愛媛県松山市のサンパイ場問題から見える群馬県西部地域のサンパイ銀座化の深刻度  全国のサンパイ業者が注目!

■安中市岩野谷地区、高崎市上奥平地区、富岡市桑原地区にまたがる地域には、一般廃棄物と産業廃棄物の最終処分場だけでも公営、民営合わせて11ヶ所が稼動中或いは計画中となっており、その他にも中間処理施設が多数存在していますが、いくら住民が生活環境や営農環境、そして自然環境の保全を訴えても、利権に目のくらんだ業者と退職後の天下り先の確保を狙う行政関係者との癒着の構図は、住民の切実な声を無視して、ますますこの地区のサンパイ銀座に向けて拍車をかけています。こうした無責任な環境行政の結果、大変な状況に直面している自治体があります。愛媛県松山市です。


 愛媛県松山市の山間部にある産業廃棄物管理型最終処分場では、ずさんな計画と許認可手続、管理により周辺や地下に有害な汚染水が流出や浸出して、大変な騒ぎになっています。先週の3月23日の新聞報道を見てみましょう。

**********毎日新聞2013年3月23日(土)16時31分配信
松山の産廃処分場:レッグ対策工事77億円 松山市審議会、計画案を同意 /愛媛
 ◇産廃特措法適用申請へ
 松山市が水処理施設の行政代執行をしている産廃処理会社「レッグ」運営の産業廃棄物管理型最終処分場(同市菅沢町)について、市環境審議会(会長・妹尾克敏松山大教授)は22日、総額約77億円となる汚水流出対策工事の実施計画案に同意した。工事費用の45%を国が負担する産廃特措法の適用を求めて3月25日にも国に申請する。レッグは休業状態で市が代執行することになり、同法適用が決まっても、市負担分は40億円以上になるとみられる。
 計画によると、対策工事費約77億円の内訳は、土木工事費約56億円▽汚水の処理施設設置費約14億円▽維持管理費約4億円−−など。土木工事では、処分場の周囲約800メートルに、地下20メートル以下まで達する遮水壁を設置するほか、地下農業用水路の封鎖と付け替え工事などを行う。産廃特措法が適用された場合でも松山市の負担分は42億円に上り、県にも負担を求める方針。遮水壁などの工事は2013年度に着手し、2018年度に完了するとしている。
 市によると、同処分場は1986年開設。容量を1万6000立方メートル超える約25万立方メートルの産廃が埋められている。また、県が所管していた1997年以前に許可品目外の廃油を含む汚泥2万7000〜3万立方メートルが埋められていることが判明している。埋設物の重みで破損した地下水路に産廃が流れ込み、処分場外に汚染水が出る原因となっていた。
 対策工事費が77億円に上ることについて、野志克仁市長は「市民の安全・安心を確保するためには必要不可欠な事業と考えているが、可能な限り費用縮減に努めたい。また、レッグなどの責任を徹底的に追及し、費用を請求したい」とのコメントを出した。【栗田亨】
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 上記の報道記事によれば、1986年に設置され2010年7月までサンパイを搬入していたこのサンパイ場は埋立容量(約23万立方メートル)を超える約25万立方メートルのサンパイが既に埋め込まれていますが、規模的には安中市岩野谷地区で稼働中の埋立容量約27万立方メートルのサイボウ環境鰍フ一般廃棄物管理型最終処分場の規模とほぼ同じとみられます。

■この松山市のサンパイ場を巡る一昨年からの経緯を報道記事や松山市の公表内容から見てみましょう。

●2011 年2 月22 日(火)
 松山市環境部廃棄物対策課は、株式会社レッグが所有するサンパイ処分場の浸出液処理設備が停止し、今後、業者が浸出液処理設備の運転を再開せず、未処理の浸出液が放流された場合、周辺地域だけでなく、流域公共用水域の生活環境保全上の支障が生じ又は生ずるおそれがあるため、業者に対して浸出液処理設備の運転を再開し、放流水について「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」別表第1に定める基準及び「ダイオキシン類対策特別措置法施行規則」別表第2に定める基準を遵守できる状態とする措置を講ずるよう命令をだした。

