「2020年ルーキー回顧38 前 佑囲斗(津田学園)投手」
状況説明
前 佑囲斗(オリックス4位)投手 (津田学園出身)
蔵の入団前評価:☆☆(中位指名級)
かつての与田剛(現中日)のようなスピンの効いた真っ直ぐを投げる球質で、高めに浮き上がるストレートで空振りの取れる投手でした。個人的には、この年の高校生の中でも、かなりオススメの存在でした。
そんな前投手の一年目は、
二軍で 14試合 0勝3敗0S 防 3.38 といった内容に。勝ち星こそあげられませんでしたが、高卒ルーキーで防御率3点台前半は、なかなか優秀な部類ではないかと。
もう少し数字を細かくみてみると、24イニングで被安打は19本で、被安打率は 79.2% とかなり優秀です。いつも書くように、被安打率は80%台で一軍に行ける力があり、70%台で一軍定着を意識できるぐらいの力があると書きました。一軍登板は高卒一年目ということでありませんでしたが、すでにそのレベルに総合力であることが伺えます。
四死球は14個で、四死球率は 58.3% と高め。四死球率の目安は、投球回数の1/3(33.3%)以下だと書きます。多少ボールに威力があったり補う部分があれば、30%台ならば許容範囲。しかし、50%台、それも後半となると、まだまだ制球力に課題があったことがわかります。被安打が少なくても、一軍にお呼ばれがかからなかった最大の理由は、制球力だということなのでしょう。
奪三振は28個で、投球回数を上回っています。奪三振の目安は、1イニングあたり先発ならば0.8個以上、リリーフならば0.9個以上決め手があると評価できます。それが 1.17個だと考えると、被安打の少なさも含めてボールの威力や三振が取れるといった部分では大きく二軍レベルを凌駕していたことが伺えます。
あとは、いかに無駄な四死球を減らしつつ、このボールの威力を維持・向上できるのかといった大変明るい未来が開けます。球速などを伸ばす育成力には定評があるオリックスですが、制球に関してはどうでしょうか? そのへんが、今後の課題になります。しかしこと高卒ルーキーとしては、合格点の一年目ではなかったのでしょうか。2年目以降の飛躍が、待たれます。
蔵の印象:◯ (あとは制球力)

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