「2015年ルーキー回顧36 茂木 栄五郎(早稲田大)三塁」
状況説明
茂木 栄五郎(楽天3位)三塁 (早稲田大出身)
蔵の入団前評価:☆☆☆
持っている打撃の資質は、先輩のメジャーリーガー・
青木 宣親 に引けをとらないと評価していました。ただし三塁手としてはパワー不足なのもあり、使いがってが難しくドラフト的には3位ぐらいになるのではないかと言っていました。誰もがその能力を認めていたものの、楽天の3位まで残る形となりました。
ここで梨田監督が、楽天の最も薄いショートのポジションで茂木を抜擢。桐蔭学園時代にはショートをやっていましたが、早稲田大時代はサード。やれてもセカンドまでかと思っていただけに、これは驚きでした。これは、先入観のない梨田監督のファインプレーと楽天のチーム事情が見事フィットした形です。
そんな茂木の1年目は、一軍で
117試合(424打数) 7本 40打点 11盗塁(4失敗) 打率.278厘 という成績で、1年目からショートのレギュラーを奪う形に。毎年ルーキー野手がレギュラーになれるのは、ドラフト全体でも2名前後だということを考えると、3位指名選手がレギュラーをゲットできたことは非常に興味深いものがあります。
もう少し成績を詳しく見てみると、424打数で三振は94個。三振比率は、22.4%でありそれほど際立つ数字ではありません。さすがに25%越えると、かなり長打力など付加価値がないと厳しいのですが、まぁボールを当てる能力は許容範囲であることがわかります。
四死球は34個であり、四死球率は 8.0%であり、ボールを見極める「眼」も平均的であることがわかります。この辺も、10%を越えてくるとかなり優れているのですが、そういった部分では特別なものは感じません。この辺はアマ時代に、どうしても高めの球に対しバットが止まらないことを指摘しましたが、打ち気にはやるとバットが止まらない傾向があるということ。来年研究された時に、そういったところから打撃を崩さないことが心配されます。
盗塁は11個であり、盗塁成功率は.733厘。7割以上成功しないと、盗塁のリスクをおかす価値がないと言われているので、その点では合格ライン。遊撃手としては、117試合に出場。遊撃手としての一つの目安は、守備率が.970厘以上かということ。茂木の場合失策は19個で、守備率.964厘と基準はやや下回る内容。それでも大学時代やっていなかったポジションであることを考えると、よくやったと言えるのではないのでしょうか。しかし来年もあまり変わらないようだと、うまいショートを獲得してきて他のポジションへということになりそうです。
こうやって見てみると、ルーキーとしては各数字プロの許容範囲内で収まっていて、充分過ぎる出来たったと評価できます。その一方で、来年以降この数字を伸ばして行けるのか、彼の真価が問われるところではないのでしょうか。ルーキーゆえに、今後の上積みも期待できるから大目に観られていた部分もあり、この成績が続くようだと少し物足りなさを感じるところもあるかと思います。
3割以上残せる資質は充分ある選手ですが、今年の数字を観る限りは、来年大きく成績を伸ばせるかは微妙な印象は受けています。
3割・10本以上 ぐらいを目標にして欲しいところですが、2年目のジンクスにハマる危険性は充分あります。しかしこと1年目の成績を観る限りは、野手としては充分過ぎるルーキーイヤーだったのではないのでしょうか。
蔵の印象:◎ (さらに数字を維持・向上できるか?)

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