●2012年5月10日(木)
 松山市はサンパイ業者の「レッグ」に対し、廃棄物処理法に基づき、周囲の地下水などの水質検査の実施などを求める改善命令を出した。期限は6月24日まで。この改善命令は、サンパイ処分場周辺で地下水や放流水の水質検査▽処分場の囲いの修復・設置▽コンクリート擁壁の隙間を埋める▽処分場内に置かれた廃プラスチックの撤去・・など7項目の実施を求めている。2010年4月から再三、指導を繰り返してきたが、同社が従わなかった。同社の田和篤社長は「金銭的な面でできなかった。今後は前向きに進めていきたい」と釈明している。
 一方、地元の菅沢区長は「住民だけでどうにかできる問題ではないので、これからどうするか市と相談するしかない。(同社に)お金がどこからも入ってきていないのに、施設の維持ができるわけがない」と不安を隠せない様子だった。同処分場を巡っては2011年2月、排水の処理施設が経済的理由で停止したことを受け、市が操業再開を求める措置命令を出していた。

●2012年6月4日(月)
松山市は、廃掃法第19条の5第1項に基づき、「レッグ」のサンパイ処分場の浸出液処理設備について、機器の破損等により生物処理が行えない等適正に稼働しておらず、今後浸出液処理設備の運転管理が適正に行われず、未処理の浸出液が放流された場合、周辺地域だけでなく、流域公共用水域の生活環境保全上の支障が生じ又は生ずるおそれがあるとして、適正な運転管理を実施し、放流水について「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」別表第1に定める基準及び「ダイオキシン類対策特別措置法施行規則」別表第2に定める基準を遵守できる状態とする措置を講ずるため、改善計画書を6月11日(月)までに提出し、改善措置を7月10日(月)まで履行するよう行政処分を出した。
※放流水の水質rhouryuukijun.pdf

●2012年6月12日(火)
この日午後3時から、松山市はサンパイ業者「レッグ」に対して、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号、以下「法」という。)第19条の8第1項第1号の規定により、行政代執行を行った。これに先立ち松山市は、「レッグ」に対して2012年6月4日付でサンパイ処分場の浸出液処理設備について適正な運転管理を実施し、放流水について「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」別表第1に定める基準及び「ダイオキシン類対策特別措置法施行規則」別表第2に定める基準を遵守できる状態とする措置を講ずること、そしてその改善計画書を同6月11日までに提出をすることを、法第19条の5第1項の規定に基づき命令を発出していたが、同期日までに当該計画書の提出がなかったため、生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがあり、かつ、当該命令に係る措置を講ずる見込みがないと判断し、法第19条の8第1項第1号の規定に基づき、行政代執行を行った。今後は、松山市が当該設備の不具合箇所を確認後、復旧作業を行い、適正な運転ができるよう管理を行う
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/hodo/201206/gyouseidaisikkou0612.html

●2012年6月19日(火)
 松山市はサンパイ業者「レッグ」(田和篤社長)について、「市の改善命令に応じない」として、産業廃棄物処分業と産業廃棄物処理施設設置許可の取消しの行政処分を行った。同市廃棄物対策課によると、同社は最終処分場の囲いや、地表水の処分場侵入を防ぐ水路を破損の状態で放置。同市は5月10日に改善命令を発令したが、同社は改善計画を提出せず、聴聞に対しても「特に言うことはない」と回答し、命令に応じる姿勢がないと判断した。6月12日には、汚水放流前に生物・化学処理する施設も故障のまま放置したとして、市が施設修復の行政代執行を開始。市は刑事告発も検討している。
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/gomi/haishori/haikisyobun/gyouseishobunreggu.html
対象業者:株式会社レッグ(代表者:田和 篤、所在地:愛媛県松山市菅沢町甲905番地2)
http://map.goo.ne.jp/map.php?MAP=E132.48.17.650N33.54.3.860
許可の内容(事業の種類):産業廃棄物処分業、産業廃棄物処理施設設置
許可の内容(許可の番号):8920000431(処分業)、該当なし(施設)
許可の内容(取り扱う産業廃棄物の種類):
中間処分(破砕、圧縮成形、圧縮梱包、造粒固化)(破砕)廃プラスチック類、木くず、紙くず、繊維くず、ゴムくず 以上5種類(圧縮成型)廃プラスチック類、木くず、紙くず、繊維くず、ゴムくず 以上5種類(圧縮梱包)廃プラスチック類、金属くず、紙くず 以上3種類(造粒固化)汚泥(無機性のものに限る。)、鉱さい(砂状のものに限り、特別管理産業廃棄物を除く。) 以上2種類
管理型最終処分場 燃え殻、汚泥、廃油(タールピッチ類に限る。)、廃プラスチック類、がれき類、金属くず、木くず、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」、鉱さい、ばいじん、動植物性残渣 以上11種類
行政処分の内容:産業廃棄物処分業の許可の取消し
産業廃棄物処理施設設置許可の取消し
処分の年月日:平成24年6月19日
処分の発効年月日:平成24年6月19日
処分の理由:(処分業)産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律第19条の3による命令に違反した。このことは、同法第14条の3の2第1項第5号の規定に該当する。(施設)産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条の2の7第1号による命令に違反した。このことは、同法第15条の3第1項第2号の規定に該当する。

