ひらく会情報部】

※H25.2.ウメ防除講習会資料
          ウメ主要病害虫とその対策
                    西部農業事務所普及指導課
1.H24年度の気象経過(上里見)
 近年は気象変動が激しく、自然災害や病虫害を受けやすくなっている。
==========
●全 般…3〜10月の平均気温は平年に比べ0.5℃高く、降水量はやや少なく、日照時間は約1割多かった。
●開花期…3月下旬〜4月中旬の平均気温は平年に比べて約1℃低く、降水量は平年並み、日照時間は約1割多かった。
●生育期…4月下旬〜5月中旬の平均気温は平年に比べてやや高く、降水量は約5割多く、日照時間は1.5割少なかった。
 ※4月下旬〜5月上旬の平均気温は、平年に比べて0.5℃高く、降水量は2.2倍、日照時間は約4割少なかった。
●収穫期…5月下旬〜7月上旬の平均気温は平年に比べてやや低く、降水量は2割以上多く、日照時間はやや多かった。
●収穫後〜秋期…7月中旬〜9月中旬の平均気温は約2℃高く、降水量は約4割少なく、日照時間は3割多かった。
 9月下旬〜10月の平均気温は約1℃高く、降水量は約1割多く、日照時間は約2割多かった。
==========
2.昨年発生の多かった病害虫と今後気になる病害虫
(1)かいよう病
○特徴と要因
 ・枝、葉、花、果実に発病する。
 ・発芽期以降、強風雨が多いと発生が多くなる。
 ・肥培管理(多肥あるいは肥料不足)により発生が助長される。
クリックすると元のサイズで表示します
左:果実の病斑
クリックすると元のサイズで表示します
右上;新柄一葉の病斑
クリックすると元のサイズで表示します
右下:秋枝病斑病
○伝染方法
 ・前年の新柄で越冬した病原菌および秋病斑から開花期頃に病斑を形成拡大し、降雨時に雨滴によって飛散して感染する。
 ・病原菌は傷口、落葉痕、気孔などから侵入する。
 ・発病は葉や果実では6月上旬頃まで続き、枝では梅雨明け頃まで新梢に発病する。
 ・盛夏期には一旦発病は停滞するが、9月中下旬の秋雨頃から再度活動が盛んになる。
○防除
 ・落葉〜葉芽発芽前、4月中下旬、9月下旬〜10月上旬に適用薬剤を散布する。
 ・冬季せん定時に病枝を切除する。切除した病枝は園外へ持ち出して処理する。
(2)灰色かび病
○特徴および発生の様子
 ・主に花と果実に発病し、腐敗落果する進展型病斑と、進展が停止して収穫期まで樹上に残存する停止型病斑がある。
 ・開花時期の遅れや、幼果期に降雨が続<と発病は多くなる。
○防除
 ・発生が心配される場合は落花期に適用薬剤を散布するが、通常は黒星病と同時防除が可能である。
 ・枝が交差したり重なる園では、枝数を減らして風通しや日当たりを良くするとよい。
クリックすると元のサイズで表示します
↑進展型病斑 ↑
クリックすると元のサイズで表示します
↑停止型病斑 ↑
(3)黒星病
クリックすると元のサイズで表示します
○特徴および発生の様子
 ・主に枝と果実に発病する。病原菌は枝病斑で越冬し、雨水によって伝搬して幼果に感染する。
 ・開花期以降の低温、多湿、日照不足により発病は多くなる。
○防除
 ・4月上旬および4月下旬〜5月上旬の果実感染最盛期の防除が重要。
(4)ウメシロカイガラムシ
○特徴および発生の様子
 ・ウメだけでなくモモやサクラ等にも発生する多食性害虫。幹、枝、果実に加害する。
 ・幹、枝に交尾済みの雌成虫で越冬し、幼虫発生期は5月上旬〜中旬、7月上旬〜中旬、9月上旬〜中旬の3回。
