「2020年ルーキー回顧39 郡司 裕也(慶応大)捕手」
状況説明
郡司 裕也(中日4位)捕手 (慶応大出身)
蔵の入団前評価:☆☆ (中位指名級)
慶応大では、高橋由伸(元巨人)以来の三冠王となった「打てる捕手」。ただし元々打撃優先型というよりも、インテリジェンスに優れ捕手適正の高い選手でした。それだけに、好守のバランスの取れた選手として興味深いものがありました。
そんな郡司選手の一年目は、
一軍で 30試合(64打数) 0本 4点 0盗(0失) 打率.156厘 といった成績に。
二軍では、17試合(38打数) 1本 4点 0盗(0失) 打率.289厘 と成績に。気になるのは、一軍にいた時期が長かったのか? あまり実戦経験を積めなかった部分。もちろんブルペンなどで、多くの一軍投手の球を受けることはできたのでしょうが・・・。打者としての成長を促すといった意味では、物足りない出場数・打席数だったことは否めません。一軍では、なかなかまだ試合慣れしていなかったのか? 打撃ではアピールできず。逆に二軍では打数こそ極端に少なく参考にし難いのですが、大卒野手の目安である打率2割5分超えの対応力を魅せていました。
チームでは、正捕手候補の 木下 拓哉 と、レギュラー争いを演じるまでの存在に2年目はなりつつあります。どちらかというと、肉体のポテンシャル・スケールで魅了する木下に対して、郡司は実戦力やリードで勝負するタイプで、対照的なだけに上手く使い分けることもできそうです。
打撃成績は打数が少ないので参考になり難いのですが、二軍成績をもう少し詳しく観てみたいと思います。38打数で三振は11個であり、三振比率は 28.9% とかなり高めです。それだけ振ったバットが、ボールを捉えることできなかった可能性が高い数字です。一軍を意識するのであれば、20%以下が望ましいところ。そのため一軍でも、打率が.156厘で終わった理由もわからなくはありません。
また四死球は8つで、四死球率は21.0%と破格です。通常10%以上が目安で、15%以上あったら相当なものです。打数が少ないのもあるのですが、ボール自体は良く見えていた可能性が高いです。それ故三振比率が高くても、打率は.289厘と高い数字を残せたのかもしれません。
すなわちボール自体は見えていたけれど、技術的に未熟でイメージどおりにはバットが当たらなかったという可能性があります。この辺は、打撃にもっとエネルギーが傾けられる余裕が生まれたり、技術的に改善ができれば、一軍でもある程度「打てる捕手」という存在感を示しても不思議ではありません。元々この選手、外角の球を逃さず叩く技術には光るものがありましたから。
いずれにしても今年の中日は、木下とこの郡司の正捕手争いという形になってゆくのではないのでしょうか。あまりディフェンス面に関しては、数字だけを追っていてもどうだったのかはわかりません。また捕手の場合、単純に試合数だけで経験を評価し難いものではあるのですが、それでも実戦での経験をあまり積めなかったことが今後どう出るかは興味深いです。ことルーキーイヤーとしては、経験(出場数)不足が気になりますが、数字の少なさほど深刻な状況ではない。あるいは、むしろ期待値はかなり高い選手という位置づけではないのでしょうか。評価としては、及第点の一年目だったと評価したいと思います。
蔵の印象:△ (数字では現れ難い経験を積めたのでは?)

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