●2012年7月11日(水)
松山市は先月6月12日に行政代執行を開始していた施設の修繕が完了し、稼働を再開したと発表した。同施設の維持管理は当面、市が代執行する。

●2012年10月25日(木)
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調査のため、埋められたごみを掘り出す市職員ら。
 10月22日からサンパイ処分場内の詳細調査を実施している松山市は、埋められたごみを掘り出すボーリングの様子などを報道陣に公開。この日は市廃棄物対策課の職員など約20人が作業。8月の緊急調査で破損の疑いが見つかった処分場地底の遮水工シート付近を中心に、ごみのサンプルを抽出し、成分やガス濃度などを調べた。ごみのサンプルは神奈川県の一般財団法人で分析する。

●2012年11月16日(土)
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「レッグ」の最終処分場の廃棄物などが漏れ出し、天井の一部が崩壊した農業用水路。
 松山市がこのサンパイ処分場の大規模調査を実施した結果、処分場地底の遮水工(シート)が破損し、農業用水路から廃棄物や汚水が外部に流出していると発表。市廃棄物対策課によると、調査は処分場内にボーリングで穴を開け、塩水を投入。処分場の地下に埋設されているコンクリート製の農業用水路(幅80センチ)から塩分を確認した。カメラで水路内部を調べると、処分場のごみの重みで天井の一部が崩落し、壁の複数箇所でひびやゆがみが見つかった。同市は結果を受け、2011年5月以降に周辺水路で何度か見つかった灰濁水は遮水シートの破損が原因と認定した。

●2013年3月12日(火)
サンパイ場の水処理施設の行政代執行をしている松山市は、「レッグ」のサンパイ場に不法投棄された重油や軽油を含んだ汚泥が約2万7000〜3万立方メートルになると市議会環境下水委員会で答弁した。これは埋立量(約25万立方メートル)の1割強にあたる。同市が愛媛県から許認可権の移譲を受けた1997年以前の不法投棄で、持ち込んだ業者や経緯は不明という。

●2012年11月22日(木)
松山市の野志克仁市長はサンパイ業者「レッグ」の処分場に関し、1987年3月に設置許可を出した県に対して11項目の質問を文書で照会していることを明らかにした。同市は来年3月末までに、国からの費用補助を受けるために産廃特措法申請を目指しており、県への文書照会は準備の一環。

●2012年12月25日(火)
松山市は、同市が水処理施設の管理を行政代執行しているサンパイ業者「レッグ」の処分場内3カ所で、埋設が認められていないC重油などの廃油を確認したことを明らかにした。

●2013年01月9日(水)
 「レッグ」のサンパイ処分場問題で、対策などを検討していた市審議会(会長・島岡隆行九州大教授)は廃棄物や汚水の外部流出防止策などをまとめた答申を、野志克仁市長に提出した。市は3月末期限の産廃特別措置法申請を目指しており、答申を基に月内にも環境省と事前協議を始める。これまでの同市の調査で、処分場の地底の遮水工(シート)が破損し、廃棄物や汚水の外部流出が判明。埋め立てが禁止されている廃油も見つかっている。答申では、破損部分を中心に内外を深さ約20メートルのコンクリートや鉄板などで囲む「鉛直遮水案」が最も望ましい対策で、油を分離する新たな排水設備の建設が必要とした。行政の責任にも言及し、「(県と市が)最終処分場の状況を適切に把握できなかったことが不適正処理の一因。行政対応の課題を真摯に受け止め、二度とこのような事例が生じないよう再発防止策を検討し、効果的に実施する責務がある」とまとめた。