○防除
 ・ふ化後早い防除ほど効果は高いので、各世代の幼虫発生初期(1齢幼虫発生期)に適用薬剤を散布する。
 ・幹、枝を中心に樹全体に薬液が十分かかるように散布する。
(5)タマカタカイガラムシ
○特徴および発生の様子
 ・ウメをはじめとするバラ科作物に発生し、幹、枝、葉に加害する。
 ・終齢幼虫で越冬し、4月下旬〜5月上旬に成熟して産卵する。
 ・発生は年1回で幼虫発生期は5月下旬〜6月下旬。
○防除
 ・幼虫寄生最盛期が適期であるが収穫期間中であるため、使用基準には注意して適用薬剤を散布する。
クリックすると元のサイズで表示します
↑ウメシロカイガラムシ ↑
クリックすると元のサイズで表示します
↑タマカタカイガラムシ ↑
(6)コスカシバ
クリックすると元のサイズで表示します
○生態
 ・ウメ、モモ、スモモ、サクラ等の枝幹部形成層を食害する。
 ・喰入部に幼虫で越冬し、5月上旬〜10月上旬の間に年1回発生する。
 ・1回の産卵数が200〜300個と多いため、特定の樹に被害を受けることがある。
○防除
 ・9月中旬〜10月上旬は成虫の発生および産卵の最盛期のため、ケムシ類の防除と合わせて適用薬剤を散布する。
3.防除対策
(1)薬剤散布
 ・越冬病害虫の防除は必ず実施…初期の発生密度の低下
 ・適切な時期の散布…病害虫の発生状況の把握(病害は予測、害虫は早期発見)
 ・効果のある登録薬剤の散布…農薬の特性を理解
 ・適正散布量を守り、散布ムラや死角をつくらない…薬剤抵抗性の出現防止
 ・散布間隔は空けすぎない…防除効果の持続
(2)耕種的防除
 ・病害虫の越冬場所の除去…被害枝のせん定や落ち葉の除去、粗皮削り等
 ・薬剤がよくかかる樹形…枝の重なりが少ない整枝せん定、密植園の改善
 ・園内の環境整備…下草の管理、病害虫被害葉および被害果の処分
4.農薬の安全使用
(1)農薬が関係している法律
 農薬取締法、毒物および劇物取締法、食品衛生法、消防法
(2)周囲の環境への配慮
 住宅、桑園、河川など…蚕毒日数、魚毒性
(3)使用上の注意
 ・作業時の安全…調合、散布時の吸い込み及び付着に注意
 ・使用前には必ずラベルを読む‥・使用倍率、注意事項など
 ・混用は薬害に注意…混用適否表を参考にする
 ・散布残液は適切に処理する…むやみにたれ流さない
 ・散布後の機械器具類の洗浄…次回に残らぬよう十分に行う
(4)中毒事故を起こした場合
 ・医師の診察を受ける…応急処置の後、使用した薬の容器やラベルを持参して速やかに治療を受ける
 ・農薬事故相談(日本中毒情報センター)
  つくば中毒110番 0298−52−9999(9:00〜17:00)
5.飛散防止対策
(1)スピードスプレーヤによる対応
 ・散布時の風速と風向きに注意…風速3m/秒以下
 ・散布は作物の近<で行う…離れていると飛散しやすい
 ・ほ場の端での散布は特に気をつける…不要なノズルは止め、1列手前散布と手散布の併用
 ・散布圧力は上げすぎない…適正圧力は10〜15kgf
 ・風量は控えめに…樹幹最上部からやや飛び出る程度
 ・飛散防止部品を装着する…飛散低減ノズル、送風遮へい板
(2)その他の対応
 ・近隣作物栽培者との連携…情報交換の実施
 ・緩衝地帯の設置…遮へいシート、ネット、花木、緑肥作物など
 ・散布回数の削減…フェロモン剤、天敵など
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