●2012年12月3日(月)
 松山市は「レッグ」(米子亀男社長)に対し、汚水などの漏出防止について4回目の措置命令を出した。同市の調査で、処分場底部の遮水シートが破れたうえ、地下の農業用水路の天井部が破損していることが判明し、廃棄物や未処理の汚水が水路に流れ込んでいるという。2011年5月に同処分場から灰濁水が流出したことや環境基準を超える有害物質が検出されたことから、同社と米子社長らに2013年1月8日までに防止措置に着手するよう命じた。同市廃棄物対策課は「同社が実施する可能性は低いが、市が行政代執行で対策工事に取りかかるまでの段階を踏んだ」と説明している。

●2013年1月9日(水)
 松山市は、「レッグ」のサンパイ処分場について、処分場から出る汚水の流出対策として処分場地下に遮水壁を設置する案をまとめ、野志克仁市長に答申した。同市は実施計画をまとめ、3月末までに国に産廃特措法の申請を行う方針。工費は少なくとも10億円程度かかる見込み。同処分場は遮水シートと地下の農業用水路が破損し、未処理の汚水が漏出。市廃棄物対策課によると、三つの対策案を検討し、最も安価で効果的な地下遮水壁案を採用した。
 同案では、地下約20メートル以下にある不透水層の岩盤まで、地表から垂直にコンクリートや鋼板などで壁を設置。汚水が下流に流れないようにせき止める一方で、処分場内の井戸や排水口から集水し、水処理施設で処理するとしている。遮水壁は最大で処分場の周囲約800メートルに設け、農業用水路は付け替える。
 また、同審議会は今回の事態を招いた原因について、市や県が地下水路の上に処分場を設置することへの問題意識が十分でなく、水路のふたの強度の構造計算を求めていなかったことを指摘。さらに灰濁水が流出して問題が顕在化した2011年5月まで、市がレッグに対して口頭や文書による行政指導を繰り返しただけで、強制力のある改善命令を出さなかったことも挙げた。同課は「職員の知識不足もあり、明確な違反を見つけられなかった」と釈明した。島岡会長は「県から市に移行されたこともあり、行政による日々の監督が不十分だったことが一因」と指摘。野志市長は「二度と発生させないよう答申を生かしたい」としていた。

●2013年1月24日(木)
 松山市の大町一郎環境部長は、市議会環境下水委員会で、「レッグ」のサンパイ処分場の多額に上る対策費用について、処分場設置当時の監督権者だった愛媛県に、一定の負担を求める考えを明らかにした。同委員会では、処分場内で見つかった埋め立て禁止の廃油の投棄時期が、監督権限が県から移管された1998年6月以前だったことから、県の責任を指摘する声が上がった。大町部長は「県と協議中で、応分の費用負担を求めたい」と説明した。

●2013年2月28日(木)
 松山市が水処理施設の行政代執行をしている「レッグ」のサンパイ処分場について、同市の大町一郎環境部長は汚水流出対策に20億円以上かかるとの見通しを示した。市議会で「抜本的に解決するには、数十年単位と数十億円の費用がかかる」と答弁した。
 同市廃棄物処理施設審議会は2013年1月、汚水の外部流出を防ぐ地下遮水壁設置などの対策を答申。市は答申に基づき、地下20メートル以下まで垂直にコンクリートや鋼板で遮水壁を設け、処分場内の汚水の外部流出を防ぐ工法を決めた。遮水壁の設置などの対策費用の一部を国が負担する産廃特措法の申請期限は3月末までで、申請に向けて国などと事前協議を続けている。
 適用の見通しについて大町部長は「予断を許さない」と、時間的に産廃特措法申請が間に合わない可能性にも言及。適用された場合でも国負担分は最大45%で、市の負担分は10億円を超える。市廃棄物対策課は「ぎりぎりになるが、申請を間に合わせたい」としている。

●2013年3月12日(火)
 松山市は、サンパイ処分場に不法に埋められた重油の汚泥量が約2万7000〜3万立方メートルに上ることを明らかにした。同市議会環境下水委員会で理事者が答弁した。同委では、3月末が期限の産廃特別措置法補助申請に関し、進行状況の質問が相次いだ。市廃棄物対策課の藤本則彦課長は「職員一丸で申請準備を進めている」と説明。「環境省は『事前審査の段階』としており、事前協議がまだ終わっていない。申請時期は答えられない」とした。廃油不法埋設時期が愛媛県の監督時期と指摘した同市に、県が詳細調査を求めていることについて、土井田学氏(自民党)が「市審議会は当初から県の問題を指摘している。毅然(きぜん)とした態度を取るべきだ」と述べた。理事者は「現在は特措法申請に向けて全力を注いでおり、申請後に県と協議したい」と述べるにとどめた。

■上記の経過をつぶさに見てみると、いろいろな問題が浮かび上がります。

 特に懸念されるのは、松山市の聴聞手続きに対するサンパイ業者「レッグ」の回答が、「特にいうことはない」と、いわゆる「ケツをまくっている」ことです。当然、松山市はそのことを想定して形式的に改善命令や措置命令を出しており、最終的に、今月末に期限が来る産廃特別措置法補助申請で、業者にかわり、国と松山市と(そして多分愛媛県の)公金、つまり納税者の血税で後始末をすることになることを視野に入れて対応していました。

 こうした反社会的な業者の計画に対して、愛媛県が処分場の事業許可や施設設置許可を出し、それを松山市に移管し、松山市も業者のズサンな管理を見過ごしてきたことが、今回の血税投入を招いたわけで、その意味では、行政側にも重大な責任があります。しかし、行政側にも誰も責任を取る者はいないでしょう。

 いまさら、サンパイ業者「レッグ」を刑事告発しても、既に十分荒稼ぎをして、その利益はマネーロンダリングしてしまっているでしょうから、刑事罰を科しても実効性はほとんどないでしょう。

 また、遮水シートというものがいかに役に立たないかということも、この事件が照明しています。

 さらに、管理型最終処分場というは排水処理施設の維持管理その他のランニングコストがかかるということも事実です。廃棄物の搬入が終われば、サンパイの受け入れという売上がたたなくなり、それまで十分荒稼ぎしていた悪徳業者が「維持管理に支出するカネなんか、もうない」とケツをまくれば、許認可をした行政がその尻ぬぐいをすることになります。必然的に、それは税金で賄われるわけです。

 群馬県の環境行政の場合も、「(こうした事態になっても)県では責任は負いません。業者が資金を積み立てているはずだから大丈夫です」と安中市岩野谷地区でのサンパイ銀座問題に関する出前口座で住民の前で環境リサイクル課の職員が明言しています。

 しかも、群馬県の環境行政では、環境行政に従事していた幹部職員が退職後、廃棄物処理業者に天下りをして、現役時代のコネを駆使してインサイダーで、ゴミ処分場の手続を官と癒着して行っているのですから、さらに始末に終えません。

■松山市のこのサンパイ処分場では、1986年(昭和61年)から2001年(平成9年)3月までは愛媛県が処分場に対する規制監督をしており、2001年4月以降は松山市にその権限が移されていました。膨大な廃油の不法投棄が行われていたのは愛媛県が権限を持っていた期間でした。明らかに愛媛県の監督不作為によるものですが、誰も責任を取るものがいません。

 当時許可をして監督業務に当っていた首長や職員も、そのうち交代してしまい、結局、責任の所在がうやむやにされてしまうのです。この不作為というのは、明らかに法律違反だと思いますが、おそらく松山市民も愛媛県民も市民オンブズマン以外には誰もそのことを追及しようとする者はいないでしょう。

 現在の愛媛県の中村時広知事は2010年12月に知事になる前は1999年5月〜2010年10月まで松山市長でした。したがって、このサンパイ場の規制監督業務が県から市に委譲された後、市長の立場にあったため、尻拭いのための費用分担等、本件の対応面で政治的に動きやすいと思われます。

 ちなみに、歴代の愛媛県知事は次のとおりで、このサンパイ処分場の認可を出したのは3代目の白石春樹知事ということになります。
初代 青木重臣(1947年(昭和22年)4月16日-1951年(昭和26年)4月4日、1期)
2代 久松定武(1951年(昭和26年)5月4日-1971年(昭和46年)1月27日、5期)
3代 白石春樹(1971年(昭和46年)1月28日-1987年(昭和62年)1月27日、4期)
4代 伊賀貞雪(1987年(昭和62年)1月28日-1999年(平成11年)1月27日、3期)
5代 加戸守行(1999年(平成11年)1月28日-2010年(平成22年)11月30日、3期)
6代 中村時広 (2010年(平成22年)12月1日- 1期目中)

■こうして愛媛県と松山市の場合、行政の不作為が問題の根源の一つにあるわけですが、対応が後手になったとはいえ、今月末に期限が到来する産業廃棄物特措法の補助対象に間に合わせるよう尽力し、現地調査もきちんと行っていることは、群馬県の環境行政に比べれば雲泥の差といえます。

 こうした違法な廃棄物最終処分事業を根絶するには、「行政当局が問題意識を保つこと」「迅速な是正要求」「是正結果の監視」が重要だとされています。この3点のどれか一つでも欠けたり不十分だったりすると、同様な事件が他のどの自治体でも起こりうるわけです。

 群馬県の場合は、これら3点の全てが欠落しているため、利害関係者の合意や同意をとりつけたことを証する文書の提出を行政から求められれば、業者は30年前に死亡した人の印鑑や自署であっても平気で偽造して、県や市に提出するのです。なぜなら、行政の幹部OBが天下って業者側に加担し、官としても幹部OBの威光にさからえないからです。もちろんそこに政治が関与するのも群馬県の風土です。

 また、安中市の場合には、1995年に発生した史上空前の51億円余の巨額詐欺横領事件を起こした自治体であり、事件の背景には、役所の内部で偽造公文書の作成や受理が日常茶飯事に行われていたことが刑事記録で明らかになっています。

■現在も相変わらず高崎市の西方に繋がる丘陵地帯では、天下りの役人OBを擁した廃棄物処理業者らが政治力も使って、違法不当な廃棄物処理事業に血道を上げています。

 松山市で起きたサンパイ処分場を巡る一連の深刻な問題について、群馬県西部地域でサンパイ銀座化に加担している群馬県は、「対岸の火事」ではなく、「他山の石」として捉えなくてはなりません。そして、これを奇貨として、安全、安心な県土の保全に本気で取り組んでもらわなければなりません。

 群馬県の政官業癒着の環境行政のやりたい放題の実態を変えさせるために、現在、冒頭に述べた安中市、高崎市、富岡市でうごめいているいくつもの廃棄物処分計画の推移を注意深く見守ってゆく必要があります。

【ひらく会情報部】

※参考資料
【特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法】
特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法平成15年6月18日法律第98号(最近改正:平成17年5月18日法律第42号)は、平成9年の廃棄物処理法改正前(平成10年6月以前)に不法投棄(不適正処分)が開始された産業廃棄物について、都道府県等が自ら行う対策費用に対して、国庫補助および地方債の起債特例などの特別措置による財政支援を行うための枠組みを規定する特別措置法。2003年度から10年間の時限法(時限立法)である。
なお、平成9年廃棄物処理法改正法の施行以降に行われた産業廃棄物の不適正処分については、同改正法で規定された産業界からの出えんによる原状回復基金により、都道府県又は保健所設置市が行う原状回復の支援を行うこととなっている。
<目的>
第一条 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を計画的かつ着実に推進するため、環境大臣が策定する基本方針等について定めるとともに、都道府県等が実施する特定支障除去等事業に関する特別の措置を講じ、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的とする。
<制定の背景>
「豊島不法投棄事案(香川県)」や「青森・岩手県境産廃不法投棄事案」の大規模な不法投棄問題の対策について早期解決を行うために制定された。
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